説明

機能性流体及びその使用

本発明は、A)a)式(I)[ここでRは水素又はメチルであり、Rは炭素原子1〜6個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′の基を表し、ここでR′は水素又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基を表す]の1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して1〜100質量%、b)式(II)[ここでRは水素又はメチルであり、Rは炭素原子7〜40個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′′の基であり、ここでR′′は水素又は炭素原子7〜40個を有するアルキル基を表す]の1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜99質量%、c)コモノマー、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜50質量%からなるオレフィン系不飽和モノマーの混合物を重合させることにより得ることができるアルキル(メタ)アクリレートポリマー、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%及びB)、有機リン化合物カルボン酸エステル及び/又はポリエーテルポリオールの群から選択される酸素含有化合物、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%を含有する機能性流体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性流体及びその使用に関する。
【0002】
耐火性の機能性流体は当工業界において十分公知である。そのような流体は作動液として使用されることができる。現在の耐火性の油圧作動市場は、4つの主要なクラスの流体により支配されている:
HFA: 高含水流体、水>80%
HFB: 油中水型エマルション、水<50%
HFC: 水/グリコール流体、(水30〜80%)
HFD: 無水流体
HFD−R: ホスフェートエステル流体
HFD−U: その他全て、ポリオールエステル、植物エステル、フルオロカーボン、シリケートエステル、シラン、及び特定のPAO流体を含む。
【0003】
幅広い範囲のコスト及び性能選択は、このクラスの流体の中に見出されることができる。水/グリコール系は、幅広く使用される低コストの耐火性の流体選択である。しかしながら、低圧用途に限定され、かつ腐食及び高い保全をまねく。温度操作領域は、−20〜60℃に限定される。植物油及びポリオールエステル系は、入手可能な最も低価格の無水系である。植物油又は植物由来の流体は、卓越した生分解性を提供するが、しかしながらこれらの系は、(相対的に)弱い耐火性及び乏しい酸化安定性、及びしばしば受け入れることができない低温性能を提供する。温度操作領域は−10〜100℃の範囲に亘る。完全飽和の合成ポリオールエステル流体は、良好な酸化安定性及び幅広い温度操作領域(−40〜120℃)を提供するが、しかしながらそれらは相対的に弱い耐火性(FMRC 6930によるFactory Mutual グループ2等級)を提供する。多くのポリオールエステル及び植物油流体は、アンチミスト制御のための高分子量ポリマーの使用を使用し、かつこれらの添加剤は剪断分解(shear degradation)に曝される。リン酸トリアリールは高いレベルの耐火性及び適用範囲を提供するが、しかしそれらの利得は、高いコスト、シール相容性問題、及び分解の際のフェノール性廃棄物発生により相殺される。
【0004】
工業的な耐火性作動液の技術にとって典型的であるのは、ポリマー添加剤の使用下及び不使用下での脂肪酸エステル及びホスフェートエステルの使用である。Idemitsu Kosan株式会社のHara、Shigeo他(日本国特許出願番号269480/1999、Idemitsu Kosan株式会社)が、ポリマー組合せ系における高及び低分子量の組合せの使用からの効率のよい耐火性改善を証明するまで、低分子量ポリマー添加剤の使用が耐火性を改善するために無効果であることが分かっていたことは一般的に知られていた。発明者らは低分子量ポリマー単独の使用が有効でないことを主張する。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許DE 1979-2948020、Mobil Oil Corp.には、作動液がポリオール(特にペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、又はネオペンチルグリコール)のオレイン酸エステルから処方されることができることが記載されている。該主張は、酸化防止剤及び消泡剤添加剤の間の相乗作用を示し、その場合に延長された流体寿命をもたらす。ポリマー成分の使用に関する主張は存在しない。これらの組成物が、新しいFactory Mutual耐火性試験の要件に適合することができるという見込みがなく、かつ低温性能が乏しくなる。
【0006】
先行技術を考慮して、本発明の対象は、腐食をまねかない改善された高い耐火性を有する新規の機能性流体を入手可能にすることである。そのうえ、本発明の対象は、良好な低温特性を有する耐火性の機能性流体を提供することである。さらに、新規の流体は、単純かつコスト的に有利な方法で製造可能であることが要求される。さらに、本発明の対象は、生分解可能であり、かつ環境的に優しい流体を提供することである。付加的に、本発明の対象は、幅広い温度範囲に亘って適用可能である新規の機能性流体を供給することである。さらに、前記流体は、高圧用途にふさわしくあるべきである。
【0007】
これらの、並びに明示的に挙げられていないが、しかし序説部分から簡単に誘導されることができるか又は発展されることができる他の課題は、本発明の機能性流体により解決される。本発明による流体の有利な変更態様は特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
次のもの
A)次のもの
a)式(I)
【0009】
