検査装置
【課題】 本発明は、検体の分析を行う検査装置において、装置を小型化するとともに、光源の輝度を高くすることに伴い光源の周囲に発生する電磁波を遮蔽することを目的とする。
【解決手段】 検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記マイクロチップの検査流体収容部に対し、前記検査流体に光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする。
【解決手段】 検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記マイクロチップの検査流体収容部に対し、前記検査流体に光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸光光度測定により測定対象の液状の検体中における検出対象成分を同定して、その濃度を測定するためのマイクロチップを用いた検査装置に関する。特に、人体の肝機能を診断するために必要とされるGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)やγ−GTP(γグルタミルトランスペプチターゼ)等の酵素活性を測定するために使用する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術を応用して、化学分析等を従来の装置に比して微細化して行うμ−TAS(μ−Total Analysis System)や「Lab on a chip」と称されるマイクロチップを用いた分析方法が注目されている。特許文献1にはこの技術が開示されている。このようなマイクロチップを使用した分析システムは、マイクロマシン作製技術によって小さな基板上に形成された微細な流路の中において、試薬の混合、反応、分離、抽出及び検出等の分析全ての工程を行うことを目指したものであり、例えば、医療分野における血液の分析、超微量の蛋白質や核酸等の生体分子の分析等に用いられている。
【0003】
μ−TASを採用した装置(以下、検査装置という)では、抽出物質や反応性生物などを定量するために吸光光度法がよく用いられる。マイクロチップは、検査対象となる検体と該検体の情報を検知するための試薬とが予め別々の部位に収容され、さらに検体と試薬とが混合されて得た検査流体が、断面がφ0.01〜5mm2程度と非常に小さい検査流体収容部に充填される構造となっている。分析を行う際には、検査流体に吸収される波長を有する光を検査流体収容部に入射させ、検査流体による吸光量を測定することにより検体の成分濃度を検出する。
【0004】
検査装置の放電ランプは、マイクロチップの検査流体収容部に対し平行度の高い光を入射させる必要があるため、理想的にはレーザーを用いることが考えられる。しかし、分析に必要な光の波長は検体毎に異なる波長の光を使用する必要があるので、1台の検査装置によって複数種の検体を分析しようとすると、検体の種類に応じてそれぞれ波長の異なるレーザーを備えることが必要になって、装置が大型化すると共にコストが高くなるというデメリットがある。一方、放電ランプとしてキセノンランプ等の連続光を放射するランプを波長選択素子と併用した場合には、複数の検体のそれぞれに対し異なる波長の光を使用することができるので、上記のように装置が大型化したりコストが高くなるといったデメリットがない。
【0005】
また、近年では、病院や診療所等におけるベッドサイド、救急現場及び家庭等において、迅速かつ高精度の分析を行うPOCT(Point of care testing)が頻繁に行われている。上記した検査装置を用いてPOCTを実施するに当っては、検査装置を所定の現場に持ち運んで診療を行う必要があることから、検査装置を小型化・簡便化することが求められている。また、μ−TASを利用した検査装置においては、放電ランプからの光を狭い光路へ導いてマイクロチップの検査流体収容部に入射させる必要があることから、放電ランプから出射される光の強度を高くすることが必要とされている。すなわち、検査流体収容部に入射させる光の強度を大きくすることにより、測定誤差を小さくすることができる。このような事情から、検査装置に用いる放電ランプの輝度が高いことが要求されている。
【0006】
しかしながら、放電ランプから出射される光の強度を高くしようとすると、放電ランプの周囲に放出される電磁波が大きくなり、電磁波の影響により検査装置における精密機器が誤作動することによって正確な分析を行うことができなくなる虞があった。特に、上記したように、放電ランプの輝度を高めようとして定格電力を高くすると、放電ランプの周囲に発生する電磁波による精密機器に対する悪影響が大きくなり、精密機器が誤作動する危険性が高いことが判明した。
【0007】
特許文献2には、内視鏡装置において、放電ランプの周囲に放出される電磁波による精密機器への影響を抑制するために、画像処理装置と放電ランプとの間に遮蔽板を設置することが開示されている。ところが、上記したように、POCTに対応した検査装置においては、小型化・簡便化が求められていることから、特許文献2に記載される技術を採用すると、これらの要求に逆行することになって好ましくない。
【0008】
【特許文献1】特開2007−225479号
【特許文献2】特開2005−245473号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上から、本発明は、検体の分析を行う検査装置において、装置を小型化するとともに、放電ランプの輝度を高くすることに伴い放電ランプの周囲に発生する電磁波を遮蔽することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記したように、本発明においては、検査装置の小型化、放電ランプから放出される電磁波の低減という課題を解決することを目的としている。
<検査装置の小型化について>
本発明の検査装置において、放電ランプは点灯時に数十kVの高電圧を印加する必要がある。高電圧の放電ランプを収容する光源収容部へのリークを防止するために、光源収容部が放電ランプと絶縁されている必要があるので、光源収容部を金属から構成すると、光源収容部を大きくして放電ランプとの絶縁距離を大きくしなければならない。ところが、上記したように、μ−TASを利用した検査装置においては、小型化・簡便化が要求されており、絶縁距離を確保するために光源収容部を大きくすることはできない。そこで、光源収容部の主要部分である筐体部を絶縁材料で構成することにより、光源収容部が放電ランプに対して比較的小型のものであっても、確実に光源収容部が放電ランプと絶縁された状態にすることができる。すなわち、光源収容部を絶縁材料で構成することにより、光源収容部が放電ランプと絶縁された状態を確保しつつ、光源収容部を小型化することができるので、検査装置を小型化することができる。
【0011】
<電磁波の遮蔽>
上記のように、光源収容部を絶縁材料によって構成すると、光源収容部を金属によって構成した場合と異なり、放電ランプの周囲に放出される電磁波を光源収容部によって遮蔽することができない。従って、放電ランプから放出される電磁波を確実に遮蔽するため、絶縁材料により構成された光源収容部の外部に電磁波を遮蔽する遮蔽機構を設ける。
【0012】
本発明は、上記のような事情に基づいて完成されており、
検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記マイクロチップの検査流体収容部に対し、前記検査流体に光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記遮蔽機構が前記筐体部の外表面に設けられた金属薄膜であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の検査装置は、前記筐体部の外表面における前記金属薄膜が形成された領域を押圧する押圧機構を備えていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記押圧機構がアースに接続されていることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の検査装置は、前記光源収容部の内部に冷却風を供給するための冷却風供給機構を備え、前記光源収容部には、冷却風導入口と冷却風排出口とが形成されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明は、前記光源が、内部に一対の電極及び放電ガスが収容された発光部と、当該発光部の両端に連続する側管部とを備える放電ランプであって、当該放電ランプの中心軸が大地に対して垂直となる姿勢で配置されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は、前記光源収容部が、前記冷却風導入口が前記放電ランプの鉛直方向の下方側に位置する側管部に対向する位置に、前記冷却風排出口が前記放電ランプの鉛直方向の上方側に位置する側管部に対向する位置に、それぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査装置に係る光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に放電ランプから放射される電磁波を遮蔽する遮蔽機構が設けられているので、光源収容部が放電ランプに対して比較的小型のものであっても、光源収容部が放電ランプと絶縁された状態にすることができ、しかも、筐体部の外部に設けた遮蔽機構により放電ランプの周囲に放出される電磁波を遮蔽することができる。従って、検査装置を小型化することができると共に、精密機器が誤作動するという問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の検査装置の構成の一例を示す斜視図である。
