説明

欠陥検査装置

【課題】 可視画像だけではとらえることの難しいひび割れなどの欠陥を検査する装置を提供する。
【解決手段】 可視画像撮像部2と赤外画像撮像部10は、ともに同一の対象領域を撮像する。赤外画像欠陥部位特定手段12は、当該赤外画像のいずれか1枚に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。赤外画画像検索領域設定手段14は、赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する。可視画像検索領域設定手段4は、赤外画像に設定された検索領域に対応させて、一連の可視画像に検索領域を設定する。可視画像高解像度処理手段5は、上記一連の可視画像に設定された検索領域について、高解像度化を行う。可視画像欠陥部位特定手段6は、高解像度化された一連の可視画像の検索領域に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。可視画像欠陥寸法特定手段8は、一連の可視画像の検索領域に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ひび割れなどの欠陥を検査する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート表面のひび割れの分布状況等を、自動的に解析する方法が提案されている。たとえば、非特許文献1においては、検査対象をディジタルカメラにて可視画像として撮像し、ウエーブレット変換と二値化処理を行ってひび割れ部分の特定を行っている。さらに、その画像に基づいて、ひび割れの幅を算出する処理も行っている。
【0003】
このような方法は、ひび割れの自動検出という点において有効であるが、ひび割れ幅が小さい場合には、可視画像ではひび割れ部分が判別できないという問題がある。また、ひび割れが表面ではなく、内部に生じている場合にも同様の問題を生じる。
【0004】
そこで、赤外線カメラによって検査対象を撮像し、上記と同様の処理を行うことで、上記のような可視画像では見出しにくいひび割れについても特定することが提案されている(非特許文献2)。赤外線カメラでは、可視画像にて見出しにくい部分においても明確な温度差が生じることから、ひび割れの特定が可能になるからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】丸屋剛他「ウエーブレット変換を用いた床版コンクリートのひび割れ調査の実用化」コンクリート工学年次論文集、29巻2号(2007年)
【非特許文献2】稲葉茂「サーモグラフィ法によるひびわれ幅と測定距離の関係、サーモグラフィー法に関するコンファレンス論文集」29頁〜 32頁(1992年4月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術による赤外線カメラを用いたひび割れの特定方法では、赤外線カメラの解像度が可視カメラに比べて低いため、ひび割れの形状や寸法などの特定が十分でないという問題があった。
【0007】
また、近年、少しずつ位置をずらせた複数の画像を用いて、高解像度化する技術(超解像度化)が実用化されている。これら技術を、上記の赤外画像に適用して高解像度化することも考えられるが、次のような問題を生じる。
【0008】
すなわち、超解像度化処理などの高解像度化処理においては、異なる画像の位置ずれ量が正確にわかることを前提として、この位置ずれ量に基づいて処理を行う。可視画像であれば、画像自体から特定の部位を参照点として決定し、複数の画像における前記参照点のずれ量を知ることができる。しかしながら、赤外画像では、可視画像に比べてコントラストが低く、画像自体から参照点を正確に決定することが困難であり、複数の画像における参照点のずれ量を正確に得ることは難しい。このため、赤外画像に基づいて、高解像度化処理を行うことは困難であった。
【0009】
したがって、可視画像による検査を行わざるを得ず、可視画像ではとらえにくいひび割れなどの欠陥の特定や寸法は、検出できないという問題点があった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決して、可視画像だけではとらえることの難しいひび割れなどの欠陥を検査する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)(3)この発明に係る欠陥検査装置は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、前記検索領域における一連の可視画像に基づいて、高解像度化処理を行い、高解像度化された検索領域可視画像を得る可視画像高解像度化手段と、前記検索領域可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段とを備えている。
【0012】
赤外画像に基づき欠陥の部位を特定するようにしているので、可視画像では発見しにくい欠陥を見出すことができる。
【0013】
(2)(4)この発明に係る欠陥検査装置は、検索領域可視画像に基づいて、欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段を備えている。
【0014】
赤外画像に基づき欠陥の部位を特定するようにしているので、可視画像では発見しにくい欠陥を見出すことができる。ただし、赤外画像だけでは欠陥を発見することはできても、赤外画像自体だけでは高解像度化することができず寸法の特定が困難である。そこで、赤外画像にて見いだした欠陥部位を、対応する可視画像によって高解像度化するようにしている。これにより、可視画像における欠陥部位の周辺だけを高解像度化するので、可視画像においても欠陥部位を見出すことが可能となり、しかも、高解像度化されているので欠陥寸法を特定することができる。
