説明

樹脂粒子の製造法

【課題】 本発明の課題は、樹脂の種類や分子量にかかわらず、分散後に樹脂粒子同士が合一することがなく、粒度分布がシャープな樹脂粒子を得ることである。
【解決手段】 樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液からなる分散相(DP)を、マイクロチャネル(M)を介して連続相(CP)中に分散させることにより、前駆体(b0)からなる粒子(B0)若しくはその溶剤溶液からなる粒子(B0’)を形成させ、さらに粒子(B0’)を重合反応させて、粒子(B0’)の場合はさらに溶剤を除去することにより樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の分散液を得ることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒径が均一である樹脂粒子の製造方法、さらに詳しくは、マイクロチャネルを用いる樹脂粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂粒子の製造方法として、あらかじめ溶剤に樹脂を溶解させた樹脂溶液を界面活性剤または水溶性ポリマー等の分散(助)剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法(溶解樹脂懸濁法)が知られている(例えば特許文献1参照)。また、ビニルモノマーをマイクロチャネルを介して連続相に分散させ、これをラジカル重合させる方法(例えば特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開昭63−25664号公報
【特許文献2】特開昭2001−181309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、溶解樹脂懸濁法で得られる粒子の粒径の均一性は不十分であり、粒径を均一にするためには、分級工程が必要になるという欠点がある。また、ビニル系モノマーをマイクロチャネルを介して分散させる方法で得られる樹脂粒子は粒子接触時に合着しやすく、粒径の均一性が低下するという欠点がある。
本発明の課題は、樹脂の種類や分子量にかかわらず、分散後に樹脂粒子同士が合一することがなく、粒度分布がシャープな樹脂粒子を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液からなる分散相(DP)を、マイクロチャネル(M)を介して連続相(CP)中に分散させることにより、前駆体(b0)からなる粒子(B0)若しくはその溶剤溶液からなる粒子(B0’)を形成させ、さらに粒子(B0’)を重合反応させて、粒子(B0’)の場合はさらに溶剤を除去することにより樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の分散液を得ることを特徴とする樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法で得られる樹脂粒子は、粒度分布がシャープな樹脂粒子である。このため、粉体特性に優れた樹脂粒子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<連続相(CP)>
連続相(CP)としては、水性液、有機溶媒等が挙げられる。該水性液、有機溶媒は樹脂(b)が難溶解性であるものが好ましい。
水性液としては水、水と水溶性有機溶剤の混合溶液(有機溶剤の比率は30重量%以下が好ましい。)が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン等が挙げられる。
【0007】
有機溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等のの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。これらのうちで、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。
有機溶媒の沸点は、溶剤除去性の観点から10〜150℃が好ましく、さらに好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜90℃である。
【0008】
<分散相(DP)>
分散相(DP)は樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液からなる。分散相(DP)の溶剤、溶剤(DP0)としては、上記(CP)で例示される有機溶媒、水性液を使用することができる。
溶剤(DP0)は、樹脂(b)の前駆体(b0)の重量に対して、好ましくは0〜80重量%、さらに好ましくは10〜60重量%含有される。
【0009】
連続相(CP)と溶剤(DP0)の組み合わせとしては、(CP)に水性液を用いる場合は(DP0)は有機溶媒が好ましく、また(CP)に有機溶媒を用いる場合は(DP0)は水性液が好ましい。
【0010】
分散相(DP)の溶剤(DP0)及び連続相(CP)の媒体(CP0)の溶解度パラメータの差の好ましい範囲は5〜17、さらに好ましくは8〜17である。
【0011】
本発明の樹脂(b)としては、用途・目的に応じて適宜好ましいもの選択することができる。一般に、樹脂(b)として好ましいものは、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂が挙げられる。
【0012】
