説明

樹脂フィルムシート接合用シール剤、筒状フィルム、シール剤未塗布部検出装置、不可視光吸収剤添加装置、シール剤未塗布部検出システム及びシール剤未塗布部検出方法

【課題】 シール剤が塗布された部分が紫外線の影響を受けて発光することなく、シール剤の未塗布部分を検出可能なシール剤未塗布部検出装置を提供する。
【解決手段】 シート上の接合領域に紫外線光吸収剤が含まれているシール剤21が塗布され、当該接合領域に塗布されているシール剤21の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出装置600であって、接合領域に紫外線を照射する紫外線照射部611と、接合領域に照射された紫外線の透過光を受光して、当該受光光の強弱を検出する紫外線検出部602と、紫外線検出部602の受光強度が閾値以上となった場合に接合領域においてシール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出する制御部605とを備えることを特徴とするシール剤未塗布部検出装置600。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルムの素材となるシートに塗布された透明なシール剤の塗布洩れを検出する装置に関し、特に、上記筒状フィルムの見栄えの低下を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル、缶や瓶などの容器に付されるラベルは、通常、熱収縮性を有する筒状フィルムからなり、容器に被せられた後に昇温されることにより収縮し、容器に密着している。
従来、このような筒状フィルムを製造する筒状フィルム製造装置として、収容されているボビンからシート状のフィルムを逐次巻き戻しながら送出すると共に、このフィルムを治具に巻きつけながら当該治具の長手方向に搬送しつつ、当該治具の外方で重なり合うフィルムの両縁部同士を貼り合わせることにより筒状する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記貼り合わせを行うため、フィルムの両縁部の一方にシール剤が塗布される。
このシール剤は、透明性を有しているが、このことが反って製造時におけるシール剤の塗布洩れの検出を困難なものとしている。
そこで、このような問題を解決するものとして、図11に示すように、上記シール剤22中に蛍光剤を添加し、シール剤22が塗布されるべき箇所に紫外線を照射し、蛍光発光の有無を確認することにより、シール剤の有無を判定するシール剤塗布量検出システムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
上記紫外線は、紫外線照射部611から放射され、また、上記蛍光発光は、可視光検出部613において受光されており、これら紫外線照射部611及びは可視光検出部613略同一直線上に配され、その間に紫外線の照射対象たるシート帯20の縁部が介されている。
これにより、確認が困難であったシール剤の有無の判定を可能としている。
【特許文献1】特開2004−338376号公報
【特許文献2】特開2002−86572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ラベルの両縁部を貼り合わせるシール剤に蛍光剤を添加することで、例えば、店内において陳列されている上記ラベルが貼られたペットボトルの陳列場所付近に、ブラックライトなどの紫外線発光源がある場合、上記貼り合わせ部分が紫外線の影響を受けて発光し、商品の美観を損なうという問題がある。
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ラベルに蛍光剤を付着させることなく、シール層の有無を検出可能な樹脂フィルムシート接合用シール剤、筒状フィルム、シール剤未塗布部方法、シール剤未塗布部検出装置、不可視光吸収剤添加装置及びシール剤未塗布部検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る樹脂フィルムシート接合用シール剤は、樹脂フィルムシートの接合に用いるシール剤であって、不可視光吸収剤が含まれていることを特徴とする樹脂フィルムシート接合用シール剤であることを特徴とし、また、本発明に係る筒状フィルムは、長尺なシートの短手方向における両縁部同士を重ね合わせ、当該重なり合っている面同士を接合してなる筒状のフィルムであって、前記重なり合っている面同士の間に、不可視光吸収剤を含むシール剤が介されていることを特徴とする。