説明

欠陥検出装置、方法、及びプログラム

【課題】正確な検査を短時間で行うことができる欠陥検出装置、欠陥検出方法、及び欠陥検出プログラムを提供する。
【解決手段】配線を有する試料30に対して電荷を与えることで、与えられた電荷に応じて輝度が変化する画像を、試料30の配線の方向における異なる箇所で取得する画像取得装置10と、試料の画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求める不連続点特定部23と、複数枚の試料の画像中における輝度の不連続点の位置を比較して、複数枚の画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定する判定部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検出装置、欠陥検出方法、及び欠陥検出プログラムに関し、特に詳しくは試料に電荷を与えることで取得した画像を用いて欠陥を検出する欠陥検出装置、欠陥検出方法、及び欠陥検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の信頼性等の特性、製品を作るための不具合解析、工程モニタリングなどを実施するために、デバイスの簡易的構造を抽出して作成するTEG(Test Element Group)がある。近年の微細化や大規模化に伴い、これらTEGに搭載されるパターンについても、10万個を超えるトランジスタを対象にしたものが存在するようになっている。これに伴い、コンタクトやビア(Via)などが、同数程度配置されることがある。また、上記よりも大規模なコンタクト、ビアチェーンについても、それ単体の信頼性を満足させるために、TEGを構成するケースも多くなっている。配線工程を対象に作成したTEGでは、意図しない抵抗変動、オープン不良、ショート不良に対し、メカニズムを解明するために、素子の規模によらず、不良箇所を絞り込むことが重要な役割を担っている。
【0003】
配線工程を対象にしたTEGでオープン不良を見つける場合、SEM(Scanning Electron Microscope)やFIB(Focused Ion Beam)装置を用いたボルテージコントラスト法を利用することができる。こうすることで、10万個を超えるビアの配置の中から、1個の不良のビアまで、絞り込むことが出来ることが分かっている。ボルテージコントラスト法を利用して、不良解析を実施する際の問題として、ビアの数が多くなればなるほど(つまり、ビアチェーン規模が大きくなればなるほど)、不良箇所を特定するのに要する時間が長くなる傾向がある。よって、自動的に不良箇所を特定できるシステムを構築する必要性が発生している。
【0004】
ボルテージコントラスト法にて、上下の配線をビアにて接続しそれを多数配置したTEG(ビアチェーン)の不良箇所を絞り込む際、不良が発生しているチェーンに対し、数百倍から千倍程度の低倍率SEM像を取得する。低倍率SEM像を用いて、予め、不良存在している配線列を絞り込んでおく。絞り込まれた対象配線に対し、数千倍程度の高倍率で、配線端部より逐一観察していく。こうすることで、不良箇所を特定する方法を想定している。本方法にて、不良箇所を絞り込む場合、観察対象が微細になればなるほど、また、解析規模が大きくなればなるほど、解析時間を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開2004/0207414号明細書
【特許文献2】特開2008−311439号公報
【特許文献3】特開2000−195458号公報
【特許文献4】特開2003−098114号公報
【特許文献5】特開2007−256125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボルテージコントラスト法で不良箇所を特定する場合、SEM像やSIM(Scanning Ion Microscope)像に発生する輝度の不連続部分を、不良箇所として視認識することが有効である。不良箇所を自動的に検出する場合では、如何に、不良箇所の視認識性を向上するのかが一つの解となっている。
【0007】
特許文献1には、視認識性を向上する技術が開示されている。特許文献1では、半導体に電気的な欠陥が発生するとボルテージコントラスト(電位コントラスト)の変化を引き起こしやすいテストパターンを予め形成している。そして、ボルテージコントラストを発生させたパターンを検出する。その後に、そのボルテージコントラストを発生させたパターンのみを検査する。また、同様に視認識性を高めるための技術が特許文献2に開示されている。
【0008】
また、2つの画像の差分情報を利用し、不良箇所特定を行う技術が開示されている(特許文献3〜5)。すなわち、周期的に区切った領域で複数の画像を取得し、画像に発生する差異を検出する技術が開示されている。特許文献3では、検査試料上に形成されているパターンの周期情報を利用している。検査パターンを1周期または複数周期に区切って、複数部分の画像を作成する。複数部分間内の小領域間で、差分処理を行い、特異点の検出を行っている。
【0009】
微細化や高密度化に伴い、低倍の像から不良位置を特定することが困難になってきている。よって、事前に欠陥検査装置を用いて、不良箇所が推定できていない場合がある。この場合、上記した特許文献の方法では、チェーン部全体または、一部を全数検査することが必要となる。不良検出までに、時間が掛かることが推定される。このため、検査時間短縮のためには、検査領域の効率的な間引き方法の検討が必要となる。
【0010】
