説明

欠陥検出装置

【課題】太陽電池の欠陥検出の精度を改善する。
【解決手段】本発明の実施形態の欠陥検出装置は、検査対象である太陽電池セル9を保持する保持部10と、複数の点光源3を備える面光源4と、駆動制御信号を生成するピッチ制御部(5,7)と、駆動制御信号に基づいて、面光源4を移動させる移動機構(6,8)と、面光源4の発光パターンを制御する発光制御信号を生成する光源制御部13と、面光源4が発光した光に応じて太陽電池セル9に発生した電流の電流値を計測し、電流値を示す計測情報を生成する計測部11と、を備える。ピッチ制御部(5,7)は、複数の点光源3の間隔より小さいピッチで面光源4が移動するように、駆動制御信号を生成する。計測部11は、太陽電池セル9に対する面光源4の位置毎に、複数の計測情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池の欠陥を検出する欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー問題や環境問題への意識が高まるにつれて、太陽電池の技術開発が急速に進められている。発電効率の高い太陽電池を開発するためには、製造工程において、太陽電池の欠陥検出を行い、欠陥が検出された場合に、検出した欠陥を開発工程にフィードバックすることが重要である。
【0003】
従来、太陽電池の欠陥検出は、太陽電池の全面に光りを当て、発電性能を二端子で測定し、電流電圧特性(以下「IV特性」という)を評価し、評価したIV特性に基づいて欠陥を検出する、というものである。しかしながら、この方法では、太陽電池の局部の性能、太陽電池の面内バラツキ、及び太陽電池の部分的な欠陥を検出することはできない。
【0004】
これに対して、太陽電池の受光面に、点光源(例えば、発光ダイオード又はレーザ)からの光を局所的に照射し、照射位置の起電流を評価し、評価した起電流に基づいて、太陽電池の欠陥を検出する方法が知られている(特許文献1を参照)。特許文献1の方法によれば、太陽電池の部分的な欠陥を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−111215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、点光源が平面状に配置されるので、2つの点光源の間隔は、点光源の部品サイズ(例えば、発光ダイオードの直径)以上である。換言すると、点光源の解像度は、点光源の部品サイズに依存する。その結果、太陽電池の欠陥検出の精度が低い、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、太陽電池の欠陥検出の精度を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の欠陥検出装置は、検査対象である太陽電池セルを保持する保持部と、複数の点光源を備える面光源と、駆動制御信号を生成するピッチ制御部と、前記駆動制御信号に基づいて、前記面光源を移動させる移動機構と、前記面光源の発光パターンを制御する発光制御信号を生成する光源制御部と、前記面光源が発光した光に応じて前記太陽電池セルに発生した電流の電流値を計測し、前記電流値を示す計測情報を生成する計測部と、を備え、前記ピッチ制御部は、前記複数の点光源の間隔より小さいピッチで前記面光源が移動するように、前記駆動制御信号を生成し、前記計測部は、前記太陽電池セルに対する前記面光源の位置毎に、複数の計測情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の欠陥検出装置の全体構成図。
【図2】本実施形態の面光源4の構成図。
【図3】本実施形態の欠陥検出処理の手順を示すフローチャート。
【図4】本実施形態の電流計測処理(S14)の手順を示すフローチャート。
【図5】本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図。
【図6】図5に続く本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図。
【図7】図6に続く本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図。
【図8】図7に続く本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図。