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子1〜6個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して、水素又は式−COOR′の基を表し、ここでR′は水素又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して1〜100質量%、
b)式(II)
【0010】
【化2】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子7〜40個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して、水素又は式−COOR′′の基であり、ここでR′′は水素又は炭素原子7〜40個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜99質量%、
c)コモノマー、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜50質量%
からなるオレフィン系不飽和モノマーの混合物を重合させることにより得ることができるアルキル(メタ)アクリレートポリマー、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%
及び
B)有機リン化合物、カルボン酸エステル及び/又はポリエーテルポリオールの群から選択される酸素含有化合物、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%
を含有する機能性流体は、高い耐火性を提供し、かつ幅広い温度範囲に亘って適用されることができる。
【0011】
同時に多数の他の利点が、本発明による機能性流体を通じて達成されることができる。これらの中では次のものが挙げられる:
本発明の機能性流体は、好都合な可燃性/燃焼性の特性を有する。
【0012】
本発明の機能性流体は、改善されたコスト/性能比を有する。
【0013】
本発明の機能性流体は生分解可能であり、かつ環境的に受け入れることができる。
【0014】
本発明の機能性流体は、改善された低温性能を示す。
【0015】
本発明の機能性流体は、コスト的に有利なベースで製造されることができる。
【0016】
本発明の機能性流体は、酸化に対する良好な耐性を示し、かつ化学的に極めて安定である。
【0017】
本発明の機能性流体の粘度は、幅広い範囲に亘って調節されることができる。
【0018】
さらに、本発明の流体は高圧用途にふさわしい。本発明の機能性流体は、低い剪断分解を示す。
【0019】
本発明の流体は、機能性流体の全質量に対して、1つ又はそれ以上の官能性アルキル(メタ)アクリレートポリマー1〜99質量%、特に2〜50質量%及び好ましくは5〜30質量%を含有する。
【0020】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーが得ることができる組成物は、特に、異なるアルコール残基を有する(メタ)アクリレート、マレエート及びフマレートを含有する。(メタ)アクリレートという用語は、メタクリレート及びアクリレート並びに前記2つの混合物を含む。これらのモノマーは大いに公知である。アルキル残基は線状、環状又は分枝鎖状であってよい。
【0021】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーを得るための混合物は、モノマー混合物の全質量に対して、式(I)
【0022】
【化3】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子1〜6個、特に1〜5個及び好ましくは1〜3個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′の基であり、ここでR′は水素又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物1〜100質量%、好ましくは1〜90質量%、特に10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%を含有する。
【0023】
成分(a)の例は、とりわけ、飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート及びヘキシル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレートである。
【0024】
さらに、本発明において有用なポリアルキル(メタ)アクリレートを製造するためのモノマー組成物は、モノマー混合物の全質量に対して、式(II)
【0025】
【化4】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子7〜40個、特に10〜30個及び好ましくは12〜24個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′′の基であり、ここでR′′は水素又は炭素原子7〜40個、特に10〜30個及び好ましくは12〜24個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物0〜99質量%、好ましくは10〜99質量%、特に20〜90質量%及びより好ましくは30〜85質量%を含有する。
【0026】
これらの中では、飽和アルコールから誘導する(メタ)アクリレート、フマレート及びマレエート、例えば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;及び相応するフマレート及びマレエートである。
【0027】
長鎖アルコール残基を有するエステル化合物、特に成分(b)は、例えば、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエート及び/又は前記の相応する酸を長鎖脂肪アルコールと反応させることにより得られることができ、その場合に、一般的にエステル、例えば異なる長鎖アルコール残基を有する(メタ)アクリレートの混合物が生じる。これらの脂肪アルコールは、とりわけ、Oxo Alcohol(登録商標) 7911、Oxo Alcohol(登録商標) 7900、Oxo Alcohol(登録商標) 1100、Alfol(登録商標) 610、Alfol(登録商標) 810、Lial(登録商標) 125及びNafol(登録商標)-タイプ、(Sasol Olefins & Surfactants GmbH);Alphanol(登録商標) 79 (ICI);Epal(登録商標) 610 及び Epal(登録商標) 810 (Ethyl Corporation);Linevol(登録商標) 79、Linevol(登録商標) 911及びNeodol(登録商標) 25E (Shell AG);Dehydad(登録商標)-、Hydrenol(登録商標)-及びLorol(登録商標)-タイプ(Cognis);Acrpol(登録商標) 35及びExxal(登録商標) 10 (Exxon Chemicals GmbH);Kalcol 2465 (Kao Chemicals)を含む。
