説明

樹脂組成物

【課題】 樹脂層とした場合に電気特性優れ、線膨張係数が低く、はんだ耐熱性が高く、金属との密着性が良好である樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 配線板の絶縁層に用いる樹脂組成物であって、式(1)〜式(3)で表される構造とを有する環状オレフィン系樹脂(A)を含み、該環状オレフィン系樹脂は1000〜1000000の数平均分子量を有するものである樹脂組成物。
【化1】


[式(1)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。xは0〜5までの整数である。Rはアルコキシリル基であって、R〜R水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良い。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化および軽薄短小化の要求に伴い、配線板等の電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできている。このような電子部品の高密度化に伴い、高密度集積化された配線板を構成する絶縁層には、優れた電気特性と、金属との高密着性、はんだ耐熱性、低線膨張性が要求されている。
【0003】
電気信号の高速伝送化に対しては、配線板を構成する導体部分および絶縁層からの電気損失を低減させる必要がある。特に、絶縁層に起因する電気信号の損失は、電気信号の周波数の増大に伴い、顕著に増加し、GHz帯においては、電気信号が劣化する主要因となる。
【0004】
このような背景により、多層配線板などの電子デバイスに、従来使用されてきたエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂では、誘電率、誘電正接を十分に満足することができない。たとえば、特許文献1に絶縁性硬化物として強靭性に優れたエポキシ樹脂組成物が開示され、また特許文献2に接着性に優れたポリイミド樹脂からなるプリント配線板が開示されている。しかし、いずれも、電気特性において十分に満足することができない。
【0005】
近年、配線板の絶縁層を構成する材料としては、優れた電気特性・はんだ耐熱性をもち、密着性の高いノルボルネン系樹脂組成物が研究されている。例えば、特許文献3には、環状オレフィン系樹脂と有機過酸化物と架橋剤を配合することで、高周波領域での低誘電率性、はんだ耐熱性および耐溶剤性が高度にバランスのとれた架橋成形品が提案されている。しかし、線膨張係数、特にZ軸方向の線膨張係数が100ppmを超えるため、層間接続するための銅ポストにクラックが入り、層間接続不良を引き起こす問題がある。
また、特許文献4には、絶縁層がシクロオレフィン樹脂からなる多層プリント配線板を開示している。しかしシクロオレフィン樹脂は、一般に極性が低いため、表面密着性が悪く、層間で剥離するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−051938号公報
【特許文献2】特開2004−189981号公報
【特許文献3】特開2003−238761号公報
【特許文献4】特開2001−94263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、樹脂層とした場合に電気特性優れ、線膨張係数が低く、はんだ耐熱性が高く、金属との密着性が良好である樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 配線板の絶縁層に用いる樹脂組成物であって、下記式(1)で表される構造と、下記式中(2)で表される構造と、下記式(3)で表される構造とを有する環状オレフィン系樹脂(A)を含み、該環状オレフィン系樹脂は1000〜1000000の数平均分子量を有するものである樹脂組成物、
【0009】
【化1】

[式(1)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。xは0〜5までの整数である。Rは、アルコキシリル基であって、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【0010】
【化2】

[式(2)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。yは0〜5までの整数である。Rは、エポキシ基を有する官能基であって、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を含有する官能基およびエーテル基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【0011】
【化3】

[式(3)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。zは0〜5までの整数である。R〜R12はそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【0012】
(2) 前記環状オレフィン系樹脂は、式(1)で表される構造におけるRとして、下記式(4)で表されるアルコキシシリル基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものである第(1)項記載の樹脂組成物、
【0013】
【化4】

[式(4)中、mは0〜5の整数である。nは1〜3の整数である。]
【0014】
(3) 前記環状オレフィン系樹脂は、式(2)で表される構造におけるRとして、下記式(5)で表されるエポキシ基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものである第(1)項または第(2)記載の樹脂組成物、
【0015】
【化5】

