説明

楽器の自己診断プログラム

【課題】 ユーザが容易に故障箇所を突き止めることができるようにする。
【解決手段】 互いに接続された複数のユニット間において相互に所定の信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器を診断する際に、単体動作、関連動作、通信経路とをそれぞれ切り分けて自己診断する。単体動作の診断では、個々のユニット単体が正常に動作するか否かを判定する。関連動作の診断では、互いに接続された複数のユニット間において相互に所定の信号を送受信させて各ユニットが所定の信号に従い正常に動作するか否かを判定し、互いに接続された複数のユニットの動作結果から該複数のユニットが関連する他の構成の動作を判定する。通信経路の診断では、接続された個々のユニット間の通信経路が正常に動作するか否かを判定する。このように、単体動作と関連動作、さらには通信経路とを切り分けて自己診断を行うと、ユーザは容易に故障箇所を突き止めることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楽器を構成する各機器毎に機器動作の正常・異常を自己診断する自己診断プログラムに関する。特に、接続されている複数のユニット間で相互に信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器において、複数ユニット間の通信経路診断と各ユニットの動作診断とを切り分けて各機器の自己診断を行うようにした自己診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、楽器を構成する演奏操作子や音源などの各機器毎に動作の正常・異常を診断して当該楽器の故障診断を行う、所謂自己診断機能を有する楽器が知られている。こうしたものの一例を挙げると、例えば下記に示す特許文献1に記載の電子楽器がある。この特許文献1では、電子楽器を構成する各機器のうち音源単体について、そのパラメータに関する自己診断を行う電子楽器について記載されている。
【特許文献1】特許第2830709号公報
【0003】
ところで、演奏操作子として鍵盤を有する楽器(例えば自動ピアノなど)において、例えば鍵盤は各鍵毎に複数のユニットが組み合されて構成されており、各ユニット間において相互に信号を送受信することで、演奏操作子として動作するようになっている。こうした鍵盤などの各種ユニットが組み合されて構成されてなる機器を自己診断する場合には、各ユニット毎に動作の正常・異常を自己診断すると共に、各ユニット間における関連動作の正常・異常に関しても自己診断を行っている。すなわち、各ユニット間で相互に信号を送受信した場合に、各ユニット各々が送受信された信号に対応して適切に動作するかを診断するようになっていた。しかし、従来においては、上述したような複数のユニットの組み合わせからなり、相互に信号を送受信しながら動作する鍵盤などの機器を自己診断した結果として「異常」と判定された場合、各ユニット間における通信経路の異常による信号の送受信が不可能であることに起因する通信異常であるのか、それとも各ユニット個々が信号に応じて動作しないことに起因する動作異常であるのかが全くわからなかった。すなわち、従来の自己診断プログラムでは、各ユニット間における通信経路の診断と各ユニット個々の動作の診断とを分けて診断するといったことが考慮されることなく一連の処理として自己診断を行っており、順次処理される自己診断に伴い正常であるか異常であるかを単に通知するだけであったことから、ユーザは異常と通知されても各ユニット間の通信経路に異常があるのか又はユニット本体の動作に異常があるのか、故障箇所をすぐに把握することが非常に難しかった、いう問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、各ユニット間における信号の通信経路の診断と各ユニットにおける動作の診断とを切り分けて自己診断するようにしたことによって、ユーザが容易に故障箇所を突き止めることのできるようにした楽器の自己診断プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る楽器の自己診断プログラムは、互いに接続された複数のユニット間において、相互に所定の信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器を診断するプログラムであって、前記複数のユニットが単体で正常に動作するかを判定する単体動作判定手段と、互いに接続された複数のユニットの動作結果から該複数のユニットが関連する他の構成の動作を判定する関連動作判定手段とを具える。
また、本発明の好ましい実施例として、さらに、複数のユニット間の通信経路が正常に動作するかを判定する通信経路判定手段を具える。
【0006】
