説明

機能ライセンス認証方法及び機能ライセンス認証システム

【課題】不正にライセンスキーが作成されることを未然に防ぐことを可能とする。
【解決手段】認証サーバが、使用する機能がコード化された注文内容を基に、機能コードを生成し、ユーザを介して、機器の固有コードを前記認証サーバに転送するステップと、前記認証サーバが、前記機能コードと前記機器固有コードを基に、第1のライセンスキーを生成し、前記機器が、ユーザからコード化された注文内容を入力し、前記機器が、前記認証サーバから、ユーザを介して、前記第1のライセンスキーを入力し、前記機器が、入力したコード化された注文内容を基に、機能コードを生成し、更に、生成された機能コードと機器の機器固有コードを基に第2のライセンスキーを生成し、前記機器が前記第1のライセンスキーと前記第2のライセンスキーとを比較し、両者が一致した場合に、認証成功とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器(電話システムなど)の機能を利用するためのライセンスを取得するための機能ライセンス認証システム及び機能ライセンス認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に従来のライセンスキーの発行手順および機器での認証手順を示す。
【0003】
「機能コード」は、使用制限を解除する機能の内容を表しており、機器へ解除する機能の内容を通知するために使用され、認証にも使用する。
【0004】
「機器固有コード」は、機器個々に固有の番号であり、工場で生産時に書き込まれた番号である。工場での生産後に書き換えが困難である必要がある。
【0005】
「ライセンスキー」は、機器固有コードと機能コードから作成され、機器は入力されたライセンスキーが認証されたものであることを確認するために使用する。
【0006】
従来の認証作業は図1の手順で行う。
(1)ユーザは、使用する機器の機能、クライアントごとの機能とクライアントの数を販売会社に注文する(ステップS901)。
(2)販売会社は、注文内容を認証サーバに登録する(ステップS903)。
(3)認証サーバは、注文内容から「機能コード」を作成する(ステップS904)。
(4)販売会社は、認証サーバから「機能コード」を取得する(ステップS905)。
(5)販売会社は、「機能コード」、注文内容、及び認証サーバのアドレスを紙に印刷(図2参照)し、ユーザに販売する(ステップS904)。
(6)ユーザは、使用中の機器から「機器固有コード」を読み込む(ステップS909)。
(7)ユーザは、認証サーバにアクセスし、「機器固有コード」を認証サーバに入力する(ステップS911)。
(8)認証サーバでは、「機器固有コード」と「機能コード」から「ライセンスキー」を計算する(ステップS912)。
(9)ユーザは、「ライセンスキー」を認証サーバから入手する(ステップS913)。
(10)ユーザは、「機能コード」と「ライセンスキー」を機器に、入力する(ステップS915)。
(11)機器は、入力された「機能コード」と機器内の「機器固有コード」より「ライセンスキー」を計算し、入力された「ライセンスキー」と比較する。同じであれば機能コードが認証されたものであると認識し、「機能コード」に埋め込まれた機能を動作させる(ステップS917)。
【0007】
「機能コード」、「機器固有コード」、「ライセンスキー」は次のように作成、計算される。
【0008】
「機能コード」は、使用制限を解除する機能の内容を表しており、次のように作成する。
【0009】
機器にて使用する機能はON/OFFのみを判断し、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8の8種類あるとする。
【0010】
クライアントを最大4095台接続可能な機器にて、クライアントが使用する機能をb1、b2、b3、b4とする。
【0011】
機器にて使用する機能のON/OFFをビットにて表すと、8bit必要となる。
【0012】
機能a1のみONの場合、00000001となり、例として16進数で表現すると「01」となる。
【0013】
機能a1のみOFFでa2、a3、a4、a5、a6、a7、a8がONの場合、11111110で、16進数で表現すると「FE」となる。
【0014】
クライアント機能は何台のクライアントに使用を許可するかの台数を設定するものとし、機能b1を使用可能なクライアント数が0台の場合は、16進数で0台で「000」、4095台で「FFF」となる。
【0015】
機能b2も16進数で「000」〜「FFF」の3桁必要となる。
【0016】
全ての機能を表記する場合、機能a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8にて「00」〜「FF」、機能b1にて「000」〜「FFF」、機能b2〜b4も同様に「000」〜「FFF」必要であり、合計すると「00 000 000 000 000」〜「FFFFFFFFFFFFFF」の14桁となる。仮にクライアント用機能のb5が追加された場合は、17桁となる。
【0017】
「機器固有コード」は、シリアル番号やMACアドレスのような形態にて供給される。仮に16進数で「0000」〜「FFFF」の番号とする。
【0018】
「ライセンスキー」の作成方法は様々あるが例として積を求める。
【0019】
機器固有コードが「ABCD」で、機能コードが「030644D2000000」とした場合、ライセンスキーは、「79BFD622A000000」となる。機能コードが同じであっても機器固有コードが異なる場合、ライセンスキーは異なった値となる必要がある。
【0020】
機器に入力された機能コード、ライセンスキーの認証は、次のように行う。ライセンスキーは、認証サーバと機器の両方で計算される。認証サーバと機器の両方にて、同一の機能コード、機器固有コードを用いて同一の法則(この場合は積)にて計算されたライセンスキーは同一となる。機器側には認証サーバにて計算されたライセンスキーが入力されるため、比較を行い同じであれば認証許可となる。機能コードが同じであっても、他の機器にライセンスキーを入力した場合は、機器固有コードが異なるため、機器内で計算されたライセンスキーが異なり認証が許可されない。
