説明

樹脂成形装置及び樹脂成形方法

【課題】樹脂の量が少なくても予備成形樹脂における孔の発生(周囲よりも薄い部分の発生を含む)を低減して、均一な厚みの予備成形樹脂が成形可能となる成形装置及び成形方法。
【解決手段】相対的に接近・離反可能な上型132と下型134とを有し、上型132と下型134との間に設けられたキャビティに供給された樹脂102を加熱押圧して予備成形する樹脂成形装置100であって、樹脂102が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形装置100において、樹脂102をキャビティに移動させキャビティに配置される離型フィルム104と、予備成形樹脂103の平面積の70%以下の面積で、樹脂102を離型フィルム104上に搭載する樹脂供給機構120とを備えた成形装置及び成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、被成形品(基板と基板に実装された半導体チップなど)を樹脂にて圧縮成形する圧縮成形装置と、その圧縮成形装置で用いられる樹脂を、粉状、粒状の樹脂から予め所定の形状に成形(予備成形と称する)する樹脂成形装置と、が記載されている。特許文献1、2では、樹脂成形装置が、離型フィルム上に向けて樹脂を通過させる筒形状のシュータを有する樹脂供給機構を備えている。離型フィルムに面するそのシュータの開口面積は、予備成形後の樹脂(以降、予備成形樹脂と称する)の平面積よりもわずかに小さく設定されている。このため、予備成形樹脂の平面積のほぼ全域に拡がりをもって、樹脂を均一な厚さで離型フィルム上に搭載する(撒く)ことが可能とされ、樹脂成形装置で安定して均一な厚みの予備成形樹脂を成形することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183753号公報
【特許文献2】特開2009−234000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、離型フィルム上に搭載される樹脂は、一様な粒径(微粉を含む)からなるのではなく、様々な粒径を含む。このため、特許文献1、2の樹脂供給機構において、樹脂の量を少なくしていくと、上記シュータで均一な厚さで樹脂を撒こうとしても樹脂を隙間なく敷き詰めた状態とすることが困難となってくることが新たに見出された。樹脂量が少ないと個々の樹脂粒子の粒径が異なることの影響が大きくなり、即ち厚みの薄い予備成形樹脂に対しては搭載される樹脂の厚みのばらつきが大きくなり、結果的に複数個所で樹脂がまばらな状態となっていた。この場合には、予備成形のために加熱押圧しても、そのまばらな部分では樹脂の粒子(以下、粉の状態を含む)と粒子との間が離れていることから、出来上がる予備成形樹脂では、ときに孔や周囲よりも薄い部分が発生してしまうおそれがある。このような状態の予備成形樹脂は、移載装置により圧縮成形装置に搬送しようとしても、予備成形樹脂の吸着ができずに予備成形樹脂の搬送ミスとなるおそれがある。
【0005】
また、予備成形樹脂の搬送が無事にできた場合であっても、被成形品を圧縮成形する際に、当該孔或いは周囲よりも薄い部分への樹脂の流動が他の部分に比べて大きく生じることとなる。このため、封止品質を悪化させるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべくなされたもので、樹脂の量が少なくても予備成形樹脂における孔の発生(以下、周囲よりも薄い部分の発生を含む)を低減して、均一な厚みの予備成形樹脂が成形可能な樹脂成形装置及び樹脂成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形装置であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形装置において、前記樹脂を前記キャビティに移動させ該キャビティに配置される離型フィルムと、前記予備成形後の樹脂の平面積の70%以下の面積で、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載する樹脂供給機構と、を備えたことにより、上記課題を解決したものである。
【0008】
本発明は、従来例とは発想の視点を全く異ならせたものである。すなわち、従来例が均一な予備成形後の樹脂(予備成形樹脂)を成形するために予備成形樹脂のほぼ全域に拡がりをもって均一に樹脂を撒くことに視点をおいていた。これに対して、本発明は、樹脂量の少ない場合に、即ち、樹脂が粒径の異なる粒子を含む(と認識できる)ような樹脂量の場合には、予備成形樹脂で孔の発生を低減させることに視点をおいたものである。具体的に説明するならば、離型フィルム上に樹脂供給機構により、予備成形樹脂の平面積の70%以下の面積で樹脂を搭載するようにしている。つまり、樹脂を、従来例で示した如く拡がりをもって均一にではなく、逆に樹脂の拡がりを制限して密集した状態として離型フィルム上に搭載している(撒く)。このため、樹脂を離型フィルム上に搭載した段階で、樹脂がまばらである状態を解消でき、樹脂の粒子と粒子との間の空気を少なくすることができる。そして、この状態で、離型フィルム上の樹脂はキャビティに供給され、加熱押圧される。このため、加熱により密集した状態の樹脂は互いに溶着し、押圧により樹脂の流動が生じるとともに、溶着した樹脂に内包されている(粒子と粒子との間の)空気がその流動方向に排出されることとなる。このようにして、当該空気が予備成形樹脂の成形工程において排除、排気されることで、孔の発生や周囲よりも薄い部分の発生を低減することができる。
【0009】
