説明

機械的アースへの容量性カップリングの除去機能を備えた集積センサ

集積センサ(CR)であって、
i)電気的アース(ME)を基準とする一次電源電圧(AP)に基づいて調整された電圧を供給するのに適した電圧調整器(RT)、
ii)一次電源電圧(AP)により給電され、物理量を表す電気的測定量を供給するのに適した高インピーダンスセンサ素子(ES)、
iii)前記調整された電圧に依存したアナログ基準を受け取るのに適した第1の入力側(+)と、前記電気的測定量を受け取る第2の入力側(−)とを有し、前記増幅された測定電圧を表す第1の出力電圧を供給するよう設計された、前記調整された電圧により給電される増幅モジュール(IR)
を有する形式の集積センサにおいて、この集積センサは電気的アースを電気的に基準とする一次電源電圧により給電される第1の微分増幅器を含んでおり、この第1の微分増幅器は、アナログ基準を受け取るのに適した第1の入力側と第1の出力電圧を受け取るのに適した第2の入力側を有しており、電気的アースを基準とする第1の増幅された出力電圧を表す第2の出力電圧を供給するよう設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高インピーダンス集積センサまたは超高インピーダンスセンサ素子に関する。
ここで、「集積センサ」という表現は、物理量を表す測定電圧を供給するよう設計された(超)高インピーダンスセンサ素子を含んだ装置(またはデバイス)であって、電子部品、特に電圧調整器と増幅積分器(または積分増幅器)に結合されており、全体が任意選択的に金属製の容器の中に集積されたものを意味している。
【0002】
上で述べたタイプの集積センサでは、電圧調整器は電気的アースを基準とする一次電源電圧に基づいて調整された電圧を供給するためのものであり、この調整された電圧により給電される積分器は、調整された電圧に依存する二次電圧を受け取る第1の入力側と、センサ素子からの測定電圧を受け取る第2の入力側を有しており、増幅された測定電圧を表す第1の出力電圧を供給するよう設計されている。
【0003】
当業者には知られているように、集積センサが例えば自動車エンジンのような電気的な妨害のある環境に設置された金属製容器の中に収納されている場合、この容器は機械的アースに電気的に結合している。その場合、センサ素子もその(超)高インピーダンスのせいで容量性カップリングにより機械的アースに電気的に結合している。機械的アースに接続された装置の周りを流れる電流(例えばスタータにより供給される電流)の強さのために、センサ素子の容量性カップリングが概して±1ボルト(V)の変動を測定電圧に生じさせることがあるため、測定電圧はもはや測定された物理量を実際に表すものではなくなってしまう。
この欠点を解消するために、センサ素子の周りに電磁遮蔽を置くことも可能である。しかし、このような遮蔽は一般に高価および/または嵩張る。
【0004】
また、機械的アースを基準とする電源電圧によってセンサ素子に給電することも可能である。しかし、積分器自体が電気的アースを基準とする調整された電圧によって給電されているならば、これでは部分的にしか問題が解決されない。
【0005】
また、積分器を微分モードで動作させることも可能であるが、これは、反転入力側と非反転入力側の絶縁インピーダンスが機械的アースに関して非対称であるため、効果的でない。
【0006】
それゆえ、本発明の課題はこのような状況を改善すること、より詳しくは、電磁遮蔽を用いずに、センサ素子の機械的アースへの容量性カップリングを少なくとも部分的に除去することである。
【0007】
この目的のために、冒頭で示したタイプの集積センサであって、下記のものを備えた集積センサを提案する。
電気的アースを基準とする一次電源電圧に基づいて調整された電圧を供給するように設計された電圧調整器、
一次電源電圧により給電され、物理量を表す電気的測定量を供給するよう設計された(超)高インピーダンスセンサ素子、
調整された電圧に依存したアナログ基準を受け取る第1の入力側と、電気的測定量を受け取る第2の入力側を有し、増幅された測定電圧を表す第1の出力電圧を供給するよう設計された、調整された電圧により給電される(選択的には積分器タイプの)増幅モジュール。
この集積センサは以下の特徴を有する。