本発明によると、互いに接続された複数のユニット間において相互に所定の信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器を診断する際に、単体動作と、関連動作と、さらには通信経路とをそれぞれ切り分けて自己診断する。すなわち、単体動作の自己診断では、該機器に接続された個々のユニット単体がそれぞれ正常に動作するか否かを判定する。関連動作の自己診断では、互いに接続された複数のユニット間において相互に所定の信号を送受信させて各ユニットが前記所定の信号に従い正常に動作するか否かを判定し、互いに接続された複数のユニットの動作結果から該複数のユニットが関連する他の構成の動作を判定する。さらに、通信経路の自己診断では、楽器を構成する所定の機器に接続された個々のユニット間の通信経路が正常に動作するか否かを判定する。このように、複数のユニット間で相互に信号を送受信しながら動作する各機器の正常・異常を自己診断する際に、各機器に接続されている各ユニットの単体動作診断と関連動作診断、さらには複数のユニット間の通信経路診断とを切り分けて自己診断を行うようにしたことから、ユーザは容易に故障箇所を突き止めることができるようになる。
【0007】
本発明の請求項3に係る鍵盤楽器は、操作子と、該操作子の動作に応答して動作する打弦機構又は止音機構を含む発音制御部と、前記操作子を駆動する駆動手段と、前記操作子の動作を検出する第1のセンサと、前記打弦機構又は止音機構の動作を検出する第2のセンサと、前記駆動手段を駆動する駆動制御手段と、前記駆動手段を駆動したときの前記第1のセンサと第2のセンサの出力の関係から前記発音制御部の製調の良否を判定する判定手段とを具える。これによると、操作子の動作に応答して動作する打弦機構又は止音機構を含む発音制御部における製調の良否を、前記操作子を駆動する駆動手段を駆動した際の前記第1のセンサと第2のセンサの出力関係により簡単に判定することができるようになり有利である。
【0008】
本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるのみならず、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することができる。また、本発明は装置の発明として構成し実施することができるし、さらに方法の発明として構成し実施することもできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数のユニット間で相互に信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器において、各ユニット間における信号の通信経路の診断と各ユニットにおける動作の診断とを切り分けて自己診断するようにしたことから、ユーザは各ユニット間における通信経路又は各ユニット個々の動作のいずれに故障箇所があるのかを容易に特定することができるようになる、という効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る自己診断プログラムを適用した自動ピアノの全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。この実施の形態においては、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)、とランダムアクセスメモリ(RAM)3、記憶部5、設定操作部6、表示部7、音源部8、電源部9等を含んでなるコントロールユニットXの制御の下に、演奏操作子4を構成する各機器(キーセンサユニット4a、ハンマセンサユニット4b、キードライブユニット4c、消音ユニット4d、ラウドペダルユニット4e、ソフトペダルユニット4f)毎に機器動作の正常・異常を自己診断する自己診断プログラム(後述する図3〜図8参照)などの各種処理が実行されるようになっている。CPU1、ROM2、RAM3からなるマイクロコンピュータは、この自動ピアノ全体の動作を制御するものである。このCPU1に対しては通信バス1D(例えばデータ及びアドレスバス)を介して、ROM2、RAM3、演奏操作子4、記憶部5、設定操作部6、表示部7、音源部8、電源部9がそれぞれ接続されている。ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定の制御プログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中の制御プログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
【0012】
演奏操作子4は楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤やペダル等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4(鍵盤等)はユーザによる手弾き演奏のために使用できるのは勿論のこと、演奏時に用いる音色や演奏テンポなどの演奏条件等の各種設定を入力するための入力手段として使用することもできる。この演奏操作子4の操作に応じて、楽音は発生される。ここで、演奏操作子4(鍵盤等)の具体的なハード構成について、図2を用いて簡単に説明する。図2は、演奏操作子4(鍵盤等)のハード構成の一実施例を示す概念図である。