【特許文献1】特開2004−252931号公報
【特許文献2】特開2006−031320号公報
【特許文献3】特開2006−059164号公報
【特許文献4】特開2006−195826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来方式においては、ユーザに発行されるライセンスキーに解除する機能数や管理するクライアント数、機器固有の番号が含まれるため、各コードが暗号化されている、されていないに関わらずライセンスキーの計算方式を推測可能であり、不正にライセンスキーが作成される危険性があった。また管理する機能数が多い場合、発行されるライセンスキーの桁数が膨大な桁数となり、入力が煩雑となる。
【0022】
そこで、本発明は、不正にライセンスキーが作成されることを未然に防ぐことを可能とする機能ライセンス認証方法及び機能ライセンス認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明においては、次の変更を行う。
【0024】
<1>従来、機能コード紙に表記されていた「機能コード」を表記しない。注文内容のみ表記した注文内容書『図3』に変更する。
【0025】
認証サーバでは、販売店による注文内容の入力により「機能コード」を作成するが、出力を行わないように変更する。
【0026】
<2>ユーザは従来機器にて入力していた「機能コード」を入力しない。
【0027】
<3>ユーザによる機器への注文内容の入力を追加する。
【0028】
機器側では、「機能コード」の入力を要求しないが、注文内容を入力する方式に変更する。動作させる機能は入力された注文内容とする。また、注文内容の入力から仮の「機能コード」を作成する。仮の「機能コード」と「機器固有コード」から「ライセンスキー」を計算する。
【発明の効果】
【0029】
従来方式では、販売店から通知された「機能コード」を機器に入力する必要があったが、本発明では「機能コード」の入力が不要となる。
【0030】
また、「機能コード」が不要となるため、「機能コード」を不正に作成されることが無い。
【0031】
さらに、ユーザに「機能コード」が開示されないため、注文内容と、「機器固有コード」から計算される「ライセンスキー」がどのように計算されているかの推測が難しくなるため不正に「ライセンスキー」を作成、つまりは不正に機能制限の解除を行うことが難しくなる。
【0032】
この方式では、機器へ『注文内容』の入力が必要となるが、注文内容書に書かれた通りに数字入力するだけであり、脈絡の無い文字の羅列である「機能コード」と比較し、入力作業が苦とならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ソフトウェアおよびハードウェアの機能に使用制限を掛け、ライセンスキーを販売することで機能制限を解除する機器が存在する。従来このライセンスキーの作成には下記の条件が必要となる。第一にライセンスの不正使用を防止するためにライセンスキーに機器固有の番号を含むこと。第二にライセンスキーに解除する機能の内容が含まれること。第一、第二の条件を含むライセンスキーを暗号化等の演算を行い発行した場合、ライセンスキーを入力された機器は逆演算もしくは復号化キーが必要となるが、逆演算可能とするとセキュリティーが低下し、また復号化キーは取り扱いが複雑となる。
【0034】
本発明ではライセンスキーの入力を簡便化し、かつセキュリティーの低下が発生しない認証方式を提供することを特徴とする。
【0035】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0036】
PBXなどの電話機器にて機器の機能や電話機ごとの機能などがある。これらの機能の使用を制限して通常は使用できないようにした電話機機器を作成する。ユーザは、使用したい機器の機能及び電話機ごとの機能を必要台数分注文する。電話機器の販売会社は、注文を受けた機器の機能及び電話機ごとの機能を必要台数分使用できるようにする必要がある。
【0037】
例として電話機が最大4095台収容可能な電話機器とする。
【0038】
機器の機能としてa1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8があるとする。
【0039】
電話機ごとの機能としてb1、b2、b3、b4があるとする。
【0040】
ユーザおよび販売店は次の作業を行い機能の使用制限を解除する。
【0041】
次に、図4を参照して本実施形態による機能ライセンス認証方法の説明をする。
(1)ユーザ207は販売会社203に機器の機能a1、a2および電話機ごとの機能b1を100台分、機能b2を1234台分注文する(ステップS101)。
(2)販売会社203は注文内容を認証サーバ205に登録する(ステップS103)。
(3)認証サーバ205は、注文内容から次の「機能コード」を作成して記録する(ステップS104)。「機能コード」は、「030644D2000000」となる。
(4)販売会社203は、注文内容および認証サーバ205のアドレスを表記した注文確認書(図3参照)を発行してユーザ207に販売する(ステップS105)。
(5)ユーザ207は、使用中の機器(電話システム201など)から「機器固有コード」(「ABCD」)を読み込む(ステップS107)。
(6)ユーザ207は、注文確認書に書かれたアドレスにアクセスして認証サーバ205に「機器固有コード」(「ABCD」)を入力する(ステップS109)。
認証サーバ205では、「機器固有コード」(「ABCD」)と「機能コード」(「030644D2000000」)から「ライセンスキー」(「79BFD622A000000」)を計算する(ステップS110)。
(7)ユーザ207は認証サーバ205から「ライセンスキー」(「79BFD622A000000」)を入手する(ステップS111)。