また、ボルテージコントラスト像の差分像を用い、不良箇所を検出する場合については、互いに比較するSEM像やSIM像の輝度のダイナミックレンジが異なることがある。これは、不良個所の抵抗や不良個所につながる部分の容量に依存して、最適な取り込み時間が異なることや、SEMの性能(検出系やステージ系の状態)やサンプル自身の帯電性能等が、不良箇所付近への帯電特性へ影響を与えるためと考えている。ダイナミックレンジが異なる2つの像の差分をとる場合、誤った不良箇所を抽出する可能性がある。従って、正確な検査を短時間で行うことが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る欠陥検出装置は、配線を有する試料に対して電荷を与えることで、与えられた電荷に応じて輝度が変化する画像を、前記試料の前記配線の方向における異なる箇所で取得する画像取得装置と、前記試料の前記画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求める不連続点特定部と、複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較して、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定する判定部と、を備えるものである。この構成によれば、輝度の不連続点の位置の比較結果に基づいて、複数の画像を取得した箇所の間に欠陥があるか否かを判定しているため、画像の取得回数を減らすことができる。よって、正確な検査を短時間で行うことができる。
【0012】
本発明の一態様に係る欠陥検出方法は、配線を有する試料に対して電荷を与えることで、与えられた電荷に応じて輝度が変化する画像を取得し、前記配線の方向における異なる箇所で、前記試料の前記画像を取得し、前記試料の画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求め、複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較し、前記変化点の位置の比較結果に応じて、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定するものである。この欠陥検出方法によれば、輝度の不連続点の位置の比較結果に基づいて、複数の画像を取得した箇所の間に欠陥があるか否かを判定しているため、画像の取得回数を減らすことができる。よって、正確な検査を短時間で行うことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る欠陥検出プログラムは、配線を有する試料に対して電荷を与えることで、取得した画像を用いて欠陥を検出する欠陥検出プログラムであって、コンピュータに対して、前記試料の画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求めさせ、複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較させ、前記変化点の位置の比較結果に応じて、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定させる、ものである。この欠陥検出プログラムによれば、輝度の不連続点の位置の比較結果に基づいて、複数の画像を取得した箇所の間に欠陥があるか否かを判定しているため、画像の取得回数を減らすことができる。よって、正確な検査を短時間で行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る欠陥検出装置、欠陥検出方法、及び欠陥検出プログラムによれば、正確な検査を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置の構成を示す図である。
【図2】不良箇所を特定するチェーンを示す模式図である。
【図3】欠陥検出装置で取得したSEM像を示す図である。
【図4】SEM像の拡大像を模式的に示す図である。
【図5】不良箇所のSEM像を示す模式図である。
【図6】不良箇所以外のSEM像を示す模式図である。
【図7】不良箇所以外のSEM像を示す模式図である。
【図8】不良箇所以外のSEM像を示す模式図である。
【図9】不良箇所以外のSEM像を示す模式図である。
【図10】2画像を比較した時の、不良箇所とSEM像の関係を示す図である。
【図11】3画像を比較した時の、不良箇所とSEM像の関係を示す図である。
【図12】本実施の形態における欠陥検出方法を説明するための図である。
【図13】不良箇所のSEM像を拡大して示す図である。
【図14】SEM像の輝度値を示すグラフである。
【図15】SEM像の輝度値を拡大して示すグラフである。
【図16】実施形態1にかかる欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図17】試料中におけるSEM像の取得位置を模式的に示す平面図である。
【図18】実施の形態1において、取得したSEM像を模式的に示す平面図である。
【図19】実施形態2にかかる欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図20】試料中におけるSEM像の取得位置を模式的に示す平面図である。
【図21】実施の形態2において、取得したSEM像を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る欠陥検出装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、欠陥検出装置は、画像取得装置10と、処理装置20とを備えている。画像取得装置10は、例えば、ステージ11と、撮像部12と、を備えている。
【0017】
ステージ11には、半導体装置である試料30が載置される。試料30は、例えば、後述するように特性測定用のTEGが形成された半導体ウェハである。画像取得装置10がSEM装置の場合、撮像部12は、電子を放出する電子源を有している。さらに、撮像部12は電子源から放出された電子を集束するためのレンズ等や、電子走査するためのスキャナを有している。試料30に電子が照射されると、試料30からは二次電子が放出する。撮像部12が、この二次電子を検出することで、試料30のSEM像を取得することができる。さらに、撮像部12と試料30を相対移動することで、試料30の任意の位置におけるSEM像を取得することができる。試料30と撮像部12の相対移動は、ステージ11を駆動することで、行われる。もちろん、撮像部12を支持するアーム(不図示)を駆動することで、試料30と撮像部12とを相対移動させてもよい。