【0013】
この図2から理解できるように、鍵盤は、鍵Aの動作をハンマBに伝達するアクションメカニズムCと、ハンマBによって打弦される弦Dと、鍵Aを駆動するソレノイドEと、弦Dの振動を止めるためのダンパFとを具えて構成されている。この明細書においては、これら鍵の動作に応答して動作する打弦機構又は止音機構の機械的な動作に応じて発音を制御する機構をキードライブユニット4cと呼ぶ。また、自動ピアノにおいては、図示しない記録メディアあるいはリアルタイム通信装置から供給される演奏データに基づいて、鍵Aの軌道データを生成すると共に該軌道データを用いて鍵Aの原速度指示値(t、Vr)を生成するピアノコントローラ10と、供給された原速度指示値(t、Vr)に基づいて、各時刻における鍵Aの位置に対応した速度指示値Vrを生成し出力するモーションコントローラ11と、速度指示値Vrに応じた励磁電流をソレノイドEに供給すると共に、ソレノイドEから供給されるフィードバック信号としての出力速度Vyと速度指示値Vrとを比較し、両者が一致するようにサーボ制御を行うサーボコントローラ12と、を具えて構成されている。
【0014】
更に、自動ピアノは、上下方向に所定距離だけ隔てて設けられている2組のフォトセンサSFからなる鍵の位置及び速度を検出するためのキーセンサユニット4aと、鍵の駆動(押鍵又は離鍵)に応じて動作するハンマの位置及び速度を検出するハンマセンサユニット4bと、を具えて構成されている。前記ハンマセンサユニット4bは、鍵Aの下面に取り付けられた板状のハンマシャッタGと、打弦速度を計測するためのセンサHとを含んで構成されており、センサHの出力信号に基づいてハンマシャッタGの移動速度を計測することにより、ハンマBの速度、すなわち打弦速度(発音速度)を計測し、また、ハンマシャッタGがセンサHを通過開始する時刻を打弦時刻(発音時刻)として検出する。ここで、本自動ピアノは消音演奏を行うことを可能とした消音ユニット4dを有する。この消音ユニット4dは、ハンマBが打弦する直前にハンマBの回動を阻止する構成を有するものである。具体的には、ハンマシャンクの回動を阻止するストッパ(図示せず)を設けるものである。そして、通常演奏時には、このストッパをハンマBの回動を阻止しない位置に配置し、消音演奏時にはこのストッパをハンマBの回動を阻止する位置に配置するものである。このようなストッパを有する消音機構は公知のものを使用すればよく、その詳細構成についての説明は省略する。
【0015】
上記したような鍵盤を構成する複数のユニット(キーセンサユニット4a、ハンマセンサユニット4b、キードライブユニット4c、消音ユニット4d等)は互いに通信経路で結ばれており、これらのユニット間において相互に所定の信号を送受信すると共に、アクションメカニズムに従い鍵Aの動作を正しくハンマBに伝達することなどによって、鍵盤型の演奏操作子として正常に動作するようになっている。また、図2に示すように、こうした鍵盤は各ペダル4e(又は4f)と互いに通信経路で結ばれており、鍵盤と各ペダル間において相互に所定の信号を送受信することによってペダル操作による楽音制御を行うことができるようにもなっている。すなわち、位置センサIによりペダル操作に応じたペダル位置を検出し、これに応じて発生された検出信号によって、鍵盤操作に応じて発生された信号に基づく楽音を制御するようにしている。さらに、前記サーボコントローラ12によるサーボ制御に従って、各ペダル4e(又は4f)を所定位置まで動作させるペダルアクチュエータJを含む。
【0016】
図1の説明に戻って、記憶部5は例えば自己診断時に各種装置の動作チェック等に用いられる演奏データなどの各種信号、自己診断プログラムなどのCPU1が実行する各種の制御プログラム等を記憶する。前記ROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶部5に制御プログラムを記憶させておき、それを前記RAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行えることから、例えば当該自動ピアノにおける機器構成や各機器内のユニット構成などが変更された場合であっても、対応する自己診断プログラムに書き換えることが容易になる。詳しくは後述するが(図3参照)、本発明に係る自己診断プログラムはユニット毎に対応した個々の診断プログラムを段階的に構成してなるものであり、ユニット変更が行われた場合などには自己診断プログラム全体の書き換えを行うことなく、対応する診断プログラムのみを書き換えることができるようにしている。なお、記憶部5はハードディスクに限らず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Diskの略)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶メディアを利用する記憶装置であってもよい。あるいは、半導体メモリなどであってもよい。
【0017】
