構造要素、構造要素を製作する方法および装置、コンピュータプログラム、および鏡
少なくとも1つの第1の開口を有する第1の面、少なくとも1つの第2の開口を有する第2の面、第1および第2の面の間にあって第1の開口へ接続された少なくとも1つの第1の空間、第1および第2の面の間にあって第2の開口へ接続された少なくとも1つの第2の空間、第1の面と第2の面との間にあって空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続を含む構造要素。第1の面、第2の面、および接続は、1つの一体的全体を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造要素に関する。更に、本発明は、構造要素を製作する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1つの面をくり抜かれて中空にされた構造要素は知られている。くり抜かれるとき、起立する壁が要素の中に残され、それによって軽量で頑丈な構造体が得られる。機械で加工された後、要素がくり抜かれた面は事実上完全に開かれている。
【0003】
たとえば、米国特許第4,678,293号は、平坦でない反射面を有する重量低減鏡を説明している。この鏡は、背面のフライス削りによって得られたセルを有する光学材料の集合体を含む。
【0004】
既に知られたこれらの構造要素の欠点は、それらが剛体でないことである。特に、曲げおよびねじれ負荷を有するとき、既に知られた構造要素は、事実上完全に開放された面に起因して剛体ではない。この欠点を除去するため、製作の後、たとえば平坦な板によって開放面を閉鎖することが知られている。たとえば、米国特許第5,076,700号は、中心部および背面が1つのガラス体から得られる軽量鏡を説明している。中心部は前面から穴あけされ、中心部へ剛性を与えるため壁が残される。背面には、穴あけされた部品を設けることができる。この部品は、圧力差を等しくするための開口を有する。更に、背面には、取り付け孔をあけることができる。開放された前面には、反射面を有する前面シートが置かれる。しかし、開放面の閉鎖は、得られた閉鎖要素で要素の残り部分へ平坦シートを取り付けると、局所的に弱くなるという欠点を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改善された構造要素を提供することである。特に、本発明の目的は、軽量であると共に、特に曲げまたはねじれ負荷を加えられたとき剛性を示す構造要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明は、少なくとも1つの第1の開口を有する少なくとも1つの第1の面、少なくとも1つの第2の開口を有する少なくとも1つの第2の面、第1および第2の面の間にあって第1の開口へ接続された少なくとも1つの第1の空間、第1および第2の面の間にあって第2の開口へ接続された少なくとも1つの第2の空間、第1の面と第2の面との間にあって空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続を含み、第1の面、第2の面、および接続が1つの一体的全体を形成し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向けて狭くなっている構造要素を提供する。
【0007】
そのような要素は、第1の空間および第2の空間が存在するために軽量である。更に、第1および第2の面の間に接続があるために、本発明に従った構造要素は剛性である。更に、第1の面、第2の面、および接続は1つの一体的全体を形成し、したがって本発明に従った構造要素は局所的弱さを有しない。
【0008】
本発明は、更に、クレーム24に従った鏡を提供する。そのような鏡では、本発明に従った構造要素を有利に使用することができる。なぜなら、特に鏡の場合、軽量および剛体構造が望まれるからである。それは、できるだけ光学的に良好であると共に容易に配置できる鏡を得るためである。
【0009】
本発明は、更に、クレーム26に従った方法を提供する。そのような方法を使用すると、本発明に従った構造要素を製作することができる。
【0010】
本発明は、更に、クレーム27に従った装置を提供する。そのような装置は、本発明に従った構造要素の自動的製作に適してする。本発明は、更に、クレーム29に従ってコンピュータプログラムを設けられたデータキャリヤを提供する。そのようなプログラムを使用すると、本発明に従った装置を制御することができる。
【0011】
本発明の具体的実施形態は、従属クレームに記載される。本発明の更なる詳細、様相、および実施形態は、この後で、図面で示された例を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、本発明に従った装置の例が示される。図示される例は、多軸機械加工装置であり、更に具体的には、5軸フライス削り装置100である。5軸フライス削り装置そのものは、たとえば、米国特許第5,669,867号から知られる。フライス削り装置100は、工作物102のホルダ101を有するフレーム106およびカッター112を含む。ホルダ101およびカッター112は相互に対して移動可能である。図示された例では、ホルダ101は、フレーム106に対して回転軸103の周りを回転することができる。カッター112は、矢印104および105で示されるように、フレーム106に対して水平方向および垂直方向へ動くことができる。回転軸103は、工作物102が存在するホルダ101の平面に関して或る角度にある。カッター112に対する工作物102の角度は、米国特許第5,669,867号から知られるように、軸103の周りでホルダ101を回転させることによって変えることができる。
【0013】
ホルダ101の回転、カッター112の動き、およびカッター112は、駆動ユニット108〜111、たとえば電動機によって駆動される。駆動ユニットは中央制御装置107と通信するように接続される。制御装置107は、駆動ユニット108〜111を介してフライス削り装置101を駆動するため制御ユニット1071〜1074を設けられる。図示された例において、制御ユニット1071〜1074の各々は、中央制御ユニット1075から来る命令を、それぞれのユニット108〜111の駆動信号へ変換するように配列される。中央制御ユニット1075は命令を送り、機械加工の間、工作物が駆動ユニット108〜111および関連制御ユニット1071〜1075によって適切に配置され、所望される処理が実行されるようにする。
【0014】
5軸フライス削り装置100のような装置では、工具112、たとえばカッターを、傾けおよび回転によって、工作物102に対して実質的に任意の方位および位置へ置くことができる。本発明に従った装置または方法の示された例において、たとえば、工作物を切削および/または研削することによって、キャビティまたは空間が2つ以上の面から工作物の中に作られる。したがって、本発明に従った構造要素へ工作物を機械加工し、小さな開口を介して比較的大きな内部容積を工作物から除去し、比較的大きな空間を工作物の中に形成することができる。
【0015】
フライス削り装置100は、本発明に従った方法を大きな正確度で実行することができる。しかし、本発明に従った方法は、更に、異なった手段、たとえば、手によって実行することができる。図2には、本発明に従った方法の例がフローチャートとして概略的に示される。第1のステップ200では、工作物の第1の面に開口が設けられる。次に、第2のステップ201で、第1の面の開口から工作物がくりぬかれて中空にされる。ステップ202では、第2の開口が工作物の第2の面に設けられ、ステップ203では、更に工作物が第2の開口からくりぬかれて中空にされる。一般的に、第2の面は第1の面の反対側に位置する。しかし、これは厳密には必要とされない。図2の矢印204〜207で示されるように、1つの面の材料を除去した後、次の開口を設けることができ、そのためにステップ200または202を再び実行するか、他の面に開口を設けることができる。したがって、双方の面から同時に工作物を機械加工することも可能である。
【0016】
図2のフローチャートで示された本発明の方法の例のステップは、異なった順序で実行されることもできる。たとえば、最初に第1の面で第1の開口を設け、その後または同時に、第2の面に第2の開口を設け、続いて第1の開口を介して工作物を中空にし、次に第2の開口を介して中空にするか、最初に第2の開口を介し、次に第1の開口を介するか、または双方の開口から同時に中空にすることができる。
【0017】
本発明に従った方法は、たとえば、切削または研削される材料で利用されることができる。本発明に従った方法を使用すると、良好な全体的公差を得ることができる。なぜなら、本発明に従った方法は、部品の減少を導くからである。たとえば、良好な剛性を得るための別個のカバープレートは不要である。したがって、部品の減少は、部品間に潜在する比較的不正確な移動の数の減少を導き、全体的正確度が増加する。
【0018】
高い内部応力を有する材料を機械加工するとき、材料の除去は製品の変形を導くかも知れない。本発明に従った構造要素では、面の間の接続に起因して、そのような可能な変形は減少する。更に、たとえば図16A〜図16Bの例のように、構造要素が高度の対称性を有するように設計することができる。この好ましい効果は、2つの面から材料をバランスよく除去できることである。その結果、1つの面を機械加工した後に生じた変形は、第2の面を機械加工した後に幾分減少するであろう。これらの2つの効果は組み合わせられて、全体的正確度を更に増大させる。
【0019】
更に、たとえば、精密調整するための調節メカニズムを不要にすることができる。なぜなら、増大した全体的正確度に起因して、全体が十分に正確だからである。これは、特に、部品の数、重量、およびテスト並びにアライメント時間を減らす。
【0020】
更に、本発明に従った方法は、大きな設計選択肢を提供する。なぜなら、所与の工作可能な容積について、より剛体および/または軽量の部品を製作できるからである。これは、本発明に従った構造要素と何らかの関係を有する他の部品を設計するとき、自由度の更なる拡大をもたらす。
【0021】