検査装置100は、分析結果を表示する液晶パネル等の表示部120と、分析結果を用紙として出力するための分析結果出力機構101と、マイクロチップを着脱する際に上方側に向けて開閉するマイクロチップ着脱用蓋部102と、放電ランプを収容する光源収容部を着脱する際に上方側に向けて開閉する光源収容部着脱用蓋部103とを備えている。マイクロチップ、放電ランプを交換する際には、ボタン操作等によりそれぞれの蓋部を開放する。
【0021】
図2は、本発明の検査装置の内部構造の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示すA−A´線によって検査装置の一部を切断した断面図を示す。
【0022】
同図に示すように、検査装置100は、内部に放電ランプ1が配置された光源収容部2、光源収容部2の紙面において鉛直方向下方側に隣接して配置された冷却風供給機構3、ランプ電源4、光源収容部2の紙面において鉛直方向下方側に隣接して配置されるイグナイタ5、チップホルダー6(図2には不図示)、マイクロチップ7(図2には不図示)、光源収容部2の側方側に隣接して配置された演算部110、光源収容部2の側方側に隣接して配置された表示部120、光源収容部2の側方側と鉛直方向下方側に隣接して配置された遮蔽板130によって構成されている。
【0023】
図4は、本発明の検査装置に係る吸光光度測定系の概略を模式的に示す概念図である。
検査装置100は、放電ランプ1、放電ランプ1を収容する光源収容部2、光源収容部2に取付けられたレンズ27、検査流体収容部71を備えるマイクロチップ7、マイクロチップ7の検査流体収容部71を透過した光を受光する受光部140、受光部140から出力された光強度信号に基いて検査流体中の検体の濃度を算出する演算部110、及び、演算部110から出力される測定結果を表示する表示部120を備えている。
【0024】
放電ランプ1から出射された光は、レンズ27を透過した後にマイクロチップ7の検査流体収容部71に導入され、検査流体収容部71に充填された検査流体によって減衰した後に受光部140の光入射面に導入される。演算部110は、受光部140に導入された光の強度に基いて検査流体中に含まれる測定対象成分の濃度を算出すると共に、算出した測定対象成分の濃度データを表示部120に送信する。これにより、測定対象成分の濃度が、表示部120に数値データ等により表示される。
【0025】
図5は、マイクロチップの構成の一例を示す概略図である。図5(a)はマイクロチップの斜視図を示し、図5(b)は図5(a)に示すA−A´線によって切断した断面図を示す。図6は、図5(a)に示すマイクロチップ2に適用されるチップホルダの斜視図である。
【0026】
図5(a)に示すマイクロチップ7は、複数の検査流体収容部71が互いに離間して並んで形成されると共に、その外表面に二次元コード72が貼付された多項目検査用のマイクロチップである。多項目検査用のマイクロチップ7は、図5(b)に示すように、遮光性樹脂73の上面および下面にそれぞれ光透過性樹脂74が張り合わされて形成され、マイクロチップ7の検査流体収容部71に垂直に光を透過させて吸光光度法による分析を行うものである。
【0027】
図6に示すように、チップホルダー6は、マイクロチップ7が収容されるチップ収容空間Sを有する樹脂製の箱部61と、マイクロチップ7を所定の場所に位置合わせをして固定する金属製の蓋部62とによって構成されている。蓋部62は、支点63によりヒンジで固定され、マイクロチップ7に貼付された二次元コード72を外部から読み取るためのコードリーダ読み取り窓64とが設けられている。
【0028】
図7は、本発明の検査装置に用いる放電ランプ及び光源収容部の構成の概略を示す図である。図7(a)は光源収容部を斜め上方から見た斜視図、図7(b)は光源収容部を背後から見た図、図7(c)は光源収容部を上方から見た図である。図8は、図7に示すA−A´線により放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。図9は、図7に示すB−B´線により放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。図8、9においては、放電ランプ1の中心軸Xが大地に対して垂直となるように光源収容部2内に放電ランプ1が配置されている状態を示す。図10は、光源収容部及び押圧機構の構成の概略を示す斜視図である。図11は、押圧機構の構成を示す斜視図である。図11(a)は押圧機構を斜め上方から見た斜視図、図11(b)は押圧機構を上方から見た図である。図12は、放電ランプ1の構成の詳細を示す長手方向の断面図である。
【0029】
光源収容部2は、図7に示すように、直方体形状を有する絶縁材料によって構成された筐体部20と、筐体部20の紙面の鉛直方向上方側に設けられた、光源収容部2を着脱する際に把持するための取手部21と、筐体部20の鉛直方向下方側に設けられ光源収容部2を検査装置100に固定すると共に、放電ランプ1をイグナイタ5に対して電気的に接続するための固定機構22とを備えている。
図8、9に示すように、光源収容部2の筐体部20は、側面に放電ランプから出射される光を絞るためのレンズ27が嵌め込まれていることにより形成された光出射部23を備えており、さらに、光源収容部2の内部に冷却風を導入するための冷却風導入口24と、光源収容部2の外部に冷却風を排出するための冷却風排出口25とが、放電ランプ1を効率良く冷却することができるように形成されている。
【0030】
光源収容部2の主要部分を構成する筐体部20は、放電ランプ1と絶縁されていることが必要であり、しかも、上記したように可及的に小型のものを使用するのが好ましいことから、例えば耐熱性の高いPPS樹脂などの絶縁材料によって構成されている。ここにいう「絶縁材料」とは、電気的に絶縁性を有する材料を意味している。また、光源収容部2は、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を遮蔽するために、筐体部20の外表面に対して金属薄膜26よりなる電磁波遮蔽機構が形成されている。金属薄膜26を光源収容部2の外表面に形成するのは、金属薄膜26を筐体部20の内表面に形成した場合には、筐体部20を大型のものにしない限り、筐体部20を放電ランプ1と絶縁状態にすることができないからである。
【0031】
電磁波遮蔽機構となる金属薄膜26は、例えばアルミニウムなどの金属材料を真空蒸着又は導電塗装等の周知の手段によって、筐体部20の外表面に対して形成されている。金属薄膜26の厚みは、例えば0.1μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0032】
光源収容部2は、図10に示すように、筐体部20の外表面のうち金属薄膜26が形成された領域が、金属製の鉤状弾性体8のような押圧機構によって押圧されることにより、検査装置100の内部に固定されている。鉤状弾性体8は、例えば、図11に示すように検査装置100に固定するための複数の螺子穴81cを備え、全体として鉤状に形成された接地部81と、当該接地部81に対して垂直方向に連続して伸びる一対の押圧部82とにより構成されている。接地部81は、相対的に全長が短い底板部81aと、底板部81aに対して直交する方向に連続して伸びる相対的に全長が長い底板部81bと、底板部81a、81bのそれぞれに形成された螺子穴81cとにより構成されている。各押圧部82は、各底板部81a、81bに対して垂直方向に連続して伸びる一対の支持板部82a、82bと、各支持板部82a、82bに形成された、光源収容部2の方向へ弧状に湾曲するバネ部82cとにより構成されている。
