標識取付け構造
【課題】標識取付け金具に開けられた取付け穴と、注意標識に開けられた取付け穴とにより、注意標識を標識取付け金具に取り付ける標識取付け構造において、スパナ等の工具を用いた締め付け作業を不要にすることができる標識取付け構造を提供する。
【解決手段】標識取付け金具1の取付け穴に注意標識2のダルマ形の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める基部が一端に設けられ軸部に切り込み部が設けられた柱状のナットレスボルト12と、標識取付け金具1の取付け穴と注意標識2の取付け穴とをナットレスボルト12が貫通している状態で、注意標識2のダルマ形の取り付け穴の長穴が、ナットレスボルト12の軸部の切り込み部と嵌合することにより、標識取付け金具1に注意標識2を取り付けるように、標識取付け構造を構成する。
【解決手段】標識取付け金具1の取付け穴に注意標識2のダルマ形の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める基部が一端に設けられ軸部に切り込み部が設けられた柱状のナットレスボルト12と、標識取付け金具1の取付け穴と注意標識2の取付け穴とをナットレスボルト12が貫通している状態で、注意標識2のダルマ形の取り付け穴の長穴が、ナットレスボルト12の軸部の切り込み部と嵌合することにより、標識取付け金具1に注意標識2を取り付けるように、標識取付け構造を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、標識を取り付けるための標識取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
標識は、通常、標識取付け金具に取り付けられている。例えば、図32に示すように、地面に設置されている標識取付け金具110に対して、注意標識120がボルト131とナット132で固定されている。このとき、ボルト131が外れないようにして、注意標識120の取り付けが確実になるように、ナット132を2つ重ねて使用するダブルナットが使用されている。
【0003】
後日、注意標識120を取り替る際は、ナット132の全本数を外すことになる。注意標識120の取り替の際に要する時間はナット外しと締め付けにそれぞれ約4分程度が必要であるので、合計8分位の時間が必要である。また、注意標識120を取り替るときには、ナット132を外すために、スパナ等の工具が必要である。さらに、ナット132を締め付ける際に、標識取付け金具110とボルト132が狭隘な場合があると、スパナ等の工具での締付けが困難である。
【0004】
そこで、ナットを使用しないで標識等を取り付けるための平面表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、標識等を取り付ける部分に、ねじ溝をあらかじめ形成しておくので、ナットが不要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−69236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先に述べたように、標識取付け金具に対してボルトとナットで取り付けられた注意標識を取り替える際には、
(あ)ダブルナットによる8個のナットを全本数外す必要がある、
(い)このために、作業時間が長くなる、
(う)ナットを外すために、スパナやドライバ等の工具が必要である、
(え)標識取付け金具とボルトとが狭隘であると、スパナ等の工具での締付けが困難である、
という課題がある。
【0007】
また、ナットを不要にする表示装置を標識取付け金具に用いた場合でも、ドライバ等を用いた締め付け作業が必要である。
【0008】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、スパナ等の工具を用いた締め付け作業を不要にすることができる標識取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、取付け具に開けられた取付け穴と、標識等の板状体に開けられた取付け穴とにより、該板状体を該取付け具に取り付ける標識取付け構造であって、前記取付け具の取付け穴に前記板状体の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める抜止め部が一端に設けられている柱状の本体と、前記取付け具の取付け穴と前記板状体の取付け穴とを前記本体が貫通している状態で、該本体に差し込まれ、または、該本体から突き出されて、該本体と係止することにより、該取付け具に該板状体を取り付ける取付け手段と、を備えることを特徴とする標識取付け構造である。
【0010】
請求項1の発明では、板状体が取付け金具に取り付けられるときに、取付け金具の取付け穴と板状体の取付け穴とを本体が貫通している状態で、取付け手段が本体に差し込まれ、または、本体から突き出されて、本体と係止する。これにより、板状体が取付け金具に取り付けられる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の標識取付け構造において、前記板状体に対して板状の補助部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の標識取付け構造において、前記板状体の前面側および裏面側の少なくとも一方に設けられ、かつ、該板状体が取り付けられている本体に差し込まれ、該本体の長手方向に伸縮する弾力性部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の標識取付け構造において、前記取付け具に対して前記本体による前記板状体の取り付けが終了した状態で、前記本体の端部を被うキャップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、従来、板状体の取り付けに使用されたボルトとダブルナットとを用いないので、スパナ等の工具を用いた締め付け作業を不要にすることができる。この発明によれば、取付け手段が本体に差し込まれ、または、本体から突き出されて、本体と係止するので、板状体と本体とが狭隘であっても、取り付けが容易である。
【0015】
請求項2の発明によれば、板状体には補助部材が設けられているので、この板状体を補強することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、弾力性部材による反発力を利用することにより、板状体の取り付けを確実に行うことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、本体の端部をキャップが被うので、本体の端部に腐食が発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1による標識取付け構造を示す側面図である。
【図2】標識取付け金具を示す正面図である。
【図3】支持具を示す斜視図である。
【図4】注意標識を示す図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。
【図5】標識支持補助金具を示す正面図である。
【図6】ナットレスボルトを示す斜視図である。
【図7】ナットレスボルトを示す図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。
【図8】ナットレスボルトを示す図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は側面図である。
【図9】弾力性緩和材の取り付けを説明する斜視図である。
【図10】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2による標識取付け構造を示す側面図である。
【図12】この発明の実施の形態3による標識取付け構造を示す側面図である。
【図13】留めキャップを示す斜視図である。
【図14】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図15】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態4によるナットレスボルトを示す図であり、図16(a)は正面図、図16(b)は側面図である。
【図17】ピンを示す図であり、図17(a)は斜視図、図17(b)は側面図である。
【図18】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図19】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態5によるナットレスボルトを示す図であり、図20(a)は正面図、図20(b)は側面図である。
【図21】リングクリップを示す図であり、図21(a)は正面図、図21(b)は側面図である。