樹脂(b)のMn、融点、Tg、SP値は、用途によって好ましい範囲に適宜調整すればよい。例えば、樹脂粒子 (B)をスラッシュ成形用樹脂、粉体塗料として用いる場合、(b)のMnは、通常2,000〜50万、好ましくは4,000〜20万である。(b)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)、通常0℃〜200℃、好ましくは、35℃〜150℃である。(b)のTgは通常−60℃〜100℃、好ましくは、−30℃〜60℃である。(b)のSP値は、通常7〜18、好ましくは8〜14である。液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機の標準粒子として用いる場合、(b)のMnは、通常2万〜1,000万、好ましくは4万〜200万である。(b)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)、通常40℃〜300℃、好ましくは、70℃〜250℃である。(b)のTgは通常−0℃〜250℃、好ましくは、50℃〜200℃である。(b)のSP値は、通常8〜18、好ましくは9〜14である。電子写真、静電記録、静電印刷などに使用されるトナーとして用いる場合、(b)のMnは、通常1,000〜500万、好ましくは2,000〜50万である。(b)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)、通常20℃〜300℃、好ましくは、80℃〜250℃である。(b)のTgは通常20℃〜200℃、好ましくは、40℃〜200℃である。(b)のSP値は、通常8〜16、好ましくは9〜14である。
【0013】
<前駆体(b0)の説明>
樹脂(b)の前駆体(b0)としては、化学反応により樹脂(b)になりうるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂(b)が縮合系樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂)である場合は、(b0)は、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが例示される。
【0014】
前駆体(b0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いることもできる。ここで「反応性基」とは硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。
この場合、前駆体(b0)を反応させて樹脂(b)を形成する方法としては、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)及び必要により溶剤(DP0)を含む分散相(DP)を、マイクロチャネル(M)を介して連続相(CP)中に分散させ、必要により加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて樹脂(b)からなる樹脂粒子 (B)を形成させる方法;
反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液をマイクロチャネル(M)を介して連続相(CP)中に分散させ、ここに硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(b)からなる樹脂粒子 (B)を形成させる方法;
反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液をマイクロチャネル(M)を介して、硬化剤(β)を含む連続相(CP)中に分散させる方法;
反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液を連続相(CP)が水性液である場合にはマイクロチャネル(M)を介して連続相に分散させることで水と反応させて、(b)からなる樹脂粒子 (B)を形成させる方法等が例示できる。
【0015】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記(K1)、(K2)などが挙げられる。
(K1):反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基含有化合物(β1)であるという組み合わせ。
(K2):反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)であるという組み合わせ。これらのうち、水中での反応率の観点から、(K1)がより好ましい。
上記組合せ(K1)において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)および酸ハライド基(α1e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α1a)、(α1b)および(α1c)であり、特に好ましいものは、(α1a)および(α1b)である。ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
上記ブロック化剤としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール、オクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド、2−メルカプトピリジン等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシム類であり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0016】
反応性基含有プレポリマー(α)の骨格としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)およびポリウレタン(αz)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(αx)、(αy)および(αz)であり、特に好ましいものは(αx)および(αz)である。ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。ポリエステル(αx)としては、ジオール(11)とジカルボン酸(13)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)などが挙げらる。エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物などが挙げられる。ポリウレタン(αz)としては、ジオール(11)とポリイソシアネート(15)の重付加物、ポリエステル(αx)とポリイソシアネート(15)の重付加物などが挙げられる。
【0017】
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)、ポリウレタン(αz)などに反応性基を含有させる方法としては、(AA1):二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法、(AA2):二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した該官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。
