説明

構造体

【課題】軸材内側に補強材が設けられた同一構造の補強材入り軸材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも少ない部品点数でかつ十分な強度で効率的に両者を接合した構造体を提供する。
【解決手段】アルミダイキャスト製の螺合雌部23aに案内され回転する螺合雄部25aの回転駆動力によって嵌合雄部25bを嵌合雌部23b内を直進させて嵌合させるという簡単な作業だけで、コーナーブロック21と接合端子22を容易に連結することができ、また、連結作業(組み立て作業)と同様に、接合端子22とコーナーブロック21との解体作業も容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーナーブロックと補強材入り軸材を接合し、立体格子を構成する構造体に関し、特にセルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、かつ、溶融させて成形してなる角筒状の長尺体である軸材と、その軸材に内接することによって固定される金属製素材よりなる補強材とよりなる2以上の補強材入り軸材を連結してなる構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、2つの構造材を接合してなる構造体では、例えば、特許文献1にある様に、一方の接合面にほぞを設け、他方の接合面にほぞが嵌るほぞ穴を設けて、ほぞをほぞ穴に嵌め込むことで両者を接合していた。しかし、特許文献1の接合構造では、ほぞ穴に対するほぞの嵌め込む方向が正確に一致するように、両者を支持しながら接合作業を行う必要があり、接合の際に両者を安定させていないと、両者の接合面同士を密着させた状態で確実に接合することは困難であるという問題があった。
【0003】
このような問題に関し、本出願人は、座部及び脚部のそれぞれの内部に、端面側から挿入されて係合される係合部と、座部及び脚部の外面に当接される当接部と、係合部と当接部とを引き寄せ可能に連結したボルト部とを備える接合金物を介して座部と脚部とを突き合わせて、接合金物を介して端面同士が密着した状態で接合される部材の接合構造を特許文献2において提案した。
【0004】
しかし、特許文献2で提案された部材の接合構造では座部及び脚部の接合強度を保証できるとしても、例えば菜園に構築される大がかりな構造体については接合構造部分が頭上に位置する場合もあり、さらに大なる強度及び良好な外観が構造的に保証される必要があった。
【0005】
そこで本出願人は先の特許出願である特願2007−110711において軸材内側に補強材が設けられた同一構造の補強材入り軸材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも十分な強度で効率的に両者を接合することができる部材の接合構造及び部材の接合方法を提案した。
【特許文献1】特許第2729893号公報
【特許文献2】特開2004−125118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本出願人の先の特許出願である特願2007−110711の部材の接合構造及び部材の接合方法は、端部ブラケットを柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の補強材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、ボルト軸部が補強材側面の貫通孔と端部ブラケットの連通溝部とを連通して端部ブラケットが一の部材の補強材の側面と柱頭接合プレート間に挟持されて、一の部材の端部が他の部材の端面部に、一の部材と他の部材とが直交した状態で接合されるものであり、端部ブラケットをボルトで締結するという構成を採用するため部品点数が多いという問題があった。また組み付け作業のより一層の効率化の検討を行う必要があった。
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、軸材内側に補強材が設けられた同一構造の補強材入り軸材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも少ない部品点数でかつ十分な強度で効率的に両者を接合することができる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明の構造体は、コーナーブロックと補強材入り軸材を接合し、立体格子を構成する構造体において、コーナーブロックに形成された凹部の接合端子取り付け部に凹部よりも小なる径の接合端子が固定され、固定された接合端子とコーナーブロック凹部側面間に形成された間隙に補強材を貫入して接合端子と補強材とを嵌合することによって補強材入り軸材をコーナーブロックに固定することを特徴とする。