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るシール剤未塗布部検出装置は、シート上の一定領域に不可視光吸収剤が含まれているシール剤が塗布されており、当該一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出装置であって、前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射手段と、前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を受光して、当該受光光の強弱を検出する不可視光検出手段と、前記不可視光検出手段の受光強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出手段とを備えることを特徴とし、または、シート上の一定領域に不可視光吸収剤が含まれているシール剤が塗布されており、当該一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出装置であって、前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射手段と、前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を蛍光剤により可視光に変換する可視光変換手段と前記可視光を受光して当該可視光の強弱を検出する可視光検出手段と前記可視光検出手段において、前記可視光の強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る不可視光吸収剤添加装置は、シート上の一定領域に塗布されるシール剤に、前記塗布に先行して前記シール剤に不可視光吸収剤を添加することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るシール剤未塗布部検出システムは、上記不可視光吸収剤添加装置と上記シール剤未塗布部検出装置からなるを特徴とする。
【0009】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明に係るシール剤未塗布部方法は、シート上の一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出方法であって、前記シール剤の塗布に先行して前記シール剤の構成材に、不可視光吸収剤を添加する不可視光吸収剤添加ステップと、前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射ステップと、前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を受光して、当該受光光の強弱を検出する不可視光検出ステップと前記不可視光検出ステップにおいて、前記受光強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出ステップとを有することを特徴とし、または、シート上の一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出方法であって、前記シール剤の塗布に先行して前記シール剤の構成材に、不可視光吸収剤を添加する紫外線吸収剤添加ステップと、前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射ステップと、前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を蛍光剤により可視光に変換する可視光変換ステップと前記可視光を受光して当該可視光の強弱を検出する可視光検出ステップと前記可視光検出ステップにおいて、前記可視光の強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によって、シートに塗布されるシール剤には、蛍光剤ではなく不可視光吸収剤が添加されるので、このシートを用いて作成されるラベルなどの製品が、紫外線によって蛍光発光することがなく、美観が損なわれることがない。
ここで、上記不可視光吸収剤とは、紫外線や赤外線などの不可視光を、発光を伴わずに吸収する材料のことである。
【0011】
また、前記シート層が塗布される一定領域に紫外線を照射したとき、シール剤が塗布されていなかった場合、紫外線の吸収は起きず、当該紫外線はそのままの強度に近い強度で、透過または反射するので、透過光及び反射光の紫外線強度を検出することにより、シール剤がある場合とない場合とでの相対的強度によって、前記シール剤の有無を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1におけるシール剤未塗布部検出システムについて説明する。
<構成>
図1は、ラベル製造装置500に付設されたシール剤未塗布部検出システム100の概要図である。
【0013】
ラベル製造装置500は、長尺なシート帯20の両縁部同士を、シール剤を介して重複させることにより、上記シートを連続的に筒状のラベル帯30へと形状遷移させる装置である。
シール剤未塗布部検出システム100は、上記形状遷移の過程で、上記両縁部の一方に塗布されたシール剤の塗布洩れを検出する装置である。
【0014】
シール剤未塗布部検出システム100は、上記シール剤に紫外線吸収剤を添加する紫外線吸収剤添加装置700と、紫外線吸収剤を利用してシール剤の有無を検出するシール剤未塗布部検出装置600とからなる。