この集積センサのセンサ素子と電圧調整器は両方とも機械的アースに電気的に結合されている。
この集積センサは電気的アースを電気的な基準とする一次電源電圧により給電される第1の微分増幅器を含んでおり、この第1の微分増幅器は、アナログ基準を受け取るのに適した第1の入力側と第1の出力電圧を受け取るのに適した第2の入力側を有しており、電気的アースを基準とする第1の増幅された出力電圧を表す第2の出力電圧を供給するよう設計されている。
【0008】
本発明による集積センサは、単独または組合せで取り入れられる他の特徴を含んでいてもよい。とりわけ、
一方では電気的アースに、他方では機械的アースに電気的に結合された保護手段であって、増幅モジュールを静電気放電から保護するよう設計された保護手段を有していてよい。
電気的アースに結合された増幅モジュールの第2の入力側に接続されたフィードバック手段であって、増幅モジュールにおいて増幅モジュールのこの第2の入力側とセンサ素子におけるスプリアスな電気的グリッチと影響を低減させるよう設計されたフィードバック手段を有していてよい。
例えば、フィードバック手段は、一方では、検出されたスプリアスな電気的グリッチを表す補助フィードバック電圧を受け取る第1の入力側と電気的アースに電気的に結合された第2の入力側を有し、前記補助電圧を表す第3の出力電圧を供給する第2の微分増幅器を、他方では、第3の出力電圧を受け取る端子と増幅モジュールの第2の入力側に電気的に接続された第2の端子を有する抵抗器を含んでいてよい。
この第2の微分増幅器は調整された電圧で給電することができる。
この集積センサの増幅モジュールは、第1に、調整された電圧により給電されるオペアンプを、第2に、このオペアンプの出力側と反転入力側にそれぞれ接続された第1の端子と第2の端子を有する容量素子を、第3に、分圧器ブリッジを有していてよい。なおここで、オペアンプは(アナログ基準を受け取る)第1の入力側である非反転入力側と、(電気的測定量を受け取る)第2の入力側である反転入力側とを有し、第1の出力電圧を供給するよう設計されており、分圧器ブリッジは、機械的アースに電気的に結合された第1の端子とオペアンプの非反転入力側に接続された第2の端子を備えた第1の抵抗器と、調整された電圧を受け取れるように電圧調整器の出力側に電気的に接続された第1の端子とオペアンプの前記非反転入力側に接続された第2の端子を備えた第2の抵抗器から成る。
この集積センサは、電圧調整器とセンサ素子と増幅モジュールと第1の微分増幅器とを収納する金属製容器、ならびに、オプションとして保護手段およびフィードバック手段を有していてよく、機械的アースに電気的に結合されることを意図したものであってよい。
【0009】
本発明はセンサ素子が圧電素子であるような集積センサに特に良く適しているが、このような集積センサのみに限られない。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、後で詳しく為される説明と、本発明による集積センサの実施例を概略的かつ機能的に示した単一の図を含んだ添付図面とを考察することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による集積センサの実施例を概略的かつ機能的に示す。
【0012】
添付図面は本発明を補足するのに役立つだけでなく、適切ならば、その確定にも寄与する。
【0013】
本発明の課題は、電磁遮蔽を用いずに、センサ素子の機械的アースへの容量性カップリングを少なくとも部分的に除去する(冒頭で述べたような)集積センサの構造を可能にすることである。
【0014】
以下のテキストでは、非限定的な例として、(超)高インピーダンス集積センサは自動車内に、例えばエンジン内部に埋め込まれており、物理量を表す測定電圧を提供するものとする。しかし、本発明のこの種の使用形態に限定されるものではない。実際、本発明は電気的な妨害のある環境に設置されるどのようなタイプの(超)高インピーダンス集積センサにも、特に工業的な用途で使用される(超)高インピーダンス集積センサに関するものである。
【0015】
単一図に概略的かつ機能的に示されているように、本発明による集積センサCRは、少なくとも1つの電圧調整器RT、高(超高)インピーダンスセンサ素子ES、(積分増幅器または高入力インピーダンス増幅器の形態で構成された)増幅モジュールIR、および第1の微分増幅器AD1を含んでいる。
