説明

機器制御された流体工学を用いた側方流動の診断装置

側方流動要素と肝要な流体工学を備える装置が開示される。肝要な流体工学は、機器制御の下で流体工学的要素を包含する注入器ポンプからなる。注入器ポンプの流体工学的要素は、側方流動要素に流体工学的に接続され、微小反応器と呼ばれる収納チャンバへの流体の流入を制御するために使用することが可能である。側方流動要素は導体要素を包含し、導体要素は、試料の受入れ、及び微小反応器へ試料中に含有された検体を輸送するために使用することが出来る。注入器ポンプの流体工学的要素を介して流体工学的輸送が、機器制御下で行われる。側方流動要素及び流体工学的要素の両方が、それらの長手方向に沿って組込まれた化学物質を収納してもよい。装置を使用して検体を検出するために使用される化学反応が記述されている。またこれらの装置の製造方法も記述されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね、試料の受入れ及び洗浄する段階のための肝要な流体工学的入力/出力装置を含む、分析装置及びマイクロアレイに関する。より詳細には、本発明は、患者のそばで行う臨床診断及びその他の微量分析に使用するための固形化学試薬を含有する、平面の固相親水性のマトリクス回路から構成される、入力/出力流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料流体が長手方向に沿って流れる、微小多孔性要素を含む側方流動診断装置、及び試料流体に含まれる重要な検体を捕縛するための捕縛領域は、技術的に周知である。簡単な構成の側方流動診断装置は、長手方向に沿って、毛細現象の流体流れを維持する矩形の微小多孔性の細長い領域を含む。概ね、このような装置を使用する定量的な及び感度的な検出には、限界がある。さらに近年、試料中の検体の総量の、定量的な計測を考慮する手段を組込んだ装置が、開示されている。
【0003】
側方流動診断の細長い領域は、評価分析技術で幅広く使用されるようになっている。その最単純な形状において、先行技術の側方流動装置は、微小多孔性の細長い領域要素を含み、要素はその長手方向に沿って、流体の毛細現象流れを維持する。細長い領域は、計測するための検体を含有する試料を受入れるための一端部、及び可動性のレポータコンジュゲイト(conjugate)(一般的に、検体に向けられる第一抗体と結合されたコロイド状の金のような、可視的に観測できるレポータ)を含有する、細長い領域の長手方向に沿った第一領域と、捕縛試薬(一般的に検体に向けられた第二抗体)を包含する第二領域、及び流出端部を有する。細長い領域の一端部に供給された試料流体は、細長い領域に沿って第一領域に流れ、そこで、複合体が検体とレポータコンジュゲイトとの間に形成される。可動性のレポータコンジュゲイト検体の複合体を含む、試料は、レポータコンジュゲイト検体の複合体が捕縛される第二領域に流れ、一方、複合体で無い可動性のレポータコンジュゲイトは、細長い領域の流出端部に向かって、捕捉領域を越えて流れる。捕捉領域で可視的に検知可能な信号の総量は、試料中の検体の計測総量である。先行技術の側方流動装置は、反応抑制又は拮抗的な結合の形式と同様に、上述されたサンドイッチ免疫学的検定形式で使用される。
【0004】
先行技術の側方流動装置は、高価でなく、迅速に結果を与え、使用が容易であるから、いわゆる現場で出来る現地検査又は患者のそばで行う臨床診断の適用において、研究室外の適用で使用されてきた。先行技術の装置は、患者のそばで行う臨床検査において、計測用の機器を備えていない、非定量的な診断適用のために、型にはまって使用され、限界濃度で又は限界濃度を超える、検体の存在は、捕捉領域で可視信号の出現を観測することによって測定される。しかしながら、先行技術の装置は、概ね二つの理由のために、定量的分析に使用するのに適合しない。第一に、それらは、可視的に観測できるレポータで、通常形式化されており、閾値の可/否の検出には適しているが、定量的解析には不向きである。第二に、検体とレポータコンジュゲイトとの間に形成される複合体の濃度、及び捕縛位置で捕縛する総量の両方が、流速に依存する。装置運用の変動性、詳細には試料の流速及び試料蒸発は、検出信号に重大な変動性を生じる。
【0005】
その分野における最新の研究は、発色団レポータを使用する場合に、捕縛位置で信号の総量を計測するための、又は蛍光性のレポータ(特許文献1及び特許文献2)を使用する場合に、捕縛領域のレーザ励起で放射させた光を測定するための計装を組込んでいる定量的側方流動装置を開示した。特許文献1及び特許文献3は、変動要因、詳細には変動流速の内部較正のために流路に組込まれた内部制御を使用する計測制御用機器を備えた、定量的側方流動方法を開示する。しかしながら、定量的な先行技術の側方流動装置でさえ、さらに複雑な実験室レベルの評価分析の感度には適合しない。より低感度となる三つの主要な理由がある。第一の理由は、厳密な洗浄段階の欠如であり、厳密な洗浄段階は、捕縛領域から捕縛されなかったレポータコンジュゲイトを十分に除去するために要求されるかもしれない。第二の理由は、増幅段階の欠如である。第三の理由は、化学ルミネッセンス検出のような高感度検出技術の欠如である。それらは、感度が低いから、側方流動装置は、より多量の検体の型にはまった分析にのみ使用される。少量の検体は、厳密な洗浄段階、酵素の信号の増幅及び極端に感度の良い化学ルミネッセンス検出技術を組込む、実験室の装置で計測されるに違いない。
【0006】
これらの短所の幾つかを占める側方流動装置は、先行技術で周知である。特許文献4は、酵素-コンジュゲイト/検体の複合体の、構成と捕縛のための主たる側方流動要素を備えた装置を開示し、補足の側方流動要素が、発色性の基質、及び捕縛領域へ発色性の基質の供給を遅滞する手段を含んでいる。特許文献5は、側方流動要素を使用する捕縛されていないコンジュゲイトの、改良された洗浄を備える二段階の側方流動装置を開示し、そこに、試料流体が適用され、吸収パッドが、洗浄流体の追加の手動第二段階適用を備える、取外し可能なバリアによって分離される。
【0007】
従来の実験室装置において、多段階手順を用いる検体の検出ための高感度評価分析は、技術的に周知である。非特許文献1は、高感度ルミネッセンスに基づく評価分析の多数の例を包含する。(側方流動に向き合うような)貫流式配置の膜捕縛に基づく酵素免疫検査キットもまた、技術的に周知である。これらのキットに基づく装置は、一般的に複数の試薬の添加及び洗浄段階を必要とし、結果として、患者に近接して行う臨床試験の応用には、上手に適合しない。それには、簡単な一段階手順が好ましい。
【0008】
一段階形式を用いた、貫流型の膜をベースにした免疫酵素装置が、現在開発されている。特許文献6は、多段階酵素免疫評価分析形式において、反応段階の時間が設定された手順を備える制御された移送膜を利用する装置を開示する。
【0009】
微小導管(毛管現象に必要な大きさになったチューブ、トラフ及び導管)の中の、電気浸透的にポンプ輸送される、及び圧搾空気によって駆動される流体を含む装置は、技術的に周知である。これらの装置は、一般的に「チップ上の実験室(lab-on-a-chip)」装置(例えば、特許文献7と特許文献8)と呼ばれる。反応、混合物の分離、又は分析は、導管に沿って動電学的に又は空力学的に輸送される液体において、このような微細構造の中で起こることが出来る。しかし、これらの先行技術装置において概ね、試薬は、チップ外に貯蔵され、使用中に導入することが必要である。またこれらの技術の装置は、バルブを作ることが難しかったから、連続流れの形式で概ね運転される。
【0010】
電気浸透的にポンプ輸送する固体の親水性のマトリックス移動経路が、特許文献で開示されている。微小反応器に、電気浸透的にポンプ輸送される側方流動の注入を特徴とする一体化試薬を用いる内蔵された装置は、同時係属の特許文献10によって開示されている。特許文献11は、微小導管に圧力駆動の流れに基づく化学ルミネッセンス検出を用いた内蔵された評価分析装置を開示する。一体化電極を用いる電気化学の検出を用いた、側方流動の免疫クロマトグラフ装置は、特許文献12で開示されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5753517号明細書
【特許文献2】米国特許第6497842号明細書
【特許文献3】米国特許第6194222号明細書
【特許文献4】米国特許第6306642号明細書
【特許文献5】米国特許第6316205号明細書
【特許文献6】米国特許第5783401号明細書
【特許文献7】米国特許第4908112号明細書
【特許文献8】米国特許第5180480号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0179448号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2003/0127333号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/0123059号明細書
【特許文献12】米国特許第6478938号明細書
【非特許文献1】K.Van Dyke、C.Van Dyke及びK.Woodford著「ルミネッセンスの生命工学」CRC出版、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
要約すれば、先行技術の一段階側方流動の診断装置は、検体段階の定量的な計測に必要な、増幅、洗浄及び高感度検出の段階が欠如する。先行技術の微小導管装置は、導管に化学物質を及び装置内に試薬の貯蔵を、組込んでいない。先行技術は、使用し易く、製造するのに安価である一段階評価分析装置を教授してなくて、一段階分析装置は、高感度定量的な実験室に基づいた評価分析技術の中に見出される、さらに進歩した流体工学的能力を特徴とし、そこにおける評価分析の能力は、流体工学的構成要素と分析評価が実施される反応容器とから、全く独立したものである。本発明は、標準の側方流動技術の迅速さ、簡単な使い勝手、及び低価格を犠牲にすることなく、コンジュゲイト標識の適用、洗浄、増幅及び高められた感度検出に使用するための、より進歩した流体工学的要素を組込むために、標準の側方流動要素を適合させる必要性に取組む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
さて、先行技術の一段階診断評価分析技術に内在する、上述の感度及び変動性の問題に取り組むこと、及び一段階検査のためにさらに全般的な基盤を提供することが、本発明の目的である。
【0014】
本発明の別の目的が、機器制御され、一体化された診断評価分析装置を提供することであり、装置は、定量的な一段階診断検査及び検体検出のために使用可能である。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、流体受容デバイスの受容する場所へ、好ましくは診断評価分析装置の横方向流路要素へ、流体を制御されたポンプ輸送するための注入器ポンプを提供することである。最も基本的な所望される実施形態において、注入器ポンプは、最初は乾燥していて、好ましくは微小多孔性の、流体を受け入れるための流体受入れ端部と受容する場所へ流体を送り出すための流出端部とを備えた流路を含み、流路は、受入れ端部に流体の供給があると、流出端部まで自動的に流体で充填する。注入器ポンプはさらに、流路の流出端部から及び遮断装置を通り抜ける、電気浸透的にポンプ輸送する流体のための駆動手段を含む。駆動手段は、好ましくは、完全に濡れた後で流路の流体を、強制的に遮断要素を通過させるために、電界の発生のための一組の離間した第一と第二の電極である。別の所望する実施形態において、注入器ポンプはさらに、流出端部で流路を流体受容場所から流体的に遮断するための一体化した遮断要素を含む。所望する遮断要素又は遮断器は、流出端部を通過する毛管現象の流れを防止するエアギャップである。
【0016】
エアギャップを備えた注入器ポンプにおいて、電位の適用は、微小多孔性流路が、表面電荷とゼータ電位とを有する時に、電気浸透によって流体にエアギャップを横切らせる。
【0017】
第一電極は、好ましくは、第一場所で流路の流体と接触し、第二電極は、受入れ端部で流体と電気的な接触のために、第二の離間した場所に位置付けられる。
【0018】
このような注入器ポンプを含む一体化診断装置の使用中に、(装置の使用中に、好ましくは一体化貯槽に収納され、そこから要素の受入れ端部に輸送される、試料流体又は別の流体のいずれにおいても)流体は、ポンプの流路の流体受入れ端部に供給される。流体は、流路の第一流体受入れ端部から第二流出端部まで、横方向の毛管現象流れによって流路を充填する。それから電圧が、二つの離間した電極に印加され、電極の電圧は、流路を介して電気浸透流れを促進する。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、注入器ポンプを教授することであり、それは、微小多孔性流路の長手方向に沿って組込まれた可動性の試薬のような化学物質を有する。このような化学物質は、レポータコンジュゲイトであってもよく、例えばそれらは、側方流動デバイスに供給された試料中の検体と反応することができ、又はそれらは、洗浄試薬又は酵素基質であることも可能である。流路の化学物質は、通路の受入れ端部に流体を供給すると移動性がもたらされ、それから機器制御の下で側方流動デバイスの中にポンプ輸送される。所望する可動性の試薬は、発光性の、蛍光性の、起電性の、及び化学発光の基質である。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、微小評価分析装置を提供することであり、そこに本発明に従う注入器ポンプが組込まれる。注入器ポンプは、別の流体工学的流路への流体の流入を制御するために、及び装置内の化学反応の、試薬の追加段階、洗浄段階、及び増幅段階の少なくとも一つを提供するために使用される。
【0021】
本発明の別の目的は、微小評価分析装置を提供することであり、装置の中の流体工学的要素が、進歩した流体工学的操作を提供するために組込まれる。流体工学的要素は、受動的な毛管現象流れを持続する側方流動要素と、機器駆動された電気浸透側方流動を受ける要素とを包含する。一つの要素が試料の受入れのためである限り、及び少なくとも一つの要素が注入器ポンプの一部分である限り、多数の両タイプの流体工学的要素が存在し得る。
【0022】
本発明の別の目的は、流れ要素が、(レポータコンジュゲイト又は酵素基質のような、)一体化した化学物質を有する、微小評価分析装置を提供することである。一体化した化学物質は、要素に流体を供給することによって移動性となることができ、それによって、もしも供給された流体が試料であり、可動性の化学物質がレポータコンジュゲイトであるならば、流体中で検体と結合するか、又は要素に沿って収納された一つ又はそれ以上の微小反応器の領域へ、要素沿って輸送されるかのいずれかである。流れ要素に組込まれた化学物質が、酵素基質である場合に、これらの基質は、発光性、蛍光性、発色性、又は起電性であってもよい。流れ要素に組込まれた非酵素の標識を使用することもまた可能である。
【0023】
本発明のさらなる別の目的は、検体の標識付け段階、捕縛段階、捕縛後の洗浄段階、増幅、及び高感度検出のような、溶液ベースの化学反応を実施するために要求される、幾つかの又は全ての反応薬品及び流体工学を含む、単段の、一体化した診断評価分析装置を提供することである。
【0024】
さらにさらなる目的は、このような装置が、微細加工によって製造できる方法を教授することである。検出のための手段は、注入器ポンプを使用して供給されるか、又は流れ要素に組込まれるかのいずれにおいても、化学物質の選択に依存する。
【0025】
一層さらなる目的は、一体化した診断装置が、信号を発生するために使用することが出来る方法を教授することであり、信号は、装置が接続することが出来る外部器械によって検出され定量化することが出来る。装置は、スマートカードに見られるような電極モジュールを内蔵する診断カードの形態となり、外部器械に挿入することが出来る。外部器械は、一つ又はそれ以上の流体工学的要素から、装置の微小反応器の中へ流体を輸送することを制御するために電力を供給する。外部器械は、微小反応器の中で起こっている反応生成物を検出することが可能となるような方法で、診断カードに接続することが出来る。
【0026】
所望する実施形態において、注入器ポンプは、微小評価分析装置の一部分であり、装置内の別の微小導管への流入を制御するため、及び装置内の試薬の追加、洗浄及び化学反応の増幅段階を提供するために使用される。ポンプはまた、第二流路とも呼ばれるだろう。
【0027】
別の所望する実施形態は、注入器ポンプと、側方流動要素を介して流れる試料流体内に含まれる検体分子を結合するために、長手方向に沿って捕縛領域を備える側方流動要素とを包含する診断装置である。注入器ポンプは、洗浄、コンジュゲイト標識の適用、増幅、及び捕縛された複合体の検出を提供することによって、補充のために、活発にポンプ輸送させる肝要な流体工学を用意する。側方流動要素は、試料受入れ端部を含み、その長手方向に沿って微小反応器の領域を収納する。
