説明

欠陥検査方法およびその装置

【課題】
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査において、微弱な欠陥散乱光をもとに高速に検査するためにはゲインの高い検出器が必要であるが、一般的な検出器、典型的には光電子増倍管ではゲインを高くするに従い、暗電流ノイズが大きくなり、欠陥検出感度が低下する。
【解決手段】
試料からの反射散乱光を検出する検出光学系に複数の検出器を備え、弱い背景散乱光量を検出する検出器で画素数の少ない光子計数型検出器を適用するとともに、強い背景散乱光量検出する検出器で画素数の多い光子計数型検出器か、あるいはアナログ型の検出器を適用し、更に光子計数型検出器の適用によって発生する散乱光検出強度の非線形性を補正して欠陥散乱光検出信号を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料表面に存在する微小な欠陥を検査し、欠陥の種類および欠陥寸法を判定して出力する欠陥検査方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や薄膜基板等の製造ラインにおいて、製品の歩留まりを維持・向上するために、半導体基板や薄膜基板等の表面に存在する欠陥の検査が行われている。欠陥検査の従来技術としては特開平9−304289号公報(特許文献1)、特開2006−201179号公報(特許文献2)、米国特許出願公開第2006/0256325号明細書(特許文献3)などが知られている。これらは、微小な欠陥を検出するために試料表面上に数十μmの寸法に照明光を集光して照射し、欠陥からの散乱光を集光・検出し、数十nmから数μm以上の寸法の欠陥を検査する技術である。試料(検査対象物)を保持するステージを回転移動および並進移動させることにより、照明スポットが試料表面上をらせん状に走査し、試料全面が検査される。
【0003】
また、特許文献1および特許文献2では、欠陥からの散乱光の高角度方向に出射する成分と低角度方向に出射する成分をそれぞれ検出し、その比によって欠陥の種類を分類する技術が述べられている。
【0004】
また、特許文献2では、欠陥からの散乱光の強度に基づいて、検出した欠陥の寸法を算出する技術が述べられている。
【0005】
また、特許文献3では、試料に与える熱ダメージを低減するため、検査対象面を検査中に照明光のパワー、あるいは照明スポットの走査速度、あるいは照明スポットの寸法を制御することが述べられている。より具体的には、試料に与える熱ダメージは照射する照明パワー密度と照射時間との積によって決まると仮定し、これが一定値を越えないように、走査中の試料上の半径位置に応じて照明光のパワー、あるいは照明スポットの走査速度、あるいは照明スポットの寸法を変化させることが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−304289号公報
【特許文献2】特開2006−201179号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0256325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査には、微小な欠陥を検出すること、検出した欠陥の寸法を高精度に計測すること、試料を非破壊で(あるいは試料を変質させること無く)検査すること、同一の試料を検査した場合に常に一定の検査結果(検出欠陥の個数、位置、寸法、欠陥種)が得られること、一定時間内に多数の試料を検査することなどが求められる。
【0008】
前記特許文献1、特許文献2に述べられた技術では、特に寸法20nm以下の微小な欠陥については、欠陥から発生する散乱光が極微弱となり、検出器のノイズに欠陥信号が埋もれるため検出不可能となる。微弱な信号を顕在化させるには高いゲインをもつ検出器が用いられることが多く、主に電子増倍管が用いられる。しかし、光電子増倍管を用いた場合、ゲインを大きくして高速検出するに従い、検出器の暗電流ノイズの影響が大きくなってしまう。これを避けるために照明パワーをあげた場合、照明光による試料の温度上昇が大きくなり、試料への熱ダメージが発生する。あるいは、これを避けるために試料の走査速度を低下させた場合、一定時間内に検査できる試料の面積あるいは試料の数が減少する。以上より、熱ダメージを避けつつ微小な欠陥を高速に検出することが困難であった。
【0009】
一方、特許文献3に述べられた技術は、試料上の任意の位置で単位面積あたりに照明される照明光量を一定にするような工夫がされている。しかし、欠陥から検出される照明光量は、一般に欠陥サイズの6乗に比例するため、これに相当するだけ、光量を増大させることは困難であり、検出器のゲインを大幅に増大させることが不可欠である。
【0010】
微弱な光を検出する方法として、光子計数法が知られている。一般に、微弱な光に対しては検出光子数を計数する光子計数を行うことで、信号のSN比が向上するため、高感度、高精度で安定した信号が得られる。光子計数法の一例として、光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードに対する光子の入射で発生するパルス電流の発生数を計数する方法が知られている。短い時間内に複数個の光子が入射して複数回パルス電流が発生した場合にその回数を計数できないため、光量を精度よく計測することができず、欠陥検査には適用できなかった。
【0011】
また、別の光子計数法の一例として、多数のアバランシェフォトダイオード画素を配列して構成したアレイセンサの、各画素への光子の入射により発生するパルス電流の合計を計測する方法が知られている。この検出器はSi−PM(Silicon Photomultiplier)、PPD(Pixelated Photon Detector)、あるいはMPPC(Multi−Pixel Photon Counter)などと呼ばれる。この検出器を用いた計測方法によれば、前述の単一の光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードを用いたガイガーモードによる光子計数と異なり、短い時間内に複数個の光子が入射した場合も光量を計測することが可能である。この方法では、検出する信号量を、多数配列した検出器それぞれが出力するパルスのカウント数により計数するため、少ない光量から大光量まで検出するためには、この検出器に多数の画素を形成する必要がある。
【0012】
しかし、このアレイセンサに多くの画素を形成すると、一般には光の検出効率が低下してしまい、ショットノイズの影響を受けやすくなるという課題がある。このアレイセンサでは、各画素を分離するための境界部分に不感帯を設ける必要があり、画素サイズが小さくなるに従い、画素の開口率が低下する。検査対象に照明光を集光して散乱光を検出し、欠陥を検出する検査方法においては、試料表面からの散乱光の検出によって、センサで発生する光のばらつき、すなわちショットノイズが1つのノイズ要素となる。ショットノイズを低減するためには、できるだけ多くの光子を検出する必要があるが、画素の開口率が低くなると信号に対するショットノイズの割合が増大し、検査感度が低下する。一方、画素を大きくすると、ショットノイズに対しては有利になるが、信号検出のリニアリティが低下する。特に試料表面に強い光量を照明した場合には、試料表面からの散乱光量も強くなり、これが背景散乱光となってアレイセンサの多くがパルス信号を出力するため、この画素に入力された試料上の微小な欠陥からの光子は検出されなくなってしまう。すなわち、センサの開口率が低下したのと同様な現象が発生し、欠陥の検出感度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置において、試料からの反射散乱光を検出する検出光学系を複数の検出器を備えて構成し、弱い背景散乱光量を検出する検出器で画素数の少ない光子計数型検出器を適用するとともに、強い背景散乱光量を検出する検出器で画素数の多い光子計数型検出器か、あるいはアナログ型の検出器を適用し、更に光子計数型検出器の適用によって発生する散乱光検出強度の非線形性を補正して欠陥散乱光検出信号を補正するようにした。