【0018】
試料30に設けられているパターン等に応じて、二次電子の放出量が異なる。すなわち、試料30に設けられているパターンに応じて、SEM像の輝度が変化する。SEM像は、試料30の表面の形状を反映した画像となる。さらに、試料30における電位に応じてSEM像の輝度が変わる。すなわち、SEM像は、試料30の電位的な接続状態を反映した輝度を有している。このため、不良箇所を境にして、片側が明るく、その反対側には暗いコントラストが発生している。ボルテージコントラスト法は、このコントラスト(輝度)の不連続点を見つけ出し、不良箇所とする方法である。
【0019】
画像取得装置10は、試料30に電荷を与えて、放出する二次電子に応じた試料30の画像を取得する。このとき、試料30のSEM像の輝度は、試料30の導電パターンの接続状態に応じて変化する。従って、SEM像は、ボルテージコントラスト像となる。なお、上記の説明では、画像取得装置10がSEM装置であるとして説明したが、これ以外の装置であっても良い。すなわち、試料30に荷電粒子を照射して、試料30の像を取得する装置であればよい。例えば、画像取得装置10がFIB装置である場合、試料30にイオンを与えて、SIM像を取得する。また、吸収電流法によって、試料30の像を取得してもよい。吸収電流法では、試料30に対して電荷を与えた時に、試料30の配線に流れる電流を測定している。
【0020】
画像取得装置10で取得したSEM像は、処理装置20に出力される。処理装置20は、パーソナルコンピュータ等の演算処理装置であり、SEM像を格納する。処理装置20は、格納したSEM像を用いて、試料30の欠陥を検出する。試料30の欠陥箇所を特定するための構成として、処理装置20は、制御部21と、画像記憶部22と、不連続点特定部23と、判定部24と、を備えている。ここでは、処理装置20がオープン不良箇所を欠陥として検出する例を説明する。
【0021】
制御部21は、画像取得装置10を制御する。具体的には、画像取得装置10におけるSEM像の取得条件を制御する。これにより、SEM像の倍率、露光時間、電子の放出量などを変更することができる。さらに、制御部21は、ステージ11やアームを制御する。こうすることで、取得するSEM像が、試料30のどの位置のものであるかを認識することができる。例えば、ステージ11のXY座標を記憶しておくことで、試料30上の画像取得位置を把握することができる。
【0022】
画像記憶部22は、メモリ等の記憶手段であり、取得したSEM像を、試料30上の画像取得位置と対応付けて記憶する。不連続点特定部23は、各SEM像における輝度の不連続点を特定する。これにより、SEM像における輝度の不連続点の位置を検出することができる。判定部24は、複数のSEM像における不連続点の位置を比較する。そして、判定部24は、この比較結果と、試料30におけるSEM像の位置を参照して、欠陥判定を行う。これにより、試料30における不良箇所を特定することができる。
【0023】
次に、試料30に形成されたTEGチェーンについて図2を用いて説明する。図2は、TEGのチェーン33を模式的に示す平面図である。図2に示すように、パッド31とパッド32がY方向に離間して配置されている。パッド31とパッド32との間には、チェーン33が形成されている。チェーン33は、パッド31とパッド32とを接続する配線39を有している。従って、不良箇所がない場合、パッド31とパッド32とを含むチェーン33全体がほぼ等電位となる。オープン不良が発生すると、チェーン33では、オープン不良を境にして、電位が大きく変化する。すなわち、不良箇所からパッド31までの電位と、不良箇所からパッド32までの電位が異なる。
【0024】
図2では、X方向がチェーン33の長手方向となっている。すなわち、パッド31からの配線39が+X方向の向きに延在している。そして、パッド31、32が設けられた側と反対側の端部(図2の右端)において、配線39が折り返されて、1列下になる。そして、1列下に折り返された後、配線39が−X方向の向きに延在している。さらに、パッド31、32が設けられた側との端部(図2の左端)において、配線39が折り返されて、さらに1列下になる。そして、1列下に折り返された後、+X方向の向きに延在している。これを繰り返すことで、パッド31から延設された配線39がパッド32に接続している。すなわち、X方向に沿った配線39が複数形成され、配線39の端部で折り返されることで、チェーン33が形成される。なお、配線端部の折り返し部は、左右交互に配置される。従って、チェーン33がジグザグ状に形成されている。
【0025】
このようなチェーン33のSEM像は、図3のようになる。図3は、不良箇所を含むSEM像であり、チェーン33の一部を拡大して示している。図3の矢印で示した不良箇所では、輝度の不連続点が存在する。チェーン33にオープン不良が発生すると、その位置で、電位が変化する。よって、オープン不良では、輝度の不連続点が存在する。すなわち、不良箇所を境にして、チェーン33の片側が明るく、その反対側には暗いコントラストが発生している。具体的には、図3の下側は、上側に比べて輝度が低くなっている。
【0026】
図4は、図3のSEM像を模式的に示す拡大図であり、輝度の違いを示している。図4に示すように、試料30には、上層パターン35と下層パターン36が形成されている。そして、上層パターン35と下層パターン36がチェーン33を構成する。図4では、上層パターン35が縦6×横5のアレイ状に配列されている。なお、図4では、上一列のみ下層パターン36を示しているが、残りの列も同様の下層パターン36が形成されている。また、図4の中心をSEM像の基準点Oとする。試料30における基準点Oの座標は、ステージ11の位置などによって求めることができる。
【0027】