【図9】本実施形態の変形例における図4のS142を説明する説明図。
【図10】本実施形態の変形例における図4のS142を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の欠陥検出装置の構成について説明する。図1は、本実施形態の欠陥検出装置の全体構成図である。図2は、本実施形態の面光源4の構成図である。
【0012】
図1に示すように、欠陥検出装置は、第1設置台1と、第2設置台2と、面光源4と、X軸ピッチ制御部(第1ピッチ制御部)5と、X軸移動機構(第1移動機構)6と、Y軸ピッチ制御部(第2ピッチ制御部)7と、Y軸移動機構(第2移動機構)8と、太陽電池セル9と、保持部10と、計測部11と、画像処理部12と、光源制御部13と、を備える。
【0013】
面光源4は、N×M(N及びMは2以上の整数である)マトリクス状に配列された複数の点光源3(n,m)(n=1〜N,m=1〜M)を備える(図2を参照)。即ち、面光源4は、N×Mマトリクス状の光を発光する光源である。光源制御部13は、点光源3(n,m)の発光パターンを個別に制御する発光制御信号ECS(n,m)を生成する。即ち、各点光源3は、光源制御部13が生成した発光制御信号ECS(n,m)に応じた発光パターンで、発光する。例えば、発光パターンは、ラスタスキャン順に複数の点光源3(n,m)が発光するラスタスキャンパターンである。
【0014】
X軸移動機構6は、面光源4を、図1のX方向に移動させる機構である。X軸移動機構6は、第2設置台2上に設けられる。X軸ピッチ制御部5は、X軸移動機構6を駆動させるX軸駆動制御信号(第1駆動制御信号)を生成するモジュールである。即ち、X軸移動機構6は、X軸ピッチ制御部5が生成したX軸駆動制御信号に従って、面光源4をX方向に移動させる。
【0015】
Y軸移動機構8は、面光源4を、図1のY方向に移動させる機構である。Y軸移動機構8は、第1設置台1上に設けられる。Y軸ピッチ制御部7は、Y軸移動機構8を駆動させるY軸駆動制御信号(第2駆動制御信号)を生成するモジュールである。即ち、Y軸移動機構8は、Y軸ピッチ制御部7が生成したY軸駆動制御信号に従って、面光源4をY方向に移動させる。
【0016】
保持部10は、検査対象である太陽電池セル9を保持するモジュールである。
【0017】
計測部11は、照射された光に応じて発生する太陽電池セル9の起電流のうちの短絡電流の電流値を計測し、計測した電流値を示す計測情報MIを生成するモジュールである。
【0018】
画像処理部12は、計測部11が生成した計測情報MIに基づいて、太陽電池セル9の電流特性を示す画像情報IMGを生成するモジュールである。
【0019】
本実施形態の欠陥検出装置の動作について説明する。図3は、本実施形態の欠陥検出処理の手順を示すフローチャートである。図4は、本実施形態の電流計測処理(S14)の手順を示すフローチャートである。
【0020】
<S10> 欠陥検出装置のユーザは、欠陥検出装置のセットアップを行う。例えば、ユーザは、面光源4をX軸移動機構6に取り付け、次いで、当該第2設置台2(即ち、面光源4及びX軸移動機構6を備える設置台)を第1設置台1(即ち、Y軸移動機構8を備える設置台)上に設置し、次いで、面光源4を光源制御部13に接続する。
【0021】
<S12> ユーザは、太陽電池セル9を保持部10にセットする。例えば、ユーザは、太陽電池セル9の移動装置(図示せず)又は手動により、太陽電池セル9を保持部10にセットする。その結果、太陽電池セル9が保持部10によって保持される。
【0022】
<S14> 図4の電流計測処理が行われる。
【0023】
<S140> X軸ピッチ制御部5及びY軸ピッチ制御部7は、それぞれ、X軸駆動制御信号及びY軸駆動制御信号を生成する。X軸移動機構6及びY軸移動機構8は、それぞれ、X軸駆動制御信号及びY軸駆動制御信号に基づいて、面光源4を、X方向及びY方向に移動させる。即ち、X軸ピッチ制御部5及びY軸ピッチ制御部7は、X軸駆動制御信号及びY軸駆動制御信号を生成することによって、面光源4の位置を制御する。
【0024】
<S142> 光源制御部13は、発光制御信号ECS(n,m)を生成する。複数の点光源3(n,m)が、発光制御信号ECS(n,m)に応じた発光パターンで発光する。即ち、光源制御部13は、発光制御信号ECS(n,m)を生成することによって、面光源4の発光パターンを制御する。その結果、面光源4からの光が太陽電池セル9に照射され、太陽電池セル9に起電流が発生する。