なお、前記樹脂の前記離型フィルム上の最大搭載高さが、前記樹脂に含まれる最大粒径よりも大きくされている場合には、最大搭載高さの部分にたとえ最大粒径の樹脂粒子が存在しても、そこにも複数の樹脂の粒子が密集していることとなる。すなわち、樹脂の密集した状態を確実に担保していることで、孔の発生や周囲よりも薄い部分の発生を確実に低減することができる。
【0010】
なお、密集した状態で樹脂を離型フィルム上に搭載することについて、本発明では、このように離型フィルム上に撒かれた樹脂の面積(拡がり状態)の視点で規定するのではなく、離型フィルム上に撒くための具体的な開口面積で規定してもよい。即ち、相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形装置であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形装置において、前記樹脂を前記キャビティに移動させ該キャビティに配置される離型フィルムと、該離型フィルム上に向けて前記樹脂を通過させるシュータと、を備え、該シュータに該離型フィルムと当接した状態で該樹脂を搭載可能な第1当接口が設けられ、該第1当接口の開口面積が前記予備成形後の樹脂の平面積の1/3以下とされていてもよい。このような場合も、従来の拡がりを持って均一に撒くという概念とは全く異なり、上記本発明の作用効果を同じように奏することとなる。なお、上記樹脂供給機構には特に構成の制限がないが、前記シュータを備えている場合には、従来の樹脂供給機構と同様の構成で部品の兼用化が可能となり、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0011】
なお、前記シュータが前記第1当接口を有する第1筒状部材と該第1筒状部材の外側であって該第1筒状部材と同軸に配置される第2筒状部材とを備え、該第1筒状部材の前記第1当接口が前記離型フィルムより上方に離反された状態で、前記第2筒状部材の該離型フィルムと当接する第2当接口が該離型フィルムより離反する構成とされている場合には、先ず、第1筒状部材で樹脂を離型フィルム上に密集して搭載することができ、次いで、第1筒状部材を離型フィルムより上方に離反させた際に、第1筒状部材の内側に付着していた樹脂の粒子が舞い上がったとしても、第2筒状部材を離型フィルムに当接した状態としておくことができる。このため、その舞い上がった樹脂の粒子は、第2筒状部材の外部に飛散することなく、確実に離型フィルム上に搭載される(撒かれる)こととなる。つまり、樹脂の実際に離型フィルム上に搭載される量の変動を少なくして、更に安定して樹脂を離型フィルム上に密集して搭載することが可能となる。
【0012】
このような第1筒状部材と第2筒状部材の構成は特に限定されないが、前記第1筒状部材の外周に第1凸部、該第1凸部の上方であって前記第2筒状部材の内周に第2凸部がそれぞれ設けられ、該第1凸部と第2凸部とが係合することで、前記第1筒状部材の上方への離反に連動して前記第2筒状部材が離反する場合には、第1筒状部材の離反を制御するだけで、第2筒状部材の離反も制御できる。このため、制御が簡単で、部材の増加を最小限にすることができる。
【0013】
なお、前記キャビティの型締め状態において、前記第1金型と第2金型との間の少なくとも一部分に該キャビティの内部から外部に連通する隙間が設けられている場合には、樹脂の加熱押圧をして型締め状態に至っても、樹脂から排出される空気をその隙間を介してキャビティからスムースに排出させることができる。このため、予備成形樹脂に孔が残ることを更に回避することができる。
【0014】
なお、前記隙間は第1金型と第2金型とを接触させない状態を型締め状態とすることで設けてもよい。或いは、第1金型、第2金型若しくはその両方の一部分に段差を設けることで構成してもよい。例えば、前記第2金型が、貫通孔が設けられるとともに前記キャビティの側面を形成する枠型と、該貫通孔に嵌合して該キャビティの底面を形成する本型とを備え、該枠型の上面に前記隙間を構成する段差が設けられている場合には、隙間の形成とその管理が容易である。
【0015】
なお、前記隙間の深さが、前記樹脂に包含されるフィラーの最大外径以下とされている場合には、最大外径のフィラーが隙間の部分を通過せずにキャビティに留まることで、樹脂がキャビティから外へ漏れることを安定して防ぐことができる。
【0016】
なお、本発明は、相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形方法であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形方法において、前記予備成形後の樹脂の平面積の70%以下の面積で、前記樹脂を離型フィルム上に搭載する工程と、該離型フィルムを前記キャビティに配置させることで、該樹脂を該キャビティに移動させる工程と、を含むことを特徴とする樹脂成形方法とも捉えることができる。
【0017】
或いは、本発明は、相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形方法であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形方法において、離型フィルム上に向けて前記樹脂を通過させるシュータを配置するとともに、該シュータの開口面積が前記予備成形後の樹脂の平面積の1/3以下となる第1当接口を該離型フィルムに当接させる工程と、該第1当接口が当接した状態で、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載する工程と、該離型フィルムを前記キャビティに配置させることで、該樹脂を該キャビティに移動させる工程と、を含むことを特徴とする樹脂成形方法とも捉えることもできる。
【0018】
