説明

機器管理システムおよび機器管理方法

【課題】 需要家宅に設置されている電気機器の情報を、簡単なシステム構成で取得可能にする機器管理システムおよび機器管理方法を提供する。
【解決手段】 テレビ23A、…、ファンヒータ23Bといった電気機器に設けられると共に電気機器の型番等の機器データを記憶しているICタグ24A〜24Bと、ICタグ24A〜24Bとの通信により、ICタグ24A〜24Bから機器データを読み出す読み取り器22と、需要家宅で消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、読み取り器22から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網NWに送信する電力量計21と、通信網NWを経て電力量計21から機器データを受け取ると、この機器データを基にして、需要家宅に設置されている電気機器を管理する管理装置10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気の需要家宅に設置されている各種機器を管理する機器管理システムおよび機器管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気の需要家宅には、電気給湯器やIH(誘導加熱)クッキングヒータなど各種の電気機器が設置されている。例えば、これらの電気機器の保守等を行う場合、電気機器の型式などの機器に関する情報(以下、「機器情報」という)を担当者が需要家に問い合わせると、需要家は機器に取り付けられている銘板から機器情報を読み出して、担当者に伝える。この後、担当者は電気機器の機器情報を基に、必要とする機材を準備し、需要家宅に出向くことになる。しかし、需要家から聞き出した機器情報が間違っていた場合には、適切な機材を準備することができず、再度、需要家宅を訪れることもある。
【0003】
このような、電気機器の保守や使用状態などの確認の際に、機器情報を確実に得るために、次のシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、各電気機器にはメモリが設けられ、型式などの機器情報を表す機器データを、あらかじめメモリが記憶している。需要家宅では、メモリに機器データを記憶している電器機器に対しては、スレイブモデムが設置され、さらに、各スレイブモデムと通信するマスタモデムが需要家宅に設置される。マスタモデムは各電器機器のスレイブモデムから機器データを受信すると、各機器データと、住宅の識別データとを管理サーバに送信する。これにより、管理サーバは住宅の識別データに、電気機器の機器データを関連付けて管理する。この結果、需要家宅に設置されている電気機器については、管理サーバから例えば担当者が機器情報を得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−257347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、先に述べたシステムには次の課題がある。つまり、このシステムでは、電気機器の内部にメモリを設け、このメモリに識別データを記憶する必要がある。また、電気機器には、メモリからデータの読み書きを制御するCPU(Central Processing Unit)のような、電気の供給を必要とする制御部も内部に設けなければならない。さらに、需要家宅には、マスタモデムと各スレイブモデムとを、コンセントを利用した電灯線通信で接続する必要がある。つまり、先に述べたシステムでは、電気機器に各種の部品を取り付けるといった、大掛かりな作業が必要であり、しかも、システムの構成が複雑になる。
【0006】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、需要家宅に設置されている電気機器の情報を、簡単なシステム構成で取得可能にする機器管理システムおよび機器管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、機器に設けられると共に機器の型番等の機器データを記憶している非接触情報媒体と、前記非接触情報媒体との通信により、この非接触情報媒体から機器データを読み出す読み取り装置と、顧客宅で消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、前記読み取り装置から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網に送信する電力量計と、前記通信網を経て前記顧客宅の電力量計から機器データを受け取ると、この機器データを基にして、この顧客宅に設置されている機器を管理する管理装置と、を備えることを特徴とする機器管理システムである。
【0008】