【0028】
エチレン系不飽和エステル化合物の中では、(メタ)アクリレートは、マレエート及びフマレートより特に好ましく、すなわち、式(I)及び(II)のR、R、R、Rは特に好ましい実施態様において水素を表す。
【0029】
成分(c)は特に、式(I)及び/又は(II)のエチレン系不飽和エステル化合物と共重合することができるエチレン系不飽和モノマーを含有する。
【0030】
次の式に相当するコモノマーは、本発明による重合に特に適している:
【0031】
【化5】

ここで、R1*及びR2*は独立して、水素、ハロゲン、CN、炭素原子1〜20個、好ましくは1〜6個及び特に好ましくは1〜4個を有し、1〜(2n+1)個[ここでnはアルキル基の炭素原子の数である]のハロゲン原子で置換されていてよい線状又は分枝鎖状のアルキル基(例えばCF)、炭素原子2〜10個、好ましくは2〜6個及び特に好ましくは2〜4個を有し、1〜(2n−1)個[ここでnはアルキル基の炭素原子の数である]のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換されていてよいα,β−不飽和の線状又は分枝鎖状のアルケニル又はアルキニル基、例えばCH=CCl−、炭素原子3〜8個を有し、1〜(2n−1)個[ここでnはシクロアルキル基の炭素原子の数である]のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換されていてよいシクロアルキル基;C(=Y)R5*、C(=Y)NR6*7*、YC(=Y)R5*、SOR5*、SO5*、OSO5*、NR8*SO5*、PR5*、P(=Y)R5*、YPR5*、YP(=Y)R、付加的なR8*で四級化されていてよいNR8*、アリール又はヘテロシクリル基[ここでYはNR8*、S又はO、好ましくはOであってよく;R5*は、炭素原子1〜20個を有するアルキル基、炭素原子1〜20個を有するアルキルチオ基、OR15(R15は水素又はアルカリ金属である)、炭素原子1〜20個を有するアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり;R6*及びR7*は独立して水素又は炭素原子1〜20個を有するアルキル基であるか、又はR6*及びR7*は一緒になって炭素原子2〜7個、好ましくは2〜5個を有するアルキレン基を形成してよく[ここでそれらは3〜8員、好ましくは3〜6員環を形成する]、かつR8*は炭素原子1〜20個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル又はアリール基である]からなる群から選択されており;
3*及びR4*は独立して、水素、ハロゲン(好ましくはフッ素又は塩素)、炭素原子1〜6個を有するアルキル基及びCOOR9*[ここでR9*は水素、アルカリ金属又は炭素原子1〜40個を有するアルキル基である]からなる群から選択されるか、又はR1*及びR3*は一緒になって、1−2n′個のハロゲン原子又はC〜Cアルキル基で置換されていてよい式(CHの基を形成してよいか、又は式C(=O)−Y−C(=O)の基を形成してよく[ここでn′は2〜6、好ましくは3又は4であり、かつYは前記のように定義されている];かつここで残基R1*、R2*、R3*及びR4*の少なくとも2つは水素又はハロゲンである。
【0032】
これらは、とりわけ、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート;
アミノアルキル(メタ)アクリレート及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリル及び他の窒素含有(メタ)アクリレート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、(メタ)アクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチル(メタ)アクリレート;
アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート、ここで、アクリル残基はその都度、非置換であってよいか又は4回まで置換されていてよい;
カルボニル含有(メタ)アクリレート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−メチアクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メチアクリルオキシオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メチアクリロイルオキシペンタデシル(−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル−2−ピロリジノン;
エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシル化(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、例えば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート;
オキシラニル(メタ)アクリレート、例えば2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、10,11−エポキシウンデシル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、オキシラニル(メタ)アクリレート、例えば10,11−エポキシヘキサデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート;
