説明

構造体の設置構造

【課題】フーチングの上面を利用してバスルームユニット等の構造体を設置する汎用性を備えた構造を提供すること。
【解決手段】相対位置に配置されるフーチング20の上面側に起立部21が設けられた布基礎11にバスルームユニット10等の構造体を設置する構造であり、前記フーチング20の上面側に支持体12を構成するスペーサ30及び受け材31が配置されている。受け材31には、ブラケット40が係合支持されており、相対するブラケット40間に設置部41が掛け渡されている。バスルームユニット10の下端には、脚部材14が設けられており、これらの脚部材14を設置部41に設置させることで、バスルームユニット10を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造体の設置構造に係り、更に詳しくは、建物内におけるバスルーム、シャワールーム或いは洗面室等のルームユニットや、床材、床下収納室等を構造体とした設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バスルーム等のルームユニットのリフォーム工事等を行う場合には、ルームユニットの脚部材を支持するための土台が必要となるため、既存の浴室等を解体した後にガラ(建設廃棄物)や残土等を搬出し、その後、土間コンクリートが打設される。この場合には、ガラの廃棄処理が必要になるとともに、土間コンクリートが乾燥するまで一定の日数を要して工期が長くなり、また、土間コンクリートの下が充分な転圧ができずに沈下を招く場合がある、という不都合がある。 一方、土間コンクリートの打設を必要とせず、また、ガラ等の搬出量を抑えることができるものとして、大引等の土台に架けた架台上にルームユニットを設置する構成が知られている(特許文献1,2参照)。
ここで、特許文献1は、バスユニットの底部側に梁材を備えた脚部を設ける一方、コンクリート製布基礎の上端に角柱木材からなる土台を固定するとともに、当該土台の側面にブロック状の調整材を設け、この調整材に前記梁材の両端部に設けられた梁受け材を係止させることでバスユニットを吊持する構造が開示されている。
この一方、特許文献2は、布基礎上に配置された大引の上端面に略L字状のブラケットを係合させるとともに、これらブラケットの下部相互間に架台を掛け渡して当該架台に構造体としての浴槽を設置する構造が開示されている。
【特許文献1】特開2000−179170号公報
【特許文献2】実開平5−41493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された構造にあっては、前記調整材が土台の側面に固定されているだけであり、バスユニットを支持することによって調整材に加えられる鉛直下向き荷重に対し十分な強度維持を図ることができない、という不都合がある。また、調整材を土台に固定する構造であるため、前記土台の長手方向若しくは延出方向に沿って調整材を複数固定する際に、各調整材の上面位置を同一平面に保つことに熟練を要する、という不都合もある。
【0004】
また、特許文献2に記載された構造にあっては、大引の上端面にブラケットを係合させるものであるため、大引上にコンクリートブロック等が存在している場合のリフォーム工事に際しては、前記ブラケットを係合させる領域を確保できない、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、土間コンクリートの打設を必要とせず、ガラ等の搬出量を抑えることができることに加え、フーチング等のベース上面側領域を利用して支持体を配置することで、鉛直下向き荷重に対する耐荷重性能を向上させることができ、また、布基礎の上端側にコンクリートブロック等が存在していても、当該コンクリートブロック等の存在が障害になることなく構造体を設置することができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、略水平面内の相対位置に配置されるベースと、これらベースの上面から起立する起立部とを有する基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記ベースの上面側に支持体を設置して当該支持体に前記構造体を支持させる、という構成を採っている。
【0007】
また、本発明は、相対位置に配置されるフーチングと、これらフーチングの上面から起立する起立部とを有する布基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記フーチングの上面側に支持体を設置して当該支持体に前記構造体を支持させる、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記支持体は前記起立部の側面に接する領域を備えたものを採用することが好ましい。
【0009】
また、前記支持体は前記起立部と前記構造体との間に挟まれるように設けることができる。
【0010】
更に、前記支持体は前記構造体の重量によって固定位置に保たれるように設けるとよい。
【0011】
また、前記支持体は少なくともフーチングに固定される、という構成を採ることが好ましい。
【0012】
更に、本発明は、相対位置に配置されるフーチングと、これらフーチングの上面から起立する起立部とを有する布基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記フーチングの上面側に設置されて前記起立部の内面側に位置する高さ調整可能な支持体と、この支持体に支持される吊架部材とを含み、 前記吊架部材にルームユニットを支持させる、という構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベース若しくはフーチングの上面側に支持体を設置し、当該支持体に構造体を支持させるものであるため、支持体に加えられる上方からの荷重に対して十分に耐え得る構造となり、また、ベース若しくはフーチングの上面側にコンクリートブロック等が存在していても、当該コンクリートブロック等が障害になることなく構造体を設置することができる。従って、既存の構造体を交換或いは別途の改修を行う場合における新たな構造体の設置も難なく行うことが可能となる。更に、支持体が高さ調整可能である構成を採用することにより、構造体に水平精度が要求される場合の対応を精度良く行うことができる。