請求項1の発明では、ICタグのような非接触情報媒体が、顧客宅に設置されている機器に設けられる。非接触情報媒体は機器の型番等の機器データを記憶している。また、顧客宅には、非接触情報媒体との通信により、この非接触情報媒体から機器データを読み出す読み取り装置が設置されている。さらに、顧客宅では、消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、読み取り装置から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網に送信する電力量計が用いられている。こうした状態のときに、例えばセンタに設置されている管理装置が通信網を経て顧客宅の電力量計から機器データを受け取ると、この機器データを基にして、この顧客宅に設置されている機器を管理する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の機器管理システムにおいて、前記管理装置は、不具合な機器を表すデータを参照し、管理している機器の中に不具合な機器があるかどうかを判定し、不具合な機器があれば、機器を所有する顧客の一覧を表すデータを作成する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の機器管理システムにおいて、前記管理装置は、最新の機器データの中に、現在管理している機器がないと、機器の撤去と判定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器管理システムにおいて、前記管理装置は、顧客の家族構成等を表す属性のデータを基に分類した生活様式と、管理している機器とから、生活様式に応じて顧客が所有する機器を抽出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の機器管理システムにおいて、前記管理装置は、管理している機器を基に、同種の機器を所有する顧客を集めてグループにし、このグループの顧客の中から消費電力量の少ない顧客を抽出し、この顧客の消費電力量と、このグループの別の顧客の消費電力量とを比較して、抽出した顧客に比べて消費電力量の多いときには、この消費電力量の多い顧客に対して、抽出した顧客の電気の使い方を提供する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、機器に設けられると共に機器の型番等の機器データを記憶している非接触情報媒体と、前記非接触情報媒体との通信により、この非接触情報媒体から機器データを読み出す読み取り装置と、顧客宅で消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、前記読み取り装置から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網に送信する電力量計とを用いる機器管理方法であって、前記通信網を経て前記顧客宅の電力量計から機器データを受け取り、前記顧客宅からの機器データを基にして、この顧客宅に設置されている機器を管理する、ことを特徴とする機器管理方法である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および請求項6の発明によれば、通信機能を持つ電力量計を利用し、かつ、機器データを記憶している非接触情報媒体を機器に設けると共に読み取り装置を設けるだけの構成により、顧客宅に設置されている機器を管理することができる。また、この発明によれば、従来のように、機器に対してメモリや制御部のような電気を必要とする部品の併設を不要にし、システムの形成を容易にすることが可能である。
【0015】
請求項2の発明によれば、リコールのような不具合の発生した機器を所有する顧客の一覧を、該当するメーカに提供することを可能にする。
【0016】
請求項3の発明によれば、管理している機器が撤去されたかどうかが分かるので、例えばこの機器の不法投棄などの防止を可能にする。
【0017】
請求項4の発明によれば、生活様式に応じて顧客が所有する機器のデータ、つまり、マーケティングデータを例えばメーカに提供することを可能にする。
【0018】
請求項5の発明によれば、顧客が機器を所有している状況に応じて消費電力量の多少を調べ、消費電力量が多い顧客については省エネを提案することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1によるシステムを示す構成図である。
【図2】ICタグの一例を示す構成図である。
【図3】読み取り器の一例を示す構成図である。
【図4】電力量計の一例を示す構成図である。
【図5】顧客テーブルの一例を示す図である。
【図6】電力量テーブルの一例を示す図である。
【図7】機器テーブルの一例を示す図である。
【図8】管理サーバの一例を示す構成図である。
【図9】機器集約処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】機器管理処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】集計データの一例を示す図である。