【0016】
以下のテキストでは、集積センサCRは、集積センサCRが埋め込まれたエンジンの機械的アースMMに電気的に結合された金属製容器T(例えばチューブ)も含んでおり、この金属製容器T内には、他のすべての構成要素(特にRT,ES,IR,AD1)が収納されているものとする。
【0017】
さらに、以下のテキストでは、例示的で非限定的な例として、センサ素子ESは、例えば圧力(物理量)などのような機械的応力を電荷(以降、測定電荷QMと呼ぶ)に変換するよう設計された圧電素子であるものとする。より詳しくは、この例では、センサ素子ESは電気的測定量を測定された物理量に比例する測定電荷QMに依存する測定電流IMの形で供給する。例えば、この圧電素子ESは6pFの容量を示す。しかし、本発明のこの種のセンサ素子に限定されない。実際、本発明は物理量を表す電気的測定量を供給することのできるどんなタイプの(超)高インピーダンスセンサ素子にも関係している。したがって、センサ素子は、例えば、出力として測定電圧の形で電気的測定量を供給する酸素プローブであってもよい。
【0018】
本発明によれば、センサ素子ESは機械的アースMMを金属製容器Tに繋いでいる導通接続を介して機械的アースMMに電気的に結合されている。
【0019】
電圧調整器RTは、例えばエンジン制御を担うコンピュータの、電気的アースMEを基準とする一次電源電圧APによって給電される。
【0020】
本発明によれば、この電圧調整器RTは機械的アースMMを金属製容器Tに電気的に繋いでいる導通接続を介して機械的アースMMに電気的に結合されている。したがって、電圧調整器RTは一次電源電圧APを機械的アースMMを基準とする調整された電圧VRに変換するように設計されている。
【0021】
非限定的な例として、調整された電圧は3V(ボルト)に等しい。
【0022】
増幅モジュールIRは調整された電圧VRによって給電される。圧電センサタイプのセンサ素子の場合、増幅モジュールIRは第1の入力側(+)と第2の入力側(−)および1つの出力を有する積分増幅器である。この積分増幅器は、センサ素子ESにより供給される測定電流IM(電荷QMから導かれた)を積分によって第1の出力電圧VS1に変換するように設計されている。
【0023】
第1の入力側(+)は調整された電圧VRに基づいて形成されたアナログ基準を受け取るように設計されている。図示の例では、このアナログ基準は電圧基準(または定電位)VPである。
第2の入力側(−)は、センサ素子ESの端子のうち、機械的アースMMに接続されていない端子に接続されている。第2の入力側(−)は、例えば(図示されているように)容量性ループバック素子CA(例えばキャパシタ)によって、定電位VPに維持される。
【0024】
増幅器(積分器)IRの出力側は、容量性ループバック素子CAの容量Ccaの逆数に等しいゲイン関数によって増幅された測定電荷QMを表す第1の出力電圧VS1を供給するように設計されている。
【0025】
単一図に図示されているように、増幅器IRは、例えば、容量性素子CAと分圧ブリッジR1,R2とに接続されたオペアンプAOを含んでいる。
オペアンプAOは、調整された電圧VRによる給電を受けるための電源入力側、増幅器IRの第1の入力側を構成する非反転入力側(+)、増幅器IRの第2の入力側を構成する反転入力側(−)、および、増幅器IRの出力側を構成する出力側を有しており、非反転入力側(+)は電圧基準VPを受け取るように設計されており、反転入力側(−)はセンサ素子ESにより供給される電流IM(電荷QMに依存する)を受け取るように設計されており、出力側は第1の出力電圧VS1を供給するように設計されている。
【0026】
このオペアンプAOはまったく従来通りに動作する。オペアンプAOは、反転入力側(−)の電位が非反転入力側(+)の定電位VPに維持されるように、第1の出力電圧VS1をその出力側に供給する。また、オペアンプAOは、容量性ループバック素子CAを通して、センサ素子ESの電位を一定値に保つのに必要な電流を供給する。したがって、第1の出力電圧VS1は、定電位VPを容量性ループバック素子CAの端子間の電圧Vcaだけ増分させた値に等しい。なお、Vcaはセンサ素子ESにより供給される電流IMの積分によって与えられる(Vca=∫IM.dt/Cca=QM/Cca、ここでCcaは容量性ループバック素子CAの容量である)。