【0028】
本発明の装置の一段階運転において、ユーザは、診断装置に試料を導入し、外部の制御機器に診断装置を接続する。試料流体は、分析される対象の化学物質である検体を含有する、どんな化学的又は生物学的な水様の流体であっても考えられる。試料流体は、装置の一体化した微小反応器領域へ、流体工学的要素を介して毛管現象の側方流動によって流れる。その他の、試薬及び洗浄流体は、それから機器制御の下で微小反応器領域へ、設定した時間の順番に、試薬を含有するその他の一体化された流体要素を介して、活発にポンプ輸送され、試薬もまた診断装置に一体化される。ユーザによって簡単な一段階手順(その他の全ての段階は、機器によって自動的に実施される)が、ただ唯一要求されているから、結果として生まれた装置は、先行技術の側方流動装置の平易性をなお維持していて、さらに低コストであり、少量の検体の定量的な計測がここに可能となる。
【0029】
この発明に従う装置は、多数の異なる流体工学的配置で、及び実施された評価分析の性質に依存する多数の異なる形式で、形成することが可能である。サンドイッチタイプのリガンド結合評価分析に向けられた本発明の診断装置の所望する実施形態において、二つのタイプの評価分析形式がある。第一評価分析形式において、標識付けされたコンジュゲイトは、複合体を形成するために試料流体で最初に検体と反応し、それから検体コンジュゲイト複合体は、その後の検出のために捕縛され、捕縛された複合体の検出された総量は、試料中の検体の濃度に比例する。第二評価分析形式において、検体は最初に捕縛されて、それから捕縛された検体は、標識付けられたコンジュゲイトと反応し、その後に標識付けられた捕縛複合体が検出される。
【0030】
標識付けされたコンジュゲイトが捕縛される前に検体と反応する形式において、サンドイッチタイプのリガンド結合評価分析に向けられた本発明の診断評価分析装置のある所望される実施形態において、一体化され、機器制御された流体工学の装置は、試料流体の流れのための第一微小多孔性側方流動要素と、機器制御の下で第一側方流動要素の流体受容領域へ、別の流体を供給するための少なくとも一つのその他の微小多孔性流路とを包含する。第一側方流動要素は、試料を受け入れるための第一端部、及び第二流出端部を有する。第一側方流動要素の試料受入れ端部に、第一側方流動要素と流体工学的に接触している、任意の試料受入れパッドと任意の試薬受入れパッドとがあり、流出端部に任意の流体収集パッドがある。第一側方流動要素は、可動性の固体試薬を収納してもよい。例えば、サンドイッチタイプのリガンド結合評価分析が実施された場合に、第一側方流動要素の(又は、第一側方流動要素と流体工学的に接触している試薬パッドの)可動性の試薬は、標識の又はレポータの分子(例えば、酵素レポータ)と連結される検体(例えば、免疫学的検定法の抗体又は核酸検定法の核酸)と結合する、第一薬品を含むコンジュゲイトであってもよい。微小反応器の収納手段に配置される、第一微小多孔性要素の長手方向に沿って反応領域がある。第一微小多孔性要素の反応領域は、例えば、固定された第二結合薬品(免疫学的検定法の検体の第二抗体又は核酸検定法の場合の第二核酸)を含有する捕縛領域を包含してもよい。第一微小多孔性流路要素は、また、第二流体を注入するために流体受容場所で第二流路によって接続され、第二流路は、機器制御の下で活発にポンプ輸送されて、概ね注入器ポンプの一部分となる。第二流路は、流体受入れのための第一端部と第二流出端部を備える微小多孔性要素である。それは最初に乾燥していてもよく、可動性の固体試薬(例えば、リガンド結合検定法の酵素標識のための基質)を含有していてもよい。第二通路の流出端部を、第一側方流動要素の流体受容領域から分離している空気ギャプがあって、それは遮断手段を構成する。
【0031】
この装置の使用中に、試料流体は、最初に乾燥した第一側方流動要素の受入れ端部に供給される。別の流体が、好ましくは、装置と一体化した密閉された流体貯槽に収納された低伝導性の水様の電解質溶液が、最初に乾燥した第二流れ要素に、その流体受入れ端部から導入される。流体は、二つの要素を介して毛管現象の流れによって流れ、そこで固体の試薬を溶解し、又は流動性もたせて、要素をその流出端部まで充填する。リガンド結合評価分析の例において、可動性の試薬は、酵素の標識を付けられたコンジュゲイトを含み、それは、試料流体が第一側方流動要素に沿って流れる時に、試料流体の検体と結合する。酵素の標識を付けられた検体を含む捕縛複合体は、酵素の標識を付けられた検体の複合体を含有する試料流体が、微小反応器領域を通過して、捕縛場所で、固定された結合薬剤と結合する時に、微小反応器領域に形成される。第二流路の酵素基質を含む可動性の試薬は、それが毛管現象の流れによって充填する時に、流出端部に輸送される。遮断手段は、第二流路の流体と移動する試薬とが、流体受容場所で第一側方流動要素の中に注入され、それから機器制御の下でポンプ輸送することによって第一側方流動要素の微小反応器領域に注入され時まで、第一側方流動要素の流体と試薬とから、流体工学的に遮断されることを保証する。
【0032】
第二流路から第一側方流動要素への機器制御された注入は、電気浸透によってなされ、その場合に、微小多孔性第二流路のポア表面は、表面電荷とゼータ電位を有する。第二流路で電気浸透を駆動するために供給する動力の所望される方法は、一体化電極を用いることである。第二流路への一体化電極の所望される電気接点は一つであり、そこは、流路の流出端部で電界の無い領域である。機器制御されたポンプ動力が、第二流路に供給される場合に、そこに収納された可動性の試薬を含む流体が、第一流れ要素の微小反応器領域に供給され、そこで、流体は、そこに収納された流体及び試薬と反応する。酵素の標識を付けられたサンドウィッチ評価分析例において、第二流路によって供給された酵素基質は、検出可能な信号を生成する第一流体要素の微小反応器領域に含有される酵素標識と反応する。微小反応器に隣接する検出器は、微小反応器で起こる反応の進行を測定し、試料流体に含有された検体の濃度を決定する。
【0033】
本発明に従う装置に使用するために、周知の技術応用において幾つかの可能性のある高感度検出形式がある。機器制御された注入器によって、微小反応器領域に供給された酵素基質は、発光性、蛍光性、又は発色性であってもよい。発光性基質は、酵素が光信号を放出するのに反応し、蛍光性基質もまた、照射するのみの光信号を放出し、及び発色性基質は、入射光の、吸光度又は反射で変化を生じることに反応する。これらの場合に、隣接する検出器は、好ましくは、光検出器である。酵素の標識として起電性基質を使用することもまた可能であり、その場合に、隣接する検出器は、好ましくは、微小反応器領域と接触する一体化電気化学検出電極である。技術的に周知の、化学ルミネッセンスのアクリジニウムエステル化合物のような非酵素による標識を使用することもまた可能である。その場合に、機器制御された注入器によって微小反応器領域に供給された試薬は、周知の化学ルミネッセンスを誘発する試薬であり、光検出器は、好ましくは、反応生成物を検出するために使用される。
【0034】
本発明の所望する検出形式は、ルミネッセンスを使用し、隣接する検出器は、光検出器である。酵素標識が、ルミネッセンス検出体系で使用される場合に、酵素は、好ましくはアルカリ性ホスファターゼであり、その場合に、周知のジオキセタンのような(例えば、アダマン チルメトキシ フェニル フォスフェイト ジオキセタン(AMPPD))高感度発光基質が使用できる。別の可能な周知の高感度アルカリ性ホスファターゼ基質は、ルシフェリン・オルト・フォスフェイトであり、それはルシフェラーゼとATPとマグネシウムイオンと共に捕縛領域に供給される。この場合に、ルシフェリン フォスフェイトのアルカリ性ホスファターゼ分解は、ルシフェリンを生成し、ルシフェラーゼによる反応でバイオルミネッセンスの光に酵素的に変換される。ガラクトシダーゼ酵素標識及びアダマンタイン ジオキセタン発光基質もまた可能である。別の周知の高感度評価分析形式は、アセテート キナーゼ酵素標識を使用し、その場合に、その基質のアセチルフォスフェイト、ADP、ルシフェラーゼ、及びマグネシウムイオンが、捕縛領域に供給される。この場合に、ATPのアセテート キナーゼの触媒構造が、バイオルミネッセンスのルシフェラーゼ反応によって検出される。別の例において酵素標識は、ホースラディシュ ペルオキシダーゼを包含してもよく、その場合に、技術的に周知の強化されたルミノール試薬が使用されても良い。
【0035】
酵素標識が、蛍光検出体系で使用される場合に、酵素は好ましくは、アルカリ性ホスファターゼであり、高感度蛍光基質のメチル アンベリフェリル フォスフェイト(MUBP)が使用出来る。酵素標識が、電気化学検出体系で使用される場合に、酵素は好ましくは、アルカリ性ホスファターゼであり、発電基質パラ アミノ フェニル フォスフェイトが使用出来る。
【0036】
診断装置の所望する実施形態は、リガンド結合微小評価分析装置であり、そこで標識付けされたコンジュゲイトは、複合体を形成するために試料流体の検体と最初に反応する。検体コンジュゲイト複合体は、その後の検出によって捕縛され、検出されて捕縛された複合体の総量は、試料中の検体の濃度に比例する。第一側方流動要素は、可動性の試薬として酵素の標識を付けられたコンジュゲイトを有する。酵素の標識を付けられたコンジュゲイトは、それが第一側方流動要素に沿って流れる時に、試料流体中の検体と結合する。酵素の標識を付けられた検体を含む捕縛複合体は、酵素の標識を付けられた検体の複合体を含む試料流体が微小反応器の領域を通過し、捕縛場所で、固定された結合薬剤と結合する時に、第一流体要素の微小反応器の領域に形成される。第二流路の中に酵素基質を含む可動性の試薬は、第二流路が毛管現象流れによって充填する時に、その流出端部に輸送される。遮断手段は、流体と第二流路の可動な試薬とが、流体受容場所で第一側方流動要素の中に、それ故、機器制御の下でポンプ輸送によって、第一側方流動要素の微小反応領域に注入されるその時まで、第一側方流動要素の流体と試薬とから、流体工学的に遮断されることを保証する。
【0037】
サンドイッチタイプのリガンド結合評価分析装置において、このような装置の第二流路への機器制御された流体注入は、電気浸透による。微小多孔性第二流路のポア表面は、表面電荷とゼータ電位を有する。機器制御されたポンプ出力が、第二流路に供給される時に、第二流路に収納されている可動性の試薬を含んだ流体は、その流体受容領域で、第一側方流動要素に注入される。流体は、第一微小反応器に輸送され、そこで、流体とその中に含まれる試薬とが反応する。第二段階において、機器制御されたポンプ出力は、第二流路に再び供給され、第一微小反応器の流体は、第二微小反応器に移動して、そこで、収納された試薬と反応する。第二微小反応器に隣接する検出器は、第二微小反応器の中で発生する反応の進行を測定する。それは、試料流体に含有された検体の濃度の測定である。
【0038】
上記装置で実施できる二段階反応の例は、ルシフェリン オルト フォスフェイトのような酵素基質を使用する反応である。ルシフェリン オルト フォスフェイトは、アルカリ性ホスファターゼ酵素標識を備える捕縛複合体を含んでいる第一流体要素の微小反応領域に供給される。定温放置段階の後に、反応生成物であるルシフェリンは、ルシフェラーゼ、ATP及びバイオルミネッセンスの信号を生成するためのその他の評価分析試薬を収納する第二微小反応領域へ、機器制御の下で流体工学的に移動される。別の可能性のある二段階反応は、ADP及び第一定温放置段階でATPを生成するためのマグネシウムイオンと共に、アセテート キナーゼ標識及びアセチルフォスフェイト基質を使用する。それから、ATPは、バイオルミネッセンス信号を生成するための、ルシフェラーゼ及びルシフェリンを収納する第二微小反応器に、流体工学的に移動される。
【0039】
標識を付けることによって追跡される検体の捕縛に向けられた本発明の実施形態において、装置は、好ましくは、試料流体受入れ端部と流出端部とを含んでいて、装置の長手方向に沿う捕縛領域を有する第一微小多孔性側方流動要素を含む。要素の体積が分かり、それ故、流体の容積となる。装置は、第一側方流動要素の中に流体の注入のための複数の予備流体通路を、さらに含んでいる。予備流路要素の各々は、機器制御の下で、独立して活発にポンプ輸送させることが出来る。予備流路の各々は、流体を受入れるための第一端部及び第二の流出端部を備える微小多孔性要素を包含する。各々の微小多孔性要素は、表面電荷及びゼータ電位を有し、電気浸透を駆動するための機器制御された出力を供給するために、一体化電極と接触する。各々の予備流路への所望される電気的接触位置は、通路の流出端部で、電界の無い領域の一つである。各々の予備流路は、最初に乾燥していて、随意に可動性の固体試薬を包含する。各々の予備流路は、第一側方流動要素の長手方向に沿った三つの流体受容領域の各々から流出端部を分離する、空気ギャプを有する。
【0040】
この装置の使用中に、試料流体は、最初に乾燥した第一側方流動要素の受入れ端部に供給される。第二流体、好ましくは、一体化の密閉された流体貯槽に収納された、低導電性の水様の電解質溶液は、流体受入れ端部から各々の最初に乾燥した予備流路要素に導入される。試料流体は、第一側方流動要素を介して、毛管現象流動によって流れる。第二流体は、毛管現象流れによって、予備流路要素の各々を充填し、それによって、流出端部へ試薬に移動性を持たせて輸送する。空気ギャプは、機器制御の下でポンプ輸送することによって第一流体要素に注入される時まで、予備流路の、流体と可動な試薬とが、第一側方流動通路の、流体と試薬とから、流体工学的に遮断されることを保証する。その後の機器制御された流体の、第一流体要素への推進は、電気浸透によってなされる。機器制御されたポンプ出力が、予備の流路の各々に供給される時に、そこに収納された可動な試薬を含む流体は、第一側方流動通路に注入される。
【0041】
この装置の別の実施形態において、三つの予備の活発にポンプ輸送される流路があり、すなわち、第一は、酵素標識を備えるコンジュゲイトを供給し、第二は、洗浄流体を提供し、及び第三は、第一流体工学的要素の捕縛領域へ酵素基質を提供する。
【0042】
この実施形態の使用中に、試料流体は、最初に乾燥した第一側方流動要素の流体受入れ端部に供給され、要素に沿って流出端部へ、毛管現象の作用によって流れる。流体に含まれ評価分析される溶解した検体は、側方流動要素の長手方向に沿って、捕縛領域で捕縛される。捕縛領域を横切って流れる流体の体積は、要素の流体に満ちた容積が既知であり、捕捉領域の要素の下流の体積によって制御されるから、知られる。
【0043】
次の段階において、コンジュゲイトに標識付けされた酵素を含む第一注入流体は、要素の長手方向に沿った第一注入位置で、第一予備流路から第一側方流動要素の中に注入される。第一注入流体は、流出端部に向かって、同様に流体受入れ端部に向かって、第一側方流動要素に沿って流れる。この段階の間に、第一側方流動要素の試料流体は流出し、第一注入流体によって置換される。第一注入流体は、捕縛領域を横切って流れ、サンドイッチ複合体は、標識付けられた複合体が、捕縛された検体と結合する時に、そこに形成される。
【0044】
次の段階において、第二洗浄流体は、第二予備流路から第一側方流動要素に、要素の長手方向に沿う第二注入場所で注入される。第二流体は、流出端部に向かって、第一側方流動通路に沿って流れる。この段階の間に、第一側方流動要素の第一注入流体は流出し、それによって、捕捉領域から過剰の結合されないコンジュゲイトを除去し、第二洗浄流体によって置換される。重要なことは、過剰の結合されないコンジュゲイトを含む第一注入流体は、捕捉領域から流出し、従って結合していない標識は除去される。機器制御の下で実施される次の段階において、酵素基質を含む第三の注入流体は、第三の予備流路から第一側方流動要素に、要素の長手方向に沿う第三の注入場所で注入される。第三流体は、流出端部に向かって、同様に流体受入れ端部に向かって、第一側方流動通路に沿って流れる。この段階の間に、第一側方流動要素の洗浄流体は流出し、第三注入流体によって置換される。酵素基質を含む第三注入流体が、捕縛領域内に在るように移動した時に、機器制御された注入は停止される。この時に、酵素基質は、酵素の標識を付けられた捕縛複合体と反応する。
【0045】
反応は、捕縛された複合体の総量に比例する検出可能な信号を発生し、複合体もまた、試料の中の検体の濃度に比例する。信号は、装置の捕縛領域に隣接して配置される検出手段によって計測される。この装置の使用の任意の変形において、(反応領域から試料流体を洗い流すために、)コンジュゲイトの注入前に、洗浄流体の機器制御された注入によって実施される洗浄段階があり、同様に、コンジュゲイトの注入後の洗浄段階がある。上記に引用された高感度検出体系のいずれもが、この装置で使用出来る。当業者は、上記の例示の装置で述べられた本発明の原理を使用して予測が可能な、その他の多数の流体工学的な配置及び評価分析形式があることを認識するだろう。
