樹脂と紙との複合ケース
【課題】持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止機能を有する樹脂と紙との複合ケースを提供すること。
【解決手段】弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成る。
【解決手段】弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透明又は半透明の樹脂製収容体と紙ヘッダーから成る複合ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂と紙から成る収容体(ケース)としては、例えば、特許文献1に示されているものがある。
【0003】
上記ケースは、プラスチックシートにより容器部と蓋部とを備えた容器本体が形成され、容器部と蓋部とを折り畳むことにより商品等の被包装物が収納され、前記容器本体には、別体の吊り下げ体が設けられた収容体であって、前記容器本体には、容器と蓋部とを開いた際に前記吊り下げ体が取り外し可能なように、該吊り下げ体が係止される係止手段が設けられている。
【0004】
ここで、前記吊り下げ体は、紙シート(台紙)で構成されているものもあり、その意味からすると樹脂と紙から成る収容体ということができる。
【0005】
しかしながら、上記収容体においては、極単純であり、高い気密性を有するとか、また改ざん防止機能を有するとかという効果が存在しないものとなっている。
【0006】
したがって、上記のような気密性や改ざん防止を必要とする医薬品(粉末、錠剤)等の如きものは収容できないと言ってよい。
【0007】
そこで、毎日、定期的に医薬品を飲む必要がある者にとっては、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止性を有するケースが開発されることを待ち望んでいる。
【特許文献1】特開2000−118558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明では、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止機能を有する樹脂と紙との複合ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1記載の発明)
この発明は、弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成るものとしている。
(請求項2記載の発明)
この発明は、上記請求項1記載の発明に関し、ヘッダーは、挿入部を構成する入口及びその付近においては前後共に紙が二枚重ねして形成してあり、挿入部から離れた部分は前後共に一枚で形成して段落ち部を形成してある。
(請求項3記載の発明)
この発明は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んだ瞬間には、折曲片と段落ち部との当たりにより、衝突音を発するようにしてある。
(請求項4記載の発明)
この発明は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、ヘッダーには、開封用切目線が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記のような構成であり、次の効果を有する。
【0011】
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止機能を有するものであるから、毎日、定期的に医薬品を飲む必要がある者にとっては使い勝手がよく非常に便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の樹脂と紙との複合ケースを実施するための最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1はこの実施例の樹脂と紙との複合ケースKにおける正面図、図2は前記複合ケースKの背面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図3の上部断面図、図5はケース本体Kの展開図、図6はケース本体Kを折っていく手順を示す図(第1工程)、図7はケース本体1を折っていく手順を示す図(第2工程)、図8はケース本体1を折っていく手順を示す図(第3工程)、図9は折曲片を折り返す図(第4工程)、図10はヘッダー2の展開図、図11はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第1工程)、図12はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第2工程)、図13はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第3工程)、図14はヘッダー2の挿入部とケース本体1の上端部とを対向させた状態の正面図を示している。
(この実施例の樹脂と紙との複合ケースKについて)