更に、本発明の方法を使用して製作された構造要素は、比較的少ないアセンブリ部品および比較的短いアセンブリ時間を有する。これは、構成部品の限定された数、および、たとえば精密調整の調節メカニズムを不要にする可能性に起因する。本発明に従った構造要素の局所的剛性は、幾つかの方法、たとえば、内部構造を変えることによって増大させることができる。たとえば、開口を有する面の内側空間に追加の補強リブを残すことによって、内部構造が変えられる。外部構造も、たとえば、局所的厚さを増大させることによって、その目的に適合させることができる。
【0022】
図3は、この例において、相互に対向する位置にある2つの面から工作物を中空にして、本発明に従った構造要素へ形成する方法の例を示す。工作物1の第1の面の第1の開口4から、機械加工要素112、この例ではカッターを使用して空間6が設けられた。カッターまたは他の工具を使用して、第1の開口4から工作物を中空にすることによって空間が設けられる。第2の面2から、第2の開口5を介しても、工作物1はカッター112を使用して中空にされる。
【0023】
図示された例において、第1および第2の面2および3の表面に対するカッター112の角度は変えられるが、それぞれの開口は顕著には拡大されない。その結果、構造要素は軽量になるが、表面の大部分は無傷のままである。この例において、その目的のため、カッター112は、それぞれの開口4または5のロケーションで、工作物の元の表面の中または隣接して置かれたピボットの周りで回動される。こうして、小さな開口を介して、大量の材料を工作物1から除去することができる。工作物の表面2および3の開口4および5は、それぞれ空間6のくびれを形成する。更に、工具112は、それぞれの表面2および3への或る角度で保持され、開口4および5から離れて表面2および3に隣接した材料は除去されず、表面2および3は実質的に無傷のままに残される。
【0024】
図3の例では、工作物の中で円錐空間が設けられる。空間6は、ほぼ平坦な基底61、および基底面61に位置して基底面を取り囲む閉曲線の点および基底の外側の点の母面8によって形成される平面によって取り囲まれる。図示された例において、基底の外側の点は、工作物1の表面2および3のそれぞれの開口に隣接する。図示された例において、平坦な基底61は、回動するとき、カッター112が工作物の中へ挿入される距離を変えることによって得られる。基底および母面の双方は、所望の形状および位置を有することができる。本発明に従った構造要素では、空間は、異なった形状、たとえば、球、立方体などであってよい。
【0025】
本発明に従った構造要素では、要素の脆弱化は、開口を有する面がほぼ完全に無傷である点で、可能な限り防止されている。工具の進入開口、即ち、図3の開口4および5のみが、それぞれの表面を中断している。
【0026】
本発明に従った構造要素は、特に曲げまたはねじれの場合に、非常に剛性を示す。壁の厚さ、基底の厚さ、および本発明の特定の使用方法に依存して、本発明に従った構造要素は、同じ自重を有する既知の要素よりも少なくとも2倍の剛性を有することが、シミュレーションによって示された。
【0027】
本発明に従った構造要素は、更に、重量を軽くすることができる。それは、特に、面の間で無傷に残される接続に起因して、比較的薄い壁およびリブで十分だからである。たとえば、アルミニウムの場合、本発明に従った構造要素では、一般に0.3mmの壁の厚さが良好に得られることが分かった。更に、本発明に従った構造要素では、5%よりも少ない軽量パーセンテージが得られることが分かった。従来の知られた構造要素では、多くの場合、20%よりも多いパーセンテージが得られる。ここで、軽量パーセンテージとは、構造要素の全体の容積と比較して、構造要素がどれくらいの材料容積を有するかを示す。
【0028】
更に、高度の剛性および軽量の組み合わせに起因して、本発明に従った構造要素は高い固有振動数を有し、使用された場合、所望されない振動は構造要素の中でほとんどまたは全く起こらない。その結果、本発明に従った構造要素は、多くの振動が起こる場所、たとえば、燃焼機関の近くで使用することができる。更に、同じ重量での高い剛性は、本発明に従った製作プロセスの間に誘導される曲げを少なくすると共に振動振幅を低くし、したがって構造要素の表面を滑らかで正確な設計にすることができる。
【0029】
本発明に従った構造要素は、単一の部品から製作され、したがって均質またはモノリシックな実体を形成する。その結果、本発明に従った構造要素は、極端な状態、たとえば、極低温状態、高温、または真空での使用に特に適している。なぜなら、要素の全体が極端な状態へ同じように反応するからである。更に、本発明に従った構造要素は、含まれる材料が少ないので、良好な熱伝達および短い冷却および/または加熱サイクルを有し、したがってそのような構造要素は、温度差が防止される結果として、たとえば材料中の応力を迅速かつ容易に調整する。
【0030】
本発明に従った構造要素は、更に、たとえば、光学または航空学的使用、たとえば、望遠鏡または飛行機または宇宙船の骨組に使用可能である。本発明に従った構造要素は、半導体産業でも使用可能である。特に、いわゆるウェーハステッパでは、半導体材料の薄いスライス(ウェーハ)が存在するキャリヤ(ステッパ)が迅速および大きな正確度で配置されることが重要である。ここで、本発明に従った構造要素は有利に使用され、キャリヤは、軽量の結果として短時間で加速または減速され、大きな剛性の結果として正確に配置される。更に、製品の高い加速/減速が起こる他の使用、たとえば、機構またはロボット、機械加工装置、測定器械、「ピックアンドプレース」機構、たとえば、構成部品配置機械、「ワイヤボンダ」、プリンタ、および他の専門的移動機械の使用においても、類似の利点が得られる。
【0031】
更に、本発明に従った構造要素において、特に、要素の中の空間が相互に接続される場合、構造要素の開口を介してケーブルおよびダクトを簡単に配列することができる。
【0032】
図3において、空間6は、表面2および3を相互に接続する接続要素8によって相互から分離される。図3において、接続要素8は、隣接した2つの空間6を分離している壁である。更に、空間は、大きいか小さい範囲でオーバーラップすることも可能である。オーバーラップはパーセンテージで表わされ、0から100%の間で変動することができる。これは、図3の矢印XおよびZで示されるように、2つの方向XおよびZで起こることができる。X方向は、工作物が中空にされる2つの表面から等しい距離にある虚の平面にある。図3において、この平面は、開口4および5が置かれた表面2および3と平行で等しい距離にある。Z方向は、その平面の垂直面に対応する。空間6のそれぞれの進入開口4および5の中央を通るX方向の垂直面は、図3の点線CA1およびCA2によって示される中央キャビティ軸である。
【0033】
X方向のオーバーラップは、第1のキャビティおよび隣接するキャビティが相互とまさに接触する虚の距離または角度と、隣接する2つのキャビティの中央軸の間の距離または角度との比として定義される。キャビティが正確に接触するとき、0%のオーバーラップが存在する。キャビティが一致するとき、100%のオーバーラップが存在する。Z方向でのオーバーラップの範囲は、X方向に投影された2つの隣接キャビティの中央キャビティ軸が一致する範囲として定義される。図3では、X方向に投影されたとき、中心キャビティ軸は部分的に相互にオーバーラップするが、完全にはオーバーラップせず、したがってZ方向では100%よりも小さなオーバーラップが存在する。
【0034】
図4A〜図4Cでは、表面2および3の間の空間および接続の例が示される。図4Aでは、本発明に従った構造要素1の中央のキャビティが示され、図4Bでは、構造要素1の面の近くのキャビティが示される。図4Cでは、本発明に従った構造要素のコーナーに近いキャビティが示される。図1Aでは、第1の面2と第2の面3との間のキャビティが、点線で示される正方形の基底61を有するピラミッドを形成する。ピラミッドの頂点は省略される。なぜなら、これは工具の進入開口4によって形成されるからである。この理由によって、厳密に言えば、ピラミッドによって画定される空間は、長方形基底を有する切頭ピラミッドまたは切頭錐の形状を有する。ピラミッド形キャビティは、図4Aでは示されない構造要素中の他のキャビティと連通する。ピラミッド形キャビティは、第1の面2と第2の面3との間の接続81〜84によって画定される。ここで、接続はピラミッドのリブを形成する。図4Bの例では、ピラミッド形キャビティを画定する接続81〜87は、構造要素1のエッジにある。そこでは、接続81〜84は、非正方形を形成する基底を有するピラミッドのリブを形成する。接続85〜87は、三角形基底を有するピラミッドのリブを形成する。図4Cでは、接続82および87は構造要素のリブを形成し、接続81〜84および85〜87は、それぞれ構造要素のコーナーを形成するピラミッドを形成する。
【0035】
図4A〜図4Cでは、接続81〜84はピラミッドのリブを形成するが、第1の面と第2の面との間の接続は、異なるように設計することができ、たとえば、ピラミッドの面を形成し、相互に接続され、ピラミッドによって画定された空間が構造要素の他の面から分離され、したがって空間がX方向で0%のオーバーラップを有するようにされてよい。
【0036】
広い意味では、本発明に従った構造要素の全ての空間またはキャビティは、ピラミッドの変形または異なる錐形と言うことができる。変形は、たとえば、基底面を変更することによって行われてよい。その変更は、たとえば、基底を平坦ではなく曲げるように設計することによって行われる。更に、基底のエッジの形状は、たとえば、直線または曲線またはこれらの組み合わせであってよい。更に、ピラミッドの母面と、したがってその内部を適切なやり方で設計してよい。たとえば、母面を曲げて、ピラミッドまたは錐体の壁が凹、凸、またはこれらの組み合わせになるようにしてよい。本発明に従った構造要素の中の空間は、幾つかの工具で製作されてよい。たとえば、1つのキャビティが幾つかの異なった工具で作られ、したがって幾つかの種類の丸み付けを有してよい。
【0037】
図5〜図15では、本発明に従った構造要素の形状の例が示される。当然のことながら、本発明は図示された形状へ限定されない。図5、図6、および図7において、構造要素は、1つの表面、これらの図面では第2の面が、曲面の設計を有するように示される。図5では、第2の面は1つの凸面を有し、図6では、第2の面は凹面を有する。図7では、面2は多曲面である。
【0038】