【0014】
即ち上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置を、試料を載置して移動を可能にするテーブル手段と、レーザを発射するレーザ光源手段と、 該レーザ光源手段から発射されたレーザが照射された前記試料からの反射光を集光する検出光学系手段と、該検出光学系手段で集光した前記反射光を受光して電気信号に変換する光検出手段と、前記反射光を受光した光検出手段の出力信号を入力し処理して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、該信号処理手段で検出した欠陥のサイズを算出するサイズ算出手段と、前記信号処理手段および前記サイズ算出手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段とを備えて構成し、前記光検出手段は複数の画素によって構成される光子計数型検出器を含む複数の光検出器を有し、前記サイズ算出手段は、前記光検出手段の光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正する変換部を有して、該変換部で前記光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正した信号を含む前記光検出手段の複数の光検出器からの出力信号を処理して前記欠陥のサイズを算出するようにした。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明では、欠陥検査方法を、回転しながら並進移動しているテーブルに載置した試料にレーザを照射し、該レーザが照射された前記試料からの反射光を集光し、該集光された前記試料からの反射光を光検出手段で受光して電気信号に変換し、該反射光を受光した光検出手段からの出力信号を処理して前記試料上の欠陥を検出し、前記光検出手段からの出力信号を処理して前記検出した欠陥のサイズを算出し、前記検出した欠陥および前記算出した欠陥のサイズに関する情報を表示画面に出力することにより行い、前記光検出手段は複数の画素によって構成される光子計数型検出器を含む複数の光検出器を備え、該複数の光検出器で前記試料からの反射光をそれぞれ受光して電気信号に変換し、前記欠陥のサイズを算出することを、前記試料からの反射光を受光した複数の光検出器の出力信号のうち前記光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正し、該光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正した信号を含む前記複数の光検出器のそれぞれの出力信号を処理することにより行うようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、微弱な散乱光しか発生させない微小欠陥と、後方にしか散乱光を発生しない変形欠陥との両方を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における欠陥検査装置の全体の概略の構成を示すブロック図である。
【図2A】試料上の照明領域を示す試料の平面図である。
【図2B】試料上の照野の軌跡を示す試料の平面図である。
【図3A】アナログ検出型のセンサを用いた場合の構成を示す検出部の正面図である。
【図3B】楕円面鏡を用いた反射光学系により構成した検出部の正面図である。
【図3C】複数の方向から散乱光を集光してイメージセンサに結像する構成の検出部の正面図である。
【図3D】シュバルツシルト光学系による反射光学系を用いて構成した検出部の正面図である。
【図4A】試料からの散乱光を天球面上で検出する角度範囲を示す天球図とこの天球図を平面に投影した投影図である。
【図4B】天球面上での検出部の配置の一例を示す天球面の投影図である。
【図4C】天球面上での検出部の配置の他の例を示す天球面の投影図である。
【図5A】正反射光を空間フィルタによって遮光して正反射光のごく近傍の散乱光のみを検出する構成を示す正反射光検出光学系部の正面図である。
【図5B】シュリーレン法により検出系を構成した正反射光検出光学系部の正面図である。
【図5C】試料面による正反射光に対してエリプソメトリを行う構成の正反射光検出光学系部の正面図である。
【図6A】試料1の面上の照明スポット形状と照明スポット内のS1方向及びS2方向の検出信号プロファイルを示すグラフである。
【図6B】試料1の面上で3つの照明スポットがそれぞれ半分ずつ重なりあった状態を示す照明スポット形状の平面図である。
【図6C】同一欠陥が複数回検出された場合の信号の一例を示すグラフである。
【図6D】原信号に装置関数が畳み込まれた検出信号プロファイルを示すグラフである。
【図6E】検出信号のプロファイルに対して装置関数によるデコンボリューションを行ったプロファイルを示すグラフである。
【図7A】光子計数型センサを用いた場合の検出部の構成の一例を示す図で、集光系の集光ポイントからずらした位置に光子計数型センサを配置した構成を示す検出部の正面図である。
【図7B】光子計数型センサを用いた場合の検出部の構成の一例を示す図で、集光系の集光ポイントからずらした位置に非球面レンズを配置してその後段に光子計数型センサを配置した構成を示す検出部の正面図である。
【図7C】光子計数型センサを用いた場合の検出部の構成の一例を示す図で、集光系の集光ポイントからずらした位置に複数のプリズムを配置してその後段に光子計数型センサを配置した構成を示す検出部の正面図である。
【図8】光子計数型光検出器の構成を示す正面図である。
【図9】試料面からの散乱光分布の偏光特性を説明する試料面の平面図である。
【図10】光子計数型光検出器の入射光量と検出器出力との対応を説明するグラフである。
【図11】2つの光子計数型検出器を用いた、散乱光量の大きな場合にも対応できる構成の検出光学系の正面図である。
【図12】本発明の信号処理部の回路ブロック図である。
【図13】光子計数型光検出器への反射光の照明状態を説明する光子計数型光検出器の正面図である。
【図14】光子計数型光検出器の入射光量と検出器出力との非線形性を補正するための校正用試料を搭載した状態を示す試料の平面図である。
【図15】光子計数型光検出器の入射光量と検出器出力との非線形性を補正するための校正用試料を用いて得られる検出器の入出力特性を示すグラフである。
【図16】光子計数型光検出器の入射光量と検出器出力との非線形性を補正するための校正用試料を用いて行う非線形特性の測定シーケンスを示すフロー図である。
【図17】各検出器に入射した入射光量を算出して欠陥散乱光の全光量を求めて欠陥寸法を算出する処理の流れを示すフロー図である。
【図18】光子計数型検出器の出力を直接変換せずにその出力値をモデルデータベクトルに基づき変換することで散乱光量を算出する処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
本発明の実施形態の構成を図1で説明する。照明部101、検出部102(102a、102b、102c)、試料1を載置可能なステージ103、信号処理部105、全体制御部53、表示部54、入力部55を適宜用いて構成される。信号処理部105はアナログ処理部50、および欠陥判定部51、欠陥サイズ推定・欠陥分類部52を有する。正反射検出部104は大面積欠陥検査あるいは試料表面計測などの目的で必要に応じて設置される。
【0019】
照明部101はレーザ光源2、アッテネータ3、偏光素子4、ビームエキスパンダ7、照度分布制御素子5、反射ミラーm、集光レンズ6を適宜用いて構成される。レーザ光源2から射出されたレーザ光は、アッテネータ3で所望のビーム強度に調整され、偏光素子4で所望の偏光状態に調整され、ビームエキスパンダ7で所望のビーム径に調整され、反射ミラーmおよび集光レンズ6を介して、試料1の被検査領域に照明される。照度分布制御素子5は、試料1上における照明の強度分布を制御するために用いられる。図1では照明部101が試料1の法線に対して傾斜した斜方から光を照射する構成を示したが、試料1の表面に対して垂直方向から光を照射する構成でもよく、これらの照明光路は切り替え手段により切り替え可能にしてもよい。