上記方法(AA1)では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーなどが得られる。構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]のモル比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
上記方法(AA2)では、上記方法(AA1)で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキサイドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。官能基および反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]のモル比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0018】
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。反応性基含有プレポリマー(α)の数平均分子量は、通常500〜30,000、好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは2,000〜10,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の重量平均分子量は、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、さらに好ましくは4,000〜20,000である。反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、通常2,000ポイズ以下、好ましくは1,000ポイズ以下である。2,000ポイズ以下にすることで、少量の溶剤で粒度分布のシャープな樹脂粒子 (B)が得られる点で好ましい。
【0019】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)および水(β1d)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β1a)、(β1b)および(β1d)であり、さらに好ましいもは、(β1a)および(β1d)であり、特に好ましいもは、ブロック化されたポリアミン類および(β1d)である。(β1a)としては、ポリアミン(16)と同様のものが例示される。(β1a)として好ましいものは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびそれらの混合物である。
【0020】
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、およびオキサゾリジン化合物などが挙げられる。
【0021】
ポリオール(β1b)としては、前記のジオール(11)およびポリオール(12)と同様のものが例示される。ジオール(11)単独、またはジオール(11)と少量のポリオール(12)の混合物が好ましい。ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。
【0022】
必要により活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(b)を所定の分子量に調整することが可能である。反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなど);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物など);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネートなど);モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。
【0023】
上記組合せ(AA2)における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)およびそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(α2a)、(α2b)およびアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)であり、特に好ましいものは、(α2b)である。アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
【0024】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)およびポリ酸ハライド(β2e)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、(β2a)および(β2b)であり、さらに好ましいものは、(β2a)である。
【0025】
ポリイソシアネート(β2a)としては、ポリイソシアネート(15)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシド(18)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0026】
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)および3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、(β2c−1)単独、および(β2c−1)と少量の(β2c−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(β2c−1)としては、前記ジカルボン酸(13)と、ポリカルボン酸としては、前記ポリカルボン酸(5)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