【図22】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図23】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図24】防水キャップを示す図である。
【図25】この発明の実施の形態6によるナットレスボルトを示す図であり、図25(a)は正面図、図25(b)は側面図である。
【図26】ナットレスボルトの支持部を示す部分断面図である。
【図27】止め金具を示す斜視図である。
【図28】リングバネを示す斜視図である。
【図29】ナットレスボルトを説明する部分断面図である。
【図30】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図31】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図32】標識の従来の取り付けを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0020】
(実施の形態1)
この実施の形態による標識取付け構造を図1に示す。図1の標識取付け構造10は、金属製の標識取付け金具1に注意標識2を取り付けるためのものであり、主に、標識支持補助金具11と、ナットレスボルト12と、弾力性緩和材13とで構成されている。標識取付け金具1は、図2に示すように、互いに離れて設けられている柱部1A1と、柱部1A1の上端部に設けられている屋根部1A2とから成る基部1Aを備えている。基部1Aの柱部1A1の上部と中央部とに、互いに向かい合うように支持具1Bを備えている。2個の支持具1Bは、注意標識2を取り付けるためのものである。支持具1Bは、図3に示すように、標識取付け金具1の表側に突き出すように、先端部分がL字形に折り曲げられ、その縦板部分1B1には、注意標識2を取り付ける際に使用される取付け穴1B11が、縦板部分1B1の長手方向に、距離L1の間隔で2つ開けられている。
【0021】
なお、標識取付け金具1としては、図1に示すもの以外にも、図32に示すものなど、各種のものがある。
【0022】
注意標識2は、図4(a)の正面図と図4(b)の側面図とに示すように、板状の表面である板面2Aに各種の注意書きが印刷等で表示されたものである。この実施の形態では、注意標識2は、長方形状をした金属板である。注意標識2の4隅には、取付け穴2Bが空けられている。この実施の形態では、各取付け穴2Bは、円形穴の上側に長穴が設けられて形成されている。つまり、取付け穴2Bはダルマ形をしている。各取付け穴2Bの下側の円形穴は、標識取付け金具1の各取付け穴1B11と向かい合う位置にそれぞれ形成されている。つまり、注意標識2の上部に位置する2つの取付け穴2Bの円形穴の間隔がそれぞれ距離L1である。注意標識2の下部に位置する2つの取付け穴2Bの円形穴の間隔も同様である。また、注意標識2の上下に位置する取付け穴2Bの円形穴の間隔が距離L2である。各取付け穴2Bの円形穴の径が、標識取付け金具1の取付け穴1B11と同様の大きさである。
【0023】
標識取付け構造10の標識支持補助金具11は、注意標識2の左右両側を裏側から補強する。このために、標識支持補助金具11は、図5に示すように、長板形状をした金属板などで作られている。標識支持補助金具11の板面11Aには、2個の取付け穴11Bが、距離L2の間隔で開けられている。つまり、2個の取付け穴11Bは、注意標識2の上下の2個の取付け穴2Bと同間隔である。
【0024】
なお、標識支持補助金具11は必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0025】
標識取付け構造10のナットレスボルト12は、標識取付け金具1の支持具1Bに注意標識2を取り付けるためのものである。ナットレスボルト12は、図6に示すように、基部12Aと軸部12Bとで構成されている。基部12Aと軸部12Bとは金属製であり、かつ一体である。
【0026】
ナットレスボルト12の基部12Aは、図7(a)の正面図と図7(b)の側面図とに示すように、六角形をした柱状体である。基部12Aの幅L3は、弾力性緩和材13の径に比べて大きくなっている。これにより、弾力性緩和材13が基部12Aから抜けることを防いでいる。この実施の形態では、基部12Aの形状が正六角形であるが、この他にも形状としては、円柱形、四角形など各種のものがある。
【0027】
ナットレスボルト12の軸部12Bは、基部12Aの端面12A1に設けられた、円柱形をした柱状体である。軸部12Bには、基部12Aの端面12A1から距離L4の位置に、切込み部12Cが設けられている。この距離L4は、
a.弾力性緩和材13の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.標識支持補助金具11の厚さ
d.注意標識2の厚さ
を加えた長さに比べて同じか、または、弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0028】
ナットレスボルト12の切込み部12Cは、円柱形の軸部12Bの外周囲面から径方向に切り込みを入れて形成する。そして、切込み部12Cは、図8(a)の平面図と図8(b)の側面図とに示すように、互いに向かい合うように、軸部12Bに2つ形成されている。つまり、切込み部12Cは、軸部12Bに形成された、互いに平行な溝である。このとき、切込み部12Cの底面の間隔がほぼ距離L5となるように、2つの切込み部12Cが形成されている。距離L5は注意標識2に空けられている、ダルマ形の取付け穴2Bの長穴の幅に比べて若干大きくなっている。これにより、取付け穴2Bの長穴に切込み部12Cが嵌合する。
【0029】
標識取付け構造10の弾力性緩和材13は、図9に示すように、シリコンゴムなどの弾性材料で作られたリング状のものであり、開口部分が取付け穴13Aである。取付け穴13Aの径は、ナットレスボルト12の軸部12Bの径とほぼ同じである。弾力性緩和材13は、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから挿入されて、ナットレスボルト12に取り付けられる。そして、長手方向Aから加わる圧力により、弾力性緩和材13の厚みが変化すると共に、弾力性緩和材13は長手方向Aと逆方向に反発力を発生し、元の形に戻ろうとする。
【0030】
次に、標識取付け構造10による注意標識2の取り付け方について説明する。注意標識2を取り付けるときには、標識取付け金具1の2本の支持具1Bに対して、図10に示すように、裏面に標識支持補助金具11を配置した注意標識2を、標識取付け金具1の表側から作業者が配置する。このとき、作業者は、標識取付け金具1の各支持具1Bの取付け穴1B11に対して、標識支持補助金具11の取付け穴11Bと、注意標識2の取付け穴2Bの円形穴とが同じ位置となるように、標識支持補助金具11および注意標識2を配置する。なお、図10では、標識取付け金具1の図示を省略している。
【0031】
この後、作業者は、ナットレスボルト12に弾力性緩和材13を差し込み、標識取付け金具1の裏面側からナットレスボルト12を、標識取付け金具1の支持具1Bの取付け穴1B11にそれぞれ差し込む。そして、ナットレスボルト12の切込み部12Cが注意標識2の取付け穴2Bから出てくると、作業者は、注意標識2を下方向Bに押し下げる。これにより、注意標識2のダルマ形の取付け穴2Bの長穴が、ナットレスボルト12の軸部12Bに形成されている切込み部12Cと嵌合する。つまり、注意標識2の取付け穴2Bの長穴がナットレスボルト12と係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の各支持具1Bに取り付けられる。つまり、この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bが標識取付け構造10の構成要素になっている。
【0032】
後日、注意標識2を取り外すときには、作業者が注意標識2を下方向Bとは反対の上方向に押し上げるだけで、注意標識2とナットレスボルト12との嵌合が解除される。これにより、注意標識2の取り外しが可能になる。
【0033】
こうして、この実施の形態によれば、注意標識2を上下に動かすだけで、注意標識2の外し・締付けができる。これにより、注意標識2の外し・締付けの時間短縮(3〜4分程度)をすることができ、簡単・容易に注意標識2の付け外しができる。また、この実施の形態によれば、注意標識2のような標識類の付け外しに、工具等が不要になる。また、この実施の形態によれば、標識支持補助金具11およびナットレスボルト12を短くすることで、ナットレスボルト12等による、注意標識2の表面や側面側から突き出る突起部を最短化し、他の物との接触防止が図ることができる。また、この実施の形態によれば、ダブルナットが不要になり、注意標識2の外し・締付けに必要とする資材を減らすことができる。
