説明

機械翻訳装置、機械翻訳方法及び機械翻訳プログラム

【課題】 簡易に翻訳対象文に適した辞書データを用いた翻訳が可能な機械翻訳装置、機械翻訳方法及び機械翻訳プログラムを提供する。
【解決手段】 特徴ベクトル作成部10は、翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成するとともに、特徴ベクトル作成部20は、専門分野文の特徴を表す専門分野特徴ベクトルを作成する。カテゴリ分類器50は、これらに基づいて、翻訳対象文の各専門分野への帰属可能性を推定し、専門辞書選択部60は、その推定の結果に基づいて、翻訳対象文の翻訳に適した専門辞書データを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳対象文を入力し、辞書データを用いた翻訳を行う機械翻訳装置及び機械翻訳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、翻訳対象文を入力し、辞書データを用いた翻訳を行う機械翻訳装置が広く普及している。このような機械翻訳装置では、より適切な翻訳を可能とすべく、政治、経済等の専門分野毎に辞書データ(専門辞書データ)が設けられるものがある。この場合、複数の専門辞書データの中から如何にして翻訳対象文に適したものを選択するのかが重要である。
【0003】
例えば、特許文献1では、辞書データ選択の優先順位が利用者によって設定され、その優先順煮に基づいて辞書データを選択して翻訳を行う技術が提案されている。また、特許文献2では、翻訳対象文に含まれる各基本語に当該基本語がどの専門辞書データに登録されているのかを示す文脈ベクトルを付与し、翻訳対象文を基本語と専門分野とを属性とするテーブルに変換して、このテーブルと専門辞書対応テーブルとに基づいて専門辞書データを選択する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平7−141375号公報
【特許文献2】特開平6−332946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の技術では、利用者が手動によって辞書データ選択の優先順位を設定しており、煩雑である。また、特許文献2の技術では、専門辞書対応テーブルの設定には一定の専門知識が必要となる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、簡易に翻訳対象文に適した辞書データを用いた翻訳が可能な機械翻訳装置、機械翻訳方法及び機械翻訳プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、機械翻訳装置は、複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す専門分野特徴ベクトルを保持する第1の保持手段と、翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成手段と、前記第1の作成手段により作成された翻訳対象特徴ベクトルと、前記第1の保持手段に保持されている各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定手段と、前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択手段と、前記選択手段により選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳手段とを有する。
【0007】
これにより、翻訳対象文が帰属する可能性の高い専門分野に対応する専門辞書データが自動的に選択され、その専門辞書データを用いた適切な翻訳が可能となる。
【0008】
好ましくは、機械翻訳装置は、前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成手段を有する。
【0009】
好ましくは、機械翻訳装置は、前記第1の作成手段が、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成する。
【0010】
好ましくは、機械翻訳装置は、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供手段を有する。
【0011】
これにより、利用者は、翻訳対象文がどの専門分野に帰属する可能性があるのかを把握することが可能となる。
【0012】
好ましくは、機械翻訳装置は、前記提供手段が、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示する。
【0013】
本発明に係る、機械翻訳方法は、翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成ステップと、前記第1の作成ステップにより作成された翻訳対象特徴ベクトルと、複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定ステップと、前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択ステップと、前記選択ステップにより選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳ステップとを有する。
【0014】
好ましくは、機械翻訳方法は、前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成ステップを有する。
【0015】
好ましくは、機械翻訳方法は、前記第1の作成ステップが、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成する。
【0016】
好ましくは、機械翻訳方法は、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供ステップを有する。
【0017】
好ましくは、機械翻訳方法は、前記提供ステップが、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示する。
【0018】