紫外線吸収剤添加装置700は、上記シール剤の主材に不可視光吸収剤の一例としての紫外線吸収剤を添加して攪拌混合する装置である。
【0015】
上記紫外線吸収剤は、蛍光発光を伴わずに紫外線を吸収するものであって、例えば、品名:SEESORB 703(CAS−No.3896−11−5(シプロ化成株式会社製))及び品名:SEESORB 704(CAS−No.25973−55−1(シプロ化成株式会社製))などが使用可能である。
なお、これらの紫外線吸収剤は、FDA認可済みの構造式を有し、ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関するポジティブリストをクリアしており、安全性の高い物質である。
【0016】
シール剤未塗布部検出装置600は、シート帯20の上記シール剤が塗布されるべき箇所に紫外線を照射し、その透過光を受光して紫外線強度を検出して、紫外線吸収剤の有無、即ち、シール剤の有無を検出する。
さらに、シール剤未塗布部検出装置600は、送出されるシート帯20及びラベル帯30の位置を検出し、シール剤が塗布されていないと判断したとき、その位置を特定して、当該特定された位置に対して品質上の問題があることを示すマーキングを実施する。
【0017】
図2は、シート帯20が送出されている状態にあるラベル製造装置500の外観図であり、このラベル製造装置500の構成部材に近接配置されたシール剤未塗布部検出装置600に属する一部の部材、即ち、照射手段の一例としての紫外線照射部611、不可視光検出手段の一例としての紫外線検出部602及びマーキング手段の一例としてのマーキング部608も合わせて描かれている。
【0018】
図3は、紫外線検出部602、紫外線照射部611及び紫外線の照射対象物たるシート帯20の位置関係を示す図である。
図3(a)は、シート帯20の紫外線照射位置にシール剤21が塗布されている場合を示し、この場合、紫外線照射部611から照射された紫外線がシール剤21に含まれている紫外線吸収剤により吸収され、紫外線検出部602に到達する透過光に紫外線量が減少する。
【0019】
また、図3(b)は、シート帯20の紫外線照射位置にシール剤21が塗布されていない場合を示し、この場合、紫外線検出部602に紫外線照射部611から照射された紫外線が略そのまま到達する。
また、図3(a)、図3(b)において、紫外線検出部602と紫外線照射部611の逆の配置も可能である。
【0020】
図4は、シール剤未塗布部検出装置600のブロック図である。
シール剤未塗布部検出装置600は、紫外線検出部602と、送り量検出部603と、受付部604と、シール剤未塗布部検出手段の一例としての制御部605と、紫外線照射部611と、表示部606、警報部607と、マーキング部608とからなる。
紫外線検出部602は、紫外線領域に感度を有するフォトダイオードであり、受光した紫外強度に比例した電流を制御部605に出力する。
【0021】
上記フォトダイオードとしては、浜松ホトニクス株式会社製S5821−03または浜松ホトニクス株式会社製S8255などが挙げられる。
紫外線照射部611は、紫外線LEDランプであって、制御部605からの電力供給により紫外線を放射する。
上記紫外線LEDランプとしては、ナイトライド・セミコンダクター株式会社製NS365Lなどが挙げられる。
【0022】
送り量検出部603は、例えば、ローラ580の回転軸に接続されたロータリーエンコーダであって、上記回転軸の回転角度に応じて電圧パルスを制御部605に出力する。
受付部604は、キーボードなどの入力装置であって、ユーザからの入力情報を制御部605に出力する。
表示部606は、モニターなどの画像表示装置であって、ユーザが入力した情報の内容などを表示する。
【0023】
警報部607は、スピーカーであって、制御部605から出力された電気信号を音声に変換することにより、警報音を発する。
マーキング部608は、塗料を噴射する装置であって、制御部605から出力される信号をトリガとして上記塗料を噴射する。
制御部605は、CPUなどからなり、受付部604から起動命令が入力されると、紫外線照射部611に電力を供給するとともに、送り量検出部603から出力される1電圧パルス毎に1づつカウントアップし、これらを加算することにより、ローラ580の回転角度、即ち、シート帯20の送出量を検出するとともに、紫外線検出部602から供給される電流の値を取得して、紫外線強度を把握する。
【0024】
また、受付部604から停止命令を受けた場合、制御部605は、紫外線照射部611への電力供給を停止するとともに、送り量検出部603から出力される電圧パルスのカウントアップを止め、シート帯20の送出量の検出を中止するとともに、紫外線検出部602から供給される電流の値の取得を中止する。
図5は、本実施の形態におけるシート帯に印刷された印刷パターンと紫外線検出部での紫外線受光強度との関係を示す図である。
【0025】
制御部605は、把握した紫外線強度が第1閾値以上となった場合、上記カウントにもとづいて加算した加算値TSを始点位置として登録し、その後、紫外線強度が第1閾値を下回った時点の上記加算値Tfの値を終点位置として登録する。