【0046】
概ね、本発明の一体化診断装置は、少なくとも一つの信号を発生する微小反応器(又は多重化された評価分析のための微小反応器配列)を備えた基板及び一体化試薬及び流体工学を包含する。微小反応器は、水様の化学反応を収納するための収納手段を包含する。化学反応は、検出可能な信号を発生し、信号は、試料流体中の検体の濃度を決定する。微小反応器は、任意の捕縛領域をさらに包含してもよい。各々の微小反応器は、N流体の流入通路要素及びM流体の流出通路要素のネットワークを包含する、肝要な流体工学を有する。流路は、流体が毛管現象の作用によって流れる要素である。流路は、流体が要素に入る流体流入端部と流体が要素から出る流体流出端部とを有する。N流入流路とM流出流路とが、最初に乾燥した要素であり、装置の使用中に、流体が流体の流入端部に供給される時に、横方向の毛管現象の流れによって充填される。微小反応器の配列において、各々の微小反応器は、流入及び流出の流体要素の、N番及びM番が、各々の微小反応器と異なってもよい流体ネットワークに接続される。
【0047】
この診断装置の使用中の第一段階において、幾つかの又は全ての最初に乾燥した、N及びMの流路は、横方向の毛管現象の流れによって流体で充填される。少なくとも一つの、Nの及びMの通路は、注入器である。注入器は、機器制御の下で活発にポンプ輸送することが可能な流路要素として画定され、流体受入れ端部から流体流出端部まで、毛管現象の流れによって充填された後に、注入器は、空気ギャプ形態の遮断手段によって、関連するその他の流体工学的要素(例えば、その他の流路及び微小反応器)から、その流出端部で、流体工学的に遮断される。流体は、流路の流出端部を越えて流れず、流路の中の試薬は、注入器の流路の中の流体が、流出端部で別の流体工学的要素へ遮断手段を越えて、(機器制御された手段によって、)活発にポンプ排出されるまで、その他の流路の又は微小反応器の、薬品と反応しない。幾つかの、Nの及びMの流路は、活発なポンプ要素であってもよく、すなわち、それらは、機器制御されたポンプ手段によって活発にポンプ輸送されるが、それらは流体工学的に遮断されないから、注入器要素ではない。盛んにポンプ輸送される注入器でない要素において、流体で充填された要素の流出端部は、機器制御されたポンプ出力を作動する前に、その他の流体工学的要素と流体工学的に接触していて、遮断手段は無い。さらに、その他の、Nの及びMの流路は、機器制御されたポンプ手段による活発なポンプ輸送をしない受動のポンプ要素であってもよく、むしろ流出端部で灯心現象デバイスによって、機器制御されない受動のポンプ輸送に利用する。さらに、その他の流路は、全くポンプ要素ではない。すなわちそれらは、乾いた状態からそれらの流出端部まで充填し、それから流体は、外部圧力が流路に沿って流体を駆動するために作動されなければ、移動しない。幾つかの、Nの及びMの流路は、微小多孔性側方流動材料を包含してもよく、その他は、従来型の流体工学的な構成要素として、空の導管又は配管であってもよい。
【0048】
ポンプ輸送される流路要素の活発なポンプ動作は、電気浸透によってなされ、その場合に、ポンプ輸送される流路要素は、帯電された毛管現象の表面及びゼータ電位を備える領域を少なくとも有するべきである。活発なポンプ輸送のための電力は、機器制御された手段によって供給され、好ましくは、一対の離間した一体化電極を介して供給され、電極の少なくとも一つは、長手方向に沿ったポンプの流路に接触し、又は流体受入れ端部で流路の流体と電気的な接触状態にある流体と接触する。
【0049】
最初に乾燥した流路要素のいずれか又は全ては、固体の試薬を格納してもよくて、固体の試薬は、水様の流体導入による毛管現象の流動によって起動される。流路要素が、活発にポンプ輸送する流路要素であるならば、その後、起動された試薬は、機器制御の下で別の場所へ、詳細には微小反応器へ輸送されてもよい。流路のいずれか又は全ては、捕縛領域を収納していてもよく、捕縛領域は、そこに収納された流体の薬品を捕縛し固定化することが出来る。
【0050】
上記の全体的な実施形態において、少なくとも一つの最初に乾燥したN流体注入通路は、毛管現象の流れによって、試料流体で満たされる。その他の最初に乾燥した流路の幾つか又は全ては、毛管現象の流れによって、試料流体で又は異なる水様の流体で満たされてもよい。流体が、試料流体と異なる場合に、流路は、好ましくは、少なくとも一つの密閉された貯槽に初めに格納された、少なくとも一つの一体化した流体源から発する流体で満たされてもよく、貯槽の流体は、装置の使用中に、流路の流入端部に供給される。
【0051】
本発明の様々な実施形態の微小反応器は、反応収納構造である。反応収納構造は、反応器の内容物が、反応の進行中に固定された場所内に収納されて留まることを保証する。微小反応器は、微小多孔性流路要素、又はチャンバ、又は流路要素の領域と流体工学的に接続された導管の領域にあってもよい。チャンバ又は導管は、閉じられていてもよいし、又は大気圧と通じていてもよい。信号を発生する微小反応器領域は、反応を収納し、反応は、計測される検体の濃度に比例した信号を発生する。信号を発生する微小反応器領域の位置は、反応の進行をモニタするために使用される器具検出器に隣接する。
【0052】
リガンド結合評価分析の適用で使用するための本発明の所望する実施形態において、試料流体の流れのための側方流動要素が、捕縛薬品を備える微小反応器領域に包含される。本発明のある実施形態において、微小反応器は、上部が開いた反応チャンバを備える微小多孔性流路要素の領域にある。それは、微小多孔性流路要素を覆って装着された開口部を備える平面のスラブ要素を包含し、スラブの開口部は、流路の反応領域の上に配置される。スラブの穴の側壁は、微小反応凹部の側壁を形成し、第一流路要素の反応領域を備える平面の基板は、微小反応凹部の下部構造を形成する。少なくとも一つの注入器の流出端部は、凹部の縁部に配置され、流体が、第一流路要素の範囲で流体流れと直行する方向で凹部の中へ、活発にポンプ輸送される。流体が微小反応器の収納凹部を充填する時に、空気は、開いた頂上を介して外へ放出される。通気口の付けられた反応チャンバの別の実施形態において、少なくとも一つの注入器の流出端部は、注入器の流路の流出端部と凹部キャビティとの間に空気ギャプを備え、凹部の壁の外辺部の外側に配置される。別の実施形態において、微小反応器は、微小多孔性流路の反応領域を横切る上部が閉じられた、チャンバ又は導管である。この関心を引く、チャンバ又は導管は、閉じられていても又は大気圧に通気されてもよい。別の実施形態において、微小反応器は、微小多孔性流路要素の領域であり、流体は、外辺部で完全に密閉される。
【0053】
様々に可能な電気的接点の配置がある。ある場合に接点は、流路の長手方向に沿った二つの離間した場所にある。第一流体受入れ端部と第一接点との間の第一電界の無い領域、第一接点と第二接点との間の電界のある領域、及び第二接点とポンプの流路の流出端部との間の第二電界の無い領域がある。別の場合に第一電気接点は、流路の第一受入れ端部(又はさらにそれを越えて、第一受入れ端部に供給され、それと電気的接触する流体のために、流路の外側に電気接点を作る)にあり、及び第二接点は、通路の長手方向に沿った位置にあり、受入れ端部と第二接点との間に電界領域、及び第二接点と流路の流出端部との間に電界のない領域がある。好ましくない場合において、電気接点は、要素の各々の端部に配置される。この場合に、全要素の中に収納された流体は、電界の中にある。
【0054】
しばしば好ましくは、流路の流出端部で電界の無い空間を有することである。この場合に、及び最初に乾燥した流路が可動性の固体試薬を含む場合に、固体試薬は、最初に乾燥した流路の長手方向に沿ったどのような場所にも最初に配置することが出来る。流出端部に電界の無い領域を有する注入器を備える装置の使用中に、流体が、ポンプの流路の第一受入れ端部に供給される場合に、最初に乾燥した流路は、毛管現象流れによって充填され、可動性の試薬は、遮断手段で停止している流路の流出端部に輸送される。電圧が、流路の接点場所を介して流路に印加されている場合に、可動性の試薬を含む流路の流体は、流出端部からポンプ輸送される。ポンプ輸送過程の間、可動性の試薬は、常に電界の無い領域に配置される。この処置において、試薬は、印加された電力によってマイナスの影響はうけない。(帯電されるならば、試薬は電気泳動しないだろうし、電極で電気化学的な反応もしないだろう。)
【0055】
注入器の電気浸透ポンプは、外部の摂動と無関係な、有効な速度で流体を推進しなければならず、もしも流体工学的な抵抗要素を介して、流体負荷をポンプ輸送するならば、しばしば相当な背圧に抗して、ポンプ輸送しなければならない(本発明の回路の典型的な流体負荷抵抗のためのポンプの流出端部での圧力は、周囲の圧力を超える又はさらに高い1atmのオーダになる。)。この要求を達成するために、注入器ポンプ領域(電極の接点位置の間の流路の領域)は、微小多孔性であり、ゼータ電位を有するべきであることが必要である。半径1μmより小さなポアを有する微小多孔性流路が、一般的に要求され、好ましくは0.2μmより小さいことが要求される。効率的な及び再現可能な運転のために、微小多孔性電気浸透ポンプ領域は、境界線の密閉手段によって密閉されなければならない。非密閉微小多孔性ポンプ要素、又はその範囲内で、外辺部の空気を有する自立微小多孔性スラブ(先行技術の側方流動要素でしばしば遭遇する配置)であるものは、流体が、流路に沿って向き合うような外辺部の方向のスラブのポアから、及び流出端部から噴出されるだろうから、背圧に対して効果的にポンプ輸送をしないだろう。
【0056】
注入器が、流出端部で流体受容要素に関連して、形成されてもよい二つの方法がある。両方の方法において注入器の流出端部は、初めに、空気ギャプによって別の流体工学的要素の流体受容要素から分離されている。第一の形態において、注入器の流出端部、空気ギャプ、及び別の流体工学的要素の流体受容領域は、空気を収納する閉じられたチャンバの中に密閉される。このチャンバは、外部大気に放出されない。注入器及び流体受容要素の両方が、予め流体を用いて起動される。注入器に電力が供給された時に、注入器の流体は、流出端部から送り出されて、密閉されたチャンバの他の場所へ空気ギャプ遮断領域の空気を置換して、流体が流体受容要素の受容領域と接触することを可能とする。密閉されたチャンバの空気は加圧され、その圧力は注入器の流体を、流体受容要素の中へ駆動する。ポンプが停止した時に、放出口の無いチャンバの中の加圧された空気は、流体受容要素の中へ及び注入器の流路介して元の場所へ、両方に流体を押して、注入器の流出端部と流体受容要素との間の領域に空気ギャプを復帰する。この過程は、極性を逆にして注入器ポンプを運転することによって、加速させることが出来き、チャンバ内の流体がさらに迅速に抜き取られることを可能にする。この過程の後で、現状オフ状態にある注入器は、流体受容要素から(電気的に及び流体工学的に)再び遮断される。この方法において、試料の流体工学的要素の長手方向に沿って複数の注入器を配置することができ、オフの場合は各々が遮断され、オンの場合は流体工学的に接続される。これは、個々にポンプ輸送される多数の注入器を、(電気的に及び流体工学的に、恒久的に接続されると仮定した場合に)ポンプ間の相互干渉なしに順次運転させることが可能である。さらに、注入器は、流体をポンプ輸送するために機器制御の下で作動させることができ、それから、その他の流体工学的運転が装置で行われている間に、注入器を遮断されたオフ状態に戻すために、停止させることができ、それから、第二回目の又は引き続きさらに多数の回数のポンプ輸送を再開することができる。
【0057】
第二の形態において、密閉されたエンクロージャは、空気通気導管によって、外部の大気に排出される。注入器が動力を供給される時に、注入器の流体は、流出端部からポンプ輸送され、通気導管を介して密閉されたチャンバから空気ギャプ遮断領域の空気を置換し、注入された流体を流体受容要素の受容領域に接触することを可能にする。チャンバは大気圧のままであり、注入された流体は、空気圧によって流体受容要素の中に押し流されない。流体受容要素と接触する注入された流体の試薬は、受容要素の中に拡散し、そこで反応することが出来る。この形態で実施された注入運転段階の後で、排出口のあるエンクロージャの中にポンプ輸送された流体は、逆極性で運転される場合に、ポンプによって引き戻すことが可能であり、従って受容する流体工学的要素からポンプを遮断する。
【0058】
注入器の流路の流出端部の空気ギャプ領域は、流体遮断の手段である。空気ギャプ領域は、注入器の流路の流出端部と別の流体受容要素との間の空間である。流体が、流体受入れ端部で注入器の最初に乾燥した流路に供給された時に、流体は、毛管現象の流れによって、流出端部にまで流路を充填するように流れ、空気ギャプ領域で止まる。遮断手段は、流路の流出端部を越える流体の毛管現象の流れを停止するのに効果的である。(ポアサイズが小さくて流路長が長い場合に最大となる)注入器の流路の流れ抵抗が、十分大きい場合に、流れ抵抗は、注入器の流路のオフ状態で、注入器を介して注入器の流路の流出端部を越える漏洩流れを防止し、注入器の通路の流入端部と流出端部との間で、診断装置の使用中に発生するかもしれない圧力差がある場合でさえ、又は流路の流入端部と流出端部で別の流体要素の表面で作られる、装置の使用中に発生するかもしれない毛管現象のポンプ輸送力がある場合でさえ、漏洩流れを防止する。空気ギャプは、好ましくはオフ状態の間に、注入器からそのような付随的な流体漏洩が、空気ギャプを通り抜けない、従って流体工学的な遮断を除去しないことを保証する大きさに作られる。注入器がオン状態にある場合に、電圧は、流体が充填された注入器の流路に沿って印加され、その流路は、表面電荷とゼータ電位を有する領域を備え、流体は、空気ギャプ領域の中へ流路の流出端部を越えて流体受容要素まで移動する。従って注入器は、流体受容要素の流れ抵抗によって発生する背圧に打勝って(評価分析の必要条件によって決定される)有効な速度で、ポンプ輸送することが出来るに違いなく、空気ギャプ遮断手段は、注入された流体が実用的な時間でそれを通り抜けることが出来る大きさに作られるだろう。
【0059】
流体受容要素は、注入器の流出端部に接続された要素である。それは、微小多孔性流路、又はチャンバ要素、又は既存の開いた、導管、配管又はチャンバであることが可能である。流体受容要素は、最初は乾燥していてもよく、又は注入器から流体を受容する時に、流体で充填されてもよい。もしも流体受容要素が、微小多孔性であって、注入器から流体を受容する時に乾燥していたならば、受容された流体は、流体受容要素に沿って毛細管灯心現象によって流れるだろう。もしも流体受容要素が、注入器から流体を受容する時に、すでに流体で充填されているならば、受容された流体は、受容要素の流体受容領域が、閉ざされた空気チャンバで注入器に接続されている場合に、既存の流体を置換するだろう。流体受容要素は、ゼータ電位を有してもよいし、一体化電極によって接続されてもよく、この場合に、受容された流体は、さらに受容要素に沿って電気浸透的にポンプ輸送すること、又はそれに接続された別の受容要素に注入させることが出来る。
【0060】
本発明の微小多孔性流路は、技術的に周知の、様々に異なる材料を包含してもよい。この材料は、水様の溶液の毛細管灯心現象を可能にする親水性の表面を有する。例えば、微小多孔性酢酸セルロース、硝酸セルロース、スルホン酸ポリエーテル、ナイロン、ポリエチレン、及び同様のものが使用される。注入器ポンプの微小多孔性流路は、単一要素であってもよいし、又は流体が毛管現象の作用によって流れることが出来る組合せで、一つより多くの要素を含んでもよい。微小多孔性電気浸透注入器要素は、表面電荷及びゼータ電位を有する材料をさらに含むべきである。所望する材料は、硝酸セルロースである。
【0061】
本発明の密閉要素は、電気的に物質を絶縁し、流路要素の境界線を廻って流体密閉を形成する能力がある。本発明の注入器に使用のダイカット密閉要素は、シロキサン又はアルカリ性の接着剤のようなシート形状で使用が可能な、周知の圧力に敏感に反応する接着剤のいずれかを包含してもよい。注入器の周囲に薄板が貼付けられた場合の、これらの材料は、加えられた圧力下での逆流に対し密閉を形成する。溶媒から沈殿させた場合の、コンフォーマルコーティングとして塗布させることが出来る、多数の別の絶縁する密閉材料が、本発明の装置の使用のために適切である。
【0062】