本発明に係る、機械翻訳プログラムは、翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成ステップと、前記第1の作成ステップにより作成された翻訳対象特徴ベクトルと、複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定ステップと、前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択ステップと、前記選択ステップにより選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳ステップとをコンピュータに実行させる。
【0019】
好ましくは、機械翻訳プログラムは、前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成ステップをコンピュータに実行させる。
【0020】
好ましくは、機械翻訳プログラムは、前記第1の作成ステップが、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成する。
【0021】
好ましくは、機械翻訳プログラムは、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供ステップをコンピュータに実行させる。
【0022】
好ましくは、機械翻訳プログラムは、前記提供ステップが、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、翻訳対象文の翻訳に適した専門辞書データが自動的に選択されるため、簡易に専門辞書データを用いた適切な翻訳が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例に係る機械翻訳装置の構成を示す図である。図1に示す機械翻訳装置100は、特徴ベクトル作成部10、特徴ベクトル作成部20、専門分野ラベル付コーパスデータベース(DB)30、専門分野代表ベクトル群データベース(DB)40、カテゴリ分類器50、表示部52、専門辞書選択部60及び翻訳モジュール70により構成される。
【0026】
特徴ベクトル作成部10は、翻訳対象文を入力する。次に、特徴ベクトル作成部10は、この入力した翻訳対象文について、周知の文書解析手法である形態素解析を行い、当該翻訳対象文を単語に分割する。更に、特徴ベクトル作成部10は、単語毎に出現頻度(TF)をカウントする。そして、特徴ベクトル作成部10は、これら単語毎の出現頻度の数値のそれぞれを、その単語に対応する1つの次元の要素として含み、翻訳対象文の特徴を表すベクトル(翻訳対象特徴ベクトル)を作成する。ここで、翻訳対象特徴ベクトルの次元数と各次元に対応する単語とは、予め定められており、後述する専門分野単一特徴ベクトル及び専門分野代表特徴ベクトルと一致する。
【0027】
図2は、翻訳対象特徴ベクトル作成の一例を示す図である。特徴ベクトル作成部10は、翻訳対象文「ブッシュ米大統領とニューヨーク市内のホテルで在日米軍の再編問題について会談した。」を入力すると、当該翻訳対象文について形態素解析を行い、単語に分割する。更に、ここでは、特徴ベクトル作成部10は、形態素解析により得た単語のうち名詞のみを抽出する。すなわち、名詞である単語「ブッシュ」、「米」、「大統領」、「ニューヨーク」、「市内」、「ホテル」、「在日」、「米」、「軍」、「再編」、「問題」が抽出される。
【0028】
次に、特徴ベクトル作成部10は、抽出した単語について、出現頻度をカウントする。ここでは、単語「ブッシュ」、「大統領」、「ニューヨーク」、「市内」、「ホテル」、「在日」、「軍」、「再編」、「問題」が各1回ずつ出現しているため、これら単語については「1」とカウントされ、単語「米」が2回出現しているため、この単語については「2」とカウントされる。
【0029】
更に、特徴ベクトル作成部10は、単語「ブッシュ」、「大統領」、「ニューヨーク」、「市内」、「ホテル」、「在日」、「軍」、「再編」、「問題」に対応する次元については要素を「1」とし、単語「米」に対応する次元については要素を「2」とするとともに、これら以外の単語、すなわち、翻訳対象文に出現しない単語に対応する次元については要素を「0」とした翻訳対象特徴ベクトルを作成する。
【0030】
なお、特徴ベクトル作成部10は、例えば重要であると考えられる単語等の所定の単語については、出現頻度の数値をそのまま翻訳対象特徴ベクトルの要素とするのではなく、出現頻度の数値に所定の重み付け係数を乗じた値を翻訳対象特徴ベクトルの要素とする等、重み付けを行うようにしてもよい。
【0031】
また、翻訳対象文とともに、当該翻訳対象文の周辺の文(周辺文)が入力される場合には、特徴ベクトル作成部10は、翻訳対象文と周辺文の双方からなる文集合について、上述と同様の手法によって翻訳対象特徴ベクトルを作成するようにしてもよい。特徴ベクトル作成部10により作成された翻訳対象特徴ベクトルは、カテゴリ分類器50に送られる。
【0032】
一方、特徴ベクトル作成部20は、専門分野ラベル付コーパスDB30から専門分野ラベル付コーパスを読み出す。専門分野ラベル付コーパスは、政治、経済等の専門分野の文(専門分野文)に、その専門分野の識別情報であるラベルを付加したものである。なお、専門分野ラベル付コーパスDB30は、必ずしも機械翻訳装置10の内部に構成される必要はなく、特徴ベクトル作成部20は、業者による情報提供サービスを利用して取得した専門分野ラベル付コーパスを使用するようにしてもよく、インターネットのサイトから専門分野文を収集し、それにラベルを付加したものを専門分野ラベル付コーパスとして使用してもよい。また、後述する辞書データに単語の解説文が含まれているような場合には、特徴ベクトル作成部20は、その解説文を専門分野文として、それにラベルを付加したものを専門分野ラベル付コーパスとして使用してもよい。
【0033】
次に、特徴ベクトル作成部20は、上述した特徴ベクトル作成部10による翻訳対象特徴ベクトルの作成と同様、読み出した専門分野ラベル付コーパス内の専門分野文から当該専門分野文の特徴を表すベクトル(専門分野単一特徴ベクトル)を作成する。すなわち、特徴ベクトル作成部20は、専門分野文について形態素解析を行って単語に分割し、各単語について、出現頻度をカウントする。更に、特徴ベクトル作成部10は、これら単語毎の出現頻度の数値のそれぞれを、その単語に対応する1つの次元の要素として含む専門分野単一特徴ベクトルを作成する。特徴ベクトル作成部20は、作成した専門分野単一特徴ベクトルに、その作成に用いた専門分野ラベル付コーパス内のラベルを付加して、内蔵する記憶部(図示せず)に記憶する。