始点位置として登録した始点値と終点位置として登録した終点値の差が第2閾値を下回る場合、始点位置として登録及び終点位置始点としての登録を解除する。
【0026】
一方、始点位置として登録した始点値TSと終点位置として登録した終点値Tfの差分(Tf−TS)が第2閾値以上の場合、始点位置として登録した始点値TS及び終点位置始点して登録した終点値Tfを有効なものとし、シート帯20上の紫外線照射位置からマーキング部608の塗料塗布位置までの距離に対応するパルスを予めカウントアップして得た固定値TI−Mと始点値TSと終点値Tfと現時点における上記カウントアップ値Tの関係が以下の式1を満足する間、マーキング部608に塗料を噴射するように指示する信号を出力する。
(式1) (TS+TI−M)≦T≦(Tf+TI−M
つまり、制御部605は、シール剤が塗布されていなかった部位に警告を促す塗料を噴射、即ち、マーキングするように制御を実施する。
【0027】
また、制御部605は、始点値TSと終点値Tfの差分(Tf−TS)が第2閾値以上となっている間、警報部607に電気信号を出力する。画一的な制御
以上、制御部605において実施する制御内容について述べたが、ラベルの印刷パターンには、様々な模様や配色が存在し、ラベル毎に紫外線の吸収特性も変わるので、上記内容で画一的な制御が実施される訳ではない。
【0028】
以下に、上記制御内容とは異なる制御を実施する場合について説明する。
(その他の制御内容)
上述の制御(以下、「制御例1」という。)では、制御部605は、始点値TSと終点値Tfの差分(Tf−TS)が第2閾値以上となった場合に、シール剤が塗布されていなかった部位と判断しているが、これに限らず、以下のように制御を実施してもよい。
(制御例2)
例えば、図12に示すように、制御部605の演算処理により把握した図12(b)の紫外線強度から、第3閾値以上となった信号成分を抽出し、増幅演算した図12(c)の紫外線強度を差分処理して得られる図12(d)の紫外線強度について、第4閾値以上を満足する間、マーキング部608に塗料を噴射するように指示する信号を出力する。
【0029】
つまり、制御部605は、シール剤が塗布されていなかった部位に警告を促す塗料を噴射、即ち、マーキングするように制御を実施する。
また、制御部605は、図12(c)の紫外線強度が第4閾値以上となっている間、警報部607に電気信号を出力する。
この場合の実施の形態において説明した第3閾値は、シール剤が塗布されていなかった部位にてその閾値を越えることがない値として、予め設定した値である。
【0030】
また、第4閾値は、差分処理して得られる図12(d)の紫外線強度における、非印刷領域部の演算結果に発生するノイズ成分が、その閾値を越えることがない値として、予め設定した値である。
(制御例3)
また、図13に示すように、把握した図13(e)の紫外線強度において、塗布開始直前の紫外線強度を第5閾値として登録し、その後、制御例2に記載の差分処理にて得られる図13(f)の紫外線強度において、紫外線強度が第5閾値を上回った場合に、マーキング部608に塗料を噴射するように指示する信号を出力する。
【0031】
つまり、制御部605は、シール剤が塗布されていなかった部位に警告を促す塗料を噴射、即ち、マーキングするように制御を実施する。
また、制御部605は、図13(f)の紫外線強度が第5閾値以上となっている間、警報部607に電気信号を出力する。
以上のような各機能部の処理により、シール剤の塗布されていない部位を検出し、さらに、その部位に上記マーキングを行うことより、その位置が誰にでもわかるようにすることによって、後工程においての是正処置を容易にしている。
【0032】
より具体的には、ボビンに巻回されてペットボトルメーカに納入されたラベル帯30は、再び帯状に引き出された後に、ペットボトル1本分に使用される単位にカットされるが、その際上記マーキングがなされたカット品、即ち、ラベルは廃却処分されることとなる。
(第2閾値の意義)
図5は、シート帯20に印刷された印刷パターンと紫外線検出部602での紫外線受光強度との関係を示す図である。
【0033】
シート帯20には、印刷されている印刷領域と、印刷されていない非印刷領域が存在する。
上記非印刷領域は、長手方向における長さが短くこの部分がペットボトル単位の分割位置となっている。
この非印刷領域は、透明であるため印刷領域に比べて可視光及び不可視光を問わず光を透過し易くなっている。
【0034】
ここで、不可視光とは、紫外線や赤外線などの可視光以外の光をいう。
したがって、シート帯20の一方の縁部にシール剤21が塗布されていても、その下地が印刷領域であるのか、非印刷領域であるのかで紫外線が透過する量が異なってくることになる。
そこで発明者は、非印刷領域での紫外線受光強度の増加をシール剤21の未塗布部分として検出することなく、真のシール剤21の未塗布のみを検出可能とするような制御を模索した。
【0035】
