説明

樹脂組成物、フェノキシ樹脂、塗料組成物、接着剤組成物、接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線基板及び樹脂付銅箔

【課題】低誘電率、低誘電正接、相溶性、耐熱性に優れる樹脂組成物や該樹脂組成物に用いるフェノキシ樹脂、該樹脂組成物を用いた塗料組成物、接着剤組成物、接着フィルム、プリプレグ、樹脂付銅箔及び多層プリント配線基板を提供する。
【解決手段】ナフタレン骨格と水酸基の水素原子がアシル基で置換された構造を有する重量平均分子量5,000〜200,000のフェノキシ樹脂(A)と、溶剤(B)とを含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を含有する塗料組成物、接着剤組成物、接着フィルム、プリプレグ、樹脂付銅箔、多層プリント配線基板及び下記一般式(1)で表される構造を有し、重量平均分子量が5,000〜200,000であるフェノキシ樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性に優れる塗料組成物、接着剤組成物、接着フィルム、インキ組成物、とりわけ、誘電率、誘電正接が低く耐熱性、機械物性に優れる多層プリント配線基板等の層間絶縁材料、ビルドアップ材料、半導体の絶縁材料等の電気絶縁材料、接着フィルム、プリプレグ、樹脂付銅箔等に好ましく用いることができる。さらに誘電率、誘電正接が低く耐熱性、機械物性に優れ、各種樹脂との相溶性や溶剤溶解性の良い取り扱いに優れる樹脂組成物と、該樹脂組成物に含有されるフェノキシ樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、塗料、土木、建築、電気用途に広く利用されている。例えば高分子量化したビスフェノールA型エポキシ樹脂はフェノキシ樹脂とも呼ばれ、塗料やフィルム成型用のベース樹脂、エポキシ樹脂ワニスに添加して流動性を調整する流動調整剤、硬化物にした時の靭性を改良する添加剤等に用いられ、また、臭素原子を骨格中に有するものは、熱可塑性樹脂に配合して難燃剤としても使用されている。
【0003】
一方、前記電気用途において、電気、電子機器に使用されるプリント配線基板は、導体層と有機絶縁層を交互に積み重ねたビルドアップ方式の高多層化、薄物化などによる高密度化が進行している。このためプリント配線基板に用いられる有機絶縁層の導体への密着性や耐熱性のほか低吸水性や低誘電率、低誘電正接といった電気絶縁特性に対する要求はますます厳しくなっている。低誘電率、低誘電正接に優れる樹脂組成物としては、例えば、ビスフェノール骨格及び/又はフェニル骨格を有し、且つ、該骨格中に含まれるポリヒドロキシエーテルの水酸基の5モル%〜99%がエステル化している熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を必須成分として含有する樹脂組成物が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、樹脂組成物は他の樹脂との相溶性や耐熱性が十分ではない。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/095517号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、低誘電率、低誘電正接、他の樹脂との相溶性、耐熱性に優れる樹脂組成物や該樹脂組成物に用いられるフェノキシ樹脂、更には、該樹脂組成物を用いた塗料組成物、接着剤組成物、接着フィルム、プリプレグ、樹脂付銅箔及び多層プリント配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記の知見(1)〜(7)を見出した。
(1)前記特許文献1に開示されている熱可塑性樹脂の代わりにナフタレン骨格を含有する熱可塑性樹脂を用いることにより該熱可塑性樹脂中のエステル化の量を限定せずとも低誘電率、低誘電正接、他の樹脂との相溶性、耐熱性に優れる樹脂組成物となること。
(2)前記樹脂組成物を含有する組成物は樹脂との相溶性や溶剤溶解性、耐熱性に優れ、塗料用組成物として好適に用いることができること。
(3)前記樹脂組成物を含有する組成物は樹脂との相溶性や溶剤溶解性、耐熱性に優れ、接着剤組成物として好適に用いることができること。
(4)前記樹脂組成物の薄膜を支持ベースフィルム上に形成してなる接着フィルムは低誘電率、低誘電正接で耐熱性に優れること。
(5)前記樹脂組成物をシート状補強基材に塗工及び/又は含浸したプリプレグは低誘電率、低誘電正接で耐熱性に優れること。
(6)前記樹脂組成物の硬化物にメッキ導体層が形成され、他面はパターン加工された内装回路基板に密着して積層された多層プリント配線基板は低誘電率、低誘電正接で耐熱性に優れること。
(7)前記樹脂組成物を塗布してなる樹脂付銅箔は低誘電率、低誘電正接で耐熱性に優れること。
本発明は上記知見に基づき完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、ナフタレン骨格と水酸基の水素原子がアシル基で置換された構造を有する重量平均分子量5,000〜200,000のフェノキシ樹脂(A)と、溶剤(B)とを含有することを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜200,000であることを特徴とするフェノキシ樹脂を提供するものである。
【0009】
【化1】

(式中、Aは、水素原子または下記一般式(2)で表される基である。また、R炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、aは20以上である。)
【0010】
【化2】