この樹脂と紙との複合ケースKは、図1や図2に示すように、ポリプロピレン製の扁平な収容体10の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片11を形成してあるケース本体1と、前記上端開放側が挿入できる挿入部21を有していると共に前記挿入部21の奥側には手前部及び後方部にそれぞれ段落ち部22が形成され、更に左右両サイド部に、開封手段としての開封用切目線20を設けてある紙製の扁平なヘッダー2とから構成され、ケース本体1の上端開放側を挿入部21に押し込んでいくと、折り返された一対の折曲片11が押し狭められ、図3及び図4に示すように、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11の先端が段落ち部22に落ち込んで広がることにより抜け止め状態と成るものである。
【0014】
なお、複合ケースKでは、図1や図2にケース本体の底部は前後壁を開くことにより自立可能な構造19(以下自立構造という)を有しており、また、ヘッダー2には出没可能なフック29を設けてある。
【0015】
ここで、図3や図4においては、ケース本体1の底側を開いた状態としてあるが、これは図面を見やすくするためである。
(ケース本体1の具体的構成について)
このケース本体1は、接着剤等を除いて、全てがポリプロピレンで構成されたものを所定に折って形成することにより完成できるようにしてある。
【0016】
このケース本体1を作成するためのシート状展開図4は、図5に示すように、折曲片11と成る上端折り曲げ部40aを有した長方形状のシート部材40と
前記シート部材40の左横に形成された長方形状のシート部材41と、前記シート部材41の左横に形成された、折曲片11と成る上端折り曲げ部42aを有した長方形状のシート部材42と、前記シート部材41の真下に形成された長方形状のシート部材43と、前記シート部材42の真下に形成された長方形状のシート部材44とから構成されている。なお、図5に示す折曲線48a〜48fは折り目を示すものであり、折曲線49は、折曲線48eとの協同によりケース本体1を自立させる構造を作るためのものである。
【0017】
ここで、図5に示すように、シート部材40、41、42は幅がほぼ同一であり、シート部材43、44は前記のシート部材40、41、42よりも少し幅狭に構成させてある。これは円滑に折り畳みができるようにするためである。
【0018】
また、高さにおいては図5に示すように、シート部材41、43、44についてはほぼ同一であるが、シート部材40、42はこれらよりも少し大きくしてある。これは、シート部材40、41、42、43、44を折り畳んだ状態において、折曲片11と成る上端折り曲げ部40a、及び折曲片11と成る上端折り曲げ部42aが円滑に折り返せるようにするためである。なお、図5に示す符号tは粘着剤、接着剤、テープ等である。
(ケース本体1の組立方法について)
図5〜図9に示すように、シート状展開図4は以下のようにして折り畳まれる。
(1)先ず、図5や図6に示すように、シート部材43、44を、折曲線48e、48fで折り曲げて、シート部材42、41に重ね合わせる。
(2)図6や図7に示すように、重なり合ったシート部材42、44を、折曲線48dで折り曲げて、シート部材43上に重ね合わせる。
(3)図7や図8に示すように、シート部材40を、折曲線48bで折り曲げてシート部材44上に重ね合わせる。この状態では、接着剤tにより折り畳まれた状態は確保されたものとなっている。
(4)最後に図8や図9に示す手前側の折曲片11を前側に折り返し、後ろ側の折曲片11を奥側に折り返す。ここで、この実施例のものでは医薬品等を収容する収容体10は2つである。
【0019】
なお、上記(1)〜(4)のような作業は、単純なものであり、自動搬送ラインによって比較的簡単を作成することが可能である。
(ヘッダー2の具体的構成について)
このヘッダー2は、図10〜図13に示すように、接着剤t1等を除いて、全て紙で構成されたものを以下に示すよう折り畳んで完成できるようにしてある。
【0020】
このヘッダー2は、図10に示すように、横長の長方形状の基板26に対し、上部に蓋板25を、下部に奥側ロック片23を、左右に手前側ロック片24、24(接着剤t1付き)をそれぞれ設けて構成してある。そして、基板26と、蓋板25、奥側ロック片23、手前側ロック片24、24との間には折曲線27a、27b、27cを設けてあると共に、基板26と手前側ロック片24、24との間には折曲線27bに沿って開封用切れ目線20を形成してある。
【0021】
奥側ロック片23は、図11に示す折り畳み状態ではその上部が一段低い状態となり、奥側の折曲片11が丁度嵌まり込むような形状となっている。
【0022】
手前側ロック片24、24は、図12に示す折り畳み状態においては、奥側ロック片23とほぼ同じ形状に重なるようになり、手前側の折曲片11が丁度嵌まり込むような形状となっている。
【0023】
蓋板25及び基板26は、上記奥側ロック片23と手前側ロック片24、24を挟み込み、接着剤t1により前記挟み状態が維持されている。
【0024】
即ち、この実施例のヘッダー2では、奥側ロック片23と手前側ロック片24、24との間が挿入部21となっており、また、奥側ロック片23が存在していない基板26部分、手前側ロック片24、24が存在していない蓋板25部分が、段落ち部22になっている。
【0025】
なお、このヘッダー2には、図10に示すように、基板26にはフック29が、手前側ロック片25には告知部(製品のコマーシャル等を付帯できるものであればその形状には拘らない)28を設けてある。