なお、本発明は、上記シュータを用いる樹脂成形方法において、更に、前記シュータが前記第1当接口を有する第1筒状部材と該第1筒状部材の外側であって該第1筒状部材と同軸に配置される第2筒状部材とを備え、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載した後、該第1筒状部材の前記第1当接口を前記離型フィルムより上方に離反させる工程と、該第1当接口が上方に離反された状態で、前記第2筒状部材の該離型フィルムと当接する第2当接口を該離型フィルムより離反させる工程と、を含むことを特徴とする樹脂成形方法とも捉えることができる。
【0019】
なお、上記いずれかの樹脂成形方法において、更に、前記第1金型と第2金型とで前記予備成形後の樹脂の厚さとするために加える最大の押圧力よりも弱い押圧力を、前記離型フィルムを介して加えて前記樹脂を加熱し該樹脂を軟化させる工程と、該軟化した樹脂に該最大の圧押力を加える工程と、を含む場合には、樹脂が軟化する前には、離型フィルムを介して、弱い押圧力を加えて樹脂を軟化させている。そして、樹脂の軟化により粘度が低くなった後に、樹脂が最大の圧押力で押圧されるので、離型フィルムに不要なしわができにくい。このため、しわによる樹脂のばりの発生を防止でき、ばりに付随して生じうる予備成形樹脂の量の変動や樹脂成形装置の汚れを防止できる。同時に、しわによる離型フィルムの不要な伸縮を低減でき、離型フィルムの長寿命化や再利用を促進することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、樹脂の量が少なくても予備成形樹脂における孔の発生や周囲よりも薄い部分の発生を低減して、均一な厚みの予備成形樹脂が成形可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態の一例が適用された樹脂成形装置の全体模式図
【図2】同じく樹脂成形装置に適用された樹脂供給機構の概略模式図
【図3】同じく樹脂成形装置に適用された下型の模式図
【図4】同じく樹脂成形装置の動作を示す模式図
【図5】同じく樹脂成形装置に適用された樹脂供給機構の動作を示す模式図
【図6】同じく樹脂成形装置に適用された上型と下型の動作線図
【図7】樹脂が離型フィルムに搭載されてから空気が排出される様子を示す模式図
【図8】樹脂が押圧されて成形されていく様子を示す模式図
【図9】隙間を形成する下型の枠型に設けられた段差のバリエーション形状を示す模式図
【図10】離型フィルム上に搭載される樹脂の密集形態のバリエーションを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る樹脂成形装置100は、1本の連続した離型フィルム104を搬送するための離型フィルム搬送部108と、樹脂102を離型フィルム104上に搭載する樹脂供給機構120と、離型フィルム104上の樹脂102を平板状に成形するための成形部128と、を備えている。その成形部128には、上型132(第1金型)と上型132に対向して配置され、上型132に対して相対的に接近・離反可能な下型134(第2金型)とを備える加熱押圧機構130が配置されている。即ち、樹脂成形装置100は、相対的に接近・離反可能な上型132と下型134とを有し、上型132と下型134との間に設けられた(樹脂102を平板状に予備成形するための)キャビティに供給された樹脂102を加熱押圧して予備成形することができる。なお、本発明は、樹脂量が少ない場合、即ち樹脂102が粒径の異なる粒子を含む(と認識できる)ような場合を対象としている。更に、本実施形態では、樹脂102に含まれる最大粒径が予備成形後の樹脂(予備成形樹脂103)の厚さよりも大きい場合としている。
【0024】
以下に、各構成について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
【0025】
前記離型フィルム搬送部108は、図1に示す如く、離型フィルム104を図示せぬ供給ロールから成形部128等に離型フィルム104を搬送し、図示せぬ回収ロールに回収するようになっている。離型フィルム搬送部108は、離型フィルム104の一部を2つ折りした折曲部106を形成し、略水平方向に進退動自在である可動ローラ114を備えている。そして、離型フィルム搬送部108は、折曲部106内に樹脂102を保持して成形部128に搬入し、又、折曲部106内に予備成形樹脂103を保持して成形部128から搬出するように構成されている。又、離型フィルム搬送部108は、折曲部106の上側の基端を形成するための第1支持ローラ110と、第1支持ローラ110よりも成形部128から離反して配置された、折曲部106の下側の基端を形成するための第2支持ローラ112と、を備えている。
【0026】
可動ローラ114は、その軸が離型フィルム104の幅方向に平行とされている。可動ローラ114は図示しないベース部材に回転自在に装着され、該ベース部材と共に水平方向に進退動自在とされている。第1支持ローラ110は、その軸が離型フィルム104の幅方向に平行なローラであり、その下端の上下方向の位置が、可動ローラ114の上端よりも僅かに高くなるように配置されている。第2支持ローラ112もその軸が離型フィルム104の幅方向に平行なローラであり、その上端の上下方向の位置が、可動ローラ114の下端とほぼ一致するように配置されている。
【0027】
前記樹脂供給機構120は、図1に示す如く、第1支持ローラ110及び第2支持ローラ112の間において樹脂102を離型フィルム104上に搭載するように設置されている。そして、樹脂供給機構120は、例えば図2(A)に示す構成とされている。即ち、樹脂供給機構120は、漏斗122と筒形状のシュータ124とを備えている。シュータ124は、漏斗122に対して上下動が可能であり、その下端には、離型フィルム104と当接する当接口126が設けられている。漏斗122の上方から投入される樹脂102は、漏斗122の下端から排出され、シュータ124の内側を通過して、離型フィルム104上に落下する。つまり、シュータ124が、離型フィルム104上に向けて樹脂102を通過させている。
