説明

欠陥検査装置、欠陥検査方法、光学式走査装置、半導体デバイス製造方法

【課題】信号強度のロスが少なく、正確で精度の高い欠陥検査を行うことができる欠陥検査装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる欠陥検査装置は光ビームを発生するレーザー光源1と、光を1次元のマルチビームに変換する1次元回折格子と、マルチビームを集束する対物レンズ9と、試料で反射した光ビームを試料に入射する光ビームから分離するハーフミラー6aと、分離された光ビームを分岐するウェッジ17を備えている。そして、試料台11をラスタ走査して試料全面を検査する。ウェッジによって分岐された一方の光ビームを検出する光検出器19aともう一方の光ビームを検出する光検出器19bをさらに備えている。この光検出器19a、19bの信号に基づく和信号によってシミ状欠陥を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の欠陥を検出し、検査を行う欠陥検査装置、試料の検査方法、光学式走査装置、及びその欠陥検査装置もしくは光学式走査装置を用いた半導体製造方法に関し、例えば、半導体ウェハ、マスクブランクスの欠陥検査に好適な、欠陥検査装置、試料の検査方法、光学式走査装置、及びその欠陥検査装置もしくは光学式走査装置を用いた半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の歩留りを向上等のために、半導体装置、半導体ウェハ及びマスクブランクス等の表面の欠陥を検出し、検査を行う欠陥検査装置が用いられている。この欠陥検査装置では、近年のLSIの微細化に伴い、正確で高精度の検査をより高い空間分解能で行うことが要求されている。
【0003】
この半導体ウエハ等の表面の検査には、レーザー散乱光方式の欠陥検査装置がよく用いられている。このレーザー散乱光方式の欠陥検査装置では試料の表面状態によって、散乱する光の強度および角度が異なることを利用している。つまり、この方式では試料表面にレーザー光を照射して、その散乱光の強度を検出することによって、欠陥検査を行っている。すなわち、欠陥が有る箇所にレーザー光が照射されると、欠陥の無い箇所に比べて散乱光が強くなる。よって検出した散乱光の強度から欠陥の有無を判別している。そして試料またはレーザービームの一方または両方を走査して試料全面の検査を行う。
【0004】
一方明視野方式の欠陥検査装置で、一本のレーザービームを試料に照射して、試料表面からの鏡面反射光を検出しているものが知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。また本件の出願人は、マルチビーム方式の欠陥検査装置を開発し、開示している(例えば、特許文献3)。このマルチビーム方式の欠陥検査装置では、回折格子を用いて1本のレーザービームから一次元のライン状ビームを得て、これを試料に照射して、試料表面での反射光を検出するものである。この方式ではコンフォーカル光学系(共焦点光学系)を用いることにより、さらに高い分解能を得ることが出来る。本件の出願人はさらに、二次元回折格子を用いてアレイ状のマルチビームを発生させて試料に照射する欠陥検出装置を開発し、開示している(例えば、特許文献4)。この装置では、二次元アレイ状のマルチビームを試料に照射して、試料をスパイラル状に走査している。従って、この装置では高分解能の検査を短時間で行うことができる。
【0005】
これらの欠陥検査装置に関して、欠陥の有無の他に、欠陥が凸状欠陥か凹状欠陥かを検査することが開示されている。または、欠陥の高さを調べることが開示されている。これらの欠陥の詳細な情報を調べるために、従来は光路上に遮蔽板(遮光板、ナイフエッジ)を挿入して、光を半分遮蔽していた。そして1つ又は2つ以上の検出器を用いて、光量の変化を検出し、欠陥の情報を調べていた。
【0006】
しかし、これらの欠陥検出装置では以下に示す問題点があった。従来の欠陥検査装置では、検出光を半分遮蔽しているために、受光信号強度をロスしていた。従って、受光信号のショットノイズや熱雑音の影響を受けやすく、疑似欠陥を発生したり、欠陥に対する検出感度を上げにくいという問題があった。半導体装置の微細化が進むにつれ、高感度で高速検査が可能な装置が必要となる。例えば、EUVL (極端紫外光)マスクブランクスにおいては、高さが数nmで、大きさが数十nmの欠陥の検出を行う必要がある。よってこの信号強度のロスが高感度で精度の高い検査を行う上で問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−22415号公報
【特許文献2】特開2001−74423号公報
【特許文献3】特開2001−027611号公報
【特許文献4】特許第3210654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、信号強度のロスが少なく、正確で精度よく測定を行うことができる欠陥検査装置、欠陥検査方法、光学式走査装置、並びにその欠陥検査装置もしくは光学式走査装置を用いた半導体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる欠陥検出装置は、光ビームを発生する光源と、試料を載置する試料台と、前記試料台に載置された試料と前記試料に前記光源から照射された光ビームとを、相対的に移動させる走査手段と、前記試料で反射した光ビームを異なる複数の光ビームに分岐する光分岐手段と、前記光分岐手段によって分岐された第1の光ビームを検出する第1の光検出手段と、前記光分岐手段によって分岐された第2の光ビームを検出する第2の光検出手段と、第1の光検出手段から出力された信号と前記第2の光検出手段から出力された信号の差分に基づき、差信号を求める回路と、前記差信号と予め定められた第1の値とを比較する第1の比較回路と、前記差信号と予め定められた第2の値とを比較する第2の比較回路とを備え、前記第1の比較回路及び第2の比較回路の比較結果に基づいて、前記試料の欠陥検査を行うものである。これにより、欠陥検査を高精度で行うことができる。
【0010】
上述の欠陥検査装置において、前記光源からの光を1次元のマルチビームに変換する回折格子をさらに備え、前記第1の光検出手段がライン状に配置された複数の受光素子を備え、前記第2の光検出手段がライン状に配置された複数の受光素子を備え、前記第2の光検出手段の複数の受光素子のそれぞれが、前記第1の光検出手段が備えるそれぞれの受光素子と対となり、対となる受光素子が検出した信号に対してそれぞれ差信号を求めてもよい。これにより、高速で精度のよい検査を行うことができる。
【0011】
前記光分岐手段が瞳の位置以外に設けられていてもよい。これにより、光学系の配置の自由度が拡がる。
【0012】