【0025】
<S144> 計測部11は、太陽電池セル9に発生した起電流のうちの短絡電流の電流値を計測する。即ち、計測部11は、面光源4が発光した光に応じて太陽電池セル9に発生した電流の電流値を計測する。
【0026】
<S146> 計測部11は、S144で計測した電流値を示す計測情報MIを生成する。計測情報MIでは、短絡電流の電流値が、短絡電流が発生した太陽電池セル9内の位置と関連付けられる。換言すると、計測情報MIは、太陽電池セル9内の位置毎の短絡電流の電流値を示す情報である。即ち、計測部11は、太陽電池セル9に対する面光源4の位置毎に、複数の計測情報MIを生成する。
【0027】
<S148> 計測情報MIの数がK(Kは2以上の整数である)個である場合には(S148−Y)、電流計測処理が終了し、図3のS16に進む。一方、計測情報MIの数がK個未満である場合には(S148−N)、S140に戻る。
【0028】
本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例について説明する。図5は、本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図である。図6〜8は、それぞれ、図5〜7に続く本実施形態の電流計測処理(S14)の具体例の説明図である。なお、以下の具体例では、K=4である。
【0029】
1つの太陽電池セル9に対して最初に行われるS140では、図5に示すように、X軸ピッチ制御部5及びY軸ピッチ制御部7は、それぞれ、点光源3(1,1)が第1ポジションP1(x1,y1)に移動するように、X軸駆動制御信号及びY軸駆動制御信号を生成する。なお、S12によって、点光源3(1,1)の位置が第1ポジションP1(x1,y1)と一致する場合には、点光源3(1,1)を第1ポジションP1(x1,y1)に移動させるためのX軸駆動制御信号及びY軸駆動制御信号の生成は省略可能である。
【0030】
次いで、S142では、図5に示すように、光源制御部13は、点光源3(1,1)が第1ポジションP1(x1,y1)に位置する状態で、発光制御信号ECS(n,m)を生成する。その結果、点光源3(1,1)が第1ポジションP1(x1,y1)に位置する状態で、太陽電池セル9に起電流が発生する。
【0031】
次いで、S144では、図5に示すように、計測部11は、点光源3(1,1)が第1ポジションP1(x1,y1)に位置する状態における短絡電流の電流値を計測する。
【0032】
次いで、S146では、図5に示すように、計測部11は、S144で計測した電流値(即ち、点光源3(1,1)が第1ポジションP1(x1,y1)に位置する状態における短絡電流の電流値)を示す第1計測情報MI1を生成する。
【0033】
図5の場合には、計測情報MIの数が1個(即ち、K個未満)であるので、S140に戻る。このS140では、図6に示すように、X軸ピッチ制御部5は、点光源3(1,1)が第2ポジションP2(x2,y1)(即ち、図6の矢印方向(即ち、X軸正方向))に移動するように、X軸駆動制御信号を生成する。第1ポジションP1(x1,y1)から第2ポジションP2(x2,y1)への移動量(以下「X軸ピッチ(第1軸ピッチ)」という)ΔPx(ΔPx=x2−x1)は、点光源3(n,m)と点光源3(n−1,m)との間のX方向の間隔(以下「X軸方向間隔(第1軸方向間隔)」という)より小さい。
【0034】
次いで、S142では、図6に示すように、光源制御部13は、点光源3(1,1)が第2ポジションP2(x2,y1)に位置する状態で、発光制御信号ECS(n,m)を生成する。その結果、点光源3(1,1)が第2ポジションP2(x2,y1)に位置する状態で、太陽電池セル9に起電流が発生する。
【0035】
次いで、S144では、図6に示すように、計測部11は、点光源3(1,1)が第2ポジションP2(x2,y1)に位置する状態における短絡電流の電流値を計測する。
【0036】
次いで、S146では、図6に示すように、計測部11は、S144で計測した電流値(即ち、点光源3(1,1)が第2ポジションP2(x2,y1)に位置する状態における短絡電流の電流値)を示す第2計測情報MI2を生成する。
【0037】