【0028】
シュータ124は、インナーシュータ124A(第1筒状部材)とインナーシュータ124Aの外側であってインナーシュータ124Aと同軸に配置されるアウターシュータ124B(第2筒状部材)とを備えている。樹脂102が通過するのは、インナーシュータ124Aの内側であって、そのインナーシュータ124Aの下端に、シュータ124に離型フィルム104と当接した状態で樹脂102を搭載可能な第1当接口126Aが設けられている。第1当接口126Aの開口面積は、予備成形樹脂103の平面積の1/3以下とされている(本実施形態では、例えば、ほぼ42mm角の予備成形樹脂103に対して、第1当接口126Aは直径20mmであり、上記条件が十分に満たされている)。
【0029】
インナーシュータ124Aの外周に第1凸部128A、第1凸部128Aの上方であってアウターシュータ124Bの内周に第2凸部128Bがそれぞれ設けられている。即ち、図2(B)、図2(C)に示す如く、第1凸部128Aと第2凸部128Bとが係合することで、インナーシュータ124Aの上方への離反に連動してアウターシュータ124Bが離型フィルム104から離反する。即ち、インナーシュータ124Aの第1当接口126Aが離型フィルム104より上方に離反された状態で、アウターシュータ124Bの離型フィルム104と当接する第2当接口126Bが離型フィルム104より離反する構成とされている。なお、第2当接口126Bの開口面積は予備成形樹脂103の平面積の半分よりも若干大きい程度とされている(図2(B)で第2当接口126Bの直径dは予備成形樹脂103の短辺の長さDよりも小さい)。
【0030】
アウターシュータ124Bの外周には、図示せぬノッカーが取り付けられており、ノッカーの動作により、インナーシュータ124A及びアウターシュータ124Bの内側への樹脂102の粒子の付着を防止することができる。ノッカーがアウターシュータ124Bに取り付けられ、インナーシュータ124Aへはノッカーの力が直接加わらないので、インナーシュータ124Aの軸がノッカーによりずれてしまうことを回避することができる。
【0031】
前記成形部128は、図1に示す如く、加熱押圧機構130と冷却機構140とを備えている。加熱押圧機構130は、上型132と下型134とこれらを加熱するための図示しない加熱器とを備えている。下型134は、貫通孔が設けられるとともにキャビティの側面を形成する枠型136と、該貫通孔に嵌合してキャビティの底面を形成する本型138と、を備えている。上型132及び下型134は、相対的に上下方向で接近・離反自在であり、離型フィルム104の折曲部106を上下方向両側から挟み込むことができるようになっている。即ち、離型フィルム104は、樹脂102をキャビティに移動させ、キャビティに配置されることとなる。なお、枠型136には、図3(A)、(B)に示す如く、上から見た場合の横辺136B(図3(A)の斜線部分)を縦辺136Aに比べて低くして、段差Gを設けている。即ち、段差Gは、枠型136の上面に設けられている。そして、段差Gは、上型132と下型134との間に設けられたキャビティの型締め状態において、上型132と下型134との間にキャビティの内部から外部に連通する隙間を構成している。即ち、段差Gは、エアーベントの役割を果たしている。なお、隙間の深さ(=段差G)は、樹脂102に包含されるフィラーの最大外径以下とされている(例えば、フィラーの最大外径が40μmのときに隙間の深さを40μm以下とすることができる)。このため、型締め状態において、当該隙間があっても最大外径のフィラーがキャビティに留まり、予備成形の際に樹脂102の漏れを防ぐことができる。なお、フィラーは、例えばガラスフィラーなどであり、特性向上などのために樹脂102に添加されている。
【0032】
冷却機構140は、加熱押圧機構130に対して樹脂供給機構120と反対側に配置されている。冷却機構140は、上側冷却板142と、下側冷却板144と、を備えている。上側冷却板142及び下側冷却板144は、上下方向に相対的に接近・離反自在であり、離型フィルム104の折曲部106を上下方向両側から挟み込むことができるように設置されている。
【0033】
次に、樹脂成形装置100の作用について図4〜図8を用いて説明する。
【0034】
まず、図4(A)に示されるように、可動ローラ114が第1支持ローラ110の下方近傍に位置する状態で、樹脂供給機構120で離型フィルム104上に樹脂102を搭載する。
【0035】
ここで、樹脂102の搭載の様子を、シュータ124が離型フィルム104上に配置されるところから、図5を用いて説明する。
【0036】
最初に、アウターシュータ124Bは第2凸部128B、第1凸部128Aを介して、インナーシュータ124Aに支持されている(図5(A))。
【0037】
次に、インナーシュータ124Aを降下させていく。すると、アウターシュータ124Bの第2当接口126Bが自重で先に離型フィルム104に当接する(図5(B))。
【0038】
次に、インナーシュータ124Aの第1当接口126Aが離型フィルム104に当接して降下が終了する(図5(C))。
【0039】
次に、漏斗122の上端から樹脂102を投入し、インナーシュータ124Aの内側の離型フィルム104上に樹脂102を搭載する(図5(D))。
【0040】
次に、インナーシュータ124Aの第1当接口126Aを離型フィルム104より上方に離反させてインナーシュータ124Aを上昇させていく。すると、インナーシュータ124Aの内側の樹脂102は、その裾野が樹脂102のほぼ安息角θとなるまで広がる(図5(E))。本実施形態では、インナーシュータ124Aの内側の直径が20mmで樹脂量が少ない(2g)ため、その最大搭載高さは約8mmとなったが、その裾野の広がりの直径(30mm)は、アウターシュータ124Bの内周(直径40mm程度)に接するまでとはならない。