【0027】
容量性ループバック素子CAは、オペアンプAOの出力側に接続された第1の端子と反転入力側(−)に接続された第2の端子を有している。
【0028】
分圧ブリッジは例えば第1の抵抗器R1と第2の抵抗器R2から成る。第1の抵抗器R1は、機械的アースMMを金属製容器Tに電気的に繋ぐ導通接続を介して、機械的アースMMに電気的に結合された第1の端子と、オペアンプAOの非反転入力側(+)に接続された第2の端子を有している。第2の抵抗器R2は、調整された電圧を受け取るために電圧調整器RTの出力側に電気的に接続された第1の端子と、オペアンプAOに電圧基準(または定電位)VPを供給するためにオペアンプAOの非反転入力側(+)に接続された第2の端子を有している。
【0029】
この構成のおかげで、機械的アースMMの電位が変化しても、センサ素子ESの端子間電圧は変化しない。容量性ループバック素子CAがもはや電流を受け取らないので、その電荷は一定に保たれ、したがって、増幅器IRの第2の入力側(−)が定電位VPに維持される。このことから、オペアンプAOの出力側にはもはや「雑音」が存在しないことが導かれる。
【0030】
第1の微分増幅器AD1は、一次電源電圧APによって給電される電源入力側と、導通接続を介して電気的アースMEに電気的に結合されたアースを有している。したがって、微分増幅器AD1は電気的アースMEを電気的な基準とする。さらに、微分増幅器AD1は、オペアンプAOのバイアス点に(すなわち、非反転入力側(+)のレベルに)接続された、したがってこのバイアス点において分圧ブリッジR1,R2により定まる電圧VPに置かれた、例えば非反転タイプの、第1の入力側(+)と、第1の出力電圧VS1を受け取るように設計された、例えば反転タイプの、第2の入力側(−)を有している。最後に、微分増幅器AD1は、ゲイン関数によって増幅された第1の出力電圧VS1を表す第2の出力電圧VS2を供給するように設計された出力側を有している。なお、第2の出力電圧VS2は電気的アースMEを基準としている。
【0031】
種々の変形では、第1の微分増幅器AD1の第1の入力側(+)が機械的アースMMまたは電圧調整器RTにより供給される電圧を基準とすることもありうることに注意されたい。
【0032】
第1の微分増幅器AD1はまったく従来通りに動作する。図示された実施例では、第1の微分増幅器AD1は、第1の出力電圧VS1と分圧ブリッジR1,R2により決まる電圧VPの間の差に比例する第2の出力電圧VS2(VS2∝B*(VS1−VP)、ここでBは正または負となるゲイン)をその出力側に供給する。
【0033】
単一図に示されているように、本発明による集積センサCRはまた、機械的アースMMの電位に大きな変動が生じたときに発生する静電気放電(ESD)から増幅器IRを保護するよう設計された保護モジュールMPを任意選択的に含んでいてもよい。このために、保護モジュールMPは、一方では導通接続を介して機械的アースMMに、他方では保護モジュールMPを金属製容器Tに電気的に繋ぐ導通接続を介して機械的アースに、電気的に結合されている。
【0034】
例えば、保護モジュールMPはダイオードおよび/またはトランジスタの適切な組合せから形成することができる。例えば、保護モジュールMPは、第1の対が直列の2つのダイオードから成り、第2の対が第1の対のダイオードとは逆に直列配置された2つのダイオードから成る、2つのダイオード対を並列に配置することにより形成することができる。
【0035】
増幅器IRはフローティング電圧である第1の出力電圧VS1を供給するので、第2の入力側(−)に達するスプリアス電圧をできるだけ除去するのが有利である。したがって、単一図に示されているように、本発明による集積センサCRは任意選択的にフィードバックモジュールAD2,R3を含んでいてもよい。ここで、フィードバックモジュールAD2,R3は、増幅器IRの第2の入力側(−)とセンサ素子ESに生じうるスプリアスな電気的グリッチの影響を増幅器IRにおいて低減するよう設計されている。というのも、センサ素子ESは電気的アースMEを基準とする一次電源電圧APによって給電されるので、センサ素子ESの測定電荷QMは増幅器IRの第2の入力側(−)に生じうるスプリアスな電気的グリッチによって妨害されやすいからである。実際、これはオペアンプAOの電流および電圧におけるシフト(または「オフセット」)と、温度ドリフトのせいでセンサ素子ESから生じる非常に低周波のグリッチを補償することを必要とする。
