説明

樹脂の識別装置、及び識別方法

【課題】識別対象物の形状等(形状、大きさ、厚み等)にかかわらず、重合体の識別が可能な識別装置を得ることを目的としている。
【解決手段】この発明に係る樹脂の識別装置は、搬送手段により搬送される破砕混合樹脂に光を照射し、該破砕混合樹脂からの反射光または散乱光を検出素子で検出し、その検出結果に基づいて樹脂およびその添加剤の種類を識別する樹脂の識別装置において、上記検出結果は、上記検出素子と所定の上記破砕混合樹脂までの距離とが異なることで得られる複数のスペクトルに基づき得られるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃家電製品等から得られる破砕混合樹脂から再利用可能な樹脂を識別する装置、該識別装置を用いた樹脂の識別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃家電における樹脂のリサイクルでは、当該樹脂を手で解体できる部分は限られているため、小さな部品や複雑な構成の部品については、機械的に粉砕して、金属又は樹脂等を選別したうえでリサイクル材とする必要がある。
【0003】
この場合、粉砕して混合された状態から、それぞれの材料を分別することが要求されるため、高度な選別技術が必要である。このうち金属は、比重や電気的又は磁気的な力により、選別されるが、重合体(例えば、特開2002−323450号公報、段落番号[0004]記載の重合体、樹脂を含む)は、電気的又は磁気的な力による選別が出来ないため、搬送手段により搬送される重合体に光を照射し、該重合体からの反射光または散乱光から得られたスペクトルに基づいて種類を識別する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−323450号公報(2頁5〜8行、図1,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている識別装置では、重合体を透光部に密着させる必要があるが、重合体に凹凸や反りがある場合に、重合体と検出素子との距離を一定に保つことができず、S/N比のよいスペクトルが得られないため、識別が困難になるという問題点があった。
【0006】
また、搬送手段の側方に光照射部および検出素子を設置する構造の識別装置にあっては、物体の厚みが小さい場合に、照射光が重合体に当たらなかったり、重合体に照射されても反射光や散乱光の強度が弱いために、重合体の材質を識別することができるだけの強度をもったスペクトルを検出することができないため、識別が困難となるという問題点もあった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、識別対象物の形状等(形状、大きさ、厚み等)にかかわらず、重合体の識別が可能な識別装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る樹脂の識別装置は、搬送手段により搬送される破砕混合樹脂に光を照射し、該破砕混合樹脂からの反射光または散乱光を検出素子で検出し、その検出結果に基づいて樹脂およびその添加剤の種類を識別する樹脂の識別装置において、上記検出結果は、上記検出素子と所定の上記破砕混合樹脂までの距離とが異なることで得られる複数のスペクトルに基づき得られるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、識別すべき破砕混合樹脂(以下、樹脂片とも記載する)の形状等にかかわらず、精度の高い材質識別を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における識別装置の構成を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1における識別装置のデータ処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】ABSの各スペクトルデータ、及び、これらの積算データとの関係を示した図である。
【図4】この発明の実施の形態1における識別装置のデータ処理部の処理を具体的に示した概略図である。
【図5】この発明の実施の形態3における識別装置の構成を示す概略図である。
【図6】この発明の実施の形態4における搬送部の構造を示す断面図である。
【図7】ABSのスペクトルデータを連続的に取得した複数のデータ、及び、これらの積算データとの関係を示した図である。
【図8】この発明の実施の形態5における搬送部の構造を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態6における搬送部の構造を示す概略図である。
【図10】この発明の実施の形態7における選別装置の構造を示す概略図である。