【0041】
更に、インナーシュータ124Aを上昇させると、第1凸部128Aと第2凸部128Bとが係合し、第2当接口126Bが離型フィルム104から離反してアウターシュータ124Bも上昇する(図5(F))。アウターシュータ124Bの内周には樹脂102が接触していないことから、アウターシュータ124Bが上昇しても、離型フィルム104に搭載された樹脂102になんら影響を与えない。
【0042】
本実施形態において、予備成形樹脂103はほぼ42mm角であり、離型フィルム104上に搭載された樹脂102は、直径30mmの面積を占めている。結果として、離型フィルム104上に搭載された樹脂102の面積は、予備成形樹脂103の平面積の半分以下の面積となっている。なお、本実施形態よりも更に樹脂量が増えて、離型フィルム上に搭載された樹脂が、アウターシュータの内周ぎりぎりまで広がって、直径40mmの面積を占めてもよい。その場合であっても、離型フィルム上に搭載された樹脂の面積は、予備成形樹脂の平面積の70%以下となっているからである。
【0043】
図4に戻り、次に、可動ローラ114を成形部128側に移動させることで、折曲部106を構成する。そして、離型フィルム104で樹脂102を挟み込み、挟み込まれた樹脂102が上型132及び下型134の間のキャビティの位置に相当する所に搬送されたところで、図4(B)に示す如く、可動ローラ114を停止させる。ここで、上型132及び下型134を接近させて型締めし、所定の時間加熱することにより樹脂102は平板状(例えば、0.25mm厚)の予備成形樹脂103に成形される。
【0044】
ここで、樹脂102の状態を示す図7、図8を用いながら、図6の動作線図を用いて型締めに至る加熱押圧手順を以下に詳細に説明する。
【0045】
予め、下型134の上型132への押圧力を調整する下型用供給バルブを低圧にして、押圧力を予備成形樹脂103の厚さとするために加える最大の押圧力よりも低くしておく。そして、上型132を上昇位置から下降させていく(時間t1)。
【0046】
上型132が下降完了したら、下型134を下降位置から上昇させていく(時間t2)。
【0047】
下型134を上昇させて下型134の低い押圧力による低圧成形を開始する(時間t3)。即ち、上型132と下型134とで離型フィルム104を介して樹脂102を挟み込んで加熱押圧して、樹脂102を軟化させる(図8(A)の状態)。なお、ここでの低い押圧力は、離型フィルム104上に略円錐形状に搭載された樹脂102をある程度均一に整形して、伝熱しやすい形状とすることを意図している。
【0048】
樹脂102が軟化した段階で(本実施形態では予め定めた設定時間t4で)、下型用供給バルブを高圧に切り換えて、下型134の押圧力を高くして高圧成形を行う(2段回押圧)。ここでの高い押圧力は、予備成形樹脂103の厚さとするために加える最大の押圧力となる。即ち、軟化した樹脂102に当該最大の圧押力を離型フィルム104を介して加える。
【0049】
このような工程により、加熱により密集した状態の樹脂102は互いに溶着し、図7(A)、(B)に示す如く、押圧により樹脂102の流動が矢印方向に生じて樹脂が広がり(図8(b)の状態)、溶着した樹脂に内包されている(粒子と粒子との間の)空気BBがその流動方向に排出されることとなる(白抜き矢印)。
【0050】
上型132と下型134とでキャビティの型締めが完了して、樹脂102がキャビティに充填された後(図8(C)の状態)に、下型134が下降を開始する(時間t5)。同時に、下型用供給バルブを低圧に切り換える(なお、この低圧切り替えは、次の成形開始までに行うことでもよい)。下型134の下降位置において、上型132を上昇位置に移動開始させる(時間t6;上型132と下型134との離反)。(なお、この上型132の移動は、下型134が下降開始したら、若しくは下型134からの反力がなくなった段階で行ってもよい)。
【0051】
図4に戻り、次に、平板状に成形された樹脂(予備成形樹脂103)を冷却機構140まで移動させる。予備成形樹脂103は、上下を離型フィルム104で覆われているので、上型132及び下型134から容易に分離される。図4(C)に示されるように、可動ローラ114が冷却機構140の上側冷却板142及び下側冷却板144の間を通り抜け、予備成形樹脂103がこれら上側冷却板142及び下側冷却板144の間まで搬送されたところで、可動ローラ114を停止させる。ここで、上側冷却板142及び下側冷却板144で予備成形樹脂103を所定の時間挟むことにより、離型フィルム104に挟まれた予備成形樹脂103が除熱される。
【0052】
次に、上側冷却板142及び下側冷却板144を離反させ、予備成形樹脂103を第1支持ローラ110と第2支持ローラ112との間に移動させる。離型フィルム104で挟み込まれた予備成形樹脂103は、可動ローラ114が第1支持ローラ110の下方にくる間に開放され、予備成形樹脂103の上面に密着していた離型フィルム104は予備成形樹脂103から分離される。予備成形樹脂103の下面に密着している離型フィルム104は、図示せぬ押し出し機構により、予備成形樹脂103の上方に押し出される。そして、予備成形樹脂103は、図4(D)に示されるように、下面に密着している離型フィルム104から剥離される。
【0053】
剥離された予備成形樹脂103は、図示せぬ移載装置により、吸着されて図示せぬ圧縮成形装置に搬送されることとなる。これにより、1枚の予備成形樹脂103の成形が完了する。離型フィルム104の有効利用をするために、当初樹脂102が搭載された箇所の離型フィルムの部分を樹脂供給機構120の直下に配置させ、以下同様に、予備成形樹脂103の成形を所定回数繰り返す。