図8Aは、本発明に従ったストリップ形構造要素の斜視図である。図8Bは、ストリップ形構造要素の透視図である。ストリップ形構造要素の空間の特徴は、ピラミッドまたは錐空間の基底表面が長方形であって、長方形の幅が進入開口の幅と等しいことである。キャビティのオーバーラップは、内部リブが消滅するほどに可能である。もしストリップ内のキャビティの基底表面の幅が工具の直径よりも大きく、進入開口の幅が最小のままであれば、内部構造ははりの構造に類似するであろう。ストリップは、事実上、はりの特別の変形である。図9Aおよび図9Bで示されるように、はりの側面9および10を曲げてエンドレスにすることができ、したがって構造要素は、たとえば、円錐形または漏斗形になる。
【0039】
図10は、複合ピラミッド形状を有するように示される本発明の構造要素の例である。図10の要素は、X方向で100%のオーバーラップを有し、Z方向で0%より大きいオーバーラップを有する2つのピラミッド形凹所によって形成される。ここで、最初に、対向する2つの面から、開口4および5を介してピラミッド形空間が工作物の中に設けられ、その後で、凹所の外側で更に材料が除去されて、この例ではピラミッドの傾斜壁である接続8のみが残される。
【0040】
図10では、Zオーバーラップは100%よりも小さく、ピラミッドの基底13および14は、開口4および5が設けられた壁と一致しない。当然のことながら、開口4および5が存在する面と基底13および14が一致するように、オーバーラップは100%であることができる。基底13および14が一致して区画壁を形成するように、Zオーバーラップは0%であってよい。
【0041】
図10で示された本発明の構造要素では、他の例と同じように、要素の中の空間の形状を変えることができる。たとえば、空間は、それに対して直立関係の少なくとも部分的な垂直壁を有する6角形基底を有し、XおよびZ方向で100%のオーバーラップを有することができるので、たとえば、図13で示されるような蜂の巣形状の構造要素が得られる。更に、図15の例のように、たとえば、ピラミッドのリブのみが存在するように、ピラミッドの面から材料を部分的に除去することができる。
【0042】
更に、構造要素を球形に設計することができる。球は複数ピラミッドの特別の変形として理解することができる。球形構造要素は、2つのピラミッドのキャビティをくりぬいて中空にすることによって製作されてよい。ピラミッドは円形の基底および凹の内壁を有し、相互に対向して置かれる。X方向のオーバーラップが100%であり、Z方向のオーバーラップが最小の0%であるとき、有効底面は残されず、球状空間が得られる。球の表面に更なる開口を設け、同じ工具を利用して球の直径を拡大することができる。
【0043】
図11は、本発明に従った構造要素の管の例を示す。管は、たとえば、図8Aおよび図8Bで示されるような幾つかのストリップ形要素のアセンブリであると理解できる。管の断面は変えることができ(円、多角形など)、たとえば、長さ方向がテーパであってよい。管の1つの壁では、キャビティはX方向でオーバーラップを有しないが、隣接する2つの壁の間では、キャビティ間の交差が生じる。管と、球で使用されるくりぬき方法とを組み合わせて、パイプ形要素、即ち、円形断面の要素を得ることができる。
【0044】
図12Aおよび図12Bでは、円板形要素が示される。円板形要素1は前壁10および後壁2を有する。図示された例において、前壁および後壁2および10は、同じ方向に複数の曲面を有する。即ち、図12Aおよび図12Bにおいて、後壁2の凹面は前壁10の凸面へ向いている。更に、たとえば、双方の壁の凸面が相互に向き合うか、相互から背けるように円板形要素を設計することができる。後者の場合、円板形要素は、たとえば、円盤形であってよい。そのような要素は、球形要素と曲面ストリップ形要素、たとえば、図9Aおよび図9Bの構造要素とを組み合わせることによって製作されてよい。図12Aおよび図12Bの円板形要素において、円板のエッジ上の開口4を介して放射方向の空間が設けられ、これらの空間はリブ8によって相互に分離される。円板形要素のリブ8は、後壁2の開口5から円板のエッジへ放射方向に延びる幾つかのIプロフィールとして考えてよい。しかし、リブは異なった形状を有することができ、たとえば、円板の中心からエッジへ向けて渦巻き形に延びてよい。全体的方向は放射方向であるが、リブは特に真っ直ぐである必要はない。円板形要素は、更に、後壁2の開口5を介してくりぬかれる。図示された例では、要素は単一の開口5を介して中空にされるが、後壁にある幾つかの開口を介して要素を中空にすることも可能である。リブ8の間の空間は、空間が出会う開口5への通路12を有する。
【0045】
円板形要素は、光学的用途、たとえば、非常に剛性および軽量の鏡に使用できる。光学器械の設計で知られた鏡の構造では、鏡は基底板へ取り付けられる。その欠点は、とりわけ、双方の部品間の制限された接触面に起因して、特に極低温で使用するとき、追加の耐熱性が起こることである。本発明に従った構造要素では、鏡面または反射面を要素に設けることによって、鏡と基底板の機能を結合することができる。たとえば、図12Aおよび図12Bの例において、表面10または表面2を磨くことによって、鏡として設計することができる。双方の機能を結合することによって、耐熱性は少なくとも部分的に低減される。その結果、鏡の光学的正確度も増加する。鏡面は凹、凸、または平坦であってよい。開口を有する面も、鏡面を設けられてよい。
【0046】
図17の例の参照符号15で示されるように、円板形要素に起立エッジ(リブ)を設けることができる。円板形要素の中空面10の剛性は、起立エッジ15に起因して増加する。これは、特に鏡としての使用に適している。なぜなら、剛性が増加する結果として、鏡の光学的偏差が減少するからである。
【0047】
これまで説明したように、本発明に従った構造要素のキャビティまたは空間は、所望される任意の形状を有することができる。たとえば、六角形の基底および第1の面および第2の面からの少なくとも部分的な垂直壁を空間に設け、空間が100%のXオーバーラップおよび0%よりも多いZオーバーラップを有するようにすることによって、図13で示されるような蜂の巣形を有するように空間を設計することができる。更に、図15で示されるように、第1の面2と第2の面3との間で、ピラミッドのリブを形成する接続はりが延びる1つの連続空間を形成することができる。図15では、Xオーバーラップが0%を少し越えて、たとえば5%よりも小さく、Zオーバーラップがほとんど100%であるように、長方形基底を有するピラミッドが開口4および5から中空にされている。
【0048】
たとえば、本発明に従った構造要素へ他の構造を取り付けるため、局所的剛性を増大させることができる。たとえば、キャビティの基底面を縮小し、キャビティの数を大きくすることによって、より高い局所的剛性を得ることができる。更に、キャビティ間でXおよびZ方向における相互間の距離を増加することによって、内壁/リブの全部または一部を厚く設計することができる。更に、追加の内部および/または外部リブを付加するか、要素の表面の1つを局所的または全体的に厚く設計することができる。更に、要素の表面形状を、たとえば、凹または凸に変えることができる。
【0049】
図14で示されるように、更に、工作物の残留材料として設計された内部仕切り801を付加することができる。仕切りは、強度および剛性の局所的増加を確実にする。更に、仕切りによって、本発明に従った構造要素の全体的強度および剛性を増加することができる。その結果、図14の例のように、たとえば点A〜Cの上の負荷を他の4つの点へ移転することができる。図14の例において、仕切り801は工作物の内部にあり、上面の3つの取り付け点A〜Cから、構造要素1のコーナーにある取り付け点(図示されず)へ延びている。図14では、3つのコーナーD〜Fが示される。図14の例では、たとえば、取り付け点A〜Cへ取り付けられた製品の重量は、仕切り801によって要素の4つのコーナー点へ移転され、多くの質量を加えることなく局所的に仕切りの交点で剛性が増加し、全体的剛性も増加する。
【0050】
本発明に従った構造要素の壁、および、あるとすれば仕切りには、多かれ少なかれ開口を設けることができる。側壁は、平坦であることの他に、単一および/または多数の曲面にすることができる。更に、側壁は、たとえば、内部的および/または外部的に材料を付加または除去して、局所的に異なった厚さにすることができる。更に、本発明に従った構造要素の空間は、たとえば、絶縁材料または気体を充填されてよい。もし空間が相互に接続されていれば、これらの空間は、たとえば、冷媒の通路として使用されてよい。当然のことながら、後者の場合、開口を閉鎖しなければならない。
【0051】
図16Aおよび図16Bでは、第1および第2の面2および3の中に、それぞれ開口4および5に隣接して溝16が設けられた本発明の構造要素の例が示される。溝16は、この例では、それぞれの開口の周りに設けられる。溝に起因して、それぞれの面で更なる空間が処理要素のために得られ、空間は開口4および5の中へ傾斜角を増して設けることができる。更に、溝に起因して、それぞれの面の表面の局所的剛性が増加する。これは、たとえば、他の部品を構造要素へ取り付けるときに有用である。図示された例は、特に平衡懸架での使用に適している。
【0052】
図16Bにおける本発明の構造要素の例は、図16aで示されたユニットの幾つかを含む。図16Aに示されるユニットは、第1および第2の面2および3を相互に接続する3つのリブ8を有する。リブの数は、0から無限、即ち、蜂の巣形接続へ変えられてよい。実際には、数はほとんど3と6との間である。図示された例では、第1の開口を介して製作された空間と、第2の開口を介して製作された空間との、Xオーバーラップは100%であり、Zオーバーラップはほぼ100%である。
【0053】
注意すべきこととして、本発明は、これまでに説明された例に限定されない。これまでの説明を読めば、変形は当業者にとって自明となろう。たとえば、第1および/または第2の開口は、構造要素のエッジまたはコーナーに設けることができる。
【0054】
更に注意すべきこととして、「含む」の用語は、言及された要素に加えて、他の要素が存在することを排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に従った構造要素を製作する装置の例示的実施形態を示す略図である。
【図2】本発明に従った構造要素を製作する例示的方法を概略的に示すフローチャートである。
【図3】本発明に従った構造要素の例示的部分の製作段階における概略断面図である。