【0034】
また、この実施の形態によれば、弾力性緩和材13による反発力により、注意標識2の取り付けを確実に行うことができる。また、この実施の形態によれば、注意標識2を押し下げるだけで、注意標識2の取り付けができるので、標識取付け金具1とナットレスボルト12とが狭隘であっても、取り付けが容易である。さらに、この実施の形態によれば、注意標識2の裏面に標識支持補助金具11を配置するので、注意標識2を補強することができる。
【0035】
(実施の形態2)
この実施の形態では、図11に示すように、ナットレスボルト12の軸部12Bに防水キャップ15を設けている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態による標識取付け構造10では、ナットレスボルト12の軸部12Bの端部(突出部)の外周囲面を一周するように、断面形状が半円形の凹部12Dが設けられている。
【0036】
一方、防水キャップ15は、ナットレスボルト12の軸部12Bの長手方向Aから、軸部12Bに挿入されて取り付けられる。このために、防水キャップ15は、一方が閉じられた円筒形のキャップ本体15Aを備えている。キャップ本体15Aの内周囲面には、この内周囲面を一周するように、断面形状が半円形の凸部15Bが設けられている。この凸部15Bは、軸部12Bの凹部12Dと嵌合する。さらに、キャップ本体15Aの周壁15A1は九十九折りまたは蛇腹折りで形成されている。これにより、キャップ本体15Aは、軸部12Bの長手方向Aに伸縮自在に形成されている。これは、ナットレスボルト12が注意標識2に取り付けられ、その端部が注意標識2から突出した場合に、突出部分の長さが異なるときでも、この端部全体を最短で被うようにするためである。
【0037】
防水キャップ15は、キャップ本体15Aの他方の端部に、キャップ本体15Aと一体で、フランジ15Cが形成されている。フランジ15Cは、防水キャップ15が取り付けられたときに、注意標識2の表面と密着して、ナットレスボルト12の端部の防水を更に確実にする。
【0038】
こうして、この実施の形態により、防水キャップ15を設けることで、締付け部分に腐食が発生することを防ぐことができ、また、注意標識2を施工した後の美観の向上を図ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態1の標識取付け構造10では、ナットレスボルト12の軸部12Bに注意標識2が係止したが、この実施の形態では、図12に示すようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0040】
この実施の形態では、ナットレスボルト12の軸部12Bには、基部12Aの端面12A1から距離L4Aの位置に、実施の形態1と同様の切込み部12Cが設けられている。しかし、この実施の形態では、距離L4Aは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
を加えた長さと同じか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くしてある。
【0041】
また、この実施の形態による標識取付け構造10は、留めキャップ16を備えている。留めキャップ16は、図13に示すように、両端が閉じられていると共に下部が開かれている中空のキャップ本体16Aを備えている。キャップ本体16Aの一方の端面16A1には、ナットレスボルト12の軸部12Bに設けられている、2つの切込み部12Cと嵌合する長穴16Bが空けられている。
【0042】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図14に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、この後、2枚目の弾力性緩和材13を差し込む。さらに、軸部12Bに対して、注意標識2を差し込み、軸部12Bの切込み部12Cの長手方向Cから留めキャップ16を軸部12Bに差し込むと、留めキャップ16が軸部12Bの2つの切込み部12Cと嵌合する。つまり、図15に示すように、留めキャップ16がナットレスボルト12の軸部12Bに係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。
【0043】
この実施の形態によれば、留めキャップ16が注意標識2を固定すると共に防水キャップとして働き、ナットレスボルト12の端部の腐食を防ぐことを可能にする。
【0044】
(実施の形態4)
この実施の形態では、図16(a)の正面図と図16(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12は、基部12Aの外周囲面に、かつ、基部12Aを介在して互いに向かい合うように、2つのフック17が設けられている。フック17は、先端が円板状に作られている。
【0045】
この実施の形態では、ナットレスボルト12の軸部12Bには切込み部等の加工が施されていないので、軸部12Bは円柱形をしている。
【0046】
この実施の形態では、2つのフック17を備えるナットレスボルト12に対して、図17(a)の斜視図と、図17(b)の側面図とに示すピン18を用いる。ピン18は、円形をした環状基部18Aを備えている。環状基部18Aはステンレスなどのような弾性を持つ金属材料で作られている。環状基部18Aの径は、ナットレスボルト12の軸部12Bの径より若干大きくなっている。これにより、環状基部18Aがナットレスボルト12の軸部12Bに差し込むことができる。
【0047】
ピン18の環状基部18Aには、互いに向かい合うように、長円形のピン部18Bが、環状基部18Aと一体で設けられている。ピン部18Bは、環状基部18Aと同様の弾性を持つ金属材料で作られているので、ピン部18Bの両側から外力が加わると変形し、その長さが長くなる。しかし、この場合、ピン部18Bは、長手方向と交差する交差方向Dに向かって、元の形に戻ろうとし、環状基部18Aを引っ張る。
【0048】
ピン部32の長さL6は、
a.2枚分の弾力性緩和材13の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0049】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図18に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。この後、軸部12Bに対して、異径の2枚目の弾力性緩和材13を差し込み、さらに、ピン18を差し込む。このとき、ピン18のピン部18Bは、弾力性緩和材13の取付け穴13A、注意標識2の円形をした取付け穴2Bおよび標識取付け金具1の支持具1Bの取付け穴1B11を貫通して、ナットレスボルト12の基部12Aに設けられているフック17に達する。
【0050】
この後、作業者はピン18をさらに押し入れ、ピン18のピン部18Bを、ナットレスボルト12のフック17に掛ける。そして、作業者がピン18の押し込みを止めると、2枚の弾力性緩和材13の厚さが元に戻り、ピン18の環状基部18Aが挿入方向とは逆方向に押され、ピン18がフック17の段差部分に嵌合する。つまり、図19に示すように、ピン18のピン部18Bがナットレスボルト12のフック17に係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0051】
この実施の形態によれば、注意標識2には、ダルマ形の取付け穴2Bの代わりに、円形の取付け穴2Bだけを設ければよいので、注意標識2の製作工程を簡略化することができる。
【0052】
(実施の形態5)
この実施の形態では、図20(a)の正面図と図20(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12は、先の実施の形態1で軸部12Bに設けられていた切込み部12Cの代わりに、凹部19が設けられている。凹部19は、円柱形の軸部12Bの外周囲面を一周する溝であり、凹部19の底面の径は長さL7である。凹部19である溝の深さは、後述するリングクリップ20の厚さに比べて浅くなっている。
【0053】
さらに、凹部19は、ナットレスボルト12の基部12Aの端面12A1から距離L4Bの位置に設けられている。距離L4Bは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0054】
こうしたナットレスボルト12に対して、この実施の形態では、図21に示すリングクリップ20を用いる。このリングクリップ20は、円形をしたクリップ本体20Aを備えている。クリップ本体20Aは、ステンレスなどのような、弾性を持つ金属材料で作られている。クリップ本体20Aの内径L8は、ナットレスボルト12の凹部19の径の長さL7に比べて、若干短くなっている。また、クリップ本体20Aの幅は、軸部12Bに設けられている凹部19の幅に比べて若干短くなっている。これにより、クリップ本体20Aが凹部19に挿入可能である。