【図11】この発明の実施の形態8における選別装置の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
次に、図面を用いて、この発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態1における識別装置の構成を示す概略図である。図において、(a)(b)及び(c)は、識別すべきプラスチック片である被識別体10を光照射部30からなる光照射領域に搬送部20で搬送する場合に、被識別体10が各光照射部30の下を通過するときの各状態を示している。光照射部30は、被識別体10に、最も離れた第一の距離から第一照射光1aを照射する第一光照射部31と、次に離れた第二の距離から第二照射光1bを照射する第二光照射部32と、最も近い第三の距離から第三照射光1cを照射する第三光照射部33とから構成されている。
【0013】
検出部40は、被識別体10に第一照射光1aを照射した場合の反射光または散乱光である第一検出光2aを検出するための検出素子からなる第一検出部41、被識別体10に第二照射光1bを照射した場合の反射光または散乱光である第二検出光2bを検出するための検出素子からなる第二検出部42、及び、被識別体10に第三照射光1cを照射した場合の反射光または散乱光である第三検出光2cを検出するための検出素子からなる第三検出部43を備えている。
【0014】
(a)では第一検出光2aが検出され、(b)及び(c)では、第二検出光2b及び第三検出光2cが検出される。検出部40にて検出されたそれぞれの検出光の各スペクトルデータは、データ処理部50に送られ処理される。図2は、この発明の実施の形態1における識別装置のデータ処理部の内部構成を示すブロック図である。図において、データ処理部50は、各スペクトルデータを記録する記録部51と、各スペクトルデータをあらかじめ記憶部52に記憶された基準データと比較する演算部53と、演算部53からの演算結果に基づいて被識別体10の材質を識別する識別部54により構成される。
【0015】
次に、識別方法について説明する。図3は、検出部40で検出した例えばABS(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂。以下ABSと記載する)の各ラマンスペクトルデータ、及び、これらの積算データとの関係を示した図である。ここで、例えば、第一検出部41は搬送されうる最大厚の被識別体10の表面に焦点を合わせた位置に設けられ、第三検出部43は搬送部20の搬送面に焦点を合わせた位置に設けられ、第二検出部42は、第一検出部41と第三検出部43の中間に焦点を合わせた位置に設けられている。搬送部20としては、例えば無端コンベアを用いることができる。
【0016】
搬送部20に供給された被識別体10が検出部40を通過する際、第一検出部41、第二検出部42、及び、第三検出部43のそれぞれの検出部近傍の検出ポイントを通過した際に検出されたスペクトルをそれぞれ示したものが第一スペクトル101、第二スペクトル102、及び、第三スペクトル103である。ここでこれらのデータは、データ処理部50に送られ記録部51に記憶される。次に演算部53でこれらの積算データである積算スペクトル104を求め、あらかじめ記憶部52に記憶された基準データと比較する。そこで、比較された結果から被識別体10の材質が何であるかを識別する。図4は、例えば、ABSのラマンスペクトルデータ(積算データ)が得られた場合に、記憶部52に記憶されているPP(Polypropylene)、HIPS(High Impact Polystyrene)、及び、ABSのデータと比較し、識別する過程を具体的に示した概略図である。図からも明らかなように、記録部51に記録されたデータは、演算部53で演算され、ABSの記憶データと一致することがわかる。その結果、識別部において、被識別体10がABSであると識別される。
【0017】
この発明の実施の形態1における識別装置のような構成にすれば、例えば、厚みが薄く、焦点距離の全く合わない第一検出部41で検出された第一スペクトル101のようなまったくピークが認められない材質識別不可能なスペクトルが検出された場合でも、ピークが認められる材質識別可能な第二スペクトル102、及び、第三スペクトル103のデータが同時に検出可能であるため、被識別体10の材質が何であるかを識別することができる。また、同一の被識別体10に対して複数のデータを取得可能であり、これら複数のデータを積算することで、より確実に被識別体10の材質を識別することができる。これらの効果は、検出部を1つしか設けない従来の識別装置では得られない顕著な効果である。
【0018】
また、この発明の実施の形態1における識別装置の構成では、光照射部30及び検出部40を各3台設けた構成としたが、各検出部からの距離が2点以上となるような構成であれば、特に台数に制限は無く、例えば、2台であっても、4台又は5台であっても、何台で構成してもかまわない。