【図4A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図4B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図4C】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図5】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図6】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図7】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図8A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図8B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図9A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図9B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図10】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図11】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図12A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図12B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図13】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図14】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図15】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図16A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図16B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図17】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は構造要素に関する。更に、本発明は、構造要素を製作する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1つの面をくり抜かれて中空にされた構造要素は知られている。くり抜かれるとき、起立する壁が要素の中に残され、それによって軽量で頑丈な構造体が得られる。機械で加工された後、要素がくり抜かれた面は事実上完全に開かれている。
【0003】
たとえば、米国特許第4,678,293号は、平坦でない反射面を有する重量低減鏡を説明している。この鏡は、背面のフライス削りによって得られたセルを有する光学材料の集合体を含む。
【0004】
既に知られたこれらの構造要素の欠点は、それらが剛体でないことである。特に、曲げおよびねじれ負荷を有するとき、既に知られた構造要素は、事実上完全に開放された面に起因して剛体ではない。この欠点を除去するため、製作の後、たとえば平坦な板によって開放面を閉鎖することが知られている。たとえば、米国特許第5,076,700号は、中心部および背面が1つのガラス体から得られる軽量鏡を説明している。中心部は前面から穴あけされ、中心部へ剛性を与えるため壁が残される。背面には、穴あけされた部品を設けることができる。この部品は、圧力差を等しくするための開口を有する。更に、背面には、取り付け孔をあけることができる。開放された前面には、反射面を有する前面シートが置かれる。しかし、開放面の閉鎖は、得られた閉鎖要素で要素の残り部分へ平坦シートを取り付けると、局所的に弱くなるという欠点を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改善された構造要素を提供することである。特に、本発明の目的は、軽量であると共に、特に曲げまたはねじれ負荷を加えられたとき剛性を示す構造要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明は、少なくとも1つの第1の開口を有する少なくとも1つの第1の面、少なくとも1つの第2の開口を有する少なくとも1つの第2の面、第1および第2の面の間にあって第1の開口へ接続された少なくとも1つの第1の空間、第1および第2の面の間にあって第2の開口へ接続された少なくとも1つの第2の空間、第1の面と第2の面との間にあって空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続を含み、第1の面、第2の面、および接続が1つの一体的全体を形成し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向けて狭くなっている構造要素を提供する。
【0007】
そのような要素は、第1の空間および第2の空間が存在するために軽量である。更に、第1および第2の面の間に接続があるために、本発明に従った構造要素は剛性である。更に、第1の面、第2の面、および接続は1つの一体的全体を形成し、したがって本発明に従った構造要素は局所的弱さを有しない。
【0008】
本発明は、更に、クレーム24に従った鏡を提供する。そのような鏡では、本発明に従った構造要素を有利に使用することができる。なぜなら、特に鏡の場合、軽量および剛体構造が望まれるからである。それは、できるだけ光学的に良好であると共に容易に配置できる鏡を得るためである。
【0009】
本発明は、更に、クレーム26に従った方法を提供する。そのような方法を使用すると、本発明に従った構造要素を製作することができる。
【0010】
本発明は、更に、クレーム27に従った装置を提供する。そのような装置は、本発明に従った構造要素の自動的製作に適してする。本発明は、更に、クレーム29に従ってコンピュータプログラムを設けられたデータキャリヤを提供する。そのようなプログラムを使用すると、本発明に従った装置を制御することができる。
【0011】
本発明の具体的実施形態は、従属クレームに記載される。本発明の更なる詳細、様相、および実施形態は、この後で、図面で示された例を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、本発明に従った装置の例が示される。図示される例は、多軸機械加工装置であり、更に具体的には、5軸フライス削り装置100である。5軸フライス削り装置そのものは、たとえば、米国特許第5,669,867号から知られる。フライス削り装置100は、工作物102のホルダ101を有するフレーム106およびカッター112を含む。ホルダ101およびカッター112は相互に対して移動可能である。図示された例では、ホルダ101は、フレーム106に対して回転軸103の周りを回転することができる。カッター112は、矢印104および105で示されるように、フレーム106に対して水平方向および垂直方向へ動くことができる。回転軸103は、工作物102が存在するホルダ101の平面に関して或る角度にある。カッター112に対する工作物102の角度は、米国特許第5,669,867号から知られるように、軸103の周りでホルダ101を回転させることによって変えることができる。
【0013】
ホルダ101の回転、カッター112の動き、およびカッター112は、駆動ユニット108〜111、たとえば電動機によって駆動される。駆動ユニットは中央制御装置107と通信するように接続される。制御装置107は、駆動ユニット108〜111を介してフライス削り装置101を駆動するため制御ユニット1071〜1074を設けられる。図示された例において、制御ユニット1071〜1074の各々は、中央制御ユニット1075から来る命令を、それぞれのユニット108〜111の駆動信号へ変換するように配列される。中央制御ユニット1075は命令を送り、機械加工の間、工作物が駆動ユニット108〜111および関連制御ユニット1071〜1075によって適切に配置され、所望される処理が実行されるようにする。
【0014】
5軸フライス削り装置100のような装置では、工具112、たとえばカッターを、傾けおよび回転によって、工作物102に対して実質的に任意の方位および位置へ置くことができる。本発明に従った装置または方法の示された例において、たとえば、工作物を切削および/または研削することによって、キャビティまたは空間が2つ以上の面から工作物の中に作られる。したがって、本発明に従った構造要素へ工作物を機械加工し、小さな開口を介して比較的大きな内部容積を工作物から除去し、比較的大きな空間を工作物の中に形成することができる。
【0015】
フライス削り装置100は、本発明に従った方法を大きな正確度で実行することができる。しかし、本発明に従った方法は、更に、異なった手段、たとえば、手によって実行することができる。図2には、本発明に従った方法の例がフローチャートとして概略的に示される。第1のステップ200では、工作物の第1の面に開口が設けられる。次に、第2のステップ201で、第1の面の開口から工作物がくりぬかれて中空にされる。ステップ202では、第2の開口が工作物の第2の面に設けられ、ステップ203では、更に工作物が第2の開口からくりぬかれて中空にされる。一般的に、第2の面は第1の面の反対側に位置する。しかし、これは厳密には必要とされない。図2の矢印204〜207で示されるように、1つの面の材料を除去した後、次の開口を設けることができ、そのためにステップ200または202を再び実行するか、他の面に開口を設けることができる。したがって、双方の面から同時に工作物を機械加工することも可能である。
【0016】
図2のフローチャートで示された本発明の方法の例のステップは、異なった順序で実行されることもできる。たとえば、最初に第1の面で第1の開口を設け、その後または同時に、第2の面に第2の開口を設け、続いて第1の開口を介して工作物を中空にし、次に第2の開口を介して中空にするか、最初に第2の開口を介し、次に第1の開口を介するか、または双方の開口から同時に中空にすることができる。
【0017】