【0027】
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物などが挙げられる。ポリ酸ハライド類(β2e)としては、前記(β2c)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)などが挙げられる。さらに、必要により(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
【0028】
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0029】
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)からなる前駆体(b0)を反応させた樹脂(b)が樹脂粒子(B)の構成成分となる。反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させた樹脂(b)の重量平均分子量は、通常3,000以上、好ましくは3,000〜1000万、さらに好ましくは,5000〜100万である。
【0030】
また、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との反応時に、反応性基含有プレポリマー(α)および硬化剤(β)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることもできる。この場合(b)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて得られた樹脂と、反応させていない樹脂の混合物となる。
【0031】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えばイソシアネートと活性水素化合物の反応の場合には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0032】
<マイクロチャネル(M)>
マイクロチャネル乳化装置としては、分散相と連続相を貫通孔(流路)を形成した隔壁で分離し、貫通孔(流路)を介して分散相を連続相中に押し出す構造を有する装置であれば、特に限定されず、公知のもの(例えば上記特許文献2が挙げられる。)を使用することができる。
マイクロチャネルをフォトリソグラフィ技術により作成する場合、エッチングの方法としてはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれであってもよいが、流路の寸法精度の観点からドライエッチングが好ましい。
マイクロチャネルを形成する基板の材質は特に限定されないが、後述の樹脂(b)の前駆体(b0)や溶剤等に溶解したり、膨潤しないものが好ましく、例えば無機ガラス、シリコン、ステンレス等が挙げられる。マイクロチャネル表面は連続相との親和性が良好であることが好ましく、例えば連続相が水から構成される場合、マイクロチャネル表面は親水性であることが好ましい。このためマイクロチャネル表面を化学的に処理してもよく、例えば連続相(CP)と親和性のある官能基(例えば、連続相が水である場合、親水性基)を有する有機物質や無機物質によるコーティング、蒸着、スパッタリング、CVD等の方法を用いることができる。
マイクロチャネルの形成法としては、基板上に流路となる溝をフォトリソグラフィ技術により形成しておき、これをガラス等の平板とあわせることによりチャネルを形成する方法や、基板上にフォトリソグラフィ技術により貫通孔を形成する方法などが挙げられる。マイクロチャネルの流路断面の大きさは、樹脂粒子(B)の目的粒径に応じ適宜設定することが好ましく、例えば5μmの(B)を得たい場合、1〜10μm、好ましくは2〜6μm、30μmの(B)を得たい場合、10〜50μm、好ましくは15〜40μmである。また流路断面の形状は特に限定されず、円、楕円、三角形、正方形、長方形等でもよい。この中で好ましいのは楕円形、長方形である。2つの流路間の距離は、流路断面の最も長い辺を(L)とすると、L〜15×Lが好ましく、さらに2×L〜10×Lが好ましい。L以下であると、マイクロチャネルより生成した樹脂粒子(B)同士が合一しやすくなる。また10×L以上であると、樹脂粒子(B)の生産性が悪くなる。
【0033】
<樹脂粒子(B)の形成>
分散相(DP)を、マイクロチャネル(M)を介して、連続相(CP)中に分散させる
ことにより、前駆体(b0)からなる粒子(B0)若しくはその溶剤溶液からなる粒子(B0’)を形成させ、さらに粒子(B0’)を重合反応させて、粒子(B0’)の場合はさらに溶剤を除去することにより樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の分散液を得る
【0034】
分散相(DP)の圧力(絶対圧力)は、粒子形成が可能な範囲で適宜制御することが好ましく、具体的には0.1kPa以下が好ましい。
分散相(DP)と連続相(CP)の体積流量比は、好ましくは1:99〜70:30、より好ましくは10:90〜65:35、さらに好ましくは20:80〜60:40である。(DP)と(CP)の体積流量比がこの範囲であると、廃液の発生も少なく、樹脂粒子(B)の生産性も高くなる。(DP)及び(CP)の流量及び流量比は、樹脂粒子(B)の目的粒径に応じて、粒度分布が悪化しない範囲で適宜制御することが好ましい。
【0035】
連続相(CP)は、界面活性剤(S)、高分子活性剤(T)等の分散剤、可塑剤(V)等を含んでもよい。(CP)の粘度は粒径均一性の観点から1〜1,000mPa・s(B型粘度計による測定値、測定温度25℃)が好ましく、さらに好ましくは5〜500mPa・sである。分散相(DP)の粘度は粒径均一性の観点から1〜5000mPa・s(B型粘度計による測定値、測定温度25℃)が好ましく、さらに好ましくは10〜1000mPa・sである。(DP)の粘度が高い場合は、前述の溶剤、可塑剤(V)と混合したり、高温にして粘度を上記好ましい範囲まで低下させることが好ましい。連続相(CP)と分散相(DP)の粘度比は、樹脂粒子(B)の目的粒径に応じて適宜設定することが好ましい。
【0036】
分散相(DP)の温度の好ましい範囲は5〜98℃、さらに好ましくは10〜60℃である。一般的に、分散相(DP)の粘度が高い場合は、粘度を下げるために温度を高く設定することが望ましい。