(8)ユーザ207は、機器のメニューにて注文内容(a1=1、a2=1、b1=100、b2=1234)を機器(電話システム201など)に入力する(ステップS113)。
(9)ユーザ207は、「ライセンスキー」(「79BFD622A000000」)を機器(電話システム201など)に入力する(ステップS115)。
【0042】
機器(電話システム201など)では、(8)で入力された注文内容から「機能コード」(「030644D2000000」)を作成する。さらに内部に記録されている「機器固有コード」(「ABCD」)と、注文内容から作成した「機能コード」(「030644D2000000」)から「ライセンスキー」(「79BFD622A000000」)を計算する。ここで、(9)にて入力された「ライセンスキー」と機器内部で計算された「ライセンスキー」を比較し、同じであるため、(8)で入力された注文内容が認証され機能を動作させる(ステップS116)。
【0043】
機能の使用制限を掛けることが可能なサーバなどの機器は、電話機器やサーバなどがある。
【0044】
「機能コード」は、2進数、10進数、16進数、ASCIIコードを用いてキャラクターとする、暗号化するなど、様々な方法がある。
【0045】
「機能コード」は、機能の内容だけでなく、発行の日付や乱数と組み合わせたりする方法もある。
【0046】
「ライセンスキー」の算出は、積だけでなく暗号化も含めて様々な方法がある。
【0047】
「ライセンスキー」は全桁を表記しているが、チェックサムにする、一部分を切り出して認証するなどの方法がある。
【0048】
本発明にて運用可能な機能数に制限は無い。
【0049】
従来方式と本発明を組み合わせて、図5の手順にて機能コード紙に書かれている機能コードは乱数など意味の無い値とし、実際には認証しない方法もある。
【0050】
「機能コード」、「注文内容書」は紙による供給以外に電子メールによる供給、インターネットのWebサイトへの表記、機器によるインターネットへのアクセスと自動入手の方法がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の機能ライセンス認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すシステムにおいて、ユーザに発行される機能コード紙の例を示す図である。
【図3】図4に示すシステムにおいて、ユーザに発行される注文内容書の例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による機能ライセンス認証システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態による機能ライセンス認証システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
201 機器(電話システムなど)
203 販売会社
205 認証サーバ
207 ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証サーバが、使用する機能がコード化された注文内容を基に、機能コードを生成するステップと、
ユーザを介して、機器の固有コードを前記認証サーバに転送するステップと、
前記認証サーバが、前記機能コードと前記機器固有コードを基に、第1のライセンスキーを生成するステップと、
前記機器が、ユーザからコード化された注文内容を入力するステップと、
前記機器が、前記認証サーバから、ユーザを介して、前記第1のライセンスキーを入力するステップと、
前記機器が、入力したコード化された注文内容を基に、機能コードを生成し、更に、生成された機能コードと機器の機器固有コードを基に第2のライセンスキーを生成するステップと、
前記機器が前記第1のライセンスキーと前記第2のライセンスキーとを比較し、両者が一致した場合に、認証成功とするステップと、
を備えることを特徴とする機能ライセンス認証方法。
【請求項2】
請求項1に記載の機能ライセンス認証方法において、前記認証サーバのURLは、販売会社からユーザに渡される注文内容書に記載されたものであることを特徴とする機能ライセンス認証方法。
【請求項3】
請求項2に記載の機能ライセンス認証方法において、
前記注文内容書には、コード化された機能も記載されていることを特徴とする機能ライセンス認証方法。
【請求項4】
認証サーバと機器とを備え、
認証サーバが、使用する機能がコード化された注文内容を基に、機能コードを生成し、
ユーザを介して、機器の機器固有コードを前記認証サーバに転送し、
前記認証サーバが、前記機能コードと前記機器固有コードを基に、第1のライセンスキーを生成し、
前記機器が、ユーザからコード化された注文内容を入力し、
前記機器が、前記認証サーバから、ユーザを介して、前記第1のライセンスキーを入力し、
前記機器が、入力したコード化された注文内容を基に、機能コードを生成し、更に、生成された機能コードと機器の機器固有コードを基に第2のライセンスキーを生成し、
前記機器が前記第1のライセンスキーと前記第2のライセンスキーとを比較し、両者が一致した場合に、認証成功とすることを特徴とする機能ライセンス認証システム。
【請求項5】
請求項4に記載の機能ライセンス認証システムにおいて、前記認証サーバのURLは、販売会社からユーザに渡される注文内容書に記載されたものであることを特徴とする機能ライセンス認証システム。
【請求項6】
請求項4に記載の機能ライセンス認証システムにおいて、
前記注文内容書には、コード化された機能も記載されていることを特徴とする機能ライセンス認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−197795(P2008−197795A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30564(P2007−30564)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】