【0036】
この目的のために、このフィードバックモジュールAD2,R3は増幅器IRの第2の入力側(−)に接続され、電気的アースMEに結合されており、制御装置(本発明の一部を形成するものではなく、エンジン制御ユニットとしてよい)のフィードバック補助電圧VCを受け取る。この制御装置は、詳しくは、増幅器IRの第2の入力側(−)とセンサ素子ESにおけるスプリアスな電気的グリッチを除去するように設計されている。したがって、この制御装置は、センサ素子ESの測定電荷QMに対するスプリアスな電気的グリッチの作用に対抗するようにフィードバック補助電圧VCを発生させる。
【0037】
例えば、単一図に示されているように、フィードバックモジュールは抵抗器R3に対して直列に配置された第2の微分増幅器AD2を含んでいてよい。
第2の微分増幅器AD2は、調整された電圧VRにより給電される電源入力側、機械的アースMMを金属製容器Tに電気的に繋ぐ導通接続を介して機械的アースMMに電気的に結合されたアース入力側、フィードバック補助電圧VCを受け取る第1の入力側、電気的アースMEに電気的に結合された第2の入力側、およびフィードバック補助電圧VCを表す第3の出力電圧VS3を供給する出力側を有している。この第2の微分増幅器AD2はまったく従来通りに動作する。第2の微分増幅器AD2の出力側は、電気的アースMEの電圧VMEとフィードバック補助電圧VCの差に比例する第3の出力電圧VS3(VS3∝C*(VME−VC)、ここでCはゲイン)を供給する。
【0038】
抵抗器R3は、第3の出力電圧VS3を受け取るように第2の微分増幅器AD2の出力側に接続された第1の端子と、増幅器IRの第2の入力側(−)に電気的に接続された第2の端子を有している。
【0039】
本発明のおかげで、機械的アースMMにおけるスプリアスな電気的グリッチの除去は、電圧調整器RTによって行われるオンライン除去と、第1の微分増幅器AD1および選択的にはさらに第2の微分増幅器AD2のコモンモード除去とによって保証される。
【0040】
本発明は例としてのみ示された上記の集積センサの実施形態に限定されるものではなく、当業者によって予想されうるすべての変形を包摂する。
【0041】
したがって、上記では、センサ素子が圧電センサであるような集積センサの実施例が記載されている。しかし、上で述べたように、センサ素子は他のタイプのものであってもよい。例えば、電気的な測定量を測定電圧の形で出力側から供給する酸素プローブを要するものであってもよい。この場合、増幅モジュールは積分増幅器ではなく、測定電圧を(好ましくは抵抗器を介して)受け取る第1の入力側と、抵抗フィードバック(前の実施例の容量性ループバック素子CAがここでは抵抗性ループバック素子(例えば抵抗器)に置き換えられている)の主体を形成する第2の入力側(反転)とを有する高入力インピーダンスの増幅器である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積センサ(CR)であって、
i)電気的アース(ME)を基準とする一次電源電圧(AP)に基づいて調整された電圧を供給するのに適した電圧調整器(RT)、
ii)一次電源電圧(AP)により給電され、物理量を表す電気的測定量を供給するのに適した高インピーダンスセンサ素子(ES)、
iii)前記調整された電圧に依存したアナログ基準を受け取るのに適した第1の入力側(+)と、前記電気的測定量を受け取る第2の入力側(−)とを有し、前記増幅された測定電圧を表す第1の出力電圧を供給するよう設計された、前記調整された電圧により給電される増幅モジュール(IR)
を有する形式の集積センサにおいて、