連続相(CP)の温度の好ましい範囲は5〜98℃、さらに好ましくは10〜60℃である。
分散相(DP)の温度と連続相(CP)の温度の差は特に限定されないが、小さい方が好ましい。
【0037】
界面活性剤(S)としては、アニオン界面活性剤(S−1)、カチオン界面活性剤(S−2)、両性界面活性剤(S−3)、非イオン界面活性剤(S−4)などが挙げられる。界面活性剤(S)は2種以上の界面活性剤を併用したものであってもよい。
【0038】
アニオン界面活性剤(S−1)としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩が挙げられる。
カチオン界面活性剤(S−2)としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型などが挙げられる。
本発明で用いる両性界面活性剤(S−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤などが挙げられ、カルボン酸塩型両性界面活性剤は、さらにアミノ酸型両性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤(S−4)としては、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤および多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0039】
高分子活性剤(T)としては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。
【0040】
可塑剤(V)は、乳化分散の際に必要に応じて連続相(CP)中に加えても、分散相(DP)中に加えても良い。可塑剤(V)としては、何ら限定されず、以下のものが例示される。
(V1)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];
(V2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸−2−エチルヘキシル等];
(V3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル等];
(V4)燐酸エステル[リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール等];
(V5)脂肪酸エステル[オレイン酸ブチル等];
(V6)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
粒子(B’)から脱溶剤する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えばエバポレーター等により減圧脱溶剤する方法等が挙げられる。昇温により脱溶剤する場合は、樹脂粒子(B)同士が合一しないように適宜温度を設定することが好ましい。
【0042】
<媒体の除去方法>
樹脂粒子(B)の分散液から媒体を除去する方法としては、(WA1):樹脂粒子(B)の分散液を減圧下または常圧下で乾燥する方法、(WA2):遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレスなどにより固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法、(WA3):樹脂粒子(B)の分散液を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)等が例示される。樹脂粒子(B)の分散液中に樹脂粒子(B)を溶解あるいは膨潤させ得る溶剤を含む場合、まず(WA1)の方法で溶剤をほぼ完全に除去した後に、(WA1)〜(WA3)のいずれかの方法により、媒体を除去することが好ましい。樹脂粒子(B)に、界面活性剤等の不純物を残留させたくない場合は、上記(WA2)で得たスラリーを再度、不純物を含有しない媒体に分散し、再度(WA2)を行う操作を繰り返すことにより、不純物を洗浄することが好ましい。上記(WA1)、(WA2)において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機など公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器などを用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。乾燥時の温度は、樹脂粒子(B)同士が合一しないように適宜設定することが好ましい。具体的には樹脂粒子(B)のガラス転移温度より10〜20℃低い温度に設定することが好ましい。
【0043】
<樹脂粒子(B)>
樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、工業的な利用価値の観点から好ましくは0.1〜1000μm、さらに好ましくは1〜500μm特に好ましくは5〜300μmである。
樹脂粒子 (B)の粒径均一性は、樹脂粒子 (B)の体積基準の粒度分布の変動係数、及び樹脂粒子 (B)の体積平均粒径/樹脂粒子 (B)の個数平均粒径の値で評価することが出来る。
粒径均一性の観点から、樹脂粒子 (B)の体積基準の粒度分布の変動係数は、0.1〜10%が好ましく、0.1〜9%がさらに好ましく、0.1〜8%が特に好ましい。また、樹脂粒子 (B)の体積平均粒径/樹脂粒子 (B)の個数平均粒径の値は、1.4以下であるのが好ましく、1.0〜1.2であるのが更に好ましい。なお、体積平均粒径および個数平均粒径は、マルチタイザーIII(コールター社製)で同時に測定することができる。
【0044】
樹脂粒子 (B)の形状は、粉体流動性、溶融レベリング性等の観点から球状であるのが好ましい。(B)はWadellの実用球形度が0.85〜1.00であるのが好ましい。なお、Wadell実用球形度は、粒子の投影面積に等しい面積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小面積の円との直径の比から求められる。粒子の投影像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影することができる。
【実施例】