本発明に従った方法は、たとえば、切削または研削される材料で利用されることができる。本発明に従った方法を使用すると、良好な全体的公差を得ることができる。なぜなら、本発明に従った方法は、部品の減少を導くからである。たとえば、良好な剛性を得るための別個のカバープレートは不要である。したがって、部品の減少は、部品間に潜在する比較的不正確な移動の数の減少を導き、全体的正確度が増加する。
【0018】
高い内部応力を有する材料を機械加工するとき、材料の除去は製品の変形を導くかも知れない。本発明に従った構造要素では、面の間の接続に起因して、そのような可能な変形は減少する。更に、たとえば図16A〜図16Bの例のように、構造要素が高度の対称性を有するように設計することができる。この好ましい効果は、2つの面から材料をバランスよく除去できることである。その結果、1つの面を機械加工した後に生じた変形は、第2の面を機械加工した後に幾分減少するであろう。これらの2つの効果は組み合わせられて、全体的正確度を更に増大させる。
【0019】
更に、たとえば、精密調整するための調節メカニズムを不要にすることができる。なぜなら、増大した全体的正確度に起因して、全体が十分に正確だからである。これは、特に、部品の数、重量、およびテスト並びにアライメント時間を減らす。
【0020】
更に、本発明に従った方法は、大きな設計選択肢を提供する。なぜなら、所与の工作可能な容積について、より剛体および/または軽量の部品を製作できるからである。これは、本発明に従った構造要素と何らかの関係を有する他の部品を設計するとき、自由度の更なる拡大をもたらす。
【0021】
更に、本発明の方法を使用して製作された構造要素は、比較的少ないアセンブリ部品および比較的短いアセンブリ時間を有する。これは、構成部品の限定された数、および、たとえば精密調整の調節メカニズムを不要にする可能性に起因する。本発明に従った構造要素の局所的剛性は、幾つかの方法、たとえば、内部構造を変えることによって増大させることができる。たとえば、開口を有する面の内側空間に追加の補強リブを残すことによって、内部構造が変えられる。外部構造も、たとえば、局所的厚さを増大させることによって、その目的に適合させることができる。
【0022】
図3は、この例において、相互に対向する位置にある2つの面から工作物を中空にして、本発明に従った構造要素へ形成する方法の例を示す。工作物1の第1の面の第1の開口4から、機械加工要素112、この例ではカッターを使用して空間6が設けられた。カッターまたは他の工具を使用して、第1の開口4から工作物を中空にすることによって空間が設けられる。第2の面2から、第2の開口5を介しても、工作物1はカッター112を使用して中空にされる。
【0023】
図示された例において、第1および第2の面2および3の表面に対するカッター112の角度は変えられるが、それぞれの開口は顕著には拡大されない。その結果、構造要素は軽量になるが、表面の大部分は無傷のままである。この例において、その目的のため、カッター112は、それぞれの開口4または5のロケーションで、工作物の元の表面の中または隣接して置かれたピボットの周りで回動される。こうして、小さな開口を介して、大量の材料を工作物1から除去することができる。工作物の表面2および3の開口4および5は、それぞれ空間6のくびれを形成する。更に、工具112は、それぞれの表面2および3への或る角度で保持され、開口4および5から離れて表面2および3に隣接した材料は除去されず、表面2および3は実質的に無傷のままに残される。
【0024】
図3の例では、工作物の中で円錐空間が設けられる。空間6は、ほぼ平坦な基底61、および基底面61に位置して基底面を取り囲む閉曲線の点および基底の外側の点の母面8によって形成される平面によって取り囲まれる。図示された例において、基底の外側の点は、工作物1の表面2および3のそれぞれの開口に隣接する。図示された例において、平坦な基底61は、回動するとき、カッター112が工作物の中へ挿入される距離を変えることによって得られる。基底および母面の双方は、所望の形状および位置を有することができる。本発明に従った構造要素では、空間は、異なった形状、たとえば、球、立方体などであってよい。
【0025】
本発明に従った構造要素では、要素の脆弱化は、開口を有する面がほぼ完全に無傷である点で、可能な限り防止されている。工具の進入開口、即ち、図3の開口4および5のみが、それぞれの表面を中断している。
【0026】
本発明に従った構造要素は、特に曲げまたはねじれの場合に、非常に剛性を示す。壁の厚さ、基底の厚さ、および本発明の特定の使用方法に依存して、本発明に従った構造要素は、同じ自重を有する既知の要素よりも少なくとも2倍の剛性を有することが、シミュレーションによって示された。
【0027】
本発明に従った構造要素は、更に、重量を軽くすることができる。それは、特に、面の間で無傷に残される接続に起因して、比較的薄い壁およびリブで十分だからである。たとえば、アルミニウムの場合、本発明に従った構造要素では、一般に0.3mmの壁の厚さが良好に得られることが分かった。更に、本発明に従った構造要素では、5%よりも少ない軽量パーセンテージが得られることが分かった。従来の知られた構造要素では、多くの場合、20%よりも多いパーセンテージが得られる。ここで、軽量パーセンテージとは、構造要素の全体の容積と比較して、構造要素がどれくらいの材料容積を有するかを示す。
【0028】
更に、高度の剛性および軽量の組み合わせに起因して、本発明に従った構造要素は高い固有振動数を有し、使用された場合、所望されない振動は構造要素の中でほとんどまたは全く起こらない。その結果、本発明に従った構造要素は、多くの振動が起こる場所、たとえば、燃焼機関の近くで使用することができる。更に、同じ重量での高い剛性は、本発明に従った製作プロセスの間に誘導される曲げを少なくすると共に振動振幅を低くし、したがって構造要素の表面を滑らかで正確な設計にすることができる。
【0029】
本発明に従った構造要素は、単一の部品から製作され、したがって均質またはモノリシックな実体を形成する。その結果、本発明に従った構造要素は、極端な状態、たとえば、極低温状態、高温、または真空での使用に特に適している。なぜなら、要素の全体が極端な状態へ同じように反応するからである。更に、本発明に従った構造要素は、含まれる材料が少ないので、良好な熱伝達および短い冷却および/または加熱サイクルを有し、したがってそのような構造要素は、温度差が防止される結果として、たとえば材料中の応力を迅速かつ容易に調整する。
【0030】
本発明に従った構造要素は、更に、たとえば、光学または航空学的使用、たとえば、望遠鏡または飛行機または宇宙船の骨組に使用可能である。本発明に従った構造要素は、半導体産業でも使用可能である。特に、いわゆるウェーハステッパでは、半導体材料の薄いスライス(ウェーハ)が存在するキャリヤ(ステッパ)が迅速および大きな正確度で配置されることが重要である。ここで、本発明に従った構造要素は有利に使用され、キャリヤは、軽量の結果として短時間で加速または減速され、大きな剛性の結果として正確に配置される。更に、製品の高い加速/減速が起こる他の使用、たとえば、機構またはロボット、機械加工装置、測定器械、「ピックアンドプレース」機構、たとえば、構成部品配置機械、「ワイヤボンダ」、プリンタ、および他の専門的移動機械の使用においても、類似の利点が得られる。
【0031】
更に、本発明に従った構造要素において、特に、要素の中の空間が相互に接続される場合、構造要素の開口を介してケーブルおよびダクトを簡単に配列することができる。
【0032】
図3において、空間6は、表面2および3を相互に接続する接続要素8によって相互から分離される。図3において、接続要素8は、隣接した2つの空間6を分離している壁である。更に、空間は、大きいか小さい範囲でオーバーラップすることも可能である。オーバーラップはパーセンテージで表わされ、0から100%の間で変動することができる。これは、図3の矢印XおよびZで示されるように、2つの方向XおよびZで起こることができる。X方向は、工作物が中空にされる2つの表面から等しい距離にある虚の平面にある。図3において、この平面は、開口4および5が置かれた表面2および3と平行で等しい距離にある。Z方向は、その平面の垂直面に対応する。空間6のそれぞれの進入開口4および5の中央を通るX方向の垂直面は、図3の点線CA1およびCA2によって示される中央キャビティ軸である。
【0033】
X方向のオーバーラップは、第1のキャビティおよび隣接するキャビティが相互とまさに接触する虚の距離または角度と、隣接する2つのキャビティの中央軸の間の距離または角度との比として定義される。キャビティが正確に接触するとき、0%のオーバーラップが存在する。キャビティが一致するとき、100%のオーバーラップが存在する。Z方向でのオーバーラップの範囲は、X方向に投影された2つの隣接キャビティの中央キャビティ軸が一致する範囲として定義される。図3では、X方向に投影されたとき、中心キャビティ軸は部分的に相互にオーバーラップするが、完全にはオーバーラップせず、したがってZ方向では100%よりも小さなオーバーラップが存在する。
【0034】
図4A〜図4Cでは、表面2および3の間の空間および接続の例が示される。図4Aでは、本発明に従った構造要素1の中央のキャビティが示され、図4Bでは、構造要素1の面の近くのキャビティが示される。図4Cでは、本発明に従った構造要素のコーナーに近いキャビティが示される。図1Aでは、第1の面2と第2の面3との間のキャビティが、点線で示される正方形の基底61を有するピラミッドを形成する。ピラミッドの頂点は省略される。なぜなら、これは工具の進入開口4によって形成されるからである。この理由によって、厳密に言えば、ピラミッドによって画定される空間は、長方形基底を有する切頭ピラミッドまたは切頭錐の形状を有する。ピラミッド形キャビティは、図4Aでは示されない構造要素中の他のキャビティと連通する。ピラミッド形キャビティは、第1の面2と第2の面3との間の接続81〜84によって画定される。ここで、接続はピラミッドのリブを形成する。図4Bの例では、ピラミッド形キャビティを画定する接続81〜87は、構造要素1のエッジにある。そこでは、接続81〜84は、非正方形を形成する基底を有するピラミッドのリブを形成する。接続85〜87は、三角形基底を有するピラミッドのリブを形成する。図4Cでは、接続82および87は構造要素のリブを形成し、接続81〜84および85〜87は、それぞれ構造要素のコーナーを形成するピラミッドを形成する。