前記センサ素子(ES)と前記電圧調整器(RT)は機械的アース(MM)に電気的に結合されており、当該集積センサは前記電気的アース(ME)を電気的な基準とする前記一次電源電圧(AP)により給電される第1の微分増幅器(AD1)を含んでおり、当該第1の微分増幅器は、前記アナログ基準を受け取るのに適した第1の入力側と前記第1の出力電圧を受け取るのに適した第2の入力側を有しており、前記電気的アース(ME)を基準とする第1の増幅された出力電圧を表す第2の出力電圧を供給するよう設計されている、ことを特徴とする集積センサ。
【請求項2】
一方では前記電気的アース(ME)に、他方では前記機械的アース(ME)に電気的に結合されており、かつ前記増幅モジュール(IR)を静電気放電から保護するように設計された保護手段(MP)を有している、請求項1記載の集積センサ。
【請求項3】
前記増幅モジュール(IR)の前記第2の入力側(−)に接続され、前記電気的アース(ME)に結合されたフィードバック手段(AD2,R3)を有しており、該フィードバック手段(AD2,R3)が、前記増幅モジュール(IR)の前記第2の入力側(−)および前記センサ素子(ES)におけるスプリアスな電気的グリッチの影響を前記増幅モジュール(IR)において低減させるように設計されている、請求項1または2記載の集積センサ。
【請求項4】
i)前記機械的アース(ME)を基準とする第2の微分増幅器(AD2)、ただし、該第2の微分増幅器(AD2)は、検出された前記スプリアスな電気的グリッチを表すフィードバック補助電圧(VC)を受け取る第1の入力側(+)と、前記電気的アース(ME)に電気的に結合された第2の入力側(−)とを有しており、前記フィードバック補助電圧を表す第3の出力電圧を供給するものであり、
ii)前記第3の出力電圧を受け取る第1の端子と前記増幅モジュール(IR)の前記第2の入力側(−)に電気的に接続された第2の端子とを有する抵抗器(R3)を有する、請求項3記載の集積センサ。
【請求項5】
前記第2の微分増幅器(AD2)は前記調整された電圧により給電される、請求項4記載の集積センサ。
【請求項6】
前記増幅モジュール(IR)が、
i)前記アナログ基準を受け取る前記第1の入力側を構成する非反転入力側(+)と、前記電気的測定量を受け取る前記第2の入力側を構成する反転入力側(−)とを有する、前記調整された電圧により給電されるオペアンプ(AO)、
ii)前記オペアンプ(AO)の出力側に接続された第1の端子と反転入力側(−)に接続された第2の端子を有する容量性ループバック素子(CA)、
iii)前記機械的アース(MM)に電気的に結合された第1の端子と前記オペアンプ(AO)の非反転入力側(+)に接続された第2の端子を備えた第1の抵抗器(R1)と、前記電圧調整器(RT)の出力側に電気的に接続された第1の端子と前記オペアンプ(AO)の非反転入力側(+)に接続された第2の端子を供えた第2の抵抗器(R2)とから成る分圧ブリッジ(R1,R2)
を有する、請求項1から5のいずれか1項記載の集積センサ。
【請求項7】
前記電圧調整器(RT)、前記センサ素子(ES)、前記増幅モジュール(IR)および前記微分増幅器(AD1)を収納する金属製容器(T)、ならびに、任意選択的な保護手段(MP)およびフィードバック手段(AD2,R3)を有し、前記機械的アース(MM)に電気的に結合するのに適している、請求項1から6のいずれか1項記載の集積センサ。
【請求項8】
前記センサ素子(ES)が圧電素子である、請求項1から5のいずれか1項記載の集積センサ。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−515029(P2010−515029A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543352(P2009−543352)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010475
【国際公開番号】WO2008/080481
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(398050939)コンティネンタル オートモーティヴ フランス (60)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive France
【住所又は居所原語表記】1, Avenue Paul Ourliac, F−31036 Toulouse, France
【Fターム(参考)】