【0020】
レーザ光源2としては、試料表面近傍の微小な欠陥を検出するには、試料内部に浸透しづらい波長として、短波長の紫外または真空紫外のレーザビームを発振し、かつ出力1W以上の高出力のものが用いられる。試料内部の欠陥を検出するには、試料内部に浸透しやすい波長として、可視あるいは赤外のレーザビームを発振するものが用いられる。必要に応じて斜方照明又は落射照明の光源として適宜選択すればよい。
【0021】
ステージ103は、並進ステージ11、回転ステージ10、Zステージ(図示せず)を有する。図2Aに試料1上の照明領域(照明スポット(照野)20)、図2Bに回転ステージ10および並進ステージ11の運動による走査方向との関係およびそれにより試料1上に描かれる照野20の軌跡を示す。図2Aでは、照明部101における照度分布制御あるいは斜方からの照明によって、1方向に長くそれに直交する方向に短い楕円形状に形成された照野20の形状を示す。照野20は、図2Bに示すように、回転ステージ10の回転運動によって、回転ステージ10の回転軸を中心とした円の円周方向S2に、並進ステージ11の並進運動によって、並進ステージ11の並進方向S1に走査される。照明スポット20の長手方向が走査方向S1と平行となり、かつ走査方向S1の走査によって回転ステージ10の回転軸を照明スポット20が通過するように、照明部101が構成される。Zステージの移動は、試料1の高さ、すなわち試料1表面の法線方向の移動に対応する。
【0022】
以上の構成において、走査方向S2の走査により試料を1回転する間に、走査方向S1の走査を照明スポット20の長手方向の長さ以下の距離だけ行うことにより、照明スポット20がらせん状の軌跡Tを描き、試料1の全面が走査される。
【0023】
検出部102a、102b、および102cは互いに異なる方位、仰角に発生する散乱光を集光して検出するよう構成される。図3A乃至図3Dに検出部102aの構成の一例を示す。
【0024】
図3Aはアナログ検出型のセンサを用いた場合の構成例である。検出部102b、102cの構成要素は検出部102aと共通であるため説明を省略する。なお、図4A乃至図4Cにて後述するように、広い角度範囲の散乱光を検出するため、検出部の配置は図1に示す検出部102a、102b、102cに限られず、互いに検出方向の異なる複数の検出部を多数配置するとよい。
【0025】
図3Aに示すように、検出部102aは、集光系81a、偏光フィルタ13a、およびセンサ91aを適宜用いて構成される。集光系81aにより、照明スポット20の像がセンサ91aの受光面あるいはその近傍に結像される。結像位置に適当な径の視野絞り(図示せず)を適宜設置することで、照明スポット以外の位置から発生する背景光を除去、低減することができる。偏光フィルタ13aは集光系81aの光軸上へ着脱および検光方位の回転が可能であり、ノイズ要因となる試料ラフネス等による散乱光成分を低減する目的で用いる。
【0026】
偏光フィルタ13aとして、紫外光等の短波長においても透過率、消光比の高いワイヤグリッド偏光板、あるいは偏光ビームスプリッタが用いられる。ワイヤグリッド偏光板として、アルミニウムや銀などの金属の薄膜を縞上に微細加工した構造のものがある。微弱な異物散乱光の検出を可能にするため、センサ91aとして、光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、イメージインテンシファイアと結合した半導体光検出器などを適宜用いる。高感度、高精度を実現するための光電子増倍管としては、量子効率の高いウルトラバイアルカリ型あるいはスーパーバイアルカリ型のものが望ましい。
【0027】
図3Bに、図1の検出部102a、102b、および102cの集光系を一つの楕円面鏡701を用いた反射光学系により構成した例を示す。集光系701は楕円面鏡であり、楕円の第一焦点位置を照明光の照射位置とし、第二焦点位置をセンサ709bの受光面に配置する。集光系701はウェハ1の表面に対して浅い角度を含む高NAをもって散乱光を集光しセンサ709a及び709bに導くのに適する。これに加え、集光系701およびセンサ709a及び709bからなる上方散乱光を検出する検出部を有し、複数の方向の散乱光を同時に検出することが可能な構成である。
【0028】
図3Cは、複数の方向から散乱光を集光し、イメージセンサに結像する検出部の構成例である。方位あるいは仰角の異なる複数の方向の散乱光を、集光結像系88a、88b、88cにより、イメージセンサ99a、99b、99c上に結像する構成である。
【0029】
照明光が照射された試料1の表面からの散乱光を画像として検出し画像処理を行うことで、回路パターンが形成された半導体ウェハやマスクなどの試料1において回路パターンに生じた欠陥を検出することが可能であるため、パターンの形成された試料の検査に有効である。イメージセンサ99a、99b、99cとしては、CCDやCMOSで構成されたリニアアレイセンサや二次元アレイセンサ、あるいはイメージインテンシファイアをこれらと結合した高感度なイメージセンサ、あるいはマルチアノード光電子増倍管が用いられる。
【0030】
図3Dは、シュバルツシルト光学系による反射光学系を用いた構成例である。試料1の照明スポット20から発生した散乱光のうち、凹面鏡711で反射され凸面鏡712に集光された散乱光がイメージセンサ92に集光される。波長200nm以下の短波長で試料1を照明する場合に、試料1からの散乱光をイメージセンサ92に結像するのに適する。
【0031】
検出部102a、102b、102cによって検出される散乱光の角度成分の関係を図4B及び図4Cを用いて示す。図4Aは検出される角度範囲の表示方法の説明図である。図4Aは、赤道面401が試料1の表面に対応し、試料表面の法線方向を天頂402とする半球を示す。走査方向S2を基準とする方位角(経度)をφ、天頂からの角度をθとする。検出部102a、102b等によって検出される角度範囲は、半球上の領域Rによって示され、これを赤道面に平行な面410に平行投影して411として表示したのが図4B及び図4Cである。検出部102a、102b等による検出角度範囲を斜線の網掛けで表示している。図4B及び図4Cのように、検出部を複数備えて、広い角度範囲をカバーすることで、様々な種類の欠陥を検出することが可能である。また、欠陥種や欠陥寸法によって、欠陥散乱光の角度分布が異なるため、様々な角度の散乱光強度を複数の検出系によって同時に検出し、後述する信号処理部によって処理することで、欠陥種の分類や欠陥寸法の推定を高精度で行うことが可能である。
【0032】
図4Bは低仰角方向の検出範囲4901〜4906と高仰角方向の検出範囲4911〜4914のそれぞれ複数の検出範囲を配置した例を示すもので、微小寸法から大寸法までの異物を検査するのに適した検出系配置の一例である。微小異物の散乱光は、P偏光照明を行った場合には、低角度方向に強く出る。低角度散乱光成分を検出範囲4901〜4906の全方位に渡って検出することで、ごく微小な欠陥の検出が可能である。さらに、高仰角に出る散乱光成分を検出範囲4911〜4914で検出することで、高角度の散乱光が強く出る結晶欠陥(COP:Crystal Originated Particle)等のへこみ欠陥も高感度に検査することができる。さらに、θ方向およびφ方向それぞれに複数の検出器を配置することで、欠陥によって異なる散乱光分布の特徴を捉えることが可能である。図4Cは、低仰角方向の検出範囲4921〜4926にて全方位検出を行う検出部および試料法線方向の散乱光を検出する検出部4931を設置した例である。
【0033】
集光系8として、図3Bに示したように、照明スポット位置を片側の焦点とする楕円面鏡を用いることで、特定のθ角度範囲の全方位の散乱光を集光することが可能となる。さらに集光系光路中に空間フィルタ手段あるいは光路分岐手段を設置し、対応する複数の検出器を設置することで、複数の方位の散乱光を一括検出することが可能である。いずれの構成でも、広い角度範囲の散乱光を捉えることで、欠陥によって出る方向が異なる散乱光を検出し、多種の欠陥をロバストに検出することができる。さらに、複数の方向の散乱光成分を個別に検出することで、後述する散乱光分布ライブラリとの比較による欠陥分類、寸法判定が可能となる。