[式(5)中、lは0〜5の整数である。]
【0016】
(4) 前記環状オレフィン系樹脂は、式(3)で表される構造におけるRとして、炭素数10以下のアルキル基を有し、かつR10〜R12として水素を有するもの第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の樹脂組成物、
(5) 前記環状オレフィン系樹脂は、前記式(1)で表される構造を1〜30mol%含み、かつ前記式(2)で表される構造を1〜50mol%含むものである第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気特性に優れ、高密着力をもち、高耐熱性のある、線膨張係数の低い樹脂組成物が得られ、これからなる絶縁層を層間絶縁材として用いることで、電子部品の高密度化及び電気信号の高速伝送化への対応が可能となる多層配線板が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、配線板の絶縁層に用いる樹脂組成物であって、前記式(1)で表される第1構造と、前記式中(2)で表される第2構造と、前記式(3)で表される第3構造とを有する環状オレフィン系樹脂(A)を含み、該環状オレフィン系樹脂は1000〜1000000の数平均分子量を有するものである樹脂組成物である。これにより、配線板の絶縁層として用いる場合、環状オレフィン系樹脂の電気特性を損なうことなく、密着性、耐熱性、低誘電性に優れたものとなる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂における第1構造は、側鎖にアルコキシリル基を有するものであり、このようなアルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリエトキシシリル、トリエトキシシリルエチル基等が挙げられる。これらの中でも、前記式(4)で表されるものが好ましく、特に高密着力に優れたトリメトキシシリルエチル基が好ましい
また、第1構造の側鎖であるR〜Rにおけるアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキセニル基等が、アルキニル基の具体例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、ヘキシニル、オクチニル、ヘプチニル基等が、アリール基の具体例としては、フェニル、トリル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてはベンジル、フェネチル基等がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。(メタ)アクリル基を有する官能基の具体例としては、メタクリロキシメチル基等が、エステル基を有する官能基の具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、t−ブチルエステル基等が、がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。また、エーテル基およびケトン基を有する有機基については、これらの基を有している官能基であれば特に構造は限定されない。
前記第1構造としては、式(1)で表される構造におけるRとして、下記式(4)で表されるアルコキシシリル基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものがより好ましい。これにより、より密着性に優れたものとなる。
【0020】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂の第1構造を構成する環状オレフィンモノマーとしては、例えば、アルコキシシリル基を有するものとしては、ジメチルビス((5−ノルボルネン−2−イル)メトキシ))シランなど、シリル基を有するものとしては、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジメチルビス((2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル)トリシロキサンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリエトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−トリメトキシプロピル)−2−ノルボルネン、5−(4−トリメトキシブチル)−2−ノルボルネン、5ートリメチルシリルメチルエーテル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0021】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂における第2構造は、側鎖にエポキシ基を有する官能基を有するものであり、このエポキシ基を有する官能基の具体例としては、グリシジルエーテル基、エチルグリシジルエーテル基、ブチルグリシジルエーテル基、ペンチルグリシジルエーテル基、o―フェニルエチレンオキシド基、o−エチルフェニルエチレンオキシド基、o−フェニルプロピレンオキシド基、p―フェニルエチレンオキシド基、p−エチルフェニルエチレンオキシド基、p−フェニルプロピレンオキシド基、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、5,6−エポキシプロピル基等が挙げられ、これらの中でも、密着性を向上させるには、前記式(5)で表されるものが好ましく、中でも、エポキシプロポキシ基が好ましい。
【0022】
また、第2構造の側鎖であるR〜Rにおけるアルキル基などの基の例としては、前記第1構造のものと同様である。
前記第2構造としては、式(2)で表される構造におけるRとして、下記式(5)で表されるエポキシ基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものがより好ましい。
【0023】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂の第2構造を構成する環状オレフィンモノマーとしては、例えば、5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン、(2,3−エポキシプロポキシ)−2−ノルボルネン、[(2,3−エポキシプロポキシ)エチル]−2−ノルボルネン、[(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル]−2−ノルボルネン、(o―フェニルエチレンオキシド)−2−ノルボルネン、(o―フェニルエチレンオキシド)−2−ノルボルネン、(o−フェニルプロピレンオキシド−2−ノルボルネン、p―フェニルエチレンオキシド−2−ノルボルネン、p−エチルフェニルエチレンオキシド−2−ノルボルネン、p−フェニルプロピレンオキシド−2−ノルボルネン、2,3−エポキシプロピル−2−ノルボルネン、3,4−エポキシブチル−2−ノルボルネン、5,6−エポキシプロピル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0024】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂における第3構造は、側鎖に水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基を有するものであり、この側鎖の具体例としては、アルキル基の具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例として、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキセニル基等が、アルキニル基の具体例として、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、ヘキシニル、オクチニル、ヘプチニル基等が、アリール基の具体例として、フェニル、トリル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてベンジル、フェネチル基等がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。(メタ)アクリル基の具体例としては、メタクリロキシメチル基等が、エステル基の具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、t−ブチルエステル基等が、がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。また、エーテル基およびケトン基を含有する有機基については、これらの基を有している官能基であれば特に構造は限定されない。これらの中でも、線膨張係数を低減させるには、炭素数4以下のアルキル基で表されるものが好ましく、線膨張係数の低減と結晶性を抑制させる点で、メチル基が好ましい。
また、第3構造の側鎖であるR10〜R12におけるアルキル基などの基の例としては、前記第1構造のものと同様である。