【0019】
また、この発明の実施の形態1に係る被識別体である樹脂として、プラスチックについて説明してきたが、被識別体からの反射光または散乱光のスペクトルに基づいて被識別体の材質が識別可能である樹脂であればよい。このような樹脂として、例えば、特開2002−323450号公報、段落番号[0004]に記載された重合体および重合体材料中の添加剤に示されるものがある。
【0020】
特に廃家電における樹脂のリサイクルを行う上で、所定のサイズ、たとえば略2〜100mm角内に収まる程度に破砕されたプラスチック片の材質を識別することが重要であることは自明であるが、プラスチック片に混在されるゴム系樹脂又はスポンジ等の識別も重要であることもいうまでもない。なお、樹脂には該当しないが、炭素繊維、金属繊維の識別ができないことは明らかであり、これらの物質については、比重選別、静電選別等の異なる選別法により選別可能である。
【0021】
また、被識別体からの反射光または散乱光のスペクトルに基づいて被識別体の材質を識別する手法としては、ラマンスペクトル分析、又は、近赤外線、中赤外線、遠赤外線、可視光、紫外線、及び蛍光などの分光分析に基づく公知の手法を用いることができる。たとえば、ラマンスペクトル分析に基づく手法は特開平10−38807号公報、中赤外分光分析に基づく手法は特開2001−108527号公報にそれぞれ記載されている。
【0022】
実施の形態2.
前記実施の形態1では、積算スペクトルを用いて、あらかじめ記憶部52に記憶された基準データと比較することで、被識別体の材質が何であるかを識別する装置について説明したが、データ処理部50において、あらかじめ記憶部52に記憶された基準データと比較する際に、検出されたスペクトルの中から最もS/N比の良いスペクトルを用いて、被識別体の材質が何であるかを識別するように構成しても良い。ここで、最もS/N比の良いスペクトルとは、例えば図3では第二スペクトル102である。
【0023】
このように構成することで、検出感度が低くノイズ成分が多量に含まれる測定環境下においても、検出素子からの距離が異なる複数の位置で得られた複数のスペクトルデータの中から最良の検出データを用いることで、より確実に被識別体10の材質を識別することができる。
【0024】
実施の形態3.
前記実施の形態1では、焦点距離が等しいそれぞれの検出部の設置位置を変えることにより、被識別体の形状等が異なる場合でも、被識別体表面に焦点を合わせることができる構成について説明したが、それぞれの検出部の焦点距離を変えることで同様の効果が得られる。図5は、この発明の実施の形態3における識別装置の構成を示す概略図である。図において、(a)(b)及び(c)は、識別すべきプラスチック片である被識別体10を光照射部30からなる光照射領域に搬送部20で搬送する場合に、各光照射部30の下を通過するときの各状態を示している。前記実施の形態1と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0025】
検出部40は、被識別体10に第一照射光1aを照射した場合の反射光または散乱光である第一検出光2aを検出するための検出素子と第一レンズ201からなるレンズ付第一検出部44、被識別体10に第二照射光1bを照射した場合の反射光または散乱光である第二検出光2bを検出するための検出素子と第二レンズ202からなるレンズ付第二検出部45、及び、被識別体10に第三照射光1cを照射した場合の反射光または散乱光である第三検出光2cを検出するための検出素子と第三レンズ203からなるレンズ付第三検出部46を備えている。(a)では第一検出光2aが検出され、(b)及び(c)では、第二検出光2b及び第三検出光2cが検出される。
【0026】
ここで、例えば、第一レンズ201は搬送されうる最大厚の被識別体10の表面に焦点が合うように設計され、第三レンズ203は搬送部20の搬送面に焦点が合うように設計され、第二レンズ202は、第一レンズ201と第三レンズ203の中間に焦点が合うように設計されている。このように設計することで、前記実施の形態1の第一検出部41、第二検出部42、及び、第三検出部43の備え付け位置が異なる場合と同様の効果が得られる。
【0027】
また、この発明の実施の形態3における識別装置の構成では、光照射部30及び検出部40を各3台設けた構成としたが、各検出部からの焦点距離が2点以上となるようなレンズ構成を用いた検出部であれば、特に台数に制限は無く、例えば、2台であっても、4台又は5台以上であっても、何台で構成してもかまわない。
【0028】
このように構成することで、識別装置の設置に対して高さの制約がある場合や、識別対象の厚さ範囲が流動的である場合においても、適切なレンズの選別及び適切なレンズへの交換で、容易に対応可能であり、より柔軟な設計が可能である。
【0029】
実施の形態4.