【0011】
更に、本発明は、前記樹脂組成物樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、前記樹脂組成物樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤組成物を提供するものである。
【0013】
更に、本発明は、前記樹脂組成物樹脂組成物の薄膜を支持ベースフィルム上に形成してなることを特徴とする接着フィルムを提供するものである。
【0014】
更に、本発明は、前記樹脂組成物樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材に塗工および/または含浸してなることを特徴とするプリプレグを提供するものである。
【0015】
更に、本発明は、前記樹脂組成物樹脂組成物を硬化させた硬化物にメッキ導体層が形成され、他面はパターン加工された内装回路基板に密着して積層されていることを特徴とする多層プリント配線基板を提供するものである。
【0016】
更に、本発明は、前記樹脂組成物を銅箔に塗布してなることを特徴とする樹脂付銅箔を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低誘電率、低誘電正接、他の樹脂との相溶性、耐熱性に優れる樹脂組成物を提供することができる。また、前記樹脂組成物に用いられるフェノキシ樹脂も提供することができる。本発明の樹脂組成物を用いることにより樹脂との相溶性、溶剤溶解性、耐熱性に優れる塗料組成物、接着剤組成物を提供することができ、また、低誘電率、低誘電正接、耐熱性に優れる接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線基板及び樹脂付銅箔も提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)はナフタレン骨格と、水酸基中の水素原子の一部乃至全部がアシル基で置換された構造を有し、且つ、重量平均分子量(MW)が5,000〜200,000のフェノキシ樹脂である。ここで、重量平均分子量が5,000より小さいと、造膜性、機械物性が低下することから好ましくない。重量平均分子量が200,000より大きいと、相溶性が低下することから好ましくない。重量平均分子量は10,000〜100,000が更に好ましい。
【0019】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)は前記したように該フェノキシ樹脂(A)が有する水酸基中の水素原子がアシル基で置換された構造を有する。このような構造を有することにより結晶化しにくく低極性となり樹脂との相溶性や溶剤溶解性が良好なため取り扱い易く、低誘電率、低誘電正接、耐熱性に優れる効果が得られる。本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)としては、例えば、後述する本発明のエステル化フェノキシ樹脂が挙げられる。
【0020】
前記フェノキシ樹脂(A)のナフタレン骨格の含有率としては、耐熱性、相溶性、溶解性に優れるフェノキシ樹脂が得られることから該フェノキシ樹脂(A)の重量を基準として10〜60重量%が好ましく、15〜55重量%がより好ましい。ここで、本発明でいうナフタレン骨格の含有率とはナフタレン骨格部分の分子量をフェノキシ樹脂の総重量で割ったものである。例えば合成例6示すようなフェノキシ樹脂(A1)の場合、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン樹脂中のそれぞれのナフタレン骨格(−C10−)の重量は(100×126)/272=46.3、(55.6×126)/160=43.8と算出され、全フェノキシ樹脂中のナフタレン骨格の含有量は、ナフタレン骨格部分の重量をフェノキシ樹脂全体の重量で割ったものであるため、(46.3+43.8)/(100+55.6+39.4×42/102)×100=52.4(%)と算出できる。
【0021】
ここで前記「100」は後述する合成例1において使用したナフタレン型エポキシ樹脂の重量、「126」はナフタレン骨格の分子量、「272」はナフタレン型エポキシ樹脂の分子量である。前記「55.6」は合成例1において使用したジヒドロキシナフタレンの重量、「160」はジヒドロキシナフタレンの分子量である。また、フェノキシ樹脂全体の重量は例えば合成例6においては水酸基中の水素原子がアセチル基に置換されており、この置換したアセチル基の重量をフェノキシ樹脂の全体重量に組み込む必要がある。合成例6ではフェノキシ樹脂へのアセチル基の導入に無水酢酸(分子量102)を39.4g用いている。フェノキシ樹脂の水酸基中の水素原子に置換してフェノキシ樹脂に結合したアセチル基の分子量は42であり、フェノキシ樹脂に結合したアセチル基の重量は使用量×(フェノキシ樹脂に結合するアセチル基の分子量/無水酢酸の分子量)、つまり(39.4×42)/102となる。
【0022】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)としては、フェノキシ樹脂(A)が有する水酸基中の水素原子がアシル基に置換された割合としては1モル%〜100モル%が、誘電率や誘電正接が低く、相溶性や溶解性、非結晶性の点に優れるフェノキシ樹脂となることから好ましく、10〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%のフェノキシ樹脂がより好ましく、前記特性の他フェノキシ樹脂(A)を調製する際のエステル化の効率が良好なことから70〜95モル%が更に好ましい。
【0023】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)が有する水酸基中の水素原子がアシル基に置換された構造としては、例えば、水酸基を1価の酸でエステル化した活性水素を有さない構造、水酸基を多塩基酸等でエステル化したカルボン酸を有する構造、水酸基をラクトン等でエステル化した水酸基を有する構造等が挙げられる。なかでも前記水酸基を1価の酸でエステル化した活性水素を有さない構造(極性基を有さない構造)を有するものが、誘電特性や樹脂との相溶性や溶解性、非結晶性、製造のし易さの理由から好ましい。
【0024】
フェノキシ樹脂(A)が有する水酸基の水素原子と置換されるアシル基としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基が好ましい。従って、フェノキシ樹脂(A)が有する水酸基の水素原子と置換されるアシル基としては、炭素原子数1〜20の炭化水素基を有し、且つ、活性水素を有さないアシル基がより好ましい。
【0025】
前記アシル基が有する炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ビニル基、ベンジル基、ナフチル基、フェネチル基等が挙げられる。中でも炭素原子数1〜6の炭化水素基を有するアシル基がより好ましく、メチル基、ベンジル基が更に好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0026】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)は後述するように2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを、該2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物の少なくとも1種がナフタレン骨格を含有するような組合せで反応させて得られたものが好ましい。ここで用いる2官能エポキシ樹脂としては、中でも、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール骨格を含むエポキシ樹脂で、2官能フェノール化合物としてはナフタレン骨格を含むフェノール化合物がより好ましい。
【0027】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)は更に、ビスフェノールS骨格を含有するフェノキシ樹脂が好ましい。
【0028】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)は、例えば、水酸基がエステル化していないフェノキシ樹脂〔以下、これをフェノキシ樹脂(a)と略記する〕をエステル化することにより得ることができる。フェノキシ樹脂(a)と略記する〕は、例えば、以下の方法により調製することができる。
1.エピハロヒドリンとナフタレン骨格を有する2官能フェノールとをアルカリ存在下で反応させて製造する方法(以下、一段法と略記する)。
2.2官能エポキシ樹脂と2官能フェノールのうち少なくとも一方がナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを触媒存在下で反応させて製造する方法(以下、二段法と略記する)。
【0029】
前記製造方法において、エピハロヒドリンとフェノール化合物の仕込みモル比、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物の仕込みモル比を適宜調整することで、フェノキシ樹脂(A)の調製に用いるフェノキシ樹脂(a)を製造することが出来る。
【0030】
前記エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリンやエピブロモヒドリン等が挙げられる。
【0031】
前記ナフタレン骨格を有する2官能フェノール化合物としては、例えば、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,1−ビ−2−ナフトール等が挙げられる。
【0032】
前記一段法において前記ナフタレン骨格を有する2官能フェノール以外のフェノール類を必要に応じて用いることができる。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン等のビスフェノール類;4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等の単環2官能フェノール類;ビスフェノールアセトフェノン、ジヒドロキシビフェニルエーテル、ジヒドロキシビフェニルチオエーテル等が挙げられる。
【0033】
本発明で用いる2官能フェノール等のフェノール化合物は、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基など悪影響のない置換基で置換されていてもよい。これらのフェノール化合物は複数種を併用して使用することも出来る。
【0034】
前記ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としては、例えば、1,4−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、2,7−ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、1,1−ビ−2−ナフトールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0035】
前記ナフタレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂以外の2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;4,4’−ビフェノールのジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4、4’−ビフェノールのジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの単環2官能フェノールのジグリシジルエーテル;ビスフェノールフルオレンのジグリシジルエーテル、ビスフェノールアセトフェノンのジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルエーテル、ジヒドロキシビフェニルチオエーテルのジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサン、ネオペンチルグリコール等の2官能アルコールのジグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸等の2価カルボン酸のジグリシジルエステル等のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0036】
本発明で用いる2官能エポキシ樹脂は、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基など悪影響のない置換基で置換されていてもよい。これらのエポキシ樹脂は複数種を併用して使用することも出来る。
【0037】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)の調製に用いるフェノキシ樹脂(a)は、前記製法1、2どちらで得られるものでも構わないが、前記製法2で得られるフェノキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを反応させて得られたフェノキシ樹脂)は、2種以上の異なる性質の有する構造単位を繰り返して配置した骨格を有するフェノキシ樹脂を容易に製造することができる
ことから好ましい。
【0038】
フェノキシ樹脂(a)として前記製法2で得られるフェノキシ樹脂の中でも、2官能エポキシ樹脂として3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール骨格を含むエポキシ樹脂を用い、2官能フェノール化合物としてナフタレン骨格を含むフェノール化合物を用いて得られたフェノキシ樹脂がより好ましい。
【0039】
また、フェノキシ樹脂(a)を調製する際にフェノール系化合物としてビスフェノールS、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ビスフェノールフルオレンを併用することもできる。
【0040】
前記製法2で得られるフェノキシ樹脂の中でも、2官能エポキシ樹脂として3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール骨格を含むエポキシ樹脂と、2官能フェノール化合物としてナフタレン骨格を含むフェノール樹脂とを反応させて得られるフェノキシ樹脂が低誘電率、低誘電正接、保存安定性、相溶性、溶剤溶解性、耐熱性に優れる他、合成が容易などの理由から好ましい。
【0041】
前記2の製法においては通常合成触媒を用いる。このような合成触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基のエーテル化反応を促進させるような触媒能を持つ化合物であれば特に制限はなく、例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
【0042】
前記アルカリ金属化合物の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0043】
前記有機リン化合物の具体例としては、例えば、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の鎖状ホスフィン類;パラメチルホスフィン等の環状ホスフィン類;1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のビスホスフィン類;テトラメチルホスフォニウムブロマイド、テトラメチルホスフォニウムアイオダイド、テトラメチルホスフォニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
【0044】
前記第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどが挙げられる。第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0045】
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0046】
前記環状アミン類としては、例えば、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5等が挙げられる。
【0047】
前記イミダゾール類の具体例としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
【0048】
