説明

機械的なコンタクトを備えた構成部分及び該構成部分を製造するための方法

【課題】高い保持力で支持体に結合することができるコンタクトを備えた構成部分、並びに、高いコンタクト力で支持体に結合可能である構成部分を製造するための方法を提供する。
【解決手段】構成部分1を支持体3に、特にプリント配線板に結合するための機械的なコンタクト4を備えた構成部分1であって、コンタクト4に、接着材料から成る被覆部6が形成されていて、接着材料が、カプセル化された接着剤を含有している。支持体、特にプリント配線板に取り付けるための構成部分を製造するための方法であって、構成部分には、構成部分を支持体に結合するための機械的なコンタクトが設けられており、該コンタクトに、接着材料から成る被覆部6を取り付け、接着材料がカプセル化された接着剤を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1に記載の形式の機械的なコンタクトを備えた構成部分及び請求項8に記載の形式の構成部分を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術において公知の構成部分と、構成部分を製造するための方法では、構成部分は電気的なコンタクトを有しており、構成部分のこの電気的なコンタクトが、プリント配線板の開口に差し込まれる。この際に、電気的なコンタクトは圧潰され、形状接続的にプリント配線板に結合される。このようにして、構成部分とプリント配線板との間に機械的かつ電気的な結合が形成される。
【0003】
このようなプレス嵌め技術は例えば、センサケーシングをプリント配線板に結合するために使用される。プリント配線板を保持するために必要な力は主として、プレス嵌めコンタクトの数で決まる。センサの縮小化が進むことに基づき、配置のために必要なスペースは小さくなる。必要なプリント配線板のサイズは、電気的なコンタクトの所要スペースによりますます規定される。従ってコンタクトの数はできるだけ少ないのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、高い保持力で支持体に結合することができるコンタクトを備えた構成部分を提供することである。
【0005】
さらに本発明の課題は、高いコンタクト力で支持体に結合可能である構成部分を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、請求項1記載の構成部分並びに請求項8記載の方法により解決された。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の構成部分の利点は、コンタクトに、カプセル化された接着剤を有する接着材料を設けたことにある。このようにして構成部分に接着剤を設け、構成部分を支承させることができる。後の時点で初めて、構成部分が支持体に組み付けられ、接着が行われる。これにより、構成部分は、簡単かつ安価な大量生産に適している。
【0008】
請求項8記載の本発明による方法の利点は、後の時点で支持体に高い保持力で結合することができる構成部分が製造されることにある。この利点は、構成部分が、接着材料を有した層が塗布されたコンタクトを有しており、この接着材料がカプセル化された接着剤を有していることにより得られる。このようにして構成部分を、支持体との組み付けとは時間的に独立して製造することができる。
【0009】
本発明のさらに有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0010】
別の構成では、接着材料が塗料層、特にラッカ層を有している。これにより、接着剤の確実な被覆部が形成される。さらにラッカは、接着材料の機械的損傷に対する確実な保護を提供する。
【0011】
別の構成では、接着剤はアクリレート系を有しており、このアクリレート系はポリマ層によって取り囲まれている。これにより簡単かつ確実な接着剤系が提供される。
【0012】
別の構成では、コンタクトは同時に電気的なプレス嵌めコンタクトとして形成されている。これにより、コンタクトとの電気的なコンタクトも機械的なコンタクトも可能である。
【0013】
別の構成では、構成部分はプリント配線板に接着されており、この際に、コンタクトはプリント配線板の開口に差し込まれていて、カプセル化された接着剤の一部が露出され、コンタクトとプリント配線板との間の接着結合が行われる。このようにしてプリント配線板と構成部分との間に大きな保持力による機械的な結合が形成される。従ってコンタクトの数を減らすことができる。
【0014】
構成部分は例えば、自動車のための構成部分として、特に集積回路として、例えば制御装置として又はセンサとして形成することができる。