その結果、非印刷領域の長手方向における長さが印刷領域の長手方向における長さよりも短いことに着目して、紫外線受光強度が強まった範囲の長手方向における長さが第2閾値よりも長い場合に限り、シール剤未塗布として検出することとした。
(シール剤未塗布部検出方法)
図6は、制御部605における処理ステップを示す図である。
【0036】
制御部605は、受付部604から起動命令を受付けると、紫外線照射部611に紫外線照射を開始するように紫外線照射部611に電力の供給を開始し、さらに送り量検出部603から出力されるパルスの数をカウントアップすると共に、紫外線検出部602からの電流量を計測する(ステップS101)。
次ぎに制御部605は、紫外線検出部602から供給される電流値が第1の閾値以上となったか否かを判断する(ステップS102)。
【0037】
上記判断において、否定的な判断が下された場合、再度上記判断を行う。即ち、肯定的な判断がなされるまで待機する。
一方、上記判断において、肯定的な判断が下された場合、その時点におけるカウントアップ値を第1位置として特定する。即ち、その時点で紫外線が照射されていた位置を始点位置として登録する(ステップS103)。
【0038】
そして、第1閾値以上となった領域が第2閾値以上の長さ存在したか否かを判断する(ステップS104)。
ステップS104における判断において、否定的な判断か下されると、登録した第1位置の登録を解除する(ステップS105)。
一方、ステップS104における判断において、肯定的な判断が下された場合、制御部605は、紫外線検出部602から供給される電流値が第1の閾値以下となったか否かを判断する(ステップS106)。
【0039】
ステップS106における判断において、否定的な判断が下された場合、再度ステップS106の判断を行う。即ち、肯定的な判断がなされるまで待機する。
一方、ステップS106における判断において、肯定的な判断が下された場合、制御部605は、その時点におけるカウントアップ値を第2位置として特定する。即ち、その時点で紫外線が照射されていた位置を終点位置として登録する(ステップS107)。
【0040】
その後、一方、ステップS106における判断において、肯定的な判断が下された場合、制御部605は、その時点におけるカウントアップ値を第2位置として特定する。即ち、その時点で紫外線が照射されていた位置を終点位置として登録する(ステップS107)。
そして、制御部605は、式1の条件を満足するとき、即ち、マーキング部608の塗料噴射位置にシール剤の未部分が達しているとき、マーキング部608に、塗料の噴射を指示する信号を出力する(ステップS108)。
【0041】
この間、制御部605は、受付部からの指示に応じて、警報部607に信号出力して、警報を鳴らすこともできる。
制御部605は、上記ステップS107の実行直後に、登録された第1位置と第2位置のカウントアップ値をクリア、即ち、登録を解除する(ステップS109)。
そして、制御部605は、受付部604から停止命令を受けた否かを判断する(ステップS109)。
【0042】
ステップS109における判断において、否定的な判断が下された場合、制御部605は、再度ステップS102に戻る。
ステップS109における判断において、肯定的な判断が下された場合、制御部605は、紫外線照射部611への電力供給を止め(ステップS111)、処理を終了する。
以上の処理が実行されることにより、シール剤が塗布されていない部位にマーキングが施され、誰の目から見てもマーキング部位には、シール剤が塗布されていないことが明白となるので、シート帯20を個別に切りだしてラベルにする際に、マーキングさているラベルを除去することによって、不良品を使用することが避けられる。
【0043】
そしてこのラベルのシール剤には、従来のように蛍光剤が含まれていないので、例えブラックライトが当たる環境に晒されても、発光することがなくラベルの見栄えを損なわない。
なお、本実施の形態では、紫外線検出部602は、紫外線領域に感度を有するフォトダイオードであり、受光した紫外強度に比例した電流を制御部605に出力するとしたが、受光強度が或る閾値以上となった場合に一定の電流が流れ出すON/OFFのみの機構を有していてもよい。
【0044】
この場合の本実施の形態において説明した第1閾値は、上述のような機構を有する素子の紫外線検出限界となる。これに伴い制御部は、受光強度に応じた電流の値そのものを取得するのではなく、電流の強弱、即ち、ON/OFFのみでシール剤の有無を判断することとなる。もしくはこのON/OFFの信号を利用してCPUなどの複雑なアルゴリズムを用いることなく機械的な制御を実施することもできる。
【0045】
また、本実施の形態では、シール剤に紫外線吸収剤を添加したが、この紫外線吸収剤の代わりに赤外線吸収剤を添加してもよく、その場合、紫外線照射部の代わりに赤外線を照射する赤外線照射部が配され、また、紫外線検出部の代わりに赤外線を検出する赤外線検出部が配される。
ここで上記赤外線吸収剤とは、蛍光発光を伴わずに赤外線を吸収するものをいい、無論紫外線が照射されても蛍光発光するものでもない。