これらの触媒は併用することができる。通常、触媒の使用量は反応固形分中、0.001〜3重量%が好ましく、0.1〜2重量%が更に好ましく、0.5〜1重量%がより好ましい。
【0049】
なかでもトリフェニルホスフィンやトリブチルホスフィンなどの鎖状ホスフィン類は、合成の容易さと保存安定性の点で好ましく、更にトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0050】
また、本発明で用いるフェノキシ樹脂は、その製造時の合成反応において溶媒を用いても良く、その溶媒としてはフェノキシ樹脂を溶解するものであれば、どのようなものでも良い。例えばアミド系溶剤、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤、芳香族系溶剤、エステル系溶剤、その他の極性溶剤などが挙げられる。
【0051】
前記アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カルバミド酸エステル等が挙げられる。
【0052】
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノン、アセチルアセトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、メチルシクロへキサノン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0053】
前記グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル類;
【0054】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0055】
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等のポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
【0056】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;低分子のエチレン−プロピレン共重合体等の共重合ポリエーテルグリコールのジアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのモノアセテートモノアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのアルキルエステル類;共重合ポリエーテルグリコールのモノアルキルエステルモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
【0057】
前記芳香族溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのほかソルベッソ100(協栄溶剤社製)やソルベッソ150(協栄溶剤社製)等が挙げられる。
【0058】
前記エステル系溶剤として酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等が挙げられる。
【0059】
前記その他の極性溶剤としてジメチルスルフォキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる
【0060】
前記2段法におけるフェノキシ樹脂の合成条件としては、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノ−ル類の配合当量比は、エポキシ基/フェノ−ル性水酸基=1:0.9〜1.1であることが、得られるフェノキシ樹脂が直鎖状に高分子量化し、副反応による架橋が起こりにくく、溶媒に溶解しやすいフェノキシ樹脂が得られることから好ましく、1:0.95〜1:1.05が更に好ましい。
【0061】
前記2段法におけるフェノキシ樹脂の重合反応温度は、通常窒素雰囲気下で触媒が分解しない程度の温度範囲で行う。反応温度は高分子量化反応が良好に進み、且つ、副反応が起こりにくいことから60〜200℃が好ましく、100〜170℃がより好ましく、120〜160℃が更に好ましい。また、アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することも出来る。
【0062】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)は、例えば、前記フェノキシ樹脂(a)中の水酸基をエステル化することにより得られる。エステル化は直接エステル化するだけでなくエステル交換等の方法を用いても良い。
【0063】
前記エステル化に用いる酸成分としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、オクタン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ヘキサヒドロ安息香酸、フェノキシ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸;有機酸の酸無水物;有機酸のハロゲン化物;有機酸のエステル化物等を用いることが出来る。
【0064】
前記有機酸の酸無水物としては、例えば、無水酢酸、安息香酸無水物、フェノキシ酢酸無水物、エステル化物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等が挙げられる。
【0065】
前記有機酸のハロゲン化物としては、例えば、酢酸クロライド、安息香酸クロライド、フェノキシ酢酸クロライド等が挙げられる。
【0066】
前記エステル化に用いる化合物としては酢酸クロライド、安息香酸クロライド、フェノキシ酢酸クロライド等の有機酸のハロゲン化物や無水酢酸、安息香酸無水物、フェノキシ酢酸無水物などの酸ハロゲン化物や有機酸の酸無水物が好ましく、エステル化の後水洗が不要で、電材用途で嫌われるハロゲンの混入を避ける意味で無水酢酸や安息香酸無水物などの酸無水物が更に好ましい。
【0067】
フェノキシ樹脂(a)が有する水酸基のエステル化に使用する前記有機酸;有機酸の酸無水物;有機酸のハロゲン化物;有機酸のエステル化物等の酸成分とフェノキシ樹脂(a)とを反応させる際の仕込み割合は、目的のエステル化比率と同様の仕込比率でも良いし、反応性が低い場合には水酸基に対し過剰に前記酸成分を仕込み、目的のエステル化率まで反応させた後、未反応の酸成分を除去しても良い。
【0068】
酸成分により直接エステル化する場合、例えばパラトルエンスルホン酸、リン酸等の酸触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、塩化亜鉛等の金属触媒等の種々のエステル化触媒を用い脱水しながら行うことが出来る。通常、窒素雰囲気下で100〜250℃で行うのが好ましく、より好ましくは130〜230℃である。
【0069】
エステル化に酸ハロゲン化物や酸無水物を使用する場合、生じた酸を除去するには、塩基性化合物を使用し中和後に塩を濾過する方法、塩基性化合物を使用し中和後水洗する方法、中和せずに水洗する方法、蒸留や吸着などで除去する方法のいずれの方法を用いても良く、併用しても構わない。合成溶剤よりも低沸点の酸を除く場合には、蒸留し除くことが好ましい。
【0070】
フェノキシ樹脂(a)をエステル交換によりエステル化する場合は、通常窒素雰囲気下で、例えばジブチル錫オキシドやジオクチル錫オキシド、スタノキサン触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン等の有機金属触媒や塩酸、硫酸、リン酸、スルホン酸等の酸触媒、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩基性触媒など公知のエステル化触媒を用いて脱アルコールしながら行うことが望ましい。
【0071】
また、フェノキシ樹脂(a)の合成と水酸基をエステル化とを同時に行っても良い、つまり前記製法2において、2官能エポキシ樹脂に予め酸無水物や酸クロライドなどで活性エステル化したフェノール化合物を反応させ、フェノキシ化と同時にエステル化する方法を用いても全く問題ない。
【0072】
本発明で用いる溶剤(B)としては、例えば、前記フェノキシ樹脂(a)の調製で使用することができる溶剤等が挙げられる。溶剤(B)はフェノキシ樹脂(a)の調製で用いたものと同じものでも良いし、異なるものでも良い。また、単独種で用いても良いし、2種以上を併用して良い。
【0073】
本発明の樹脂組成物中のフェノキシ樹脂(A)と溶剤(B)の混合比としては、フェノキシ樹脂(A)の固形分100重量部に対して20〜400が好ましく、100〜250がより好ましい。
【0074】
本発明の樹脂組成物には、更に必要に応じて他の樹脂、添加剤、前記フェノキシ樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂等を添加することができる。
【0075】
前記他の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、イミド樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、キシレン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0076】
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等であって1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。また、難燃性を付与するために塩素、臭素、リン、硫黄、窒素等で変性したエポキシ樹脂等でもよい。
【0077】
エポキシ樹脂としては分子中に芳香環骨格を有する芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂は常温で固体状のエポキシ樹脂又は常温で液状のエポキシ樹脂のいずれを用いてもよい。
【0078】
エポキシ樹脂を本発明の樹脂組成物に添加する場合は必要に応じてエポキシ樹脂の硬化剤硬化剤や触媒を併用することができる。
【0079】
前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン類、ポリアミド樹脂、イソシアネート樹脂もしくはその誘導体等公知慣用のものを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0080】
前記フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ナフタレン型フェノール類など公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、フェノール系硬化剤が窒素原子を含有してなることもできる。フェノール系硬化剤を使用すれば難燃性、接着性が向上する。窒素原子を有するフェノール系硬化剤としては、トリアジン構造含有ノボラック樹脂、大日本インキ化学工業株式会社製フェノライト7050シリーズ、油化シェル(株)製メラミン変性フェノールノボラック樹脂などがある。上記のフェノール樹脂の配合量については、1エポキシ当量のエポキシ樹脂に対し0.5〜1.3フェノール性水酸基当量のフェノール樹脂を配合することが望ましい。
【0081】
前記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無視ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート等の芳香族酸無水物類、無視マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の環状脂肪族酸無視物類、脂肪族酸無水類、ハロゲン化無水物類等公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0082】
前記アミン類の硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソフォロンジアミン、キシレンジアミン、キシレンジアミン3量体等の脂肪族ポリアミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン類、ポリアミンエポキシ樹脂アダクト、ポリアミンーエチレンオキシドアダクト、ポリアミンープロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、ケチミン等の変性アミン類、ピペリジン等の第2アミン類等公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0083】
前記ポリアミド樹脂系硬化剤としては、例えば、ダイマー酸とジアミンを反応させたポリアミド樹脂類以外に、エポキシ樹脂で変性した変性ポリアミド樹脂類、マンニッヒ型ポリアミド樹脂類等公知慣用のものを、単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0084】
前記イミド樹脂硬化剤としては、例えば、カルボン酸基やフェノール性水酸基、イソシアネート基、アミノ基等のエポキシ基と反応性のある官能基を持つイミド樹脂であり、
イソシアヌレート骨格を有するものが好ましく、官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、フェノール性水酸基を有するものが更に好ましい。
【0085】
前記エポキシ樹脂を用いる場合に、必要に応じて用いることのできる硬化触媒としては、例えば、DBU等の3級アミン類、グアニジン類の他、2-メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム等の有機リン化合物類もしくはその誘導体、それらをマイクロカプセル化したもの等公知慣用のものを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0086】
前記各種添加剤としては、例えば、アスベスト、オルベン、ベントン等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、高分子系消泡剤及び/またはレベリング剤;イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等密着性付与剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、無定型シリカ、タルク、クレー、雲母等の無機フィラー類;アクリル微粒子、ナイロン微粒子、シリコーン微粒子、フッ素微粒子、アミノ樹脂を熱硬化させ微粉砕した有機フィラー類等の充填剤;フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンの如き銅フタロシアニン系、キナクリドン系、黄鉛、ジンククロメート、モリブデート・オレンジの如きクロム酸塩、紺青の如きフェロシアン化物、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化鉄、炭化クロムグリーンの如き金属酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、硫化水銀の如き金属硫化物、セレン化物、硫酸鉛の如き硫酸塩、群青の如き珪酸塩、炭酸塩、コバルト・バイオレッド、マンガン紫の如き燐酸塩、アルミニウム粉、亜鉛末、真鍮粉、マグネシウム粉、鉄粉、銅粉、ニッケル粉の如き金属粉、カーボンブラック等の顔料の他、必要に応じてリン系難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、シリケート、キレート剤等を用いることができる。
【0087】
前記フェノキシ樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、 ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、 メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネイト、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、 ポリアミドイミド、塩素化ポリオレフィン、石油樹脂、ニトロセルロース等が挙げられる。
【0088】
次に本発明のフェノキシ樹脂について説明する。本発明のフェノキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜200,000であることを特徴とする。
【0089】
【化3】