上述の欠陥検査装置において、前記光源からの光ビームを2次元のマルチビームに変換する2次元回折格子と、前記試料によって反射されたマルチビームを集束する集束手段と、前記集束手段の瞳の位置に設けられ、当該マルチビームを二つのマルチビームに分岐する光分岐手段と、をさらに備え、前記第1の光検出手段は、前記光分岐手段によって分岐された一方のマルチビームの各々の光ビームを検出する複数の受光素子を備え、前記第2の光検出手段は、前記光分岐手段によって分岐された他方のマルチビームの各々の光ビームを検出する複数の受光素子であって、各々の受光素子が前記第1の光検出手段が備える複数受光素子の各々と対になる複数の受光素子を備え、前記差信号を求める回路は、前記第1の光検出手段の受光素子と前記第2の光検出手段の受光素子のそれぞれの対から出力された信号に基づき、それぞれの差信号を求め、前記欠陥検査装置は、前記第1の比較回路及び第2の比較回路の比較結果に基づいて凸状欠陥か凸状欠陥かを判別してもよい。これにより、欠陥検査を高速で精度よく行うことができる。
【0013】
前記光分岐手段は、前記試料の欠陥がない部分から反射した光ビームの光路上の略半分を占める位置に配置され、当該光分岐手段に入射した光ビームの進行方向が変わることにより光ビームが分岐されることが好ましい。前記光分岐手段には光ビームの光路上に配置されたウェッジを用いてもよい。
【0014】
上述の欠陥検査装置は、前記第1の光検出手段から出力された信号と前記第2の光検出手段から出力された信号に基づき、和信号を求める回路と、前記和信号と予め定められた第3の値とを比較する第3の比較回路をさらに備え、前記第3の比較回路の比較結果に基づいて欠陥の検出を行うことが好ましい。これにより精度よくシミ状欠陥を検出することができる。
【0015】
本発明にかかる欠陥検出方法は、試料に光ビームを照射して、その反射光を検出することによって試料の欠陥を検査する検査方法であって、光ビームを試料に照射するステップと、前記光ビームと前記試料の位置を相対的に移動するステップと、前記試料によって反射された光ビームを第1の光ビームと第2の光ビームに分岐するステップと、前記第1の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第2の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第1の光ビームの光強度に基づく信号と前記第2の光ビームの光強度に基づく信号の差信号を求めるステップとを備え、前記差信号に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の検査を行うものである。この構成を有することにより、欠陥検査を高精度で行うことができる。
【0016】
好ましくは、前記差信号を予め定められた第1の値と比較するステップと、前記差信号を予め定められた第2の値と比較するステップとをさらに備え、前記差信号が前記第1の値を超えたタイミングと前記第2の値を超えたタイミングの順番に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の判別を行うものである。
【0017】
また、前記反射された光ビームを第1の光ビームと第2の光ビームに分岐するステップにおいて、前記試料の欠陥が無い部分から反射された光ビームを略半分に分岐することが望ましい。これにより、精度良く検査を行うことができる。
【0018】
上述の検査方法において、前記第1の光ビームの光強度に基づく信号と前記第2の光ビームの光強度に基づく信号の和信号を求めるステップと、前記和信号を予め定められた第3の値と比較するステップとをさらに備え、前記比較結果に基づいてシミ状欠陥の検出することができる。これにより、シミ状欠陥の検出を高精度で行うことができる。
【0019】
本発明にかかる光学式走査装置は、光源と前記光源からの光ビームを対象物上で走査する手段と、前記対象物によって反射された光ビームから第1の光ビームと第2の光ビームを分岐する手段であって、前記対象物の状態に基づいて第1の光ビームと第2の光ビームの相対的強度が変化するように分岐する手段と、分岐された前記第1の光ビームを検出する手段と分岐された前記第2の光ビームを検出する手段と、検出された前記第1の光ビームの強度と前記第2の光ビームの強度とを比較する手段と、前記比較する手段による比較結果に基づき、前記対象物の状態を検出する手段と、を有するものである。この構成を有することにより、高精度の測定を行うことができる。
【0020】
前記分岐する手段は、前記対象物の平坦な部分によって反射された光の光路上に設けられ、前記分岐する手段の端が前記光路の中央にあるウェッジ光学素子を有することができる。これにより、光学系の配置を簡素化できる。
【0021】
前記比較する手段は、前記第1の光ビームを検出する手段によって検出された光の強度と、前記第2の光ビームを検出する手段によって検出された光の強度との差分に基づく差信号を出力し、前記対象物の状態を検出する手段は、前記光ビーム走査に伴う前記差信号の変化に基づき、前記対象物の状態を決定することができる。
【0022】
前記分岐する手段は、前記反射された光を、前記第1の光ビームと前記第2の光に分岐することが好ましい。
【0023】
本発明にかかる半導体デバイスの製造方法は、光ビームを原板に照射するステップと、前記光ビームと前記原板の位置を相対的に移動するステップと、前記原板によって反射された光ビームを第1の光ビームと第2の光ビームに分岐するステップと、前記第1の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第2の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第1の光ビームの光強度に基づく信号と前記第2の光ビームの光強度に基づく信号の差信号を求めるステップと、前記差信号に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の検査を行うステップと、前記検査された原板を露光装置にセットするステップと、前記原板の露光パターンでウェハを露光するステップと、露光されたウェハを現像するステップと、を有するものである。この構成を有することにより、半導体デバイスの歩留まり向上に寄与することができる。
【0024】
本発明にかかる他の半導体デバイスの製造方法は、前記光源からの光を原板上で走査する手段と、前記原板によって反射された光から第1の光ビームと第2の光ビームを分岐するステップであって、前記原板の状態に基づいて第1の光ビームと第2の光ビームの相対的強度が変化するように分岐するステップと、分岐された前記第1の光ビームを検出するステップと分岐された前記第2の光ビームを検出するステップと、検出された前記第1の光ビームの強度と前記第2の光ビームの強度とを比較するステップと、前記比較するステップによる比較結果に基づき、前記原板の状態を検査するステップと、前記検査された原板を露光装置にセットするステップと、前記原板の露光パターンでウェハを露光するステップと、露光されたウェハを現像するステップと、を有するものである。この構成を有することにより、半導体デバイスの歩留まり向上に寄与することができる。
【0025】