【0034】
更に、特徴ベクトル作成部20は、内蔵する記憶部内の専門分野単一特徴ベクトルを用いて、専門分野毎に、その専門分野に対応する専門分野単一特徴ベクトルを代表する専門分野代表特徴ベクトルを作成し、専門分野代表特徴ベクトル群DB40に登録する。
【0035】
具体的には、特徴ベクトル作成部20は、内蔵する記憶部内の専門分野単一特徴ベクトルについて、その専門分野単一特徴ベクトル付加されているラベルに基づいて、専門分野毎に分類する。更に、特徴ベクトル作成部20は、所定の専門分野に対応する専門分野単一特徴ベクトルが1つのみ存在する場合には、その1つの専門分野単一特徴ベクトルを、そのまま専門分野代表特徴ベクトルとして、付加されているラベルとともに、専門分野代表特徴ベクトル群DB40に登録する。
【0036】
一方、特徴ベクトル作成部20は、所定の専門分野に対応する専門分野単一特徴ベクトルが複数存在する場合には、これら複数の専門分野単一特徴ベクトルを代表する専門分野代表特徴ベクトルを作成する。例えば、特徴ベクトル作成部20は、複数の専門分野単一特徴ベクトルの同一次元の要素について平均値を算出し、これら平均値を要素とした専門分野代表特徴ベクトルを作成する。更に、特徴ベクトル作成部20は、作成した専門分野代表特徴ベクトルについて、その作成に用いた専門分野単一特徴ベクトルに付加されているラベルとともに、専門分野代表特徴ベクトル群DB40に登録する。
【0037】
カテゴリ分類器50は、特徴ベクトル作成部10からの翻訳対象特徴ベクトルを入力するとともに、専門分野代表特徴ベクトル群DB40に登録された、各専門分野毎の専門分野代表特徴ベクトルと、その専門分野代表特徴ベクトルに対応するラベルとを読み出す。
【0038】
次に、カテゴリ分類器50は、翻訳対象特徴ベクトルと、各専門分野代表特徴ベクトルとに基づいて、翻訳対象文が専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する。
【0039】
図3は、カテゴリ分類器50の処理の具体例を示す図である。カテゴリ分類器50は、各専門分野毎に、その専門分野に対応する専門分野代表特徴ベクトルを正例とし、その専門分野以外の専門分野に対応する専門分野代表特徴ベクトルを負例とした分類関数を作成する。この分散関数は、翻訳対象特徴ベクトルと、正例として用いた専門分野代表特徴ベクトルとの近似度、換言すれば、翻訳対象文が当該分類関数に対応する専門分野に帰属する可能性を算出するための関数である。図3では、「スポーツ」、「コンピュータ」、「経済」、「政治」、「歴史」及び「科学」の各専門分野について分類関数が作成される。
【0040】
次に、カテゴリ分類器50は、各分類関数に翻訳対象特徴ベクトルの要素を代入する。カテゴリ分類器50は、この代入の結果、分類関数の値が正であり、その値が大きいほど、翻訳対象文が当該分類関数に対応する専門分野に帰属する可能性(帰属可能性)が高いと判断し、分類関数の値が負であり、その値が小さいほど、翻訳対象文が当該分類関数に対応する専門分野に帰属する可能性が小さいと判断する。
【0041】
次に、カテゴリ分類器50は、分類関数の値に、その分類関数の作成の際に正例として用いた専門分野代表特徴ベクトルに対応するラベルを付加したカテゴリ分類結果を作成する。更に、カテゴリ分類器50は、カテゴリ分類結果に基づいて、翻訳対象文の各専門分野への帰属可能性を表すグラフを表示部52に表示させる。図3では、翻訳対象文が専門分野「経済」、「政治」、「歴史」、「科学」、「コンピュータ」、「スポーツ」の順に帰属可能性が高いことを示すグラフが表されている。また、カテゴリ分類器50は、カテゴリ分類結果を専門辞書選択部60へ出力する。
【0042】
専門辞書選択部60は、カテゴリ分類器50からのカテゴリ分類結果を入力すると、当該カテゴリ分類結果に含まれる分散関数の値とラベルに基づいて、翻訳対象文の各専門分野への帰属可能性を認識する。更に、専門辞書選択部60は、内蔵する記憶部(図示せず)に記憶されている専門分野毎の辞書データ(専門辞書データ)のうち、翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する。
【0043】
図3の例では、選択優先度は、翻訳対象文の帰属可能性の高い専門分野に対応する専門辞書データ順、すなわち、専門分野「経済」の専門辞書データ、「政治」の専門辞書データ、「歴史」の専門辞書データ、「科学」の専門辞書データ、「コンピュータ」の専門辞書データ、「スポーツ」の専門辞書データの順となる。従って、専門辞書選択部60は、専門分野「経済」の専門辞書データを最優先に選択する。
【0044】
なお、専門辞書選択部60は、複数の専門辞書データを選択するようにしてもよい。例えば、専門辞書選択部60は、分散関数の値の閾値を設け、カテゴリ分類結果に含まれる分散関数の値のうち、閾値以上のものを特定し、その特定した分散関数の値に付加されたラベルに対応する専門分野の専門辞書データを選択する。
【0045】
専門辞書選択部60によって選択された専門辞書データは、翻訳モジュール70に送られる。翻訳モジュール70は、入力した専門辞書データを用いて翻訳対象文の翻訳を行う。
【0046】
このように、機械翻訳装置100では、特徴ベクトル作成部10が、翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成するとともに、特徴ベクトル作成部20が、専門分野文の特徴を表す専門分野特徴ベクトルを作成する。そして、カテゴリ分類器50は、これらに基づいて、分類関数の値に応じた翻訳対象文の各専門分野への帰属可能性を推定し、専門辞書選択部60は、その推定の結果に基づいて、翻訳対象文の翻訳に適した専門辞書データを選択しており、簡易に翻訳対象文に適した辞書データを用いた翻訳が可能となる。また、翻訳対象文の専門分野のそれぞれへの帰属可能性がグラフ表示されるため、利用者は、翻訳対象文がどの専門分野に帰属する可能性があるのかを把握することが可能となり、例えば、専門辞書選択部60により選択された専門辞書データでは適切に翻訳ができなかった場合に、翻訳対象文が帰属する可能性が高い他の専門分野に対応する専門辞書データに選択しなおすといったことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上、説明したように、本発明に係る機械翻訳装置、機械翻訳方法及び機械翻訳プログラムは、簡易に専門辞書データを用いた適切な翻訳が可能であり、機械翻訳装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】機械翻訳装置の構成を示す図である。