【0025】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂の第3構造を構成する環状オレフィンモノマーとしては、例えば、アルキル基を有するものとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−ノニル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5−アリル−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5−エチニル−2−ノルボルネンなど、アリール基を有するものとしては、5−フェニルー2−ノルボルネン、5−ナフチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニル−2−ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニルメタン−2−ノルボルネン、5−(2−ペンタフルオロフェニルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−ペンタフルオロフェニルプロピル)−2−ノルボルネンなど、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、エステル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものとしては、5−ノルボルネン−2−メタノール、及びこのアルキルエーテル、酢酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、プロピオン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、酪酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、吉草酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプロン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ラウリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ステアリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、オレイン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、リノレン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸i−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸イソボニルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸メチルエステル、ケイ皮酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチルエチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルn−ブチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルt−ブチルカルボネート、5−メトキシ−2−ノルボルネン、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−エチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n―プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−オクチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−デシルエステルなど、またテトラシクロ環から成るものとして、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−i−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(4‘−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(2−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(1−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(4‘−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(メトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(エトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(i−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(t−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(シクロへキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(フェノキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(テトラヒドロフラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ(テトラヒドロピラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.01,6]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,101,6]ドデック−3−エンなどが挙げられる。
【0026】
本発明で用いる環状オレフィン系樹脂は、上記環状オレフィンモノマーを重合体して得ることができる。なお重合方法はランダム重合、ブロック重合など公知の方法が用いられる。具体例としては、ノルボルネン型モノマーの(共)重合体、ノルボルネン型モノマーとα−オレフィン類などの共重合可能な他のモノマーとの共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物などが具体例に該当する。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とがある。このうち、ノルボルネンモノマーを付加(共)重合することによって得られたポリマーが好ましい。
【0027】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体としては、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。
【0028】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体は、金属触媒による配位重合、又はラジカル重合によって得られる。このうち、配位重合においては、モノマーを、遷移金属触媒存在下、溶液中で重合することによってポリマーが得られる(NiCOLE R. GROVE et al. Journal of Polymer Science:part B,Polymer Physics, Vol.37, 3003−3010(1999))。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合技術については、Encyclopedia of Polymer Science, John Wiley & Sons, 13, 708(1988)に述べられている。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
【0030】
上述重合系の適当な重合溶媒としては炭化水素や芳香族溶媒が含まれる。炭化水素溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、やシクロヘキサンなどであるがこれに限定されない。芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどであるがこれに限定されない。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドも使用できる。これら溶剤を単独や混合しても重合溶媒として使用できる。
【0031】
本発明の環状オレフィン系樹脂は、上記第1の構造を有する環状オレフィン、上記2の構造を有する環状オレフィンと上記3の構造を有する環状オレフィンとを、上記重合方法によって重合させて得ることができる。
【0032】
本発明の環状オレフィン系樹脂の分子量は、開始剤とモノマーの比を変えたり、重合時間を変えたりすることにより制御することができる。上記の配位重合用金属触媒が用いられる場合、米国特許No.6,136,499に開示されるように、分子量を連鎖移動触媒を使用することにより制御することができる。この発明においては、エチレン、プロピレン、1−ヘキサン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、などα―オレフィンが分子量制御するのに適当である。
【0033】
本発明において環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、下限値として10,000以上で、フィルム可とう性を向上させるためには、30,000以上、さらに好ましくは50,000以上が好ましい。また、上限値として1,000,000以下であり、溶媒可溶性の点で100,000以下、さらに好ましくは80,000以下である。重量平均分子量が前記下限値を下回ると、フィルムの可とう性が得られないことがあり、上限値を超えると溶媒に溶け難いことがあり、この場合、フィルムが得られ難い。重量平均分子量は標準ポリノルボルネンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。(ASTMDS3536−91準拠)
【0034】
本発明で用いる環状オレフィン系樹脂は、周波数がGHz帯において、優れた誘電率、誘電正接を示すものであり、また、特に、付加型のポリノルボルネン系樹脂は耐熱性にも優れるものであり、中でも、下記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンの化学構造における主鎖骨格は、ガラス転移温度が300℃前後の耐熱性を有し好適である。
【0035】