設定操作子6は、自己診断プログラムの起動を指示するボタン、あるいは自己診断時に用いる各種信号(演奏信号等)パターンを選択するスイッチ、などの各種操作子である。勿論、設定操作子6としては上記した以外にも、音高、音色、効果等を選択・設定・制御するために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいは操作量に応じたピッチベンド値を設定することのできるピッチベンドホイールやスライダーなどの各種操作子を含んでいてよい。設定操作子6の各操作子の操作状態が検出されると、その操作状態に応じたスイッチ情報が通信バス1Dを介してCPU1に出力される。表示部7は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイであって、自己診断プログラムの処理状態、各機器や各ユニット毎の自己診断結果、あるいはCPU1の制御状態などを表示する。
【0018】
音源部8は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、通信バス1Dを経由して与えられた演奏信号又はユーザによる演奏操作子4の操作に応じて発生された演奏信号を入力し、これらに基づいて楽音信号を発生する。音源部8から発生された楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム8Aに与えられて発音される。なお、効果回路(図示せず)を音源部8とサウンドシステム8Aとの間に配置して前記音源部8から発生された楽音信号に対して各種効果を与えるようにしてもよい。前記音源部8とサウンドシステム8A(更に効果回路)の構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源部8はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。電源部9は、上記自動ピアノを構成する各機器・各ユニットに対して電圧・電流を供給する電源である。
【0019】
なお、この発明に係る自己診断プログラムを適用する楽器としては、上述したような自動ピアノのような演奏操作子4が鍵盤楽器の形態であるものに限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、自動ピアノは演奏操作子4、記憶部5、設定操作子6、表示部7あるいは音源部8などを1つの自動ピアノ本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信インタフェースを用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。
【0020】
上記した自動ピアノにおいては、該自動ピアノを構成する各機器毎に機器動作の正常・異常を自己診断することによって、異常のある機器を検出することができるようになっている。ここで、上述したように例えば鍵盤は複数のユニットを組み合わせて構成されているものであって、該鍵盤を構成する複数のユニットは互いに通信経路により接続されており、これらのユニット間において相互に所定の信号を送受信することによって演奏操作子として操作に応じた楽音制御を発する動作を行うようになっている。また、鍵盤は各ペダルと互いに通信経路により接続されており、該鍵盤とペダル間において相互に所定の信号を送受信することによって、ペダルについても演奏操作子として操作に応じた楽音制御を発する動作を行うことができる。このような鍵盤やペダルが演奏操作子として正常に動作するか否かは、単にそれらを構成する各ユニットが単体で正常に動作するか否かを診断するだけでなく、各ユニット間において相互に所定の信号を送受信した場合にも正しく動作するか否かを診断しなければならない。そこで、こうした処理を行う自己診断プログラムについて説明する。ただし、ここでは説明を理解し易くするために、鍵盤及びペダルなどの演奏操作子(ピアノユニット)が正しく動作するか否かを診断する自己診断プログラムを例に説明する。図3は、ピアノユニット用の自己診断プログラムの構造を示すブロック図である。
【0021】
図3に示すように、この実施例に示す自己診断プログラムは複数の診断プログラムが階層的に実行される階層構造となっており、この階層はピアノユニットの構成によって変わる。上位の診断プログラムは、下位の診断プログラムの結果のみを取得することができるように所定の信号を送受信するための通信経路を有する。例えば最上位のピアノユニット診断プログラムPは、センサ診断プログラムP1、キー診断プログラムP2、ペダル診断プログラムP3、消音単体診断プログラムP4aの結果を取得することができるように、これらの各プログラムは所定の信号を送受信する通信手段で結ばれている。センサ診断プログラムP1、キー診断プログラムP2、ペダル診断プログラムP3は、それぞれ下位の診断プログラムを有しており、これらの各診断プログラムの結果を取得することができるように通信手段で結ばれている。最下位の診断プログラムとしては、鍵盤やペダルを構成する各ユニット(ハードウェア)を独立して診断するための単体診断プログラムが各ユニット毎にそれぞれ割り当てられており、これらの単体診断プログラムでは個々のユニット単体の自己診断が行われる。例えば、キーセンサ単体診断プログラムP1aはキーセンサユニット4a単体の自己診断を、ハンマセンサ単体診断プログラムP1bはハンマセンサユニット4b単体の自己診断をそれぞれ実行する。キードライブ単体診断プログラムP2aは、キードライブユニット4c単体の自己診断を実行する。消音単体診断プログラムP4aは、消音ユニット4dの自己診断を行う。ラウドペダル単体診断プログラムP3aはラウドペダルユニット4eの自己診断を、ソフトペダル単体診断プログラムP3bはソフトペダルユニット4fの自己診断をそれぞれ実行する。