【0015】
カプセル化された接着剤のためのマトリックスとしてラッカを使用することにより、接着材料を、通常のラッカ被覆装置によって設けることができる。ラッカの硬化により乾いた、指触乾燥の、堅牢な被覆部が形成される。乾燥した被覆部は、常温で数年間保存可能である。従って、構成部分のさらなる加工との時間的なつながりは必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】組み付け前の構成部分とプリント配線板とを示した図である。
【図2】コンタクトの被覆部を概略的に示した図である。
【図3】プリント配線板に結合された構成部分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面につき本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0018】
図1には構成部分1が概略的に示されている。この構成部分1は例えば、センサとして、特に、ヨーレートセンサまたはサイドエアバッグセンサとして形成することができる。さらに構成部分1は、例えば制御装置のような、電気回路または集積回路として形成されていて良い。構成部分1はケーシング2を有しており、このケーシング2は例えば、プレモールドケーシングとして形成されている。ケーシング2内にはセンサと集積回路が、又は集積回路とセンサの組み合わせ体が、又は電気回路が形成されている。
【0019】
構成部分1を、支持体、例えば開口5を備えたプリント配線板3に電気的及び/又は機械的に固定するために、構成部分1はコンタクト4を有している。コンタクト4は例えば、プリント配線板3と構成部分1との間の電気的な接続を形成するために、機械的なコンタクトとして及び/又は電気的なコンタクトとして働く。例えばコンタクト4は、電気的なプレス嵌めコンタクトとして形成されていて良い。プリント配線板3は開口5を有している。コンタクト4は例えば金属ピンとして形成されている。さらにコンタクト4は少なくとも部分的に被覆部6を有している。
【0020】
図2には、コンタクト4の概略的な部分拡大図において、被覆部6の組成の例が示されている。被覆部6はマトリックス材料7を有しており、このマトリックス材料7にはカプセル化された接着材料8が埋め込まれている。カプセル化された接着材料8は、カバー9に取り囲まれた接着剤10を有している。接着剤10は例えば、カバー9としてのポリマ層によって取り囲まれるアクリレート系であって良い。従って、マトリックス材料7に埋め込まれるマイクロカプセルが準備される。マトリックス材料7としては例えばラッカを使用することができる。しかしながらラッカの代わりに、カプセル化された接着材料8の埋め込みを可能にする別種のマトリックス材料を使用することもできる。アクリレート系の代わりに別の接着剤系を使用することもできる。2つの接着成分を有する接着剤系では、これらの接着成分は別個のマイクロボール内に配置されている。カバー9が開かれて初めて、2つの成分が互いに反応し、接着結合を行わせる。
【0021】
被覆部6を設けるためには、被覆部6がコンタクト4上に塗布される又は吹き付けられる。マトリックス材料7としてラッカを使用する場合は、通常の塗布装置を使用することができる。
【0022】
マトリックス材料7、特にラッカの硬化後に、乾いた、指触乾燥の、堅牢な被覆部6が生じる。堅牢な被覆部6により、カプセル化された接着剤ボールが保護される。コンタクトの被覆は例えば、ケーシングの製造直後に行うことができる。乾燥した被覆部6は数年間保存可能である。従って、構成部分1のさらなる処理に時間的に連続している必要はない。
【0023】
図3には、プリント配線板3に組み付けられている構成部分1が示されている。このために、被覆部6を備えたコンタクト4が開口5に挿入されている。挿入時にマトリックス材料7は押しのけられ、プリント配線板3とコンタクト4との間の圧力によりカバー9は開かれる。これにより接着剤10が露出する。今や接着剤10はコンタクト4とプリント配線板3もしくはプリント配線板載置部との間の接着結合を形成する。使用された接着剤系に応じて、付加的な活性化機構は不要である。
【0024】
プレス嵌め過程で生じる圧力負荷及び剪断負荷により、カプセル化された接着剤ボール若しくはそのカバー9が破壊され、二成分接着剤を使用した際には、液状の中身が混合される。これにより、重合による成分の化学反応が生じる。結果として、接着剤系が硬化し、関与する構成部分間、特にコンタクト4とプリント配線板3との間に接着結合が形成される。使用された接着剤成分に応じて、例えば、接着剤を硬化させるための熱又はUV光のような付加的な活性化機構を使用することもできる。