【図12】購買支援処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】省エネ支援処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
(実施の形態1)
この実施の形態による機器管理システムを図1に示す。図1のシステムは、管理センタ1に設置されている管理装置10と、通信網NWと、需要家宅2〜2に設置されている電力量計21〜21、読み取り器22および需要家宅2の電気機器に設けられているICタグとを備えている。さらに、管理装置10は、通信制御装置11、管理端末12、管理サーバ13およびデータベース(DB)サーバ14を備えている。なお、図1では、需要家宅2に設置されている読み取り器22だけを図示している。また、電気機器としては需要家宅2に設置されているテレビ23A、…、ファンヒータ23Bを例示し、ICタグとしては需要家宅2に設けられているICタグ24A〜24Bを例示している。さらに、各需要家宅2〜2の構成は類似しているので、以下では、需要家宅2を代表例として説明する。
【0022】
需要家宅2には、電力会社の配電線101から電気が供給される。配電線101からの電気は、需要家宅2に設置されている電力量計21を経て、最終的に需要家宅2の電気機器に供給される。需要家宅2の電気機器つまりテレビ23A、…、ファンヒータ23Bには、先に述べたように、ICタグ24A〜24Bがそれぞれ貼り付けられている。
【0023】
ICタグ24A〜24Bは同じ構成であるので、ICタグ24Aを代表例として説明する。ICタグ24Aは、需要家宅2のテレビ23Aに、接着剤等で貼り付けられている。ICタグ24Aを図2に示す。図2のIC(Integrated Circuit)タグ24Aは、アンテナ24Aと制御部24Aとシート材24Aとを備えている。ICタグ24Aとアンテナ24Aとは、屈曲自在なシート材24Aに形成されている。アンテナ24Aは読み取り器22から送信される電磁界を受信する。アンテナ24Aは、受信した電磁界の電力を制御部24Aに供給する。制御部24Aは半導体集積回路で形成されている。制御部24Aは、内部にメモリ(図示を省略)を持ち、需要家宅2に設置されているテレビ23Aの機器データをあらかじめ記憶している。機器データは、テレビ23Aの銘板などに書かれている情報と同様であり、
a.メーカ名
b.製造年月
c.機器分類
d.定格容量
e.型式
から成るデータである。制御部24Aに記憶する項目を必要に応じて増やすことが可能である。制御部24Aは、アンテナ24Aから電磁界の電力を受けると、この電力を直流に変換して動作する。つまり、ICタグ24Aは電力供給なしで動作する部品である。制御部24Aは、電磁界により動作すると、あらかじめメモリに記憶している機器データを読み出し、この機器データをアンテナ24Aから電磁界により送信する。
【0024】
このように、ICタグ24A〜24Bは、電気の供給がなくても動作し、読み取り器22からの電磁界に応じて、テレビ23A、…、ファンヒータ23Bの機器データを電磁界で送信する。
【0025】
読み取り器22は、需要家宅2内の例えば壁面に取り付けられ、ICタグ24A〜24Bから機器データを通信により読み出す。読み取り器22は、図3に示すように、アンテナ2211と制御部2212と出力部2213とを備えている。アンテナ2211は電磁界の送受信をする。制御部2212は、ICタグ24A〜24Bに対する読み取りを制御する。制御部2212は、内部に時計機能を持ち、定期的に、例えば1週間に1度、ICタグ24A〜24Bから機器データを読み出す。このとき、制御部2212は、アンテナ2211から電磁界を送信する。この後、アンテナ2211が電磁界により機器データを受信すると、制御部2212は、電磁界から機器データを分離し、この機器データを出力部2213に送る。出力部2213は、制御部2212からの機器データを電力量計21に出力する。
【0026】
電力量計21は、通信機能や外部機器の接続機能などを持つ電子式の計器であり、例えばスマートメータが電力量計21に該当する。電力量計21は、需要家宅2に電力を供給する引き込み線101に接続されている。需要家が電力を使用すると、電力量計21は使用された電力を検出して積算する。こうした電力量計21は、図4に示すように、電圧入力部2111、電流入力部2112、変換部2113、処理部2114、記憶部2115、表示部2116、通信部2117およびインターフェース2118を備えている。
【0027】