図6の場合には、計測情報MIの数が2個(即ち、K個未満)であるので、S140に戻る。このS140では、図7に示すように、Y軸ピッチ制御部7は、点光源3(1,1)が第3ポジションP3(x2,y2)(即ち、図7の矢印方向(即ち、Y軸正方向))に移動するように、Y軸駆動制御信号を生成する。第2ポジションP2(x2,y1)から第3ポジションP3(x2,y2)への移動量(以下「Y軸ピッチ(第2軸ピッチ)」という)ΔPy(ΔPy=y2−y1)は、点光源3(n,m)と点光源3(n,m−1)との間のY方向の間隔(以下「Y軸方向間隔(第2軸方向間隔)」という)より小さい。
【0038】
次いで、S142では、図7に示すように、光源制御部13は、点光源3(1,1)が第3ポジションP3(x2,y2)に位置する状態で、発光制御信号ECS(n,m)を生成する。その結果、点光源3(1,1)が第3ポジションP3(x2,y2)に位置する状態で、太陽電池セル9に起電流が発生する。
【0039】
次いで、S144では、図7に示すように、計測部11は、点光源3(1,1)が第3ポジションP3(x2,y2)に位置する状態における短絡電流の電流値を計測する。
【0040】
次いで、S146では、図7に示すように、計測部11は、S144で計測した電流値(即ち、点光源3(1,1)が第3ポジションP3(x2,y2)に位置する状態における短絡電流の電流値)を示す第3計測情報MI3を生成する。
【0041】
図7の場合には、計測情報MIの数が3個(即ち、K個未満)であるので、S140に戻る。このS140では、図8に示すように、X軸ピッチ制御部5は、点光源3(1,1)が第4ポジションP4(x1,y2)(即ち、図8の矢印方向(即ち、X軸負方向))に移動するように、X軸駆動制御信号を生成する。第3ポジションP3(x2,y2)から第4ポジションP4(x1,y2)へのX軸ピッチΔPx(ΔPx=x1−x2)は、第1ポジションP1(x1,y1)から第2ポジションP2(x2,y1)へのX軸ピッチΔPxと等しい(即ち、X軸方向間隔より小さい)。但し、第3ポジションP3(x2,y2)から第4ポジションP4(x1,y2)への移動方向は、第1ポジションP1(x1,y1)から第2ポジションP2(x2,y1)への移動方向に対して逆方向である。
【0042】
次いで、S142では、図8に示すように、光源制御部13は、点光源3(1,1)が第4ポジションP4(x1,y2)に位置する状態で、発光制御信号ECS(n,m)を生成する。その結果、点光源3(1,1)が第4ポジションP4(x1,y2)に位置する状態で、太陽電池セル9に起電流が発生する。
【0043】
次いで、S144では、図8に示すように、計測部11は、点光源3(1,1)が第4ポジションP4(x1,y2)に位置する状態における短絡電流の電流値を計測する。
【0044】
次いで、S146では、図8に示すように、計測部11は、S144で計測した電流値(即ち、点光源3(1,1)が第4ポジションP4(x1,y2)に位置する状態における短絡電流の電流値)を示す計測情報(第4計測情報)MI4を生成する。
【0045】
図8の場合には、計測情報MIの数が4個である(即ち、K個と等しい)ので、電流計測処理が終了し、図3のS16に進む。これにより、図3のS16の前に、第1ポジションP1〜第4ポジションP4に対応する第1計測情報MI1〜第4計測情報MI4が得られる。
【0046】
なお、図5〜8において、第1ポジションP1〜P4の座標は、第2設置台2が第1設置台1上に設置された後(即ち、面光源4と、X軸移動機構6と、Y軸移動機構8と、が固定された後)の空間における座標であって、太陽電池セル9に対して相対的に決まる座標である。
【0047】
<S16> 計測部11は、K個の計測情報MIを合成し、次いで、合成計測情報SMIを生成する。合成計測情報SMIでは、太陽電池セル9内の短絡電流の電流値が、X軸ピッチ及びY軸ピッチに応じた解像度(即ち、従来技術より高い解像度)で表現される。
【0048】
<S18> 画像処理部12は、計測部11が生成した合成計測情報SMIに基づいて、太陽電池セル9の電流特性を示す画像情報IMGを生成する。画像情報IMGは、従来技術より高い解像度で表現された短絡電流の電流値を示す合成計測情報SMIから得られるので、従来技術では検出し得なかった部分的な欠陥を検出可能にする。
【0049】
本実施形態の変形例について説明する。図9及び10は、本実施形態の変形例における図4のS142を説明する説明図である。