下層パターン36及び上層パターン35は、横方向(X方向)を長手方向としている。上層パターン35の長手方向が、チェーン33の配線方向となる。1つの下層パターン36は、X方向に並んだ2つの上層パターン35の一部と重複している。そして、上層パターン35と下層パターン36との重複部分には、ビア37が設けられている。すなわち、上層パターン35と下層パターン36の間の層間絶縁膜に開口を設けることで、ビア37が形成される。上層パターン35と下層パターン36は、ビア37を介して導通している。隣接する上層パターン35が下層パターン36を介して接続される。X方向において、上層パターン35と下層パターン36が交互に接触している。このように、チェーン33は複数のビア37によって構成されるビアチェーンとなっている。
【0028】
オープン不良箇所で、輝度の不連続点が存在する。以下の説明では、右下角の上層パターン35を(1,1)の上層パターン35とし、左上角の上層パターン35を(5,6)の上層パターン35と表記して、各上層パターン35を特定する。(3,4)の上層パターン35と(4,4)の上層パターン35との間に、不良箇所38が発生している。よって、隣接する(3,4)の上層パターン35と(4,4)の上層パターン35とが断線して、異なる電位となっている。換言すると、上2列の上層パターン35と、(4,4)の上層パターン35と、(5,4)の上層パターン35と、が導通して、等電位となっている。また、下3列の上層パターン35と、(1,4)〜(3,4)の上層パターン35とが導通して、等電位となっている。チェーン33では、不良箇所38を境にして、電位が変化する。よって、SEM像には、図4に示すような輝度の差が現れる。
【0029】
ここで、SEM像の左端における輝度の不連続点の位置をLとし、右端における輝度の不連続点の位置をLとする。ここで、LはSEM像の左端におけるSEM像の下端から不連続点までの長さである。LはSEM像の右端におけるSEM像の下端から不連続点までの長さである。換言すると、不連続点の位置L、及びLは、SEM像におけるY座標に相当する。取得したSEM像に不良箇所が含まれている場合、LとLが一致しない。L、及びLは、不良箇所の位置を特定するための指標となる。不連続点の位置L、及びLは、SEM像の輝度の違いにより定義することができる。
【0030】
(原理説明)
以下、欠陥を検出するための原理に付いて説明する。図5に不良箇所を含むSEM像の模式図を示し、図6乃至図9に不良箇所が存在する一列におけるSEM像の模式図を示す。なお、図5は、図4と同様の像である。ここで、図4に示すSEM像における連続点の位置を、L=LL0とし、L=LR0とする。図5のSEM像には不良箇所が含まれているため、LL0とLR0とは一致していない。
【0031】
不良箇所を含むSEM像から、左右に1画面分ずらしたSEM像は、図6、図7に示すようになる。図6は、左に1画面分ずらしたSEM像を模式的に示す図であり、図7は、右に1画面分ずらしたSEM像を模式的に示す図である。ここで、左に1画面分ずらしたときの不連続点の位置を、L=LL1とし、L=LL1とする(図6参照)。同様に、右に1画面分ずらしたときの不連続点の位置を、L=LR1とし、L=LR1とする(図7参照)。図6のSEM像には、不良箇所が含まれていないため、LL1とLL1とが一致する。そして、LL1とLL1は、図5のLL0と等しくなっている。また、図7のSEM像にも、不良箇所が含まれていないため、LR1とLR1とが一致する。そして、LR1とLR1は、図5のLR0と等しくなっている。さらに、LR1とLR1は、LL1とLL1と異なっている。このように、不良箇所から左右に1画面分移動した場合、同一SEM像においては、不連続点の位置に差がなく、2つのSEM像において、不連続点の位置に差が発生している。
【0032】
不良箇所を含むSEM像から、左右にn画面分ずらしたSEM像は、図8、図9に示すようになる。図8は、左にn画面分ずらしたSEM像を模式的に示す図であり、図9は、右にn画面分ずらしたSEM像を模式的に示す図である。ここで、左にn画面分ずらしたときの不連続点の位置を、L=LLnとし、L=LLnとする(図8参照)。同様に、右にn画面分ずらしたときの不連続点の位置を、L=LRnとし、L=LRnとする(図9参照)。図8のSEM像には、不良箇所が含まれていないため、LLnとLLnとが一致する。そして、LLnとLLnは、図6のLL1とLL1等しくなっている。また、図9のSEM像にも、不良箇所が含まれていないため、LRnとLRnとが一致する。そして、LRnとLRnは、図7のLR1とLR1と等しくなっている。さらに、LRnとLRnとは、LLn1とLLnと異なっている。このように、不良箇所から左右にn画面分移動した場合、同一SEM像においては、不連続点の位置に差がなく、2つのSEM像において差が発生している。不良箇所から左右にn画面分移動した場合の不連続点の位置の差は、不良箇所から左右に1画面分移動した場合と同様になる。
【0033】
従って、不良箇所から右方向に1画面分平行移動したSEM像と、不良箇所から右方向にn画面分平行移動したSEM像とを比較すると、不連続点の位置が等しくなる。同様に、不良箇所から左方向に1画面分平行移動したSEM像と、不良箇所から左方向にn画面分平行移動したSEM像とを比較すると、不連続点の位置が等しくなる。換言すると、不良箇所より右側で取得したSEM像の不連続点の位置は、同じとなる。同様に、不良箇所より左側で取得したSEM像の不連続点の位置は、同じとなる。一方、不連続点の右側で取得したSEM像と、不連続点の左側で取得したSEM像とを比較すると、不連続点の位置が異なる。このように、配線方向に沿って移動させてSEM像を取得すると、不連続点の位置に規則性が存在する
【0034】