電圧入力部2111は、引き込み線101に設けられている変圧器102の検出電圧を受け取り、電流入力部2112は引き込み線101に設けられている変流器103の検出電流を受け取る。変換部2113は、電圧入力部2111の検出電圧と、電流入力部2112の検出電流とから、使用した電力に比例するパルス信号を生成して処理部2114に送る。記憶部2115は、電力量計21の識別情報である計器番号をあらかじめ記憶している。また、記憶部2115は、消費電力の積算値である電力量の検針日を、あらかじめ記憶している。表示部2116は液晶ディスプレイのような表示パネル(図示を省略)を備え、処理部2114の制御によって、表示部2116に消費電力量を表示する。通信部2117は、通信機能を持ち、通信網NWを経て管理センタ1と通信を行う。インターフェース2118は、外部機器の接続機能を持ち、読み取り器22の出力部2213から機器データを受け取る。
【0028】
処理部2114はCPUのような演算回路である。処理部2114は、年月日を調べるカレンダー機能と時刻を調べるタイマー機能とを持つ。処理部2114は、変換部2113からパルス信号を受け取ると、このパルス信号のパルスを計数する。つまり、処理部2114は、顧客が消費した電力に比例するパルスを計数することにより、顧客が消費した電力を積算して、消費電力量を算出している。処理部2114は、こうして算出した消費電力量を表示部2116に表示する。また、処理部2114は、所定時間毎のパルス数、つまり、所定時間毎の消費電力量を各日毎に記憶部2115に記憶していく。
【0029】
処理部2114は、記憶部2115の検針日とカレンダー機能とにより検針日を調べ、検針日の所定時刻になると表示部2116に表示している消費電力量を検針して検針データとする。そして、処理部2114は、タイマー機能とカレンダー機能から調べた検針時刻を含む検針日と、記憶部2115が記憶している計器番号および検針データとを、通信部2117を制御して、管理センタ1に送信する。また、処理部2114は、インターフェース2118を経て、読み取り器22から機器データを受け取ると、通信部2117を制御して、記憶部2115が記憶している計器番号と、機器データとを管理センタ1に送信する。
【0030】
管理センタ1は、需要家宅2〜2に設置されている電気機器を管理する機器管理サービスを提供する。管理センタの通信制御装置11は、通信網NWを経由したデータの通信を可能にする。つまり、通信制御装置11は、需要家宅2〜2からの検針データや機器データを受信して管理サーバ13に送り、また、企業内のローカルエリアネットワーク11Aからのデータ、例えば管理サーバ13からのデータを、通信網NWを経由して需要家の携帯電話機などに送信する。
【0031】
管理センタの管理端末12は、担当者によって操作される管理専用のコンピュータである。管理端末12は、担当者の操作により、例えば、機器管理サービスを利用している需要家宅2の需要家に対して、電気機器に関するデータを送信するように、管理サーバ13に対して指示する。
【0032】
管理センタのデータベースサーバ14は、機器管理サービスに必要とするデータを記憶して管理するための、専用のコンピュータである。データベースサーバ14が記憶するデータには、顧客テーブルがある。顧客テーブルは、機器管理サービスの利用申し込みをした顧客である、電気の需要家の一覧を記録している。この顧客テーブルの一例を図5に示す。この顧客テーブルには、需要家の氏名と、この需要家が電力会社との契約した際の契約番号と、需要家の住所とが記録されている。また、顧客テーブルには、需要家宅の電力量計の計器番号が記録されている。さらに、顧客テーブルには、需要家の連絡先として電子メールのアドレスなどが記録されている。
【0033】
データベースサーバ14が記憶するデータには、電力量テーブルがある。電力量テーブルは、電力量計の計器番号毎に作成された消費電力量のデータである。電力量テーブルには、日毎における所定時間毎の消費電力量、この実施の形態では、1時間毎の消費電力量が記録されている。電力量テーブルの一例を図6に示す。この電力量テーブルには、計器番号に対応して、各時刻の消費電力量が日毎に現時点まで記録されている。例えば、各日付けの「1時」の消費電力量は、00時00分から1時00分までの間の値を表している。なお、図示を省略しているが、電力量テーブルには、機器管理サービスの利用申し込みをしていない需要家のデータも記録される。
【0034】
データベースサーバ14が記憶するデータには、機器テーブルがある。機器テーブルは、機器管理サービスを利用する需要家宅2〜2に設置されている電気機器の管理状況を表すデータである。機器テーブルの一例を図7に示す。この機器テーブルには、需要家宅2〜2毎に、つまり、電力量計21〜21の計器番号毎に、所有されている電気機器のメーカ名、製造年月、テレビ等の機器分類、電気機器の定格容量、電気機器の型式、および、電気機器を需要家宅に設置した設置年月が記録されている。さらに、機器テーブルには、電気機器が撤去された年月が記憶されている。この他にも、機器テーブルには、必要に応じて各種事項が記録される。
【0035】