【0022】
キーセンサ単体診断プログラムP1a及びハンマセンサ単体診断プログラムP1bの上位のセンサ診断プログラムP1では、前記各単体診断プログラムの結果を取得して正常・異常を判定すると共に、キーセンサユニット4a及びハンマセンサユニット4b間における関連動作の正常・異常を判定する自己診断を実行する。同様に、ラウドペダル単体診断プログラムP3a及びソフトペダル単体診断プログラムP3bの上位のペダル診断プログラムP3では、前記各単体診断プログラムの結果を取得して正常・異常を判定すると共に、ラウドペダルユニット4e及びソフトペダルユニット4f間における関連動作の正常・異常を判定する自己診断を実行する。さらに、最上位のピアノユニット診断プログラムPでは、センサ診断プログラムP1、キー診断プログラムP2、ペダル診断プログラムP3、消音単体診断プログラムP4aから結果を取得すると共に、各ユニット間における関連動作の正常・異常を判定する自己診断を実行する。こうした段階的な構造をもつ自己診断プログラムについての詳細な説明は後述する(図4〜図8参照)ことから、ここでの詳しい説明は省略する。
【0023】
次に、上述したような演奏操作子(ピアノユニット)全体の自己診断を行う階層的な構造をもつ自己診断プログラムの具体的な実施例について、図4〜図8を用いて説明する。図4は、ピアノユニット全体を診断する自己診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。ただし、以下の説明においてユニットとはハードウェアだけでなくプログラムなどのソフトウェアを含む構造上の概念である。
【0024】
この実施例に示す自己診断プログラム(ピアノユニット診断プログラム)では、まず接続されている各ユニット(ここではセンサ診断プログラムP1、キー診断プログラムP2、ペダル診断プログラムP3、消音単体診断プログラムP4a)から結果を取得するための通信経路についての自己診断を行う。すなわち、ステップS1では、センサ制御診断プログラムP1との通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。ステップS2では、ペダル診断プログラムP3との通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。ステップS3では、キー診断プログラムP2との通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。ステップS4では、消音単体診断プログラムP4aとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。上記各ユニットとの通信診断において、通信ができずに「OK(正常)」と判定されなかった場合には(ステップS1〜ステップS4のいずれかがNO)、「通信異常」(ステップS13)を通知して当該処理を終了する。
【0025】
各ユニットとの通信経路についての自己診断を行い、全て「OK(正常)」であった場合には(ステップS1〜ステップS4の全てがYES)、該各ユニットについて単体動作の自己診断を行う(ステップS5)。ここで実行される単体動作の自己診断は、センサ診断プログラムP1、ペダル診断制プログラムP3、キー診断プログラムP2の各ユニット毎に実行される。すなわち、各ユニット毎に対応する異なる自己診断プログラムが同時あるいは順次に起動される。これらの各ユニットで実行する自己診断プログラムについては後述する(図5〜図7参照)。ステップS6では、単体動作チェックにおいてエラーがないか否かを判定する。詳しくは後述するが、上記の単体動作チェックにおいても該ユニットが複数ユニット間で相互に信号を通信して動作するタイプのユニットである場合には通信診断、単体動作診断、関連動作診断を行い、各診断結果にあわせて通信異常、単体動作異常、関連動作異常、正常のいずれかが通知される。単体動作チェックの結果としてチェックエラーなし、つまり全て「正常」の通知を受け取った場合には(ステップS6のYES)、関連動作チェックを実行する。
【0026】