【0055】
クリップ本体20Aは、その一部分が切り取られ、両端部に半円形の接触部20Bがそれぞれ設けられている。接触部20Bは、リングクリップ20の取り付けの際に、凹部19の底面と接触して、クリップ本体20Aを広げる。
【0056】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図22に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。この後、軸部12Bに対して、2枚目の弾力性緩和材13を差し込み、さらに、軸部12Bの長手方向と交差する交差方向Eから、ナットレスボルト12に設けられている凹部19にリングクリップ20を差し込む。
【0057】
このとき、リングクリップ20の接触部20Bは、凹部19の底面と接触するので、ナットレスボルト12のクリップ本体20Aが開き、リングクリップ20がナットレスボルト12の凹部19に差し込まれる。クリップ本体20Aは弾性を持つ金属材料で作られているので、開いたクリップ本体20Aが元に戻り、クリップ本体20Aがナットレスボルト12の凹部19に嵌合する。同時に、クリップ本体20Aの内径L8がナットレスボルト12の凹部19の径の長さL7に比べて若干短いので、クリップ本体20Aが密着状態で凹部19に装着されて緩むことがない。さらに、凹部19の深さがリングクリップ20のクリップ本体20Aの厚さに比べて浅くなっているので、リングクリップ20が弾力性緩和材13の抜けを止める。つまり、図23に示すように、リングクリップ20のクリップ本体20Aがナットレスボルト12の凹部19に係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0058】
この実施の形態によれば、実施の形態4と同様の効果を達成することができる。
【0059】
なお、この実施の形態でも、実施の形態2と同様に、ナットレスボルト12の突出部に防水キャップ15を被せてもよい。この場合には、ナットレスボルト12の軸部12Bの外周囲面からリングクリップ20が突出しているので、図24に示すように、防水キャップ15は、キャップ本体15Aの九十九折りの周壁15A1と、フランジ15Cとの間に段差を持つ形状である。さらに、この段差の外周囲面を九十九折りにしてもよい。
【0060】
ナットレスボルト12の凹部12Dと、防水キャップ15の凸部15Bとが嵌合して、防水キャップ15がナットレスボルト12に固定される構造は、実施の形態2と同じである。
【0061】
(実施の形態6)
この実施の形態では、図25(a)の正面図と図25(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12には、
固定装置21が設けられている。
【0062】
固定装置21は、ナットレスボルト12の軸部12Bの外周囲面の4箇所に空けられた細長形状の貫通穴21Aを備えている。4つの貫通穴21Aは、その長手方向がナットレスボルト12の軸部12Bの長手方向と同じになるように、かつ、軸部12Bの外周囲面に対して、互いに直角になるように、この外周囲面に設けられている。貫通穴21Aには、止め金具21Bがそれぞれ設けられている。
【0063】
止め金具21Bは、ナットレスボルト12の基部12Aの端面12A1から距離L4Cの位置に設けられている。距離L4Cは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0064】
この実施の形態によるナットレスボルト12の軸部12Bは、図26に示すように、内部に円筒形の収納部21Cを備えている。こうした軸部12Bに対して、先に述べたように、収納部21Cまで貫通する貫通穴21Aが4個空けられている。各貫通穴21Aには止め金具21Bがそれぞれ差し込まれている。
【0065】
止め金具21Bは、図27に示すように、三角形状の止め金具本体21B1を備えている。止め金具本体21B1は、ナットレスボルト12の軸部12Bに設けられている貫通穴21Aから外側に突出する部分である。止め金具本体21B1の底部には、止め金具本体21B1の厚さに比べて広い幅の止め板部21B2が、止め金具本体21B1と一体で設けられている。止め板部21B2の幅は、貫通穴21Aの幅より大きくなっている。止め板部21B2は、止め金具本体21B1が貫通穴21Aから外側に抜け出すことを防いでいる。
【0066】
ナットレスボルト12の軸部12Bには、止め金具21Bの止め板部21B2の全体を貫通穴21Aに向かって押すように、複数のリングバネ21Dが挿入されている。リングバネ21Dは、ステンレスなどのような弾性を持つ金属材料で作られている。リングバネ21Dは、図28に示すように、一方の端部21D1が他方の端部21D2を巻き込むように、端部21D1と端部21D2とが重ね合わされている。これにより、リングバネ21Dが例えば径方向Fに向かって押されると、リングバネ21Dの端部21D1と端部21D2との重ね合わせの部分が長くなって、リングバネ21Dの径が小さくなる。同時に、リングバネ21Dは、径方向Fとは反対方向の反発力を生じる。
【0067】
この結果、図29に示すように、軸部12Bの長手方向Aから、例えば注意標識2を止め金具21Bに差し込むと、止め金具21Bの止め金具本体21B1が注意標識2の取付け穴2Bと接触する。これにより、4個の止め金具21Bがナットレスボルト12の軸部12Bの径方向に押されて、リングバネ21Dが縮み、止め金具本体21B1が収納部21Cに入り込む。この後、注意標識2がさらに軸部12Bの長手方向Aに押されて、注意標識2が止め金具本体21B1を通り抜けると、リングバネ21Dが元の形に戻る。これにより、止め金具21Bの止め板部21B2がリングバネ21Dで押されて、貫通穴21Aから止め金具本体21B1が突き出るが、止め板部21B2により、止め金具本体21B1が軸部12Bから抜けることはない。
【0068】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図30に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。このとき、固定装置21の止め金具21Bが軸部12Bに差し込まれた後、再び軸部12Bから突き出る。この後、軸部12Bに対して、2枚目の弾力性緩和材13を差し込む。固定装置21の止め金具21Bは、同じように、軸部12Bに差し込まれた後、再び軸部12Bから突き出る。つまり、図31に示すように、固定装置21の止め金具21Bが軸部12Bに係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0069】
この実施の形態によれば、注意標識2や補助部材がナットレスボルト12に挿入された後で、固定装置21の止め金具21Bがナットレスボルト12の軸部12Bから自動的に突き出るので、取り付けが容易である。
【符号の説明】
【0070】
1 標識取付け金具(取付け具)
1A 基部
1B 支持具
2 注意標識(板状体)
10 標識取付け構造
11 標識支持補助金具(補助部材)
ナットレスボルト(本体)
12A 基部
12B 軸部
13 弾力性緩和材(弾力性部材)
15 防水キャップ(キャップ)
16 留めキャップ(取付け手段)
17 フック(取付け手段)
18 ピン(取付け手段)
19 凹部(取付け手段)
20 リングクリップ(取付け手段)
21 固定装置(取付け手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、標識を取り付けるための標識取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
標識は、通常、標識取付け金具に取り付けられている。例えば、図32に示すように、地面に設置されている標識取付け金具110に対して、注意標識120がボルト131とナット132で固定されている。このとき、ボルト131が外れないようにして、注意標識120の取り付けが確実になるように、ナット132を2つ重ねて使用するダブルナットが使用されている。
【0003】
後日、注意標識120を取り替る際は、ナット132の全本数を外すことになる。注意標識120の取り替の際に要する時間はナット外しと締め付けにそれぞれ約4分程度が必要であるので、合計8分位の時間が必要である。また、注意標識120を取り替るときには、ナット132を外すために、スパナ等の工具が必要である。さらに、ナット132を締め付ける際に、標識取付け金具110とボルト132が狭隘な場合があると、スパナ等の工具での締付けが困難である。
【0004】