【0034】
欠陥の散乱光分布は欠陥の材質(屈折率)、形状、寸法に依存する。斜方から照明光を入射した場合、よく知られているように、欠陥の横寸法(試料表面面内方向の欠陥寸法)が大きいほど散乱光は前方に偏る。ここでの前方とは試料表面による照明の正反射方向に近い方向を指す。照明波長に対して欠陥の横寸法が極端に大きい場合(横寸法が波長の10倍以上)、散乱光成分のほとんどが正反射光の近傍に集中する。このため、横寸法の大きい欠陥の散乱光分布を捉えるには、正反射の近傍に散乱する散乱光を検出することが有効である。
【0035】
図5A乃至図5Cに正反射光検出光学系部104の構成例を示す。図5Aは照明部101から発射された照明光1011が照射された試料1の表面からの正反射光を空間フィルタによって遮光し、正反射光のごく近傍の散乱光のみを検出する構成である。レンズ1041は、光軸が照明部101(図1参照)による照明光の試料1による正反射光の光軸1040と一致し、焦点が照明スポット20と一致するよう設置される。照明スポット20から出射してレンズ1041を通過した光は平行光となり、レンズ1041の光軸上に設置した遮光フィルタ1042によって試料1の表面からの正反射光が遮光される。照明スポット20より出射し正反射光に対して偏向した光はその偏向角に応じた距離だけ光軸から離れた位置を通過する。よって、偏向角が遮光フィルタの大きさに対応した角度以上の光成分のみが遮光フィルタを透過し、レンズ1043によって集光され、センサ1044によって検出される。以上の構成により、正反射光は遮光されて正反射光の近傍の散乱光成分の強度が測定される。なお、遮光フィルタ1042の直後に四分割センサなどの複数画素の分割センサを置くことで、正反射光の近傍の散乱光の分布を計測することが可能である。
【0036】
図5Bはシュリーレン法による検出系の構成の例である。図5Bは図5Aに対し、遮光フィルタ1042をナイフエッジ1045に置き換えた構成となっている。照明スポットの寸法の1/10の大きさから同等あるいはそれ以上の大きさの欠陥によって起こる正反射光のわずかな偏向や拡散を、センサ1044における検出強度の変化として捉えることができる。
【0037】
図5Cは試料面による正反射光に対してエリプソメトリを行う構成例である。エリプソメトリには様々な手法があるが、ここでは位相子1046と検光子1047を互いに異なる回転速度で回転させ、透過光の強度をセンサ1044で検出する構成を示した。この構成により正反射光の偏光状態が完全に計測されるため、そこから求められる照明光の試料面による反射前後の偏光状態の変化に基づいて、試料面の複素屈折率および膜厚を算出することが可能である。
【0038】
照明スポットの強度分布による欠陥散乱強度のばらつき除去および信号飽和への対策について、図6A乃至図6Cを用いて説明する。光源2(図1参照)から発したビームを高効率で集光し微小照明スポットを試料面上に形成するため、光源2として実質的にガウスビームを発するものが用いられる。よって、試料1の面上の照明スポット20における照明強度分布はガウス分布を成す(図6A)。S2方向の走査一回転当りのS1方向への走査量が照明スポットのS1方向の長さより小さい場合、図6Bに示すように照明スポット20がS1方向に重複して走査される。このとき同一の欠陥が照明スポット20に対する相対位置を変えながら複数回走査されるため、同一欠陥の信号が複数回検出され、その信号をS1を横軸としてプロットすると照明強度分布と同じくガウス分布を描く。S2方向に関しても、S2方向の走査で照明スポットが欠陥を通過する時間より短い時間で信号をサンプリングすることで、同様に同一欠陥から複数回検出された信号がS2方向の照明強度分布と同じくガウス分布を描く。
【0039】
同一欠陥の信号が複数回検出された場合の信号の一例を図6Cに示す。×印で示したポイントが実際に得られた信号である。このグラフは、ガウス分布の中央部分、すなわち照明強度分布の中央部分を欠陥が通過した際に得られた信号が検出器の飽和レベルを越えたため飽和した例を示している。また仮に飽和が起きなかった場合でも、欠陥の検出信号は、照明スポット走査に対して欠陥が通過した相対位置に依存したばらつきを持つ。このような場合に、元のガウス分布(照明強度分布と同等)が既知なので、得られた複数の信号から本来の欠陥信号(図6Cの点線)が復元できる。このような方法により、照明強度分布に起因する欠陥信号のばらつき、および信号飽和の影響を抑えることができる。なお、照明強度分布はガウス分布に限る必要はなく、ホモジナイザなどを用いてほぼ均一な照明強度分布を形成してもよい。
【0040】
次に、図6D及び図6Eを用いて、欠陥の空間的な広がりを高精度に計測する方法を示す。検査速度を確保するため、照明スポットの大きさは数十μmと大きく、これに対して欠陥は面積を持たない点と見なせる。しかし、先に述べたように、波長の10倍以上(数μm以上)の横寸法を持つ欠陥は、散乱光がほぼ正反射方向近傍に集中するため散乱光分布から得られる情報が少なく、分類が困難である場合がある。そのような分類、寸法計測には、走査時に何回のサンプリングにわたって信号が検出されたかという情報を活用することが有効である。ただし、図6Dに示すように、検出信号のプロファイルは原信号(欠陥の空間的な広がり)に装置関数が畳み込まれた形となっているため、装置関数によって欠陥の空間的な広がり計測の分解能が制限される。そこで、図6Eに示すように、検出信号のプロファイルに対して装置関数によるデコンボリューションを行ったプロファイル(図6Cの点線)を指標とすることで、欠陥の空間的な広がりの高分解能な計測が可能である。ここで装置関数は照明、検出、処理系による信号の広がりを指し、本装置構成では照明強度分布に等しくなる。信号サンプリングに対して検出器や処理系の応答速度が遅い場合は、それによる信号のなまりも装置関数に反映される。装置関数は空間的な広がりを持たない(点と見なせる)欠陥の検出信号プロファイルを計測することで実測可能である。
【0041】
図7A乃至図7Cに光子計数型センサを用いた場合の検出部102aの構成の一例を示す。ここでは、図3Aに対応した構成として光子計数型センサを用いた場合の構成を示すが、図3B乃至図3Dに対しても図3Aと同様の変更で対応可能であるため、ここでは説明を省略する。9001は光子計数型センサであり、このセンサにできるだけ光が均一に照明されるようにする必要がある。図8に光子計数型センサ9001のより具体的な構成を示す。光子計数型センサ9001には多数の画素9101が形成されている。画素9101に光子が入射すると、それぞれの画素9101が備える電荷蓄積手段(図示せず)に蓄えられた電荷が放出され、パルス信号を出力する。よって、同時に2つ以上の光子が1つの画素に入射しても、1パルスしか出力されない。また、一度パルスが出力されると、各画素に備えられている電荷蓄積手段に充電がされない限り、パルスが出力されない、あるいはパルスが出力されたとしても、その強度が弱まってしまう。よって、同一の画素には、なるべく光子が入射されにくいように設定する必要がある。
【0042】
そこで、図7Aの構成では、集光系8の集光ポイント81からずらした位置に光子計数型センサ9001を配置した。ただし、このような配置だと、光子計数型センサ9001における光量分布は一般にはガウス状の分布になってしまい、光が均一に照射されるとは言いがたい。そこで、図7Bの構成では、非球面のレンズ8001を配置し、光子計数型センサ9001に均一に光が照射されるようにした。この非球面のレンズ8001は、一般にライン状に結像する試料上の散乱光の像を光子計数型センサ9001において均一になるように用いているのみであり、非球面レンズの代わりに回折光学素子を用いることも可能である。
【0043】
更に、図7Cの構成では、非球面レンズ8001の代わりにプリズム8002を複数用いている。ここでは水平方向のみから見ているため、2つのプリズムが見えているが、4つのプリズムや、あるいは、光路の異なる位置において、ビームの光軸が変化する形状をもった光学ブロックでも良い。
【0044】