本発明にかかる他の半導体デバイスの製造方法は、光ビームをウェハに照射するステップと、前記光ビームと前記ウェハの位置を相対的に移動するステップと、前記ウェハによって反射された光ビームを第1の光ビームと第2の光ビームに分岐するステップと、前記第1の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第2の光ビームの光強度を検出するステップと、前記第1の光ビームの光強度に基づく信号と前記第2の光ビームの光強度に基づく信号の差信号を求めるステップと、前記差信号に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の検査を行うステップと、前記検査されたウェハにレジスト層を形成するステップと、レジスト層を形成されたウェハを、マスクパターンに従って露光するステップと、露光されたウェハを現像するステップと、を有するものである。この構成を有することにより、半導体デバイスの歩留まり向上に寄与することができる。
【0026】
本発明にかかる他の半導体デバイスの製造方法は、前記光源からの光をウェハ上で走査する手段と、前記ウェハによって反射された光から第1の光ビームと第2の光ビームを分岐するステップであって、前記ウェハの状態に基づいて第1の光ビームと第2の光ビームの相対的強度が変化するように分岐するステップと、分岐された前記第1の光ビームを検出するステップと分岐された前記第2の光ビームを検出するステップと、検出された前記第1の光ビームの強度と前記第2の光ビームの強度とを比較するステップと、前記比較するステップによる比較結果に基づき、前記ウェハの状態を検査するステップと、検査されたウェハにレジスト層を形成するステップと、レジスト層を形成されたウェハを、マスクパターンに従って露光するステップと、露光されたウェハを現像するステップと、を有するものである。この構成を有することにより、半導体デバイスの歩留まり向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、信号強度のロスが少なく、正確で精度の高い測定を行うことができる光学式走査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる欠陥検査装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明におけるウェッジでのレーザー光を示す図である。 図2(a)はウェッジでのレーザー光を示す断面図である 図2(b)はウェッジ周辺でのレーザー光を示す上面図である
【図3】本発明における欠陥検出時のウェッジでのレーザー光を示す図である。 図3(a)はウェッジでのレーザー光を示す断面図である 図3(b)はウェッジ周辺でのレーザー光を示す上面図である
【図4】本発明における欠陥検出時のウェッジでのレーザー光を示す図である。 図4(a)はウェッジでのレーザー光を示す断面図である 図4(b)はウェッジ周辺でのレーザー光を示す上面図である
【図5】凹状欠陥検出時の光検出器の信号を示す図である。
【図6】シミ状欠陥検出時の光検出器の信号を示す図である。
【図7】本発明にかかる信号処理回路を示す回路図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる欠陥検査装置の構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる欠陥検査装置の構成を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる欠陥検査装置の構成を示す構成図である。
【図11】本発明の実施の形態4にかかる欠陥検査装置の構成を示す構成図である。
【図12】光検出器上での2次元マルチビームのスポットを示す断面図である。
【図13】1次元マルチビームのレーザー光を示す図である。 図13(a)はウェッジ上での1次元マルチビームのスポットを示す断面図である。 図13(a)はウェッジ周辺での1次元マルチビームを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる欠陥検査装置について図1〜図7を用いて説明する。図1は欠陥検査装置の全体の構成を示した構成図である。図2〜4は反射光の検出を示す図である。図5及び図6は欠陥検出時の検出信号を示した図である。図7は検出信号の信号処理を示す回路図である。1はレーザー、6aはハーフミラー、10は試料、11は試料台、16はリレーレンズ、17はプリズムウェッジ、19aは光検出器、19bは光検出器である。
【0030】
レーザー1から出射された略平行な光ビームはハーフミラー6aに入射する。光ビームの半分はハーフミラー6aを透過して、対物レンズに入射する。対物レンズ9に入射した光ビームは適当なスポット径に集光され試料10に入射する。試料10に入射した光は、その表面で反射する。その反射光は対物レンズ9を透過して、略平行な光ビームになる。その略平行な光ビームはハーフミラー6aによって、試料に入射する光ビームと分離される。よって、光ビームの半分は光検出器19a、19bの方向に反射される。このハーフミラー6aで反射した光はリレーレンズ16を介して光検出器19に入射される。本実施の形態においては、ハーフミラー6aとリレーレンズ16の間の光路中にプリズムウェッジ17を挿入している。このプリズムウェッジ17によってレーザー光は2本に分岐され、それぞれ光検出器19a、19bに入射する。それぞれ光検出器19で検出された光強度に基づいて試料の表面状態の検査を行う。さらに本実施の形態では試料台11が2次元的に駆動され、試料全面が検査される。本形態においては、ラスタ走査により試料全面を検査することができる。
【0031】
このプリズムウェッジ17を用いた反射光の検出について図2〜図4を用いて説明する。以下において、一つの説明の方法として、幾何光学的観点から、反射光の検出が説明される。図2は欠陥の無い正常な箇所を検査している時の様子を示している。図2は、この時におけるプリズムウェッジ17が挿入されたレーザー光の断面図である。図2(b)はこの時のレーザー光の光路を示した上面図である。ここで30は試料10で反射したレーザー光である。なお、説明のため図2(b)において、リレーレンズ16、ハーフミラー6a、対物レンズ9等は省略している。
【0032】
試料10において欠陥のない正常な箇所を検査しているときは図2(a)に示すようにレーザー光30の略半分の位置にウェッジ17が挿入されている。このウェッジ17は図2(b)に示すように楔状の形状をしており、入射面と出射面の角度が異なっている。よって、このウェッジ17に入射した光は進行方向が変わって出射される。従って、元のレーザー光30の半分はウェッジ17に入射し、進行方向が変わって出射される。この光を検出するように光検出器19bが設けられている。残りの半分はウェッジに入射せずに、同じ進行方向のまま光検出器19aに入射する。よって、欠陥のない正常な箇所を検査している時は光検出器19aと光検出器19bの光強度は同じになる。なお、光検出器19aと光検出器19bはウェッジ17を通過した光が分離される程度の距離及び間隔になるように設置されている。
【0033】
次に凸状の欠陥を検査するときの様子について図3、図4を用いて説明する。図3及び図4は試料表面の状態とそれに対応するレーザー光の光路を示している。31は凸状欠陥である。試料を載せた試料台が移動して凸状欠陥31にレーザー光が照射される。図3に示すように、まずレーザー光は上り坂のスロープに差し掛かる。そして試料台11が移動して頂点を越えた後、図4に示す様に下り坂のスロープにレーザー光が照射される。