リン含有、ホウ素含有及び/又はケイ素含有の(メタ)アクリレート、例えば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチルホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルメタクリロイルホスホネート、ジプロピルメタクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ブチレンメタクリロイルエチルボレート、メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレート;
硫黄含有(メタ)アクリレート、例えばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
ヘテロ環式(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
芳香族基を有するビニルモノマー、例えばスチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸及びフマル酸誘導体、例えばフマル酸のモノエステル及びジエステル
を含む。
【0033】
分散した官能価を有するモノマーは、コモノマーとして使用されることもできる。これらのモノマーは当工業界において十分公知であり、かつ通常ヘテロ原子、例えば酸素及び/又は窒素を含有する。例えば既に挙げたヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、ヘテロ環式(メタ)アクリレート及びヘテロ環式ビニル化合物は、分散したコモノマーとみなされる。
【0034】
特に好ましい混合物は、メチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及び/又はステアリルメタクリレートを含有する。
【0035】
成分は個々にか又は混合物として使用されることができる。
【0036】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーの分子量は重要ではない。通常アルキル(メタ)アクリレートポリマーは、300〜1,000,000g/molの範囲内、好ましくは500〜500,000g/molの範囲内及び特に好ましくは800〜300,000g/molの範囲内の分子量を有するが、このことはなんら限定を意図するものではない。これらの値は高分散性ポリマーの質量平均分子量を参照する。
【0037】
本発明の特別な態様によれば、アルキル(メタ)アクリレートポリマーは低い分子量を有する。そのようなポリマーは極めて良好な低温性能を有する。本発明のその特別な態様によれば、アルキル(メタ)アクリレートポリマーは好ましくは300〜50,000g/mol、特に500〜30,000g/mol及びより好ましくは1,000〜10,000g/molの範囲内の分子量を有する。
【0038】
このことはなんら限定を意図するものではないが、アルキル(メタ)アクリレートポリマーは、1〜15、好ましくは1.1〜10、特に好ましくは1.2〜5の範囲内の質量平均分子量と数平均分子量との比M/Mにより与えられる多分散性を示す。
【0039】
前記のモノマー混合物は、任意の公知方法により重合されることができる。常用のラジカル開始剤は、古典的なラジカル重合を実施するのに使用されることができる。これらの開始剤は当工業界において十分公知である。これらのラジカル開始剤の例は、アゾ開始剤、例えば2,2′−アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル;ペルオキシド化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸t−ブチル、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクメンペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシド及びt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0040】
低分子量ポリ(メタ)アクリレートは、連鎖移動剤を用いることにより得られることができる。この技術は遍在して公知であり、かつポリマー工業において実践されており、かつOdian, Principles of Polymerization, 1991に記載されている。連鎖移動剤の例は、硫黄含有化合物、例えばチオール、例えばn−及びt−ドデカンチオール、2−メルカプトエタノール、及びメルカプトカルボン酸エステル、例えばメチル−3−メルカプトプロピオネートである。好ましい連鎖移動剤は、炭素原子20個まで、特に15個まで及びより好ましくは12個までを有する。さらに、連鎖移動剤は、酸素原子少なくとも1個、特に少なくとも2個を有していてよい。
【0041】
さらに、低分子量ポリ(メタ)アクリレートは、遷移金属錯体、例えば低スピンコバルト錯体を用いることにより得られることができる。これらの技術は十分公知であり、かつ例えば、USSR特許940,487-A及びHeuts他, Macromolecules 1999, 2511-2519及び3907-3912頁に記載されている。
【0042】
さらに、新規の重合技術、例えばATRP(原子移動ラジカル重合)及び/又はRAFT(可逆付加フラグメンテーション連鎖移動)は、有用なポリ(メタ)アクリレートを得るために適用されることができる。これらの方法は十分公知である。ATRP反応法は、例えば、J-S. Wang, 他, J. Am. Chem. Soc., 117巻, 5614-5615頁(1995)、及びMatyjaszewski, Macromolecules, 28巻, 7901-7910頁(1995)に記載されている。さらに、特許出願明細書WO 96/30421、WO 97/47661、WO 97/18247、WO 98/40415及びWO 99/10387には上記で説明されたATRPの変法が開示されており、これについて明白に開示の目的のために参照される。RAFT法は、例えば、WO 98/01478に広範囲に亘って示されており、これについて明白に開示の目的のために参照される。
【0043】