【0009】
前記補強材入り軸材は補強材を軸材に内接することによって固定してなり、2以上の前記補強材入り軸材を多面体からなるコーナーブロックと連結してなる構造体を構成することができる。
【0010】
また本発明の構造体は、長尺体である軸材と、その軸材に内接することによって固定される補強材とよりなる補強材入り軸材を用い、多面体からなるコーナーブロックと、前記コーナーブロックに対して着脱自在に形成された接合端子と、を備えた結合構造部によって、2以上の前記補強材入り軸材を連結してなる構造体であって、前記接合端子は、前記補強材入り軸材に連結される補強材入り軸材連結部と、螺合溝が設けられた螺合連結部と、を備え、その螺合連結部は螺合雄部と、嵌合雄部と、を同一軸上に有し、前記多面体からなるコーナーブロックは、外表面のうち少なくとも一面に、前記螺合連結部との螺合により前記接合端子が連結されるコーナーブロック凹部を備え、そのコーナーブロック凹部は螺合雌部と、嵌合雌部と、を同一軸上に有し、螺合連結部の螺合雄部とコーナーブロック凹部の螺合雌部とが螺合することによって生じる軸方向推進力によって螺合連結部の嵌合雄部をコーナーブロック凹部の嵌合雌部に嵌合させて位置決め連結することを特徴とする。
【0011】
前記軸材は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、かつ、溶融させて成形してなる角筒状の長尺体であり、前記補強材がその軸材に内接することによって固定される金属製素材よりなる様にしてもよい。
【0012】
前記補強材入り軸材連結部は、前記補強材に嵌合されることで前記補強材入り軸材に連結されるようにすることができる。
【0013】
前記コーナーブロック凹部を覆うカバーを備えてもよい。
【0014】
このようにカバーを設けることで、接合端子が連結されていないコーナーブロック凹部が外部に露出するのを防止でき、構造体の外観上の美観が損なわれることを防止できる。また、このようにカバーを設けることで、構造体を外部で使用する場合に、コーナーブロックの内部に水やホコリなどの異物が溜まることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軸材内側に補強材が設けられた同一構造の補強材入り軸材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも少ない部品点数でかつ十分な強度で効率的に両者を接合した構造体を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施の形態1]
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1には、部材の接合構造を有する本発明に係る構造体である菜園構造体1を示す。
菜園構造体1は、主として押出材からなる部材を用いて築造され、略矩形板状の平面部を備えて延在する中空部を有する底盤部11と、底盤部11の四隅部から鉛直上方に延在して取りつけられた柱12,12とを有する。
また、柱12,12の上端部間には横梁13,13が差し渡され、横梁13,13の各両端部が柱12の上端部と接合構造部2を介して接合される。
【0017】
また、横梁13,13の上面間に差し渡す態様で横梁13,13と交差する方向に定間隔に複数の縦梁14,14・・・が差し渡され、その縦梁14,14・・・の端部は横梁13,13上面からさらに側方に延出して、底盤部11の鉛直上方の空間に形成される略矩形状の領域よりも外方に突出される。さらにこれらの複数の縦梁14,14・・・の中には、他の縦梁14,14・・・よりもさらに延長されて外方に突出する縦梁14a,14bが設けられる。
一方、底盤部11の外側において地盤から鉛直上方に延在する様に1対の柱15,15が地上に直接立設されており、この柱15,15の上端部と縦梁14a,14bの先端部とが接合構造部2を介して接合される。
【0018】
平板状の底盤部11は廃材樹脂を粉砕することによって得られた廃材樹脂粉砕物と、木質廃材を粉砕することによって得られた木質廃材粉砕粉と、木質廃材粉と廃材樹脂粉砕物との接着助剤としての無水マレイン酸と、顔料と、を混合し混合材料とし、この混合材料を溶融させて押出成形してなる押出材から形成されている。
【0019】
廃材樹脂は、食品等の包装に用いられた後回収されたトレイ、食品コンテナ等のポリプロピレン包装部材や、ポリプロピレン包装部材を形成した際に出るポリプロピレンの端材を粉砕したものである。
木質廃材は、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材や家具を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される木材の端材、おが屑等を使用する。そして、木質廃材、廃材樹脂、無水マレイン酸、顔料は、押出材全体に対してそれぞれ10〜60wt%、36〜86wt%、2wt%以下、2wt%以下含まれている。