(ヘッダー2の組立方法について)
図10〜図13に示すように、シート状展開図4は以下のようにして折り畳まれる。
(1)図10や図11に示すように、折曲線27aで奥側ロック片23を折り曲げて、基板26の上に奥側ロック片23を重ね合わせる。
(2)図11や図12に示すように、折曲線27bで手前側ロック片24、24を折り曲げて奥側ロック片23上に重ね合わせる。この状態では、手前側ロック片24、24上に接着剤t1が表面に現れている。
(3)図12や図13に示すように、折曲線27cで蓋板25を折り曲げて手前側ロック片24、24上に蓋板25を重ね合わせる。前記接着剤t1により、蓋板25は外れないようになり、これによりヘッダー2は完成する。
【0026】
なお、上記(1)〜(3)のような作業は、単純なものであり、自動搬送ラインによって比較的簡単に作成することが可能である。
(ケース本体1とヘッダー2の結合と、その作用及び効果について)
ケース本体1とヘッダー2の結合する場合、図14に示すように、ヘッダー2の挿入部21と、ケース本体1の折曲片11、11を対向させ、前記挿入部21にケース本体1を押し入れていく(この際、ヘッダー2の幅をケース本体の幅よりも少し大きくしており、ヘッダー2の両サイドを押すようにして膨らました状態にしてケース本体1を押し入れるようにすることが好ましい)。すると、折り返された一対の折曲片11、11が図3や図4に示すように、押し縮められ、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11、11の先端がそれぞれ段落ち部22、22に落ち込んで図1〜図4に示すように、抜け止め状態と成る。
【0027】
なお、上記抜け止め状態となるに際して、一対の折曲片11、11の先端がそれぞれ段落ち部22、22に落ち込むことにより「カチッ」又は「バチッ」という結合音(一対の折曲片11、11が段落ち部22、22を構成する紙を叩く衝突音)を発する。したがって、ケース本体1とヘッダー2の結合が完全に行なわれていることが聴覚的に認識できる。
【0028】
また、上記結合時においては、一対の折曲片11、11の弾性復帰力により、
収容体10の上端開口は閉塞している状態となっている。すなわち、このケース本体1は密閉性が高いものとなっている。
【0029】
更に、ケース本体1とヘッダー2との結合後には、ケース本体1内に収容されている医薬品を取り出したり又は追加するには、開封用切目線20を破損しなければならない。したがって、この実施例の樹脂と紙との複合ケースKは、改ざん防止機能を有していると言うことができる。
【0030】
そして、この実施例の樹脂と紙との複合ケースは、フック29による吊り下げ機能と、ケース本体1の底部における自立構造19により、非常に扱いが良いものとなっている。
さらに、この実施の例の樹脂と紙との複合ケースKは、全体に扁平状態となっているから、衣服のポケットの中に入れて持ち運びすることができ、非常に便利である。
【0031】
ケース本体1に医薬品を入れた後において、前記ケース本体Kとヘッダー2とを結合するのは上述した如く単純なものであり、前記結合は手詰めや自動機械によって比較的簡単にできることが明らかである。
(その他の実施例について)
(1)上記実施例1では、図5に示すシート部材を折り畳んで二つの収容体10を構成させているが、これに限定されることなく収容体10の数を変えるようにしてもよい。
【0032】
例えば、図15に示すシート部材を採用した場合は、一つの収容体10を作ることができ、図16に示すシート部材を採用した場合は、三つの収容体10を作ることができ、図17に示すシート部材を採用した場合は、四つの収容体10を作ることができる。
(2)実施例1のヘッダー2は、図10〜図13に示されたシート部材から構成されているが、これに限定されるものではない。要するに、上端開放側が密に挿入できる挿入部21を有していると共に前記挿入部21の奥側には手前部及び後方部にそれぞれ段落ち部22が形成されている紙製の扁平なヘッダー2とから構成され、ケース本体1の上端開放側を挿入部21に押し込んでいくと、折り返された一対の折曲片11が押し狭められ、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11の先端が段落ち部22に落ち込んで広がることにより抜け止め状態と成るものであれば、上記構成に限定さるものではない。
(3)ケース本体1は、透明又は半透明であり且つ弾性を有するものであれば、採用できる。
(4)ヘッダー2の左右に開封用切目線20をそれぞれ形成しているが、特に
これに限定されることはなく、ヘッダー2の左右の一方のみ、その他の位置でもよい。紙部分の破れ等が目視できれば改ざんされているか否かが判断できるからである。
(5)上記実施例では、扁平な収容体10を、ポリプロピレン製のものとしているが、これに限定されることなく、ポリエチレンテレフタレートが好ましいが、医薬品でなければ透明又は半透明であって弾性を有する樹脂であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この実施例の樹脂と紙との複合ケースにおける正面図。
【図2】前記複合ケースの背面図。
【図3】図2のA−A断面図(自立状態にしている)。