【0050】
本実施形態の変形例では、S142において、光源制御部13は、S140で生成された駆動制御信号に応じた発光パターンが得られるように、発光制御信号を生成する。
【0051】
例えば、S142において、光源制御部13は、S140でX軸駆動制御信号が生成された場合には、第1発光パターンで光源を発光させる第1発光制御信号を生成し、S140でY軸駆動制御信号が生成された場合には、第2発光パターンで光源を発光させる第2発光制御信号を生成する。
【0052】
より具体的には、図9に示すように、第1発光制御信号は、X軸方向に続いてY軸方向に複数の点光源3(n,m)が点灯する、第1ラスタスキャンパターンR1で面光源4を発光させる信号である。第1ラスタスキャンパターンR1では、最初に、点光源3(1,1)が発光し、次いで、点光源3(2,1)〜3(N,1)がX軸方向に順次発光し、次いで、点光源3(1,2)〜3(N,2)がX軸方向に順次発光し、最後に、点光源(N,M)が発光する。
【0053】
図10に示すように、第2発光制御信号は、Y軸方向に続いてX軸方向に複数の点光源3(n,m)が点灯する、第2ラスタスキャンパターンR2で面光源4を発光させる信号である。第2ラスタスキャンパターンR2では、最初に、点光源3(1,1)が発光し、次いで、点光源3(1,2)〜3(1,M)がY軸方向に順次発光し、次いで、点光源3(2,1)〜3(2,M)がY軸方向に順次発光し、最後に、点光源3(N,M)が発光する。
【0054】
なお、好ましくは、本実施形態では、X軸ピッチ及びY軸ピッチは、それぞれ、X軸方向間隔及びY軸方向間隔の1/i(iは2以上の整数である)である。
【0055】
また、好ましくは、本実施形態では、X軸ピッチは、Y軸ピッチと等しい。
【0056】
仮に、本実施形態の欠陥検出処理が行われなかった場合には、従来技術と同等の解像度(即ち、本実施形態より低い解像度)で表現された短絡電流の電流値に対応する画像情報が得られる。しかしながら、このような画像情報は、部分的な欠陥を検出可能にすることはできない。
【0057】
これに対して、第1実施形態によれば、S14〜S16によって、従来技術より高い解像度で表現された短絡電流の電流値を示す合成計測情報SMIに対応する画像情報IMGが得られる。例えば、X軸ピッチ及びY軸ピッチが、それぞれ、X軸点光源間隔及びY軸点光源間隔の1/2である場合には、従来技術の2倍の解像度を有する合成計測情報SMIに対応する画像情報IMGが得られる。このような画像情報IMGは、従来技術では検出し得なかった部分的な欠陥を検出可能にする。これにより、太陽電池の欠陥検出の精度を改善することができる。
【0058】
本実施形態に係る欠陥検出装置の少なくとも一部は、ハードウェアで構成しても良いし、ソフトウェアで構成しても良い。ソフトウェアで構成する場合には、欠陥検出装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させても良い。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でも良い。
【0059】
また、本実施形態に係る欠陥検出装置の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布しても良い。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布しても良い。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化される。また、上述した実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明が形成可能である。例えば、上述した実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 第1設置台
2 第2設置台
3 点光源
4 面光源
5 X軸ピッチ制御部
6 X軸移動機構
7 Y軸ピッチ制御部
8 Y軸移動機構
9 太陽電池セル
10 保持部
11 計測部
12 画像処理部
13 光源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である太陽電池セルを保持する保持部と、
複数の点光源を備える面光源と、
駆動制御信号を生成するピッチ制御部と、