【図2】翻訳対象特徴ベクトル作成の一例を示す図である。
【図3】カテゴリ分類器の処理の具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
100 機械翻訳装置
10、20 特徴ベクトル作成部
30 専門分野ラベル付コーパスデータベース
40 専門分野代表ベクトル群データベース
50 カテゴリ分類器
52 表示部
60 専門辞書選択部
70 翻訳モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す専門分野特徴ベクトルを保持する第1の保持手段と、
翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成手段と、
前記第1の作成手段により作成された翻訳対象特徴ベクトルと、前記第1の保持手段に保持されている各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定手段と、
前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳手段とを有することを特徴とする機械翻訳装置。
【請求項2】
前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の機械翻訳装置。
【請求項3】
前記第1の作成手段は、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の機械翻訳装置。
【請求項4】
前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機械翻訳装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示することを特徴とする請求項4に記載の機械翻訳装置。
【請求項6】
翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成ステップと、
前記第1の作成ステップにより作成された翻訳対象特徴ベクトルと、複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定ステップと、
前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳ステップとを有することを特徴とする機械翻訳方法。
【請求項7】
前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成ステップを有することを特徴とする請求項6に記載の機械翻訳方法。
【請求項8】
前記第1の作成ステップは、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成することを特徴とする請求項6又は7に記載の機械翻訳方法。
【請求項9】
前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供ステップを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の機械翻訳方法。
【請求項10】
前記提供ステップは、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示することを特徴とする請求項9に記載の機械翻訳方法。
【請求項11】
翻訳対象文に基づいて、該翻訳対象文の特徴を表す翻訳対象特徴ベクトルを作成する第1の作成ステップと、
前記第1の作成ステップにより作成された翻訳対象特徴ベクトルと、複数の専門分野のそれぞれに帰属する文の特徴を表す各専門分野特徴ベクトルとに基づいて、前記翻訳対象文が前記専門分野のそれぞれに帰属する可能性を推定する推定ステップと、
前記翻訳対象文が帰属する可能性が高い専門分野に対応する専門辞書データを優先的に選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された専門辞書データを用いて、前記翻訳対象文を翻訳する翻訳ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする機械翻訳プログラム。
【請求項12】
前記専門辞書データのそれぞれに対応する文に基づいて、前記専門分野特徴ベクトルを作成する第2の作成ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11に記載の機械翻訳プログラム。
【請求項13】
前記第1の作成ステップは、更に、前記翻訳対象文の周辺の文に基づいて、前記翻訳対象特徴ベクトルを作成することを特徴とする請求項11又は12に記載の機械翻訳プログラム。
【請求項14】
前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を視認可能に提供する提供ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の機械翻訳プログラム。
【請求項15】
前記提供ステップは、前記提供ステップは、前記翻訳対象文の前記専門分野のそれぞれへの帰属可能性を表すグラフを表示することを特徴とする請求項14に記載の機械翻訳プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−80221(P2007−80221A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271041(P2005−271041)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】