(式中、Aは、水素原子または下記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、aは20以上である。)
【0090】
【化4】

【0091】
本発明で用いるフェノキシ樹脂(A)中のR(水酸基がエステル化により結合した構造)は誘電特性に優れ他の樹脂との相溶性も良好なことから水酸基やカルボン酸などの極性基を持たないものが好ましい。前記炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ビニル基、ベンジル基、ナフチル基、フェネチル基が好ましい。中でも炭素原子数1〜6の炭化水素基を有するアシル基がより好ましく、メチル基、ベンジル基が更に好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0092】
本発明のフェノキシ樹脂の重量平均分子量としては、5,000より小さいと、造膜性や機械物性が低下する理由から好ましくない。重量平均分子量が200,000より大きいと、相溶性が低下する理由から好ましくないことから、重量平均分子量は5000〜200000が好ましく、10000〜100000が更に好ましい。
【0093】
また、上記一般式(1)中の繰り返し単位(a)は20以上であればよいが、20〜800が造膜性、機械物性、相溶性の理由から好ましく、40〜400がより好ましい。
【0094】
本発明のフェノキシ樹脂は前記一般式(1)で表される構造を有すればよいが、中でも、ナフタレン骨格構造を、フェノキシ樹脂(A)の重量を基準として10〜60重量%含有することが耐熱性、相溶性に優れることから好ましく、15〜55重量%含有するフェノキシ樹脂がより好ましい。
【0095】
本発明のフェノキシ樹脂は、中でも、下記一般式(3)で表される構造を含有するフェノキシ樹脂が、耐熱性、相溶性、誘電特性に優れることから好ましい。
【0096】
【化5】

〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、Bは炭素原子数1〜30の炭化水素である。また、a1は20〜800である。〕
【0097】
前記炭素原子数1〜30の炭化水素としては、例えば、メタンから2つの水素を除いた残基、エタンから2つの水素を除いた残基、プロパンから2つの水素を除いた残基、ヘキサンから2つの水素を除いた残基、シクロヘキサンから2つの水素を除いた残基、ベンゼンから2つの水素を除いた残基、ジエチレングリコールから2つの水素を除いた残基、トリエチレングリコールから2つの水素を除いた残基、ジプロピレングリコールから2つの水素を除いた残基、トリプロピレングリコ−ルから2つの水素を除いた残基、水添ビスフェノールAから2つの水素を除いた残基、水添ビスフェノールFから2つの水素を除いた残基、水添ビスフェノールSから2つの水素を除いた残基、水添ビフェノールから2つの水素を除いた残基、水添テトラメチルビフェノールから2つの水素を除いた残基、ジシクロペンタジエンジオールから2つの水素を除いた残基、ジブロモネオペンチルアルコールから2つの水素を除いた残基、2−(9’、10’−ジヒドロー9’−ホスファー9’―オキシドー10’−オキサフェナンスレンー9’―イル)−1,4−ジヒドロベンゼン(三光化学社性 HCA−HQ)等から2つの水酸基を除いた残基等が挙げられる。
【0098】
尚、本発明において炭化水素、炭化水素基はヘテロ原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基等を含有していても炭化水素、炭化水素基として用いることができる。
【0099】
前記炭素原子数1〜30の炭化水素の中でも、下記一般式(4)で表される構造を有するフェノキシ樹脂がより好ましい。
【0100】
【化6】

〔式中、R〜Rは同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示す。R10は直接結合、炭素原子数1〜18の炭化水素構造、スルホニル基(SO)、カルボニル基(CO)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)および下記一般式(5)からなる群から選ばれる一種以上の構造である。〕
【0101】
【化7】

(式中、R11〜R18は同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。)
【0102】
一般式(3)中のRとしては、例えば、前記一般式(1)のR等が挙げられる。
【0103】
前記一般式(4)の構造としては、例えば、ビフェノールから2つの水素を除いた残基、ジメチルー4,4’−ビフェノールから2つの水素を除いた残基、3,3’,5、5’―テトラメチル−4、4’―ビフェノールから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールSから2つの水素を除いた残基、4,4’−オキシビスフェノールから2つの水素を除いた残基、4,4’−チオビスフェノールから2つの水素を除いた残基、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノンから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールAから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールBから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールCから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールFから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールZから2つの水素を除いた残基、ジクロロビスフェノールAから2つの水素を除いた残基、ジブロモビスフェノールAから2つの水素を除いた残基、ジクロロビフェノールから2つの水素を除いた残基、ジブロモビスフェノールから2つの水素を除いた残基等が挙げられる。中でも3,3’,5、5’―テトラメチル−4、4’―ビフェノールから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールSから2つの水素を除いた残基、4,4’−オキシビスフェノールから2つの水素を除いた残基、4,4’−チオビスフェノールから2つの水素を除いた残基、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノンから2つの水素を除いた残基が好ましく、更に3,3’,5、5’―テトラメチル−4、4’―ビフェノールから2つの水素を除いた残基、ビスフェノールSから2つの水素を除いた残基が好ましい。
【0104】
本発明のフェノキシ樹脂は、更に下記一般式(6)及び下記一般式(7)で表される構造を有するフェノキシ樹脂が耐熱性、誘電特性、相溶性に優れることから好ましい。
【0105】
【化8】

〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、a2は20〜800である。〕
【0106】
【化9】


〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、a3は20〜800である。〕
【0107】
前記一般式(6)及び下記一般式(7)中のRとしては、例えば、前記一般式(1)で表されるR等が挙げられる。
【0108】
本発明のフェノキシ樹脂は、例えば、前記本発明の樹脂組成物で用いるフェノキシ樹脂(A)の調製に用いる製造方法等により製造することができる。
【0109】
本発明の塗料接着剤組成物は、本発明の樹脂組成物を必須成分として含有すればよく、必要に応じて前記した各種添加剤、溶剤、前記フェノキシ樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂等を添加することができる。
【0110】
本発明の接着剤組成物は、本発明の樹脂組成物を必須成分として含有すればよく、必要に応じて前記した各種添加剤、溶剤、前記フェノキシ樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂等を添加することができる。
【0111】
本発明の接着フィルムは、本発明の樹脂組成物の薄膜を支持ベースフィルム上に形成したものである。製法としては、支持ベースフィルムを支持体とし、その表面に本発明の樹脂組成物を塗布後、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させて薄膜となし、接着フィルムを作製することができる。
【0112】
前記支持ベースフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、さらには離型紙や銅箔、アルミニウム箔の如き金属箔などが挙げられる。なお、支持ベースフィルムにはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
【0113】
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により塗工、含浸させ、加熱、半硬化させることによりプリプレグを作製することができる。繊維からなるシート状補強基材としては、ガラスクロスやアラミド繊維など、公知慣用のプリプレグ用繊維を使用できる。ホットメルト法では、無溶剤の樹脂を使用し、樹脂と剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングしそれをラミネートしたり、ダイコーターにより直接塗工する方法などが知られている。また、ソルベント法は、接着フィルム同様、有機溶剤に該樹脂組成物をシート状補強基材を浸漬、含浸させ、その後乾燥させてプリプレグを得る方法である。
【0114】
本発明の多層プリント配線基板は、本発明の樹脂組成物を硬化させた硬化物にメッキ導体層が形成され、他面はパターン加工された内装回路基板に密着して積層されている。本発明の多層プリント配線基板はパターン加工された内層回路基板に本発明の樹脂組成物からなる接着フィルムをラミネートし製造する。ラミネートは、保護フィルムが存在している場合には保護フィルムを除去後、接着剤の性能を有する本発明の樹脂組成物の薄膜を加圧、加熱しながら貼り合わせる。ラミネート条件は、フィルム及び内層回路基板を必要によりプレヒートし、圧着温度が70〜130℃、圧着圧力が1〜11Kgf/cmであって、減圧下で積層するのが好ましい。また、ラミネートはバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。ラミネート後、室温付近に冷却してから支持フィルムを剥離し、内層回路基板上に樹脂組成物を転写した後、加熱硬化させる。また、離型処理の施された支持フィルムを使用した場合には、加熱硬化させた後に支持フィルムを剥離してもよい。その後、上記の方法同様、酸化剤により該フィルム表面を粗化、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
【0115】
一方、本発明の樹脂組成物からなるプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造するには、パターン加工された内層回路基板に該プリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートを挟み加圧、加熱条件下、積層プレスする。圧力条件は5〜40Kgf/cm、温度条件は120〜180℃で20〜100分の範囲で成型するのが好ましい。また前記のラミネート方式によっても製造可能である。その後、上記の方法同様、酸化剤により該プリプレグ表面を粗化、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。製造された多層プリント配線板は内層回路基板がパターン加工された内層回路を同方向に2層以上有する場合には該内層回路間に樹脂組成物の硬化物である絶縁層を有していることになる。本発明で言うパターン加工された内層回路基板は多層プリント配線板に対する相対的な呼称である。例えば、基板両面に回路を形成しさらにその両回路表面に樹脂組成物の硬化した薄膜を絶縁層として各々形成した後、さらにその両表面に各々回路を形成すると4層プリント配線板が形成できる。この場合の内層回路基板とは基板上に形成された両面に回路形成されたプリント配線板を言いう。さらに、この4層プリント配線板の両表面にさらに絶縁層を介して各々1層の回路を追加形成すれば6層プリント配線板ができる。この場合の内層回路基板とは前述の4層プリント配線板を言うことになる。
【0116】
具体的には、例えば、10〜200μm厚の支持ベースフィルムに、樹脂組成物層の厚みがラミネートする内層回路板の導体厚以上で、10〜150μmの範囲であり、樹脂層の他の面に1〜40μm厚の支持フィルムの如き保護フィルムをさらに積層し、ロール状に巻きとって貯蔵される。
【実施例】
【0117】
次に、本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明する。例中断りの無い限り、「部」、「%」は重量基準である。
【0118】
合成例1(水酸基含有フェノキシ樹脂の製造)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、エピクロンHP4032D(大日本インキ化学工業株式会社製のナフタレン型エポキシ樹脂)100g(0.355モル)とジヒドロキシナフタレン55.6g(0.348モル)とシクロヘキサノン233.4gとを仕込み、窒素を吹き込み攪拌しながら発熱に注意して80℃に昇温し、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.55gを投入し更に1時間かけて150℃まで昇温した後、ソリッド換算のエポキシ当量が1万になるまで150℃で3時間反応させた。この反応により、2級の水酸基を有するナフタレン/ナフタレン系フェノキシ樹脂を含有する樹脂溶液(a1)を得た(不揮発分40%)。
【0119】
得られたナフタレン/ナフタレン系フェノキシ樹脂のエポキシ当量(ソリッド換算)は10000であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が36000であり、原料のエポキシ樹脂、フェノール化合物の比率が2%以下となり、赤外線吸収スペクトルを測定すると915cm−1付近のエポキシ基の特性吸収が減少し、エポキシとフェノールの反応により生じた2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が確認されたことにより、2級の水酸基を有するフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0120】
合成例2(同上)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン株式会社製の3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂)100g(0.259モル)とジヒドロキシナフタレン40.6g(0.254モル)とシクロヘキサノン210.9gとを仕込み、窒素を吹き込み攪拌しながら発熱に注意して80℃に昇温し、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.41gを投入し更に1時間かけて150℃まで昇温した後、150℃で6時間反応させた。この反応により、2級の水酸基を有する3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル/ナフタレン系フェノキシ樹脂を含有する樹脂溶液(a2)を得た(不揮発分40%)。
【0121】
得られた3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル/ナフタレン系フェノキシ樹脂のエポキシ当量(ソリッド換算)は8000であり、GPCを測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が44000であり、原料のエポキシ樹脂、フェノール化合物の比率が2%以下となり、赤外線吸収スペクトルを測定すると915cm−1付近のエポキシ基の特性吸収が減少し、エポキシとフェノールの反応により生じた2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が確認されたことにより、2級の水酸基を有するフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0122】
合成例3(同上)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、ナフタレンエポキシ樹脂としてエピクロンHP4032D 100g(0.355モル)とビスフェノールS 88.7g(0.355モル)とをシクロヘキサノン 283.1gを仕込み、窒素を吹き込み攪拌しながら発熱に注意して80℃に昇温し、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.89gを投入し更に1時間かけて150℃まで昇温した後、150℃で8時間反応させた。この反応により、2級の水酸基を有するナフタレン/ビスフェノールS系フェノキシ樹脂を含有する樹脂溶液(a3)を得た(不揮発分40%)。
【0123】
得られたナフタレン/ビスフェノールS系フェノキシ樹脂のエポキシ当量(ソリッド換算)は100000であり、GPCを測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が18000であり、原料のエポキシ樹脂、フェノール化合物の比率が2%以下となり、赤外線吸収スペクトルを測定すると915cm−1付近のエポキシ基の特性吸収が減少し、エポキシとフェノールの反応により生じた2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が確認されたことにより、2級の水酸基を有するフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0124】