ある位置を基準としてSEM像を取得した後、配線方向において平行に移動して、SEM像を取得する。すなわち、X方向における異なる位置で2枚のSEM像を取得する。すると、2枚のSEM像における不連続点の位置L、Lは、図10に示すA〜Cの場合に、分けることができる。ただし、図10は、各SEM像の中に不良箇所が無い場合を示している。図10のAの場合、一方のSEM像の不連続点の位置をL=Lm、L=Lmとして、他方のSEM像の不連続点の位置を、L=Ln、L=Lnとしている。図10のBの場合、一方のSEM像の不連続点の位置をL=Lm、L=Lmとして、他方のSEM像の不連続点の位置を、L=Ln、L=Lnとしている。図10のCの場合、一方のSEM像の不連続点の位置をL=Lm、L=Lmとして、他方のSEM像の不連続点の位置を、L=Ln、L=Lnとしている。
【0035】
図10のA〜Cに示す場合では、SEM像中に不良箇所38が無いため、いずれの場合も、Lm=Lm、Ln=Lnとなる。図10のAは、2枚のSEM像の間に、不良箇所38がある場合を示している。この場合、LmとLmが、LnとLnと異なっている。
【0036】
一方、図10のBに示す場合では、2枚のSEM像の右側に不良箇所38がある。よって、LmとLmがLnとLnと等しくなっている。図10のCに示す場合では、2枚のSEM像の左側に不良箇所38がある。よって、LmとLmがLnとLnと等しくなっている。2つのSEM像間に不良箇所38がない場合、同一SEM像上で、不連続点の位置に差がなく、かつ、異なるSEM像間にも差がない。
【0037】
初期条件として、2枚のSEM像間に不良箇所が存在するという条件を設定する。例えば、チェーン33を構成する両端部においては、各々の端部の像に不良箇所が存在しなければ、この2つのSEM像の間に不良箇所が存在することになる。ただし、ここでは、次の条件の3点のSEM像を考える。3つの内、2つのSEM像間に、不良箇所が挟まれており、かつ、その不良箇所を挟んだ間に、もう一つのSEMを配置する場合を考える。加えて、3つのSEM像中には不良箇所がないとする。
【0038】
上記の条件を満たす場合の模式図を図11に示す。図11では、3枚のSEM像における不連続点の位置(L、L)を、(Ll、Ll)、(Lm、Lm)、(Ln、Ln)としている。ここでは、左から1枚目のSEM像と、左から2枚目のSEM像との間に、不良箇所38が存在している。加えて、左から2枚目のSEM像と、左から3枚目のSEM像との間に、不良箇所38が存在していない。
【0039】
ここでは、Ll、及びLlがLm、及びLmと異なっている。加えて、Lm、LmがLn、及びLnと等しくなっている。このように3つのSEM像を比較すると、不連続点の位置が異なる2つのSEM像間に、不良箇所38が存在していることが分かる。換言すると、不連続点の位置が同じ2つのSEM像間には、不良箇所38が存在していないことが分かる。
【0040】
ここで、3つの内、2つのSEM像間に、不良箇所が挟まれており、かつ、その不良箇所を挟んだ間に、もう一つのSEM像を配置する場合を考える。さらに、3つのSEM像中には不良箇所がない場合には、不良箇所を挟んだSEM像の間に位置しているSEM像と、不良箇所を挟んだSEM像のいずれの一方のSEM像との間に、不良箇所が位置することを示している。
【0041】
この条件を、不良箇所の特定に利用する。不良箇所の特定について、図12を用いて説明する。まず、チェーン33の配線方向がx方向と平行であると仮定する。つまり、チェーン33を構成する1配線のY座標は、同じであると仮定する。不良箇所において観察されるSEM像は、推定される不良状態となっている。すなわち、不良箇所を含むSEM像内で、不連続点の位置LとLには、差異が発生していることになる。
【0042】
yが一定の状態で、不良箇所から−x方向に進めた位置を(x1、y)とし、+x方向に進めた位置を(x2、y)とする。そして、(x1、y)、(x2、y)で、それぞれSEM像を取得する。なお、(x1、y)の位置で取得したSEM像をSEM像P1とし、(x2、y)の位置で取得したSEM像をSEM像P2とする。なお、試料30におけるSEM像の取得位置の座標は、SEM像の基準点、すなわち中心位置に対応している。不良が存在する配線1列分に相当する領域で、輝度に差異が発生する。ただし、ここでは、チェーンが1列に接続されている場合を仮定している。
【0043】
上記の2点の中間点(x3,y)のSEM像P3を取得する。これは、3つの内、2つのSEM像間に、不良箇所が挟まれており、かつ、その不良箇所を挟んだ間に、もうひとつのSEM像を配置する場合となる。加えて、3つの画像には不良箇所がないとする、という条件を満たしていることになる。
【0044】
図11を用いて説明した通り、SEM像P3は、先のSEM像P1、P2の一方との間に、不良箇所がある関係にある。従って、(i)L3、及びL3がL1、及びL1と同じであり、かつL2、及びL2と異なっているか、(ii)L3、及びL3がL1、及びL1と異なっており、かつL2、及びL2と同じであるか、のいずれか一方を満たす。図12では、(ii)の条件を満たすとため、SEM像P1とSEM像P3の間に不良箇所38があると分かる。すなわち、不良箇所38は、(x1,y)と(x3,y)の間に存在する。
【0045】
続けて、x1とx3の中間点を(x4,y)と仮定する。但し、x4=(x1+x3)/2である。(x4,y)でのSEM像P4を取得する。そして、SEM像P4をSEM像P1とSEM像P3と比較する。具体的には、SEM像P4の不連続点の位置L4、及びL4をSEM像P1の不連続点の位置L1、及びL1と比較する。これにより、(x1,y)と(x4,y)の間に不良箇所があるか否かが分かる。同様に、SEM像P4の不連続点の位置L4、及びL4をSEM像P3の不連続点の位置L3、及びL3と比較する。これにより、(x3,y)と(x4,y)の間に不良箇所があるか否かが分かる。
【0046】
ここでは、SEM像P4の不連続点の位置L4、及びL4がSEM像P1の不連続点の位置L1、及びL1と異なっている。このため、(x1,y)と(x4,y)の間に不良箇所があることが分かる。そして、(x1,y)と(x4,y)との中間点(x5,y)でSEM像を取得して、比較を行う。このように、2つのSEM像の中間位置のSEM像を取得していき、その都度、不連続点の位置を比較する。これにより、不良箇所の位置を短時間で特定することができる。具体的には、(a)取得したSEM像の画像において、LとLが異なる場合、(b)LとLが等しく、かつ2つのSEM像の中間までの距離が、SEM像の幅より狭い場合、のいずれかに該当するまで、中間位置でのSEM像の取得と比較を繰り返し行う。不良箇所まで連続的にSEM像を取得する必要がなくなる。すなわち、離散的にSEM像を取得し、不良位置の特定を行うことが出来る。このため、SEM像の取得回数を減らすことができ、短時間で不良箇所の特定可能である。