【0045】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0046】
以下の実施例では市販のクロスフロー型マイクロチャネル乳化装置(イーピーテック社製)を用いた(チャネル型式:MS310)。マイクロチャネルの概念図は図1、2の通りである。
【0047】
製造例1
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(分子量2,000)787部、ポリエーテルジオール(分子量4,000、EO含量50重量%、PO含量50重量%)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと記す。)55.5部、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(以下、水添MDIと記す。)65.5部およびジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行った。得られた生成物を[水溶性高分子T1]とする。[水溶性高分子T1]1部および水107部を混合攪拌し、乳白色の液体を得た。これを[連続相1]とする。
【0048】
製造例2
水784部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(「エレミノールMON−7」、三洋化成工業製)80部を混合攪拌し、乳白色の液体を得た。これを[連続相2]とする。
【0049】
製造例3
[連続相1]108部、エチレンジアミン8部を混合攪拌し、乳白色の液体を得た。これを[連続相3]とする。
【0050】
製造例4
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ヒドロキシル価が56のポリカプロラクトンジオール[「プラクセルL220AL」、ダイセル化学工業(株)製]2,000部を投入し3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記す。)を457部を投入し、110℃で10時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート含量は3.6%であった。これを[プレポリマー1]とする。
【0051】
製造例5
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、エチレンジアミン50部とMIBK50部を仕込み、50℃で5時間反応を行った。得られたケチミン化合物を[硬化剤1]とする。
【0052】
製造例6
攪拌装置及び脱水装置のついた反応容器に、ビスフェノールA・EO2モル付加物681部、ビスフェノールA・PO2モル付加物81部、テレフタル酸275部、アジピン酸7部、無水トリメリット酸22部、ジブチルチンオキサイド2部を投入し、常圧、230℃で5時間脱水反応を行った後、3mmHgの減圧下で5時間脱水反応を行い、[ポリエステル1]を得た。[ポリエステル1]はTg54℃、数平均分子量2200、重量平均分子量9500、酸価0.8、水酸基価53であった。
【0053】
製造例7
オートクレーブに、製造例6で得られた[ポリエステル1]407部、イソホロンジイソシアネート108部、酢酸エチル485部を投入し、密閉状態で100℃、5時間反応を行い、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマー2の溶液[プレポリマー溶液2]を得た。[プレポリマー溶液2]のNCO含量は1.7%であった。
【0054】
実施例1
ビーカー内に[プレポリマー1]150部と[硬化剤1]6部とを混合して分散相1を調製した。図1のマイクロチャネル乳化装置において連続相として[連続相1]を25mg/hr流動させ、分散相として[分散相1]を5mg/hr流動させた。[連続相1]の流れの中に分散相1の液を吐出させて、樹脂粒子の分散液を得た。[硬化剤1]は水中でエチレンジアミンとなり、エチレンジアミンによる[プレポリマー1]の伸長反応により樹脂粒子が形成された。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に該分散液を投入し、50℃で10時間反応を行い水性分散体(F10)を得た。次いでブロッキング防止剤[「サイロイド978」、富士デヴィソン化学製]1部および耐光安定剤[「DIC−TBS」、大日本インキ化学工業製]0.5部を加えて遠心分離機で濾別、循風乾燥機で50℃の条件で乾燥を行い樹脂粒子 (F1)を得た。
【0055】
実施例2
実施例1において、[連続相1]の代わりに[連続相2]を用いた以外は実施例1と同様にして水性分散体(F20)を得て、次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子 (F2)を得た。
【0056】
実施例3
ビーカー内に[プレポリマー溶液2]150部を入れて[分散相2]を調製した。図1のマイクロチャネル乳化装置において[連続相1]を25mg/hr、[分散相2]を5mg/hr流動させて、[連続相1]の流れの中に分散相2の液を吐出させて、樹脂粒子の分散液を得た。[連続相1]中の水による[プレポリマー2]の伸長反応により樹脂粒子が形成された。
エバポレータに該分散液を投入し、温度50℃、圧力50Torrで30分間脱溶剤を行った後、温度50℃で10時間反応を行い、水性分散体(F30)を得た。次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子(F3)を得た。
【0057】
実施例4
ビーカー内に[プレポリマー溶液2]150部を入れて[分散相2]を調製した。図1のマイクロチャネル乳化装置において[連続相1]を25mg/hr、[分散相2]を5mg/hr流動させ、液温を30℃に保ちつつ、得られる分散液を10分毎に取り出し、該分散液360部にエチレンジアミン40部を入れて3分間攪拌した後エバポレータに投入し、温度50℃、圧力50Torrで30分間脱溶剤を行った後、温度50℃で10時間反応を行い、水性分散体(F40)を得た。次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子(F4)を得た。
【0058】
実施例5