本発明に従う、肝要な機器制御された流体工学を備えた診断装置が、二つの方法の一つで製造される。第一の方法において、微小多孔性流路要素は、例えば型抜きによって膜シートから形成され、それから組立てられ平面の基板を密閉する。第二の方法において、流路要素は、薄いフィルム微細加工工程で生産される。この技術において、微小多孔性材料のフィルムは、スピンコーティング工程で、フィルムの乾燥中に相転移を引き起こすために適切な溶媒システムで溶解された膜材料の溶液から、スピンコーティングのような付着技術によって平面基板の上に形成される。相転換させた材料は、微小多孔性である。それから、結果として微小多孔性固体フィルムは、フォトリソグラフィ工程によって、流路要素内に形成され、その工程は、フォトレジスト、フォトレジストの曝露及びパターン化、並びに反応ガスプラズマを使用するエッチングによって微小多孔性フィルムにパターンの転写を用いた、コーティング段階を含む。微小多孔性流路要素を形成する、微細加工の材料及び方法は、同時係属出願の参考文献10で、より詳細に開示される。微小多孔性流路要素の指定された位置に収納される固体の試薬は、技術的に周知のノズル微小分配技術を使用して溶液から沈殿させることが可能であり、側方流動装置及び周知技術の別の膜に基づく固体試薬装置の製造において、ごく普通に実施されている。
【0063】
本発明の別の実施形態は、各々が少なくとも一つの機器制御された注入器を用いる末梢的な流体工学を有する、微小反応器の配列を含む検出装置の配列からなっている。この配列の所望される実施形態において、装置は、微細加工技術で製造される。
【0064】
本発明の別の態様と特性が、添付図面と併せて、本発明の特定の実施形態の下記の概説によって、当業者に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、唯単に例証としてここに記述される。
【0066】
本発明の診断装置の一部分として、機器制御された電気浸透注入器の概略が、図1に示される。この詳細な記述部分を通して、注入器及び注入器ポンプの用語は、置換が可能である。流路、流体工学的要素、及び流路要素の用語もまた、置換が可能であり、遮断要素と遮断器の用語、及び流体受容領域と流体受容場所の用語も同様である。図1Aの概略平面図は、最初に乾燥した微小多孔性流体の流路要素1と、電気的に接触するための二つの一体化電極とを備える基板10を示す。第一電極は、電気回路と接続するための接触パッド7、及び長手方向に沿って流体工学的要素1と電気的な接触をするための接点位置8を有する。第二電極は、外部回路と接続するための接触パッド5、及び要素1の流体受入れ端部2に供給される流体と、電気的に接触するための要素1の流体受入れ端部2の近傍に、接点位置6を有する。注入器の流路要素1の下の、及び流体受容要素12の流体受容領域13の下の基板10を覆う第一密閉要素9が在るが、接点位置5、6、7及び8で、電極を覆わない。注入器の流体の通路要素を覆う、第二密閉要素11が在るが、流体受入れ端部2又は流出端部3には無い。第二密閉要素はまた、受容要素12の一部分を覆うが、流体受容領域13は覆わない。
【0067】
第一及び第二密閉要素9及び11は、図1Cに示されるような、注入器の外辺部の回りに密閉を形成し、図1Cは、図1AのB-B'矢視部分に沿った概略断面である。注入器3の流出端部の位置で、及び流体受容要素12の受容領域13で、密閉要素11の開口部にわたって配置される被覆要素23がある。被覆要素22は、注入器の流出端部3及び流体受容要素12の受容領域13を取り囲む、閉じられた空気チャンバ15を形成する、第二密閉要素11で密閉される。注入器の流出端部3と、流体受容要素12の受容領域13とを、流体工学的に分離する空気ギャプ遮断要素14が在る。流体受容要素は、試料流体受入れ領域を包含する、流体工学的回路21に接続された一つの端部、及び流体工学的回路22に接続されたその他の端部を備える、微小多孔性の細長い領域である。長手方向に沿って流体注入箇所13が在る。
【0068】
この注入器を包含する装置の使用中に、試料流体は、流体工学的回路22の試料流体受入れ領域に供給される。接触パッド5及び7を介して、外部の電気制御回路と、電気的な接続が成される。流体は、電極の接点位置6で電気的な接触を成し、及び流体受入れ端部2で流路要素1と流体工学的な及び電気的な接触を成す、装置の流体受入れ領域20に供給される。流体は、要素1の中に毛細管灯心現象によって流れ、流出端部3まで、それを越えることなく流体を満たす。この間に、注入器の中の流体は、空気ギャプ遮断要素14によって、流体受容要素12及びそれに接続されるその他の流体回路の全てから、流体工学的に遮断され、図1Aの領域21と22として概略で示される。機器制御された電力が、電極に印加される。接点位置8の出力電極と接点位置6の接地電極との間の電位差は、接点位置6と8との間の流体要素1の長手方向にわたって、電界を発生する。この電界は、要素1の微小多孔性材料が、ゼータ電位を有する場合に、電気浸透の流れを駆動する。表面電荷とゼータ電位とが、マイナスである場合に、接点位置8での負電位は、注入器の流路を介して、流体受入れ領域20から及び流出端部3から、流体を駆動するだろう。流体が、流出端部から流出する時に、流体は、空気エンクロージャ15の端部16に向かって空気ギャプ14を移動して圧縮する。流体が、流体受容要素12の受容領域13と接触していて、加圧されたチャンバ15によって、受容要素12と流体工学的回路21、22との中にポンプ輸送される。注入された流体に含まれる試薬は、流体受容要素12に、又はそこに接続された流体工学的回路に含まれる薬品と反応してもよい。注入された流体の試薬は、流体受入れ領域20から注入器に導入された流体の中に含まれてもよく、又は試薬が、流体受入れ領域20から導入された流体の毛細管灯心現象によって注入器の流路1が満たされる場合に、注入器の通路1の固体試薬源から移動させてもよい。好ましくは、固体試薬は、電場の無い場所4に配置される。機器制御されたポンプ輸送の後で、接点位置8の電極の出力は、停止となるか又は反転する。さて、加圧されたチャンバ15が、流体をポンプ要素1に戻すように推進し、チャンバ15の端部16で加圧され空気は、空気ギャプ領域14を含むチャンバを充填するために、元に戻るように拡大し、従って、最初の遮断されたオフ状態に、注入器を戻す。
【0069】
注入器及び流体受容要素の代替の実施形態において、空気チャンバ15は、場所16、例えば、覆い23の開口部を介して又は密閉要素11を介して延伸する導管に沿って、周囲に排出される。この場合に、機器制御された電力が、注入器の電極に印加される時に、流体は、要素1の流出端部3から流出する。流体は、空気ギャプ領域14の中の空気を、チャンバ15の排出する端部16に移動し、流体は、流体受容要素12の受容領域13に接触する。チャンバは、大気に排出されるから、この場合に加圧されず、流体は、要素12にポンプ輸送されない。しかしながら、注入器ポンプの流体中に含有された、薬品と試薬は、及び要素12の流体受容領域13の中の、薬品と試薬は、拡散する。機器制御されたポンプ輸送の後で、接点位置8の電極上の電力は、チャンバに注入された流体が注入器のなかに戻り、空気ギャプ領域に空気を引き戻すまで、逆向きに印加され、従って初めのオフ状態にポンプを戻す。
【0070】
注入器及び上述の注入器を利用する流体受容要素の、その他の可能性のある形態がある。図2Aから2Sは、その他の幾つかの流体受容要素を備える、本発明の注入器に接続する方法を概略で示す。この図において、密閉された流路、一体化電極、流体受入れ端部と流体受入れ領域、及び空気ギャプ遮断部材を備える流出端部を包含する、概略の注入器が示される。これらの構成要素は、図1で述べられた通りであり、図2Aから2Sの破線領域100、101、及び102にグループ分けされる。図2Aから2Hに示された、注入器及び流体受容要素の四つの形態がある。流出口に空気チャンバを備える注入器は、流体受容要素に接続されなくてもよく(図2Aと2E)、又は三つのタイプの一つの要素に接続されてもよい。注入器は、流体受容要素118に接続されてもよく、118は、自立していてその他の流体工学的回路構成要素と流体工学的に接続されていない(図2Bと2F)。注入器は、流体受容要素110に接続され、110は、一つの流体受容端部、及びその他の流体工学的回路構成要素103(図2Cと2G)と接続される、別の端部を備える流路である。注入器は、流体受容要素115に接続されてもよく、115は、流体工学的回路構成要素に(115のいずれかの端部で接続されている105、106)、及び長手方向に沿った流体受容場所に、接続される両端部を備える流路である。図2Aから2Dは、閉じられた空気チャンバ120で注入器に接続される流体受容要素を示し、一方、図2Eから2Hは、通気口を有する空気チャンバ130で接続される流体受容要素を示す。図2Dは、図1で示された形態と同一である。
【0071】
図1又は2Dの形態の例は、試料の輸送のための側方流動の細長い領域と、細長い領域の中へ機器制御された注入をするための注入器とを包含する装置である。この場合において、115は、側方流動の細長い領域であり、105は、試料受入れ領域を含み、106は試料の流出領域を含む。側方流動細長い領域115は、その長手方向に沿って捕縛領域を含んでも良く、その領域は、信号を発生する微小反応器を構成し、注入器100は、リガンド結合評価分析を実施するために必要とされるような、細長い領域へ捕縛領域を介して、洗浄流体、コンジュゲイト、又は酵素基質を注入するために使用されても良い。
【0072】
図2Iから2Qは、二つの流体受容要素が、一つの流体注入器と接続することが可能な方法を示す。概略図は、閉じられた空気チャンバで、二つの流体受容要素と注入器の平行な接続を示す。空気チャンバが排気される場合に、注入器と複数の受容要素の同様な平行接続もまた可能であるが、図2には示されない。
【0073】
図2I、2J、及び2Kは、第一単独な流体受容要素118への注入器の接続を示し、且つ三つのタイプの各々の、流体受容要素への第二の平行な接続を示す。図2L、2M、及び2Nは、第一流路要素110の受容端部への接続を示し、そのほかの端部に流体工学的回路103があり、且つ、三つのタイプの各々の、第二流体受容要素への平行な接続を示す。図2O、2P、及び2Qは、第一流路115への接続を示し、その二つの端部は、その長手方向に沿った流体受容場所で、流体工学的回路105、106に接続され、且つ、三つのタイプの各々の、受容要素への第二の平行な接続を示す。幾つかの評価分析形式で必要となるかもしれない、一つの注入器に、三つ、あるいはより多くの流体工学的要素を平行に接続することも、また明らかに可能である。
【0074】
図2Rは、複数の注入器が、単一の流体受容要素に接続されてもよいことを示す。この略図において、各々の端部に、流体の回路構成要素105と106とを備える流体受容流路115がある。三つの注入器100、101及び102があり、それらは、要素115の長手方向に沿う三箇所で、流体を注入する。各々の注入場所120、121及び122に、閉じられた空気チャンバがある。三つの注入器の各々の三つの接地電極は、図2Rで示したように、各々の注入器要素の流体受入れ端部で、三つの分離している流体受入れ領域の各々と、互いに独立して接続されてもよい。さらに好ましくは、図2Sにおいて、三つの注入器の接地電極は、一点で単一流体受入れ領域に接続され、流体受入れ領域は、三つの注入器の流体受入れ端部の全てをカバーする。これは、流体の受入れ導管によって達成することが出来る。
【0075】
図2Rと2Sの形態の例は、試料の輸送のための側方流動の細長い領域、及び細長い領域に機器制御された複数の流体注入のための、複数の注入器のマニホールドを包含する装置である。この場合において、115は、側方流動の細長い領域であり、105は、試料の受入れ領域を含み、106は、試料流出領域を含む。側方流動の細長い領域115は、長手方向に沿って捕縛領域を収納してもよく、捕縛領域は、信号を発生する微小反応器を構成する。注入器100は、レポータコンジュゲイトを含む流体を注入するために使用されても良く、注入器101は、洗浄液を注入するために使用されても良く、及び注入器102は、サンドイッチタイプのリガンド捕縛評価分析を実施するために必要とされるような、細長い領域の中に、及び微小反応器領域を介して、酵素基質を注入するために使用されても良い。
【0076】
概ね、本発明の装置は、図2の形態のいずれか一つに従う流体受容要素を介して流体工学的回路に接続される、それ故少なくとも一つの機器制御された注入器を包含する。装置はさらに、装置の流体工学的回路に試料流体を導入するための試料受入れ領域、及び少なくとも一つの信号発生微小反応器領域を包含する。この微小反応器領域は、流体受容要素又はそれに接続される流体工学的回路内に収納されてもよい。信号発生微小反応器に隣接する検出器は、微小反応器で起こる反応の進行を計測し、試料流体の中に含まれる検体の濃度を測定する。使用の間、図2の変形のいずれかの装置が、機器手段に接続される埋め込まれた光検出器を備える平面スラブを包含する、検出器具の受容開口部の中に挿入される。スラブはまた、装置が検出器具の開口部の中に挿入される時に、機器手段の電気回路と接続される一方の端部と電極の接触パッドに接触する他方の端部を備える、埋め込まれたバネで荷重が掛けられる電気的接点を有する。検出器具の受容開口部内の装置は、装置基板10と、きわめて接近して、装置の信号を発生する微小反応器領域に隣接して配置される光検出器と、同一平面上の検出器のスラブを有する。検出器のスラブと基板10とは、外部の光を通さない暗いキャビティ部分を形成する。
【0077】
図1の例示装置のような装置及び図2Aから2Sに示された変形の装置は、流体工学的回路に電気エネルギーを供給するための、電極を支持する標準の回路基板上に組立てられた。装置は、平面の絶縁エポキシ基板10の上に製造された。離間した電極は、金メッキした銅板電極であり、それは、厚さ0.025mmの銅版に金がメッキされ、標準の回路基板技術で製造された。この上に、厚さ0.025mmの要素9が積層され、要素9は、電極の接点位置5、6、7、8上に開口部を備え、粘着性のシートから型抜きされたシリコン粘着性スラブ(Adhesives Research 8026)である。粘着性スラブは、各々の接点位置で、金属の電極接点の上面と、ほぼ同一平面の上面にとなる電極の接点位置の上方に、開口部を備えて組立てられた。シートから型抜きされた微小多孔性流路要素1、12は、各々約0.15mmの厚さであった。要素1は、流出端部で、幅が約1mmであった。それは、図1に示したように矩形であるならば、この場合に、流体受入れ端部もまた幅が約1mmであった。それが台形であるならば、その場合に、流体受入れ端部は幅広くなるだろう。
【0078】
より高いポンプレシオを引き出す可能性から、我々は概ね、流入口幅と流出口幅の割合が約4対1の、所望する台形のポンプを有する。要素12が、隣接する流体工学的回路構成要素21、22に流体を輸送するために使用される場合に、図1に示されるような、幅が約1から2mmの矩形の細長い領域に成るが、流体受容要素の所定の実施要求によって、その他の形状が可能となる。流体受容要素が、微小反応器である場合に、要素12は、四角形の又は円形のスラブに成り得る。流体工学的要素1、12は、流体注入要素1の流出端部3を、場所13で流体受容要素12から分離している、約0.5から数mmの空気ギャプ14を備える粘着性スラブ9の上に組立てられた。実施される実験のタイプによって、流路要素1、12は、市販品の微小多孔性材料のシートから型抜きされた細長い領域であってもよく、(表面電荷の、阻止又は導入のための)浸漬によって、又は長手方向にそった所定の場所に試薬を注入させることによって、前処理されてもよい。
【0079】
受容要素のために、異なる空隙率を有し表面処理された多数の材料が、ここでさらに議論されたように使用された。流体注入要素のために、有効な電気浸透の推進のために必要な高い表面電荷を有するから、市販品の0.22μmのポア径を有する硝酸セルロースが所望される。次に、第二シリコン粘着性スラブ11が、微小多孔性流路要素の上に組立てられた。粘着性スラブ11は、0.05mm層(Adhesives Research 7876)を3層積層して作られ、厚さが0.15mmであり、シートから型抜きされた。粘着性スラブ11は、長手方向に沿って要素1を被覆し(しかし、流体受入れ端部2、空気ギャプ領域14、又は流出端部3は被覆していない)、要素12の一部分を被覆する(しかし、流体受容領域13又はそれに隣接する領域16は被覆しない)。マイラー被覆要素23は、シートから型抜きされ、図1の領域3、4、13及び16によって画定される、第二密閉要素11の開口部の上に組立てられた。それ故、閉鎖された空気キャビティ15を形成する。
【0080】
最終の組立段階において、スラブの平面複合体が、(2分間、60PSI、50℃で)圧縮された。この段階で、スラブ11の接着剤が、スラブ9とカバースラブ23の接着剤とで密閉し、要素1と12もまた密閉され、重要なこととして、密閉剤が要素1の周囲に流れて、図1Cの断面BB'に示されるように、電極接点との間の領域で、外周辺の密閉を形成する。
【0081】
図1と2の装置の様々な形態が、以下に記述されるような、受容要素とそこに接続される流体工学的回路構成要素とへ、機器制御された流体の注入を研究するために使用された。
【0082】
注入器から流体の電気浸透ポンプ輸送