【0035】
図4A〜図4Cでは、接続81〜84はピラミッドのリブを形成するが、第1の面と第2の面との間の接続は、異なるように設計することができ、たとえば、ピラミッドの面を形成し、相互に接続され、ピラミッドによって画定された空間が構造要素の他の面から分離され、したがって空間がX方向で0%のオーバーラップを有するようにされてよい。
【0036】
広い意味では、本発明に従った構造要素の全ての空間またはキャビティは、ピラミッドの変形または異なる錐形と言うことができる。変形は、たとえば、基底面を変更することによって行われてよい。その変更は、たとえば、基底を平坦ではなく曲げるように設計することによって行われる。更に、基底のエッジの形状は、たとえば、直線または曲線またはこれらの組み合わせであってよい。更に、ピラミッドの母面と、したがってその内部を適切なやり方で設計してよい。たとえば、母面を曲げて、ピラミッドまたは錐体の壁が凹、凸、またはこれらの組み合わせになるようにしてよい。本発明に従った構造要素の中の空間は、幾つかの工具で製作されてよい。たとえば、1つのキャビティが幾つかの異なった工具で作られ、したがって幾つかの種類の丸み付けを有してよい。
【0037】
図5〜図15では、本発明に従った構造要素の形状の例が示される。当然のことながら、本発明は図示された形状へ限定されない。図5、図6、および図7において、構造要素は、1つの表面、これらの図面では第2の面が、曲面の設計を有するように示される。図5では、第2の面は1つの凸面を有し、図6では、第2の面は凹面を有する。図7では、面2は多曲面である。
【0038】
図8Aは、本発明に従ったストリップ形構造要素の斜視図である。図8Bは、ストリップ形構造要素の透視図である。ストリップ形構造要素の空間の特徴は、ピラミッドまたは錐空間の基底表面が長方形であって、長方形の幅が進入開口の幅と等しいことである。キャビティのオーバーラップは、内部リブが消滅するほどに可能である。もしストリップ内のキャビティの基底表面の幅が工具の直径よりも大きく、進入開口の幅が最小のままであれば、内部構造ははりの構造に類似するであろう。ストリップは、事実上、はりの特別の変形である。図9Aおよび図9Bで示されるように、はりの側面9および10を曲げてエンドレスにすることができ、したがって構造要素は、たとえば、円錐形または漏斗形になる。
【0039】
図10は、複合ピラミッド形状を有するように示される本発明の構造要素の例である。図10の要素は、X方向で100%のオーバーラップを有し、Z方向で0%より大きいオーバーラップを有する2つのピラミッド形凹所によって形成される。ここで、最初に、対向する2つの面から、開口4および5を介してピラミッド形空間が工作物の中に設けられ、その後で、凹所の外側で更に材料が除去されて、この例ではピラミッドの傾斜壁である接続8のみが残される。
【0040】
図10では、Zオーバーラップは100%よりも小さく、ピラミッドの基底13および14は、開口4および5が設けられた壁と一致しない。当然のことながら、開口4および5が存在する面と基底13および14が一致するように、オーバーラップは100%であることができる。基底13および14が一致して区画壁を形成するように、Zオーバーラップは0%であってよい。
【0041】
図10で示された本発明の構造要素では、他の例と同じように、要素の中の空間の形状を変えることができる。たとえば、空間は、それに対して直立関係の少なくとも部分的な垂直壁を有する6角形基底を有し、XおよびZ方向で100%のオーバーラップを有することができるので、たとえば、図13で示されるような蜂の巣形状の構造要素が得られる。更に、図15の例のように、たとえば、ピラミッドのリブのみが存在するように、ピラミッドの面から材料を部分的に除去することができる。
【0042】
更に、構造要素を球形に設計することができる。球は複数ピラミッドの特別の変形として理解することができる。球形構造要素は、2つのピラミッドのキャビティをくりぬいて中空にすることによって製作されてよい。ピラミッドは円形の基底および凹の内壁を有し、相互に対向して置かれる。X方向のオーバーラップが100%であり、Z方向のオーバーラップが最小の0%であるとき、有効底面は残されず、球状空間が得られる。球の表面に更なる開口を設け、同じ工具を利用して球の直径を拡大することができる。
【0043】
図11は、本発明に従った構造要素の管の例を示す。管は、たとえば、図8Aおよび図8Bで示されるような幾つかのストリップ形要素のアセンブリであると理解できる。管の断面は変えることができ(円、多角形など)、たとえば、長さ方向がテーパであってよい。管の1つの壁では、キャビティはX方向でオーバーラップを有しないが、隣接する2つの壁の間では、キャビティ間の交差が生じる。管と、球で使用されるくりぬき方法とを組み合わせて、パイプ形要素、即ち、円形断面の要素を得ることができる。
【0044】
図12Aおよび図12Bでは、円板形要素が示される。円板形要素1は前壁10および後壁2を有する。図示された例において、前壁および後壁2および10は、同じ方向に複数の曲面を有する。即ち、図12Aおよび図12Bにおいて、後壁2の凹面は前壁10の凸面へ向いている。更に、たとえば、双方の壁の凸面が相互に向き合うか、相互から背けるように円板形要素を設計することができる。後者の場合、円板形要素は、たとえば、円盤形であってよい。そのような要素は、球形要素と曲面ストリップ形要素、たとえば、図9Aおよび図9Bの構造要素とを組み合わせることによって製作されてよい。図12Aおよび図12Bの円板形要素において、円板のエッジ上の開口4を介して放射方向の空間が設けられ、これらの空間はリブ8によって相互に分離される。円板形要素のリブ8は、後壁2の開口5から円板のエッジへ放射方向に延びる幾つかのIプロフィールとして考えてよい。しかし、リブは異なった形状を有することができ、たとえば、円板の中心からエッジへ向けて渦巻き形に延びてよい。全体的方向は放射方向であるが、リブは特に真っ直ぐである必要はない。円板形要素は、更に、後壁2の開口5を介してくりぬかれる。図示された例では、要素は単一の開口5を介して中空にされるが、後壁にある幾つかの開口を介して要素を中空にすることも可能である。リブ8の間の空間は、空間が出会う開口5への通路12を有する。
【0045】
円板形要素は、光学的用途、たとえば、非常に剛性および軽量の鏡に使用できる。光学器械の設計で知られた鏡の構造では、鏡は基底板へ取り付けられる。その欠点は、とりわけ、双方の部品間の制限された接触面に起因して、特に極低温で使用するとき、追加の耐熱性が起こることである。本発明に従った構造要素では、鏡面または反射面を要素に設けることによって、鏡と基底板の機能を結合することができる。たとえば、図12Aおよび図12Bの例において、表面10または表面2を磨くことによって、鏡として設計することができる。双方の機能を結合することによって、耐熱性は少なくとも部分的に低減される。その結果、鏡の光学的正確度も増加する。鏡面は凹、凸、または平坦であってよい。開口を有する面も、鏡面を設けられてよい。
【0046】
図17の例の参照符号15で示されるように、円板形要素に起立エッジ(リブ)を設けることができる。円板形要素の中空面10の剛性は、起立エッジ15に起因して増加する。これは、特に鏡としての使用に適している。なぜなら、剛性が増加する結果として、鏡の光学的偏差が減少するからである。
【0047】
これまで説明したように、本発明に従った構造要素のキャビティまたは空間は、所望される任意の形状を有することができる。たとえば、六角形の基底および第1の面および第2の面からの少なくとも部分的な垂直壁を空間に設け、空間が100%のXオーバーラップおよび0%よりも多いZオーバーラップを有するようにすることによって、図13で示されるような蜂の巣形を有するように空間を設計することができる。更に、図15で示されるように、第1の面2と第2の面3との間で、ピラミッドのリブを形成する接続はりが延びる1つの連続空間を形成することができる。図15では、Xオーバーラップが0%を少し越えて、たとえば5%よりも小さく、Zオーバーラップがほとんど100%であるように、長方形基底を有するピラミッドが開口4および5から中空にされている。
【0048】
たとえば、本発明に従った構造要素へ他の構造を取り付けるため、局所的剛性を増大させることができる。たとえば、キャビティの基底面を縮小し、キャビティの数を大きくすることによって、より高い局所的剛性を得ることができる。更に、キャビティ間でXおよびZ方向における相互間の距離を増加することによって、内壁/リブの全部または一部を厚く設計することができる。更に、追加の内部および/または外部リブを付加するか、要素の表面の1つを局所的または全体的に厚く設計することができる。更に、要素の表面形状を、たとえば、凹または凸に変えることができる。
【0049】
図14で示されるように、更に、工作物の残留材料として設計された内部仕切り801を付加することができる。仕切りは、強度および剛性の局所的増加を確実にする。更に、仕切りによって、本発明に従った構造要素の全体的強度および剛性を増加することができる。その結果、図14の例のように、たとえば点A〜Cの上の負荷を他の4つの点へ移転することができる。図14の例において、仕切り801は工作物の内部にあり、上面の3つの取り付け点A〜Cから、構造要素1のコーナーにある取り付け点(図示されず)へ延びている。図14では、3つのコーナーD〜Fが示される。図14の例では、たとえば、取り付け点A〜Cへ取り付けられた製品の重量は、仕切り801によって要素の4つのコーナー点へ移転され、多くの質量を加えることなく局所的に仕切りの交点で剛性が増加し、全体的剛性も増加する。
【0050】
本発明に従った構造要素の壁、および、あるとすれば仕切りには、多かれ少なかれ開口を設けることができる。側壁は、平坦であることの他に、単一および/または多数の曲面にすることができる。更に、側壁は、たとえば、内部的および/または外部的に材料を付加または除去して、局所的に異なった厚さにすることができる。更に、本発明に従った構造要素の空間は、たとえば、絶縁材料または気体を充填されてよい。もし空間が相互に接続されていれば、これらの空間は、たとえば、冷媒の通路として使用されてよい。当然のことながら、後者の場合、開口を閉鎖しなければならない。
【0051】