【0033】
光源収容部2は、図10に示すように、2つの側面が鉤状弾性体8の各押圧部82に当接され、鉤状弾性体8におけるバネ部82cを介して検査装置100の内壁に押圧されることにより、検査装置100内部の所定の場所に位置決めされて固定されている。鉤状弾性体8は、アースに接続されると共に、筐体部20の外表面であって、金属薄膜26が形成された領域に当接するよう配置されている。こうすることにより、筐体部20が鉤状弾性体8を介して接地されるので、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波が筐体部20に形成された金属薄膜26及び鉤状弾性体8を介して放出される。光源収容部2は、電磁波を確実に遮蔽して鉤状弾性体8を介して放出させるため、筐体部20の外表面の全域にわたって金属薄膜26が形成されていることが好ましい。
【0034】
このような鉤状弾性体8は、検査装置100の内部において、光源収容部2を配置した際に、一対の押圧部82の各バネ部82cから生じる反発力により、各バネ部82cを介して筐体部20の2つの側面に対して弾性力が加わるような位置に固定されている。こうすることにより、鉤状弾性体8により筐体部20の側面を押圧することができるので、筐体部20を介して光源収容部2を確実に接地することができると共に、光源収容部2を所定の場所に確実に固定することができる。
【0035】
なお、上記した例によると、筐体部20の金属薄膜26が形成された領域を鉤状弾性体8によって押圧することにより、筐体部20をアースに接続しているが、本発明では必ずしも鉤状弾性体8を設けることは必須ではない。すなわち、図8に示す筐体部20において、金属薄膜26にアース線を接続することもできる。
【0036】
また、筐体部20の外表面に金属薄膜26を設けているのは、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を逃がすためであるが、本発明は必ずしも筐体部20の外表面に金属薄膜26を設けることは必須ではない。例えば、筐体部20の外表面に貼付した金属箔をアースに接続する等しても良い。
【0037】
放電ランプ1は、図12に示すように、球状の発光部11と発光部11の両端に連続する棒状の側管部12a、12bとよりなり、例えば石英ガラスなどの光透過性材料により構成されるランプ容器10を備え、側管部12a、12bに対してモリブデンよりなる金属箔13a、13bがそれぞれ埋設されることにより気密にシールされた箔シール構造の放電ランプである。
発光部11の内部空間には、その基端部が金属箔13a、13bの先端部に対してそれぞれ接続された陽極14と陰極15とが中心軸X方向において互いに離間して配置されると共に、放電用ガスとして0.5MPa〜2MPa程度のキセノンガスが封入されている。金属箔13a、13bの基端部に対してその先端部がそれぞれ接続された外部リード16a、16bは、その基端部が側管部12a、12bの端部からそれぞれ外方に伸出ている。
【0038】
図8に示すように、放電ランプ1は、光源収容部2の光出射部23に嵌め込まれたレンズ27の近傍に発光部11が位置するように配置され、一方の側管部12aが光源収容部2の導電性の固定機構22の内部に挿入されて固定されると共に、他方の側管部12bから伸出た外部リード16bに対して給電線18が接続されており、当該給電線18を介して光源収容部2のコネクタ28に電気的に接続されている。放電ランプ1は、導電性を有する固定機構22およびコネクタ28を介して、上記のランプ電源4に対して電気的に接続されている。
【0039】
このような放電ランプ1は、図8、9に示すように、光源収容部2の内部において、陽極を鉛直方向の上方側に位置して、その中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で配置されている。このように配置することにより、以下に説明するように、放電ランプが破裂する虞がない。
仮に、放電ランプ1の中心軸Xが大地に対して水平となる姿勢で放電ランプ1を点灯させると、発光部11内における放電ガスの対流が原因となって、一対の電極間に形成される放電アークが発光部11の上方側の内面寄りに偏って形成されることにより、発光部11の上方側のみが局所的に高温状態になり、最悪の場合には発光部11が破裂する虞がある。一方、放電ランプの中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で放電ランプを点灯させることにより、発光部11の一部に偏って放電アークが形成されることがなく、発光部の一部が局所的に高温状態になることが回避されるので、発光部が破裂する虞がない。
【0040】
本発明の検査装置100に用いられる放電ランプは、上記したような放電ガスとしてキセノンガスを用いるものの他、プロジェクターの光源として好適に用いられている、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上になる超高圧水銀ランプ、ショートアーク型メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプなどを用いることができる。特に、上記したキセノンガスを封入した放電ランプを用いると、容易に点光源化することにより輝度を高くすることができ、波長250〜1100nmの広い波長領域において連続スペクトルを有し、特に吸光度測定に用いられる波長領域(具体的には、300〜800nmの波長域)において輝線の発生がなく安定的な放射スペクトルが得られることから、吸光光度測定を精度良く行うことができる。
【0041】
前述したように、本発明の検査装置においては、例えばマイクロチップ7の検査流体収容部71のように、極めて狭い光路に対して光を入射させる必要があり、測定の精度を高くするためには高輝度の放電ランプ1を用いることが望ましい。従って、放電ランプ1の定格電力は、例えば20〜150Wの範囲内であって、特に40〜60Wの範囲内であることが好ましい。
【0042】
図8、9に戻り、光源収容部2の筐体部20に設けられた冷却風導入口24、冷却風排出口25について説明する。筐体部20においては、次のようにして冷却風導入口24および冷却風排出口25が形成されている。筐体部20は、その側面に対して、比較的大面積を占める開口が形成されていると共に、当該開口を覆うように複数の微細な開口を有する金属板を螺子止め等によって固定することにより、金属板の開口によって冷却風導入口24及び冷却風排出口25が形成されている。
【0043】
上記したように、光源収容部2は、放電ランプ1に対して比較的小型のものであり、しかも、筐体部20が絶縁材料によって構成されているので、筐体部20を金属で構成している場合よりも、光源収容部2の内部空間が放電ランプ1の点灯時に高温状態になり易いと考えられる。そして、図12に示す放電ランプ1は、側管部12a、12bが過剰に高温状態になると、側管部12a、12bが破損して気密性が失われる虞があることから、光源収容部2の内部に冷却風を導入して、放電ランプ1の側管部12a、12bを冷却することが望ましい。
【0044】
光源収容部2は、冷却風導入口24が放電ランプ1の陰極側の側管部12aに対向するよう鉛直方向の下方寄りの位置に、冷却風排出口25が放電ランプ1の陽極側の側管部12bに対向するよう鉛直方向の上方寄りの位置に設けられている。すなわち、光源収容部2には、冷却風導入口24及び冷却風排出口25が鉛直方向の上下において互いに離間した位置に形成されている。こうすることにより、光源収容部2の内部に導入された冷却風が、放電ランプ1の各々の側管部12a、12bの近傍を通過することにより、放電ランプ1の点灯時において各々の側管部12a、12bが過剰に高温状態になることが回避される。
【0045】
上記した光源収容部2においては、冷却風導入口24が筐体部20の鉛直方向の下方寄りの位置に形成されていることにより、冷却風導入口24から導入された冷却風が、放電ランプ1の点灯時に高温状態になった発光部11の近傍を通過する際に発光部11によって暖められ、対流により冷却風排出口25から筐体部20の外方へと排出されるため、放電ランプ1を効率良く冷却することができる。
【0046】
上記した筐体部20によると、2つの側面に対して複数の微細な開口を有する金属板よりなる冷却風導入口24及び冷却風排出口25がそれぞれ形成されている。金属板に形成された開口径は、極端に大きすぎると放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を遮蔽することができない虞があるため、電波(電磁波)の速度と電磁波の周波数との関係によって適宜に決定されるが、放電ランプに強い衝撃が加えられた場合に放電ランプが破裂する虞があり、放電ランプを構成する石英ガラス等の光透過性材料が飛散することを防止する機能を確保するために、φ1mm〜φ10mm程度とすることが望ましい。