【0054】
このように、本実施形態は、樹脂102に含まれる最大粒径が予備成形樹脂103の厚さよりも大きくなるような樹脂量の場合(樹脂量が少なく、樹脂が粒径の異なる粒子を含むと認識できるような場合)に、第1当接口126Aの開口面積が予備成形樹脂103の平面積の1/3以下であり、離型フィルム104上に予備成形樹脂103の平面積の半分以下の面積で樹脂102を搭載するようにしている。つまり、樹脂102の拡がりを制限して密集した状態として離型フィルム104上に搭載している(撒く)。このため、樹脂102を離型フィルム104上に搭載した段階で、樹脂102がまばらである状態を解消でき、樹脂102の粒子と粒子との間の空気を少なくすることができる。そして、この状態で、離型フィルム104上の樹脂102はキャビティに供給され、加熱押圧される。このため、加熱により密集した状態の樹脂102は互いに溶着し、押圧により樹脂102の流動が生じるとともに、溶着した樹脂102に内包されている(粒子と粒子との間の)空気がその流動方向に排出されることとなる。このようにして、当該空気が予備成形樹脂103の成形工程において排除、排気されることで、孔の発生や周囲よりも薄い部分の発生を低減することができる。
【0055】
また、樹脂102の離型フィルム104上の最大搭載高さ(8mm)が、樹脂102に含まれる最大粒径(直径4.5mm)よりも大きくされているので、最大搭載高さの部分にたとえ最大粒径の樹脂粒子が存在しても、そこにも複数の樹脂102の粒子が密集していることとなる。すなわち、樹脂102の密集した状態を確実に担保していることで、孔の発生や周囲よりも薄い部分の発生を確実に低減することができる。
【0056】
そして、樹脂供給機構120が、離型フィルム104上に樹脂102を搭載させるシュータ124と、を備え、シュータ124に離型フィルム104と当接した状態で樹脂102を搭載可能な第1当接口126Aが設けられ、第1当接口126Aの開口面積が予備成形樹脂103の平面積の1/3以下とされている。このため、従来の樹脂供給機構と同様の構成で部品の兼用化が可能となり、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0057】
また、シュータ124が第1当接口126Aを有するインナーシュータ124Aとインナーシュータ124Aの外側であってインナーシュータ124Aと同軸に配置されるアウターシュータ124Bとを備え、インナーシュータ124Aの第1当接口126Aが離型フィルム104より上方に離反された状態で、アウターシュータ124Bの離型フィルム104と当接する第2当接口126Bが離型フィルム104より離反する構成とされている。このため、先ず、インナーシュータ124Aで樹脂102を離型フィルム104上に密集して搭載することができる。次いで、インナーシュータ124Aを離型フィルム104より上方に離反させた際に、インナーシュータ124Aの内側に付着していた樹脂102の粒子が舞い上がったとしても、アウターシュータ124Bを離型フィルム104に当接した状態としておくことができる。このため、その舞い上がった樹脂102の粒子は、アウターシュータ124Bの外部に飛散することなく、確実に離型フィルム104上に搭載される(撒かれる)こととなる。つまり、樹脂102の実際に離型フィルム104上に搭載される量の変動を少なくして、更に安定して樹脂102を離型フィルム104上に密集して搭載することが可能となる。
【0058】
また、インナーシュータ124Aの外周に第1凸部128A、第1凸部128Aの上方であってアウターシュータ124Bの内周に第2凸部128Bがそれぞれ設けられ、第1凸部128Aと第2凸部128Bとが係合することで、インナーシュータ124Aの上方への離反に連動してアウターシュータ124Bが離反する。このため、インナーシュータ124Aの離反を制御するだけで、アウターシュータ124Bの離反も制御できる。このため、制御が簡単で、部材の増加を最小限にすることができる。
【0059】
また、キャビティの型締め状態において、上型132と下型134との間にキャビティの内部から外部に連通する隙間が設けられているので、樹脂102の加熱押圧をして型締め状態に至っても、樹脂102から排出される空気をその隙間を介してキャビティからスムースに排出させることができる。このため、予備成形樹脂103に孔が残ることを更に回避することができる。
【0060】
また、下型134は、貫通孔が設けられるとともにキャビティの側面を形成する枠型136と、貫通孔に嵌合してキャビティの底面を形成する本型138とを備え、枠型136の上面に隙間を構成する段差Gが設けられているので、隙間の形成とその管理が容易である。
【0061】
また、隙間の深さ(=段差G)が、樹脂102に包含されるフィラーの最大外径以下とされているので、最大外径のフィラーが隙間の部分を通過せずにキャビティに留まることで、樹脂がキャビティから外へ漏れることを安定して防ぐことができる。
【0062】
また、本実施形態では、上型132と下型134とで予備成形樹脂103の厚さとするために加える最大の押圧力よりも弱い押圧力を、離型フィルム104を介して加えて樹脂102を加熱し樹脂102を軟化させる工程と、軟化した樹脂102に該最大の圧押力を加える工程と、を行う(2段回押圧)。このため、樹脂102が軟化する前には、離型フィルム104を介して、弱い押圧力を加えて樹脂102を軟化させている。そして、樹脂102の軟化により粘度が低くなった後に、樹脂102が最大の圧押力で押圧されるので、離型フィルム104に不要なしわができにくい。このため、しわによる予備成形樹脂103のばりの発生を防止でき、ばりに付随して生じうる予備成形樹脂103の量の変動や樹脂成形装置100の汚れを防止できる。同時に、しわによる離型フィルム104の不要な伸縮を低減でき、離型フィルム104の長寿命化や再利用を促進することができる。