プリズム8002を用いることにより、それぞれのプリズム8002を介して光子計数型センサ9001に導かれる光はプリズム8002を出射する際に屈折して光軸方向がずれるため、光子計数型センサ9001のセンサ面上でのガウスビームのピーク位置がずれた分布が重なることになり、ピーク強度が下がり、この結果、センサ面での光量の均一性が向上する。また、これらの代わりにホモジナイザなどを用いてほぼ均一な照明強度分布を形成してもよい。
【0045】
また、図7Aから図7Cの何れの構成においても集光点81よりも集光系8の側に光量を抑制する偏光フィルター13を備え、これを出し入れする機構を設け、照明する光量によって偏光フィルター13を出し入れできるようにする。これは後述する光子計数型センサ9001における光子数の増大に伴う感度の低下を抑制するために用いるものである。
【0046】
検出器として光電子増倍管を用いた場合に比較して、光子計数型センサ9001を用いた場合の検査におけるメリットについて次に説明する。
【0047】
数1に光電子増倍管をもちいた場合に検出可能な最小の光量を示す。
【0048】
【数1】

【0049】
ここで、eは電子の電荷、Idは陽極暗電流、μはゲイン、Bは検出する信号系の遮断周波数、Sは陽極の放射感度である。
【0050】
欠陥からの散乱光が微弱化するに従い、ゲインμは大きくしなければ欠陥を判定することができないが、光電子増倍管ではゲインが大きくなるに従い、暗電流ノイズも増大し、S/Nが低下することが判る。よって、微弱な光量を高速に検出するには、光電子増倍管では限界がある。また、光電子増倍管には磁気ノイズに比較的弱いという課題もある。
【0051】
これに対して、光子計数型のセンサでは、光の増倍率は、各画素に備えられた電荷蓄積手段に蓄積された電荷量であるため、入射する光子のエネルギーと独立に増倍率を引き上げることができる。よって、光子計数型のセンサ9001では信号が微弱になったとしても暗電流ノイズが増大することはない。ただし、光子計数型のセンサはその面積を大きくするに従い、暗電流ノイズが増大する。これは画素数が多いと暗電流ノイズが増大することを示しており、ダイナミックレンジと暗電流ノイズがトレードオフの関係になっている。
【0052】
次に検査装置の検査モードについて説明する。
検査装置では検査時間と検査感度が一般にトレードオフの関係になる。そこで、製造する試料の立ち上げ期には検査時間が長い高感度な検査を実施して、製造プロセスの課題抽出を行い、製造プロセスが確立して量産に移行すると検査時間を短縮して比較的低感度な検査を実施することが多い。本検査装置においては、照明スポット20を長手方向に伸ばし、試料が1回転する間に検査する領域を拡大して検査時間を短縮する。
【0053】
感度の向上を図るには、欠陥からの散乱光をできる限り多くする必要があるが、この光量は試料のダメージや欠陥の変質などによって制約を受け、概略、単位面積あたりの光量が一定になるように設定する。よって、照明スポット20を長手方向に伸ばすと照明光量は増大することになり、検査対象試料1からの散乱光量が増大する。検査対象試料からの散乱光量は欠陥信号とはことなるため、背景散乱光と呼ぶ。
【0054】
この結果、スループットを向上させるに従い、光子計数型センサ9001で検出する背景散乱光が増大し、多くの背景散乱光の光子によって画素からパルスが放出され、欠陥散乱光が光子計数型センサ9001の画素に入射しても、パルスを出力できない確率が上昇し、信号強度が低下する。光子計数型センサ9001をこのような検査装置に対して適用するには、背景散乱光を少なくして使うことが必要である。そこで、偏光フィルタ13を用いて背景散乱光を抑制するのであるが、偏光フィルタ13が有効に背景散乱光を抑制するには、欠陥散乱光と背景散乱光の偏光方向が異なっていることが必要条件になる。これが同一の方向であった場合には、背景散乱光とともに、極めて微弱な欠陥散乱光も同時に抑制してしまうため、逆に感度が低下してしまう。
【0055】
試料上の微小欠陥の散乱光量をあげるためには、照明はP偏光で入射するのが望ましい。このとき、波長に対して十分小さな欠陥の散乱光は、おもに低仰角方向に散乱し、その偏光方向は試料の法線方向に振動する。
【0056】
図9に、2900の方向から試料1上に照明光を入射させた際の、試料1からのrθ座標系で示された方向に散乱する散乱光の、各方位における偏光方向を示している。図9の円91の中心が試料1の表面の法線方向への光の散乱を示し、円91の中心からの距離rが、試料1の法線方向からの角度(仰角)、θが照明の入射方位からの角度(方位角)に対応している。2901は前方散乱光、2902は側方散乱光、2903は後方散乱光をそれぞれ示している。
【0057】
欠陥からの散乱光の偏光方向が、ほぼ試料の法線方向のような偏光方向であるため、前方散乱光2901では欠陥散乱光の偏光方向と試料からの散乱光の偏光が直交し、背景散乱光のみを偏光フィルタ13で除去することができる。しかし、後方散乱光2903では、欠陥の散乱光と背景散乱光の偏光方向がほぼ一致するため、偏光フィルタ13で背景散乱光が除去できないことになる。また、側方散乱光2902では、この2つの中間的な特性をもつことになる。また、これ以外に、試料1が例えばシリコンウェハの場合、その偏光特性により、背景散乱光が前方散乱光に対して強いという現象が発生する。
【0058】
このとき、前方散乱光2901に対しては、偏光フィルタ13を用いることができるため、背景散乱光をおよそ10〜20%程度まで落とすことが可能になる。よって、背景散乱光が少ない領域で欠陥を検出できる。一方、側方散乱光2902、後方散乱光2903の位置では背景散乱光が大きい条件で微弱な欠陥を検出する必要がある。
【0059】
背景散乱光が大きい場合には、光子計数型検出機9001で有利な暗電流ノイズよりも、背景散乱光によるショットノイズの方がノイズの主要因となる。よって、暗電流を少なくするよりもショットノイズを減少させる、すなわち、光子の検出効率をあげることが重要になる。
【0060】
図10に、光量の入力に対する検出器の出力を示す。21001が光電子増倍管の出力特性、21002と21003が光子計数型光検出器の出力特性であり、21003の出力特性を有する光子計数型光検出器の方が21002の出力特性を有する光子計数型光検出器に対して多くの画素で形成されている。入射光量が小さい場合にもっとも良好なS/Nを得ることができるのは21003の出力特性を有する光子計数型光検出器である。画素が大きいため、画素の周辺の不感帯の割合が小さく、光子を高い効率で検出できることが期待できる。これに対して21002の出力特性を有する光子計数型光検出器は多くの画素が形成されているため、不感帯の割合が大きく、この結果、ショットノイズが大きくなり、感度が低下する。21001の出力特性を有する光電子増倍管はゲインを大きくすると暗電流ノイズが大きくなるため、ゲインを大きくすることができない。また、ショットノイズや暗電流ノイズ以外に実装置においてはモーターなどの磁気ノイズを検出しやすく、これが原因となり、感度が低下する。
【0061】
入射光量が大きくなると、この状況が変化する。21001の出力特性では、入射光量が強くなっても、入射光量に対する出力特性は線形であるが、21002や21003の出力特性では画素に複数の光子が入る確率が増大し、入射光量に対して出力があがらなくなってしまう。これは光子の検出効率が低下したのと同様の効果を発生させ、欠陥の検出S/Nの低下を引き起こす。始めに21003の出力特性が大きく低下し、次いで21002の出力特性も低下し、光量が大きな領域では21001の出力特性が最良の性能を示すことになる。
【0062】
このような特性を持つため、光子計数型光検出器は背景散乱光が大きい場合と小さい場合で光電子増倍管に対して、大きく性能が変化し、微弱な背景散乱光の場合には開口率と高ゲインで、比較的画素の少ない光子計数型光検出器の性能が良好であり、背景散乱光が大きくなるに従い、画素数がより多く、この結果、ゲインと開口率が低い光子計数型光検出器の性能が良好になり、さらに背景散乱光が大きくなると光電子増倍管の性能が良好になる。よって、様々な種類の試料を異なった照明光量で検査をする検査装置においては、画素数の異なる光子計数型光検出器と光電子増倍管をあわせて備えることが高感度化には重要である。