前記実施の形態では、焦点距離が異なる複数の検出部40からのデータに基づいて被識別体の材質を識別する装置について説明したが、単一の検出部40を設け、被識別体を上下に動かすことにより被識別体との距離を可変し、それぞれの位置での複数のデータを取得することで同様の効果を得られる。図6は、この発明の実施の形態4における搬送部の構造を示す断面図である。図において、(a)(b)及び(c)は、識別すべきプラスチック片である被識別体10を光照射部30からなる光照射領域に搬送部20で搬送する場合に、光照射部30の下を通過する時点の各状態を示している。前記実施の形態1と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0030】
搬送部20には、被識別体10を載せて上下に稼動可能な搬送台21が設けられている。搬送台21に載せられた被識別体10は、検出部40の検出部近傍の検出ポイントを通過する際に上下に移動させ、検出素子からの距離が異なる複数の位置で得られた複数のスペクトルデータを用いて、前記実施の形態と同様の処理をすることで、確実に被識別体10の材質を識別することができる。
【0031】
このように構成することで、検出部のコストを下げることができると共に、検出素子と被識別物体10の距離を連続的に変化させることが出来るため、複数のスペクトルデータを連続的に検出することができる。図7は検出部40で検出した例えばABSのラマンスペクトルデータを連続的に取得した複数のデータ、及び、これらの積算データとの関係を示した図である。図において、連続的な複数のスペクトル105の積算スペクトル106、又は、連続的な複数のスペクトル105の内で最もS/N比のよいスペクトル107と、基準スペクトルとを比較することで、より確実に被識別体10の材質識別を行うことができる。
【0032】
更に、照射光1があたる被識別物体10の部位が搬送されることにより移動するので、同一箇所に複数回照射光1があたることを回避でき、光を吸収し熱を持つことにより、溶けたり焼けたりしてスペクトル取得が困難となる有色プラスチックであっても、熱を持ちにくく、スペクトルの検出が可能となり、より確実に被識別体10の材質識別を行うことができる。
【0033】
実施の形態5.
前記実施の形態4では、搬送部に、被識別体を載せて上下に稼動可能な搬送台を設け、検出素子からの距離が異なる複数の位置で得られた複数のスペクトルデータを用いて、確実に被識別体の材質を識別する装置について説明したが、搬送部の搬送面に傾斜面を設け、被識別体を傾斜させて置ける形状とすることで同様の効果が得られる。図8は、この発明の実施の形態5における搬送部の構造を示す断面図である。図において、(a)(b)及び(c)は、識別すべきプラスチック片である被識別体10を光照射部30からなる光照射領域に搬送部20で搬送する場合に、被識別体10が光照射部30の下を通過する時点の各状態を示している。前記実施の形態4と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0034】
搬送部20は、断面が略鋸歯形状の搬送面を持ち、被識別体10を傾斜させて置ける。このように構成することで、被識別体10は、検出部40の検出部近傍の検出ポイントを通過する際に、複数のポイントで複数のスペクトルデータを取得することで、取得される検出素子からの距離が異なる複数の位置での複数のスペクトルデータを用いて、前記実施の形態4と同様の効果が得られる。また、前記実施の形態4に比して、簡単な構造で搬送部を構成することができ、識別装置のコストを下げることができると共に、稼動部分が少ないため、より信頼性の高い識別装置を構成することができる。
【0035】
実施の形態6.