【0034】
上り坂のスロープにレーザー光が照射されるとその反射角が変わる。従って、レーザー光30はウェッジ17の略半分の位置からずれて入射される。すなわち図2(a)で示されたレーザー光30が左にずれることになる。従って光検出器19aに入射する光の強度が光検出器19bに入射する光の強度よりも大きくなる。反対に下り坂のスロープに光が照射されている場合は図2(a)で示されたレーザー光30が右にずれることになる。よって、光検出器19bの光強度が光検出器19aの光強度よりも大きくなる。これらの光検出器19a及び光検出器19bの信号強度の変化に基づいて、凸状欠陥及び凹状欠陥の検出を行う。なお、ウェッジ17は試料台11のスキャン方向に対応する方向に挿入することが望ましい。レーザー光の走査において、凹凸状欠陥によって幾何光学的に光路が傾く方向にウェッジ17を挿入することにより、より精度の高い検査を行うことができる。
【0035】
次に光検出器で検出した信号を用いて、欠陥の詳細な情報を調べる方法について図5を用いて説明する。図5は試料の表面状態に対応した信号強度を示す図である。図5(a)に示すように試料の表面に凸状欠陥がある箇所を走査しているものとする。横軸が試料の位置あるいは時間を示している。縦方向は欠陥の高さを示している。図5(b)〜図5(d)は図5(a)に対応する信号強度を示している。図5(b)は光検出器19aの信号強度、図5(c)は光検出器19bの信号強度を示している。図5(e)は光検出器19aの信号強度と光検出器19bの信号強度の和を、図5(d)は光検出器19aの信号強度と光検出器19bの信号強度の差を示している。なお、説明のため光検出器19aの信号強度をA,光検出器19bの信号強度をBとする。従って、図5(b)はA、図5(c)はBを示す。図5(d)はA−B、図5(e)はA+Bを示すことになる。
【0036】
凹凸状欠陥の無い箇所にレーザー光が照射されている時は、AとBは同じ信号強度を示す。なお、欠陥の無い箇所におけるそれぞれの信号強度を0とする。上り坂のスロープに対応する位置に光が照射されると、レーザー光はウェッジ17から外れていき、徐々にAが大きくなっている。その後、レーザー光はウェッジ17方向に戻り、徐々にAが小さくなる。そして欠陥の頂点において、AとBは同じ信号強度を示す。欠陥の頂点を越え、下り坂のスロープに光が照射されると、光はウェッジ17の方に向かい徐々にAが小さくなっていく。その後、レーザー光はウェッジ17から外れていき、徐々にAが大きくなっている。そして、欠陥から光が外れた時、元の状態に戻る。従ってAは最初に正のピークがあり、その次に負のピークがある。Bは図5(c)に示すようにAと反対の挙動を示す。従って、Bは最初に負のピークがあり、その次に正のピークがある。このように凸状の欠陥にレーザー光が照射され試料台上の試料が走査された場合は、Aは正の値を示した後、負の値を示す。反対にBは負に振れた後、正の値を示す。この順番を利用して欠陥が凸状欠陥か凹上欠陥かを判別することができるようになる。
【0037】
A−Bは図5(d)に示す様にAのピークがエンハンスされた信号波形となる。また、A+Bは図5(e)に示すように信号強度は時間(試料の位置)によって変化せず、0のままである。
【0038】
本形態の検査装置は、2つの検出器からの信号を比較し、相対的強度の相違を利用することによって、試料の状態を検出する。具体的には、A−Bの信号を用いて欠陥が凸状か凹状かを判別する。図5(d)に示すスライスレベルHとスライスレベルLが設けられている。このスライスレベルを超える順番がH→Lの時は凸状の欠陥と判別される。A−BはAの信号がエンハンスされているため信号強度のロスが小さく、正確で精度の高い検査を行うことができる。光路上に遮蔽板を設けていないため光の強度を落とさずに検出を行うことができる。よって、信号強度のロスが少なくなり、高いS/N比で欠陥の検出を行うことができる。このように本発明にかかる欠陥検査装置は高い信号品質で検査を行うことができるため、より正確で精度の良い検査を行うことができる。あるいは、レーザー光源1のノイズ等の同相ノイズを効果的に除去することが出来る点で効果的である。すなわち、ノイズ等によって欠陥に入射した光の強度が変動して上下非対称な信号になってしまった場合であっても、スライスレベルでの分別を精度よく行うことができる。
【0039】
なお、凹状欠陥を検出する場合は、AとBの信号が入れ替わることになり、A−Bが反転した挙動を示す。従って、スライスレベルを超える順番がL→Hである場合は凹状欠陥を示すことになる。よってスライスレベルを超える順番によって凸状欠陥か凹状欠陥かを判別することができる。これにより、試料に凸状欠陥か凹状欠陥かを精度よく判別することができる
【0040】
次に試料表面にシミ状欠陥がある場合の欠陥検出について図6を用いて説明する。ここでシミ状欠陥とは反射率が一部分だけ変化している欠陥として検出することができる。図6は試料にシミ状欠陥があり、表面の反射率が一部分だけ弱くなっている箇所にレーザー光が照射した時の信号強度を示した図である。図6(b)〜(e)は図5と同様の信号を示している。すなわち、図6(b)は信号Aを、図6(c)は信号Bを、図6(d)は信号A―Bを、図6(e)は信号A+Bをそれぞれ示している。
【0041】
この場合、試料表面の反射率が一部分だけ弱くなっているので、レーザー光のスポット位置は変化せずに光の強度だけが弱くなる。従って図6(b)、図6(c)に示すようにA、B共に信号強度が弱くなる。よって、A−Bは図6(d)に示すように略0のまま一定になっている。従って、図5で示したスライスレベルH、Lを超えない。試料表面の反射率が一部分だけ弱くなっている場合には反対にA+Bの信号がA(B)の信号をエンハンスしたものとなる。従って、このA+BがスライスレベルLを超えれば、試料表面の反射率が一部分だけ弱くなっている箇所と判別することができる。さらにスライスレベルH(図示せず)を設定して、このA+Bが超えれば、試料表面の反射率が一部分だけ強くなっていると判別することも可能である。これにより、シミ状欠陥を検出することができる。A+BはA(あるいはB)の信号がエンハンスされており、光路上に遮蔽板を設けていないため信号強度のロスが少なく、正確で精度の高い検査を行うことができる。
【0042】
以上の信号処理により信号強度のロスが少なくなり、高いS/N比で凸状欠陥、凹状欠陥及びシミ状欠陥の検出を行うことができる。そして、これらの欠陥検出信号と試料台の位置を対応させて、試料のどの位置にどの種類の欠陥があるかを検査する。このように本発明にかかる欠陥検査装置は高い信号品質で検査を行うことができるため、より正確で精度の良い検査を行うことができる。尚、上記の信号A及びBに、必要であれば、異なる数を加減乗除することが可能である。
【0043】
次に欠陥検出を行う信号処理回路について図7を用いて説明する。図7は信号処理を行うための回路図である、50は抵抗、51は減算回路、52は加算回路、53〜56はコンパレータである。57〜60は欠陥検出信号発生回路である。これらの回路は光検出器19に組み込むことができるし、別の回路とすることもできる。
【0044】