そこで、ナットを使用しないで標識等を取り付けるための平面表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、標識等を取り付ける部分に、ねじ溝をあらかじめ形成しておくので、ナットが不要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−69236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先に述べたように、標識取付け金具に対してボルトとナットで取り付けられた注意標識を取り替える際には、
(あ)ダブルナットによる8個のナットを全本数外す必要がある、
(い)このために、作業時間が長くなる、
(う)ナットを外すために、スパナやドライバ等の工具が必要である、
(え)標識取付け金具とボルトとが狭隘であると、スパナ等の工具での締付けが困難である、
という課題がある。
【0007】
また、ナットを不要にする表示装置を標識取付け金具に用いた場合でも、ドライバ等を用いた締め付け作業が必要である。
【0008】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、スパナ等の工具を用いた締め付け作業を不要にすることができる標識取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、取付け具に開けられた取付け穴と、標識等の板状体に開けられた取付け穴とにより、該板状体を該取付け具に取り付ける標識取付け構造であって、前記取付け具の取付け穴に前記板状体の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める抜止め部が一端に設けられている柱状の本体と、前記取付け具の取付け穴と前記板状体の取付け穴とを前記本体が貫通している状態で、該本体に差し込まれ、または、該本体から突き出されて、該本体と係止することにより、該取付け具に該板状体を取り付ける取付け手段と、を備えることを特徴とする標識取付け構造である。
【0010】
請求項1の発明では、板状体が取付け金具に取り付けられるときに、取付け金具の取付け穴と板状体の取付け穴とを本体が貫通している状態で、取付け手段が本体に差し込まれ、または、本体から突き出されて、本体と係止する。これにより、板状体が取付け金具に取り付けられる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の標識取付け構造において、前記板状体に対して板状の補助部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の標識取付け構造において、前記板状体の前面側および裏面側の少なくとも一方に設けられ、かつ、該板状体が取り付けられている本体に差し込まれ、該本体の長手方向に伸縮する弾力性部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の標識取付け構造において、前記取付け具に対して前記本体による前記板状体の取り付けが終了した状態で、前記本体の端部を被うキャップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、従来、板状体の取り付けに使用されたボルトとダブルナットとを用いないので、スパナ等の工具を用いた締め付け作業を不要にすることができる。この発明によれば、取付け手段が本体に差し込まれ、または、本体から突き出されて、本体と係止するので、板状体と本体とが狭隘であっても、取り付けが容易である。
【0015】
請求項2の発明によれば、板状体には補助部材が設けられているので、この板状体を補強することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、弾力性部材による反発力を利用することにより、板状体の取り付けを確実に行うことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、本体の端部をキャップが被うので、本体の端部に腐食が発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1による標識取付け構造を示す側面図である。
【図2】標識取付け金具を示す正面図である。
【図3】支持具を示す斜視図である。
【図4】注意標識を示す図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。
【図5】標識支持補助金具を示す正面図である。
【図6】ナットレスボルトを示す斜視図である。
【図7】ナットレスボルトを示す図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。
【図8】ナットレスボルトを示す図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は側面図である。
【図9】弾力性緩和材の取り付けを説明する斜視図である。
【図10】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態2による標識取付け構造を示す側面図である。
【図12】この発明の実施の形態3による標識取付け構造を示す側面図である。
【図13】留めキャップを示す斜視図である。
【図14】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図15】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態4によるナットレスボルトを示す図であり、図16(a)は正面図、図16(b)は側面図である。
【図17】ピンを示す図であり、図17(a)は斜視図、図17(b)は側面図である。
【図18】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図19】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態5によるナットレスボルトを示す図であり、図20(a)は正面図、図20(b)は側面図である。
【図21】リングクリップを示す図であり、図21(a)は正面図、図21(b)は側面図である。
【図22】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図23】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図24】防水キャップを示す図である。
【図25】この発明の実施の形態6によるナットレスボルトを示す図であり、図25(a)は正面図、図25(b)は側面図である。
【図26】ナットレスボルトの支持部を示す部分断面図である。
【図27】止め金具を示す斜視図である。
【図28】リングバネを示す斜視図である。
【図29】ナットレスボルトを説明する部分断面図である。
【図30】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図31】注意標識の取り付けの様子を示す図である。
【図32】標識の従来の取り付けを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0020】
(実施の形態1)
この実施の形態による標識取付け構造を図1に示す。図1の標識取付け構造10は、金属製の標識取付け金具1に注意標識2を取り付けるためのものであり、主に、標識支持補助金具11と、ナットレスボルト12と、弾力性緩和材13とで構成されている。標識取付け金具1は、図2に示すように、互いに離れて設けられている柱部1A1と、柱部1A1の上端部に設けられている屋根部1A2とから成る基部1Aを備えている。基部1Aの柱部1A1の上部と中央部とに、互いに向かい合うように支持具1Bを備えている。2個の支持具1Bは、注意標識2を取り付けるためのものである。支持具1Bは、図3に示すように、標識取付け金具1の表側に突き出すように、先端部分がL字形に折り曲げられ、その縦板部分1B1には、注意標識2を取り付ける際に使用される取付け穴1B11が、縦板部分1B1の長手方向に、距離L1の間隔で2つ開けられている。
【0021】
なお、標識取付け金具1としては、図1に示すもの以外にも、図32に示すものなど、各種のものがある。
【0022】
注意標識2は、図4(a)の正面図と図4(b)の側面図とに示すように、板状の表面である板面2Aに各種の注意書きが印刷等で表示されたものである。この実施の形態では、注意標識2は、長方形状をした金属板である。注意標識2の4隅には、取付け穴2Bが空けられている。この実施の形態では、各取付け穴2Bは、円形穴の上側に長穴が設けられて形成されている。つまり、取付け穴2Bはダルマ形をしている。各取付け穴2Bの下側の円形穴は、標識取付け金具1の各取付け穴1B11と向かい合う位置にそれぞれ形成されている。つまり、注意標識2の上部に位置する2つの取付け穴2Bの円形穴の間隔がそれぞれ距離L1である。注意標識2の下部に位置する2つの取付け穴2Bの円形穴の間隔も同様である。また、注意標識2の上下に位置する取付け穴2Bの円形穴の間隔が距離L2である。各取付け穴2Bの円形穴の径が、標識取付け金具1の取付け穴1B11と同様の大きさである。