前記駆動制御信号に基づいて、前記面光源を移動させる移動機構と、
前記面光源の発光パターンを制御する発光制御信号を生成する光源制御部と、
前記面光源が発光した光に応じて前記太陽電池セルに発生した電流の電流値を計測し、前記電流値を示す計測情報を生成する計測部と、を備え、
前記ピッチ制御部は、前記複数の点光源の間隔より小さいピッチで前記面光源が移動するように、前記駆動制御信号を生成し、
前記計測部は、前記太陽電池セルに対する前記面光源の位置毎に、複数の計測情報を生成する、ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記複数の計測情報を合成することにより、合成計測情報を生成し、
前記合成計測情報に基づいて、前記太陽電池セルの電流特性を示す画像情報を生成する画像処理部をさらに備える、請求項1に記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記面光源を、第1軸方向に移動させる第1移動機構と、
前記面光源を、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向に移動させる第2移動機構と、を備え、
前記ピッチ制御部は、
前記複数の点光源の第1軸方向間隔より小さい第1軸ピッチで、前記面光源が移動するように、前記第1移動機構を駆動させる第1駆動制御信号を生成する第1ピッチ制御部と、
前記複数の点光源の第2軸方向間隔より小さい第2軸ピッチで、前記面光源が移動するように、前記第2移動機構を駆動させる第2駆動制御信号を生成する第2ピッチ制御部と、を備える、請求項1又は2に記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記計測部が前記計測情報を生成した後に、前記第1ピッチ制御部は、第1軸正方向に、前記第1軸ピッチで前記面光源が移動するように、前記第1駆動制御信号を生成し、
次いで、前記第2ピッチ制御部は、第2軸正方向に、前記第2軸ピッチで前記面光源が移動するように、前記第2駆動制御信号を生成し、
次いで、前記第1ピッチ制御部は、第1軸負方向に、前記第1軸ピッチで前記面光源が移動するように、前記第1駆動制御信号を生成する、請求項3に記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
前記計測部は、
前記第1軸正方向に、前記第1軸ピッチで前記面光源を移動させるための前記第1駆動制御信号が生成される前の前記面光源の第1ポジションに対応する第1計測情報と、
前記第1軸正方向に前記第1軸ピッチで移動した後の前記面光源の第2ポジションに対応する第2計測情報と、
前記第2軸正方向に前記第2軸ピッチで移動した後の前記面光源の第3ポジションに対応する第3計測情報と、
前記第1軸負方向に前記第1軸ピッチで移動した後の前記面光源の第4ポジションに対応する第4計測情報と、を合成することにより、合成計測情報を生成する、請求項4に記載の欠陥検出装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、
前記第1駆動制御信号が生成された場合に、第1発光パターンで前記面光源を発光させる第1発光制御信号を生成し、
前記第2駆動制御信号が生成された場合に、前記第1発光パターンとは異なる第2発光パターンで前記面光源を発光させる第2発光制御信号を生成する、請求項3乃至5の何れかに記載の欠陥検出装置。
【請求項7】
前記光源制御部は、
前記第1発光制御信号は、前記第1軸方向に続いて、前記第2軸方向に前記複数の点光源が点灯する第1ラスタスキャンパターンで、前記面光源を発光させる信号であり、
前記第2発光制御信号は、前記第2軸方向に続いて、前記第1軸方向に前記複数の点光源が点灯する第2ラスタスキャンパターンで、前記面光源を発光させる信号である、請求項6に記載の欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−101068(P2013−101068A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245477(P2011−245477)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(595013427)株式会社エヌ・ピー・シー (54)
【Fターム(参考)】