【0014】
また、支持体が起立部の側面に接する領域を備えた構成であれば、当該領域と起立部との間を接着等の手段で付加的に固定することも可能となる。
【0015】
更に、支持体が起立部と構造体との間に挟まれる構成を採用した場合には、支持体と起立部とを接着等の手段で固定しなくても支持体の位置を安定して保つことができる。
【0016】
なお、支持体がフーチングに接着等の手段で固定される構成であれば、構造体の設置作業に際して、支持体が不用意に位置ずれしてしまうような不都合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1には、本実施形態に係る構造体の設置構造の概略正面図が示され、図2には、その側面図が示されている。これらの図において、構造体としてのバスルームユニット10は、基礎を構成する布基礎11に支持体12及び吊架部材としての吊架台13を介して支持されている。ここで、バスルームユニット10は、その下面側に不陸調整機能を有する脚部材14を備えて構成されている。
【0019】
前記布基礎11は、略水平面内において、相対位置に配置されるベースとしてのフーチング20と、これらフーチング20の上面から起立する起立部21とにより構成されている。起立部21の上端面には大引23が配置されているとともに、当該大引23上には壁体24が形成されている。
【0020】
前記フーチング20は、図1中左右幅方向に対して同図中紙面直交方向に沿って長い板状をなし、平面視で略閉ループ状に連続する状態に設けられている。従って、フーチング20は、平面視で四辺方向に存在することになる。また、起立部21は、フーチング20の幅方向寸法よりも小さい厚みであって、フーチング20の上面中央部から立ち上がるとともに、フーチング20の延出方向に沿って連続して閉ループをなす壁状に設けられている。なお、起立部21は、前記延出方向に沿って所定間隔毎に起立する柱状とした構成も採用することができる。また、フーチング20も、平面視で略閉ループ状に連続する状態に設けられる構成に限らず、平面視で三辺方向や対向する二辺方向に存在する構成、或は一辺の一部が部分的に欠落した構成も採用することができる。
【0021】
前記支持体12は、図3に示されるように、前記起立部21の内面側においてフーチング20の上面側にそれぞれ支持されるスペーサ30と、当該スペーサ30に支持されるとともに起立部21の内面に略接触する部分を備えた角柱材等からなる左右一対の受け材31とにより構成され、当該受け材31に吊架台13が支持される構成となっている。スペーサ30は、平面視略方形をなす上部プレート33と、当該上部プレート33と略同一形状に設けられた下部プレート34と、これら上下プレート33,34間に位置するとともに、上下プレート33,34の相互離間幅を調整して上部プレート33のレベル調整機能を備えた公知の連結軸部材35とにより構成されている。本実施形態では、上部プレート33と受け材31とは図示しないねじを介して相互に連結される一方、下部プレート34はフーチング20の上面に接着剤等を介して固定されている。このスペーサ30は、図2に示されるように、フーチング20の延出方向に沿って複数配置され、これにより、受け材31は、その延出方向に沿う複数箇所で支持され、一定の支持強度が維持できるようになっている。
【0022】
前記吊架台13は、図1及び図3に示されるように、左右の受け材31にそれぞれ係合可能に設けられたブラケット40と、左右のブラケット40間に掛け渡されるとともに、前記バスルームユニット10における脚部材14の設置面を形成する角柱材等からなる設置部41とを含む。ブラケット40は、略長方形状をなす鋼板等板材の一部を略90度折り曲げた略反転L字状をなし、その短辺側が受け材31の上端面に載置され、長辺側が受け材31の内側面に略接するように配置される。なお、ブラケット40は、前記短辺側が受け材31に対してねじ等で連結され、ブラケット40と設置部41は、溶接等の手段を用いて一体化される。
【0023】
次に、本実施形態における施工方法について説明する。
【0024】
図2に示されるように、フーチング20の上面にスペーサ30を間隔をおいて配置するとともに、下部プレート34をフーチング20に接着剤で固定する。次いで、連結軸部材35の全体長さ調整を行って上部プレート34のレベリング、すなわち高さ調整を行う。このレベリングを完了した状態で、各上部プレート33上に受け材31を載置し、上部プレート33と受け材31とをねじで連結して一体化させる。
この後、設置部41の両端側に位置するブラケット40を、相対する受け材31の上面にそれぞれ係合させるとともに、図示しないねじを用いて受け材31に固定する。
【0025】
このようにして吊架台13のセットが完了した後、バスルームユニット10の脚部材14を設置部41の上面に設置させて、バスルームユニット10を設置する。この際、脚部材14の下端面は、同一平面上に位置するように予め設定しておき、これにより、バスルームユニット10は、その水勾配が設計位置となるように設置されることとなる。
【0026】