重合は常圧、減圧又は高められた圧力で実施されることができる。重合温度も重要ではない。しかしながら一般的にこれは−20〜200℃、好ましくは0〜130℃及び特に好ましくは60〜120℃の範囲内にあるが、このことはなんら限定を意図するものではない。
【0044】
重合は、溶剤を用いて又は用いずに実施されることができる。溶剤という用語はここでは、広く理解されるべきである。
【0045】
本発明の流体は、流体の全質量に対して、カルボン酸エステル、ポリエーテルポリオール及びリン酸エステルから選択される1つ又はそれ以上の酸素含有化合物を1〜99%、好ましくは質量%、特に50〜98質量%、及び好ましくは70〜95質量%含有する。成分B)によるエステル及びエーテルは、成分A)によるポリアルキル(メタ)アクリレートとは異なる。
【0046】
成分B)による酸素含有化合物は通常、高い燃焼点及び40℃での低い粘度を有する。本発明の特別な態様によれば、酸素含有化合物は少なくとも250℃、好ましくは少なくとも280℃及びより好ましくは少なくとも300℃のASTM D 92による燃焼点を有する。成分B)として有用な好ましい酸素含有化合物のASTM D 445による40℃での動粘度は、40mm/s又はそれ未満、特に35mm/s又はそれ未満及びより好ましくは30mm/s又はそれ未満である。
【0047】
成分B)として有用な化合物は当工業界において十分公知である。例は有機リン化合物、カルボン酸エステル及びポリエーテルポリオールである。
【0048】
本発明の機能性流体は有機リン化合物を含有していてよい。使用のために適している化合物の主たるクラスは、リンエステル流体、例えばアルキルアリールホスフェートエステル;リン酸トリアルキル、例えばリン酸トリブチル又はリン酸トリ−2−エチルヘキシル;リン酸トリアリール、例えば混合されたリン酸イソプロピルフェニル、混合されたリン酸t−ブチルフェニル、リン酸トリキシレニル、又はリン酸トリクレジルである。有機リン化合物の付加的なクラスは、アルキル及び/又はアリール置換基を有していてよいホスホネート及びホスフィネートである。ジアルキルホスホネート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスホネート;アルキルホスフィネート、例えばジ−2−エチルヘキシルホスフィネートが可能である。本明細書においてアルキル基として、炭素原子1〜10個からなる線状又は分枝鎖状のアルキルが好ましい。本明細書においてアリール基として、アルキルにより置換されていてよい炭素原子6〜10個からなるアリールが好ましい。通常、機能性流体は有機リン化合物0〜60質量%、好ましくは5〜50質量%を含有する。
【0049】
カルボン酸エステルとして、アルコール、例えば多価アルコール、一価アルコール等、及び脂肪酸、例えばモノカルボン酸、ポリカルボン酸等の反応生成物が使用されることができる。そのようなカルボン酸エステルはもちろん部分エステルであってよい。
【0050】
カルボン酸エステルは、式R−COO−Rを有する1つのカルボン酸エステル基を有していてよく、ここでRは独立して炭素原子1〜40個を有する基である。好ましいエステル化合物は少なくとも2つのエステル基を有する。これらの化合物は、少なくとも2つの酸性基を有するポリカルボン酸及び/又は少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールをベースとしていてよい。
【0051】
ポリカルボン酸残基は通常、炭素原子2〜40個、好ましくは4〜24個、特に4〜12個を有する。有用なポリカルボン酸エステルは例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタレート及び/又はドデカン酸のエステルである。ポリカルボン酸化合物のアルコール成分は好ましくは、炭素原子1〜20個、特に2〜10個を有する。
【0052】
有用なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノールである。さらに、オキソアルコールは、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、デカメチレングリコールまでが、使用されることができる。
【0053】
特に好ましい化合物は、ポリカルボン酸とヒドロキシル基1個を有するアルコールとのエステルである。これらの化合物の例は、Ullmanns Encyclopaedie der Technischen Chemie, 第3版, 15巻, 287 - 292頁, Urban & Schwarzenber (1964))に記載されている。
【0054】
少なくとも2つのエステル基を有するエステル化合物を得るために有用なポリオールは通常、炭素原子2〜40個、好ましくは4〜22個を有する。例は、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2′,2′−ジメチル−3′−ヒドロキシプロピオネート、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメタノールプロパン、トリメチロールノナン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール及びジペンタエリトリトールである。ポリエステルのカルボン酸成分は、炭素原子1〜40個、好ましくは2〜24個を有していてよい。例は、線状又は分枝鎖状の飽和脂肪酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−エチル−2,3,3−トリメチルブタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,5,5−トリメチル−2−t−ブチルヘキサン酸、2,3,3−トリメチル−2−エチルブタン酸、2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸;線状又は分枝鎖状の不飽和脂肪酸、例えばリノール酸、リノレン酸、9−オクタデセン酸、ウンデセン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、及び多様な動物脂肪又は植物油の起源からのオレイン酸の商用銘柄である。脂肪酸の混合物、例えばトール油脂肪酸が使用されることができる。
【0055】