光検出器19a、19bは受光した光の強度に対応する電流を出力し、この電流は抵抗50でそれぞれ電圧に変換される。この電圧に変換された信号をそれぞれA及びBとする。AとBはそれぞれ減算回路51及び加算回路52に入力される。比較手段である減算回路51は、差信号であるA―Bの信号を生成する。このA―Bの信号はコンパレータ53、コンパレータ54に入力される。コンパレータ53では負のスライスレベルLが設定され、A―Bの信号がこのスライスレベルLを超えたとき(スライスレベルLよりも小さいとき)にパルス信号が出力される。コンパレータ54では正のスライスレベルHが設定され、A―Bの信号がこのスライスレベルHを超えたとき(スライスレベルHよりも大きいときに)にパルス信号が出力される。
【0045】
これらのパルス信号は欠陥検出信号発生回路57に入力される。このコンパレータ53、コンパレータ54の順番でパルス信号が入力されたとき、欠陥検出信号発生回路57は凹状欠陥検出信号を出力する。コンパレータ54、コンパレータ53の順番でパルス信号が入力されたとき、欠陥検出信号発生回路57は凸状欠陥検出信号を出力する。このような差動検出を行うことにより、精度良く凸状欠陥か凹状欠陥かを判別することが出来る。
【0046】
加算回路52では和信号であるA+Bの信号が生成される。このA+Bの信号は55、56に入力される。55では負のスライスレベルLが設定され、このスライスレベルLを超えたときにパルス信号が出力される。コンパレータ56では正のスライスレベルHが設定され、このスライスレベルHを超えたときにパルス信号が出力される。
【0047】
コンパレータ55から出力されたパルス信号は欠陥検出信号発生回路59に入力される。従って、欠陥検出信号発生回路59から欠陥検出信号が出力された時は、試料表面の反射率が低下している欠陥が存在することを示すことになる。コンパレータ56から出力されたパルス信号は欠陥検出信号発生回路60に入力される。従って、欠陥検出信号発生回路60から欠陥検出信号が出力された時は、試料表面の反射率が高くなっている欠陥が存在することを示すことになる。これらの欠陥検出信号と試料台の走査のタイミングを対比させて、試料の欠陥が存在する箇所を特定する。これにより、試料に存在する欠陥の位置と種類を特定することができる。また、光検出器に増幅回路等を設けて信号を増幅しても良い。この場合、信号A及びBは増幅された信号となる。A及びBの増幅率を異なるものとすることができる。又、差信号は、例えば、各光検出器からの出力のそれぞれに異なる演算を施して後、各出力の差として生成することが可能である。和信号についても、適宜、検出器からの各出力に信号処理を施し、各出力の和として生成することが可能である。
【0048】
反射光の分岐は、例えば、ナイフエッジプリズムを利用して行うことができる。しかし、ウェッジ17を用いた上記の光学系で欠陥検出を行うことにより、光検出器用の光学部品(例えば、リレーレンズ16さらにはウェッジ17)が1式で差動検出を行うことができる。よって、部品点数の削減を図ることが出来る。従って、低コスト化を図ることができる。また、図示した光学系に限らず、その他の光学部品を追加、変更してもよい。例えば、図1においてレーザー光1と光検出器19の位置を変更してもよい。この場合でも、試料10で反射した光ビームはハーフミラー6aで分離されるため、ウェッジ17等を光路上に挿入することで同様の効果を得ることができる。さらに、コンフォーカル光学系による検出も容易に行うことができる。すなわち、光検出器19の前で結像させ、その結像点にピンホールを設けることにより、コンフォーカル光学系による検出を行うことができる。これにより、高精度の欠陥検査を行うことができる。
【0049】
発明の実施の形態2.
本実施の形態にかかる欠陥検査装置について図8を用いて説明する。図8は本形態にかかる欠陥検査装置の光学系の構成を示す構成図である。本実施の形態では試料台を走査させているのではなく、振動ミラーを用いて光ビームを走査させている。図1で付した符号と同一の符号は同じ構成を示すため説明を省略する。4aは振動ミラー、6は偏光ビームスプリッター、5a、5bはリレーレンズ、8は1/4波長板である。
【0050】
レーザー1から出射された光ビームは偏光ビームスプリッター6によって、P偏光の光のみ透過する。この光ビームは振動ミラー4aで試料10の方向に反射される。リレーレンズ5a、リレーレンズ5b、1/4波長板を透過して、対物レンズ9に入射する。対物レンズ9に入射された光は適当なスポット径に集光され、試料10に入射する。そして、光ビームは再び対物レンズ9、1/4波長板8、リレーレンズ5b、リレーレンズ5aを透過して、振動ミラー4aに入射する。振動ミラー4aに入射した光は偏光ビームスプリッター6の方向に反射される。ここまでの間、往復で1/4波長板8を2回通過しているため、P偏光の光がS偏光の光に偏光されている。従って、光ビームは偏光ビームスプリッター6では反射される。これにより、光強度の低下を抑制することが出来る。もちろん、実施の形態1で示した光学系に偏光ビームスプリッター及び1/4波長板を用いてもよい。
【0051】
この偏光ビームスプリッター6で反射した光は、リレーレンズ16により光検出器19に集光される。実施の形態1と同様にこの光路上にはウェッジ17が挿入されている。従って、光ビームの半分は光検出器19a、他の半分は光検出器19bに入射され、光強度が検出される。ここでの検出は実施の形態1で説明した検出と同様の検出が行われるため説明を省略する。本実施の形態では、光ビームを振動ビームによって走査して、試料全面の欠陥を検出している。振動ミラー4aとしては、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラーを用いることができる。このような、振動ミラーを用いて走査させることによっても実施の形態1と同様の効果を得ることが出来る。
【0052】
発明の実施の形態3.
本実施の形態にかかる欠陥検査装置について図9、図10を用いて説明する。図9及び図10は欠陥検査装置の構成を示す構成図である。図1、図8で付した符号と同位置の符号は同一の構成を示すため説明を省略する。図9は実施の形態1すなわち図1に対応した光学系を備えている。図10は実施の形態2すなわち図8に対応した光学系を備えている。
【0053】
本実施の形態ではウェッジ17がリレーレンズ16と光検出器19の間に設けられている点で実施の形態1、2とは異なる。それ以外の光学系の構成、検出方法及び信号処理は実施の形態1及び実施の形態2と同様なので説明を省略する。
【0054】
本形態ではウェッジ17を瞳の位置以外に配置することができる。すなわち、本形態ではレーザー光を2分割できるようにスポットの半分にウェッジ17を挿入すればよい。従って、図9に示すハーフミラー6と光検出器19の間のような
【0055】
試料で反射した光が試料に入射する光から分離されている光路上であればウェッジ17を配置することが出来る。よって、瞳以外の位置にも配置することができる。このような配置の光学系によっても実施の形態1、2と同様の効果を奏することができる。
【0056】
本発明にかかる欠陥検査装置では、ウェッジ17は瞳の位置に配置する必要がないため、光学部品の配置上の制約を受けなくなり、設計の自由度を広げることができる。
【0057】
発明の実施の形態4.