関連動作チェックとしては、まず「キードライブ・スケール打鍵チェック処理」(ステップS7)を行う。この処理についての詳細な動作については後述することから(図8参照)、ここでの説明を省略する。キードライブ・スケール打鍵チェックの結果としてチェックエラーなし、つまり全て「正常」の通知を受け取った場合には(ステップS8のYES)、さらに関連動作チェックとして、消音モードをオンする信号を与えた後、キードライブで1キーを打たせて、それに伴いハンマーの位置が弦まで到達しないかを判定する(ステップS9)。あるいは、消音モードをオフする信号を与えた後、キードライブで1キーを打たせて、それに伴いハンマーの位置が弦まで到達するかを判定する(ステップS10)。こうした関連動作が正常である場合には(ステップS8及びステップS9及びステップS10が全てYES)、「正常」を通知する(ステップS11)。一方、消音モードに関する上記関連動作に異常がある場合には(ステップS9またはステップS10のいずれかがNO)、「消音ユニット異常」などの消音ユニットに異常がある旨を通知する(ステップS12)。このように、鍵盤やペダルなどは複数のユニットが相互に信号を通信することによって演奏操作子として動作するものであることから、各ユニット間の通信診断、各ユニットの単体動作診断、関連動作診断を順次に行うことにより、異常があった際に異常箇所を特定し易くしている。
【0027】
次に、上記したピアノユニット診断プログラムP1の下位の診断プログラムについて順次に説明する。まず、センサ診断プログラムP1について、図5を用いて説明する。図5は、センサ診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS21では、キーセンサ単体診断プログラムP1aとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。ステップS22では、ハンマセンサ単体診断プログラムP1bとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。上記各ユニットとの通信経路についての自己診断において、通信ができずに「OK(正常)」と判定されなかった場合には(ステップS21及びステップS22のいずれかがNO)、通信異常(ステップS30)を通知して当該処理を終了する。各ユニットとの通信経路についての自己診断を行い、全て「OK(正常)」であった場合には、該各ユニットについて単体動作の自己診断を行う(ステップS23)。すなわち、キーセンサ単体診断プログラムP1a及びハンマセンサ単体診断プログラムP1bが実行される。これらの各単体診断プログラムでは、例えば電源部9から必要な電圧が供給されているか、LEDを点灯して電圧(AD)値が0でないことなどをチェックする。こうした単体診断プログラムについては公知であることから、ここでの詳しい説明を省略する。単体動作の自己診断の結果、チェックエラーありと判定された場合には(ステップS24のNO)、「単体動作異常」(ステップS29)を通知して当該処理を終了する。チェックエラーなしと判定された場合には(ステップS24のYES)、関連動作チェックを行う(ステップS25)。関連動作チェックとしては、例えば供給された電圧でLEDが発光され、鍵の位置に応じたキーセンサユニット及びハンマセンサユニットの各センサからの電圧値をチェックする、キーセンサ及びハンマセンサのLEDの電流値を変更し、鍵の位置の電圧値に反映されているかをチェックする、などが行われる。ここで実行される関連動作チェックとしては、キーセンサユニット4a及びハンマセンサユニット4bの各センサ(2組のフォトセンサSF、打弦速度を計測するためのセンサH)からの電圧値をチェックすることに応じて、該チェック結果に応じて鍵Aの動作が正しくハンマBに伝達されているか、すなわち鍵AとハンマBの動作結果から、これらを互いに接続し鍵Aの動作をハンマBに伝達するアクションメカニズム3が機械的に正常に動作しているか否かを判定する。関連動作チェックエラーありと判定された場合には(ステップS26のNO)、「関連動作異常」(ステップS28)を通知して当該処理を終了する。関連動作チェックエラーなしと判定された場合には(ステップS26のYES)、「正常」(ステップS27)を通知する。
【0029】
次に、キーセンサ診断プログラムP2について、図6を用いて説明する。図6は、キーセンサ診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
ステップS31では、キードライブ単体診断プログラムP2aとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。上記通信診断において、通信ができずに「OK(正常)」と判定されなかった場合には(ステップS31のNO)、「通信異常」(ステップS36)を通知して当該処理を終了する。「OK(正常)」であった場合には、該各ユニットについて単体動作の自己診断を行う(ステップS32)。ここではキードライブ単体診断プログラムP2aが実行され、例えば電源部9からソレノイドを駆動するために必要な量の電圧が供給されているかなどがチェックされる。こうした単体診断プログラムについては公知であることから、ここでの詳しい説明を省略する。単体動作の自己診断の結果、チェックエラーありと判定された場合には(ステップS33のNO)、「単体動作異常」(ステップS35)を通知して当該処理を終了する。チェックエラーなしと判定された場合には(ステップS34のYES)、「正常」(ステップS34)を通知する。なお、この処理においては該キー診断プログラムP2の下位においてユニット間で所定の信号を送受信して動作することがないので、関連動作チェックを行わなくてよい。