【0063】
背景散乱光量が弱い場合において欠陥自体の散乱光量が大きくなったときの光子計数型光検出器の検出効率の低下によるS/Nの低下は、たとえこれが発生したとしても、十分な欠陥散乱光量が既に入射されているわけであるから、欠陥検出に与える影響は少ない。問題となるのは、背景散乱光が増大した場合になる。背景散乱光は前方散乱光2901の位置では偏光フィルタ13を用いて小さくすることができるため、21003に示す特性の光子計数型検出器を用いることが可能である。一方、2902の位置では21003の特性、あるいは21002の特性の検出器を用い、2903の位置では21002、あるいは21001の特性の検出器を用いることで、全体としての感度を向上させる。
【0064】
次に欠陥寸法推定、および欠陥分類について説明する。欠陥寸法を正確に求めるには、各検出器で得られる欠陥散乱光強度が正確に求められなければならない。しかし、検出器が飽和してしまうと、散乱光強度が正確に求めることができなくなる。
【0065】
そこで、図11に示したような構成にする。図11の構成は図7Aの構成に対して検出器の飽和を抑制したものである。9002と9003はそれぞれ光子計数型検出器である。22001はビームスプリッタであり、光を非均等に分割し、例えば、光子計数型検出器9002と9003に1:16程度に分割する。このとき、光子計数型検出器9002は比較的少ない光量で飽和するが、光子計数型検出器9003は飽和することがないため、正確な光量を求めることができる。あるいは、光子計数型検出器9003の代わりに光電子増倍管をおくことで飽和を防ぐ構成をとることも可能である。
【0066】
光子計数型検出器9003は飽和をしなかったとしても、図10に示したように、非線形の出力特性をもつため、この出力特性をもとに散乱光量を算出する必要がある。信号処理部105には検出器の出力信号から散乱光量を算出するテーブル、あるいは近似式を持たせ、散乱光量を推定する。この出力値から散乱光量を推定する式をfとしたとき、欠陥の総散乱光量は数2で表される。
【0067】
【数2】

【0068】
このように、それぞれの検出器で得られた欠陥信号と背景散乱光信号の和に対して十分長い区間の信号の時間平均を背景散乱光量として、検出器で得られた信号と、背景散乱光それぞれを式fで変換して線形な空間に変換して散乱光量を算出する。
【0069】
次に、信号処理部105を構成する欠陥判定部51について図12を用いて説明する。ここでは、2系統の検出系をもつ場合の処理について記述する。アナログ処理部50からの各々の出力信号501と502は、ハイパスフィルター604a、604bの各々により欠陥信号603a、603bの各々が抽出され、欠陥判定部605に入力される。欠陥は照野20によりS1方向に走査されるため、欠陥信号の波形は照野20のS1方向の照度分布プロファイルを拡大縮小したものとなる。従って、ハイパスフィルター604a、604bの各々により、欠陥信号波形の含まれる周波数帯域を通し、ノイズが相対的に多く含まれる周波数帯域および直流成分をカットすることで、欠陥信号6041a、6041bのS/Nが向上する。
【0070】
各ハイパスフィルター604a、604bとしては、特定のカットオフ周波数を持ちその周波数以上の成分を遮断するよう設計されたハイパスフィルタ、あるいはバンドパスフィルタ、あるいは照野20の形状が反映された欠陥信号の波形と相似形を成すフィルタを用いる。欠陥判定部605は、ハイパスフィルター604a、604bの各々から出力された欠陥波形を含む信号6041a、6041bの入力に対してしきい値処理を行い、欠陥の有無を判定する。即ち、欠陥判定部605には、複数の検出光学系からの検出信号にもとづく欠陥信号が入力されるので、欠陥判定部605は、複数の欠陥信号の和や加重平均に対してしきい値処理を行うか、または複数の欠陥信号に対してしきい値処理により抽出された欠陥群についてウェハの表面に設定された同一座標系でORやANDを取ることなどにより、単一の欠陥信号に基づく欠陥検出と比較して高感度の欠陥検査を行うことが可能となる。
【0071】
更に、欠陥判定部605は、欠陥が存在すると判定された箇所について、その欠陥波形と感度情報信号に基づいて算出されるウェハ内の欠陥位置を示す欠陥座標を、欠陥情報として出力する。
【0072】
さらに、アナログ処理部50の出力501と502は分岐されて、欠陥判定部51を構成するハイパスフィルター604a、604bに加えて、ローパスフィルター601a、601bの各々に入力され、ローパスフィルター601a、601bの各々において、ウェハ1上の照野20における微小ラフネスからの散乱光量(ヘイズ)に対応する周波数の低い成分および直流成分が出力される。このようにローパスフィルター601a、601bの各々からの出力6011a、6011bはヘイズ処理部606に入力されてヘイズ情報の処理が行われる。即ち、ヘイズ処理部606は、ローパスフィルター601a、601bの各々から得られる入力信号6011a、6011bの大きさからウェハ1上の場所ごとのヘイズの大小に対応する信号をヘイズ信号として出力する。また、微小ラフネスの空間周波数分布に応じてラフネスからの散乱光量の角度分布が変わるため、図1に示したように、互いに異なる方位、角度に設置された複数の検出部102の各検出器からのヘイズ信号をヘイズ処理部606への入力とすることで、ヘイズ処理部606からはそれらの強度比などから微小ラフネスの空間周波数分布に関する情報を得ることができる。
【0073】
607は記憶部であり、ハイパスフィルター604a、604bの出力6041a、6041b、およびローパスフィルター601a、601bの出力6011a、6011bなど全ての検出器の出力を一時的に記憶する。608も記憶部であるが、欠陥判定部605において欠陥と判定されたデータの情報を入力し、欠陥のデータとそのときの試料1からの散乱光量のみを残すことによって、記憶部608のデータ量の増大を防ぐことができる。
【0074】
52は欠陥サイズ推定・欠陥分類部であり、非線形な光子計数型検出器9001の非線形性を補正して、正確な欠陥のサイズ推定や欠陥分類を実現する。このサイズ推定結果と欠陥分類結果を制御部53に提供して表示部54などに出力する。
【0075】
欠陥サイズ推定・欠陥分類部52において、欠陥座標は欠陥波形の重心を基準として算出される。欠陥寸法は欠陥波形の積分値あるいは最大値を元に算出される。特定の検出器において、飽和、あるいは飽和に近い信号量が得られた場合には、飽和した検出器以外の検出器の出力をもとに散乱光量を求める。
【0076】
次に各検出器の検出信号から検出散乱光量を算出するシステムについて述べる。図13に光子計数型検出器9001により散乱光が検出された模式図を示す。2301は散乱光の強度分布である。
【0077】
試料からの散乱光の強度分布や欠陥からの散乱光の分布によって必ずしも一様の強度とは限らない状態で、散乱光が光子計数型検出器9001に入射される。この散乱光の分布は試料の種類や照明の偏光条件で変化する場合があり、望ましくは検査条件毎に検出器の出力から明度を算出する対応を求める必要がある。そこで、アッテネータ3で照明強度を変化させた場合の試料面、あるいは異物からの散乱光を各光子計数型検出器9001で検出したときの出力を記憶する。
【0078】
図14はこの校正を行うための試料であり、試料1にサイズの異なる標準試料(粒径サイズが既知の粒子)を31から34に示すように散布しておく。試料1にP偏光照明を照射した場合、その散乱光量は粒径の6乗に比例することがわかっており、粒径サイズが波長に対して十分小さい領域では、散乱光の放射方向はほぼ等方的である。
【0079】
この試料を用いて、入射光量を変えたときの試料及び標準粒子からの散乱光を検出した光子計測型検出器の出力を図15に示す。2500は、試料面だけからの散乱光を検出したときの光子計測型検出器9001からの出力であり、2501で囲んだ領域の出力信号は、それぞれの粒径の標準粒子31から34を散布した試料1上の領域からの散乱光を検出した光子計測型検出器9001からの出力である。照明の入射光量が小さい場合には光子計測型検出器9001から出力信号2500は、ほぼ実施の光子入射量と等しいと考えられるため、2502の入射光量は明らかであるが、入射光量2503から2506の間隔は必ずしも明らかではない。ただし、散乱光量が粒径の6乗に比例するため、2503から2506の間隔の比率はわかっている。