図1の注入器(及び図2の相当する注入器100)の構成要素と異なる形態が、調査された。要求された仕様で運転するために、注入器は、以下の特性を有すべきである。すなわち、1. 流体が受入れ端部に供給された時に、乾いた状態からの再現可能な毛管現象による充填、2. 電気浸透を駆動するための印加される電力が無い場合に、流出端部を越える流れが無いこと、及び3. 電力が一体化電極に印加される場合に、流出端部を越える有効な流速の再現可能な流れである。注入器の流路要素は、その構成物、すなわち材料、表面処理、空隙率、及びポアサイズに関して、且つその形状及び大きさに関して調査された。一体化電極は、それらの接点位置と接触面積に関して調査された。空気チャンバは、キャビティの大きさ、空気ギャプの大きさ、通気の形態に関して調査された。ポンプの始動の間の初期の毛管現象の流体充填速度における上記の構造パラメータの結果と、始動段階の間のポンプ要素の流出端部での流れの抑止の有効性と、ポンプ輸送している要素の流れ抵抗に依存する場合の電気浸透ポンプ輸送特性とが、調査された。
【0083】
実験1:通気された導管への注入
流出端部で通気される空気導管を備える流体工学的負荷の無い注入器を用い、その他の流体受容要素を備えていない、注入器ポンプの輸送特性を調査することが行われた。この形態は、略図2Eに示される。注入器は、最初に乾いた注入器の流体受入れ端部に、水様の流体を先ず供給することによって始動される。次に、電圧が一体化電極の間に印加され、体積流量率が、異なる時間で、既知の断面積の通気導管の流体の長さを測定することによって計測された。これから、電気浸透の移動度(EOM)が得られた。
【0084】
最良の性能が、低導電性の水様の溶液からなる、注入器流体を用いて得られた。すなわち、約2mmol/Lの電解質の濃度が所望され、10mmol/Lが使用範囲の上限だった。0.11μmのポア径で0.75の空隙率を有する、微小多孔性硝酸/酢酸セルロース(ミリポア MF膜 GSWP)は、注入器の流路として使用された。注入器の流体受入れ端部と接触する一体化アノード接地電極、及び注入器の微小多孔性流路の長手方向に沿った一体化カソード電極がある。注入流体は、N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N-[2-エタンスルホン酸](HEPES)又はジエタノールアミン(DEA)の緩衝剤を含む、一般的に約2mmol/Lの水様の緩衝剤溶液であった。0から60Vの範囲の固定された電圧で、ポンプ速度は、数100秒にわたって、数%で安定した。流体の流れの中に、目に見える気泡の形成はなかった。ポンプ速度におけるペーハー(pH)の効果は、7>pH>10の範囲で最小であった。電解質のより高濃度において、ポンプ速度は遅くなった。約10mmol/Lの濃度より上において、注入器は、大きすぎる電流を引き、カソードから発出して、流れている流体の中に気泡の放出があったから、電圧を上げて運転することが出来なかった。注入器流体の電解質の濃度は、二つの方法でポンプに影響する。濃度が増加すると、イオン強度が増加し、デバイのスクリーニング長は低下する。これは順次、ゼータ電位を低下し、従って技術的に周知のEOMも低下する。また、より高い電解質濃度は、注入器の流体のより高い導電率にもなる。与えられた印加ポンプ電圧で、より大きな電極の分極を引き起こしてより高い電流を引く結果となる。電極が分極する時に、さらに多くの印加された電圧が電極で低下し、微小多孔性流路要素でさらに減少して、より低いポンプ速度になる。電極の分極を減少するために、注入器の流体に酸化還元活性分子の添加が調査されたが、これらは、下流の微小反応器で生じるバイオ化学反応を阻害するから、大多数のポンプを制限する。注入器が、金の電極、及び約10mmol/Lより少ない緩衝電解質を含有し、酸化還元の添加剤を含まない注入器の流体を用いて運転される場合に、有意な電極分極(又は電極でのガス放出)が無い。
【0085】
注入器の流体を用いる注入器の始動:
最初に乾燥した注入器の微小多孔性流路要素は、注入器の流体が注入器の流体受入れ端部に供給される時に始動される。流体は、毛管現象で輸送することによって、流出端部まで要素を充填する。所望される流路材料、すなわち、0.11μmのポア径を有する微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを使用して、長さ5mmの流路要素を備える注入器において、満杯にする時間はおよそ50s以内である。
【0086】
一体化電極の配置:
アノードが流体受入れ端部の近くにある時はいつでも、概ね、良好な性能を得ることが出来た。最良の性能は、アノードが、流体受入れ端部を越えて注入器の微小多孔性流路の外側の、しかし流路と電気的な接触を保つ流体の中に埋められた時に得ることができた。カソードの配置は、注入器の微小多孔性流路の長手方向に沿った流出端部までのどこでもよいが、最善は、長手方向に沿って流出端部に向かう、およそ半分から四分の三のところである。これは、固体試薬の配置を可能とするために、流出端部でカソードの向こう側に電界がゼロの領域を残した。カソードが流体受入れ端部で、アノードに近づき過ぎた場合に、電流は高くなり過ぎて、低電圧に、及び低ポンプ速度運転に装置を制限した。電極接点の一般的な面積は、アノードが0.5×5mm、カソードが0.5×1mmであった。
【0087】
流路の形状と大きさ:
矩形と台形の両方の注入器流路が調査された。一般的な矩形流路要素は、長さ約4.25mm×幅1mm×厚さ150μmの、空隙率0.7及び0.11μmポア径を有する硝酸/酢酸セルロースであった。この流路で組立てられ、流体受入れ端部の向こう側にアノード及び流体受入れ端部から3mm(流出端部から1.25mm)のカソードを備える注入器は、2mmol/LのDEA注入器流体を用いて運転される。印加された電圧に線形であるポンプ速度は、0.5nL/s/Vであった。公称運転電圧40Vで、ポンプ速度は20nL/sであった。一般的な台形の流路は、長さ約4.25mm、流体受入れ端部で幅4mm、及び流出端部で幅1.5mmであった。同一の電極配置及び注入器流体を用いた運転の場合に、電圧に線形であるポンプ速度は、1.1nL/s/Vであった。公称運転電圧40Vで、ポンプ速度は45nL/sであった。矩形の注入器と同様な流出端部の外形を有するが、より高いポンプ速度のゆえに、我々は、台形の注入器を使用することを所望した。流出端部の大きさは、受容する流体工学的要素の大きさによって制約される。
【0088】
流路材料と表面処理:
0.11μmのポア径を有する微小多孔性硝酸/酢酸セルロース(ミリポアMF膜GSWP)は、2mmol/LのDEA注入器流体を使用する場合に、約2.5×10-8m2/Vsの優れていて矛盾のないEOMを有することが見出された。これは、台形の(矩形の)注入器の1.1(0.5)nL/s/Vに相当する。その他の調査された材料は、もっと低いか又はゼロのEOMを有する。低EOM材料の表面の前処理、例えば、乾燥した後にドデシルスルホン酸アンモニウムのようなアニオン界面活性剤に予め浸すことは、表面の変化をもたらし、EOMを高くすることが出来る。しかしながら、界面活性剤が、流体受容要素とそれに接続される流体工学的回路に、注入された流体と共に排出されて、潜在的にそこで行われる生化学反応に有害な結果を引き起こす、このような処理を回避することが所望される。これは、後に述べるルシフェラーゼ反応とは、特に顕著であった。従って、先に引用された硝酸/酢酸セルロースは、表面の改良無しに使用できるから、注入器の流路のために所望される。
【0089】
実験2:閉じられたチャンバに注入
別の流体受容要素を備えるのではなく、流出端部に閉ざされた空気チャンバを備えた注入器は、無限の流体荷重を有する注入器ポンプの輸送特性を調査するために構成される。この配置は、略図2Aに示される。初めに、注入器は、最初に乾燥した注入器の流体受入れ端部に水様の流体を供給することによって始動された。次に、電圧が、一体化電極の間に印加された。流体は、注入器の流出端部から、当初の体積がP1=1atmでV1の閉じられたチャンバに移動された。空気は、流体がチャンバを満たした時に、流体の流動が停止した定常状態まで、圧縮された。空気の新しい体積は、V2<V1であった。流れを停止した結果の圧力は、P2=V1/V2で与えられるボイルの法則から計算される。0.11μmのポア半径を有する微小多孔性硝酸/酢酸セルロースが、使用される。
【0090】
注入器の微小多孔性流動流路のポア半径
0.75から0.85の空隙率及び0.11から2.5μmの範囲で変化するポア径を有する、微小多孔性硝酸/酢酸セルロース材料から、台形の注入器(流入端部幅4mm、流出端部幅1.5mm、長さ4.25mm、厚さ0.15mm)が組立てられた。注入器は、流出端部に閉じられた空気チャンバを備えて組立てられた。0から100Vの様々なポンプ電圧で流れを停止するための圧力が、計測された。流れを停止するために必要な圧力は、電圧に伴ってほぼ線形に増加した。小さなポア径のためにより大きな背圧が、より大きなポア径の材料と比較して、流れを停止するために要求された。ポア径0.11μmを有する注入器は、0.17atm/Vの背圧に対してポンプ輸送が出来た。40Vの典型的な作動電圧で、注入器の流れを停止するための背圧は、7atmだった。2.5μmのポア径材料に対し、注入器の流れを停止するための背圧は、0.01atm/Vだった。40Vの典型的な作動電圧で、注入器の流れを停止するための背圧は、たったの0.4atmであった。
【0091】
注入器の密閉
注入器の外辺部の密閉の品質は、良好な注入器の流速を得るために重要である。不適切な密閉の場合に、長手方向に沿った注入器の流路の外辺部で空気導管は、電気浸透ポンプ輸送中に、注入器の流出端部と流体受入れ端部との間の圧力差によって駆動される、導管を通過する逆流を発生するだろう。結果は、安定性が低下し、期待された電気浸透ポンプ速度よりも遅くなる。
【0092】
実験3:閉じられた空気チャンバで、流体受容要素に注入
流体抵抗を有する流体受容要素に接続される注入器ポンプの特性を調査するために、長手方向に沿った流体受容場所で流体受容の細長い領域要素に接続される流出端部に、閉じられた空気チャンバを有する注入器が、組立てられた。矩形と台形の両方の注入器が、調査された。注入器と流体受容要素の形態が、略図2Dに示される。この形態の注入器の運転において、様々な段階が、図3Aから3Eに示される。第一流体は、最初に乾燥した細長い領域(図3A)の流体受入れ端部に供給された。細長い領域は、側方毛管現象流れ(図3B)によって、第一流体で満たされた。次に、最初に乾燥した注入器は、流体受入れ端部(図3C)に水様の流体(2mmol/LのDEA溶液)を供給することによって始動された。注入器は、毛管現象流れ(図3D)によって流出端部まで満たされた。電圧は、一体化電極間に印加された。流体は、注入器の流出端部から、P1=1atmで当初の容積V1の閉じられたチャンバに移動した。閉じられたチャンバの空気は、流体がチャンバを充填した時に、圧縮が止まって(図3E)定常状態になるまで圧縮された。この定常状態で、図3Fに示したような、流体受容細長い領域に沿ってその両端部に向かう流体の流れ(図2Cの領域105と106に向かって流れる流体)があった。チャンバの中の空気の新しい体積は、V2<V1となった。結果として定常状態の圧力は、空気チャンバの圧力P2=V1/V2を与える、ボイルの法則から算出された。流体注入段階の後で、電圧は停止され、空気チャンバの中の圧縮された空気は、注入器の流出端部でその位置を回復し、従って、流体工学的及び電気的に、注入器の流体を流体受容要素の中の流体から遮断する(図3G)。
【0093】
図4に示された形態のために、台形の注入器(流入口幅4mm、流出端部幅1.5mm、長さ4.25mm、厚さ0.15mm)が示され、注入器は、注入器の流路(空隙率0.7、ポア径0.11μm)及び微小多孔性ポリエーテルサルフォンの流体受容の細長い領域(0.25μmのポア径を有し、その長手方向に沿った中央位置で長さ1mmの流体受容領域、及び流体受容場所のいずれの側にも長さ4mmの延伸部を有する、厚さ0.15mm、幅1mm×長さ9mm)のために、微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを使用した。定常流での圧力は、0.03atm/Vで印加された電圧に従って線形に増加する。
【0094】
注入器の仕様
注入器の性能が、如何に注入器の構造に依存するかをより良く理解するために、パラメータとしては、注入器の受入れ端部から流出端部まで、毛管現象流れによって流体で始動される注入器の流路を含むモデル注入器を考慮する。注入器の流路は、長さL、流出端部で幅wと流体受入れ端部で幅W、及び高さhの、空隙率Ψ、ポア導管ねじれτ、及びポア径aの微小多孔性材料の台形スラブを包含する。注入器の流体受入れ端部に、(又は流体受入れ端部を越えるがそれと流体工学的に接続する流体中に)第一電極がある。入力から距離lに、注入器の流路の長手方向に沿って第二電極があり、結果として、電界がゼロの流出端部で長さL-lの領域がある。粘性ηの流体の流速Qは、方程式1によって与えられ、
【数1】

幅wの矩形スラブに対しては、方程式2に簡単化される。
【数2】

【0095】
第一項は、Vが長さlに沿って印加された電圧であり、μeoが、電気浸透の移動度(EOM)である場合に、電気浸透流れである。第二項は、スラブの長手方向にわたって圧力差Pがある場合の流れを駆動する圧力である(プラスPは、電気浸透流れと反対方向に流れを生じる背圧である)。電気浸透の流速は、全体のスラブ長さLに依存し、電極間隔に依存しないが、ポンプが、印加されたポンプ電圧で引っ張る電流は、lが減少する場合に増加する。
【0096】
ポンプ速度
図5は、図4の形態と寸法の、台形注入器及び矩形の流体受容要素の合計のポンプデータを示す。速度に対する無負荷(開放運転)の電圧は、三角形のデータ点として示される。流れを停止する圧力に対する無限負荷(閉じられた流出チャンバ)の電圧は、菱形のデータ点として示される。負荷を取って注入する間の圧力に対する電圧は、四角形の点である。
【0097】
注入器の流れのコンダクタンスGl及び流体受容負荷要素の流れのコンダクタンスGLは、それぞれ方程式3及び方程式4を使って計算される。これらの式は、台形の注入器及び矩形負荷に対して、それぞれに方程式1及び方程式2を微分して得られる。
【数3】

【数4】

【0098】
これらの方程式、及び周知の空隙率とポア径と図4に示した要素の寸法から、注入器のコンダクタンスは、-6.4nL/s/atm及び全負荷コンダクタンスは27nL/s/atmであることが、決定された。これらの計算された、ポンプ及び負荷のコンダクタンス線は、図5にも示される。注入器及び流体受容要素の、流体工学的相当回路は、図4に示される。図5のグラフから、注入器に接続する場合に、流れコンダクタンスが分かっているどんな受容する流体工学的要素を介して、注入速度を得ることが可能となる。与えられた電圧で、負荷コンダクタンス線と注入器コンダクタンス線の交点が、受容要素を介して流体流れを駆動する空気チャンバの空気圧を、及び要素を介して流体流れの速度を示す。負荷を介した流速は、無負荷(開放運転)時の最大ポンプ速度に、GL/(GL+Gl)を掛けたて与えられる。注入器のコンダクタンスが、流体受容要素のコンダクタンス(それに直列に接続される流体工学的回路のコンダクタンスを含む)より非常に小さくなる、Gl<<GL、いかなる時も、注入器ポンプ速度は、無負荷(開放運転)時の注入器の最大ポンプ速度に接近し、ポンプ速度は、流体受容要素及びそれに接続された流体工学的回路の負荷コンダクタンスの値から、相対的に独立して、負荷コンダクタンスが、注入器の運転中に、又は装置から装置で変化する場合には特に重要となるだろう。その結果、本発明の所望する回路は、この条件に近づいた運転となるべきである。この条件の達成のために、注入器のコンダクタンス、Glは、小さなポア径(方程式3の記号'a')材料を選択することによって最小化されるべきであり、一方受容要素及びそれに接続される流体工学的回路は、より大きなポア径をむしろ選択すべきである。
【0099】
さらにこの点を説明するために、図4の装置と相当回路を考える。無負荷時の最大ポンプ速度は、接続された負荷によって、係数27/(27+6.4)=0.81に減少される。受容する流体工学的要素が、0.001<η<0.002Pasの範囲で変化する粘性を有する試料流体によって、初めに満たされていたとしたらどうであろう。受容要素のコンダクタンスは、η=0.001の場合に、27nL/s/atmであり、一方η=0.002の場合に、13.5nL/s/atmである。もしも、受容要素が、初めにη=0.002の粘性の試料で満たされていて、η=0.001の粘性の注入流体を受容するならば、より粘性の高い試料流体が、より粘性の低い注入流体に置換されたとして、ポンプ速度は、最大速度0.68から最大速度0.81に増加する。ポンプ速度は、異なる粘性を有する異なる試料流体が評価分析される場合に、装置から装置へと同様に変化する。有効な装置の可変負荷によるポンプ速度の再現性は、詳細な診断評価分析フォーマットの要件によって決定されるが、一般的に、初めに試料流体を収納する受容要素に接続される注入器に対して、注入器のコンダクタンスは、受容要素のコンダクタンスの約0.05より小さくすべきである。Gl=0.05GLを有するポンプ速度は、通気運転で最大ポンプ速度の95%であり、負荷コンダクタンスの変化に全く不変である。Gl=6.4を有する図4の注入器に対して、所望する最小負荷コンダクタンスは、その結果128であり、40Vの一般的な運転電圧での流速は、44nL/sであり、負荷を介して流れを駆動する空気チャンバの圧力は、大気圧より0.34atm高くなる。