【0023】
標識取付け構造10の標識支持補助金具11は、注意標識2の左右両側を裏側から補強する。このために、標識支持補助金具11は、図5に示すように、長板形状をした金属板などで作られている。標識支持補助金具11の板面11Aには、2個の取付け穴11Bが、距離L2の間隔で開けられている。つまり、2個の取付け穴11Bは、注意標識2の上下の2個の取付け穴2Bと同間隔である。
【0024】
なお、標識支持補助金具11は必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0025】
標識取付け構造10のナットレスボルト12は、標識取付け金具1の支持具1Bに注意標識2を取り付けるためのものである。ナットレスボルト12は、図6に示すように、基部12Aと軸部12Bとで構成されている。基部12Aと軸部12Bとは金属製であり、かつ一体である。
【0026】
ナットレスボルト12の基部12Aは、図7(a)の正面図と図7(b)の側面図とに示すように、六角形をした柱状体である。基部12Aの幅L3は、弾力性緩和材13の径に比べて大きくなっている。これにより、弾力性緩和材13が基部12Aから抜けることを防いでいる。この実施の形態では、基部12Aの形状が正六角形であるが、この他にも形状としては、円柱形、四角形など各種のものがある。
【0027】
ナットレスボルト12の軸部12Bは、基部12Aの端面12A1に設けられた、円柱形をした柱状体である。軸部12Bには、基部12Aの端面12A1から距離L4の位置に、切込み部12Cが設けられている。この距離L4は、
a.弾力性緩和材13の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.標識支持補助金具11の厚さ
d.注意標識2の厚さ
を加えた長さに比べて同じか、または、弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0028】
ナットレスボルト12の切込み部12Cは、円柱形の軸部12Bの外周囲面から径方向に切り込みを入れて形成する。そして、切込み部12Cは、図8(a)の平面図と図8(b)の側面図とに示すように、互いに向かい合うように、軸部12Bに2つ形成されている。つまり、切込み部12Cは、軸部12Bに形成された、互いに平行な溝である。このとき、切込み部12Cの底面の間隔がほぼ距離L5となるように、2つの切込み部12Cが形成されている。距離L5は注意標識2に空けられている、ダルマ形の取付け穴2Bの長穴の幅に比べて若干大きくなっている。これにより、取付け穴2Bの長穴に切込み部12Cが嵌合する。
【0029】
標識取付け構造10の弾力性緩和材13は、図9に示すように、シリコンゴムなどの弾性材料で作られたリング状のものであり、開口部分が取付け穴13Aである。取付け穴13Aの径は、ナットレスボルト12の軸部12Bの径とほぼ同じである。弾力性緩和材13は、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから挿入されて、ナットレスボルト12に取り付けられる。そして、長手方向Aから加わる圧力により、弾力性緩和材13の厚みが変化すると共に、弾力性緩和材13は長手方向Aと逆方向に反発力を発生し、元の形に戻ろうとする。
【0030】
次に、標識取付け構造10による注意標識2の取り付け方について説明する。注意標識2を取り付けるときには、標識取付け金具1の2本の支持具1Bに対して、図10に示すように、裏面に標識支持補助金具11を配置した注意標識2を、標識取付け金具1の表側から作業者が配置する。このとき、作業者は、標識取付け金具1の各支持具1Bの取付け穴1B11に対して、標識支持補助金具11の取付け穴11Bと、注意標識2の取付け穴2Bの円形穴とが同じ位置となるように、標識支持補助金具11および注意標識2を配置する。なお、図10では、標識取付け金具1の図示を省略している。
【0031】
この後、作業者は、ナットレスボルト12に弾力性緩和材13を差し込み、標識取付け金具1の裏面側からナットレスボルト12を、標識取付け金具1の支持具1Bの取付け穴1B11にそれぞれ差し込む。そして、ナットレスボルト12の切込み部12Cが注意標識2の取付け穴2Bから出てくると、作業者は、注意標識2を下方向Bに押し下げる。これにより、注意標識2のダルマ形の取付け穴2Bの長穴が、ナットレスボルト12の軸部12Bに形成されている切込み部12Cと嵌合する。つまり、注意標識2の取付け穴2Bの長穴がナットレスボルト12と係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の各支持具1Bに取り付けられる。つまり、この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bが標識取付け構造10の構成要素になっている。
【0032】
後日、注意標識2を取り外すときには、作業者が注意標識2を下方向Bとは反対の上方向に押し上げるだけで、注意標識2とナットレスボルト12との嵌合が解除される。これにより、注意標識2の取り外しが可能になる。
【0033】
こうして、この実施の形態によれば、注意標識2を上下に動かすだけで、注意標識2の外し・締付けができる。これにより、注意標識2の外し・締付けの時間短縮(3〜4分程度)をすることができ、簡単・容易に注意標識2の付け外しができる。また、この実施の形態によれば、注意標識2のような標識類の付け外しに、工具等が不要になる。また、この実施の形態によれば、標識支持補助金具11およびナットレスボルト12を短くすることで、ナットレスボルト12等による、注意標識2の表面や側面側から突き出る突起部を最短化し、他の物との接触防止が図ることができる。また、この実施の形態によれば、ダブルナットが不要になり、注意標識2の外し・締付けに必要とする資材を減らすことができる。
【0034】
また、この実施の形態によれば、弾力性緩和材13による反発力により、注意標識2の取り付けを確実に行うことができる。また、この実施の形態によれば、注意標識2を押し下げるだけで、注意標識2の取り付けができるので、標識取付け金具1とナットレスボルト12とが狭隘であっても、取り付けが容易である。さらに、この実施の形態によれば、注意標識2の裏面に標識支持補助金具11を配置するので、注意標識2を補強することができる。
【0035】
(実施の形態2)
この実施の形態では、図11に示すように、ナットレスボルト12の軸部12Bに防水キャップ15を設けている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態による標識取付け構造10では、ナットレスボルト12の軸部12Bの端部(突出部)の外周囲面を一周するように、断面形状が半円形の凹部12Dが設けられている。
【0036】
一方、防水キャップ15は、ナットレスボルト12の軸部12Bの長手方向Aから、軸部12Bに挿入されて取り付けられる。このために、防水キャップ15は、一方が閉じられた円筒形のキャップ本体15Aを備えている。キャップ本体15Aの内周囲面には、この内周囲面を一周するように、断面形状が半円形の凸部15Bが設けられている。この凸部15Bは、軸部12Bの凹部12Dと嵌合する。さらに、キャップ本体15Aの周壁15A1は九十九折りまたは蛇腹折りで形成されている。これにより、キャップ本体15Aは、軸部12Bの長手方向Aに伸縮自在に形成されている。これは、ナットレスボルト12が注意標識2に取り付けられ、その端部が注意標識2から突出した場合に、突出部分の長さが異なるときでも、この端部全体を最短で被うようにするためである。
【0037】
防水キャップ15は、キャップ本体15Aの他方の端部に、キャップ本体15Aと一体で、フランジ15Cが形成されている。フランジ15Cは、防水キャップ15が取り付けられたときに、注意標識2の表面と密着して、ナットレスボルト12の端部の防水を更に確実にする。
【0038】
こうして、この実施の形態により、防水キャップ15を設けることで、締付け部分に腐食が発生することを防ぐことができ、また、注意標識2を施工した後の美観の向上を図ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態1の標識取付け構造10では、ナットレスボルト12の軸部12Bに注意標識2が係止したが、この実施の形態では、図12に示すようにしている。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0040】