【0047】
本発明の検査装置100におけるその他の構成について、図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0048】
受光部140は、マイクロチップ7の検査流体収容部71に充填された検査流体を透過した光を受光して、受光した光に基いて光強度信号を出力する機能を有している。例えば、受光部140は、波長300〜1100nmの波長領域の光に対して感度を有するシリコンフォトダイオードなどの素子が用いられる。
【0049】
演算部110は、受光部140に接続されており、受光部140から出力された光強度信号に基いて、例えばランベルト−ベールの法則により検査流体中における検体成分の濃度を算出する演算機構を有するものである。
【0050】
表示部120は、演算部110から出力された検体成分の濃度に関する分析結果を、例えば数値データ等として表示させる機能を有するものであり、例えば、液晶パネルなどの表示素子によって構成されている。
【0051】
このような本発明の検査装置100においては、放電ランプ1から放射され、光源収容部2に設けられたレンズ27によって平行にされた光が、マイクロチップ7の検査流体収容部71に導入される。検査流体収容部71に導入された光は、検査流体中に含有される検体成分によって一部が吸収され、吸収されなかった一部が受光部140に導入される。そして、受光部140からは、受光した光の平均値が光電変換された電気信号が光強度信号として出力されて演算部110に入力され、これに基いて検査流体中の検体成分の濃度が算出されて、算出された検体成分の濃度が表示部120に表示される。
【0052】
以上のような本発明の検査装置100においては、放電ランプ1を収容する光源収容部2が絶縁材料によって構成されており、しかも、当該光源収容部2の筐体部20の外部に、アースに接続された金属薄膜26からなる遮蔽機構が設けられていることにより、以下に説明する効果を期待することができる。
すなわち、筐体部20を絶縁材料で構成したことにより、放電ランプ1に対して比較的小型の筐体部20を用いた場合であっても、筐体部20を放電ランプ1と絶縁状態にすることができ、しかも、放電ランプ1の点灯時に、放電ランプ1から電磁波が放出されたとしても、アースに接続された金属薄膜26を介して電磁波を逃がすことができるので、検査装置100内部の精密機器(例えば演算部110等)が誤作動を生じるという不具合を確実に回避することができる。
【0053】
また、筐体部20の外表面に対して金属薄膜26からなる遮蔽機構を形成することにより、筐体部20とは別体にて遮蔽機構を設置することに比べると、検査装置100の内部に余分なスペースを設ける必要がないので、検査装置100を小型化することができる。
【0054】
また、筐体部20の外表面であって、金属薄膜26が形成されている領域が、アースに接続された鉤状弾性体8のような押圧機構で押圧されているので、筐体部20の金属薄膜26を確実にアースに接続することができ、また、筐体部20を介して光源収容部2を検査装置100内部の所定の場所に確実に位置決めすることもできる。
【0055】
さらに、冷却風供給機構3を備えると共に、筐体部20に冷却風導入口24及び冷却風排出口25が設けられていることにより、筐体部20が金属材料に比して耐熱性の面で劣る絶縁材料によって構成されていても、筐体部20が溶融することを確実に回避することができる。
【0056】
さらに、放電ランプ1を、その中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で配置して点灯させることにより、発光部11の一部のみが局所的に高温状態になって破損することを回避することができる。
【0057】
さらにまた、冷却風導入口24が放電ランプ1の鉛直方向の下方側に位置する側管部12aに対向する位置に、冷却風排出口25が放電ランプ1の鉛直方向の上方側に位置する側管部12bに対向する位置にそれぞれ設けられていることにより、放電ランプ1における各々の側管部12a、12bを冷却することができるので、各々の側管部12a、12が過剰に高温状態になることがないので、各々の側管部12a、12bが破損することを回避することができる。
【0058】
なお、本発明の検査装置100は、上記した実施形態に限定されることなく、発明の本質を逸脱することのない範囲において種々の変更を加えることができる。また、チップホルダー6、マイクロチップ7等の形状は、上記の実施形態はあくまで一例に過ぎず、必要に応じて適宜の変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の検査装置に係る実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の検査装置の内部構造の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示すA−A´線によって検査装置の一部を切断した断面図を示す。
【図4】本発明の検査装置に係る吸光光度測定系の概略を示す概念図である。
【図5】マイクロチップの構成を示す斜視図及び一部断面図である。
【図6】チップホルダーの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の検査装置に用いる放電ランプ及び光源収容部の構成を示す図である。
【図8】図7に示すA−A´線によって光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。
【図9】図7に示すB−B´線によって放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。
【図10】光源収容部及び押圧機構の構成の概略を示す斜視図である。
【図11】押圧機構の構成を示す図である。
【図12】放電ランプの構成を示す長手方向の断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 放電ランプ
11 発光部
12a、12b 側管部
13a、13b 金属箔
14 陽極
15 陰極
16a、16b 外部リード
18 給電線
2 光源収容部
20 筐体部
21 取手部
22 固定機構
23 光出射部
24 冷却風導入口
25 冷却風排出口
26 金属薄膜
27 レンズ
28 コネクタ
3 冷却風供給機構
4 ランプ電源
5 イグナイタ
6 チップホルダー
7 マイクロチップ
71 検査流体収容部
8 鉤状弾性体
81 接地部
82 押圧部
100 検査装置
101 分析結果出力機構
102 マイクロチップ着脱用蓋部
103 光源収容部着脱用蓋部
110 演算部
120 表示部
130 遮蔽板
140 受光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸光光度測定により測定対象の液状の検体中における検出対象成分を同定して、その濃度を測定するためのマイクロチップを用いた検査装置に関する。特に、人体の肝機能を診断するために必要とされるGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)やγ−GTP(γグルタミルトランスペプチターゼ)等の酵素活性を測定するために使用する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術を応用して、化学分析等を従来の装置に比して微細化して行うμ−TAS(μ−Total Analysis System)や「Lab on a chip」と称されるマイクロチップを用いた分析方法が注目されている。特許文献1にはこの技術が開示されている。このようなマイクロチップを使用した分析システムは、マイクロマシン作製技術によって小さな基板上に形成された微細な流路の中において、試薬の混合、反応、分離、抽出及び検出等の分析全ての工程を行うことを目指したものであり、例えば、医療分野における血液の分析、超微量の蛋白質や核酸等の生体分子の分析等に用いられている。
【0003】
μ−TASを採用した装置(以下、検査装置という)では、抽出物質や反応性生物などを定量するために吸光光度法がよく用いられる。マイクロチップは、検査対象となる検体と該検体の情報を検知するための試薬とが予め別々の部位に収容され、さらに検体と試薬とが混合されて得た検査流体が、断面がφ0.01〜5mm2程度と非常に小さい検査流体収容部に充填される構造となっている。分析を行う際には、検査流体に吸収される波長を有する光を検査流体収容部に入射させ、検査流体による吸光量を測定することにより検体の成分濃度を検出する。