【0047】
さらに、2枚のSEM像の差分像を用いていない。すなわち、SEM像毎に独立して、不連続点の位置が検出される。このため、2枚のSEM像を取得する際の、ダイナミックレンジの違いを考慮する必要がなくなる。最適な取り込み時間の違いが生じたり、SEMの性能(検出系やステージ系の状態)やサンプル自身の帯電性能等が、不良箇所付近への帯電特性へ影響を与えたりする場合であっても、それぞれのSEM像で正確に不連続点の位置を特定することができる。これにより、正確な検査を行うことができる。
【0048】
次に、実際に取得したSEM像と、その輝度値のグラフを図13〜図15に示す。図13は、実際に取得したSEM像の一例を示す図である。図14、図15は、図13のSEM像の輝度値を示すグラフである。図14、図15において、横軸がY方向の位置であり、縦軸が輝度値である。図14は、図13中の左右の端部M、Mにおける輝度値を示す図である。図15は、それぞれ、MとMのうち、Mの部分を拡大して示す図である。図15に示すように、Mの部分で輝度の不連続点が存在することが分かる。なお、図14、図15から分かるように、試料30のパターンに応じて、輝度値が異なっている。パターンの違いにより不連続点の検出が困難になる場合、例えば、Y方向に沿った複数の近傍画素の輝度値の平均あるいは和を求め、この値を微分する。こうすることで、不連続点の位置を容易に検出することができる。
【0049】
(実施形態1)
実施形態1に係る欠陥検出方法について図16〜図18を用いて説明する。図16は、上記の検出原理を利用した欠陥検出方法を示すフローチャートである。図17は、チェーンパターンにおけるSEM像の配置を示す図である。図18は、各SEM像を模式的に示す図である。
【0050】
まず、上記の検出原理を利用した解析の前処理として、予め電気的測定により不良が判別しているチェーンパターンに対し、低倍率でSEM像を取得する。この時、制御部21が、チェーンパターンに対し、アライメント補正を実施し、ステージ座標やビーム座標と同期しておく。これにより、試料30におけるSEM像の座標を特定することができる。
【0051】
次に、ボルテージコントラストが確認できる位置で且つ、パターン中心部分で高倍観察を実施する。なお、ボルテージコントラストが確認できる位置とは、SEM像中において、不良箇所に応じた輝度の不連続点が存在する位置であり、不良箇所が存在しているラインである。例えば、図17のチェーンパターン34において、左右方向の中心位置(1)でSEM像を取得し、指標L、Lを確認する(ステップS101)。具体的には、まず、画像取得装置10が取得したSEM像を画像記憶部22が記憶する。図17では、パッド31からパッド32までを接続するチェーンパターン34が形成されている。チェーン33は、パッド31から点線矢印方向に進み、端部で折り返され、一段下の点線矢印の方向に進む。そして、反対の端部で再度折返し、さらにもう一段下の点線矢印の方向に進む。これを、パッド32まで繰り返している。
【0052】
不連続点特定部23が不連続点の位置L、Lを算出する。不連続点の位置L、Lを算出することができない場合、制御部21がSEMの取得条件を変更する(ステップS102)。例えば、露光時間や電子ビームの強度等を変える。そして、不連続点の位置L、Lを算出することができるまで、取得条件を変更する。不連続点の位置L、Lを算出することができた場合、判定部24がLとLを比較する。1枚のSEM像中において、LとLが異なる場合、不良箇所の特定が完了する(ステップS103)。すなわち、判定部24が、(1)のSEM像中に不良箇所があると判定する。
【0053】
なお、不連続点の位置の差は、SEM像の画素数を基準にして算出することができる。このため、高倍率で十分なSEM像が取得でき、その条件にて高倍観察を実施すれば、位置分解能(配線分解能とほぼ同義)が上がるが、最終的に収束するまでのTAT(Turn Arround Time)に影響を与える。従って、SEMの取得条件を、程よい倍率に抑える必要がある。130nm/130nmのLine/spaceの場合で、5000倍程度の高倍率にて、SEM像を観察する。このとき、取得位置におけるステージ位置やビーム位置を記録しておく。
【0054】
とLが同じ場合、図17に示す(2)と(3)の位置で、SEM像を取得し、指標L、Lを確認する(ステップS104)。具体的には、画像取得装置10が取得したSEM像を画像記憶部22が記憶する。そして、各SEM像に対して、不連続点特定部23が不連続点の位置L、Lを算出する。そして、判定部24が1枚のSEM像中における指標L、Lを比較する。1枚のSEM像中において、LとLが異なる場合、不良箇所の特定が完了する(ステップS105)。すなわち、判定部24が、LとLが異なるSEM像の位置に不良箇所38があると判定される。この場合、(2)、又は(3)のうち、一方に不良箇所38があることと判定される。
【0055】
ここで、(1)〜(3)のSEM像が図18に示すようになっているとする。(2)と(3)の各SEM像において、LとLが同じである。よって、(1)の指標L1、L1と(2)の指標L2、L2を比較し、かつ(1)の指標L1、L1と(3)の指標L3、L3を比較する(ステップS106)。
【0056】
L1とL2が異なる場合、(1)と(2)の間の(4)に移動し、SEM像を取得するとともに、(4)の指標L、Lを確認する(ステップS107)。(4)のSEM像において、指標L、Lが異なる場合、不良箇所の特定が完了する(ステップS108)。すなわち、(4)のSEM像中に不良箇所があると判定される。(4)のSEM像において、LとLが同じ場合、(1)の指標L1、L1と(4)の指標L4、L4を比較し、かつ、(4)の指標L4、L4と(2)の指標L2、L2を比較する。その比較結果に応じて、次にSEM像取得箇所を決める。