管理センタの管理サーバ13は、需要家等に機器管理サービスを提供するための専用のコンピュータである。管理サーバ13は、図8に示すように、処理部13A、記憶部13B、表示部13Cおよび通信部13Dを備えている。通信部13Dは、処理部13Aの制御によって、ローカルエリアネットワーク11Aとデータの送受信を行う。表示部13Cは、処理部13Aの制御によって、管理サーバ13の動作状態などを表示する。記憶部13Bは、データを記憶する記憶装置である。記憶部13Bは、管理サーバ13の動作に必要とするプログラムをあらかじめ記憶している。また、記憶部13Bは、プログラムを実行する際に各種データを一時的に記憶する。
【0036】
処理部13Aは、記憶部13Bに記憶されているプログラムを実行する。処理部13Aが実行するプログラムには機器集約処理がある。需要家宅2〜2の電力量計21〜21からのデータを、通信制御装置11が受信して管理サーバ13に送ると、処理部13Aは、図9に示す機器集約処理を開始し、入力されたデータを調べる(ステップS1)。管理サーバ13には、検針データや機器データなど各種のデータが通信制御装置11から入力され、処理部13Aはデータを記憶部13Bに記憶している。ステップS1で処理部13Aは、例えばデータ中のメーカ名や機器分類などを調べる。ステップS1の後、処理部13Aは、データが検針データであるかどうかを判定する(ステップS2)。ステップS2で、処理部13Aは、ステップS1の処理でデータ中にメーカ名や機器分類を表すデータがなければ、受信したデータが検針データであると判定する。
【0037】
ステップS2でデータが検針データであると判定すると、処理部13Aは、検針データに付加されている計器番号、検針時刻を含む検針日に従って、検針データにより消費電力量のデータつまり電力量テーブルを更新する(ステップS3)。一方、ステップS2でデータが検針データではないと判定すると、処理部13Aは、各需要家宅に設置されている電気機器の状況を表すデータつまり機器テーブルを、計器番号に従って更新する(ステップS4)。このステップS4で、例えば、前回入力された機器データに記録されている電気機器が、今回入力された機器データの中になければ、電気機器が撤去されているので、処理部13Aは、機器テーブルの撤去年月に、今回の機器データが入力された年月を記録して、機器テーブルを更新する。ステップS4の処理、または、ステップS3の処理が終わると、処理部13Aは機器集約処理を終了する。
【0038】
こうした機器集約処理により、需要家宅2〜2に設置されている電気機器の最新のデータと最新の消費電力量のデータとが機器テーブルと電力量テーブルとに記録される。機器テーブルは、電気機器の定格容量や設置年月などの管理状況を表す管理データである。そして、機器テーブルにより、需要家宅2〜2の電気機器の状況が管理される。
【0039】
この後、管理サーバ13の処理部13Aは、機器集約処理で得たデータを基にプログラムを実行する。このとき、処理部13Aが実行するプログラムは機器管理処理である。処理部13Aは、定期的に、例えば1週間に1度のような間隔で、機器管理処理を行う。処理部13Aは、機器管理処理を開始すると、前回の機器管理処理を行った後から現在までの間に入力されたデータを調べて(ステップS21)、不具合データがあるかどうかを判定する(ステップS22)。ステップS22で、処理部13Aは、データ中に例えば不具合や回収等を表す内容があれば、入力されたデータが不具合データであると判定する。不具合データには、メーカから直接、通信制御装置11を経て管理サーバ13に送られるものや、管理センタ1の担当者がメーカから連絡を受け、管理端末12を操作して管理サーバ13に入力されたものなどがある。
【0040】
ステップS22で不具合データがあると判定すると、処理部13Aは、不具合データに含まれている電気機器、つまり、不具合が発生した電気機器を、不具合対象として抽出する(ステップS23)。この後、処理部13Aは、需要家宅2〜2に設置されている電気機器を調べる(ステップS24)。ステップS24で、処理部13Aは機器テーブルを参照して、需要家宅2〜2に設置されている電気機器を調べる。ステップS24の後、処理部13Aは、ステップS23で抽出した不具合対象と、ステップS24で調べた電気機器とを照合し(ステップS25)、電気機器の中に不具合対象があるかどうかを判定する(ステップS26)。
【0041】
ステップS26で不具合対象があると判定すると、処理部13Aは、該当する電気機器を所有している需要家の一覧データを作成し(ステップS27)、一覧データを該当するメーカへ送り(ステップS28)、該当する各需要家に対して不具合の電気機器があることを表すメッセージを、顧客テーブルの契約番号のような識別データを付加して電子メールで連絡する(ステップS29)。
【0042】