【0020】
ここで、木質廃材を平板状部材全体に対して10〜60wt%含ませたのは、10wt%未満では本物の木材により近い手触り等の風合いを出すことが難しく、また、60wt%を越えると木質廃材が過多となって押出材の成形性が低下するためである。
また、廃材樹脂を平板状部材全体に対して36〜86wt%含ませたのは、36wt%未満では、廃材の再利用率を向上させることが難しく、86wt%を越えると溶融しづらい廃材樹脂を多く含むので押出材の成形性が低下するためである。さらに、無水マレイン酸および顔料を押出材全体に対して2wt%以下含ませたのは、押出材の成形性が低下するのを防ぐためである。
【0021】
柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・には図2(a)(b)に示す補強材入り軸材16が用いられる。
補強材入り軸材16は、角筒状の長尺体である軸材161と、その軸材161の内側に挿通される長尺体の補強材162とを備えている。
軸材161は、本実施の形態では外側断面形状が正方形にされ、また内側断面形状が外側断面形状と相似形小なる正方形にされてなる。
【0022】
軸材161は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、かつ、溶融させて成形してなるものである。セルロース系微粉粒は、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される端材、おが屑等の木質廃材を周知の粉砕機により粉砕することによって得られる木粉や、木材、バカス、稲藁等の天然木材を粉砕することによって得られる木粉が挙げられる。
【0023】
樹脂は、例えば、食品等の包装に用いられた後回収されたトレー、食品コンテナ等の包装部材を周知の粉砕機により粉砕することによって得られる樹脂や、天然木材から得られる樹脂等が挙げられる。すなわち、塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等である。そして、セルロース系微粉粒と樹脂とを均一に混合し、混合材料としたうえで、この混合材料を押出成形機で加熱溶融させて押出成形することによって、軸材161が製造されている。なお、このようにして得られた軸材161の表面は、例えば、サンディングペーパー等で木目模様(図示しない)を施したり、塗装を施すことによって仕上げられている。
【0024】
補強材162は、金属製素材例えばアルミ合金よりなり、その外側面163の断面形状が正八角形とされ、またその内側部164の断面形状が円周とされてなり、軸材161内側に収納される。その様に軸材161内側に補強材162が挿通された状態で、補強材162の四方向の外側面163が軸材161の内側4側面に当接し、補強材162の他の四方向の外側面163が軸材161の内側4隅に対向する態様で、補強材162は軸材161内側に固定される。
【0025】
次に、図1に示す本発明の実施の形態の構造体である菜園構造体1の接合構造部2における結合構造部20について、図3〜図13を参照して説明する。
接合構造部2は、柱12,12及び横梁13,13及び縦梁14,14のうちの任意の二の部材の接合のいずれについても適用され、図1に示す菜園構造体1では横梁13,13の各両端部が柱12の上端部と接合構造部2を介して接合され、柱15,15の上端部と縦梁14a,14bの先端部とが接合構造部2を介して接合される。
【0026】
結合構造部20は、正六面体(正立方体)からなるアルミダイキャスト製品のコーナーブロック21と、コーナーブロック21に対して着脱自在に形成されたアクリル樹脂製の接合端子22と、を備えて構成されている。
図3〜図5に示すように結合構造部20の比較的硬質の樹脂材料で形成されたコーナーブロック21の内部は中空にされて軽量化と材料費の軽減が図られている。このコーナーブロック21は六面体を形成する各外側面にコーナーブロック凹部23を備える。コーナーブロック凹部23に連続して内側方に形成された螺合雌部23aは接合端子22の取り付け部を構成する。
【0027】
次に、結合構造部20に備えられる接合端子22について説明する。
接合端子22は、略円筒形状に形成されており、前記コーナーブロック21に対して着脱自在にされてなる。すなわち接合端子22は、補強材入り軸材16に連結するための補強材入り軸材連結部24と、螺合溝が設けられた螺合連結部25と、を備え、その螺合連結部25はコーナーブロック凹部23の螺合雌部23aの螺合溝に螺合可能にされてなる。
【0028】