【0004】
検査装置の放電ランプは、マイクロチップの検査流体収容部に対し平行度の高い光を入射させる必要があるため、理想的にはレーザーを用いることが考えられる。しかし、分析に必要な光の波長は検体毎に異なる波長の光を使用する必要があるので、1台の検査装置によって複数種の検体を分析しようとすると、検体の種類に応じてそれぞれ波長の異なるレーザーを備えることが必要になって、装置が大型化すると共にコストが高くなるというデメリットがある。一方、放電ランプとしてキセノンランプ等の連続光を放射するランプを波長選択素子と併用した場合には、複数の検体のそれぞれに対し異なる波長の光を使用することができるので、上記のように装置が大型化したりコストが高くなるといったデメリットがない。
【0005】
また、近年では、病院や診療所等におけるベッドサイド、救急現場及び家庭等において、迅速かつ高精度の分析を行うPOCT(Point of care testing)が頻繁に行われている。上記した検査装置を用いてPOCTを実施するに当っては、検査装置を所定の現場に持ち運んで診療を行う必要があることから、検査装置を小型化・簡便化することが求められている。また、μ−TASを利用した検査装置においては、放電ランプからの光を狭い光路へ導いてマイクロチップの検査流体収容部に入射させる必要があることから、放電ランプから出射される光の強度を高くすることが必要とされている。すなわち、検査流体収容部に入射させる光の強度を大きくすることにより、測定誤差を小さくすることができる。このような事情から、検査装置に用いる放電ランプの輝度が高いことが要求されている。
【0006】
しかしながら、放電ランプから出射される光の強度を高くしようとすると、放電ランプの周囲に放出される電磁波が大きくなり、電磁波の影響により検査装置における精密機器が誤作動することによって正確な分析を行うことができなくなる虞があった。特に、上記したように、放電ランプの輝度を高めようとして定格電力を高くすると、放電ランプの周囲に発生する電磁波による精密機器に対する悪影響が大きくなり、精密機器が誤作動する危険性が高いことが判明した。
【0007】
特許文献2には、内視鏡装置において、放電ランプの周囲に放出される電磁波による精密機器への影響を抑制するために、画像処理装置と放電ランプとの間に遮蔽板を設置することが開示されている。ところが、上記したように、POCTに対応した検査装置においては、小型化・簡便化が求められていることから、特許文献2に記載される技術を採用すると、これらの要求に逆行することになって好ましくない。
【0008】
【特許文献1】特開2007−225479号
【特許文献2】特開2005−245473号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上から、本発明は、検体の分析を行う検査装置において、装置を小型化するとともに、放電ランプの輝度を高くすることに伴い放電ランプの周囲に発生する電磁波を遮蔽することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記したように、本発明においては、検査装置の小型化、放電ランプから放出される電磁波の低減という課題を解決することを目的としている。
<検査装置の小型化について>
本発明の検査装置において、放電ランプは点灯時に数十kVの高電圧を印加する必要がある。高電圧の放電ランプを収容する光源収容部へのリークを防止するために、光源収容部が放電ランプと絶縁されている必要があるので、光源収容部を金属から構成すると、光源収容部を大きくして放電ランプとの絶縁距離を大きくしなければならない。ところが、上記したように、μ−TASを利用した検査装置においては、小型化・簡便化が要求されており、絶縁距離を確保するために光源収容部を大きくすることはできない。そこで、光源収容部の主要部分である筐体部を絶縁材料で構成することにより、光源収容部が放電ランプに対して比較的小型のものであっても、確実に光源収容部が放電ランプと絶縁された状態にすることができる。すなわち、光源収容部を絶縁材料で構成することにより、光源収容部が放電ランプと絶縁された状態を確保しつつ、光源収容部を小型化することができるので、検査装置を小型化することができる。
【0011】
<電磁波の遮蔽>
上記のように、光源収容部を絶縁材料によって構成すると、光源収容部を金属によって構成した場合と異なり、放電ランプの周囲に放出される電磁波を光源収容部によって遮蔽することができない。従って、放電ランプから放出される電磁波を確実に遮蔽するため、絶縁材料により構成された光源収容部の外部に電磁波を遮蔽する遮蔽機構を設ける。
【0012】
本発明は、上記のような事情に基づいて完成されており、
検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記マイクロチップの検査流体収容部に対し、前記検査流体に光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記遮蔽機構が前記筐体部の外表面に設けられた金属薄膜であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の検査装置は、前記筐体部の外表面における前記金属薄膜が形成された領域を押圧する押圧機構を備えていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記押圧機構がアースに接続されていることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の検査装置は、前記光源収容部の内部に冷却風を供給するための冷却風供給機構を備え、前記光源収容部には、冷却風導入口と冷却風排出口とが形成されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明は、前記光源が、内部に一対の電極及び放電ガスが収容された発光部と、当該発光部の両端に連続する側管部とを備える放電ランプであって、当該放電ランプの中心軸が大地に対して垂直となる姿勢で配置されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明は、前記光源収容部が、前記冷却風導入口が前記放電ランプの鉛直方向の下方側に位置する側管部に対向する位置に、前記冷却風排出口が前記放電ランプの鉛直方向の上方側に位置する側管部に対向する位置に、それぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査装置に係る光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に放電ランプから放射される電磁波を遮蔽する遮蔽機構が設けられているので、光源収容部が放電ランプに対して比較的小型のものであっても、光源収容部が放電ランプと絶縁された状態にすることができ、しかも、筐体部の外部に設けた遮蔽機構により放電ランプの周囲に放出される電磁波を遮蔽することができる。従って、検査装置を小型化することができると共に、精密機器が誤作動するという問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の検査装置の構成の一例を示す斜視図である。
検査装置100は、分析結果を表示する液晶パネル等の表示部120と、分析結果を用紙として出力するための分析結果出力機構101と、マイクロチップを着脱する際に上方側に向けて開閉するマイクロチップ着脱用蓋部102と、放電ランプを収容する光源収容部を着脱する際に上方側に向けて開閉する光源収容部着脱用蓋部103とを備えている。マイクロチップ、放電ランプを交換する際には、ボタン操作等によりそれぞれの蓋部を開放する。
【0021】
図2は、本発明の検査装置の内部構造の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示すA−A´線によって検査装置の一部を切断した断面図を示す。
【0022】
同図に示すように、検査装置100は、内部に放電ランプ1が配置された光源収容部2、光源収容部2の紙面において鉛直方向下方側に隣接して配置された冷却風供給機構3、ランプ電源4、光源収容部2の紙面において鉛直方向下方側に隣接して配置されるイグナイタ5、チップホルダー6(図2には不図示)、マイクロチップ7(図2には不図示)、光源収容部2の側方側に隣接して配置された演算部110、光源収容部2の側方側に隣接して配置された表示部120、光源収容部2の側方側と鉛直方向下方側に隣接して配置された遮蔽板130によって構成されている。