本発明の実施の形態4にかかる欠陥検査装置について図11を用いて説明する。図11は欠陥検査装置の全体の構成を示した構成図である。1はレーザー、2は回折格子、3はフーリエ変換レンズ、4は反射ミラー、5はリレーレンズ、6は偏光ビームスプリッター、7はダイクロイックミラー、8は1/4波長板、9は対物レンズ、10は試料、11は試料ステージ、12は自動焦点光学系、13はリレーレンズ、14は反射ミラー、15は反射ミラー、16はリレーレンズ、17はウェッジ、18はリレーレンズ、19は光検出器である。本実施の形態では1本の光ビームを回折格子2によって、複数の光ビームにして試料に照射して検査を行っている。
【0058】
これらの光学系により試料表面にレーザー光が照射され、その散乱光の検出を行うことができる。20はパーソナルコンピューター(以下、PC)、21は欠陥データメモリー、22はステージコントローラ、23はステージ駆動部である。これらが試料ステージ11上の試料を走査するための制御及び検出データの処理を行う。これにより、試料の欠陥位置を特定することができる。
【0059】
まず、本発明にかかる欠陥検査装置の光学系について図11を用いて説明する。レーザー1から出射された光は回折格子2に入射し、マルチビームに変換される。ここでは、回折格子2に2次元回折格子を用いているために、マトリクス状の2次元光ビームのビームアレイとなる。このビームアレイを、以下、マルチビームと呼ぶ。マルチビームはフーリエ変換レンズ3に入射され、略平行な光束となる。そして、マルチビームは反射ミラー4で試料の方向に反射される。さらに、マルチビームはリレーレンズ5を透過し、偏光ビームスプリッター6に入射する。偏光ビームスプリッターではP偏光の光のみが透過する。さらに、マルチビームはダイクロイックミラー7、1/4波長板8を透過し対物レンズ9に入射する。対物レンズ9はマルチビームを微小スポット上に集束して、試料10に入射させる。試料10の異物、段差、傷等の欠陥が存在する場合、入射光がこれらの欠陥により散乱される。この散乱のため、欠陥の有無により検出光量に差が生じる。よって、試料表面からの反射光を検出することにより、試料の欠陥情報を検出することができる。
【0060】
次に試料で反射された光が検出器までに至る光路について説明する。試料10で反射された光は対物レンズ9、1/4波長板8を透過して、ダイクロイックミラー7に入射する。ダイクロイックミラー7では一部の光が反射して自動焦点光学系12に入射される。自動焦点光学系12はレーザー1と異なる波長の光であって、ダイクロイックミラーで反射する光を出射する光源を備えている。この光源からの光がダイクロイックミラー7で反射して、試料10に照射される。そしてこの反射光を自動焦点光学系12で受光する。この受光した光の出力信号を用いて対物レンズ9又は試料10の位置調整を行い、試料10と対物レンズ9との距離を最適なものとする。なお、ダイクロイックミラー7の代わりにハーフミラー等を用いてもよい。
【0061】
ダイクロイックミラー7を透過した光は偏光ビームスプリッター6に入射される。ここまでの光路で1/4波長板8を2回通過しているためにP偏光であった光がS偏光の光に偏光されている。従って、偏光ビームスプリッター6で反射される。偏光ビームスプリッター6で反射された光はリレーレンズ13、反射ミラー14、反射ミラー15、リレーレンズ16の順に入射される。リレーレンズ16を透過した光は、一度集束された後ズームレンズ18に入射する。
【0062】
ズームレンズ18を透過した光は光検出器19に入射される。光検出器19はマトリクス状に構成された受光素子を備え、マルチビームのそれぞれの光ビームに対応する光量を検出することが出来る。この受光素子には例えば、フォトダイオードアレイが用いられる。また、ズームレンズ18はズームレンズ系から構成され、倍率を調整することができる。従って、それぞれの光ビームがそれぞれの受光素子に入射されるように調整することができる。
【0063】
本実施の形態ではリレーレンズ16とズームレンズ18の間の瞳にウェッジ17が配置されている。このウェッジ17は集光されている光スポットの断面の略半分の位置に挿入されている。2次元マルチビームでは瞳の位置にウェッジが配置され、それぞれの光ビームを半分に分岐する。分岐されたそれぞれのマルチビームはリレーレンズ18を透過し略平行な光ビームとなり光検出器19に入射される。
【0064】
そして、試料台11をスパイラル状に走査して試料全面の走査を行う。このスパイラル状の走査はPCに接続されたステージコントローラ22によって試料台の回転移動と並進移動によって行われる。回転移動はθステージ23dで並進移動はrステージ23bによって行われる。PC21はr方向の移動速度及びθ方向の回転数等のステージ制御データを記憶している。このデータに基づいて、ステージコントローラ22はrステージ23b及びθステージ23dを駆動させる。rステージ23bの移動は例えば、リニアガイド、ボールネジ及びサーボモータによって行われる。θステージ23dの回転は駆動モータにより行われる。また試料は試料台のチャック機構によりチャックされている。これにより、スパイラル状の走査を行うことができる。
【0065】
また、θステージ角度検出系23及びrステージ位置検出系はエンコーダ8図示せず)を備えており、それぞれの角度及び位置を把握できるようになっている。このエンコーダからの出力は欠陥データメモリー21に蓄えられる。これらの位置信号は欠陥検出信号と同期が取られているので、欠陥の位置を調べることができる。この欠陥データメモリーに蓄えられデータがPCに伝送され、試料の欠陥の詳細な情報を表示する。
【0066】
次に、光検出器19に入射されるマルチビームについて図12を用いて説明する。図12は光検出器19上でのマルチビームの断面図である。白抜き(Aの列)のスポットはウェッジ17によって進行方向が変わっていないビームを示している。網掛けのスポットはウェッジ17によって進行方向が変わったビームを示している。ウェッジ17にビームの進行方向が変わっている分だけ、AとBの位置がずれている。すなわち、マルチビーム中の1本のビームがウェッジ17によってそれぞれAとBに分岐されている。このAとBの信号をそれぞれ検出し、欠陥の検査をする。光検出器19はこのマルチビームの検出を行うため、6×3のマトリクス状に配置された受光素子を2組備えている。この6×3の受光素子のそれぞれは対になっており、対となった受光素子の信号に対して信号処理が行われる。すなわち、対となる6×3の光ビームの各々に対して上述の信号処理を行う。それぞれの信号処理は実施の形態1で説明した処理と同様であるので説明を省略する。欠陥が検出されたら、その種類と場所を特定して欠陥検出を行う。従って、信号強度のロスを少なくすることができ、正確で精度の高い欠陥検出を行うことができる。このように2次元のマルチビームを用いても、同様の効果を得ることが出来る。なお、図12の説明においては、光検出器19aと光検出器19bが交互に配置されているが、それぞれの光スポットの位置に応じて、それぞれの光検出器の受光素子を任意の位置に配置することができる。例えば、光検出器19aの全部の受光素子と光検出器19bの全部の受光素子が別々に配置されていても良い。もちろんその中間でもよい。この光検出器19a、19bの配置はウェッジの角度と光路長によって決まるものであるため、任意の位置に調整することができる。これにより、多数の光検出器を容易に組み合わせることができる。
【0067】
また、図11で示した光学系で2次元回折格子を用いて、欠陥検査を行っているが1次元回折格子を用いてもよい。すなわち、レーザー光源から出射された1本の光ビームを1次元回折格子によって、1次元のライン状のマルチビームに変換する。そして、このマルチビームをフーリエ変換レンズ3によって略平行な光束にする。ウェッジ17で分岐されたそれぞれの光ビームを受光する受光素子が光検出器19に設けられている。この場合、4個のライン状の受光素子が2組設けられ、それらが対になっている。対になっている受光素子の信号に対して上述の信号処理を行う。よって、1次元マルチビームでも同様の検査を行うことができる。この場合、図13に示すように1次元マルチビームのそれぞれの半分にウェッジを挿入することが望ましい。すなわち、実施の形態1〜3で示した、1本の光ビームと同様に瞳以外の位置にウェッジ17を配置することができる。これにより、瞳の位置にウェッジを配置する必要がなくなるため、設計の自由度が拡がる。なお、1次元あるいは2次元のマルチビームにおいて、スパイラル走査以外のラスタ走査などを用いることができる。
【0068】
その他の実施の形態.