【図4】図3の上部断面図。
【図5】前記複合ケースのケース本体の展開図。
【図6】ケース本体を折っていく手順を示す図(第1工程)。
【図7】ケース本体を折っていく手順を示す図(第2工程)。
【図8】ケース本体を折っていく手順を示す図(第3工程)
【図9】折曲片を折り返す図(第4工程)
【図10】ヘッダーの展開図。
【図11】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第1工程)。
【図12】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第2工程)。
【図13】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第3工程)。
【図14】ヘッダーの挿入部とケース本体の上端部とを対向させた状態の正面図。
【図15】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が一つの場合)。
【図16】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が三つの場合)。
【図17】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が四つの場合)。
【符号の説明】
【0034】
K 複合ケース
1 ケース本体
10 収容体
11 折曲片
19 自立構造
2 ヘッダー
20 開封用切目線
21 挿入部
22 段落ち部
28 告知部
【技術分野】
【0001】
この発明は、透明又は半透明の樹脂製収容体と紙ヘッダーから成る複合ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂と紙から成る収容体(ケース)としては、例えば、特許文献1に示されているものがある。
【0003】
上記ケースは、プラスチックシートにより容器部と蓋部とを備えた容器本体が形成され、容器部と蓋部とを折り畳むことにより商品等の被包装物が収納され、前記容器本体には、別体の吊り下げ体が設けられた収容体であって、前記容器本体には、容器と蓋部とを開いた際に前記吊り下げ体が取り外し可能なように、該吊り下げ体が係止される係止手段が設けられている。
【0004】
ここで、前記吊り下げ体は、紙シート(台紙)で構成されているものもあり、その意味からすると樹脂と紙から成る収容体ということができる。
【0005】
しかしながら、上記収容体においては、極単純であり、高い気密性を有するとか、また改ざん防止機能を有するとかという効果が存在しないものとなっている。
【0006】
したがって、上記のような気密性や改ざん防止を必要とする医薬品(粉末、錠剤)等の如きものは収容できないと言ってよい。
【0007】
そこで、毎日、定期的に医薬品を飲む必要がある者にとっては、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止性を有するケースが開発されることを待ち望んでいる。
【特許文献1】特開2000−118558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明では、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止機能を有する樹脂と紙との複合ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1記載の発明)
この発明は、弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成るものとしている。
(請求項2記載の発明)
この発明は、上記請求項1記載の発明に関し、ヘッダーは、挿入部を構成する入口及びその付近においては前後共に紙が二枚重ねして形成してあり、挿入部から離れた部分は前後共に一枚で形成して段落ち部を形成してある。
(請求項3記載の発明)
この発明は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んだ瞬間には、折曲片と段落ち部との当たりにより、衝突音を発するようにしてある。
(請求項4記載の発明)
この発明は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、ヘッダーには、開封用切目線が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記のような構成であり、次の効果を有する。
【0011】