【0023】
図4は、本発明の検査装置に係る吸光光度測定系の概略を模式的に示す概念図である。
検査装置100は、放電ランプ1、放電ランプ1を収容する光源収容部2、光源収容部2に取付けられたレンズ27、検査流体収容部71を備えるマイクロチップ7、マイクロチップ7の検査流体収容部71を透過した光を受光する受光部140、受光部140から出力された光強度信号に基いて検査流体中の検体の濃度を算出する演算部110、及び、演算部110から出力される測定結果を表示する表示部120を備えている。
【0024】
放電ランプ1から出射された光は、レンズ27を透過した後にマイクロチップ7の検査流体収容部71に導入され、検査流体収容部71に充填された検査流体によって減衰した後に受光部140の光入射面に導入される。演算部110は、受光部140に導入された光の強度に基いて検査流体中に含まれる測定対象成分の濃度を算出すると共に、算出した測定対象成分の濃度データを表示部120に送信する。これにより、測定対象成分の濃度が、表示部120に数値データ等により表示される。
【0025】
図5は、マイクロチップの構成の一例を示す概略図である。図5(a)はマイクロチップの斜視図を示し、図5(b)は図5(a)に示すA−A´線によって切断した断面図を示す。図6は、図5(a)に示すマイクロチップ2に適用されるチップホルダの斜視図である。
【0026】
図5(a)に示すマイクロチップ7は、複数の検査流体収容部71が互いに離間して並んで形成されると共に、その外表面に二次元コード72が貼付された多項目検査用のマイクロチップである。多項目検査用のマイクロチップ7は、図5(b)に示すように、遮光性樹脂73の上面および下面にそれぞれ光透過性樹脂74が張り合わされて形成され、マイクロチップ7の検査流体収容部71に垂直に光を透過させて吸光光度法による分析を行うものである。
【0027】
図6に示すように、チップホルダー6は、マイクロチップ7が収容されるチップ収容空間Sを有する樹脂製の箱部61と、マイクロチップ7を所定の場所に位置合わせをして固定する金属製の蓋部62とによって構成されている。蓋部62は、支点63によりヒンジで固定され、マイクロチップ7に貼付された二次元コード72を外部から読み取るためのコードリーダ読み取り窓64とが設けられている。
【0028】
図7は、本発明の検査装置に用いる放電ランプ及び光源収容部の構成の概略を示す図である。図7(a)は光源収容部を斜め上方から見た斜視図、図7(b)は光源収容部を背後から見た図、図7(c)は光源収容部を上方から見た図である。図8は、図7に示すA−A´線により放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。図9は、図7に示すB−B´線により放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。図8、9においては、放電ランプ1の中心軸Xが大地に対して垂直となるように光源収容部2内に放電ランプ1が配置されている状態を示す。図10は、光源収容部及び押圧機構の構成の概略を示す斜視図である。図11は、押圧機構の構成を示す斜視図である。図11(a)は押圧機構を斜め上方から見た斜視図、図11(b)は押圧機構を上方から見た図である。図12は、放電ランプ1の構成の詳細を示す長手方向の断面図である。
【0029】
光源収容部2は、図7に示すように、直方体形状を有する絶縁材料によって構成された筐体部20と、筐体部20の紙面の鉛直方向上方側に設けられた、光源収容部2を着脱する際に把持するための取手部21と、筐体部20の鉛直方向下方側に設けられ光源収容部2を検査装置100に固定すると共に、放電ランプ1をイグナイタ5に対して電気的に接続するための固定機構22とを備えている。
図8、9に示すように、光源収容部2の筐体部20は、側面に放電ランプから出射される光を絞るためのレンズ27が嵌め込まれていることにより形成された光出射部23を備えており、さらに、光源収容部2の内部に冷却風を導入するための冷却風導入口24と、光源収容部2の外部に冷却風を排出するための冷却風排出口25とが、放電ランプ1を効率良く冷却することができるように形成されている。
【0030】
光源収容部2の主要部分を構成する筐体部20は、放電ランプ1と絶縁されていることが必要であり、しかも、上記したように可及的に小型のものを使用するのが好ましいことから、例えば耐熱性の高いPPS樹脂などの絶縁材料によって構成されている。ここにいう「絶縁材料」とは、電気的に絶縁性を有する材料を意味している。また、光源収容部2は、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を遮蔽するために、筐体部20の外表面に対して金属薄膜26よりなる電磁波遮蔽機構が形成されている。金属薄膜26を光源収容部2の外表面に形成するのは、金属薄膜26を筐体部20の内表面に形成した場合には、筐体部20を大型のものにしない限り、筐体部20を放電ランプ1と絶縁状態にすることができないからである。
【0031】
電磁波遮蔽機構となる金属薄膜26は、例えばアルミニウムなどの金属材料を真空蒸着又は導電塗装等の周知の手段によって、筐体部20の外表面に対して形成されている。金属薄膜26の厚みは、例えば0.1μm〜100μm程度であることが好ましい。
【0032】
光源収容部2は、図10に示すように、筐体部20の外表面のうち金属薄膜26が形成された領域が、金属製の鉤状弾性体8のような押圧機構によって押圧されることにより、検査装置100の内部に固定されている。鉤状弾性体8は、例えば、図11に示すように検査装置100に固定するための複数の螺子穴81cを備え、全体として鉤状に形成された接地部81と、当該接地部81に対して垂直方向に連続して伸びる一対の押圧部82とにより構成されている。接地部81は、相対的に全長が短い底板部81aと、底板部81aに対して直交する方向に連続して伸びる相対的に全長が長い底板部81bと、底板部81a、81bのそれぞれに形成された螺子穴81cとにより構成されている。各押圧部82は、各底板部81a、81bに対して垂直方向に連続して伸びる一対の支持板部82a、82bと、各支持板部82a、82bに形成された、光源収容部2の方向へ弧状に湾曲するバネ部82cとにより構成されている。
【0033】
光源収容部2は、図10に示すように、2つの側面が鉤状弾性体8の各押圧部82に当接され、鉤状弾性体8におけるバネ部82cを介して検査装置100の内壁に押圧されることにより、検査装置100内部の所定の場所に位置決めされて固定されている。鉤状弾性体8は、アースに接続されると共に、筐体部20の外表面であって、金属薄膜26が形成された領域に当接するよう配置されている。こうすることにより、筐体部20が鉤状弾性体8を介して接地されるので、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波が筐体部20に形成された金属薄膜26及び鉤状弾性体8を介して放出される。光源収容部2は、電磁波を確実に遮蔽して鉤状弾性体8を介して放出させるため、筐体部20の外表面の全域にわたって金属薄膜26が形成されていることが好ましい。
【0034】
このような鉤状弾性体8は、検査装置100の内部において、光源収容部2を配置した際に、一対の押圧部82の各バネ部82cから生じる反発力により、各バネ部82cを介して筐体部20の2つの側面に対して弾性力が加わるような位置に固定されている。こうすることにより、鉤状弾性体8により筐体部20の側面を押圧することができるので、筐体部20を介して光源収容部2を確実に接地することができると共に、光源収容部2を所定の場所に確実に固定することができる。
【0035】
なお、上記した例によると、筐体部20の金属薄膜26が形成された領域を鉤状弾性体8によって押圧することにより、筐体部20をアースに接続しているが、本発明では必ずしも鉤状弾性体8を設けることは必須ではない。すなわち、図8に示す筐体部20において、金属薄膜26にアース線を接続することもできる。
【0036】
また、筐体部20の外表面に金属薄膜26を設けているのは、放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を逃がすためであるが、本発明は必ずしも筐体部20の外表面に金属薄膜26を設けることは必須ではない。例えば、筐体部20の外表面に貼付した金属箔をアースに接続する等しても良い。
【0037】