【0046】
上記構成により、ラベルには蛍光発光する物質が含まれておらず、かつ、赤外線検出部における赤外線受光強度を検出することにより、シール剤の未塗布部の存在を検出することができる。
(変形例1)
本実施の形態では、紫外線検出部602は、紫外線を検出する装置であったが、これに限らず、例えば、図7に示すように、紫外線照射部611から照射された紫外線の光路上であって、シート帯20を透過した先の位置において、透明性を有する透明板640の表面に蛍光剤を塗布し、当該透明板640を紫外線が透過する際に、蛍光発光する光を可視光領域に感度を有する可視光検出部613を用いてもよい。
(変形例2)
上記透明板640のような透明性のある板を用いる変わりに、図8に示すように、鏡面に蛍光剤を塗布した反射板620を使用することにより、不可視光を可視光に変換すると共に、光路を屈折させることができ、これを受光する可視光検出部613の配設位置の自由度がアップする。
(変形例3)
また、図9に示すように、シート帯20の両縁部の一方が覆い被さってくる側(以下、「内方側」という。)に上述の反射板620をシール剤21が塗布された面と略平行な状態で配することによって、前記一方の縁部のシール剤21が塗布されていない側(以下、「外方側」という。)において、反射板620対向する位置に可視光検出部613と紫外線照射部611とを並設してなる一つのユニット610として構成することができる。
【0047】
この場合、シート帯20におけるシール剤の塗布面の裏側から紫外線が入射し、その透過光が反射板620に到達して反射されて、入射経路上を逆行して再度シール剤21及びシート帯20を透過して可視光検出部613に到達する。
(変形例4)
図9に示すように可視光検出部613と紫外線照射部611とを並設して近接位置に配するのではなく、あえて直交する方向に配したい場合には、図10に示すように、図9における外方側光路上にハーフミラー630を光路に対して45度の角度で挿入させることにより、紫外線照射部611を可視光検出部613と直交する方向に配することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明は、ペットボトル、缶及び瓶などのラベルの製造に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出システムの概要図である。
【図2】本実施の形態におけるラベル製造装置500の外観図である。
【図3】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出装置の紫外線照射部及び紫外線検出部と紫外線の照射対象物たるシート帯との相対的な位置関係を示す図である。
【図4】本実施の形態におけるシール剤未塗布部検出装置600のブロック図である。
【図5】本実施の形態におけるシート帯に印刷された印刷パターンと紫外線検出部での紫外線受光強度との関係を示す図である。
【図6】本実施の形態における制御部での処理ステップを示す図である。
【図7】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出装置の紫外線照射部と紫外線検出部の配設位置に関する変形例1を示す図である。
【図8】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出装置の紫外線照射部と紫外線検出部の配設位置に関する変形例2を示す図である。
【図9】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出装置の紫外線照射部と紫外線検出部の配設位置に関する変形例3を示す図である。
【図10】本実施の形態におけるシール剤塗布量検出装置の紫外線照射部と紫外線検出部の配設位置に関する変形例4を示す図である。
【図11】従来例におけるシール剤塗布量検出システムを示す図である。
【図12】本実施の形態におけるシート帯に印刷された印刷パターンと紫外線検出部での紫外線受光強度との関係を示す制御例2を示す図である。
【図13】本実施の形態におけるシート帯に印刷された印刷パターンと紫外線検出部での紫外線受光強度との関係を示す制御例3を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
20 シート帯
21 シール剤
22 シール剤
30 ラベル帯
100 シール剤未塗布部検出システム
500 ラベル製造装置
580 ローラ
600 シール剤未塗布部検出装置
602 紫外線検出部
603 量検出部
604 受付部
605 制御部
606 表示部
607 警報部
608 マーキング部
610 ユニット
611 紫外線照射部
613 可視光検出部
620 反射板
630 ハーフミラー
640 透明板
700 紫外線吸収剤添加装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムシートの接合に用いるシール剤であって、
不可視光吸収剤が含まれていることを特徴とする樹脂フィルムシート接合用シール剤。