上述の実施の形態ではウェッジを用いて光を2方向に分岐しているがこれ以外の光分岐手段を用いても良い。例えば、入射光を2つの分岐光に反射するナイフエッジプリズムを光路上の半分の位置に設けても同様の効果を得ることが出来る。なお、ウェッジを用いれば、光ビームの角度のずれが小さいので検出器を近くに置くことが出来る。これにより、信号処理用の配線等を簡素化することができ、また省スペース化を図ることができる。さらに、ウェッジの角度及び光検出器までの光路長を変えることによって、2つの光検出器の間隔を容易に調整することが出来る。従って、光検出器を検査が行うために適した配置に置くことができ、特にマルチビームを用いる際に好適である。なお、ウェッジで分岐する光は2本に限らず4本等としてもよい。さらにウェッジの入射面と出射面の角度をそれぞれの辺に対して傾けて、出射光を斜めに出射させてもよい。また、ウェッジ17は光路上の略半分の位置以外に配置してもよい。射出角度の異なる2つのウェッジ、もしくは同等の機能を有する一つのプリズムを、光路上に配置してもよい。この場合でも略同等の効果を得ることができる。また、ウェッジの端部形状は、光路断面において、直線状でなくても良い。
【0069】
レーザー光のスキャン方法は、例えばステップ走査等のラスタ走査、スパイラル走査以外の走査方法を用いてもよい。また、マルチビームに用いるビームの本数は図示した本数以外でも同様の効果を得ることが出来る。なお、上述の実施の形態で示した図には光ビームが結像する位置に光検出器上に配置させているが、結像位置以外に光検出器を配置させてもよい。さらに、結像位置にピンホールを配置して、ピンホールを通過した光を検出することにより、コンフォーカル光学系を構築することができる。このコンフォーカル光学系を用いることにより、より精度の高い検査を行うことができる。また、光ファイバーを介して光検出器に光を受光させてもよい。なお、実施の形態4で用いたPC、ステージコントローラ、ステージ駆動系、自動焦点光学系、検出系等は実施の形態1〜3にも利用することができる。
【0070】
本発明は上述した実施例だけに限られず、様々な変更が可能である。例えば、図示した光学系に限られず、その他の種々の光学部品、光学素子を用いることによっても同様の効果を得ることができる。また、マスクブランクス、マスク、半導体デバイス、半導体ウェハの欠陥検査に限らず、これ以外の試料にも利用することが可能である。特に、マスクやマスクブランクスの検査処理、あるいは、半導体ウェハの検査処理に本発明の検査装置を用いることによって、半導体デバイスの製造歩留まりを向上させることができる。典型的な半導体デバイスの製造においては、マスク原板が露光装置にセットされ、光、イオンビームあるいは電子ビームなどを利用して、レジストを形成されたウェハの露光処理がなされる。露光処理がなされた半導体ウェハは現像処理が施され、レジストパターンがウェハ上に形成される。このパターンに従って、広く知られた薄膜堆積処理、エッチング処理、酸化処理、イオン注入処理などがなされ、半導体デバイスが形成される。本発明の検査装置あるいは検査方法を用いて検査されたマスク、あるいはマスクブランクスを用いたマスクによって、半導体デバイスの製造における露光処理を実施することができる。又、本発明の検査装置あるいは検査方法を用いて検査されたウェハに広く知られた半導体デバイス製造処理を施し、半導体デバイスを製造することができる。本発明の光学系は、試料の状態の一つである欠陥の検査装置に限らず、顕微鏡など、一般的な試料の状態を検出する光学式走査装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 レーザー、2 回折格子、3 フーリエ変換レンズ、
4 反射ミラー、4a 振動ミラー、5、5a、5b リレーレンズ、
6 偏光ビームスプリッター、7 ダイクロイックミラー
8 1/4波長板、9 対物レンズ、10 試料、11 試料ステージ、
12 自動焦点光学系、13 リレーレンズ 14 反射ミラー、
15 反射ミラー、16 リレーレンズ、17 ウェッジ、
18 リレーレンズ、 19、19a、19b 光検出器
20 PC、21 欠陥データメモリー、22 ステージコントローラ、
23 ステージ駆動部、23a rステージ位置検出系 23b rステージ、
23c θステージ位置検出系、23d θステージ、30 レーザー光
50 抵抗 、51 減算回路、52 加算回路
53、54、55、56 コンパレータ、
57、59、60 欠陥検出信号発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを発生する光源と、
試料を載置する試料台と、
前記光源からの光を1次元のマルチビームに変換する1次元回折格子と、
前記試料台に載置された試料と前記試料に前記光源から照射されたマルチビームとを、相対的に移動させる走査手段と、
前記マルチビームが1列に配列されている位置に配置され、入射光の進行方向を変えて、前記試料で反射した1列のマルチビームの各々を分岐して、2つのマルチビームにする光分岐手段と、
ライン状に配置された複数の受光素子を備え、前記光分岐手段によって分岐された一方のマルチビームの各々を検出する第1の光検出手段と、
前記第1の光検出手段の受光素子と対となってライン状に配置された複数の受光素子を備え、前記光分岐手段によって分岐された他方のマルチビームの各々を検出する第2の光検出手段と、
前記対となる受光素子から出力された信号の差分に基づき、前記マルチビームの各々に対する差信号を求める回路と、
前記差信号と予め定められた第1の値とを比較する第1の比較回路と、
前記差信号と予め定められた第2の値とを比較する第2の比較回路と。
前記対となる受光素子から出力された信号に基づき、前記マルチビームの各々に対する和信号を求める回路と、
前記和信号と予め定められた第3の値とを比較する第3の比較回路をさらに備え、
前記差信号が前記第1の値を越えたタイミング、及び第2の値を越えたタイミングの順番に基づいて、凸状欠陥か凹状欠陥かを判別し、
前記第3の比較回路の比較結果に基づいて、反射率が一部分だけ変化しているシミ状欠陥の検出を行う欠陥検査装置。
【請求項2】
前記光分岐手段は、前記試料の欠陥がない部分から反射した光ビームの光路上の略半分を占める位置に配置され、当該光分岐手段に入射した光ビームの進行方向が変わることによりマルチビームが分岐されることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記光分岐手段が光ビームの光路上に配置されたウェッジであることを特徴とする請求項1、又は2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
試料に光ビームを照射して、その反射光を検出することによって試料の欠陥を検査する検査方法であって、
光ビームを発生するステップと、
前記光源からの光を1次元のマルチビームに変換するステップと、
前記マルチビームと前記試料の位置を相対的に移動するステップと、
前記マルチビームが1列に配列されている位置に配置された光分岐手段によって入射光の進行方向を変えることで、前記試料で反射した1列のマルチビームの各々を分岐して、2つのマルチビームにするステップと、
ライン状に配置された複数の受光素子を有する第1の光検出手段によって、前記光分岐手段からの一方のマルチビームの各々を検出するステップと、