この実施の形態では、ナットレスボルト12の軸部12Bには、基部12Aの端面12A1から距離L4Aの位置に、実施の形態1と同様の切込み部12Cが設けられている。しかし、この実施の形態では、距離L4Aは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
を加えた長さと同じか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くしてある。
【0041】
また、この実施の形態による標識取付け構造10は、留めキャップ16を備えている。留めキャップ16は、図13に示すように、両端が閉じられていると共に下部が開かれている中空のキャップ本体16Aを備えている。キャップ本体16Aの一方の端面16A1には、ナットレスボルト12の軸部12Bに設けられている、2つの切込み部12Cと嵌合する長穴16Bが空けられている。
【0042】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図14に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、この後、2枚目の弾力性緩和材13を差し込む。さらに、軸部12Bに対して、注意標識2を差し込み、軸部12Bの切込み部12Cの長手方向Cから留めキャップ16を軸部12Bに差し込むと、留めキャップ16が軸部12Bの2つの切込み部12Cと嵌合する。つまり、図15に示すように、留めキャップ16がナットレスボルト12の軸部12Bに係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。
【0043】
この実施の形態によれば、留めキャップ16が注意標識2を固定すると共に防水キャップとして働き、ナットレスボルト12の端部の腐食を防ぐことを可能にする。
【0044】
(実施の形態4)
この実施の形態では、図16(a)の正面図と図16(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12は、基部12Aの外周囲面に、かつ、基部12Aを介在して互いに向かい合うように、2つのフック17が設けられている。フック17は、先端が円板状に作られている。
【0045】
この実施の形態では、ナットレスボルト12の軸部12Bには切込み部等の加工が施されていないので、軸部12Bは円柱形をしている。
【0046】
この実施の形態では、2つのフック17を備えるナットレスボルト12に対して、図17(a)の斜視図と、図17(b)の側面図とに示すピン18を用いる。ピン18は、円形をした環状基部18Aを備えている。環状基部18Aはステンレスなどのような弾性を持つ金属材料で作られている。環状基部18Aの径は、ナットレスボルト12の軸部12Bの径より若干大きくなっている。これにより、環状基部18Aがナットレスボルト12の軸部12Bに差し込むことができる。
【0047】
ピン18の環状基部18Aには、互いに向かい合うように、長円形のピン部18Bが、環状基部18Aと一体で設けられている。ピン部18Bは、環状基部18Aと同様の弾性を持つ金属材料で作られているので、ピン部18Bの両側から外力が加わると変形し、その長さが長くなる。しかし、この場合、ピン部18Bは、長手方向と交差する交差方向Dに向かって、元の形に戻ろうとし、環状基部18Aを引っ張る。
【0048】
ピン部32の長さL6は、
a.2枚分の弾力性緩和材13の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0049】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図18に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、軸部12Bの長手方向Aから標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。この後、軸部12Bに対して、異径の2枚目の弾力性緩和材13を差し込み、さらに、ピン18を差し込む。このとき、ピン18のピン部18Bは、弾力性緩和材13の取付け穴13A、注意標識2の円形をした取付け穴2Bおよび標識取付け金具1の支持具1Bの取付け穴1B11を貫通して、ナットレスボルト12の基部12Aに設けられているフック17に達する。
【0050】
この後、作業者はピン18をさらに押し入れ、ピン18のピン部18Bを、ナットレスボルト12のフック17に掛ける。そして、作業者がピン18の押し込みを止めると、2枚の弾力性緩和材13の厚さが元に戻り、ピン18の環状基部18Aが挿入方向とは逆方向に押され、ピン18がフック17の段差部分に嵌合する。つまり、図19に示すように、ピン18のピン部18Bがナットレスボルト12のフック17に係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0051】
この実施の形態によれば、注意標識2には、ダルマ形の取付け穴2Bの代わりに、円形の取付け穴2Bだけを設ければよいので、注意標識2の製作工程を簡略化することができる。
【0052】
(実施の形態5)
この実施の形態では、図20(a)の正面図と図20(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12は、先の実施の形態1で軸部12Bに設けられていた切込み部12Cの代わりに、凹部19が設けられている。凹部19は、円柱形の軸部12Bの外周囲面を一周する溝であり、凹部19の底面の径は長さL7である。凹部19である溝の深さは、後述するリングクリップ20の厚さに比べて浅くなっている。
【0053】
さらに、凹部19は、ナットレスボルト12の基部12Aの端面12A1から距離L4Bの位置に設けられている。距離L4Bは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0054】
こうしたナットレスボルト12に対して、この実施の形態では、図21に示すリングクリップ20を用いる。このリングクリップ20は、円形をしたクリップ本体20Aを備えている。クリップ本体20Aは、ステンレスなどのような、弾性を持つ金属材料で作られている。クリップ本体20Aの内径L8は、ナットレスボルト12の凹部19の径の長さL7に比べて、若干短くなっている。また、クリップ本体20Aの幅は、軸部12Bに設けられている凹部19の幅に比べて若干短くなっている。これにより、クリップ本体20Aが凹部19に挿入可能である。
【0055】
クリップ本体20Aは、その一部分が切り取られ、両端部に半円形の接触部20Bがそれぞれ設けられている。接触部20Bは、リングクリップ20の取り付けの際に、凹部19の底面と接触して、クリップ本体20Aを広げる。
【0056】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図22に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。この後、軸部12Bに対して、2枚目の弾力性緩和材13を差し込み、さらに、軸部12Bの長手方向と交差する交差方向Eから、ナットレスボルト12に設けられている凹部19にリングクリップ20を差し込む。
【0057】
このとき、リングクリップ20の接触部20Bは、凹部19の底面と接触するので、ナットレスボルト12のクリップ本体20Aが開き、リングクリップ20がナットレスボルト12の凹部19に差し込まれる。クリップ本体20Aは弾性を持つ金属材料で作られているので、開いたクリップ本体20Aが元に戻り、クリップ本体20Aがナットレスボルト12の凹部19に嵌合する。同時に、クリップ本体20Aの内径L8がナットレスボルト12の凹部19の径の長さL7に比べて若干短いので、クリップ本体20Aが密着状態で凹部19に装着されて緩むことがない。さらに、凹部19の深さがリングクリップ20のクリップ本体20Aの厚さに比べて浅くなっているので、リングクリップ20が弾力性緩和材13の抜けを止める。つまり、図23に示すように、リングクリップ20のクリップ本体20Aがナットレスボルト12の凹部19に係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0058】
この実施の形態によれば、実施の形態4と同様の効果を達成することができる。
【0059】
なお、この実施の形態でも、実施の形態2と同様に、ナットレスボルト12の突出部に防水キャップ15を被せてもよい。この場合には、ナットレスボルト12の軸部12Bの外周囲面からリングクリップ20が突出しているので、図24に示すように、防水キャップ15は、キャップ本体15Aの九十九折りの周壁15A1と、フランジ15Cとの間に段差を持つ形状である。さらに、この段差の外周囲面を九十九折りにしてもよい。
【0060】