【請求項2】
長尺なシートの短手方向における両縁部同士を重ね合わせ、当該重なり合っている面同士を接合してなる筒状のフィルムであって、
前記重なり合っている面同士の間に、不可視光吸収剤を含むシール剤が介されていることを特徴とする筒状フィルム。
【請求項3】
前記不可視光吸収剤は、紫外線吸収材料または赤外線吸収材料であることを特徴とする請求項2に記載の筒状フィルム。
【請求項4】
シート上の一定領域に不可視光吸収剤が含まれているシール剤が塗布されており、当該一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出装置であって、
前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射手段と、
前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を受光して、当該受光光の強弱を検出する不可視光検出手段と、
前記不可視光検出手段の受光強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出手段とを備えることを特徴とするシール剤未塗布部検出装置。
【請求項5】
前記一定領域は、長尺な前記シートの短手方向における両縁部のうちの一方であり、
前記両縁部同士が前記シール剤を介して重複することにより、前記シートが筒状へと連続的に形状遷移される過程において、
前記不可視光の照射は、前記重複が生じる前段階における前記一定領域に対して実行されることを特徴とする請求項4に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項6】
さらに、前記シール剤未塗布部検出手段においてシール剤未塗布部の存在が検出されたとき、前記受光強度が前記閾値以上となっている間に前記不可視光の照射が行われていた前記一定領域の対応範囲を特定する範囲特定手段と、
前記範囲特定手段により特定された前記対応範囲及び/またはその近傍にマーキングするマーキング手段とを有することを特徴とする請求項5に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項7】
前記範囲特定手段は、前記対応範囲が一定長さ未満の場合、前記特定をキャンセルすると共に、
前記シール剤未塗布部検出手段においても、シール剤未塗布部の存在を検出したことをキャンセルすることを特徴とする請求項6に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項8】
前記不可視光吸収剤は、紫外線吸収材料または赤外線吸収材料であることを特徴とする請求項4から7に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項9】
シート上の一定領域に不可視光吸収剤が含まれているシール剤が塗布されており、当該一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出装置であって、
前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射手段と、
前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を蛍光剤により可視光に変換する可視光変換手段と
前記可視光を受光して当該可視光の強弱を検出する可視光検出手段と
前記可視光検出手段において、前記可視光の強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出手段と
を有するシール剤未塗布部検出装置。
【請求項10】
前記一定領域は、長尺な前記シートの短手方向における両縁部のうちの一方であり、
前記両縁部同士が前記シール剤を介して逐次重複することにより、前記シートが筒状へと連続的に形状遷移される過程において、
前記不可視光の照射は、前記重複が生じる前段階における前記一定領域に対して実行されることを特徴とする請求項9に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項11】
さらに、前記シール剤未塗布部検出手段においてシール剤未塗布部の存在が検出されたとき、前記受光強度が前記閾値以上となっている間に前記不可視光の照射が行われていた前記一定領域の対応範囲を特定する範囲特定手段と、
前記範囲特定手段により特定された前記対応範囲及び/またはその近傍にマーキングするマーキング手段とを有することを特徴とする請求項10に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項12】
前記範囲特定手段は、前記対応範囲が一定長さ未満の場合、前記特定をキャンセルすると共に、
前記シール剤未塗布部検出手段においても、シール剤未塗布部の存在を検出したことをキャンセルすることを特徴とする請求項11に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項13】