【0057】
同様に、L3とL1が異なる場合、(1)と(3)の間の(4)に移動し、SEM像を取得するとともに、(4)の指標L、Lを確認する(ステップS109)。(4)のSEM像において、指標L、Lが異なる場合、不良箇所の特定が完了する(ステップS110)。すなわち、(4)のSEM像中に不良箇所があると判定される。(4)のSEM像において、LとLが同じ場合、(1)の指標L1、L1と(4)の指標L4、L4を比較し、かつ、(4)の指標L4、L4と(3)の指標L3、L3を比較する。その比較結果に応じて、次にSEM像取得箇所を決める。
【0058】
図18に示すSEM像では、(1)と(2)のSEM像において、不連続点の位置が一列分ずれているため、(4)の位置は、(1)と(2)の中間位置となる。(4)のSEM像の指標L4、L4の比較結果に応じて、各々の中間点に移動してSEM像を取得するとともに、中間点のSEM像の指標L、Lを確認する(ステップS111)。そして、(a)指標Lと指標Lとが異なる値となる、又は(b)指標Lと指標Lとが同じ値で、かつ移動距離がSEM像の取り込み幅よりも狭くなる上記の処理を繰り返す。
【0059】
このように、2つの異なるSEM像の中点でSEM像を取っている。中点で1度SEMを取る毎に検査範囲が1/2になっていく。よって、n回検査後の、残検査範囲は(1/2)となる。一方、全数検査の場合は、検査点を1つ終えるごとに、検査範囲がp分だけ少なくなる。ただし、p=Lc/Wsである。なお、Lcはチェーン33の検査長であり、WsはSEM像の取り込み幅である。つまり、n回検査後の残検査範囲は、1−npに相当する量になる。これは、Lc=nWsになるまで、絞り込めない可能性があることを意味する。本実施の形態に係る欠陥検出方法によって、SEM像の取り込み回数を少なくすることができるため、検出時間を短縮することができる。特に、チェーン33の検査長が長い場合に好適である。なお、中点ではなく、2つのSEM像の間の位置で、次のSEM像を取得してもよい。例えば、2つのSEM像間の重み付け位置を、次のSEM像取得位置としてもよい。
【0060】
(実施形態2)
実施形態2では、解析開始前の処理において、ボルテージコントラストが確認できる位置の検索方法を、高倍率の観察のまま行っている。これにより、実施形態1の(1)の中心位置に自動的に到達することを可能としている。すなわち、実施形態2では、不良箇所38が存在するラインに自動的に到達している。実施形態2にかかる欠陥検出方法のフローを図19に示す。また、チェーンパターンにおけるSEM像の配置と、そのSEM像を示す図20に示す。
【0061】
まず、チェーンに対してアライメント等を行い、座標補正を行う(ステップS201)。これにより、チェーン端部(両端部)の座標を入手することができる。ここで、チェーンパターン34の端部の座標を取得する。ここで、チェーンパターン34の左上端と右上端の座標を求めている。これらの座標を、図20に示すように、(xE1',y0')、(xE2',y0')とする。図20に示すように、(xE1',y0')、(xE2',y0')を含む位置でのSEM像(A1)、(A2)の左下角の座標を、(xE1,y0)、(xE2,y0)とする。
【0062】
(xE1,y0)、(xE2,y0)の中点となる位置(x0'',y0)でSEM像(A3)を取得する。そして、チェーン両端部の位置から見積もった中間位置から、下方(−Y方向)にずらしてSEM像を取得していき、最終的には、LがWy/2程度になる位置を見つける(ステップS202)。すなわち、(x0'',y0)でのSEM像を含めて、LがWy/2程度になる位置まで、SEMの取得を繰り返す。この条件を満たす位置は、実施形態1の(1)の位置となる(図20参照)。すなわち、(A3)の位置からSEM像を1画面分ずつずらしていき、不連続点が現れる(1)の位置となるまで、SEM像を取得する(図21参照)。なお、Wyは、1画面分のSEM像の高さ、すなわち、SEM像のY方向の大きさである。
【0063】
SEM像において、不連続点の位置L、Lを算出することができない場合、制御部21がSEMの取得条件を変更する(ステップS203)。すなわち、−Y方向ずらしてSEM像を取得していっても、(1)の位置を見つけることが出来なかった場合、制御部21がSEMの取得条件を変更する。そして、変更した取得条件で、SEM像を再取得する。不連続点の位置L、Lを算出することができた場合、実施の形態1で示した解析を開始する。すなわち、実施形態1のステップS101〜ステップ103と同様に、ステップS204〜ステップ206の処理を行う。そして、これらの処理が終了したら、実施形態1のステップS104に移行する。こうすることで、自動で不良箇所を検出することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、SEM像をSIM像に置き換えて実施しても、同様の効果が得られる。SEM像の場合は、画像取得装置10としてSEM装置を用いるが、SIM像は、画像取得装置10としてFIB装置を用いることになる。また、SEMとFIBが同時搭載しているDualBeam装置でも同様の効果を得ることが出来る。ボルテージコントラスト法ではないが、吸収電流法を用いても同じ効果が得られる。この場合、SEMやFIBに加え、プローブユニット、電流計測アンプなどを設ける。
【0065】
なお、画像取得装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信用のインタフェイスなどを有する演算処理装置であり、より具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)等である。また、画像取得装置10は、着脱可能なHDD、光ディスク、光磁気ディスク等を有し、各種プログラムや制御パラメータなどを記憶し、そのプログラムやデータを必要に応じてメモリ(不図示)等に供給する。もちろん、画像取得装置10は、物理的に一つの構成に限られるものではない。そして、画像取得装置10が欠陥検出用のプログラムを実行することで、上記の方法を実施することができる。