一方、ステップS22で不具合データがないと判定すると、処理部13Aは、機器テーブルを基に管理中の電気機器を調べて(ステップS30)、電気機器の中で撤去されたものがあるかどうかを判定する(ステップS31)。ステップS31で、機器テーブルの撤去年月が新たに記録されていると、処理部13Aは電気機器が撤去されたと判定する。ステップS31で、撤去された電気機器がある場合、処理部13Aは、入力されたデータを調べ(ステップS32)、引っ越し・譲渡等により機器の移転を表す移転データがあるかどうかを判定する(ステップS33)。移転データには、通信制御装置11を経て、需要家から機器処分・譲渡等のデータが直接、管理サーバ13に入力されたものや、管理センタ1の担当者が需要家から機器処分・譲渡等の連絡を受け、管理端末12を操作して管理サーバ13に入力されたものなどがある。
【0043】
ステップS33で、移転データがない場合、処理部13Aは、電気機器の不法投棄の可能性を示す警告を行う(ステップS34)。ステップS34で、処理部13Aは、管理端末12に対しては、不法投棄の疑いありを表すメッセージを表示し、また、需要家に対しては、自治体で決められている電気機器の処分方法を、電子メールで送信する。
【0044】
ステップS34が終了したとき、ステップS26で不具合対象がないとき、ステップS29で不具合の通知をしたとき、ステップS31で電気機器の撤去がないとき、または、ステップS33で電気機器の移転がないとき、処理部13Aは、機器管理処理を終了する。
【0045】
次に、この実施の形態の機器管理システムを利用した機器管理方法について説明する。電力会社が提供する機器管理サービスを申し込んだ需要家については、管理センタ1のデータベースサーバ14の機器テーブルに計器番号などが登録される。この後、需要家宅2には、電力会社の担当者により読み取り器22が設置され、需要家宅2に設置されているテレビ23A、…、ファンヒータ23Bついては、各電気機器の銘板などに書かれている情報を担当者がICタグ24A〜24Bに入力し、この後、ICタグ24A〜24Bをテレビ23A、…、ファンヒータ23Bに貼り付ける。さらに、ICタグ24A〜24Bからデータを読み取る読み取り器22が需要家宅2に設置される。機器管理サービスを利用する他の需要家も同様である。
【0046】
こうした初期作業が終了し、電力量計21が送信する検針データや機器データを管理センタ1が受信すると、管理サーバ13は機器集約処理を行い、電力量テーブルや機器テーブルを更新していく。
【0047】
また、管理サーバ13は、定期的に機器管理処理を行い、メーカからの不具合データがあると、電力量テーブルを参照して、該当する電気機器を所有している需要家の一覧を調べてメーカに連絡すると共に、該当する需要家には、不具合の電気機器があることを連絡する。さらに、管理サーバ13は、電気機器の移転があるかどうかを調べる。電気機器の移転がある場合には、機器処分・譲渡等のデータを基にし、管理サーバ13は、管理端末12に対しては、不法投棄の疑いありを表すメッセージを表示する。また、需要家宅2に対しては、電気機器の処分方法を電子メールで送信する。
【0048】
このように、この実施の形態によれば、通信機能を持つスマートメータのような、電子式の電力量計を利用し、需要家宅にはICタグの読み取り器を設置し、各電気機器にはICタグを貼り付けるだけの、簡単な作業で電気機器を管理するためのシステムを構成することができる。つまり、従来のように、電気の供給を必要とするメモリや制御部のような部品を電気機器に併設することを不要にし、かつ、2種類のモデムも不要であるので、システムの形成が従来に比べると容易である。また、この実施の形態によれば、各需要家宅に設置されている電気機器のデータを基に、リコールのような不具合の発生した電気機器を所有する需要家の一覧を、該当するメーカに提供することができ、また、需要家には所有する電気機器に不具合が発生したことを伝えることができる。さらに、この実施の形態によれば、管理中の機器が撤去されたかどうかを把握することができるので、この撤去機器の処分方法などを需要家に伝えて、撤去機器の不法投棄などを防ぐことができる。
【0049】
(実施の形態2)
この実施の形態では、管理サーバ13は、実施の形態1の機器集約処理で得たデータを基に、メーカに対する購買の支援を行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。購買の支援を行うために、管理サーバ13は、集計データを作成して、データベースサーバ14に記憶する。集計データは、家族構成などのような、各需要家の属性を表す。この集計データの一例を図11に示す。この集計データは、顧客テーブルや電力量テーブルを参照して得たものである。また、各テーブルから得ることができない不足事項は、需要家に対する質問等で得たものである。例えば、需要家の氏名、契約番号などは電力量テーブルから得ることができ、家族構成は、電力量テーブルの時刻別の消費電力量から推定することができる。また、持ち家かどうか、故障している電気機器などの有無は、需要家に対する質問で得ることができる。