また、本発明で用いる環状オレフィン系樹脂において、式(1)で表される構造は、1〜30mol%を含むことが好ましい。さらには、金属、ウェハーとの密着性を向上させるために、下限値は、5mol%以上とすることが好ましい。含有量の上限値は、多いほうが密着性が向上するが、誘電率を2.6以下にするために、30mol%以下が好ましい。
また、式(2)で表される構造は、1〜50mol%を含むことが好ましい。さらには、金属、ウェハーとの密着性を向上させるために、下限値は、5mol%以上とすることが好ましい。含有量の上限値は、多いほうが密着性が向上するが、誘電率を2.6以下にするために、50mol%以下が好ましい。
【0036】
本発明の樹脂組成物には、その他の成分として、架橋剤、光酸発生剤、無機フィラー、カップリング剤、難燃剤等を含んでいてもよい。
前記架橋剤としては、ビスアジド、パーオキサイド、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、ジカルボン酸、多価フェノール、ポリアミド等があり、例えば、4,4′−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサンノン、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジフェニルメタン、2,2′−ジアジドスチルベンなどのビスアジド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキサイド)ヘキシン−3;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン;4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性環状オレフィン系樹脂等の酸無水物類;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸等のジカルボン酸類;フェノ−ルノボラック樹脂、クレゾ−ルノボラック樹脂等の多価フェノ−ル類;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;等が挙げられる。これらは、一種でも二種以上の混合物として使用しても良い。均一に分散させやすく好ましい。また、必要に応じて硬化助剤を配合して、架橋反応の効率を高めることも可能である。前記架橋剤の配合量は、とくに制限はないが、架橋反応を効率良く反応させ、かつ、得られる架橋物の物性面から、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で使用される。架橋剤の添加量が、少なすぎると環状オレフィン樹脂との反応が起こりにくく、多すぎると電気特性、耐水性、耐湿性などの特性が低下するため好ましくない。
【0037】
前記光酸発生剤としては、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられる。オニウム塩の具体例としては、未置換、対称的にまたは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、ヘテロ環状基を有するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨ−ドニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩等が挙げられる。得られる架橋樹脂の物性を損なわない面から、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。光酸発生剤の添加量が、少なすぎると環状オレフィン樹脂との反応が起こりにくく、多すぎると電気特性、耐水性、耐湿性などの特性が低下するため好ましくない。
【0038】
前記無機フィラーとしては、800nm以下の平均粒径を有するものであり、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカおよび溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。誘電率の観点よりシリカフィラーがより好ましい。シリカフィラーとしては、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラー、気相法により合成されたシリカフィラー、溶融シリカフィラー、結晶シリカフィラーなどがある。特に、気相法により合成されたシリカフィラー、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラーが好ましい。フィラー添加量は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して70重量部以下、好ましくは1〜50重量部の範囲で使用される。フィラー添加量を少なすぎると、樹脂組成物の膨張係数が大きくなり、多すぎると脆弱性が増し、フィルム性が無くなるため好ましくない。
【0039】
前記カップリング剤としては、1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基等の有機官能基を有するシラン化合物全般が挙げられ、例えば、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシランなどのアルキル基を有するシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランなどのフェニル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、プリント配線板、多層配線板、半導体装置、液晶表示装置などの用途に好適であるが、例えば、多層配線板に用いる場合は、本発明の樹脂組成物を、配線板上へ塗布して、塗膜を形成し、加熱硬化させて、絶縁層を形成し、層間絶縁材料として用いられる。前記塗布方法としては、アプリケータ、バーコータ、ナイフコータ、グラビアコータ、ダイコータ、カーテンコータ、印刷機、真空印刷機、ディスペンサーなどを用いることができる。樹脂組成物の加熱硬化温度としては、150℃以上300℃以下が好ましく、さらに好ましくは、170℃以上250℃以下である。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
1.環状オレフィン系樹脂の合成
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−ブチル−2−ノルボルネン(Bu−NB)22.55g(0.150mol)、アリル−グリシジル−エーテル−ノルボルネン(AGE−NB)1.60(0.009mol)、トリメトキシシリルエチル−ノルボルネン(TMSE−NB)4.30(0.020mol)、次いで、遷移金属触媒(η−トルエンニッケルビス(パーフルオロフェニル)0.12g(1.00×10−3mol)、トルエン76.0gを封入した後、マグネチックスターラーで撹拌しながら、80℃/3時間反応させた。反応後、メタノール1.50kg中に再沈させ、環状オレフィン系樹脂(A)26.0gを得た。
得られた環状オレフィン系樹脂をゲルパーメーション・クロマトグラフィ(GPC)測定より、ポリスチレン換算重量平均分子量1.05×10であることを確認した。また、核磁気共鳴(NMR)測定より組成が、5−ブチル−2−ノルボルネン/アリル−グリシジル−エーテル−ノルボルネン/トリメトキシシリルエチル−ノルボルネンの組成が86/5/9(モル%)であることを確認した。
【0042】
2.樹脂組成物(A)の調製
上述で得られた環状オレフィン系樹脂(A)3.00g(30重量%)を、メシチレン7.00gに溶解させて、ジアリルイドドニウム−テトラキス−ペンタフルオロフェニルボレート0.03gを添加し、樹脂ワニスを得た。
ポリエステルフィルム(T−100G−25、ダイヤホイルテキスト(株)社製、厚さ25μm)上に20μmの厚さで塗布し、80℃/10分、140℃/10分で乾燥させた後、200℃/2時間で窒素硬化させ、樹脂フィルム(A)を得た。
【0043】
3.各種測定
得られた樹脂フィルム(A)を下記測定3.1〜3.5の測定を行った。
3−1.誘電率測定:摂動方式空洞共振器法を用い、測定周波数は1GHzとした。
3−2.誘電正接測定:摂動方式空洞共振器法を用い、測定周波数は1GHzとした。
3−3.線膨張係数測定:TMA法、表中の値は、20℃〜Tgまでの値とし、XYの線膨張係数は、基板平面方向の線膨張係数、Zの線膨張係数は、基板の厚み方向の線膨張係数とした。
3−4.はんだ耐熱性:JIS C 6481に準拠した。○は、変形無し、□は、変形若干あり、×は、変形・発泡あり。
3−5.碁盤目試験:塗膜面上からカッターにより1mm間隔で縦横11本の切れ目をいれ、1mm四方の碁盤目を100個つくり、その上にセロハン粘着テープを貼り、該粘着テープを90度方向に剥離する方法により行った。残存した個数を数えた。各測定結果は、表1に示す。
【0044】
(実施例2〜4)
表1に示すBu−NB、AGE−NB、TMSE−NBの配合割合以外はすべて実施例1と同様な方法でフィルムを作製し、各測定を行った。各測定結果は、表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
(実施例5〜9)
実施例1におけるBu−NBをメチルノルボルネン(Mt−NB)とし、かつ表2に示す配合量で実施例1と同様な方法でフィルムを得、各測定を行った。各測定結果は、表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
(比較例1〜4)
表3に示す環状オレフィンモノマー、配合量で実施例1と同様な方法でフィルムを得、各測定を行った。各測定結果は、表3に示す。
【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線板の絶縁層に用いる樹脂組成物であって、下記式(1)で表される構造と、下記式中(2)で表される構造と、下記式(3)で表される構造とを有する環状オレフィン系樹脂(A)を含み、該環状オレフィン系樹脂は1000〜1000000の数平均分子量を有するものである樹脂組成物。
【化1】