【0063】
即ち、本実施形態によれば、樹脂102の量が少なくても予備成形樹脂103における孔の発生や周囲よりも薄い部分を低減して、均一な厚みの予備成形樹脂103が成形可能となる。
【0064】
本発明について本実施形態を挙げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0065】
本実施形態においては、樹脂供給機構120がシュータ124を備えて、且つシュータ124の第1当接口126Aから予備成形樹脂103の平面積の半分以下の面積で樹脂102を搭載していたが、本発明は、この半分以下の搭載をどのように実現するかについて、これに限定されない。例えば、樹脂供給機構の構成は必ずしもシュータを備えることに限定されない。また、第1当接口の開口面積が予備成形樹脂の平面積の1/3以下であれば、シュータの第1当接口から離型フィルム上に搭載される樹脂の平面積が結果として予備成形樹脂の平面積の半分以上となることがあってもよい。そして、樹脂の搭載される面積が、当該平面積の半分以下である必要はなく、当該平面積の70%以下であればよい。
【0066】
また、本実施形態においては、樹脂102の離型フィルム104上の最大搭載高さが、樹脂102に含まれる最大粒径よりも大きくされていたが、本発明は必ずしもそれに限定されない。又、その最大粒径が予備成形樹脂の厚さよりも大きい必要もない。樹脂が粒径の異なる粒子を含む(と認識できる)ような、樹脂量が少ない場合であればよい。
【0067】
また、本実施形態においては、シュータ124がインナーシュータ124Aとアウターシュータ124Bとを備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、シュータは、当該インナーシュータに相当する筒状部材だけ備えた場合であってもよい。その場合には、シュータの構成がより簡素化されて、樹脂成形装置の更なる低コスト化を実現することができる。また、シュータがインナーシュータとアウターシュータとを備えていても、その構成は特に限定されない。
【0068】
また、本実施形態においては、図9(A)に示す如く、下型134の枠体136の横辺136Bを縦辺136Aに対して段差Gだけ低くして、隙間を構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、同じ枠体に隙間を構成する場合であっても、横辺に対して縦辺を低くしてもよいし、図9(B)に示す如く、縦辺236Aと横辺236Bとの間の4隅に斜めに段差を設けてもよい。或いは、図9(D)に示す如く、4隅に対して縦辺436Aと横辺436Bとを低くして隙間を構成してもよい。或いは、図9(C)に示す如く、枠体全周を低くして上型と下型とを接触させない状態を型締め状態として、枠体全周に隙間を構成するようにしてもよい。なお、図9(A)を短辺と長辺という観点で捉えたときには、樹脂から受ける圧力は、長辺側により力が加わるため、短辺である横辺136Bに段差を設けたほうが樹脂漏れの可能性をより低くしている。
【0069】
また、本実施形態においては、隙間の深さが、樹脂102に包含されるフィラーの最大外径以下とされていたが、本発明はこれに限定されずに、フィラーの最大外径よりも大きくてもよい。
【0070】
また、樹脂102を予備成形するのに、2段回押圧を行うが、本発明はこれに限定されない。例えば、樹脂が軟化するまでは上型と下型とで挟み込む程度の押圧力で、軟化状態に応じて、3段以上の多段若しくは連続的に押圧力を増大させてもよい。その際に、軟化状態や樹脂充填を実測値から求めて設定時間を定義して判断するのではなく、実際の樹脂軟化や樹脂充填を直接的に検知して判断するようにしてもよい。或いは、単に一定の押圧力で押圧してもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、図10(A)に示す如く、樹脂102を離型フィルム104上に円形にして搭載していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10(B)に示す如く、樹脂202を2箇所に搭載してもよい。或いは、図10(C)、(D)の如く、樹脂302、402をそれぞれ、本型138の形状に沿うように、楕円形や長方形に搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば電子部品を封止するための素材等として用いられる予備成形樹脂の成形に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
100…樹脂成形装置
102、202、302、402…樹脂
103…予備成形樹脂
104…離型フィルム
106…折曲部
108…離型フィルム搬送部
110…第1支持ローラ
112…第2支持ローラ
114…可動ローラ
120…樹脂供給機構
122…漏斗
124…シュータ
124A…インナーシュータ
124B…アウターシュータ
126…当接口
126A…第1当接口
126B…第2当接口
128A…第1凸部
128B…第2凸部
130…加熱押圧機構
132…上型
134、234、334、434…下型
136、236、336、436…枠型
138、238、338、438…本型
140…冷却機構
142…上側冷却板
144…下側冷却板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形装置であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形装置において、