【0080】
光子計数型検出器9001の出力Oiは理想的には数3で表され、
【0081】
【数3】

【0082】
これを変形したのが数4である。
【0083】
【数4】

【0084】
ここで、未知の変数は、2501で囲んだ領域の出力信号に対応する光子計数型検出器iに入射した入射光量Nとある特定の画素以外の画素に光子が入射される確率Piであり、これの対数を演算したlogPになる。入射光量NをK倍にすると、数4において、異なるN で得られた式が導かれるため、連立方程式でlogPを求めることができる。ただし、必ずしも理想的な数3で表せるわけではないため、複数回の照明強度で計測を行い、最小二乗法等を用いてパラメータを求め、補正曲線を算出する。
【0085】
このシーケンスを図16に示す。まずS2601にて照明強度を決定し、S2602において、試料1を検査し、試料面および標準粒子からの散乱光を検出した各光子計数型検出器9001の出力信号を記憶する。次いで、S2603にて試料面および標準粒子の強度の、典型的には平均値、あるいはメディアン値、ピーク値等をその試料面あるいは標準粒子の代表散乱光強度として算出する。
【0086】
S2604において、既定回数の検査が終了したか判断し、既定の回数に達していない場合には再びS2601に戻り、照明強度を変更して再度試料を検査して各光子計数型検出器9001の出力信号を取得する。規定回数のデータ取得が終了した場合にはS2605にて最小二乗法を適用し、未知変数であるlogPを算出し、これに基づき、各照明強度における試料面、および標準粒子からの、それぞれの光子計数型検出器9001に入射した光量を推定する。
【0087】
次いで、S2606において入射光量と光子計数型検出器(検出器)9001の出力を数3で示された変換式を用いて、算出する。ここで、logPは各入射強度において、実際には異なる(レンズ内の散乱強度分布の違い等によって、実際には理想的な曲線にならない)ため、各強度においてPの値を、その近傍の光量データを用いて、実データと対応するように設定しなおして内挿を行う。次いで、S2607において検出器9001の出力から入射光子数を変換するテーブルを作成する。
【0088】
このようにして、各検出器9001への入射光量を求めることができるが、それぞれの検出器9001で得られる入射光量の推定精度は異なってくる。すなわち、検出光量の変化とともに検出器9001の出力も大きく変化する場合には高い入射光量の推定精度が求められる。欠陥判定部605におけるこの処理について詳説する。
【0089】
光子計数型検出器9001では、入射光量によって、明度が変化した場合の検出器9001の出力の一次微分が変化する。よって、入射光量を正確に求められる検出器9001が光量とともに変化する。そこで、欠陥サイズ推定について説明する。
【0090】
すべての検出器9001の出力信号の和を算出する際、ノイズが量子ノイズと仮定するなら、それぞれの検出器9001の出力信号に対して検出器9001で検出する信号強度に比例し、背景散乱光に反比例する重みを乗じて和を算出するとノイズに対する欠陥信号の比率を最大にすることができる。これを数5に表す。
【0091】
【数5】

【0092】
光子計数型検出器9001における非線形性は、背景散乱光が大きくなり、既に出力をしている画素に光子が入射して実質的に検出器iの開口率が、検出する光量が0であったときの開口率に対してgi倍に低下したとみなすことができる。
【0093】
この数5において、siは検出器出力における欠陥散乱信号強度であり、nはノイズ散乱散乱信号であり、ともに高周波成分である。ωiは検出する光量が0であったときの入射される光に対して検出器の出力の微分値に相当し、図15に示した光子計数型検出器の入射光量に対する対応関係を示すグラフの入射光量が0における勾配で表される。IsiとIniは入射される欠陥散乱光信号成分とノイズ成分である。
【0094】
数5より、信号を統合したOall各検出器の信号にはgiωiのゲインが乗じられているとみなせる。giはそれぞれの検出器で入射される光量によって変化するが、ここではOallとして信号が統合されてしまっているため、Oallのみではgiが判断できないため欠陥の粒径を求めることは困難である。そこで、欠陥と判定された後に、Oallの算出に用いられた検出器の出力信号を参照できるよう、検出器の信号を記憶することが必要であり、この実現のため、記憶部607あるいは608は用いられる。欠陥と判定された後に、この各検出器の信号を参照して、式2で示された式を用いて各検出器に入射した入射光量を算出すれば欠陥散乱光の全光量を求めることができ、欠陥寸法を算出する。
【0095】
このフロー図を図17に示す。
まず、S2701において、欠陥と判定された位置の散乱光に対してハイパスフィルターをかれた信号を608の記憶部から入力し、S2702においてこの欠陥と判定された位置の散乱光に対してローパスフィルタをかけた信号を608の記憶部から入力する。S2703において、この2つの信号より、欠陥を検出した位置において量子計数型検出器の出力を求め、S2607で算出したテーブルを用いて、検出器の受光光量を算出する。S2704において、その欠陥を検出した位置における量子計数型検出器の背景出力を求め、やはり、S2607で算出したテーブルを用いて、検出器の背景受光光量を求める。このS2704とS2703の差分より、この検出器によって得られる欠陥の受光光量を求める。S2706は繰り返し処理の制御部であり、S2701からS2705までの処理を装置に備えた全ての検出器、あるいは散乱光を十分に取得する検出器に対してこの処理を繰り返すように設定する。
【0096】
S2707において、それぞれの検出器で得られた欠陥の受光光量の加算を行い、S2708ではこの受光光量に基づき欠陥寸法を算出する。欠陥寸法が波長に対して小さい場合には、欠陥の体積の2乗に欠陥散乱光量がほぼ比例することを用いて、欠陥寸法を推定する。あるいは寸法が既知の標準粒子で検出した散乱光量との相対比に基づき、欠陥寸法を推定しても良い。
【0097】
ただし、これを実施すると、giωiが小さくなった検出器で散乱光の算出で大きな誤差が発生する場合があるため、異なる実施例においては、モデルデータベクトルを用いて、その分を補正する。
【0098】
iωiは図15の入射光量と光子計数検出器の対応関係の勾配と等しいため、予め算出しておく。例えば、求めたい散乱光量が数6であり、
【0099】
【数6】

【0100】
実際に得られた検出器の出力の総和が数7で表された場合、
【0101】
【数7】

【0102】
その数7の検出結果から数6の出力を求めるのにモデルデータベクトルを用いる。
【0103】
これを行うのには、照明の光量を小さい状態、すなわち、光子計数検出器が飽和していない状態で、得られた検出器の出力より各検出器への入射光量を算出しておき、式7に表したベクトル[N12 ・・・ Nn]を求め、これをモデルデータベクトルMとする。
【0104】
ここで、数6から数7に変換されたことにより異なる出力、S2/S1は数8に表され、
【0105】
【数8】

【0106】
この逆数を乗じることで検出器毎の感度の違いを補正した出力が得られる。
【0107】
光子計数検出器が飽和を始めた場合、数8の値は変化し、この値の逆数を算出することにより、検出器毎の感度の違いを補正することが可能である。
【0108】
このセンサの検出光量を直接算出するのではなく、このように、光子計数型検出器の出力を直接変換せずとも、その出力値をモデルデータベクトルに基づき変換することで、求めるべき散乱光量を算出することができる。このフローを図18に示す。S2801,S2802,S2804,S2808は、それぞれ図17で説明したS2701,S2702,S2706,S2708と同じ処理であるので、これらの処理についてはここでは説明せず、図18において特化した処理について説明する。