放電ランプ1は、図12に示すように、球状の発光部11と発光部11の両端に連続する棒状の側管部12a、12bとよりなり、例えば石英ガラスなどの光透過性材料により構成されるランプ容器10を備え、側管部12a、12bに対してモリブデンよりなる金属箔13a、13bがそれぞれ埋設されることにより気密にシールされた箔シール構造の放電ランプである。
発光部11の内部空間には、その基端部が金属箔13a、13bの先端部に対してそれぞれ接続された陽極14と陰極15とが中心軸X方向において互いに離間して配置されると共に、放電用ガスとして0.5MPa〜2MPa程度のキセノンガスが封入されている。金属箔13a、13bの基端部に対してその先端部がそれぞれ接続された外部リード16a、16bは、その基端部が側管部12a、12bの端部からそれぞれ外方に伸出ている。
【0038】
図8に示すように、放電ランプ1は、光源収容部2の光出射部23に嵌め込まれたレンズ27の近傍に発光部11が位置するように配置され、一方の側管部12aが光源収容部2の導電性の固定機構22の内部に挿入されて固定されると共に、他方の側管部12bから伸出た外部リード16bに対して給電線18が接続されており、当該給電線18を介して光源収容部2のコネクタ28に電気的に接続されている。放電ランプ1は、導電性を有する固定機構22およびコネクタ28を介して、上記のランプ電源4に対して電気的に接続されている。
【0039】
このような放電ランプ1は、図8、9に示すように、光源収容部2の内部において、陽極を鉛直方向の上方側に位置して、その中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で配置されている。このように配置することにより、以下に説明するように、放電ランプが破裂する虞がない。
仮に、放電ランプ1の中心軸Xが大地に対して水平となる姿勢で放電ランプ1を点灯させると、発光部11内における放電ガスの対流が原因となって、一対の電極間に形成される放電アークが発光部11の上方側の内面寄りに偏って形成されることにより、発光部11の上方側のみが局所的に高温状態になり、最悪の場合には発光部11が破裂する虞がある。一方、放電ランプの中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で放電ランプを点灯させることにより、発光部11の一部に偏って放電アークが形成されることがなく、発光部の一部が局所的に高温状態になることが回避されるので、発光部が破裂する虞がない。
【0040】
本発明の検査装置100に用いられる放電ランプは、上記したような放電ガスとしてキセノンガスを用いるものの他、プロジェクターの光源として好適に用いられている、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上になる超高圧水銀ランプ、ショートアーク型メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプなどを用いることができる。特に、上記したキセノンガスを封入した放電ランプを用いると、容易に点光源化することにより輝度を高くすることができ、波長250〜1100nmの広い波長領域において連続スペクトルを有し、特に吸光度測定に用いられる波長領域(具体的には、300〜800nmの波長域)において輝線の発生がなく安定的な放射スペクトルが得られることから、吸光光度測定を精度良く行うことができる。
【0041】
前述したように、本発明の検査装置においては、例えばマイクロチップ7の検査流体収容部71のように、極めて狭い光路に対して光を入射させる必要があり、測定の精度を高くするためには高輝度の放電ランプ1を用いることが望ましい。従って、放電ランプ1の定格電力は、例えば20〜150Wの範囲内であって、特に40〜60Wの範囲内であることが好ましい。
【0042】
図8、9に戻り、光源収容部2の筐体部20に設けられた冷却風導入口24、冷却風排出口25について説明する。筐体部20においては、次のようにして冷却風導入口24および冷却風排出口25が形成されている。筐体部20は、その側面に対して、比較的大面積を占める開口が形成されていると共に、当該開口を覆うように複数の微細な開口を有する金属板を螺子止め等によって固定することにより、金属板の開口によって冷却風導入口24及び冷却風排出口25が形成されている。
【0043】
上記したように、光源収容部2は、放電ランプ1に対して比較的小型のものであり、しかも、筐体部20が絶縁材料によって構成されているので、筐体部20を金属で構成している場合よりも、光源収容部2の内部空間が放電ランプ1の点灯時に高温状態になり易いと考えられる。そして、図12に示す放電ランプ1は、側管部12a、12bが過剰に高温状態になると、側管部12a、12bが破損して気密性が失われる虞があることから、光源収容部2の内部に冷却風を導入して、放電ランプ1の側管部12a、12bを冷却することが望ましい。
【0044】
光源収容部2は、冷却風導入口24が放電ランプ1の陰極側の側管部12aに対向するよう鉛直方向の下方寄りの位置に、冷却風排出口25が放電ランプ1の陽極側の側管部12bに対向するよう鉛直方向の上方寄りの位置に設けられている。すなわち、光源収容部2には、冷却風導入口24及び冷却風排出口25が鉛直方向の上下において互いに離間した位置に形成されている。こうすることにより、光源収容部2の内部に導入された冷却風が、放電ランプ1の各々の側管部12a、12bの近傍を通過することにより、放電ランプ1の点灯時において各々の側管部12a、12bが過剰に高温状態になることが回避される。
【0045】
上記した光源収容部2においては、冷却風導入口24が筐体部20の鉛直方向の下方寄りの位置に形成されていることにより、冷却風導入口24から導入された冷却風が、放電ランプ1の点灯時に高温状態になった発光部11の近傍を通過する際に発光部11によって暖められ、対流により冷却風排出口25から筐体部20の外方へと排出されるため、放電ランプ1を効率良く冷却することができる。
【0046】
上記した筐体部20によると、2つの側面に対して複数の微細な開口を有する金属板よりなる冷却風導入口24及び冷却風排出口25がそれぞれ形成されている。金属板に形成された開口径は、極端に大きすぎると放電ランプ1の周囲に放出される電磁波を遮蔽することができない虞があるため、電波(電磁波)の速度と電磁波の周波数との関係によって適宜に決定されるが、放電ランプに強い衝撃が加えられた場合に放電ランプが破裂する虞があり、放電ランプを構成する石英ガラス等の光透過性材料が飛散することを防止する機能を確保するために、φ1mm〜φ10mm程度とすることが望ましい。
【0047】
本発明の検査装置100におけるその他の構成について、図4を用いてさらに詳細に説明する。
【0048】
受光部140は、マイクロチップ7の検査流体収容部71に充填された検査流体を透過した光を受光して、受光した光に基いて光強度信号を出力する機能を有している。例えば、受光部140は、波長300〜1100nmの波長領域の光に対して感度を有するシリコンフォトダイオードなどの素子が用いられる。
【0049】
演算部110は、受光部140に接続されており、受光部140から出力された光強度信号に基いて、例えばランベルト−ベールの法則により検査流体中における検体成分の濃度を算出する演算機構を有するものである。
【0050】
表示部120は、演算部110から出力された検体成分の濃度に関する分析結果を、例えば数値データ等として表示させる機能を有するものであり、例えば、液晶パネルなどの表示素子によって構成されている。
【0051】
このような本発明の検査装置100においては、放電ランプ1から放射され、光源収容部2に設けられたレンズ27によって平行にされた光が、マイクロチップ7の検査流体収容部71に導入される。検査流体収容部71に導入された光は、検査流体中に含有される検体成分によって一部が吸収され、吸収されなかった一部が受光部140に導入される。そして、受光部140からは、受光した光の平均値が光電変換された電気信号が光強度信号として出力されて演算部110に入力され、これに基いて検査流体中の検体成分の濃度が算出されて、算出された検体成分の濃度が表示部120に表示される。
【0052】
以上のような本発明の検査装置100においては、放電ランプ1を収容する光源収容部2が絶縁材料によって構成されており、しかも、当該光源収容部2の筐体部20の外部に、アースに接続された金属薄膜26からなる遮蔽機構が設けられていることにより、以下に説明する効果を期待することができる。
すなわち、筐体部20を絶縁材料で構成したことにより、放電ランプ1に対して比較的小型の筐体部20を用いた場合であっても、筐体部20を放電ランプ1と絶縁状態にすることができ、しかも、放電ランプ1の点灯時に、放電ランプ1から電磁波が放出されたとしても、アースに接続された金属薄膜26を介して電磁波を逃がすことができるので、検査装置100内部の精密機器(例えば演算部110等)が誤作動を生じるという不具合を確実に回避することができる。