ナットレスボルト12の凹部12Dと、防水キャップ15の凸部15Bとが嵌合して、防水キャップ15がナットレスボルト12に固定される構造は、実施の形態2と同じである。
【0061】
(実施の形態6)
この実施の形態では、図25(a)の正面図と図25(b)の側面図とに示すナットレスボルト12を用いる。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。この実施の形態によるナットレスボルト12には、
固定装置21が設けられている。
【0062】
固定装置21は、ナットレスボルト12の軸部12Bの外周囲面の4箇所に空けられた細長形状の貫通穴21Aを備えている。4つの貫通穴21Aは、その長手方向がナットレスボルト12の軸部12Bの長手方向と同じになるように、かつ、軸部12Bの外周囲面に対して、互いに直角になるように、この外周囲面に設けられている。貫通穴21Aには、止め金具21Bがそれぞれ設けられている。
【0063】
止め金具21Bは、ナットレスボルト12の基部12Aの端面12A1から距離L4Cの位置に設けられている。距離L4Cは、
a.弾力性緩和材13の2枚分の厚さ
b.支持具1Bの厚さ
c.注意標識2の厚さ
の3つを加えた長さか、または、2枚の弾力性緩和材13の伸縮を加味して若干短くなっている。
【0064】
この実施の形態によるナットレスボルト12の軸部12Bは、図26に示すように、内部に円筒形の収納部21Cを備えている。こうした軸部12Bに対して、先に述べたように、収納部21Cまで貫通する貫通穴21Aが4個空けられている。各貫通穴21Aには止め金具21Bがそれぞれ差し込まれている。
【0065】
止め金具21Bは、図27に示すように、三角形状の止め金具本体21B1を備えている。止め金具本体21B1は、ナットレスボルト12の軸部12Bに設けられている貫通穴21Aから外側に突出する部分である。止め金具本体21B1の底部には、止め金具本体21B1の厚さに比べて広い幅の止め板部21B2が、止め金具本体21B1と一体で設けられている。止め板部21B2の幅は、貫通穴21Aの幅より大きくなっている。止め板部21B2は、止め金具本体21B1が貫通穴21Aから外側に抜け出すことを防いでいる。
【0066】
ナットレスボルト12の軸部12Bには、止め金具21Bの止め板部21B2の全体を貫通穴21Aに向かって押すように、複数のリングバネ21Dが挿入されている。リングバネ21Dは、ステンレスなどのような弾性を持つ金属材料で作られている。リングバネ21Dは、図28に示すように、一方の端部21D1が他方の端部21D2を巻き込むように、端部21D1と端部21D2とが重ね合わされている。これにより、リングバネ21Dが例えば径方向Fに向かって押されると、リングバネ21Dの端部21D1と端部21D2との重ね合わせの部分が長くなって、リングバネ21Dの径が小さくなる。同時に、リングバネ21Dは、径方向Fとは反対方向の反発力を生じる。
【0067】
この結果、図29に示すように、軸部12Bの長手方向Aから、例えば注意標識2を止め金具21Bに差し込むと、止め金具21Bの止め金具本体21B1が注意標識2の取付け穴2Bと接触する。これにより、4個の止め金具21Bがナットレスボルト12の軸部12Bの径方向に押されて、リングバネ21Dが縮み、止め金具本体21B1が収納部21Cに入り込む。この後、注意標識2がさらに軸部12Bの長手方向Aに押されて、注意標識2が止め金具本体21B1を通り抜けると、リングバネ21Dが元の形に戻る。これにより、止め金具21Bの止め板部21B2がリングバネ21Dで押されて、貫通穴21Aから止め金具本体21B1が突き出るが、止め板部21B2により、止め金具本体21B1が軸部12Bから抜けることはない。
【0068】
この実施の形態では、注意標識2の取付け穴2Bは、ダルマ形ではなく円形である。そして、図30に示すように、1枚目の弾力性緩和材13が挿入されている、ナットレスボルト12の軸部12Bに対して、標識取付け金具1の支持具1Bを差し込み、さらに、注意標識2を差し込む。このとき、固定装置21の止め金具21Bが軸部12Bに差し込まれた後、再び軸部12Bから突き出る。この後、軸部12Bに対して、2枚目の弾力性緩和材13を差し込む。固定装置21の止め金具21Bは、同じように、軸部12Bに差し込まれた後、再び軸部12Bから突き出る。つまり、図31に示すように、固定装置21の止め金具21Bが軸部12Bに係止することにより、注意標識2が標識取付け金具1の支持具1Bに取り付けられる。残りの3ヶ所で注意標識2を取り付ける場合も同様である。
【0069】
この実施の形態によれば、注意標識2や補助部材がナットレスボルト12に挿入された後で、固定装置21の止め金具21Bがナットレスボルト12の軸部12Bから自動的に突き出るので、取り付けが容易である。
【符号の説明】
【0070】
1 標識取付け金具(取付け具)
1A 基部
1B 支持具
2 注意標識(板状体)
10 標識取付け構造
11 標識支持補助金具(補助部材)
ナットレスボルト(本体)
12A 基部
12B 軸部
13 弾力性緩和材(弾力性部材)
15 防水キャップ(キャップ)
16 留めキャップ(取付け手段)
17 フック(取付け手段)
18 ピン(取付け手段)
19 凹部(取付け手段)
20 リングクリップ(取付け手段)
21 固定装置(取付け手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け具に開けられた取付け穴と、標識等の板状体に開けられた取付け穴とにより、該板状体を該取付け具に取り付ける標識取付け構造であって、
前記取付け具の取付け穴に前記板状体の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める抜止め部が一端に設けられている柱状の本体と、
前記取付け具の取付け穴と前記板状体の取付け穴とを前記本体が貫通している状態で、該本体に差し込まれ、または、該本体から突き出されて、該本体と係止することにより、該取付け具に該板状体を取り付ける取付け手段と、
を備えることを特徴とする標識取付け構造。
【請求項2】
前記板状体に対して板状の補助部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の標識取付け構造。
【請求項3】
前記板状体の前面側および裏面側の少なくとも一方に設けられ、かつ、該板状体が取り付けられている本体に差し込まれ、該本体の長手方向に伸縮する弾力性部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の標識取付け構造。
【請求項4】
前記取付け具に対して前記本体による前記板状体の取り付けが終了した状態で、前記本体の端部を被うキャップを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の標識取付け構造。
【請求項1】
取付け具に開けられた取付け穴と、標識等の板状体に開けられた取付け穴とにより、該板状体を該取付け具に取り付ける標識取付け構造であって、
前記取付け具の取付け穴に前記板状体の取付け穴が重ね合わされた状態で、これらの取付け穴を貫通し、これらの取付け穴からの抜けを止める抜止め部が一端に設けられている柱状の本体と、
前記取付け具の取付け穴と前記板状体の取付け穴とを前記本体が貫通している状態で、該本体に差し込まれ、または、該本体から突き出されて、該本体と係止することにより、該取付け具に該板状体を取り付ける取付け手段と、
を備えることを特徴とする標識取付け構造。
【請求項2】
前記板状体に対して板状の補助部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の標識取付け構造。
【請求項3】
前記板状体の前面側および裏面側の少なくとも一方に設けられ、かつ、該板状体が取り付けられている本体に差し込まれ、該本体の長手方向に伸縮する弾力性部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の標識取付け構造。
【請求項4】
前記取付け具に対して前記本体による前記板状体の取り付けが終了した状態で、前記本体の端部を被うキャップを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の標識取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−7155(P2013−7155A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138304(P2011−138304)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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