【0030】
次に、ペダル診断プログラムP3について、図7を用いて説明する。図7は、ペダル診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
ステップS41では、ラウドペダル単体診断プログラムP3aとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。ステップS42では、ソフトペダル単体診断プログラムP3bとの通信経路の自己診断を行い、該通信診断の結果が「OK(正常)」であるか否かを判定する。上記各ユニットとの通信診断において、通信ができずに「OK(正常)」と判定されなかった場合には(ステップS41及びステップS42のいずれかがNO)、「通信異常」(ステップS50)を通知して当該処理を終了する。各ユニットとの通信診断についての自己診断を行い、全て「OK(正常)」であった場合には、該各ユニットについて単体動作の自己診断を行う(ステップS43)。ここではラウドペダル単体診断プログラムP3a及びソフトペダル単体診断プログラムP3bがそれぞれ実行され、例えば電源部9から必要な電圧が供給されているかなどがチェックされる。こうした単体診断プログラムについては公知であることから、ここでの詳しい説明を省略する。単体動作の自己診断の結果、チェックエラーありと判定された場合には(ステップS44のNO)、「単体動作異常」(ステップS49)を通知して当該処理を終了する。チェックエラーなしと判定された場合には(ステップS44のYES)、関連動作チェックを行う(ステップS45)。関連動作チェックエラーありと判定された場合には(ステップS46のNO)、「関連動作異常」(ステップS48)を通知して当該処理を終了する。関連動作チェックエラーなしと判定された場合には(ステップS46のYES)、「正常」(ステップS47)を通知する。
【0031】
次に、キードライブ・スケール打鍵チェック処理(図4のステップS7参照)について、図8を用いて説明する。図8は、キードライブ・スケール打鍵チェック処理の一実施例を示すフローチャートである。該処理はピアノコントローラ10から供給された原速度指示値(t、Vr)に基づき、実際に鍵Aを1つずつ自動的に打鍵させる制御を行い、該制御に応じて実際に駆動された鍵A及びハンマBが正しい動作を行うことができたか否かを判定する処理である。
【0032】
ステップS51では、押鍵イベントはOKか否かを判定する。すなわち、ピアノコントローラ10から供給された原速度指示値(t、Vr)に基づき、サーボコントローラ12がモーションコントローラ11から出力された各時刻における鍵Aの位置に対応した速度指示値Vrに応じた励磁電流をソレノイドEに供給することによって鍵Aを駆動し、該鍵Aの駆動に応じた押鍵イベントが出力されたか否かを判定する。押鍵イベントがOK、つまり正しく出力されている場合には(ステップS51のYES)、ハンマセンサイベントはOKであるか否かを判定する(ステップS52)。すなわち、ハンマセンサHから該鍵Aの駆動に伴って動作するハンマBの駆動に応じたハンマセンサイベントが出力されたか否かを判定する。ハンマセンサイベントがOK、つまり正しく出力されている場合には(ステップS52のYES)、キードライブユニット4cの全てが正常に動作し、さらにセンサユニット4bが該動作を正しくセンシングしているものとして「正常」を通知する(ステップS53)。ハンマセンサがOKでない、つまり正しく出力されていない場合には(ステップS54のNO)、ハンマセンサHが「異常」であることを通知する(ステップS54)。他方、上記ステップS51において、押鍵イベントがOKでない、つまり正しく出力されていない場合には(ステップS51のNO)、フォトセンサSFにより打鍵に応じたイベントが発生されているか否かを判定する(ステップS55)。フォトセンサSFにより打鍵に応じたイベントが発生されている場合には(ステップS55のYES)、「キードライブ異常」を通知する(ステップS56)。すなわち、この場合には、サーボコントローラ12がソレノイドEから供給されるフィードバック信号としての出力速度Vyと速度指示値Vrとを比較して両者が一致するようにサーボ制御を行っていないものとして、「キードライブ異常」を通知する。フォトセンサSFにより打鍵に応じたイベントが発生されていない場合には(ステップS56のNO)、「キーセンサ異常」を通知する(ステップS57)。
【0033】