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、持ち運びがよく、密閉性が高く、更に改ざん防止機能を有するものであるから、毎日、定期的に医薬品を飲む必要がある者にとっては使い勝手がよく非常に便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の樹脂と紙との複合ケースを実施するための最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1はこの実施例の樹脂と紙との複合ケースKにおける正面図、図2は前記複合ケースKの背面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図3の上部断面図、図5はケース本体Kの展開図、図6はケース本体Kを折っていく手順を示す図(第1工程)、図7はケース本体1を折っていく手順を示す図(第2工程)、図8はケース本体1を折っていく手順を示す図(第3工程)、図9は折曲片を折り返す図(第4工程)、図10はヘッダー2の展開図、図11はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第1工程)、図12はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第2工程)、図13はヘッダー2を折っていく手順を示す図(第3工程)、図14はヘッダー2の挿入部とケース本体1の上端部とを対向させた状態の正面図を示している。
(この実施例の樹脂と紙との複合ケースKについて)
この樹脂と紙との複合ケースKは、図1や図2に示すように、ポリプロピレン製の扁平な収容体10の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片11を形成してあるケース本体1と、前記上端開放側が挿入できる挿入部21を有していると共に前記挿入部21の奥側には手前部及び後方部にそれぞれ段落ち部22が形成され、更に左右両サイド部に、開封手段としての開封用切目線20を設けてある紙製の扁平なヘッダー2とから構成され、ケース本体1の上端開放側を挿入部21に押し込んでいくと、折り返された一対の折曲片11が押し狭められ、図3及び図4に示すように、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11の先端が段落ち部22に落ち込んで広がることにより抜け止め状態と成るものである。
【0014】
なお、複合ケースKでは、図1や図2にケース本体の底部は前後壁を開くことにより自立可能な構造19(以下自立構造という)を有しており、また、ヘッダー2には出没可能なフック29を設けてある。
【0015】
ここで、図3や図4においては、ケース本体1の底側を開いた状態としてあるが、これは図面を見やすくするためである。
(ケース本体1の具体的構成について)
このケース本体1は、接着剤等を除いて、全てがポリプロピレンで構成されたものを所定に折って形成することにより完成できるようにしてある。
【0016】
このケース本体1を作成するためのシート状展開図4は、図5に示すように、折曲片11と成る上端折り曲げ部40aを有した長方形状のシート部材40と
前記シート部材40の左横に形成された長方形状のシート部材41と、前記シート部材41の左横に形成された、折曲片11と成る上端折り曲げ部42aを有した長方形状のシート部材42と、前記シート部材41の真下に形成された長方形状のシート部材43と、前記シート部材42の真下に形成された長方形状のシート部材44とから構成されている。なお、図5に示す折曲線48a〜48fは折り目を示すものであり、折曲線49は、折曲線48eとの協同によりケース本体1を自立させる構造を作るためのものである。
【0017】
ここで、図5に示すように、シート部材40、41、42は幅がほぼ同一であり、シート部材43、44は前記のシート部材40、41、42よりも少し幅狭に構成させてある。これは円滑に折り畳みができるようにするためである。
【0018】
また、高さにおいては図5に示すように、シート部材41、43、44についてはほぼ同一であるが、シート部材40、42はこれらよりも少し大きくしてある。これは、シート部材40、41、42、43、44を折り畳んだ状態において、折曲片11と成る上端折り曲げ部40a、及び折曲片11と成る上端折り曲げ部42aが円滑に折り返せるようにするためである。なお、図5に示す符号tは粘着剤、接着剤、テープ等である。
(ケース本体1の組立方法について)
図5〜図9に示すように、シート状展開図4は以下のようにして折り畳まれる。
(1)先ず、図5や図6に示すように、シート部材43、44を、折曲線48e、48fで折り曲げて、シート部材42、41に重ね合わせる。
(2)図6や図7に示すように、重なり合ったシート部材42、44を、折曲線48dで折り曲げて、シート部材43上に重ね合わせる。
(3)図7や図8に示すように、シート部材40を、折曲線48bで折り曲げてシート部材44上に重ね合わせる。この状態では、接着剤tにより折り畳まれた状態は確保されたものとなっている。
(4)最後に図8や図9に示す手前側の折曲片11を前側に折り返し、後ろ側の折曲片11を奥側に折り返す。ここで、この実施例のものでは医薬品等を収容する収容体10は2つである。
【0019】
なお、上記(1)〜(4)のような作業は、単純なものであり、自動搬送ラインによって比較的簡単を作成することが可能である。
(ヘッダー2の具体的構成について)
このヘッダー2は、図10〜図13に示すように、接着剤t1等を除いて、全て紙で構成されたものを以下に示すよう折り畳んで完成できるようにしてある。
【0020】
このヘッダー2は、図10に示すように、横長の長方形状の基板26に対し、上部に蓋板25を、下部に奥側ロック片23を、左右に手前側ロック片24、24(接着剤t1付き)をそれぞれ設けて構成してある。そして、基板26と、蓋板25、奥側ロック片23、手前側ロック片24、24との間には折曲線27a、27b、27cを設けてあると共に、基板26と手前側ロック片24、24との間には折曲線27bに沿って開封用切れ目線20を形成してある。