【0053】
また、筐体部20の外表面に対して金属薄膜26からなる遮蔽機構を形成することにより、筐体部20とは別体にて遮蔽機構を設置することに比べると、検査装置100の内部に余分なスペースを設ける必要がないので、検査装置100を小型化することができる。
【0054】
また、筐体部20の外表面であって、金属薄膜26が形成されている領域が、アースに接続された鉤状弾性体8のような押圧機構で押圧されているので、筐体部20の金属薄膜26を確実にアースに接続することができ、また、筐体部20を介して光源収容部2を検査装置100内部の所定の場所に確実に位置決めすることもできる。
【0055】
さらに、冷却風供給機構3を備えると共に、筐体部20に冷却風導入口24及び冷却風排出口25が設けられていることにより、筐体部20が金属材料に比して耐熱性の面で劣る絶縁材料によって構成されていても、筐体部20が溶融することを確実に回避することができる。
【0056】
さらに、放電ランプ1を、その中心軸Xが大地に対して垂直となる姿勢で配置して点灯させることにより、発光部11の一部のみが局所的に高温状態になって破損することを回避することができる。
【0057】
さらにまた、冷却風導入口24が放電ランプ1の鉛直方向の下方側に位置する側管部12aに対向する位置に、冷却風排出口25が放電ランプ1の鉛直方向の上方側に位置する側管部12bに対向する位置にそれぞれ設けられていることにより、放電ランプ1における各々の側管部12a、12bを冷却することができるので、各々の側管部12a、12が過剰に高温状態になることがないので、各々の側管部12a、12bが破損することを回避することができる。
【0058】
なお、本発明の検査装置100は、上記した実施形態に限定されることなく、発明の本質を逸脱することのない範囲において種々の変更を加えることができる。また、チップホルダー6、マイクロチップ7等の形状は、上記の実施形態はあくまで一例に過ぎず、必要に応じて適宜の変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の検査装置に係る実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の検査装置の内部構造の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示すA−A´線によって検査装置の一部を切断した断面図を示す。
【図4】本発明の検査装置に係る吸光光度測定系の概略を示す概念図である。
【図5】マイクロチップの構成を示す斜視図及び一部断面図である。
【図6】チップホルダーの構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の検査装置に用いる放電ランプ及び光源収容部の構成を示す図である。
【図8】図7に示すA−A´線によって光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。
【図9】図7に示すB−B´線によって放電ランプ及び光源収容部を放電ランプの中心軸方向に切断した断面図である。
【図10】光源収容部及び押圧機構の構成の概略を示す斜視図である。
【図11】押圧機構の構成を示す図である。
【図12】放電ランプの構成を示す長手方向の断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 放電ランプ
11 発光部
12a、12b 側管部
13a、13b 金属箔
14 陽極
15 陰極
16a、16b 外部リード
18 給電線
2 光源収容部
20 筐体部
21 取手部
22 固定機構
23 光出射部
24 冷却風導入口
25 冷却風排出口
26 金属薄膜
27 レンズ
28 コネクタ
3 冷却風供給機構
4 ランプ電源
5 イグナイタ
6 チップホルダー
7 マイクロチップ
71 検査流体収容部
8 鉤状弾性体
81 接地部
82 押圧部
100 検査装置
101 分析結果出力機構
102 マイクロチップ着脱用蓋部
103 光源収容部着脱用蓋部
110 演算部
120 表示部
130 遮蔽板
140 受光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記検査流体収容部に対し光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、前記検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記遮蔽機構は、前記筐体部の外表面に設けられた金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査装置は、前記筐体部の外表面における前記金属薄膜が形成された領域を押圧する押圧機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記押圧機構がアースに接続されていることを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査装置は、前記光源収容部の内部に冷却風を供給するための冷却風供給機構を備え、前記光源収容部には、冷却風導入口と冷却風排出口とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記光源は、内部に一対の電極及び放電ガスが収容された発光部と、当該発光部の両端に連続する側管部とを備える放電ランプであって、当該放電ランプの中心軸が大地に対して垂直となる姿勢で配置されていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記光源収容部は、前記冷却風導入口が前記放電ランプの鉛直方向の下方側に位置する側管部に対向する位置に、前記冷却風排出口が前記放電ランプの鉛直方向の上方側に位置する側管部に対向する位置に、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項1】
検査流体が収容される検査流体収容部を備えるマイクロチップと、前記検査流体収容部に対し光を入射させる放電ランプと、当該放電ランプが収容される光源収容部と、前記検査流体収容部から出射した光の強度に基いて検出対象成分の濃度を算出する演算機構とを備える検査装置であって、
前記光源収容部は、絶縁材料よりなる筐体部の外部に、前記光源から放射される電磁波を遮蔽する、アースに接続された遮蔽機構を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記遮蔽機構は、前記筐体部の外表面に設けられた金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査装置は、前記筐体部の外表面における前記金属薄膜が形成された領域を押圧する押圧機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記押圧機構がアースに接続されていることを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査装置は、前記光源収容部の内部に冷却風を供給するための冷却風供給機構を備え、前記光源収容部には、冷却風導入口と冷却風排出口とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記光源は、内部に一対の電極及び放電ガスが収容された発光部と、当該発光部の両端に連続する側管部とを備える放電ランプであって、当該放電ランプの中心軸が大地に対して垂直となる姿勢で配置されていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記光源収容部は、前記冷却風導入口が前記放電ランプの鉛直方向の下方側に位置する側管部に対向する位置に、前記冷却風排出口が前記放電ランプの鉛直方向の上方側に位置する側管部に対向する位置に、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−236568(P2009−236568A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80715(P2008−80715)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
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