【0109】
図17の処理ではそれぞれの検出器毎に検出器の受光光量を求めたが、ここでは、各検出器の出力値の動作点における2606の内挿で算出する光子計数型検出器の入射光量と出力との勾配であるgiωiを S2803で算出する。これを繰返して検出器の数分実施したのち、S2805にて補正係数である数9を算出する。
【0110】
【数9】

【0111】
次いで各検出器の出力に対してハイパスフィルタをかけた出力値の総和をS2806にて算出し、S2807にてS2806の出力に対してS2805で算出した補正係数を乗じ、これをすべての検出器で受光した欠陥からの散乱光量とする。この散乱光量に対してS2808において、図17にフローのS2708で実施したのと同様の処理で欠陥寸法を算出する。
【0112】
本実施例によれば、微弱な散乱光しか発生させない微小欠陥と、後方にしか散乱光を発生しない変形欠陥との両方を検出することが可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0113】
1・・・ウェハ 2・・・レーザ光源 3・・・アッテネータ 4・・・偏光素子
5・・・照度分布制御素子 6・・・集光レンズ 7・・・ビームエキスパンダ 8・・・集光系 9・・・センサ 10・・・並進ステージ 11・・・回転ステージ 13・・・偏光フィルタ 14・・・コントローラ 15・・・遮光シャッタ 16・・・シャッタコントローラ 20・・・照明スポット 31・・・標準粒子塗布領域 50・・・アナログ処理部 51・・・欠陥判定部 52・・・欠陥サイズ推定・欠陥分類部 53・・・全体制御部 54・・・表示部
55・・・入力部 101・・・照明部 102a・・・検出部 102b・・・検出部 102c・・・検出部 103・・・ステージ部 104・・・正反射検出部 105・・・信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置して移動を可能にするテーブル手段と、
レーザを発射するレーザ光源手段と、
該レーザ光源手段から発射されたレーザが照射された前記試料からの反射光を集光する検出光学系手段と、
該検出光学系手段で集光した前記反射光を受光して電気信号に変換する光検出手段と、
前記反射光を受光した光検出手段の出力信号を入力し処理して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、
該信号処理手段で検出した欠陥のサイズを算出するサイズ算出手段と
前記信号処理手段および前記サイズ算出手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段と
を備えた欠陥検査装置であって、
前記光検出手段は複数の画素によって構成される光子計数型検出器を含む複数の光検出器を有し、
前記サイズ算出手段は、前記光検出手段の光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正する変換部を有して、該変換部で前記光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正した信号を含む前記光検出手段の複数の光検出器からの出力信号を処理して前記欠陥のサイズを算出する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記検出光学系手段は複数の検出光学系部を備え、該複数の検出光学系部のうち、前記試料からの弱い反射光を検出すると期待される弱い反射光を検出する検出光学系部の集光位置には画素数が少ない光検出器を配置し、該弱い反射光を検出する検出光学系部よりも強い前記試料からの反射光を検出すると期待される検出光学系部の集光位置には画素数の多い光検出器を配置することを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記検出光学系手段は複数の検出光学系部を備え、該複数の検出光学系部のうち、前記試料からの強い反射光を検出すると期待される検出光学系部の集光位置にはアナログ型の光検出器を配置し、前記複数の検出光学系部のうち、前記試料からの弱い反射光を検出すると期待される検出光学系部の集光位置には複数の画素を有する光子計数型検出器を配置することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記弱い反射光を検出する検出光学系部は、前記試料の表面からの散乱光を抑制して前記試料上の欠陥からの散乱光を透過する偏光フィルタを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記光検出手段は、前記集光した試料からの反射光を2つの光路に分岐する光路分岐部を備え、該分岐部で分岐したそれぞれの分岐光の分岐光路に光検出器を備えることを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置
【請求項6】
回転しながら並進移動しているテーブルに載置した試料にレーザを照射し、
該レーザが照射された前記試料からの反射光を集光し、
該集光された前記試料からの反射光を光検出手段で受光して電気信号に変換し、
該反射光を受光した光検出手段からの出力信号を処理して前記試料上の欠陥を検出し、
前記光検出手段からの出力信号を処理して前記検出した欠陥のサイズを算出し、
前記検出した欠陥および前記算出した欠陥のサイズに関する情報を表示画面に出力する
欠陥検査方法であって、
前記光検出手段は複数の画素によって構成される光子計数型検出器を含む複数の光検出器を備え、該複数の光検出器で前記試料からの反射光をそれぞれ受光して電気信号に変換し、
前記欠陥のサイズを算出することを、前記試料からの反射光を受光した複数の光検出器の出力信号のうち前記光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正し、該光子計数型検出器の出力の非線形特性を補正した信号を含む前記複数の光検出器のそれぞれの出力信号を処理することにより行う
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
前記試料からの反射光を、画素数が異なる複数の光検出器で検出し、該複数の光検出器のうち、前記試料からの弱い反射光を画素数が少ない光検出器で検出し、前記試料からの強い反射光を画素数の多い光検出器で検出することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項8】
前記試料からの反射光を、複数の光検出器で検出し、前記試料からの強い反射光をアナログ型の光検出器で検出し、前記試料からの弱い反射光を画素数が少ない光検出器で検出することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
前記弱い反射光を、偏光フィルタを介して前記試料の表面からの散乱光を抑制して検出することを特徴とする請求項7又は8に記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記試料上に粒径が既知の微粒子を散布し、該粒径が既知の微粒子を散布した基板に前記レーザの照明光量を変化させて照射し、該レーザの照明光量を変化させて照射した前記基板からの反射光を収束して前記複数の光検出器でそれぞれ検出し、該複数の光検出器でそれぞれ検出した結果に基づいて該複数の光検出器の非線形特性を算出することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記試料からの反射光を2つの光路に分岐し、該分岐した2つの光路のそれぞれの反射光を異なる光検出器で検出することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−108950(P2013−108950A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256483(P2011−256483)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】