【0021】
奥側ロック片23は、図11に示す折り畳み状態ではその上部が一段低い状態となり、奥側の折曲片11が丁度嵌まり込むような形状となっている。
【0022】
手前側ロック片24、24は、図12に示す折り畳み状態においては、奥側ロック片23とほぼ同じ形状に重なるようになり、手前側の折曲片11が丁度嵌まり込むような形状となっている。
【0023】
蓋板25及び基板26は、上記奥側ロック片23と手前側ロック片24、24を挟み込み、接着剤t1により前記挟み状態が維持されている。
【0024】
即ち、この実施例のヘッダー2では、奥側ロック片23と手前側ロック片24、24との間が挿入部21となっており、また、奥側ロック片23が存在していない基板26部分、手前側ロック片24、24が存在していない蓋板25部分が、段落ち部22になっている。
【0025】
なお、このヘッダー2には、図10に示すように、基板26にはフック29が、手前側ロック片25には告知部(製品のコマーシャル等を付帯できるものであればその形状には拘らない)28を設けてある。
(ヘッダー2の組立方法について)
図10〜図13に示すように、シート状展開図4は以下のようにして折り畳まれる。
(1)図10や図11に示すように、折曲線27aで奥側ロック片23を折り曲げて、基板26の上に奥側ロック片23を重ね合わせる。
(2)図11や図12に示すように、折曲線27bで手前側ロック片24、24を折り曲げて奥側ロック片23上に重ね合わせる。この状態では、手前側ロック片24、24上に接着剤t1が表面に現れている。
(3)図12や図13に示すように、折曲線27cで蓋板25を折り曲げて手前側ロック片24、24上に蓋板25を重ね合わせる。前記接着剤t1により、蓋板25は外れないようになり、これによりヘッダー2は完成する。
【0026】
なお、上記(1)〜(3)のような作業は、単純なものであり、自動搬送ラインによって比較的簡単に作成することが可能である。
(ケース本体1とヘッダー2の結合と、その作用及び効果について)
ケース本体1とヘッダー2の結合する場合、図14に示すように、ヘッダー2の挿入部21と、ケース本体1の折曲片11、11を対向させ、前記挿入部21にケース本体1を押し入れていく(この際、ヘッダー2の幅をケース本体の幅よりも少し大きくしており、ヘッダー2の両サイドを押すようにして膨らました状態にしてケース本体1を押し入れるようにすることが好ましい)。すると、折り返された一対の折曲片11、11が図3や図4に示すように、押し縮められ、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11、11の先端がそれぞれ段落ち部22、22に落ち込んで図1〜図4に示すように、抜け止め状態と成る。
【0027】
なお、上記抜け止め状態となるに際して、一対の折曲片11、11の先端がそれぞれ段落ち部22、22に落ち込むことにより「カチッ」又は「バチッ」という結合音(一対の折曲片11、11が段落ち部22、22を構成する紙を叩く衝突音)を発する。したがって、ケース本体1とヘッダー2の結合が完全に行なわれていることが聴覚的に認識できる。
【0028】
また、上記結合時においては、一対の折曲片11、11の弾性復帰力により、
収容体10の上端開口は閉塞している状態となっている。すなわち、このケース本体1は密閉性が高いものとなっている。
【0029】
更に、ケース本体1とヘッダー2との結合後には、ケース本体1内に収容されている医薬品を取り出したり又は追加するには、開封用切目線20を破損しなければならない。したがって、この実施例の樹脂と紙との複合ケースKは、改ざん防止機能を有していると言うことができる。
【0030】
そして、この実施例の樹脂と紙との複合ケースは、フック29による吊り下げ機能と、ケース本体1の底部における自立構造19により、非常に扱いが良いものとなっている。
さらに、この実施の例の樹脂と紙との複合ケースKは、全体に扁平状態となっているから、衣服のポケットの中に入れて持ち運びすることができ、非常に便利である。
【0031】
ケース本体1に医薬品を入れた後において、前記ケース本体Kとヘッダー2とを結合するのは上述した如く単純なものであり、前記結合は手詰めや自動機械によって比較的簡単にできることが明らかである。
(その他の実施例について)
(1)上記実施例1では、図5に示すシート部材を折り畳んで二つの収容体10を構成させているが、これに限定されることなく収容体10の数を変えるようにしてもよい。
【0032】
例えば、図15に示すシート部材を採用した場合は、一つの収容体10を作ることができ、図16に示すシート部材を採用した場合は、三つの収容体10を作ることができ、図17に示すシート部材を採用した場合は、四つの収容体10を作ることができる。
(2)実施例1のヘッダー2は、図10〜図13に示されたシート部材から構成されているが、これに限定されるものではない。要するに、上端開放側が密に挿入できる挿入部21を有していると共に前記挿入部21の奥側には手前部及び後方部にそれぞれ段落ち部22が形成されている紙製の扁平なヘッダー2とから構成され、ケース本体1の上端開放側を挿入部21に押し込んでいくと、折り返された一対の折曲片11が押し狭められ、完全押し込みの少し手前で一対の折曲片11の先端が段落ち部22に落ち込んで広がることにより抜け止め状態と成るものであれば、上記構成に限定さるものではない。