従って、このような実施形態によれば、支持体12の設置面がフーチング20の上面であるため、上方から荷重が加えられても当該荷重に十分に耐えることができる、という効果を得る。しかも、布基礎11を構成する起立部21の上端面を利用しない構成であるため、大引23の上端側にコンクリートブロック等があっても、何らの不都合なくバスルームユニット10を設置することができる。
【0027】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、配置等は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0028】
例えば、本発明は、連続するフーチング20と、これに沿って延出する起立部21とを備えた布基礎11に限定されるものではなく、相互に間隔をおいて配置されたブロック状をなすベースと、各ベースから起立する起立部とを備えた基礎に前記支持体を配置して構造体を設置する構造としてもよい。
【0029】
また、本発明のフーチング20は、平面視で略閉ループ状に連続して四辺方向に存在するものに限られず、少なくとも支持体12を設置する部分である平面視で対向する二辺に存在すれば良い。更に、本発明の構造体は、バスルームユニット10に限らず、その他、種々の構造体を適用することができる。これを例示すれば、図4(A)に示されるように、フーチング20の上面に、角柱材からなる支持体50を配置し、当該支持体50の上面に断熱材51及び表材52からなるフロア構造体54を設置することもできる。この際、支持体50の下面及び外側面をフーチング20及び起立部21に接着剤で接着することができる。
【0030】
また、図4(B)に示されるように、断面形状が略I型をなすスペーサ60と、当該スペーサ60の上面側に配置される角柱材61とにより支持体62を構成し、角柱材61の上面に係合可能なフランジ面63が閉ループ状の周壁64の上端に連設されてなる凹部形成体65と、当該凹部形成体65の上部を閉塞する蓋部材66とを含む床下収納庫67を構造体として設置することもできる。この際、前記フランジ面63の下面側に段部63Aを形成し、当該段部63Aにより、角柱材61が起立部21との間に挟まれるように設けるとよく、これにより、角柱材61と起立部21との接着や、スペーサ60とフーチング20との接着を省略しても、支持体62の位置を安定して保つことが可能となる。
【0031】
更に、図4(C)に示されるように、図4(A)と同様の支持体70間に位置する横架材71と、当該横架材71上に位置するクローゼット等のルームユニット73とを構造体として配置することもできる。
【0032】
要するに、本発明に係る構造体の設置構造は、起立部21の上端を利用することなく、ベースを利用して構造体を設置する構造であれば種々の設計変更を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】バスルームユニットを構造体とした設置構造を示す概略正面図。
【図2】前記設置構造の側面図。
【図3】図1の一部を省略した要部拡大図。
【図4】(A)、(B)、(C)は、前記以外の設置構造の変形例を示す要部正面図。
【符号の説明】
【0034】
10…バスルームユニット(構造体)、11…布基礎(基礎)、12,50,62,70…支持体、13…吊架台、20…フーチング、21…起立部、54…フロア構造体、67…床下収納庫(構造体)、73…ルームユニット(構造体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平面内の相対位置に配置されるベースと、これらベースの上面から起立する起立部とを有する基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記ベースの上面側に支持体を設置して当該支持体に前記構造体を支持させることを特徴とする構造体の設置構造。
【請求項2】
相対位置に配置されるフーチングと、これらフーチングの上面から起立する起立部とを有する布基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記フーチングの上面側に支持体を設置して当該支持体に前記構造体を支持させることを特徴とする構造体の設置構造。
【請求項3】
前記支持体は前記起立部の側面に接する領域を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の構造体の設置構造。
【請求項4】
前記支持体は前記起立部と前記構造体との間に挟まれることを特徴とする請求項1,2又は3記載の構造体の設置構造。
【請求項5】
前記支持体は前記構造体の重量によって固定位置に保たれることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の構造体の設置構造。
【請求項6】
前記支持体は少なくともフーチングに固定されていることを特徴とする請求項2ないし5の何れかに記載の構造体の設置構造。
【請求項7】
相対位置に配置されるフーチングと、これらフーチングの上面から起立する起立部とを有する布基礎を利用した構造体の設置構造において、 前記フーチングの上面側に設置されて前記起立部の内面側に位置する高さ調整可能な支持体と、この支持体に支持される吊架部材とを含み、 前記吊架部材にルームユニットを支持させることを特徴とする構造体の設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−196183(P2008−196183A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31561(P2007−31561)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(597007282)住友林業ホームテック株式会社 (43)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】