図16Aおよび図16Bでは、第1および第2の面2および3の中に、それぞれ開口4および5に隣接して溝16が設けられた本発明の構造要素の例が示される。溝16は、この例では、それぞれの開口の周りに設けられる。溝に起因して、それぞれの面で更なる空間が処理要素のために得られ、空間は開口4および5の中へ傾斜角を増して設けることができる。更に、溝に起因して、それぞれの面の表面の局所的剛性が増加する。これは、たとえば、他の部品を構造要素へ取り付けるときに有用である。図示された例は、特に平衡懸架での使用に適している。
【0052】
図16Bにおける本発明の構造要素の例は、図16aで示されたユニットの幾つかを含む。図16Aに示されるユニットは、第1および第2の面2および3を相互に接続する3つのリブ8を有する。リブの数は、0から無限、即ち、蜂の巣形接続へ変えられてよい。実際には、数はほとんど3と6との間である。図示された例では、第1の開口を介して製作された空間と、第2の開口を介して製作された空間との、Xオーバーラップは100%であり、Zオーバーラップはほぼ100%である。
【0053】
注意すべきこととして、本発明は、これまでに説明された例に限定されない。これまでの説明を読めば、変形は当業者にとって自明となろう。たとえば、第1および/または第2の開口は、構造要素のエッジまたはコーナーに設けることができる。
【0054】
更に注意すべきこととして、「含む」の用語は、言及された要素に加えて、他の要素が存在することを排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に従った構造要素を製作する装置の例示的実施形態を示す略図である。
【図2】本発明に従った構造要素を製作する例示的方法を概略的に示すフローチャートである。
【図3】本発明に従った構造要素の例示的部分の製作段階における概略断面図である。
【図4A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図4B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図4C】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略透視図である。
【図5】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図6】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図7】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図8A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図8B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図9A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図9B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図10】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図11】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図12A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図12B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図13】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図14】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図15】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図16A】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図16B】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【図17】本発明に従った構造要素の例示的実施形態の概略斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造要素であって、
少なくとも1つの第1の開口を有する少なくとも1つの第1の面と、
少なくとも1つの第2の開口を有する少なくとも1つの第2の面と、
第1および第2の面の間にあって第1の開口へ接続された少なくとも1つの第1の空間と、
第1および第2の面の間にあって第2の開口へ接続された少なくとも1つの第2の空間と、
第1の面と第2の面との間にあって空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続とを含み、
第1の面、第2の面、および接続が1つの一体的全体を形成し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向かって狭くなっている
構造要素。
【請求項2】
空間の少なくとも1つが錐形またはピラミッド形である、請求項1または2に記載の構造要素。
【請求項3】
第1および第2の面の間に少なくとも2つのはり形接続を含み、該はり形接続が空間を少なくとも部分的に画定する、請求項1または2に記載の構造要素。
【請求項4】
はり形接続が錐の母面またはピラミッドのリブを形成する、請求項3に記載の構造要素。
【請求項5】
はり形接続が、更に、構造要素のリブを形成する、請求項3または4に記載の構造要素。
【請求項6】
第1の空間および第2の空間が少なくとも部分的にオーバーラップする、請求項1から5のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項7】
第1の面の表面の10%より少ない表面が開口によって形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項8】
第2の面の表面の10%より少ない表面が開口によって形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項9】
空間が、第1の面と第2の面との間に位置する構造要素容積の少なくとも50%を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項10】
空間が、第1の面と第2の面との間に位置する構造要素容積の90%を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項11】
第1の面および第2の面が相互から或る距離の所にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項12】
第1の面が第2の面と平行ではない、請求項1から11のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項13】
第1の面および第2の面がほぼ平行である、請求項1から13のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項14】
更に、第1の面と第2の面との間に少なくとも1つの側面を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項15】
側面または面の少なくとも1つが少なくとも部分的に曲がっている、請求項1から14のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項16】
側面または面の少なくとも1つが単一の曲面である、請求項14に記載の構造要素。
【請求項17】
側面または面の少なくとも1つが複数の曲面である、請求項14に記載の構造要素。
【請求項18】
第1および第2の面の少なくとも1つの表面が環状であり、面の間に第1の面の表面および第2の面の表面が存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項19】
環状の第1の面の直径が、環状の第2の面の直径よりも大きい、請求項18に記載の構造要素。
【請求項20】
第1の面の表面および第2の面の表面が、第1の面または第2の面よりも大きい表面を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項21】
面の表面の少なくとも1つが円板形である、請求項1から20のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項22】
球形要素の表面が第1の面および第2の面を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項23】
少なくとも部分的にアルミニウムから構成される、請求項1から22のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の構造要素を含む鏡であって、少なくとも1つの面または表面が少なくとも部分的に反射面である鏡。
【請求項25】
構造要素が請求項20に記載の構造要素であって、円板形側面の1つが反射面を含む、請求項24に記載の鏡。
【請求項26】
少なくとも第1の面および少なくとも第2の面を有する工作物から請求項1から25のいずれか一項に記載の構造要素を製作する方法であって、
第1の面に第1の開口を設け、
工作物の中で第1の中空空間が得られるように、第1の開口を介して、第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
第2の面に第2の開口を設け、
工作物の中で第2の中空空間が得られるように、第2の開口を介して、第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
第1の面と第2の面との間に、空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続要素が形成され、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向って狭くなるように、材料の除去が実行される
方法。
【請求項27】
請求項1から25のいずれか一項に記載の構造要素を製作する装置であって、