合成例4(比較対照用水酸基含有フェノキシ樹脂の製造)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコにエピコートYX4000H 100g(0.259モル)とビスフェノールS 63.9g(0.256モル)とシクロヘキサノン245.9gとを仕込み、窒素を吹き込み攪拌しながら発熱に注意して80℃に昇温し、反応触媒としてトリフェニルホスフィン3.27gを投入し更に1時間かけて150℃まで昇温した後、150℃で6時間反応させた。この反応により、2級の水酸基を有するテトラメチルビフェニル/ビスフェノールS系フェノキシ樹脂を含有する樹脂溶液(a´1)を得た(不揮発分40%)。
【0125】
得られたテトラメチルビフェニル/ビスフェノールS系フェノキシ樹脂のエポキシ当量(ソリッド換算)は30000であり、GPCを測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が50000であり、原料のエポキシ樹脂、フェノール化合物の比率が2%以下となり、赤外線吸収スペクトルを測定すると915cm−1付近のエポキシ基の特性吸収が減少し、エポキシとフェノールの反応により生じた2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が確認されたことにより、2級の水酸基を有するフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0126】
合成例5(同上)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けたフラスコに、エピクロン850S(大日本インキ化学工業株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂)100g(0.266モル)とビスフェノールA 59.9g(0.263モル)とシクロヘキサノン68.5gとを仕込み、窒素を吹き込み攪拌しながら発熱に注意して80℃に昇温し、反応触媒としてトリフェニルホスフィン3.20gを投入し更に1時間かけて150℃まで昇温した後、150℃で6時間反応させた。この反応により、2級の水酸基を有するビスフェノールA/ビスフェノールA系フェノキシ樹脂を含有する樹脂溶液(a´2)を得た(不揮発分70%)。
【0127】
得られたビスフェノールA/ビスフェノールA系フェノキシ樹脂のエポキシ当量(ソリッド換算)は10000であり、GPCを測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が17000であり、原料のエポキシ樹脂、フェノール化合物の比率が2%以下となり、赤外線吸収スペクトルを測定すると915cm−1付近のエポキシ基の特性吸収が減少し、エポキシとフェノールの反応により生じた2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が確認されたことにより、2級の水酸基を有するフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0128】
合成例6〔フェノキシ樹脂(A)の製造〕
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、フェノキシ樹脂溶液(a1)に水酸基の50%をアセチル化する量の無水酢酸39.4gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価1.2、不揮発分35.0%、粘度10.0Pa・sのアセチル化フェノキシ樹脂溶液(A1)を得た。
【0129】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると樹脂の重量平均分子量(Mw)が38000であり、2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0130】
合成例7(同上)
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、フェノキシ樹脂溶液(a1)に水酸基の90%をアセチル化する量の無水酢酸70.9gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価1.2、不揮発分34.3%、重量平均分子量(Mw)が39000のアセチル化フェノキシ樹脂溶液(A2)を得た。
【0131】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0132】
合成例8(同上)
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、得られたフェノキシ樹脂溶液(a1)に水酸基の100%をアセチル化するため、1.1倍過剰当量の無水酢酸86.7gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価1.0、不揮発分35.1%、粘度9.0Pa・s、重量平均分子量(Mw)が40000のアセチル化フェノキシ樹脂溶液(A3)を得た。
【0133】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0134】
合成例9(同上)
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、得られたフェノキシ樹脂溶液(a2)に水酸基の90%をアセチル化する量の無水酢酸70.9gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価1.4、不揮発分29.1%、粘度2.9Pa・s、重量平均分子量(Mw)が58000のアセチル化フェノキシ樹脂溶液(A4)を得た。
【0135】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0136】
合成例10(同上)
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、得られたフェノキシ樹脂溶液(a3)に水酸基の90%をアセチル化する量の無水酢酸70.9gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価2.2、不揮発分34.5%、粘度1.6Pa・s、重量平均分子量(Mw)が21000のアセチル化フェノキシ樹脂溶液(A5)を得た。
【0137】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0138】
合成例11〔比較対照用フェノキシ樹脂(A´)の製造〕
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、得られたフェノキシ樹脂溶液(a´1)に水酸基の90%をアセチル化する量の無水酢酸70.9gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価3.1、不揮発分29.7%、粘度3.9Pa・s、重量平均分子量(Mw)が54000の比較対照用アセチル化フェノキシ樹脂溶液(A´1)を得た。
【0139】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0140】
合成例12(同上)
攪拌装置、温度計および蒸留装置を付けたフラスコに、得られたフェノキシ樹脂溶液(a´2)に水酸基の90%をアセチル化する量の無水酢酸70.9gを仕込み℃120℃、2時間反応させた後、遊離の酢酸を除く為、130℃〜160℃の間で適宜上昇させながら加温しシクロヘキサノンと共に酢酸を除去し始め、シクロヘキサノンを追加しながらフラスコ内の酸価が5以下になるように脱酢酸を行った。最終的に酸価1.4、不揮発分39.9%、粘度2.0Pa・s、重量平均分子量(Mw)が20000の比較対照用アセチル化フェノキシ樹脂溶液(A´2)を得た。
【0141】
得られたフェノキシ樹脂のGPCを測定すると2級水酸基のブロードな特性吸収(3450cm−1)が減少したことから2級の水酸基がアセチル化したフェノキシ樹脂が得られたと結論される。
【0142】
合成例1〜5で得られたフェノキシ樹脂及び合成例6〜合成例12で得られたアセチル化フェノキシ樹脂の諸物性を第1表及び第2表に示す。また、これら合成例1〜12で得られたフェノキシ樹脂及びアセチル化フェノキシ樹脂の耐熱性試験を行い、これらの結果を第1表及び第2表に合わせて示す。尚、耐熱性の評価方法は以下の通りである。
【0143】
<フェノキシ樹脂及びアセチル化フェノキシ樹脂の耐熱性の評価方法。>
・測定サンプルの調製方法
フェノキシ樹脂溶液を乾燥後の膜厚が50μmになるようにブリキ基板上に塗装し、150℃の乾燥機で1時間乾燥し室温まで冷却した後、乾燥した塗膜をブリキ板から切り出し、サンプルとした。
【0144】
・耐熱性の測定
示差走査熱量計(DSC)によりガラス転移点(Tg)を測定することにより評価した。Tgが高いほど耐熱性に優れる塗膜が得られていることを表す。
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
実施例1
フェノキシ樹脂溶液(A1)をシクロヘキサノンで不揮発分30%に調整したもの26.7部、EPICLONN−680(大日本インキ化学工業株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)のソルベッソ150溶液(不揮発分70%)30.7部、フェノライトTD−2090(大日本インキ化学工業株式会社製のフェノールノボラック型フェノール樹脂)のシクロヘキサノン溶液(不揮発分70%)15.0部、キュアゾール2E4MZ(四国化成株式会社製の2−エチル−4−メチルイミダゾール)のシクロヘキサノン10%溶液2.0部をガラス瓶に加え、攪拌混合し本発明の樹脂組成物1を得た。
【0148】
得られた組成物1の他の樹脂との相溶性、耐熱性、電気特性を下記方法に従って評価した。その結果を第3表に示す。
【0149】
(1)他の樹脂との相溶性の評価方法
樹脂組成物1を25℃で5分間静置した後目視で観察し、その状態を下記基準に従い評価した。
○:溶液が透明
×:溶液が濁る、または分離
【0150】
(2)耐熱性の評価方法
・サンプルの調製
樹脂組成物1を乾燥後の膜厚が50μmになるようにブリキ基板上に塗装し、150℃の乾燥機で1時間乾燥し室温まで冷却した後、乾燥した塗膜をブリキ板から切り出しサンプルとした。
・耐熱性の測定
動的粘弾性(DMA)によりガラス転移点(Tg)を測定することにより評価した。Tgが高いほど耐熱性に優れる塗膜が得られていることを表す。
【0151】
(3)誘電特性の評価方法
前記(2)で得られたサンプルを、アジレントテクノロジー社製4291Bを用いて、周波数は500MHzの条件で誘電率(ε)と誘電損失(Tanδ)を測定した。数値が低いほど誘電特性に優れることを表す。
【0152】
実施例2〜5及び比較例1〜7
第3表及び第4表に示す配合を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物1〜5及び比較対照用樹脂組成物1´〜7´を調製した。実施例1と同様にして他の樹脂との相溶性、耐熱性、電気特性を評価した。評価結果を第3表及び第4表に示す。
【0153】
【表3】