上述したように、自己診断プログラムを通信経路の自己診断と、各ユニットの単体動作の自己診断と、各ユニット間における関連動作の自己診断と分けて順次に実行するようにしたので、自己診断に伴い正常であるか異常であるかを異常箇所毎に分けて通知することができ、これによりユーザは異常と通知された場合に各ユニット間の通信経路に異常があるのか、ユニット本体の動作に異常があるのか、あるいは複数のユニットが関連する他の構成の動作に異常があるのかなど、故障箇所をすぐに把握することが容易にできるようになる。また、こうした自己診断プログラムを、例えばハード的なユニット構成にあわせて段階的な構造としたことから、システムの拡張などに対応し易く有利である。
【0034】
なお、上述の実施例においては自己診断する対象として鍵盤及びペダルを含む演奏操作子4(ピアノユニット)を用いた例を示したがこれに限らず、設定操作子6、表示部7、音源部8等の複数のユニットが組み合されて構成されているものであればどのようなものであってもよいことは言うまでもない。
なお、上記した「ピアノユニット診断プログラム」(図4参照)における関連動作チェックは一例であって、これに限られない。また、キーセンサ異常やキードライブ異常を判断する「キードライブ・スケール打鍵チェック処理」(図4のステップS7参照)を、別途「センサ診断プログラム」(後述する図5参照)や「キー診断プログラム」(後述する図6参照)で実行する異常判断処理として加えてもよい。こうした場合には、より動作チェックを確実に行うことができることから有利である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明に係る自己診断プログラムを適用した自動ピアノの全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】演奏操作子のハード構成の一実施例を示す概念図である。
【図3】ピアノユニット用の自己診断プログラムの構造を示すブロック図である。
【図4】ピアノユニット全体を診断する自己診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
【図5】センサ診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
【図6】キーセンサ診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
【図7】ペダル診断プログラムの一実施例を示すフローチャートである。
【図8】キードライブ・スケール打鍵チェック処理の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…演奏操作子(ピアノユニット)、4a…キーセンサユニット、4b…ハンマセンサユニット、4c…キードライブユニット、4d…消音ユニット、4e…ラウドペダルユニット、4f…ソフトペダルユニット、5…記憶部、6…設定操作子、7…表示部、8…音源部、8A…サウンドシステム、9…電源部、1D…通信バス、P…ピアノユニット診断プログラム、P1…センサ診断プログラム、P2…キー診断プログラム、P3…ペダル診断プログラム、P1a…キーセンサ単体診断プログラム、P1b…ハンマセンサ単体診断プログラム、P2a…キードライブ単体診断プログラム、P3a…ラウドペダル単体診断プログラム、P3b…ソフトペダル単体診断プログラム、P4a…消音単体診断プログラム、A…鍵、B…ハンマ、C…アクションメカニズム、D…弦、E…ソレノイド、F…ダンパ、G…ハンマシャッタ、H…打弦速度を計測するためのセンサ(ハンマセンサ)、I…位置センサI、J…ペダルアクチュエータ、10…ピアノコントローラ、11…モーションコントローラ、12…サーボコントローラ、SF…フォトセンサ、X…コントロールユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された複数のユニット間において、相互に所定の信号を送受信しながら動作する機器を具えた楽器を診断するプログラムであって、
前記複数のユニットが単体で正常に動作するかを判定する単体動作判定手段と、
互いに接続された複数のユニットの動作結果から該複数のユニットが関連する他の構成の動作を判定する関連動作判定手段と
を具える自己診断プログラム。
【請求項2】
さらに、複数のユニット間の通信経路が正常に動作するかを判定する通信経路判定手段を具えた請求項1に記載の自己診断プログラム。
【請求項3】
操作子と、
該操作子の動作に応答して動作する打弦機構又は止音機構を含む発音制御部と、
前記操作子を駆動する駆動手段と、
前記操作子の動作を検出する第1のセンサと、
前記打弦機構又は止音機構の動作を検出する第2のセンサと、
前記駆動手段を駆動する駆動制御手段と、
前記駆動手段を駆動したときの前記第1のセンサと第2のセンサの出力の関係から前記発音制御部の製調の良否を判定する判定手段と
を具えた鍵盤楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−47833(P2006−47833A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230959(P2004−230959)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】