実施例3において、[連続相1]の代わりに[連続相3]を用いた以外は実施例3と同様にして水性分散体(F50)を得た。[連続相3]中のエチレンジアミンによる[プレポリマー2]の伸長反応により樹脂粒子が形成された。
次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子 (F5)を得た。
【0059】
比較例1
溶解樹脂懸濁法 (例えば特許文献1参照)
ビーカー内に[プレポリマー1]150部と[硬化剤1]6部とを混合しておき、[連続相1]708部を添加し、室温下、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで10秒間混合して分散液を得た。エバポレータに該分散液を投入し、温度50℃、圧力50Torrで30分間脱溶剤を行った後、温度50℃で10時間反応を行い、水性分散体(G10)を得た。次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子(G1)を得た。
【0060】
比較例2
ビニルモノマーをマイクロチャネルを介して連続相に分散させ、これをラジカル重合させる方法(例えば特許文献2参照)
実施例1において[分散相1]の代わりに
ビーカー内にジビニルベンゼン150部と過酸化ベンゾイル1部を入れて[分散相3]を調製した。図1のマイクロチャネル乳化装置において[連続相2]を25mg/hr、[分散相3]を5mg/hr流動させて、実施例1と同じく分散液を得た。エバポレータに該分散液を投入し、温度50℃、圧力50Torrで30分間脱溶剤を行った後、温度50℃で10時間反応を行い、水性分散体(G20)を得た。次いで濾別、乾燥を行い樹脂粒子(G2)を得た。
【0061】
物性測定例
実施例1〜5および比較例1〜2で得た樹脂粒子 (F1)〜(F5)と(G1)、(G2)を水に分散して粒度分布、及び体積平均粒径をマルチサイザーIII(コールター社製)で測定した。
樹脂粒子(B)の体積平均粒径、樹脂粒子 (B)の体積基準の粒度分布の変動係数を表1に示した。ここで変動係数とは、(標準偏差/体積平均粒径×100)の計算式より算出される値である。
また、分散相粘度、連続相粘度を表1に示した。測定は東機産業社製ブルックフィールド型(B型)粘度計を使用し、25℃で測定した。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の製造方法から得られる樹脂分散体および樹脂粒子 は、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナー、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、液晶等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子ペーパー用粒子、各種ホットメルト接着剤、その他成形材料等に有用な樹脂粒子として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】マイクロチャネル基板
【0065】
【図2】CNLの拡大図
【符号の説明】
【0066】
DP:分散相
CP:連続相
X:樹脂粒子(B)の分散液
E1:分散相入口
E2:連続相入口
E3:樹脂粒子(B)の分散液出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液からなる分散相(DP)を、マイクロチャネル(M)を介して連続相(CP)中に分散させることにより、前駆体(b0)からなる粒子(B0)若しくはその溶剤溶液からなる粒子(B0’)を形成させ、さらに粒子(B0’)を重合反応させて、粒子(B0’)の場合はさらに溶剤を除去することにより樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の分散液を得ることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
樹脂粒子(B)の分散液から媒体を除去し、樹脂粒子(B)を得る請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前駆体(b0)が反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)を含む混合物である請求項1又は2に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前駆体(b0)が反応性基含有プレポリマー(α)であり、連続相(CP)中で前駆体(b0)からなる粒子(B0)若しくはその溶剤溶液からなる粒子(B0’)と硬化剤(β)を重合反応させる請求項1〜3いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
樹脂(b)が、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂である請求項1〜4いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前駆体(b0)が、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性基を有する請求項1〜5いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
硬化剤(β)が、活性水素基含有化合物又は活性水素基含有化合物をブロック化した化合物である請求項1〜6いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
連続相(CP)がさらに分散剤を含有するものである請求項1〜7いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
樹脂粒子の粒子径分布の変動係数が0.1〜10%である請求項1〜8いずれか1項に記載の樹脂粒子の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−56177(P2007−56177A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245206(P2005−245206)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】