【0050】
管理サーバ13は、集計データと機器データとを用いて、購買の支援を行うプログラムを、例えばメーカ等の要望に応じて実行する。これにより、管理サーバ13の処理部13Aは、図12に示す購買支援処理を開始する。処理部13Aは、購買支援処理を開始すると、集計データを調べて(ステップS41)、各需要家のライフスタイル(生活様式)を分類する(ステップS42)。ステップS42で、処理部13Aは、例えば、家族構成が多いにもかかわらず、消費電力量が少ない場合はライフスタイルが節約志向であるとし、高額な電気機器を多く所有している場合には、高額品志向などとする。また、需要家の家族構成を基にしてライフスタイルを分類してもよい。この場合には、電力量テーブルの時刻別の消費電力量から家族構成を推定することができる。例えば、昼間の消費電力量が少なく、夜間の消費電力量が多ければ単身者、昼間の消費電力量が少なくても正午頃の消費電力量が多く、夜間の消費電力量も多ければ2〜3人家族、といったように家族構成を分けることができる。ステップS42が終了すると、処理部13Aは、機器テーブルを参照し、各ライフスタイルの需要家が所有する電気機器を、順位を付けて集計し、ライフスタイル別機器データを作成する(ステップS43)。また、処理部13Aは、集計データを参照して、故障が発生している電気機器を集計し、故障機器データを作成する(ステップS44)。
【0051】
ステップS43が終了すると、作成したライフスタイル別機器データやステップS44で作成した故障機器データ、つまり、マーケティングデータをメーカに提供すると共にメーカから買い替え時期にきている電気機器の一覧を表すデータや、現在売れている電気機器を表すデータを受け取る(ステップS45)。この後、処理部13Aは、顧客テーブルを参照して需要家を抽出し(ステップS46)、抽出した需要家については、機器テーブルを参照して、買い替え時期に該当する電気機器を所有しているかどうかを判定する(ステップS47)。ステップS47で、需要家が買い替え時期に該当する電気機器を所有していると、ステップS42で分類した需要家のライフスタイルと、ステップS43で作成したライフスタイル別機器データとを参照し、買い替え時期にきている電気機器について、需要家が属するライフスタイルでの売れ筋品等の情報を、需要家に対して提供する(ステップS48)。ステップS48が終了すると、処理部13Aは、顧客テーブルを参照して、未抽出の需要家があるかどうかを判断する(ステップS49)。未抽出の需要家があると、処理部13Aは、次の需要家を抽出して(ステップS50)、処理をステップS47に戻す。
【0052】
一方、ステップS47で、需要家が所有する電気機器には買い替え時期に該当するものがなければ、需要家の要望状況に応じて、電気機器の売れ筋品等の情報を需要家に対して提供する(ステップS51)。ステップS51で、例えば、顧客が日頃から各種の問い合わせを、電子メールなどで行っているという記録があれば、処理部13Aは需要家が情報の要望をすると判断する。
【0053】
ステップS51が終了するか、または、ステップS49で未抽出の需要家がなければ、処理部13Aは購買支援処理を終了する。
【0054】
このように、この実施の形態によれば、需要家のライフスタイルにより所有される電気機器の一覧や故障の有無の状態、つまり、マーケティング情報をメーカに対して提供することができる。また、この実施の形態によれば、ライフスタイルに応じた人気商品の情報を需要家に提供することができる。
【0055】
(実施の形態3)
この実施の形態では、管理サーバ13は、機器集約処理で得たデータを基に省エネルギー(以下、「省エネ」という)の支援を行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。管理サーバ13は、顧客テーブルと機器テーブルとを用いて、省エネの支援を行うプログラムを、例えば季節毎に実行する。管理サーバ13の処理部13Aは、省エネの支援を行うプログラムを実行すると、図13に示す省エネ支援処理を開始する。処理部13Aは、省エネ支援処理を開始すると、顧客テーブルと機器テーブルとにより、同じ製造年月と同種の電気機器の所有に応じて需要家を分類して、需要家をグループ化する(ステップS61)。この後、処理部13Aは、電力量テーブルを参照し、各グループで消費電力量の少ない需要家を調べてモデルケースとし(ステップS62)、モデルケースの時刻による消費電力量、つまり、モデルケースの電気の使い方をモデルスタイルとする(ステップS63)。モデルスタイルは、時刻別に通常使用している電気機器について、モデルケースの需要家に問い合わせて得たデータを利用してもよい。
【0056】