少なくとも2つのエステル基を有する特に有用な化合物は、例えばネオペンチルグリコールタレート、ネオペンチルグリコールジオレエート、プロピレングリコールタレート、プロピレングリコールジオレエート、ジエチレングリコールタレート及びジエチレングリコールジオレエートである。
【0056】
これらの化合物の多くは、Inolex Chemical Co.から商標Lexolube 2G-214で、Cognis Corp.から商標ProEco 2965で、Uniqema Corp.から商標Priolube 1430及びPriolube 1446で及びGeorgia Pacificから商標Xtolube 1301及びXtolube 1320で商業的に入手可能である。
【0057】
さらに、エーテルは、本発明による流体の成分B)による酸素含有化合物として有用である。好ましくは、ポリエーテルポリオールは成分B)として使用される。これらの化合物は十分公知である。例は、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、アルキレンオキシドの混合物をベースとしていてよい。これらの化合物は好ましくは、アルキレンオキシド単位1〜40個、より好ましくはアルキレンオキシド単位5〜30個を有する。ポリブチレングリコールは、無水流体にとって好ましい化合物である。ポリエーテルポリオールは、別の基、例えば、炭素原子1〜40個、特に2〜22個を有するアルキレン又はアリーレン基を有していてよい。
【0058】
特に有用なポリエーテルポリオールは、ブチレンオキシドモノブチルエーテルである。
【0059】
本発明の機能性流体はフェノール類(phenolics)をベースとする化合物を含有していてよいけれども、アルキル炭化水素が好ましい。本発明の特別な態様によれば、機能性流体は流体の合計に対して、フェノール性化合物25質量%又はそれ未満、好ましくは15質量%又はそれ未満を含有する。フェノール性化合物は少なくとも1つのヒドロキシル基を有する芳香族残基を有する。
【0060】
本発明の機能性流体は、低い量のハロゲンを含有していてよい。これらのハロゲンは、成分A)によるアルキル(メタ)アクリレート又は成分B)による酸素含有化合物の部分であってよい。好ましくは本発明による流体は流体の合計に対して、ハロゲン、例えば塩素又は臭素を0.5質量%又はそれ未満、特に0.1質量%又はそれ未満含有する。より好ましくは本発明の流体は、実質的量のハロゲンをなんら含有しない。
【0061】
好ましくは、本発明の機能性流体は無水流体である。本発明の特別な態様によれば、機能性流体は流体の合計に対して、水5質量%又はそれ未満、好ましくは2質量%又はそれ未満を含有する。
【0062】
カルボン酸エステル又はポリエーテルポリオールは、単一化合物として又は2つもしくはそれ以上の混合物として使用されることができる。
【0063】
好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートポリマーと酸素含有化合物との質量比は10:1〜1:20、特に5:1〜1:15及びより好ましくは2:1〜1:10の範囲内である。
【0064】
本発明の機能性流体は、当工業界において十分公知のさらなる添加剤、例えば粘度指数向上剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、腐食抑制剤、清浄剤、分散剤、EP添加剤、消泡剤、減摩剤、流動点降下剤、染料、付臭剤及び/又は解乳化剤を含有していてよい。これらの添加剤は常用の量で使用される。通常、機能性流体は添加剤を0〜10質量%含有する。
【0065】
本発明の機能性流体は耐火性を提供し、かつ標準の鉱油機能性流体よりも“より有害でない”と考えられる。耐火性は、Factory Mutual規格FMRC 6930により評価されることができる。本発明による好ましい流体は、グループ1等級を達成する。
【0066】
消費者の要求に従い、本発明の機能性流体の粘度は幅広い範囲内で適合されることができる。ISO VG 32、46、68、100 流体グレードは達成されることができる、例えば
【0067】
【表1】

【0068】
好ましくはASTM D 445による動粘度40℃は15mm/s〜150mm/s、好ましくは28mm/s〜110mm/sの範囲である。本発明の機能性流体は高い粘度指数を有する。好ましくはASTM D 2270による粘度指数は少なくとも150、特に少なくとも180及びより好ましくは少なくとも200である。
【0069】
本発明の機能性流体は良好な低温性能を有する。低温性能は、ASTM D 2983によりブルックフィールド粘度計を用いて評価されることができる。
【0070】
本発明の機能性流体は、高圧用途のために使用されることができる。好ましい実施態様は0〜700bar及びとりわけ70〜400barの圧力で使用されることができる。
【0071】
さらに、本発明の好ましい機能性流体は、例えば、ASTM D 97により決定されることができる低い流動点を有する。好ましい流体は、−30℃又はそれ未満、特に−40℃又はそれ未満及びより好ましくは−45℃又はそれ未満の流動点を有する。
【0072】
本発明の機能性流体は、幅広い温度範囲に亘って使用されることができる。例えば流体は−40℃〜120℃の領域で使用されることができる。
【0073】
さらに、本発明の好ましい機能性流体は、少なくとも280℃、好ましくは300℃及びより好ましくは320℃のASTM D 92による高い燃焼点を有する。
【0074】
機能性流体は、CEC L-33-A94又はOECD 301Bによる高い生分解性を有する。好ましい流体は、60%を上回る分解、又はCOへの転化を示す。
【0075】
本発明の耐火性の機能性流体は、例えば、工業、自動車、採鉱、発電、海洋及び軍事の作動液用途において有用である。固定操作における耐火性の流体の使用を必要とする典型的な操作は、金属鋳造工場、金属加工、採炭及び食品加工設備を含む。移動装置用途は、建設、林業、配送車両及び市中フリート(ゴミ収集、除雪車等)を含む。海洋用途は船のデッキクレーンを含む。
【0076】
本発明の耐火性の機能性流体は、発電油圧作動装置、例えば電動油圧タービン制御系において有用である。
【0077】
耐火性流体の使用を必要とする典型的な操作は、航空機油圧系、カタパルト発射系、船のエレベーター、タンク及び地上輸送装置を含む。
【0078】
さらに、本発明の耐火性の機能性流体は、変圧器液又は急冷油として有用である。