【0100】
有効な注入器ポンプ速度は、装置の診断適用部の流体受容要素を満たす時間によって計測され、流体受容要素の寸法によって、及び詳細な評価分析フォーマットに対する時間的な要求によって決定されるような、受容要素を満杯にするために許された時間で仕様が定められる。典型的な流体受容要素の寸法は、約1000nLの容積に対して、長さ10mm×幅1mm×高さ0.15mm及び空隙率0.7である。典型的な有効なポンプ速度は、一般的な流体受容要素を満杯にする時間が、約50sかそれ以下、すなわち少なくとも20nL/sの有効なポンプ速度となる。短い流路長のポンプ(L<3mm)は、低電圧(V<12V)の仕様で運転できる。長い流路長のポンプ(3mm<L<6mm)は、多少より大きなポンプ電圧(12<V<25V)を必要とする。さらに長い流路長のポンプ(6mm<L<12mm)は、さらにより大きなポンプ電圧(26<V<50V)を必要とする。幅の広いポンプは、より早い流速となるが、もしもポンプの流出端部の寸法が、流体受容要素の寸法によって制約されるならば、そこで最適な高速ポンプは、流体受入れ端部で幅広く流出端部で狭くなる台形になる。
【0101】
漏洩速度
本発明の注入器は、二つの状態の、すなわちポンプ電力が付加されていない場合のオフ状態、及びポンプ電力が一体化電極に付加されている場合のオン状態の、一つの状態にあるとして特徴付けられる。最初のオフ状態において、注入器は、流出端部で空気ギャプ遮断手段によってその他の流体工学的要素から遮断される。理想的な最初のオフ状態において、空気ギャプ遮断手段を通過する漏洩流れは無い。オン状態において、注入器の流出端部を越える流体流れがある。理想的なオン状態において、流体流速は、付加ポンプ電力のみに依存すべきであり、ポンプの通常運転中に発生するかもしれないような、注入器の流入端部及び流出端部にわたる圧力差に依存するべきでない。ポンプ作動後の理想的なオフ状態において、微小反応器のような下流の流体工学的要素中の注入された流体の位置が、オフ状態の継続時間中に安定であるために、注入器への又は注入器からのさらなる漏洩流れは、あるべきでない。
【0102】
注入器のオフ状態の漏洩速度の大きさは、注入器が使用される前に、装置の流体工学的回路の使用中の注入器の空気ギャプ遮断手段の有効性を決定し、注入器によってポンプ輸送した後に、流体の位置上の安定性を決定する。空気ギャプ遮断手段は、注入器がその最初のオフ状態に(注入器が隣接する流体受容要素から遮断される必要が在る時間の間に)、注入器の流出端部を介して流入漏洩を又は流出漏洩をするかもしれない流体の総量が、流体に空気ギャプ遮断手段を通り抜け(及び、隣接する流体工学的要素に接触)させるためには不十分であるように、寸法が決められる。大きな容積の空気ギャプによって、非常に漏洩し易いポンプを遮断することが可能となる一方で、このマイナスの結果は、オン状態に注入器を運転する場合に、大きな空気ギャプ容積を満たすために掛かる余分の時間があることである。注入器の漏洩速度は、注入器の流れ抵抗、及び注入器を組込んでいる流体工学的回路の通常の運転中に発生するかもしれないような、オフ状態に注入器にわたる圧力差によって決定される。圧力差は、(注入器が、加圧流れによって、例えば隣接する注入器によって駆動されている流体受容要素に接続される場合に、一般的に10,000Paの又は0.1atmのオーダで周囲よりも高くなるに違いない、)隣接する流体工学的要素を通過する流体が流れる間に、又は注入器の流体と、流出端部に接近した能動的表面との間の相互作用による毛管現象の濡れ力(より小さく、一般的に100Paの)がある場合に、発生するかもしれない。
【0103】
注入器を組込んでいる本発明の診断装置を使用すると、注入器が流体によって始動した後に時間があり、その時間の間は遮断されていて、その時間は、一般的に約200sまでであるが、時々500sほどになる。この時間の間で、注入器の流速がオフ状態の漏洩流速である場合に、注入器の流出端部の遮断手段が満杯にならないことが要求される。さらに、その後のポンプ輸送をする間で、注入器がオン状態である場合に、遮断手段が、隣接する流体受容要素に電気浸透的に注入される流体によって、ほんの約数秒又はそれ以下で通り抜けされることが可能となることが要求される。例えば、もしも一般的な大きさの流体受容要素の中へ、一般的なポンプ速度20nL/sに一致する約50s又はそれ以下で1000nLの流体を注入することが要求されているならば、及び空気ギャプが流体受容要素の容積の約10%(これもまた一般的な値)である場合に、空気ギャプは、オン状態に5sで通り抜けされる。従って、有効な注入器に対して、オン状態の流れとオフ状態の漏洩流れの比率は、200/5=40又はそれ以上の範囲となるべきであるが、最小値において、20より大きくなるべきである。さらに一般的な場合において、流速と漏洩流速の比率に対する仕様は、もしも初めの遮断時間がより長ければ、より大きくなるだろう。例えば、500sの遮断時間に対して(だとすれば、例えば注入器から流体の注入段階の前に来る、微小反応器の中で発生する延長された捕縛段階の時間)、流速と漏洩速度との比率は、同一の流体受容要素及び空気ギャプ遮断手段構造のために、100になるに違いない。ポンプ輸送後のオフ状態の漏洩は、同様の方法で測定するとことが出来る。オン状態のポンプ輸送中に、50sで満杯になる流体受容要素の流体の容積が、ポンプがオフ状態である場合に、定温放置の段階の200sの継続時間にわたって約10%で安定しているならば、流速と漏洩速度との比率が40となるに違いない。5%の安定性のためには、比率は80となるべきである。結論として、本発明の注入器は、僅かばかり有用となるには少なくとも20の、一般的な適用においては40の、及び極端な場合には100の、漏洩速度の流れを有するに違いない。
【0104】
稼動中と停止中の流量比は、方程式1から導出され、以下の方程式で与えられる。
【数5】

【0105】
この割合は、微小多孔性注入器流路要素のポア径a、通常の運転中に発生するかもしれない注入器の圧力差P、同様に通常の運転時のポンプ電圧Vに依存する。注入器の漏洩は、注入器が通気口を有する空気チャンバで流体受容要素に接続される場合に、100Pa(10-3atm又は約1cm水頭)の圧力差で、及び注入器が閉じられた空気チャンバで流体受容要素に接続され、受容要素が流体を駆動する圧力を維持する場合に、10,000Pa(0.1atm)の圧力差で評価された。以下に示す表の中で、臨界ポア径と、二つの圧力に対して、一般的な運転仕様の40及び極端な場合の仕様要求の100の値で、流速比を達成するために必要とされる運転電圧とが、方程式2から計算された。
【表1】

【0106】
この表は、排出される流出物を有する注入器が、0.001Pa.sの粘性を有する水様の注入流体を用いて運転し、EOM=2E-8m2/Vsを有する材料を使用して、オフ状態に対するオン状態の流量比40(100)で運転することを指定し、100Paの圧力差で運転する場合に、100V未満の有効な低電圧で運転するためには、約2.0(1.3)μm未満の、好ましくは、12Vのバッテリー運転に対しては、0.7(0.4)μm未満の、及び5V運転に対しては、0.4(0.3)μm未満のポア径を有しなければならないことを示している。圧力差10,000Paを受ける流出端部に閉じられた空気チャンバを備え、一般的に40Vで運転される注入器は、約0.13μmかそれ以下のポア径を有する材料が要求される。
【0107】
本発明の注入器に要求される小さなポア寸法は、標準の側方流動診断装置で使用される微小多孔性材料の中で一般的に出会わないし、実験室チップ(lab-on-a-chip)技術の電気浸透ポンプの開水路(open channel)形態においても同様である。既存の実験室チップ技術で組立てられた微小流体工学的装置の中で一般的であるような、28μm半径の開水路で組立てられた注入器は、一般的に要求される40の流速比を達成するためには20,000Vで、及び100を達成するためには50,000Vで、運転することが必要であろう。従って、ポンプがオフ状態の漏洩流れに影響されやすいから、実験室チップ先行技術の標準の開水路ポンプは、本発明で述べたような空気ギャプを使用する受動的なバルブを利用する手段によって、バルブ調整することが出来ず、むしろポンプは、積極的な閉鎖手段によってバルブ調整しなければならない。
【0108】
実験データは、概ね上に示したモデル計算を立証する。小さなポア径の注入器材料から一貫して最小量の漏洩がある。数μmより大きなポア径を有する、停止中の注入器の遮断は、不良であり、詳細には、注入器の流出端部に接近する空気チャンバの表面が、活性である場合か、又は注入器流体中に界面活性剤がある場合である。
【0109】
一体化貯槽からの流体を用いた注入器の始動
一体化電極を備える注入器及びそれに接続される流体工学的回路を包含する、本発明の流体工学的モジュールは、注入器を始動する流体を収納する一体化密閉された貯槽をまた包含する、プラスチックのカード筐体の中に組込むことができる。流体工学的モジュール及び一体化流体貯槽を備える、カード筐体は、単一の一体化ユニット内に収納された評価分析のために必要な全ての試薬を備える一段階装置を包含する。本発明の流体工学的モジュールは、図1から4の略配置で述べられたような標準の印刷された回路基板で組立てられる。この場合に、外部の接触する手段と一体化電極の電気的な接触場所は、流体工学として同一側のモジュールの基板上にある。流体工学的モジュールは、二つの面を有する可撓性回路基板にまた組立てることもでき、基板は、基板を貫通する電気的な接続管を有し、その結果、流体工学的回路要素は、可撓性の基板の上部面に組立てることができ、外部の接触手段と接触する場所が下部面にある。これは、図6及び6Aで略図的に示された、流体工学的要素をクレジットカードの大きさのカード筐体に組込む場合に、所望される組立である。
【0110】
図6の装置図は、そこに埋め込まれた流体工学的モジュール及び密閉された流体貯槽を備える、クレジットカードの大きさの診断カードの平面略図である。図6Aは、図6の切断面AA'とBB'に沿った側面略図を示す。流体モジュールは、注入器が台形であることと、一体化電極が、流体工学的に基板の反対側で、基板を介して外部の接触手段と接続されることとを除いて、略図2Sに示したのと同一の流体工学的形態を有する。診断カードは、成形されたプラスチックカード筐体601を包含する。成形された筐体は、流体の貯槽キャビティ604を有し、それは、上部及び下部の、ポリエチレンフィルムを被覆されたアルミニウム箔ライナーで一列に並べられる。キャビティは、低い導電率の水様の緩衝剤を収納する。貯槽の流体は、アルミニウムライナーのポリエチレンコーティングを溶融することによって密閉される。カード筐体は、バルブ手段606に配置された流入端部を備えるトラフ603及び空気ベント613を備える流出端部605も包含する。カード筐体は、流体工学的モジュール600を受入れるために、さらにキャビティ602を包含する。
【0111】
流体工学的モジュール600は、両面を銅で金属化して金をコーティングしたエポキシ薄膜620のモジュール基板を包含する。モジュール基板の上部流体工学的側面において、金属部が、注入器と接触するために、一体化電気浸透ポンプ輸送電極623及び624、624A、624Bの中に形成された。下部において、金属部が、外部の電気的接触手段と接触するために、接触パッド621及び622、622A、622Bの中に形成された。エポキシ基板を介して四つの金属板の穴(その二つは、図6Aで示される625と626)があり、それらは、下部の接触パッドと上部の電極を電気的に接続する。形成された電極を有するエポキシモジュールは、技術的に周知の標準可撓性回路技術を使用して製作される。第一密閉手段627があり、それはエポキシモジュールの上表面に配置される型抜き接着性要素である。要素627は、一体化電極が注入器の流体工学的要素に接触する場所623、624、624A、及び624Bを除いて、モジュール表面を覆う。第一密閉層にわたって、微小多孔性の細長い要素629がある。要素629は、試料受入れ端部640、及び流出端部で既知の流体充填容積の流体収集要素641を有する。三つの微小多孔性注入器流路要素628、628A及び628Bがあり、これらの流出端部もまた、細長い領域629の長手方向に沿った三つの流体受容場所で、空気ギャプによって細長い要素629と隔離される。注入器の通路要素は、広い流体受入れ端部と狭い流出端部とを備える台形である。第二密閉要素630は、流体受入れ端部及び流出端部を除いて、及び注入器の流出端部で629の、空気ギャプ及び流体受容領域を含む空気チャンバを除いて、微小多孔性流体工学的要素を覆う。密閉手段627と630が、それらの周囲で圧縮される場合に、外辺部の密閉が、微小多孔性要素の周囲に形成される。
【0112】
最終組立において、流体工学的モジュール600は、筐体キャビティ602に挿入され、密閉される。カードは上部の型抜きラミネート610及び下部の型抜きラミネート611にさらに密閉される。この段階において、筐体要素は、流体工学的モジュールの注入器の流出端部で空気チャンバを囲い、流体工学的導管を形成するプラスチックのカードに603を介してモジュールを囲う。
【0113】
使用中、試料流体は、要素629の試料受入れ端部640に供給され、捕縛領域660を通過し細長い領域に沿って流れて、流体収集要素641に流入する。試料流体中の検体は、捕縛場所で捕縛される。次に、カードは、機器手段(instrument means)のカード入口に挿入される。カード入口は、カードの下面と係合するための要素を備えるスラブを包含する平らな表面を有する。カードを挿入する時に、カードの下面は、器具のカード挿入口のスラブ表面と平行であり、それから分離される。スラブは、モジュールの電気的接点パッドに隣接するバネ荷重を掛けた電気的接点、及びカードがカード入口に挿入された時に、カードの流体貯槽604及びバルブ606に隣接する、二つの高くなった領域を埋め込まれる。入口にある時に、カードは、次にスラブと接触する。バネ荷重接触の電気的要素は、モジュールの電気的接触パッドと接触させられる。第一スラブ高所は、場所650でカードと接触して、カード筐体の穴607を介してプラグ606を押し、従って場所608で上部積層密閉を剥がす。第二スラブ高所は、場所651でカードと接触して、流体貯槽を押し下げ、導管603の中へ剥がされた密閉領域608を介して流体を移動する。流体は、導管の領域603Aを満たしている導管の流出端部605に移動される。領域603Aは、注入器の流体受入れ領域である。さてこの場所の流体は、毛細管灯心現象で運ぶことによって、注入器の流体受入れ端部から流出端部まで充填する。注入器の流出端部の固形試薬は、毛管現象の充填液と接触して溶解する。機器制御された電圧が、流体受入れ領域603Aに接触する共通の接地電極621と第一注入器電極624Aとに印加され、溶解した酵素の標識を付けられたコンジュゲイトを含有する第一流体を、捕縛領域660を介して流出導管670へも含めて、細長い領域629に沿って電気浸透的に注入させる。標識を付けられたコンジュゲイトは、660で検体によって捕縛され、従って、捕縛された複合体に標識を付ける。第二の機器制御された電圧が、第二注入電極624に印加され、第二洗浄流体を、捕縛領域を介することも含めて細長い領域に沿って電気浸透的に注入させる。洗浄流体は、過剰な結合していないコンジュゲイトを除去する。第三機器制御された電圧が、第三注入電極624Bに印加され、酵素基質を含有する第三流体を、捕縛領域を介することも含めて細長い領域に沿って電気浸透的に注入させる。基質が、発光性基質である場合に、場所660で酵素標識を有する基質の反応が光信号を発生し、それは、カードの場所660に隣接する機器手段の光検出器によって計測され、光信号は、試料の中の検体の濃度に比例する。
【0114】
実験4:発光酵素化学ルミネッセンス試薬の電気浸透注入