ステップS63が終了すると、処理部13Aは、顧客テーブルを参照して需要家を抽出する(ステップS64)。この後、処理部13Aは、抽出した需要家については、この需要家が属するグループのモデルケースの消費電力量と、需要家の消費電力量とを比較し(ステップS65)、需要家の消費電力量が多いかどうかを判定する(ステップS66)。消費電力量が多いと判定すると、処理部13Aは、モデルケースのモデルスタイルを需要家に電子メール等で提供する(ステップS67)。ステップS67が終了すると、処理部13Aは、顧客テーブルを参照して、未抽出の需要家があるかどうかを判断する(ステップS68)。未抽出の需要家があると、処理部13Aは、次の需要家を抽出して(ステップS69)、処理をステップS65に戻す。
【0057】
ステップS66で消費電力量が少ないと判定したとき、または、ステップS68で未抽出の需要家がないと判定したときには、処理部13Aは省エネ支援処理を終了する。
【0058】
このように、この実施の形態によれば、需要家が電気機器を所有している状況に応じて消費電力量の多少を調べ、消費電力量がモデルケースに比べて多い場合には、省エネを需要家に提案することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、電気機器の管理以外にも、家庭で使用されるガス機器等の各種の機器の管理にも利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 管理装置
11 通信制御装置
12 管理端末
13 管理サーバ
14 データベースサーバ
〜2 需要家宅
21〜21 電力量計
22 読み取り器(読み取り装置)
24A〜24B ICタグ(非接触情報媒体)
NW 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に設けられると共に機器の型番等の機器データを記憶している非接触情報媒体と、
前記非接触情報媒体との通信により、この非接触情報媒体から機器データを読み出す読み取り装置と、
顧客宅で消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、前記読み取り装置から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網に送信する電力量計と、
前記通信網を経て前記顧客宅の電力量計から機器データを受け取ると、この機器データを基にして、この顧客宅に設置されている機器を管理する管理装置と、
を備えることを特徴とする機器管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、不具合な機器を表すデータを参照し、管理している機器の中に不具合な機器があるかどうかを判定し、不具合な機器があれば、機器を所有する顧客の一覧を表すデータを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、最新の機器データの中に、現在管理している機器がないと、機器の撤去と判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の機器管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、顧客の家族構成等を表す属性のデータを基に分類した生活様式と、管理している機器とから、生活様式に応じて顧客が所有する機器を抽出する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、管理している機器を基に、同種の機器を所有する顧客を集めてグループにし、このグループの顧客の中から消費電力量の少ない顧客を抽出し、この顧客の消費電力量と、このグループの別の顧客の消費電力量とを比較して、抽出した顧客に比べて消費電力量の多いときには、この消費電力量の多い顧客に対して、抽出した顧客の電気の使い方を提供する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項6】
機器に設けられると共に機器の型番等の機器データを記憶している非接触情報媒体と、前記非接触情報媒体との通信により、この非接触情報媒体から機器データを読み出す読み取り装置と、顧客宅で消費される電力量を記録すると共に通信機能を持ち、前記読み取り装置から機器データを受け取り、この通信機能により機器データを通信網に送信する電力量計とを用いる機器管理方法であって、
前記通信網を経て前記顧客宅の電力量計から機器データを受け取り、
前記顧客宅からの機器データを基にして、この顧客宅に設置されている機器を管理する、
ことを特徴とする機器管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−40961(P2011−40961A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186000(P2009−186000)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】