【0079】
本発明は、以下に例及び比較例によってより詳細に説明されるが、本発明をこれらの例に限定することを意図するものではない。
【0080】
実施例
製造例1
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール溶剤を有する9−オクタデセン酸エステル200g((登録商標)Lexolube 2G-214、Inolex Chemical Co.から商業的に入手可能)、LMA 150g(LMA:ラウリルメタクリレート、メチルメタクリレートと(登録商標)Lorol(Henkel KGaA)との反応から得られた長鎖メタクリレートの混合物)、メチルメタクリレート183g、1−ドデカンチオール10g(Aldrich 98+%)及び2,2′−アゾビス[2−メチルブチロニトリル] 0.66g(Vazo 67、DuPontから商業的に入手可能)を、不活性ガスでパージした3 lの四つ口の丸底フラスコ中で混合した。ついで反応混合物を、不活性ガスパージ下に撹拌しながら95℃に加熱した。その後、LMA 300g、メチルメタクリレート367g、1−ドデカンチオール20g及び2,2′−アゾビス[2−メチルブチロニトリル] 1.33gを含有する組成物を、90分の期間に亘って添加した。添加が完了した後に、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール溶剤を有する9−オクタデセン酸エステル400gと混合された2,6−ジメチル−4−ヘプタノン中に溶解させた2,2′−アゾビス[2−メチルブチロニトリル]1.5gを、90分間に亘り一定速度で添加した。フィードの終了時に、混合物を95℃でさらに20分間撹拌した。
【0081】
最終生成物固形分は、50%(理論上、モノマーフィードに対して)であり、8.89×10/7.41×10のMw/Mn(ポリ(メチル)メタクリレート標準化GPCにより特性決定されたものとして)を有する。
【0082】
例2
溶剤希釈なしでのBMA 100%(ブチルメタクリレート)から合成した低分子量ポリマー。最終的な生成物ポリマー固形分は>99%であり、2.3×10の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0083】
例3〜10及び対照1〜3
第1表による組成物を、製造例1及び/又は例2において得られたポリマーを用いて混合する、
トリアリールホスフェートエステル、Great Lakes Chemical Corp.から入手可能(Durad 300)、
ネオペンチルグリコールジオレエート、Inolex Chemical Co.から入手可能(Lexolube 2G-214)、
ネオペンチルグリコールタレート、Georgia Pacificから入手可能(Xtolube 1301)、
ジエチレングリコールタレート、Georgia Pacificから入手可能(Xtolube 1320)、
プロピレングリコールジオレエート、Uniqemaから入手可能(Priolube 1430)。
【0084】
成分の量は、全流体に対する質量%で与えられている。
【0085】
前記組成物を、Factory Mutualにより提供される耐火性の流体のための格付け系に従って評価した。この系は、噴霧されたスプレーの燃焼からの流体の化学的熱発生率並びに発火についての流体の臨界熱流束(発火が生じないか又はそれを下回る点での最大熱流束)の測定をベースとしている−例えばFactory Mutual's Approval Standard for Flammability Classification of Industrial Fluids - 6390により記載されている。このデータは、いわゆるスプレー燃焼性パラメーター(Spray Flammability Parameter)−加圧された場合の高度に噴霧された条件における流体の燃焼性の程度の測度中へ算入される−次の式をベースとしている:
SFP=11.02×10×Qch/(ρcr
ここで:
chは測定された化学的熱発生率[kW]であり、
crは発火のための臨界熱流束[kW/m]であり、
ρは流体の密度[kg/m]であり、
は化学的熱発生の間の流体質量流量[g/s]である−約数は異なる流れ力学を有する装置間の比較のためにSFPを“正規化する”ために使用した。故に全てのSFP等級は、流れの測定された単位で正規化される。
【0086】
これらの等級は次のように積み重ねられる:
【0087】
【表2】

【0088】
混合物のSFP等級及びSFP値は第1表に与えられている。燃焼点をASTM D 92に従って決定した。流動点をASTM D 97に従って測定した。動粘度を、ASTM D 445規格を用いて測定した。さらなる評価方法及びそれらの結果は第1表に記載されている。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性流体であって、次のもの
A)次のもの
a)式(I)
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子1〜6個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して、水素又は式−COOR′の基を表し、ここでR′は水素又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して1〜100質量%、
b)式(II)
【化2】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子7〜40個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して、水素又は式−COOR′′の基であり、ここでR′′は水素又は炭素原子7〜40個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜99質量%、
c)コモノマー、エチレン系不飽和モノマーの全質量に対して0〜50質量%、
からなるオレフィン系不飽和モノマーの混合物を重合させることにより得ることができるアルキル(メタ)アクリレートポリマー、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%
及び
B)カルボン酸エステル、ポリエーテルポリオール及び/又は有機リン化合物の群から選択される酸素含有化合物、機能性流体の全質量に対して1〜99質量%