前記実施の形態5では、搬送部を直線状で構成していたが、ディスク状に構成し、回転させることにより搬送してもかまわない。図9は、この発明の実施の形態6における搬送部の構造を示す概略図である。図において、前記実施の形態5と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0036】
搬送部20は、断面が略鋸歯形状の搬送面を持ち、被識別体10を傾斜させて置ける。このように構成することで、被識別体10は、検出部40の検出部近傍の検出ポイントを通過する際に、複数のポイントで複数のスペクトルデータを取得することで、取得される検出素子からの距離が異なる複数の位置での複数のスペクトルデータを用いて、前記実施の形態4と同様の効果が得られる。また、前記実施の形態5に比して、コンパクトな搬送部を構成することができ、識別装置の設置面積の低減が図れる。
【0037】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態5、すなわち、搬送部の搬送面に傾斜面を設け、被識別体を傾斜させて置ける形状とした場合について説明したが、前記実施の形態5に限らず、前記実施の形態1乃至4の全ての場合で、搬送部をディスク状に構成することが可能なことはいうまでもない。
【0038】
実施の形態7.
前記実施の形態では、被識別体を識別するまでの機構について説明したが、前記識別装置を用いて、被識別体を識別後に選別し、回収するまでの機構を設けることにより、さらに具体的なリサイクル技術を提供することができる。なお、ここでは、被識別体を識別後に選別し、回収するまでの機構を設けたものを選別装置としているが、識別装置と選別装置との間に厳密な境界はなく、回収するまでの機構を含め識別装置としてもかまわない。図10は、この発明の実施の形態7における選別装置の構造を示す概略図である。ここで、(a)は搬送部を側面から見た図を示し、(b)は搬送部を上面から見た図を示す。図において、前記実施の形態5と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0039】
供給部80から供給された被識別体10は、搬送部20により搬送され、前記実施の形態で示した識別装置により識別された後、材質の種類に応じて分離部60で選別される。ここで、分離部60には、例えば、エアガンが設けられ、空気圧により所定の被識別体10を選別する。分離部60により選別された所定の被識別体10aは第一回収容器71に回収され、他の被識別体10bは第二回収容器72に回収される。ここでは、2種類の被識別体10を選別する場合について説明したが、より多くのエアガンと回収容器を設けることで、または、エアガンの空気圧を可変することで、2種類のみに限らず、3種類以上の選別が可能なことはいうまでもない。
【0040】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態5、すなわち、搬送部の搬送面に傾斜面を設け、被識別体を傾斜させて置ける形状とした場合について説明したが、前記実施の形態5に限らず、前記実施の形態1乃至4の全ての場合で、被識別体を識別後に選別し、回収するまでの機構を設けることが可能なことはいうまでもない。
【0041】
このように構成することで、被識別体の種類を識別するだけではなく、種類ごとに分けて回収することが出来るため、リサイクルを容易にするためのより具体的な技術を提供することができる。
【0042】
実施の形態8.