[式(1)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。xは0〜5までの整数である。Rは、アルコキシリル基であって、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【化2】

[式(2)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。yは0〜5までの整数である。Rは、エポキシ基を有する官能基であって、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を含有する官能基およびエーテル基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【化3】

[式(3)中、XはO、CH、(CHのいずれかである。zは0〜5までの整数である。R〜R12はそれぞれ独立して、水素、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、アラルキル基、エステル基を有する官能基、(メタ)アクリル基を有する官能基およびエーテル基を有する官能基のうちいずれであってもよい。これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。]
【請求項2】
前記環状オレフィン系樹脂は、式(1)で表される構造におけるRとして、下記式(4)で表されるアルコキシシリル基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものである請求項1記載の樹脂組成物。
【化4】

[式(4)中、mは0〜5の整数である。nは1〜3の整数である。]
【請求項3】
前記環状オレフィン系樹脂は、式(2)で表される構造におけるRとして、下記式(5)で表されるエポキシ基を有し、かつR〜Rとして水素を有するものである請求項1または2記載の樹脂組成物。
【化5】

[式(5)中、lは0〜5の整数である。]
【請求項4】
前記環状オレフィン系樹脂は、式(3)で表される構造におけるRとして、炭素数10以下のアルキル基を有し、かつR10〜R12として水素を有するもの請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記環状オレフィン系樹脂は、前記式(1)で表される構造を1〜30mol%含み、かつ前記式(2)で表される構造を1〜50mol%含むものである請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−278995(P2006−278995A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100158(P2005−100158)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】