【0154】
【表4】

【0155】
【表5】

【0156】
第3表の結果から明らかなように、実施例1〜5のフェノキシ樹脂組成物において、フェノキシ樹脂と他の樹脂との相溶性が良く、硬化塗膜は耐熱性に優れ誘電率と誘電正接が低く誘電特性が非常に良好である結果であった。
【0157】
一方、第4表、第5表の結果から明らかなように、比較例1〜6のフェノキシ樹脂組成物は実施例に比べ相溶性が悪く、比較例1〜4,6の硬化塗膜の誘電率、誘電正接が高く実施例に較べ悪い結果であり、比較例6,7は実施例に較べ耐熱性に劣っていた。
【0158】
実施例6
フェノキシ樹脂溶液(A1)に溶剤としてシクロヘキサノンを加え、不揮発分が30%の樹脂組成物6を得た。得られた組成物6の溶解性、耐折り曲げ性、耐熱性及び電気特性を下記方法に従って評価した。その結果を第6表に示す。
【0159】
(1)溶解性の評価方法
樹脂組成物6を10.0gとトルエン10.0gとを100ml三角フラスコに加えガラス棒でよく攪拌し、25℃5分間静置した後その溶液状態を目視で観察した。観察は印刷物(活字10ポイント)上に置き上から覗き、三角フラスコの液層を透して活字が読めるかどうかで判断し、下記基準に従い評価した。
○:溶液が透明、印刷物の活字が読める
△:溶液が濁るが、印刷物の活字が読める
×:溶液が分離または濁り、印刷物の活字が読めなくなる
【0160】
(2)耐折曲げ性の評価方法
樹脂組成物6を乾燥後の膜厚が50μmになるようにポリエステルフィルム上に塗装し、150℃の乾燥機で1時間乾燥し室温まで冷却し、塗膜を得た。この塗膜について以下の基準で評価した。
○:塗膜面を上にして180度折り曲げたときに塗膜が割れない。
×:塗膜面を上にして180度折り曲げたときに塗膜にひび割れが確認できる。
【0161】
(3)耐熱性の評価方法
・サンプルの調製
樹脂組成物1を乾燥後の膜厚が50μmになるようにブリキ基板上に塗装し、150℃の乾燥機で1時間乾燥し室温まで冷却した後、乾燥した塗膜をブリキ板から切り出しサンプルとした。
・耐熱性の測定
示差操作熱量計(DSC)によりガラス転移点(Tg)を測定することにより評価した。Tgが高いほど耐熱性に優れる塗膜が得られていることを表し、Tgが100以上のものを○、Tgが100℃未満のものを×とした。
【0162】
(4)誘電特性の評価方法
前記(3)で得られたサンプルを、アジレントテクノロジー社製4291Bを用いて、周波数は500MHzの条件で誘電率(ε)と誘電損失(Tanδ)を測定した。数値が低いほど誘電特性に優れることを表す。
【0163】
実施例7〜10及び比較例8〜14
第6表〜第8表に示すフェノキシ樹脂溶液を用いた以外は実施例6と同様にして樹脂組成物6〜10及び比較対照用樹脂組成物8´〜14´を調製した。実施例6と同様にして評価を行い、その結果を第6〜第7表に示す。
【0164】
【表6】

【0165】
【表7】

【0166】
【表8】

【0167】
第6表の結果から明らかなように、実施例6〜10のフェノキシ樹脂組成物において、フェノキシ樹脂と溶剤トルエンに対する溶解性が良く、乾燥塗膜は耐熱性に優れ誘電率と誘電正接が低く誘電特性が非常に良好である結果であった。
【0168】
一方、第7表、第8表の結果から明らかなように、比較例8〜13のフェノキシ樹脂組成物は実施例に比べ溶解性が悪く、比較例8〜12は耐折り曲げ性で,比較例8〜11、13の乾燥塗膜は誘電率、誘電正接が高く実施例に較べ悪い結果であり、比較例13,14は実施例に較べ耐熱性に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフタレン骨格と水酸基の水素原子がアシル基で置換された構造を有する重量平均分子量5,000〜200,000のフェノキシ樹脂(A)と、溶剤(B)とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記フェノキシ樹脂(A)が、水酸基の水素原子がアシル基で置換された割合が10〜100モル%のフェノキシ樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記アシル基が炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するものである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記炭化水素基がメチル基である請求項3記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記フェノキシ樹脂(A)がナフタレン骨格を該フェノキシ樹脂(A)の重量を基準として10〜60%含有するフェノキシ樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記フェノキシ樹脂(A)が2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とを、該2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物の少なくとも1種がナフタレン骨格を含有するような組合せで反応させて得られたものである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記2官能エポキシ樹脂が3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール骨格を含むエポキシ樹脂で、2官能フェノール化合物がナフタレン骨格を含むフェノール化合物である請求項6記載の樹脂組成物。
【請求項8】
更に前記フェノキシ樹脂(A)がビスフェノールS骨格を含有するフェノキシ樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項9】
下記一般式(1)で表される構造を有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜200,000であることを特徴とするフェノキシ樹脂。
【化1】

(式中、Aは、水素原子または下記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、aは20以上の整数である。
【化2】

【請求項10】
前記Rがアセチル基である請求項9記載のフェノキシ樹脂。
【請求項11】
前記一般式(1)で表される構造を10〜60重量%含有する請求項9記載のフェノキシ樹脂。
【請求項12】
下記一般式(3)で表される構造を含有する請求項9記載のフェノキシ樹脂。
【化3】

〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、Bは炭素原子数1〜30の炭化水素である。また、a1は20〜800である。〕
【請求項13】
前記一般式(3)中のBが下記一般式(4)で表される構造である請求項12記載のフェノキシ樹脂。
【化4】

〔式中、R〜Rは同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示す。R10は直接結合、炭素原子数1〜18の炭化水素構造、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子および下記一般式(5)からなる群から選ばれる一種以上の構造である。〕
【化5】

(式中、R11〜R18は同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。)
【請求項14】
下記一般式(6)で表される構造を含有する請求項12記載のフェノキシ樹脂。
【化6】

〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、a2は20〜800である。〕
【請求項15】
下記一般式(7)で表される構造を含有する請求項12記載のフェノキシ樹脂。
【化7】

〔式中、Aは、水素原子または上記一般式(2)で表される基である。また、Rは炭素原子数1〜20の炭化水素基を有するアシル基で、a3は20〜800である。〕
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料組成物。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤組成物。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物の薄膜を支持ベースフィルム上に形成してなることを特徴とする接着フィルム。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材に塗工および/または含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物を硬化させた硬化物にメッキ導体層が形成され、他面はパターン加工された内装回路基板に密着して積層されていることを特徴とする多層プリント配線基板。
【請求項21】
請求項1〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物を銅箔に塗布してなることを特徴とする樹脂付銅箔。


【公開番号】特開2007−277333(P2007−277333A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103049(P2006−103049)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】