【0066】
上述の例において、プログラムは、様々な非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気タイプの信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0067】
尚、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能なものである。また、実施の形態1〜4の2つ以上を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 画像取得装置
11 ステージ
12 撮像ユニット
20 処理装置
21 制御部
22 画像記憶部
23 不連続点特定部
24 判定部
31 パッド
32 パッド
33 チェーン
34 チェーンパターン
35 上層パターン
36 下層パターン
37 ビア
38 不良箇所
39 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を有する試料に対して電荷を与えることで、与えられた電荷に応じて輝度が変化する画像を、前記試料の前記配線の方向における異なる箇所で取得する画像取得装置と、
前記試料の前記画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求める不連続点特定部と、
複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較して、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定する判定部と、を備える欠陥検出装置。
【請求項2】
前記画像中における、前記配線の方向と直交する方向における前記不連続点の位置に基づいて、欠陥が存在するか否かの判定を行う請求項1に記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
1枚の前記画像中の両端における前記不連続点の位置がそれぞれ特定され、
1枚の前記画像中の前記不連続点の位置が異なる場合、前記1枚の画像を取得した箇所に欠陥が存在すると判定される請求項2に記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記試料が、チェーンが設けられたTEGを有し、
前記チェーンが、
前記配線の方向に沿って配列された複数の上層パターンと、
前記上層パターンとビアを介して接続された下層パターンとを有している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
配線を有する試料に対して電荷を与えることで、与えられた電荷に応じて輝度が変化する画像を取得し、
前記配線の方向における異なる箇所で、前記試料の前記画像を取得し、
前記試料の画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求め、
複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較し、
前記変化点の位置の比較結果に応じて、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定する、
欠陥検出方法。
【請求項6】
前記画像中における、前記配線の方向と直交する方向における前記不連続点の位置に基づいて、欠陥が存在するか否かの判定を行う請求項5に記載の欠陥検出方法。
【請求項7】
1枚の前記画像中の両端における前記不連続点の位置がそれぞれ特定され、
1枚の前記画像中の前記不連続点の位置が異なる場合、前記1枚の画像を取得した箇所に欠陥が存在すると判定される請求項6に記載の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記試料が、チェーンが設けられたTEGを有し、
前記チェーンが、
前記配線の方向に沿って配列された複数の上層パターンと、
前記上層パターンとビアを介して接続された下層パターンとを有している請求項5乃至7のいずれか1項に記載の欠陥検出方法。
【請求項9】
配線を有する試料に対して電荷を与えることで、取得した画像を用いて欠陥を検出する欠陥検出プログラムであって、
コンピュータに対して、
前記試料の画像から、欠陥箇所に対応する輝度の不連続点の位置を求めさせ、
複数枚の前記試料の画像中における前記輝度の不連続点の位置を比較させ、
前記変化点の位置の比較結果に応じて、前記複数枚の前記画像を取得した箇所の間に、欠陥が存在するか否かを判定させる、
欠陥検出プログラム。
【請求項10】
前記画像中における、前記配線の方向と直交する方向における前記不連続点の位置に基づいて、欠陥が存在するか否かの判定を行う請求項9に記載の欠陥検出プログラム。
【請求項11】
1枚の前記画像中の両端における前記不連続点の位置がそれぞれ特定され、
1枚の前記画像中の前記不連続点の位置が異なる場合、前記1枚の画像を取得した箇所に欠陥が存在すると判定される請求項10に記載の欠陥検出プログラム。
【請求項12】
前記試料が、チェーンが設けられたTEGを有し、
前記チェーンが、
前記配線の方向に沿って配列された複数の上層パターンと、
前記上層パターンとビアを介して接続された下層パターンとを有している請求項9乃至11のいずれか1項に記載の欠陥検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−209360(P2012−209360A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72701(P2011−72701)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】