前記樹脂を前記キャビティに移動させ該キャビティに配置される離型フィルムと、
前記予備成形後の樹脂の平面積の70%以下の面積で、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載する樹脂供給機構と、
を備えたことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記樹脂の前記離型フィルム上の最大搭載高さが、前記樹脂に含まれる最大粒径よりも大きくされている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項3】
相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形装置であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形装置において、
前記樹脂を前記キャビティに移動させ該キャビティに配置される離型フィルムと、
該離型フィルム上に前記樹脂を搭載させるシュータと、を備え、
該シュータに該離型フィルムと当接した状態で該樹脂を搭載可能な第1当接口が設けられ、
該第1当接口の開口面積が前記予備成形後の樹脂の平面積の1/3以下とされている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記シュータは前記第1当接口を有する第1筒状部材と該第1筒状部材の外側であって該第1筒状部材と同軸に配置される第2筒状部材とを備え、
該第1筒状部材の前記第1当接口が前記離型フィルムより上方に離反された状態で、前記第2筒状部材の該離型フィルムと当接する第2当接口が該離型フィルムより離反する構成とされている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1筒状部材の外周に第1凸部、該第1凸部の上方であって前記第2筒状部材の内周に第2凸部がそれぞれ設けられ、
該第1凸部と第2凸部とが係合することで、前記第1筒状部材の上方への離反に連動して前記第2筒状部材が離反する
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記キャビティの型締め状態において、前記第1金型と第2金型との間の少なくとも一部分に該キャビティの内部から外部に連通する隙間が設けられている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2金型は、貫通孔が設けられるとともに前記キャビティの側面を形成する枠型と、該貫通孔に嵌合して該キャビティの底面を形成する本型とを備え、
該枠型の上面に前記隙間を構成する段差が設けられている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記隙間の深さが、前記樹脂に包含されるフィラーの最大外径以下とされている
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項9】
相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形方法であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形方法において、
前記予備成形後の樹脂の平面積の70%以下の面積で、前記樹脂を離型フィルム上に搭載する工程と、
該離型フィルムを前記キャビティに配置させることで、該樹脂を該キャビティに移動させる工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項10】
相対的に接近・離反可能な第1金型と第2金型とを有し、該第1金型と第2金型との間に設けられたキャビティに供給された樹脂を加熱押圧して予備成形する樹脂成形方法であって、該樹脂が粒径の異なる粒子を含む樹脂成形方法において、
離型フィルム上に前記樹脂を搭載させるシュータを配置するとともに、該シュータの開口面積が前記予備成形後の樹脂の平面積の1/3以下となる第1当接口を該離型フィルムに当接させる工程と、
該第1当接口が当接した状態で、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載する工程と、
該離型フィルムを前記キャビティに配置させることで、該樹脂を該キャビティに移動させる工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項11】
請求項10において、更に、
前記シュータは前記第1当接口を有する第1筒状部材と該第1筒状部材の外側であって該第1筒状部材と同軸に配置される第2筒状部材とを備え、前記樹脂を前記離型フィルム上に搭載した後、該第1筒状部材の前記第1当接口を前記離型フィルムより上方に離反させる工程と、
該第1当接口が上方に離反された状態で、前記第2筒状部材の該離型フィルムと当接する第2当接口を該離型フィルムより離反させる工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかにおいて、更に、
前記第1金型と第2金型とで前記予備成形後の樹脂の厚さとするために加える最大の押圧力よりも弱い押圧力を、前記離型フィルムを介して加えて前記樹脂を加熱し該樹脂を軟化させる工程と、
該軟化した樹脂に該最大の圧押力を加える工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−218681(P2011−218681A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90897(P2010−90897)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】