少なくとも1つの機械加工要素と、
少なくとも1つの工作物のための少なくとも1つのホルダと、
少なくとも1つの機械加工要素および少なくとも1つのホルダを駆動するための少なくとも1つの制御装置とを含み、
該制御装置が、
少なくとも第1の開口を第1の面に設け、
少なくとも第1の中空空間が得られるように、少なくとも1つの機械加工要素を使用し、少なくとも1つの第1の開口を介して第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
少なくとも1つの第2の開口を第2の面に設け、少なくとも第2の中空空間が得られるように、少なくとも1つの機械加工要素を使用し、少なくとも第2の開口を介して第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向って狭くなるような配列にするユニットを含む、
装置。
【請求項28】
少なくとも1つの機械加工要素の少なくとも1つが多軸フライス削り装置を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
プログラム可能装置でロード可能なプログラムを表すデータを提供されたデータキャリヤであって、前記プログラムが、請求項27または28に記載の装置を使用して請求項26に記載の方法の1つまたは複数のステップを実行するプログラムコードを含むデータキャリヤ。
【請求項1】
構造要素であって、
少なくとも1つの第1の開口を有する少なくとも1つの第1の面と、
少なくとも1つの第2の開口を有する少なくとも1つの第2の面と、
第1および第2の面の間にあって第1の開口へ接続された少なくとも1つの第1の空間と、
第1および第2の面の間にあって第2の開口へ接続された少なくとも1つの第2の空間と、
第1の面と第2の面との間にあって空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続とを含み、
第1の面、第2の面、および接続が1つの一体的全体を形成し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向かって狭くなっている
構造要素。
【請求項2】
空間の少なくとも1つが錐形またはピラミッド形である、請求項1または2に記載の構造要素。
【請求項3】
第1および第2の面の間に少なくとも2つのはり形接続を含み、該はり形接続が空間を少なくとも部分的に画定する、請求項1または2に記載の構造要素。
【請求項4】
はり形接続が錐の母面またはピラミッドのリブを形成する、請求項3に記載の構造要素。
【請求項5】
はり形接続が、更に、構造要素のリブを形成する、請求項3または4に記載の構造要素。
【請求項6】
第1の空間および第2の空間が少なくとも部分的にオーバーラップする、請求項1から5のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項7】
第1の面の表面の10%より少ない表面が開口によって形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項8】
第2の面の表面の10%より少ない表面が開口によって形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項9】
空間が、第1の面と第2の面との間に位置する構造要素容積の少なくとも50%を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項10】
空間が、第1の面と第2の面との間に位置する構造要素容積の90%を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項11】
第1の面および第2の面が相互から或る距離の所にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項12】
第1の面が第2の面と平行ではない、請求項1から11のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項13】
第1の面および第2の面がほぼ平行である、請求項1から13のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項14】
更に、第1の面と第2の面との間に少なくとも1つの側面を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項15】
側面または面の少なくとも1つが少なくとも部分的に曲がっている、請求項1から14のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項16】
側面または面の少なくとも1つが単一の曲面である、請求項14に記載の構造要素。
【請求項17】
側面または面の少なくとも1つが複数の曲面である、請求項14に記載の構造要素。
【請求項18】
第1および第2の面の少なくとも1つの表面が環状であり、面の間に第1の面の表面および第2の面の表面が存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項19】
環状の第1の面の直径が、環状の第2の面の直径よりも大きい、請求項18に記載の構造要素。
【請求項20】
第1の面の表面および第2の面の表面が、第1の面または第2の面よりも大きい表面を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項21】
面の表面の少なくとも1つが円板形である、請求項1から20のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項22】
球形要素の表面が第1の面および第2の面を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項23】
少なくとも部分的にアルミニウムから構成される、請求項1から22のいずれか一項に記載の構造要素。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の構造要素を含む鏡であって、少なくとも1つの面または表面が少なくとも部分的に反射面である鏡。
【請求項25】
構造要素が請求項20に記載の構造要素であって、円板形側面の1つが反射面を含む、請求項24に記載の鏡。
【請求項26】
少なくとも第1の面および少なくとも第2の面を有する工作物から請求項1から25のいずれか一項に記載の構造要素を製作する方法であって、
第1の面に第1の開口を設け、
工作物の中で第1の中空空間が得られるように、第1の開口を介して、第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
第2の面に第2の開口を設け、
工作物の中で第2の中空空間が得られるように、第2の開口を介して、第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
第1の面と第2の面との間に、空間を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの接続要素が形成され、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向って狭くなるように、材料の除去が実行される
方法。
【請求項27】
請求項1から25のいずれか一項に記載の構造要素を製作する装置であって、
少なくとも1つの機械加工要素と、
少なくとも1つの工作物のための少なくとも1つのホルダと、
少なくとも1つの機械加工要素および少なくとも1つのホルダを駆動するための少なくとも1つの制御装置とを含み、
該制御装置が、
少なくとも第1の開口を第1の面に設け、
少なくとも第1の中空空間が得られるように、少なくとも1つの機械加工要素を使用し、少なくとも1つの第1の開口を介して第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、
少なくとも1つの第2の開口を第2の面に設け、少なくとも第2の中空空間が得られるように、少なくとも1つの機械加工要素を使用し、少なくとも第2の開口を介して第1および第2の面の間に位置する材料を少なくとも部分的に除去し、空間の少なくとも1つが、それに接続された開口へ向って狭くなるような配列にするユニットを含む、
装置。
【請求項28】
少なくとも1つの機械加工要素の少なくとも1つが多軸フライス削り装置を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
プログラム可能装置でロード可能なプログラムを表すデータを提供されたデータキャリヤであって、前記プログラムが、請求項27または28に記載の装置を使用して請求項26に記載の方法の1つまたは複数のステップを実行するプログラムコードを含むデータキャリヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図15】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図17】
【図2】
【図3】
【図15】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図17】
【公表番号】特表2006−504994(P2006−504994A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548154(P2004−548154)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000731
【国際公開番号】WO2004/040349
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505058148)
【氏名又は名称原語表記】STICHTING ASTRON
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000731
【国際公開番号】WO2004/040349
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505058148)
【氏名又は名称原語表記】STICHTING ASTRON
【Fターム(参考)】
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