前記第1の光検出手段の受光素子と対となって前記ライン状に配置された複数の受光素子を有する第2の光検出手段によって、前記光分岐手段からの他方のマルチビームの各々を検出するステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号の差分に基づき、前記マルチビームの各々に対する差信号を求めるステップと、
前記差信号と予め定められた第1の値とを比較するステップと、
前記差信号と予め定められた第2の値とを比較するステップと、
前記差信号が前記第1の値を越えたタイミングと第2の値を越えたタイミングの順番に基づいて、凸状欠陥か凹状欠陥かを判別するステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号に基づき、前記マルチビームの各々に対する和信号を求めるステップと、
前記和信号を予め定められた第3の値と比較するステップと、
前記和信号と前記第3の値との比較結果に基づいて、反射率が一部分だけ変化しているシミ状欠陥を検出するステップと、を備える欠陥検査方法。
【請求項5】
前記試料の欠陥が無い部分から反射された光ビームを略半分に分岐する光分岐手段によって、前記マルチビームを分岐して2つのマルチビームにすることを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
光源と
前記光源からの光ビームを1次元のマルチビームに変換する手段と、
前記マルチビームを対象物上で走査する手段と、
前記マルチビームが1列に配列されている位置に配置され、入射光の進行方向を変えることで、前記対象物によって反射された1列のマルチビームの各々を分岐して、第1のマルチビームと第2のマルチビームにする手段であって、前記対象物の状態に基づいて第1のマルチビームと第2のマルチビームの相対的強度が変化するように分岐する手段と、
ライン状に配置された複数の受光素子を有し、前記第1のマルチビームの各々を検出する第1の光検出手段と
前記第1の光検出手段の受光素子と対となってライン状に配置された複数の受光素子を有し、前記第2のマルチビームの各々を検出する第2の光検出手段と、
前記対となる受光素子から出力された信号の差分に基づき、前記マルチビームの各々に対する差信号を求める手段と、
前記差信号と予め定められた第1の値とを比較する手段と、
前記差信号と予め定められた第2の値とを比較する手段と、
前記差信号が前記第1の値を越えたタイミングと第2の値を越えたタイミングの順番に基づいて、凸状欠陥か凹状欠陥かを判別する手段と、
前記対となる受光素子から出力された信号に基づき、前記マルチビームの各々に対する和信号を求める手段と、
前記和信号と予め定められた第3の値とを比較する第3の比較回路と、を備え、
前記第3の比較回路の比較結果に基づいて、反射率が一部分だけ変化しているシミ状欠陥の検出を行う光学式走査装置。
【請求項7】
前記分岐する手段は、前記対象物の平坦な部分によって反射された光の光路上に設けられ、前記分岐する手段の端が前記光路の中央にあるウェッジ光学素子を有する、請求項6に記載の光学式走査装置。
【請求項8】
光源からの光を1次元のマルチビームにするステップと、
前記マルチビームを原板上で走査するステップと、
前記マルチビームが1列に配列されている位置に配置された光分岐手段によって入射光の進行方向を変えることで、前記原板によって反射された1列のマルチビームの各々を分岐して、第1のマルチビームと第2のマルチビームにするステップであって、前記原板の状態に基づいて第1のマルチビームと第2のマルチビームの相対的強度が変化するように分岐するステップと、
ライン状に配置された複数の受光素子を有し、分岐された前記第1のマルチビームの各々を検出するステップと
前記第1の光検出手段の受光素子と対となってライン状に配置された複数の受光素子を有する第2の光検出手段によって、前記第2のマルチビームの各々を検出するステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号の差分に基づき、前記マルチビームの各々に対する差信号を求めるステップと、
前記差信号と第1の値とを比較するステップと、
前記差信号と第2の値とを比較するステップと、
前記差信号が第1の値を越えたタイミングと前記第2の値を越えたタイミングの順番に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の検査を行うステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号に基づき、前記マルチビームの各々に対する和信号を求めるステップと、
前記和信号を予め定められた第3の値と比較するステップと、
前記和信号と前記第3の値との比較結果に基づいて、反射率が一部分だけ変化しているシミ状欠陥の検査を行うステップと
前記検査された原板を露光装置にセットするステップと、
前記原板の露光パターンでウェハを露光するステップと、
露光されたウェハを現像するステップと、
を有する、半導体デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記光源からの光を1次元のマルチビームに変換するステップと、
前記マルチビームをマスク上で走査するステップと、
前記マルチビームが1列に配列されている位置に配置された光分岐手段によって入射光の進行方向を変えることで、前記マスクによって反射された1列のマルチビームの各々を分岐して、第1のマルチビームと第2のマルチビームにするステップであって、前記原板の状態に基づいて第1のマルチビームと第2のマルチビームの相対的強度が変化するように分岐するステップと、
ライン状に配置された複数の受光素子を有する第1の光検出手段によって、前記第1のマルチビームの各々を検出するステップと
前記第1の光検出手段の受光素子と対となってライン状に配置された複数の受光素子を有する第2の光検出手段によって、前記第2のマルチビームの各々を検出するステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号の差分に基づき、前記マルチビームの各々に対する差信号を求めるステップと、
前記差信号と第1の値とを比較するステップと、
前記差信号と第2の値とを比較するステップと、
前記差信号が第1の値を越えたタイミングと前記第2の値を越えたタイミングの順番に基づいて凸状欠陥及び凹状欠陥の検査を行うステップと、
前記対となる受光素子から出力された信号に基づき、前記マルチビームの各々に対する和信号を求めるステップと、
前記和信号を予め定められた第3の値と比較するステップと、
前記和信号と前記第3の値との比較結果に基づいて、反射率が一部分だけ変化しているシミ状欠陥の検査を行うステップと
検査されたウェハにレジスト層を形成するステップと、
レジスト層を形成されたウェハを、マスクパターンに従って露光するステップと、
露光されたウェハを現像するステップと、
を有する、半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−150910(P2009−150910A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89890(P2009−89890)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【分割の表示】特願2002−327893(P2002−327893)の分割
【原出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】