前記不可視光吸収剤は、紫外線吸収材料または赤外線吸収材料であることを特徴とする請求項9から12に記載のシール剤未塗布部検出装置。
【請求項14】
シート上の一定領域に塗布されるシール剤に、前記塗布に先行して前記シール剤に不可視光吸収剤を添加する不可視光吸収剤添加装置。
【請求項15】
請求項14に記載の不可視光吸収剤添加装置と請求項4に記載のシール剤未塗布部検出装置からなるシール剤未塗布部検出システム。
【請求項16】
請求項14に記載の不可視光吸収剤添加装置と請求項9に記載のシール剤未塗布部検出装置からなるシール剤未塗布部検出システム。
【請求項17】
シート上の一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出方法であって、
前記シール剤の塗布に先行して前記シール剤の構成材に、不可視光吸収剤を添加する不可視光吸収剤添加ステップと、
前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射ステップと、
前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を受光して、当該受光光の強弱を検出する不可視光検出ステップと
前記不可視光検出ステップにおいて、前記受光強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出ステップと
を有するシール剤未塗布部検出方法。
【請求項18】
前記一定領域は、長尺な前記シートの短手方向における両縁部のうちの一方であり、
前記両縁部同士が前記シール剤を介して逐次重複することにより、前記シートが筒状へと連続的に形状遷移される過程において、
前記不可視光の照射は、前記重複が生じる前段階における前記一定領域に対して実行されることを特徴とする請求項17に記載のシール剤未塗布部検出方法。
【請求項19】
さらに、前記シール剤未塗布部検出ステップにおいてシール剤未塗布部の存在が検出されたとき、前記受光強度が前記閾値以上となっている間に前記不可視光の照射が行われていた前記一定領域の対応範囲を特定する範囲特定ステップと、
前記範囲特定ステップにより特定された前記対応範囲及び/またはその近傍にマーキングするマーキングステップとを有することを特徴とする請求項18に記載のシール剤未塗布部検出方法。
【請求項20】
前記範囲特定ステップは、前記対応範囲が一定長さ未満の場合、前記特定をキャンセルすると共に、
前記シール剤未塗布部検出ステップにおいても、シール剤未塗布部の存在を検出したことをキャンセルすることを特徴とする請求項19に記載のシール剤未塗布部検出方法。
【請求項21】
シート上の一定領域に塗布されているシール剤の未塗布部分を検出するシール剤未塗布部検出方法であって、
前記シール剤の塗布に先行して前記シール剤の構成材に、不可視光吸収剤を添加する紫外線吸収剤添加ステップと、
前記一定領域に前記不可視光吸収剤に吸収され易い不可視光を照射する照射ステップと、
前記一定領域に照射された前記不可視光の透過光または反射光を蛍光剤により可視光に変換する可視光変換ステップと
前記可視光を受光して当該可視光の強弱を検出する可視光検出ステップと
前記可視光検出ステップにおいて、前記可視光の強度が閾値以上となった場合に、前記一定領域において前記シール剤が塗布されていないシール剤未塗布部が存在することを検出するシール剤未塗布部検出ステップと
を有するシール剤未塗布部検出方法。
【請求項22】
前記一定領域は、長尺な前記シートの短手方向における両縁部のうちの一方であり、
前記両縁部同士が前記シール剤を介して逐次重複することにより、前記シートが筒状へと連続的に形状遷移される過程において、
前記不可視光の照射は、前記重複が生じる前段階における前記一定領域に対して実行されることを特徴とする請求項21に記載のシール剤未塗布部検出方法。
【請求項23】
さらに、前記シール剤未塗布部検出ステップにおいてシール剤未塗布部の存在が検出されたとき、前記受光強度が前記閾値以上となっている間に前記不可視光の照射が行われていた前記一定領域の対応範囲を特定する範囲特定ステップと、
前記範囲特定ステップにより特定された前記対応範囲及び/またはその近傍にマーキングするマーキングステップとを有することを特徴とする請求項22に記載のシール剤未塗布部検出方法。
【請求項24】
前記範囲特定ステップは、前記対応範囲が一定長さ未満の場合、前記特定をキャンセルすると共に、
前記シール剤未塗布部検出ステップにおいても、シール剤未塗布部の存在を検出したことをキャンセルすることを特徴とする請求項23に記載のシール剤未塗布部検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−274197(P2006−274197A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99690(P2005−99690)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】