この実験において、通気口を有する空気チャンバを備えていることを除いて、図2Qに示されたものと同一の注入器の形態が、使用される。この装置において、注入器は、流出開口部で1mm、流入開口部で4mm、及び長さ4.25mm×厚さ0.15mmの寸法の台形要素であり、空隙率0.7及びポア径0.11の微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを包含する。通気口を有する空気チャンバがあり、それは、流出端部を第一流体受容要素から分離する長さ0.5mmの空気ギャプを含む注入器の流出端部で、幅1mmの導管であった。第一流体受容要素は、中央に配置された流体受容領域、試料受入れ端部、及び流出端部を備える側方流動の細長い領域であった。この要素は、厚さ0.15mm×幅1mm×長さ8mmの、空隙率0.7及びポア径0.25μmを有する微小多孔性ポリエーテルサルフォンであった。別の0.5mm空気ギャプによって第一から分離される第二流体受容要素があった。第二流体受容要素は、厚さ0.15mm×2mm角のポリエーテルサルフォンパッドを包含する反応領域であって、ATP、発光酵素、マグネシウムイオン及び緩衝剤を含む溶液で含浸され、乾燥されている。評価分析試薬は、シグマ社から得られる。
【0115】
装置は、機器手段の挿入開口部に挿入された。評価分析するために発光酵素を含有する試料流体は、第一流体受容要素の流体受容端部に供給され、注入器は、注入器の流体受入れ領域に、2mmol/Lの水様のDEAを含有する流体を送った。流体は、流出端部までの二つの要素を満たした。各々の要素が流体で満された時に、機器制御された電圧(40V)が、注入器の一体化電極に印加され、流体が、(45nL/sで)注入器の流出端部からポンプ輸送された。この第一注入段階において、注入された流体は、第一流体受容要素の流体受容領域をオーバフローし、それを覆うために十分な、しかし第二流体受容要素の範囲までは覆わない時間(約20s)の間流れ、その時間で注入器の電圧はゼロになった。この時に、第一流体受容要素の流体受容領域の中の発光酵素は、注入流体と接触してその中に拡散した。第二注入段階において、20秒間、注入器に電圧(40V)を印加することは、流体をさらに移動させ、その結果、流体は、第二流体受容要素にわたって配置される。第二流体受容要素に隣接する光検出器(光電流1A当たり109V出力の増幅を備える5mm×5mmの大きさの光ダイオード:EOS社製)によって測定された光信号を発生する、第二流体受容要素中のルシフェラーゼと注入流体の中のルシフェリンとの間の反応があった。一群の同一の診断装置は、緩衝剤として連続的な希釈溶液によって用意された様々な濃度で、ルシフェリン試料を試験するために使用された。評価分析反応におけるルシフェリンのモル数は、濃度と、細長い注入器流体受容領域の流体容積とを掛け合わせたものであった。
【0116】
ルシフェリンに対する光信号のモル用量反応曲線は、1pmolのルシフェリン当たりの検出器出力の4mVの感度において、6×10-14から6×10-11molの用量範囲にわたって線形であった。この例示の実験は、二段階評価分析方式の第二段階の装置感度を決定するために使用される。二段階評価分析方式は、アルカリ性ホスファターゼ標識を、サンドウィッチ評価分析で使用するだろうし、そこで、標識を付けられた検体複合体は、試料流体細長い領域の捕縛領域で形成され、及び第一段階において、ルシフェリンフォスフェイト基質は、ルシフェリンを生成する捕縛領域に電気浸透的に注入される。第二段階で、ルシフェリンは、それが検出可能な光信号を生成するために、ルシフェラーゼと反応する第二流体受容要素に移送される。8mVの検出器のベースライン2SD変動性に基づいて、2×10-15 molのルシフェリンの検出限界が評価される。過度のルシフェリンフォスフェイトから1000mol/sを生成するアルカリ性ホスファターゼ標識に対して、100sの定温放置で2×10-20 molの標識の検出限界を評価する。検体のモル数当たり1モルのアルカリ性ホスファターゼで標識を付けられた場合に、2×10-15 mol/Lの検体を含有する容積10μLの試料流体は、2×10-20 molの標識を含有する。検体が、捕縛場所で完全に捕縛された場合に、捕縛されたアルカリ性ホスファターゼは、2×10-20 molとなる。それ故、10μLの試料容積に対する検出器の感度によって計測された検出の限界は、約2×10-15 mol/Lである。
【0117】
実験5:アルカリ性ホスファターゼ化学ルミネッセンスのためのジオキセタン基質の電気浸透注入
この実験において、通気口を有する空気チャンバを備えていることを除いて、図2Iに示されたものと同一の注入器の形態が、使用される。この装置において、注入器は、流出開口部で1mm、流入開口部で4mm、及び長さ4.25mm×厚さ0.15mmの寸法の台形要素であり、空隙率0.7及びポア径0.11の微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを包含する。通気口を有する空気チャンバがあり、それは、流出端部を第一流体受容要素から分離する長さ0.5mmの空気ギャプを含む注入器の流出端部で、幅1mmの導管であった。第一流体受容要素は、アルカリ性ホスファターゼ(トロピックス社から得られるCDP-star)のためのルミノジェニックジオキセタン基質を含有する、乾いた試薬受入れ領域であった。別の0.5mmの空気ギャプによって、第一要素から分離された第二流体受容要素があった。第二流体受容要素は、中央に配置された流体受容領域、試料受入れ端部、及び流出端部を有する、側方流動の細長い領域であった。この要素は、厚さ0.15mm×幅1mm×長さ8mmで、空隙率0.7及びポア径0.25μmの微小多孔性ナイロンであった。要素は、装置に組込む前に標準の製造業者の手順に従って、BSAを用いてブロックキングすることによって処理された。
【0118】
装置は、機器手段の挿入開口部に挿入された。評価分析するためにアルカリ性ホスファターゼを含有する試料流体は、第二流体受容要素の流体受容端部に供給され、注入器は、注入器の流体受入れ領域に、2mmol/Lの水様のDEAを含有する流体を送った。流体は、流出端部までの二つの要素を満たした。各々の要素が流体で満された時に、機器制御された電圧(40V)が、注入器の一体化電極に印加され、流体が、45nL/sで注入器の流出端部からポンプ輸送された。この注入段階において、注入された流体は、第一流体受容要素をオーバフローし、それを覆うために十分な時間(15s)の間流れて、その時間で注入器の電圧はゼロになった。この時に、第一流体受容要素の中のルミノジェニックジオキセタン基質は、注入流体と接触してその中に溶解した。第二注入段階において、注入器に電圧(40Vを20秒間)を印加することは、流体をさらに移動させ、その結果、流体は、第二流体受容要素にわたって配置される。第二流体受容要素に隣接する光検出器(光電流1A当たり109V出力の増幅を備える5mm×5mmの大きさの光ダイオード:EOS社から得られるデバイス)によって測定された光信号を発生する、第二流体受容要素の中のアルカリ性ホスファターゼと注入流体の中のジオキセタン基質との間の反応があった。一群の同一の診断装置は、緩衝剤として連続的な希釈溶液によって用意された様々な濃度で、アルカリ性ホスファターゼ試料を試験するために使用された。評価分析反応におけるアルカリ性ホスファターゼのモル数は、濃度と細長い試料の注入器流体受容領域の流体容積とを掛け合わせたものであった。
【0119】
アルカリ性ホスファターゼに対する光信号のモルの用量反応曲線は、1amolのアルカリ性ホスファターゼ当たりの検出器出力の100μVの感度において、1×10-14から1×10-18molの用量範囲にわたって線形であった。例示の実験は、サンドウィッチタイプのリガンド結合評価分析で、アルカリ性ホスファターゼ標識の検出器感度を決定するために使用された。5μVの検出器のベースライン2SD変動性に基づいて、5×10-20 molのアルカリ性ホスファターゼ、又は10μLの試料容積において5×10-15 mol/Lの検出限界を評価する。
【0120】
実験6:ストレプトアビジン捕縛場所で、アルカリ性ホスファターゼ標識によってビオチンのコンジュゲイトの捕縛、及び電気浸透的にポンプ輸送されるジオキセタン基質を使用する信号発生
これは、ルミノジェニック基質を供給するための注入器を備えた、側方流動の細長い領域で行われるリガンド結合評価分析の例である。この実験において、装置の形態は、図21に示されたものと同一である。注入器は、流出開口部で1mm、流入開口部で4mm、及び長さ4.25mmで厚さ0.15mmの寸法の台形要素であり、空隙率0.7及びポア径0.11の微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを包含する。第一流体受容要素は、アルカリ性ホスファターゼ(トロピックス社から得られるCDP-star)のためのルミノジェニックジオキセタン基質を含有する、乾燥した試薬受入れ領域であった。別の0.5mmの空気ギャプによって最初は分離された、第二流体受容要素があった。第二流体受容要素は、中央に配置された流体受容領域、試料受入れ端部、及び流出端部を備える側方流動の細長い領域だった。この要素は厚さ0.15mm、幅1mm、長さ8mmで、空隙率0.7及びポア径0.25μmの微小多孔性ナイロンであった。要素は、(10mg/Lを含有する溶液の600nLを注入することによって、)細長い領域の長手方向に沿って中央に配置された長さ1mmの捕縛場所にストレプトアビジンを供給することによって最初に処理され、それから、装置に組込む前に、製造者の推奨手順に従ってスーパーブロック(ピアースバイオテクノロジー社製)を用いてブロッキングすることによって処理された。
【0121】
装置は、機器手段の挿入開口部に挿入された。(0.1から50pmol/Lの範囲で)評価分析される濃度で、アルカリ性ホスファターゼ標識と共役結合されたビオチンを含有する6μLの試料流体は、第二流体受容要素の流体受容端部に加えられ、2mmol/Lの水様のDEAを含有する流体を送る注入器は、注入器の流体受入れ領域に宛がわれた。流体は、流出端部までの二つの要素を満たした。各々の要素が流体で満された時に、機器制御された電圧(40V)が、注入器の一体化電極に印加され、流体が、45nL/sで注入器の流出端部からポンプ輸送された。この注入段階において、注入された流体は、第一流体受容要素をオーバフローし、それを覆うために十分な時間(15s)の間流れて、その時間で注入器の電圧はゼロになった。この時に、第一流体受容要素の中のルミノジェニックジオキセタン基質は、注入流体と接触してその中に溶解した。第二注入段階において、注入器に電圧(40Vを20秒間)を印加することは、流体をさらに移動させ、その結果、流体は、第二流体受容要素にわたって配置される。第二流体受容要素に隣接する光検出器(光電流1A当たり109V出力の増幅を備える5mm×5mmの大きさの光ダイオード:EOS社から得られるデバイス)によって測定された光信号を発生する、第二流体受容要素の捕縛複合体の中のアルカリ性ホスファターゼと注入流体の中のジオキセタン基質との間の反応があった。一群の同一の診断装置は、緩衝剤として連続的な希釈溶液によって用意された様々な濃度で、アルカリ性ホスファターゼと共役結合されたビオチンの試験試料が使用される。評価分析は、ビオチンの1pmol/L当たり100μmVのダイオード信号の線形応答を与えた。5μVの検出器のベースライン2SD変動性によって計測される検出の限界は、5×10-14mol/Lであることを決定した。
【0122】
実験7:ストレプトアビジン捕縛場所で、アルカリ性ホスファターゼ標識と共役結合されたビオチンの捕縛、及び電気浸透的にポンプ輸送されるジオキセタン基質を使用する信号発生
これは、発光性基質を供給するための注入器を備える側方流動の細長い領域で行われる、典型的なリガンド結合評価分析の第二の形態である。この実験において、装置の形態は、図21に示したものと同一である。この装置において、注入器は、流出開口部で1mm、流入開口部で4mm、及び厚さ0.15mmで長さ4.25mmの寸法の台形要素であり、空隙率0.7及びポア径0.11の微小多孔性硝酸/酢酸セルロースを包含する。二つの流体受容要素と接続する場所で注入器の流出端部に閉じられた空気チャンバがあった。この空気チャンバは、注入器の流出端部で接続される幅0.6mm、高さ200μmの導管であり、二つの流体受容要素を通過し、幅2mm、長さ10mm、高さ200μmの閉じられたチャンバを終端とした。幅0.6mm、長さ1.5mmの第一流体受容要素から、注入器の流出端部を分離する長さ0.5mmの空気ギャプがあった。第一流体受容要素は、アルカリ性ホスファターゼ(トロピックス社から得られるCDP-star)のためのルミノジェニックジオキセタン基質を含有する乾燥した試薬受入れ領域であった。別の0.5mm空気ギャプによって初めから分離された第二流体受容要素があった。第二流体受容要素は、中央に位置する流体受容領域、試料受入れ端部、及び流出端部を備える側方流動の細長い領域だった。この要素は、厚さ2mm、幅11mm、長さ11mmで空隙率0.7及びポア径5μmの微小多孔性ナイロン(オスモニクス:マグナ膜)であった。要素は、(10mg/Lを含有する600nLの溶液を注入することによって、)中央流体受容領域と流出端部との間の細長い領域の場所で、細長い領域の長手方向に沿って位置する幅2mm、長さ1mmの捕縛領域に、ストレプトアビジンを適用することによって最初に処理され、それから、装置に組込む前に、製造者の推奨手順に従ってスーパーブロック(ピアースバイオテクノロジー社製)を用いてブロッキングすることによって処理された。
【0123】
装置は、機器手段の挿入開口部に挿入された。(0.1から50pmol/Lの範囲で)評価分析される濃度で、アルカリ性ホスファターゼ標識と共役結合されたビオチンを含有する6μLの試料流体は、第二流体受容要素の流体受容端部に供給され、注入器は、注入器の流体受入れ領域に、2mmol/Lの水様のDEAを含有する流体を送った。流体は、流出端部までの二つの要素を満たした。試料流体が第二流体受容要素を満たした時に、流体は、細長い領域の捕縛場所をオーバフローして、アルカリ性ホスファターゼの共役結合を有するビオチンは、捕縛場所で捕縛される。各々の要素が流体で満された時に、機器制御された電圧(40V)が、注入器の一体化電極に印加され、流体が、45nL/sで注入器の流出端部からポンプ輸送された。この注入段階において、注入された流体は、第一流体受容要素をオーバフローし、それを覆うために十分な時間(15s)の間流れて、その時間で注入器の電圧はゼロになった。この時に、第一流体受容要素の中のルミノジェニックジオキセタン基質は、注入流体と接触してその中に溶解した。第二注入段階において、注入器に電圧(40Vを20秒間)を印加することは、流体を第二流体受容要素に移動させ、流出端部に向かってそこを通過させ、その結果、流体は、細長い捕縛領域に配置される。第二流体受容要素に隣接する光検出器(光電流1A当たり1010V出力の増幅を備える5mm×5mmの大きさの光ダイオード:EOS社から得られるデバイス)によって測定された光信号を発生する、第二流体受容要素の捕縛複合体の中のアルカリ性ホスファターゼを有する、注入流体の中のジオキセタン基質との間の反応があった。一群の同一の診断装置は、緩衝剤として連続的な希釈溶液によって用意された様々な濃度で、アルカリ性ホスファターゼ標識と共役結合されたビオチンの試験試料が使用される。評価分析は、ビオチンの1pmol/L当たり243fAのダイオード信号の線形応答を与えた。1fAの検出器のベースライン2SD変動性によって計測される検出の限界は、4×10-15mol/Lであることを決定した。
【0124】
上に記述された本発明の実施形態は、単なる事例のつもりである。交換、修正、及び変更が、本発明の範囲から逸脱することなしに当業者によって、詳細な実施形態として実施されてもよく、本発明は、ここに書き添えられた特許請求の範囲によって、唯一画定される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1A】図1Aは、本発明の所望する実施形態に従う、流体受容要素に接続された一体化電極を包含する、機器制御された電子浸透注入器の略平面図を示す。
【図1B】図1Bは、本発明の所望する実施形態に従う、流体受容要素に接続された一体化電極を包含する、機器制御された電子浸透注入器の略断面図を示す。
【図1C】図1Cは、本発明の所望する実施形態に従う、流体受容要素に接続された一体化電極を包含する、機器制御された電子浸透注入器の略断面図を示す。
【図2A】図2Aは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2B】図2Bは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2C】図2Cは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2D】図2Dは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2E】図2Eは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2F】図2Fは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2G】図2Gは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2H】図2Hは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続する注入器の異なる形態の略平面図を示す。