【0025】
プレス嵌め過程後には、製造工程を制限なしにさらに続けることができる。接着結合部の硬化時間は6〜12時間である。硬化時間はアクリル成分の選択により調節することができる。
【0026】
ラッカ材料の適当な選択により、被覆部6の摩擦値に所望のように影響を与えることができ、摩擦値を下げることができる。これにより、摩擦値を、プレス嵌め過程に必要な最小のものにすることを保証することができる。
【0027】
接着剤系は例えば流体プラスチックと硬化剤とを有しており、それぞれカプセル化されて薄いポリマ壁内に入れられており、キャリア系に埋め込まれている。この場合、ポリマ壁は小さなボールを形成しており、このボール内に流体プラスチックと硬化剤とが別個にカプセル化されて挿入されている。構成部分を支持体に差し込む際に、ボールの少なくとも一部が、生じる圧力によって開放され、これによりプラスチックと硬化剤とが互いに混合される。さらに化学反応が生じ、硬化時間後に、コンタクトをプリント配線板に接着させる。
【0028】
相応の接着剤系は、例えばロックタイト(Loctite)社からLoctite−Dri Locの商品名で販売されている。LoctiteとLoctite−Dri Locは登録商標である。さらに相応の接着剤系は、3M社からSCOTCH GRIP−3M Nr.2451の商品名で販売されている。
【符号の説明】
【0029】
1 構成部分、 2 ケーシング、 3 プリント配線板、 4 コンタクト、 5 開口、 6 被覆部、 7 マトリックス材料、 8 接着材料、 9 カバー、 10 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部分(1)を支持体(3)に、特にプリント配線板に結合するための機械的なコンタクト(4)を備えた構成部分(1)であって、コンタクト(4)に、接着材料(8)から成る被覆部(6)が形成されていて、接着材料(8)が、カプセル化された接着剤を含有していることを特徴とする、コンタクト(4)を備えた構成部分。
【請求項2】
被覆部(6)が塗料層を有している、請求項1記載の構成部分。
【請求項3】
被覆部(6)が、封入された接着剤(9,10)から成るボールを有している、請求項1又は2記載の構成部分。
【請求項4】
接着剤がアクリレート系を有しており、前記ボールが、ポリマから成るカバー(9)によって覆われている、請求項3記載の構成部分。
【請求項5】
コンタクト(4)が、電気的なプレス嵌めコンタクトとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の構成部分。
【請求項6】
コンタクト(4)が、プリント配線板(3)の開口(5)に差し込まれており、コンタクト(4)がプリント配線板(3)に接着材料によって接着されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の構成部分。
【請求項7】
構成部分が、自動車のための構成部分、特に集積回路または制御装置又はセンサである、請求項1から6までのいずれか1項記載の構成部分。
【請求項8】
支持体、特にプリント配線板に取り付けるための構成部分を製造するための方法であって、構成部分には、構成部分を支持体に結合するための機械的なコンタクトが設けられており、該コンタクトに、接着材料から成る被覆部(6)を取り付け、接着材料がカプセル化された接着剤を有していることを特徴とする、構成部分を製造するための方法。
【請求項9】
構成部分のコンタクトを支持体の開口に差し込み、差し込む際に、カプセル化された接着剤を露出させ、露出された接着剤により、コンタクトと支持体との間に接着結合を形成する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
支持体をプリント配線板として形成する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
接着材料として、封入された接着剤から成るボールを使用する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
接着材料として、ポリマ層によって覆われたアクリレート系から成るボールを使用する、請求項11記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−50461(P2010−50461A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192804(P2009−192804)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】