図6、図7に示すように接合端子22の補強材入り軸材連結部24の外径δはコーナーブロック凹部23の内側径δよりも小なる径とされ、固定された接合端子22とコーナーブロック凹部23内側面間に形成される間隙δに補強材162を貫入した状態で接合端子22と補強材162とを嵌合することによって補強材入り軸材16をコーナーブロック21に固定する。
【0029】
以上の様に本実施の形態の構造体ではコーナーブロック21に接合端子22をコーナーブロック21表面より一段奥に入ったコーナーブロック凹部23にねじ込んで固定され、取り付けられた接合端子22とコーナーブロック21との間には補強材162が貫入する溝δが形成され、補強材162が端部より露出する状態で組合わされた補強材入り軸材16は接合端子22と補強材162が嵌合することで固定される。
【0030】
なお、図8〜図11に示すように結合構造部20のコーナーブロック21において使用しないコーナーブロック凹部23に、アルミダイキャスト製のカバー26a若しくはカバー26bを嵌合させることによって、構造体の美観が損なわれることを防止することができる。また、使用しないコーナーブロック凹部23に対してカバー26a若しくはカバー26bを嵌合することで、コーナーブロック21の内部に水が溜まることを防止できる。
【0031】
カバー26aはコーナーブロック凹部23に内接する円板状のカバー本体261と螺合雌部23aの螺合溝に螺合可能にされたカバー螺合部262とを一体にしてなる。
一方、カバー26bはコーナーブロック21の中空内部壁面に係止する係止部263を先端に有する脚部264と方形の板状でコーナーブロック凹部23に嵌合するカバー本体265と、を一体にしてなる。
【0032】
以上のように本発明の構造体では、コーナーブロック凹部23にねじ込んで固定された接合端子22とコーナーブロック21との間に形成される溝に補強材162を貫入し、接合端子22と補強材162が嵌合することで補強材入り軸材16を固定する簡単な作業だけで、コーナーブロック21と接合端子22を容易に連結して補強材入り軸材16を配置することができ、また、連結作業(組み立て作業)と同様に、補強材入り軸材16の離脱作業及び接合端子22とコーナーブロック21との解体作業も容易に行うことができる。
【0033】
しかも、コーナーブロック凹部23にねじ込んで固定された接合端子22とコーナーブロック21との間に形成される溝に補強材162を貫入して連結されるため、高い水密性を確保して連結を行うことができる。
【0034】
以上のようにして、コーナーブロック21に、複数の接合端子22を装着して、結合構造部20に複数の柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・を装着することができる。
その際には結合構造部20と補強材入り軸材16とを組み付けた後に特には他の締結部材による締結作業を行うことなく、複数の柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・を自在に組み付けることができる。
【0035】
なお、以上の実施の形態では補強材162を断面正方形の四角柱とした場合につき説明したが、これには限られず図12に示すように補強材162を断面六角形の六角柱とすることもできる。
図13(a)は、補強材162を断面正方形の四角柱とした場合におけるコーナーブロック21、コーナーブロック凹部23、接合端子22、補強材162及び間隙δ相互の関係を示す。図13(b)は、補強材162を断面六角形の六角柱とした場合のコーナーブロック21、コーナーブロック凹部23、接合端子22、補強材162及び間隙δ相互の関係を示す。図13に示す様に何れの場合もコーナーブロック凹部23にねじ込んで固定された接合端子22とコーナーブロック21との間に形成される溝に補強材162を貫入し、接合端子22と補強材162とを嵌合させて接合することができる。
[実施の形態2]
次に図14〜図17を参照して菜園構造体1の結合構造部20を構成する本発明の実施の形態2の構造体について説明する。
図14、図15に示すように、結合構造部20を構成するコーナーブロック21のコーナーブロック凹部23は螺合雌部23aと、嵌合雌部23bと、を同一軸上に有する。また接合端子22は、補強材入り軸材16に連結するための補強材入り軸材連結部24と、螺合溝が設けられた螺合連結部25と、を備え、その螺合連結部25はコーナーブロック凹部23の螺合雌部23aの螺合溝に螺合可能にされた螺合雄部25aと、嵌合雌部23bと嵌合可能にされた嵌合雄部25bと、を同一軸上に有する。
【0036】
以上の結合構造部20においてコーナーブロック21に対して接合端子22を精度良く位置決めして接合するメカニズムについて以下に説明する。
(1)コーナーブロック21のコーナーブロック凹部23の開口部から、接合端子22の螺合連結部25の嵌合雄部25bを挿入する。