(3)ケース本体1は、透明又は半透明であり且つ弾性を有するものであれば、採用できる。
(4)ヘッダー2の左右に開封用切目線20をそれぞれ形成しているが、特に
これに限定されることはなく、ヘッダー2の左右の一方のみ、その他の位置でもよい。紙部分の破れ等が目視できれば改ざんされているか否かが判断できるからである。
(5)上記実施例では、扁平な収容体10を、ポリプロピレン製のものとしているが、これに限定されることなく、ポリエチレンテレフタレートが好ましいが、医薬品でなければ透明又は半透明であって弾性を有する樹脂であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この実施例の樹脂と紙との複合ケースにおける正面図。
【図2】前記複合ケースの背面図。
【図3】図2のA−A断面図(自立状態にしている)。
【図4】図3の上部断面図。
【図5】前記複合ケースのケース本体の展開図。
【図6】ケース本体を折っていく手順を示す図(第1工程)。
【図7】ケース本体を折っていく手順を示す図(第2工程)。
【図8】ケース本体を折っていく手順を示す図(第3工程)
【図9】折曲片を折り返す図(第4工程)
【図10】ヘッダーの展開図。
【図11】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第1工程)。
【図12】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第2工程)。
【図13】ヘッダーを折っていく手順を示す図(第3工程)。
【図14】ヘッダーの挿入部とケース本体の上端部とを対向させた状態の正面図。
【図15】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が一つの場合)。
【図16】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が三つの場合)。
【図17】その他の実施例のケース本体の展開図(収容体が四つの場合)。
【符号の説明】
【0034】
K 複合ケース
1 ケース本体
10 収容体
11 折曲片
19 自立構造
2 ヘッダー
20 開封用切目線
21 挿入部
22 段落ち部
28 告知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成ることを特徴とする樹脂と紙との複合ケース。
【請求項2】
ヘッダーは、挿入部を構成する入口及びその付近においては前後共に紙が二枚重ねして形成してあり、挿入部から離れた部分は前後共に一枚で形成して段落ち部を形成してあることを特徴とする請求項1記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項3】
一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んだ瞬間には、折曲片と段落ち部との当たりにより、衝突音を発するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項4】
ヘッダーには、開封用切目線が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項1】
弾性を有する樹脂から成る扁平な収容体の上端開放側について、その手前部を前側に、後方部を後ろ側に、それぞれ折り返して一対の折曲片を形成してあるケース本体と、前記上端開放側が挿入できる挿入部を有していると共にその奥側には前後にそれぞれ段落ち部が形成されている紙製の扁平なヘッダーとから構成され、ヘッダーの挿入部にケース本体の上端開放側を押し込むことにより、一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んで抜け止め状態に成ることを特徴とする樹脂と紙との複合ケース。
【請求項2】
ヘッダーは、挿入部を構成する入口及びその付近においては前後共に紙が二枚重ねして形成してあり、挿入部から離れた部分は前後共に一枚で形成して段落ち部を形成してあることを特徴とする請求項1記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項3】
一対の折曲片の先端が段落ち部に落ち込んだ瞬間には、折曲片と段落ち部との当たりにより、衝突音を発するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項4】
ヘッダーには、開封用切目線が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂と紙との複合ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−137896(P2010−137896A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317043(P2008−317043)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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