【図2I】図2Iは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2J】図2Jは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2K】図2Kは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2L】図2Lは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2M】図2Mは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2N】図2Nは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2O】図2Oは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2P】図2Pは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2Q】図2Qは、一体化電極を包含する機器制御された電気浸透注入器、及び二つの流体受容要素と平行に接続する注入器の異なる形態の略平面図である。
【図2R】図2Rは、一体化電極を包含する複数の機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続の異なる形態の略平面図である。
【図2S】図2Sは、一体化電極を包含する複数の機器制御された電気浸透注入器、及び一つの流体受容要素と接続の異なる形態の略平面図である。
【図3A】図3Aは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3B】図3Bは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3C】図3Cは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3D】図3Dは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3E】図3Eは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3F】図3Fは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図3G】図3Gは、流体受容要素に接続された注入器の、流体を注入する運転中の流体流れの概平面図である。
【図4A】図4Aは、流体受容要素に接続された注入器の略平面図で、寸法をミリメータで示す。
【図4B】図4Bは、装置の流体流れの相当回路である。
【図5】図5は、図4Aの装置の流量特性を示す。
【図6】図6は、複数の注入器のマニホールド及び注入器の始動流体を収納する一体化密閉貯槽を備える、試料流路を組込んでいる一段階の診断カードの略平面図である。
【図6A】図6Aは、図6の診断カードの略断面図を示す。
【図6B】図6Bは、図6の診断カードの略断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体受容装置の流体受容場所に流体を輸送するための注入器ポンプであって、
流体を受け入れるための流体受入れ端部及び受容場所に流体を輸送するための流出端部部を有する、最初は乾燥している流路で、前記受入れ端部に流体の供給があると、前記流出端部まで自動的に流体で充填される前記流路と、
前記流体受容場所へ流路要素の前記流出端部から、流体を電気浸透的にポンプ輸送するための駆動配置と、
電気浸透のポンプ輸送をする間に、外辺部で前記流路からの流体流れを予防するために、前記流路の外辺部に沿って前記流路を密閉するための密閉要素と、
を具備する注入ポンプ。
【請求項2】
前記流路が流体を含んでいる時に、前記流出端部からの受動的な流体流れを防止するために、前記受容場所から、前記流出端部を流体工学的に遮断するための遮断器をさらに具備する、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項3】
前記遮断器が、前記流出端部に近接する空気ギャプである、請求項2に記載の注入ポンプ。
【請求項4】
前記最初に乾燥した流路が、微小多孔性材料から作られ、流体が、好ましくは、一体化した流体貯槽から、最も好ましくは、最初に密閉され、密閉の破壊の後で前記流路の前記受入れ端部に流体を放出する一体化した流体貯槽から、前記受入れ端部に供給される時に、毛管現象の作用によって完全に濡れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項5】
前記流路が、表面電荷とゼータ電位とを有する材料から作られる、請求項1から4のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項6】
前記駆動配置が、前記流路の流体に電位を印加するための一組の離間した第一と第二の電極、好ましくは、100Vより小さい値の電位で運転するための、前記第一と第二の電極である、請求項1から5のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項7】
前記第一電極が、第一場所で、好ましくは電気浸透のポンプ輸送をする間に、前記流出端部で前記流路に電界の無い領域を発生するために、前記流出端部から離間する前記第一の場所で、前記流路の流体と電気的に接触をし、前記第二電極が、前記受入れ端部で前記流体と電気的に接触するために、第二の離間した場所に位置づけられる、請求項6に記載の注入器ポンプ。
【請求項8】
前記電位を発生するための電気制御機器に、前記第一及び第二の電極を電気的に接続するための接点要素を、好ましくは、前記制御機器に電気的に接続するための接点と、前記第一及び第二の電極に前記接点要素を電気的に接続するための導電体とを備える電子回路基板をさらに具備する、請求項6又は7に記載の注入器ポンプ。
【請求項9】
前記第一及び第二の電極が、可撓性の電極モジュールの一部分である、請求項6から8のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項10】
前記受容要素が、微小多孔性側方流動流路、配管、微小反応器、及びチャンバのグループから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項11】
前記流体受容デバイスが、第一流体受容要素と第二流体受容要素とを含み、前記第一流体受容要素は、前記受容デバイスが、前記注入器ポンプから流体を受容する場合に、移動性となる固体の試薬を含有し、前記第二流体受容要素が、前記移動性を持った試薬を含有する前記注入された流体を受容するために、前記第一流体受容要素と流体工学的に接続される、請求項1に記載の注入器ポンプ。
【請求項12】
前記流路が、可動性の試薬を含有し、流体が前記受入れ端部に供給される時に、前記試薬は移動性を持って、毛管現象の流れによって前記微小多孔性流路の長手方向に沿って輸送され、好ましくは試薬が、発光性の基質、蛍光性の基質、起電性の基質、及び化学ルミネッセンスの基質、並びにその組合せのグループから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項13】
前記微小多孔性流路が、1μmより小さい、好ましくは、0.2μmより小さい半径のポアを有する、請求項3に記載の注入器ポンプ。
【請求項14】
前記電気浸透的なポンプ輸送される流体が、10mmol/Lより低い電解質濃度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項15】
前記流路が、その流出端部よりも幅広いその流体受入れ端部を備える台形の形状である、請求項1から14のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項16】
前記流体で充填された流路の流れコンダクタンスが、前記流体受容デバイスの受容場所での流れコンダクの少なくとも二十分の一である、請求項1から15のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項17】
前記流体受容場所で通気口を有する空気チャンバに、又は前記流体受容場所で閉じられた空気チャンバに、液体を供給するための、請求項1から16のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項18】
前記流体受容デバイスが、その長手方向に沿って流体受容場所を備える微小多孔性側方流動の細長い領域であり、好ましくは、試料受入れ端部と流出端部とを備える側方流動の細長い領域である、請求項1から17のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項19】
前記最初に乾燥した流路の中に、その受入れ端部で導入される流体が、一体化した流体貯槽から前記受入れ端部に供給される、請求項1から18のいずれか一項に記載の注入器ポンプ。
【請求項20】
微小評価分析装置であって、
微小反応器と、
前記微小反応器の中に試料を導入するための第一流体工学的要素と、
請求項1から19のいずれか一項に画定されるような注入器ポンプと、
を具備する微小評価分析装置。
【請求項21】
前記微小反応器の中に試料を導入するための前記第一流体工学的要素が、微小流路化された微小多孔性要素であって、それは、最初に乾燥していて、可動性の試薬を含有する、請求項20に記載の微小評価分析装置。
【請求項22】
前記微小反応器が、前記第一流体工学的要素の長手方向に沿って配置される、請求項20に記載の微小評価分析装置。
【請求項23】
前記第一流体工学的要素及び前記注入器ポンプの前記流路要素が、平面基板上に微細加工される、請求項20に記載の微小評価分析装置。
【請求項24】
前記第一流体工学的要素及び前記注入器ポンプの前記流路要素が、膜シートから型抜きによって形成される、請求項20に記載の微小評価分析装置。
【請求項25】
微小評価分析装置であって、
電気的に絶縁された基板と、
少なくとも一つの微小反応器と、
前記微小反応器に流体を供給するためのN流入流路のネットワークと、
前記微小反応器から流体を除去するためのM流出流路のネットワークと、
を具備していて、
前記少なくとも一つのN、M流路が、請求項1から19のいずれか一項に画定されるような注入器ポンプである、微小評価分析装置。
【請求項26】
前記注入器ポンプの前記流路の前記流出端部、前記空気ギャプ、及び前記微小反応器に試料を導入するための前記第一流体工学的要素が、空気を収納し、周囲から密閉された閉じられたチャンバの中に密閉され、又は空気を収納し、空気の通気導管を介して放出される閉じられたチャンバの中に密閉される、請求項20又は25に記載の微小評価分析装置。
【請求項27】
前記流体受容デバイスが、その長手方向に沿って流体受容場所を備える、微小多孔性側方流動の細長い領域である、請求項25又は26に記載の微小評価分析装置。
【請求項28】
一つ又はそれ以上の、前記N、M流路が、最初に乾燥していて、可動性の試薬、好ましくは、発光性の基質、蛍光性の基質、起電性の基質、及び化学ルミネッセンスの基質、並びにその組合せのグループから選択される試薬を含有する、請求項25から27のいずれか一項に記載の微小評価分析装置。
【請求項29】
一つ又はそれ以上の前記微小反応器が、導管であって、それが流体工学的に、第一流体工学的手段の領域に、又は前記注入器ポンプの流路の領域に接続される、請求項25から28のいずれか一項に記載の微小評価分析装置。
【請求項30】
一つ又はそれ以上の前記微小反応器が、前記N流入流路の長手方向に沿って、又は前記M流出流路の長手方向にに沿って配置される、請求項25から29のいずれか一項に記載の微小評価分析装置。
【請求項31】
一つ又はそれ以上の、前記M流出流路又は前記N流入流路が、微小多孔性要素であって、それが最初に乾燥していて、可動性の試薬を含有している、請求項25から30のいずれか一項に記載の微小評価分析装置。
【請求項32】
一つ又はそれ以上の、前記N流入流路又はM流出流路が、毛管現象を行う大きさであり、平面基板上に微細加工によって製造される、請求項25から31のいずれか一項に記載の微小評価分析装置。
【請求項33】
肝要な流体工学を備える診断装置であって、
試料受入れ端部のための第一端部及び流出端部のための第二端部を有する少なくとも一つの側方流動要素と、
化学反応を行うための、前記側方流動要素の長手方向に沿う少なくとも一つの微小反応器と、
前記微小反応器に流体を選択的に供給するための、請求項1から17のいずれか一項に画定されるような注入器ポンプと、
を具備する診断装置。
【請求項34】
少なくとも一つの側方流動要素が、可動性の化学試薬を備える最初に乾燥した微小多孔性要素である、請求項33に記載の診断装置。
【請求項35】
可動性の試薬が、標識を付けられたコンジュゲイトである、請求項34に記載の診断装置。
【請求項36】
前記注入ポンプの前記流体通路要素の前記流出端部、前記空気ギャプ、及び前記側方流動要素の前記流体受容場所が、空気を収納する閉じられたチャンバに密閉される、請求項33に記載の診断装置。
【請求項37】
試料流体中の検体を検出するために、肝要な流体工学を備えた診断装置であって、
電気的に絶縁された基板と、
前記基板上の微小反応器と、
前記微小反応器に、検体コンジュゲイト複合体を形成するためのレポータコンジュゲイトを供給するための少なくとも一つの側方流動要素と、
前記微小反応器に試料を供給するための流動工学的要素と、
前記微小反応器の流体受容場所に試薬を供給するための、請求項1から17のいずれか一項に画定されるような注入器ポンプと、
を具備する診断装置。
【請求項38】
検体コンジュゲイト複合体構造を検出するための手段をさらに具備する、請求項37に記載の診断装置。
【請求項39】
試料流体中の検体の濃度を検査するための一体化した診断装置であって、
検体コンジュゲイト複合体を捕縛するための微小反応器と、
前記微小反応器へ試料流体中の検体の輸送のための、主たる側方流動要素を備える基板と、
前記微小反応器へ試薬を供給するための少なくとも一つの補足の流路において、請求項1から17のいずれか一項に画定されるような注入器ポンプである補足の流路と、
を具備する診断装置。
【請求項40】
診断装置であって、
カード本体と、
流体受入れ端部及び流出端部を備えるカード本体に装着された、最初に乾燥した微小多孔性流路と
前記カード本体上に同様に装着された、密閉された流体貯槽と、
前記貯槽から貯蔵された流体を放出するために、前記密閉された流体貯槽を選択的に開放するためのバルブと、
前記微小多孔性流路の前記受入れ端部へ、前記流体チャンバによって放出される前記流体を供給するための導管と、
を具備する診断装置。
【請求項41】
診断装置であって、
試料受入れ端部及び流出端部を含む側方流動の細長い領域と、
機器制御された流体注入器から流体を受容するための、長手方向に沿った少なくとも一つの流体受容場所と、
前記流体受容場所の閉じられた空気チャンバと
を具備する診断装置。
【請求項42】
少なくとも一つの電気浸透ポンプを備える微小流体工学装置であって、
流路が、その表面でゼータ電位を有し、二つの離間する電極の場所で、一対の離間する電極と電気的に接続される流路をさらに具備していて、離間する電極が、絶縁基板の一方の側に形成され、電極を横切って電位を発生するための外部機器と接続するために、絶縁基板の他方の側に形成される二つの離間する接点位置に、基板を介して電気的に接続される、微小流体工学装置。
【請求項43】
絶縁基板が可撓性ホイルである、請求項42に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図2】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【公表番号】特表2007−504434(P2007−504434A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524190(P2006−524190)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001568
【国際公開番号】WO2005/022123
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505204354)エポカル インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】