前記実施の形態7では、被識別体を識別後に選別し、回収するまでの機構を設けることについて説明したが、被識別体を材質ごとに分離して回収した後、材質ごとに重量を計量し、重量比を求め、表示する構成にすることより、品質管理が容易にできる。図11は、この発明の実施の形態8における選別装置の構造を示す概略図である。図において、前記実施の形態7と同一番号で示された部分は同様な構成となるため説明を省略する。ここでは、異なる構成について詳しく説明する。
【0043】
分離部60により選別された所定の被識別体10aは第一回収容器71に回収され、他の被識別体10bは第二回収容器72に回収される。所定の被識別体10aは第一計量部91で計量される。また、他の被識別体10bは第二計量部92で計量される。ここで、計量部90としては、例えば、上皿天秤を用い、各回収容器をそれぞれの上皿天秤上に載せておくことで構成される。材質識別、分離、回収が進むにつれ、計量部90は回収された被識別体10の重量を計量し、これらに関する情報を重量情報処理部55に送る。重量情報処理部55では、材質ごとに重量比を算出し、材質ごとの重量及び重量比を表示部56に表示する。ここでは、2種類の被識別体10を選別する場合について説明したが、より多くのエアガン、回収容器、および計量部を設けることで、2種類のみに限らず、3種類以上の計量が可能なことはいうまでもない。
【0044】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態5、すなわち、搬送部の搬送面に傾斜面を設け、被識別体を傾斜させて置ける形状とした場合について説明したが、前記実施の形態5に限らず、前記実施の形態1乃至4の全ての場合で、被識別体を識別後に選別し、回収するまでの機構を設けることが可能なことはいうまでもない。
【0045】
このように構成することで、被識別体を種類ごとに分けて選別、回収することが出来るだけでなく、材質ごとの重量比が逐次確認、把握できるため、品質管理、または、再利用等のためのデータ収集が可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 照射光、1a 第一照射光、1b 第二照射光、1c 第三照射光、2 検出光、2a 第一検出光、2b 第二検出光、2c 第三検出光、10 被識別体、10a 所定の被識別体、10b 他の被識別体、20 搬送部、21 搬送台、30 光照射部、31 第一光照射部、32 第二光照射部、33 第三光照射部、40 検出部、41 第一検出部、42 第二検出部、43 第三検出部、44 レンズ付第一検出部、45 レンズ付第二検出部、46 レンズ付第三検出部、50 データ処理部、51 記録部、52 記憶部、53 演算部、54 識別部、55 重量情報処理部、56 表示部、60 分離部、71 第一回収容器、72 第二回収容器、80 供給部、90 計量部、91 第一計量部、92 第二計量部、101 第一スペクトル、102 第二スペクトル、103 第三スペクトル、104 積算スペクトル、105 連続的な複数のスペクトル、106 積算スペクトル、107 最もS/N比のよいスペクトル、201 第一レンズ、202 第二レンズ、203 第三レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される破砕混合樹脂に光を照射し、該破砕混合樹脂からの反射光または散乱光を検出素子で検出し、その検出結果に基づいて樹脂およびその添加剤の種類を識別する樹脂の識別装置において、上記検出結果は、上記検出素子と所定の上記破砕混合樹脂までの距離とが異なることで得られる複数のスペクトルに基づき得られることを特徴とする樹脂の識別装置。
【請求項2】
検出結果は、検出素子と所定の破砕混合樹脂までの距離とが異なることで得られる複数のスペクトルを積算して得られることを特徴とする請求項1記載の樹脂の識別装置。
【請求項3】
検出結果は、検出素子と所定の破砕混合樹脂までの距離とが異なることで得られる複数のスペクトルの中から選択された最もS/N比のよいスペクトルに基づき得られることを特徴とする請求項1記載の樹脂の識別装置。
【請求項4】
上記請求項1乃至請求項3のいずれか記載の樹脂の識別装置であって、識別結果に基づき材質ごとに分離する分離部と、その分離部により分離された破砕混合樹脂を回収する回収部とを備えたことを特徴とする樹脂の識別装置。
【請求項5】
回収部で回収された破砕混合樹脂の重量を計量する計量部と、その計量部の計量結果に基づくデータを処理する処理部と、その処理部で処理された結果を表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項4記載の樹脂の識別装置。
【請求項6】
上記請求項1乃至請求項5のいずれか記載の樹脂の識別装置を備えたことを特徴とする樹脂の識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−102760(P2011−102760A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258009(P2009−258009)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】