(2)接合端子22の螺合連結部25の螺合雄部25aは、コーナーブロック凹部23の螺合雌部23aの螺合溝に案内されて回転することによって直進力を生じる。
(3)螺合雄部25aの直進方向に螺合雄部25aと連続して形成された嵌合雄部25bは、螺合雄部25aの回転駆動力によってコーナーブロック凹部23の嵌合雌部23bに嵌合する。
(4)嵌合雄部25bが嵌合雌部23bに嵌合することによって、コーナーブロック21と接合端子22の位置合せが行われ、同時に接合端子22の螺合雄部25aは、コーナーブロック凹部23の螺合雌部23aに螺合して、コーナーブロック21に対する接合端子22の接合が行われる。
【0037】
嵌合雄部25bの外径と、嵌合雌部23bの内径とは略同一であるため、嵌合雄部25bは、嵌合雌部23bと高精度に嵌合される。つまり、嵌合雄部25bと、嵌合雌部23bとのクリアランスは非常に小さい。しかし、この場合でも、アクリル樹脂製の嵌合雄部25bと一体に形成された螺合雄部25aは、アルミダイキャスト製の螺合雌部23aに案内され回転することができるため、螺合雄部25aの回転駆動力によって嵌合雄部25bは、嵌合雌部23b内を直進して嵌合する。
【0038】
なお、結合構造部20のコーナーブロック21において使用しないコーナーブロック凹部23に、アルミダイキャスト製のカバー26を嵌合させることによって、構造体の美観が損なわれることを防止することができる点は前述の実施の形態1と同様である。
【0039】
以上のように本発明の構造体では、アルミダイキャスト製の螺合雌部23aに案内され回転する螺合雄部25aの回転駆動力によって嵌合雄部25bを嵌合雌部23b内を直進させて嵌合させるという簡単な作業だけで、コーナーブロック21と接合端子22を容易に連結することができ、また、連結作業(組み立て作業)と同様に、接合端子22とコーナーブロック21との解体作業も容易に行うことができる。
【0040】
しかも、螺合雌部23aと螺合雄部25aとの螺合関係のみではなく、嵌合雄部25bと嵌合雌部23bとの嵌合関係によっても連結されるため、精度の良い位置決めによって高い水密性を確保して連結を行うことができる。
【0041】
一方、柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・等の補強材入り軸材16は接合端子22に連結することによって結合構造部20へ組み付けられる。その接合端子22と補強材入り軸材16の連結は、補強材入り軸材16の補強材162の断面円周形状の内側部164に接合端子22の補強材入り軸材連結部24を嵌合することによって行う。また、補強材入り軸材16の内側部164と接合端子22の補強材入り軸材連結部24を分離して、補強材入り軸材16と結合構造部20との分離も容易に行うことができる。
【0042】
図15(b)は実施の形態2の他の態様の構造体のコーナーブロック21を示す。
この実施の形態のコーナーブロック21のコーナーブロック凹部23は螺合雌部23aと、嵌合雌部23bと、嵌合係止部23cとを同一軸上に有する。
【0043】
なお、本発明のコーナーブロック21は以上の各実施の形態で示した正六面体に限られず、正四面体、正八面体、正十二面体、正二十面体などからなる多面体構造を採用することができる。このような構造のコーナーブロックを備える結合構造部を用いる場合には、複数の柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・を多様な方向に向けて組むことができるため、用途に応じた複雑な形状からなる構造体を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1の構造体を用いて構成される菜園構造体の構成を示す図である。
【図2】図1の菜園構造体の柱と梁との構成を示す(a)正面図、(b)斜視図、である。
【図3】本発明の実施の形態1の構造体の(a)分解断面図、(b)組み合わせた状態の断面図、である。
【図4】本発明の実施の形態1の構造体の(a)分解斜視図、(b)組み合わせた状態の斜視図、である。
【図5】本発明の実施の形態1の構造体の他の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1の構造体の(a)他の分解断面図、(b)組み合わせた状態の他の断面図、である。
【図7】本発明の実施の形態1の構造体の(a)他の分解斜視図、(b)組み合わせた状態の他の斜視図、である。
【図8】本発明の実施の形態1の構造体の(a)別の分解断面図、(b)組み合わせた状態の別の断面図、である。
【図9】本発明の実施の形態1の構造体の(a)また別の分解断面図、(b)組み合わせた状態のまた別の断面図、である。