を含有している、機能性流体。
【請求項2】
酸素含有化合物が少なくとも250℃のASTM D 92による燃焼点を有している、請求項1記載の機能性流体。
【請求項3】
酸素含有化合物が、35mm/s又はそれ未満のASTM D 445による40℃での動粘度を有している、請求項1又は2記載の機能性流体。
【請求項4】
酸素含有化合物が少なくとも2つのエステル基を有するカルボン酸エステルである、請求項1から3までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項5】
酸素含有化合物が、炭素原子4〜12個を有するカルボン酸のジエステルである、請求項1から4までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項6】
ジエステルがアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタレート及び/又はドデカン酸のエステルである、請求項5記載の機能性流体。
【請求項7】
酸素含有化合物がポリオールのエステルである、請求項1から6までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項8】
ポリオールが炭素原子4〜22個を有する、請求項7記載の機能性流体。
【請求項9】
エステルが、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメタノールプロパン、又はペンタエリトリトールのエステルである、請求項8記載の機能性流体。
【請求項10】
酸素含有化合物がポリアルキレングリコールである、請求項1から9までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項11】
ポリエーテルポリオールが、ブチレンオキシドをベースとしている、請求項10記載の機能性流体。
【請求項12】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーが300g/mol〜50 000g/molの範囲内の分子量を有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項13】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーが、
式(I)
【化3】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子1〜6個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′の基を表し、ここでR′は、水素又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物15〜70質量%を含有する混合物により得ることができる、請求項1から12までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項14】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーが、
式(II)
【化4】

[式中、Rは水素又はメチルであり、Rは炭素原子7〜40個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル残基を表し、R及びRは独立して水素又は式−COOR′′の基であり、ここでR′′は水素又は炭素原子7〜40個を有するアルキル基を表す]で示される1つ又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物30〜85質量%を含有する混合物により得ることができる、請求項1から13までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項15】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーが、分散剤モノマーを含有する混合物により得ることができる、請求項1から14までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項16】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーがビニルモノマー含有芳香族基を有している混合物により得ることができる、請求項1から15までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項17】
アルキル(メタ)アクリレートポリマーと酸素含有化合物との質量比が2:1〜1:10の範囲内である、請求項1から16までのいずれか1項記載の機能性流体。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の機能性流体を含有している作動油。
【請求項19】
作動油が請求項1から17までのいずれか1項記載の機能性流体少なくとも20質量%を含有している、請求項18記載の作動油。
【請求項20】
作動液、変圧器油及び急冷油の耐火性を改善するための、請求項1から17までのいずれか1項記載の機能性流体の使用。
【請求項21】
作動液が無水流体である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
オレフィン系不飽和モノマーの混合物を、成分B)による酸素含有化合物の流体中で重合させることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の機能性流体の製造方法。

【公表番号】特表2006−528707(P2006−528707A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520744(P2006−520744)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007881
【国際公開番号】WO2005/014762
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(399020957)ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】