【図10】本発明の実施の形態1の構造体の(a)また別の分解斜視図、(b)組み合わせた状態のまた別の斜視図、である。
【図11】本発明の実施の形態1の構造体のさらに別の分解斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態1の構造体の他の態様の(a)分解斜視図、(b)組み合わせた状態の斜視図、である。
【図13】本発明の実施の形態1の構造体の組み合わせた状態を示す(a)一の態様の断面模式図、(b)他の態様の断面模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2の構造体の分解斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態2の構造体の(a)一の態様の断面図、(b)他の態様の断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2の構造体を構成する(a)一部品の斜視図、(b)同じく断面図、である。
【図17】本発明の実施の形態2の構造体を用いて図1の菜園構造体の結合構造部において柱と梁とを組み付ける態様を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・菜園構造体、11・・・底盤部、12・・・柱、13・・・横梁、14・・・縦梁、16・・・補強材入り軸材、161・・・軸材、162・・・補強材、2・・・接合構造部、21…コーナーブロック、24・・・補強材入り軸材連結部、20・・・結合構造部、22・・・接合端子、23・・・コーナーブロック凹部、25・・・螺合連結部、25b・・・嵌合雄部、25a・・・螺合雄部、23a・・・螺合雌部、26・・・カバー。
δ・・・間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーナーブロックと補強材入り軸材を接合し、立体格子を構成する構造体において、コーナーブロックに形成された凹部の接合端子取り付け部に凹部よりも小なる径の接合端子が固定され、固定された接合端子とコーナーブロック凹部側面間に形成された間隙に補強材を貫入して接合端子と補強材とを嵌合することによって補強材入り軸材をコーナーブロックに固定することを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記補強材入り軸材は補強材を軸材に内接することによって固定してなり、2以上の前記補強材入り軸材を多面体からなるコーナーブロックと連結してなる請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
長尺体である軸材と、その軸材に内接することによって固定される補強材とよりなる補強材入り軸材を用い、多面体からなるコーナーブロックと、前記コーナーブロックに対して着脱自在に形成された接合端子と、を備えた結合構造部によって、2以上の前記補強材入り軸材を連結してなる構造体であって、
前記接合端子は、前記補強材入り軸材に連結される補強材入り軸材連結部と、螺合溝が設けられた螺合連結部と、を備え、その螺合連結部は螺合雄部と、嵌合雄部と、を同一軸上に有し、
前記多面体からなるコーナーブロックは、外表面のうち少なくとも一面に、前記螺合連結部との螺合により前記接合端子が連結されるコーナーブロック凹部を備え、
そのコーナーブロック凹部は螺合雌部と、嵌合雌部と、を同一軸上に有し、
螺合連結部の螺合雄部とコーナーブロック凹部の螺合雌部とが螺合することによって生じる軸方向推進力によって螺合連結部の嵌合雄部をコーナーブロック凹部の嵌合雌部に嵌合させて位置決め連結することを特徴とする構造体。
【請求項4】
前記軸材は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、かつ、溶融させて成形してなる角筒状の長尺体であり、前記補強材がその軸材に内接することによって固定される金属製素材よりなる請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の構造体。
【請求項5】
前記補強材入り軸材連結部を前記補強材に嵌合して前記補強材入り軸材に連結する請求項3又は請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記コーナーブロック凹部を覆うカバーを備える請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−96260(P2010−96260A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267246(P2008−267246)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】