【0015】
(7)(9)この発明に係る欠陥検査装置は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、前記一連の可視画像の検索領域を用い、当該一連の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における可視画像の高解像度化処理を行う可視画像高解像度化処理手段と、前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段とを備えている。
【0016】
赤外画像に基づき欠陥の部位を特定するようにしているので、可視画像では発見しにくい欠陥を見すことができる。
【0017】
(8)(10)この発明に係る欠陥検査装置は、高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段をさらに備えている。
【0018】
したがって、欠陥部位の寸法を特定することができる。
【0019】
(13)(15)この発明に係る欠陥検査装置は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、前記一連の赤外画像を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の位置ずれ情報に基づいて、当該赤外画像の高解像度化処理を行う赤外画像高解像度化処理手段と、前記高解像度化された一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段を備えている。
【0020】
赤外画像に基づき欠陥の部位を特定するようにしているので、可視画像では発見しにくい欠陥を見い出すことができる。ただし、可視画像だけでは欠陥を発見することはできても、可視画像自体だけでは高解像度化することができず寸法の特定が困難である。そこで、可視画像による位置情報に基づいて赤外画像を高解像度化するようにし、欠陥寸法の特定を行うようにしている。
【0021】
「赤外画像欠陥部位特定手段」は、実施形態においては、図4aのステップS3に対応する。
【0022】
「赤外画像検索領域設定手段」は、実施形態においては、図4aのステップS4に対応する。
【0023】
「可視画像検索領域設定手段」は、実施形態においては、図4aのステップS6に対応する。
【0024】
「可視画像高解像度化手段」は、実施形態においては、図4aのステップS7に対応する。
【0025】
「可視画像欠陥部位特定手段」は、実施形態においては、図4aのステップS8に対応する。
【0026】
「可視画像欠陥寸法特定手段」は、実施形態においては、図4aのステップS9に対応する。
【0027】
「赤外画像高解像度化処理手段」は、実施形態においては、図21のステップS13に対応する。
【0028】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第一の実施形態による欠陥検査装置の機能ブロック図である。
【図2】欠陥検査装置の全体構成を示す図である。
【図3】欠陥検査装置のハードウエア構成である。
【図4a】欠陥検査プログラムのフローチャートである。
【図4b】欠陥検査プログラムのフローチャートである。
【図5】一連の可視画像を示す図である。
【図6】一連の赤外画像を示す図である。
【図7】可視画像と赤外画像の大きさや形状をそろえる処理を模式的に示す図である。
【図8】ひび割れを特定した赤外画像を示す図である。
【図9】赤外画像検索領域を示す図である。
【図10】可視画像選択領域を示す図である。
【図11】各可視画像選択領域における一連の選択領域可視画像を示す図である。
【図12】超解像処理を説明するための図である。
【図13】超解像処理を説明するための図である。
【図14】超解像処理を説明するための図である。
【図15】超解像処理を説明するための図である。
【図16】超解像処理を説明するための図である。
【図17】高解像度化された検索領域可視画像を示す図である。
【図18】ひび割れ画像における幅αを示す図である。
【図19】第二の実施形態による欠陥検査装置の機能ブロック図である。
【図20】第三の実施形態による欠陥検査装置の機能ブロック図である。
【図21】欠陥検査プログラムのフローチャートを示す図である。
【図22】空間的な面関数を示す図である。
【図23】RGBを三角形として考えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.第一の実施形態
(1)機能ブロック図
図1に、この発明の一実施形態による欠陥検査装置の全体構成図を示す。可視画像撮像部2は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成するものである。赤外画像撮像部10は、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像するものである。これにより、赤外画像撮像部10は、一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する。
【0031】
赤外画像欠陥部位特定手段12は、当該赤外画像のいずれか1枚(2枚以上を用いてもよい)に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。赤外画像検索領域設定手段14は、赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する。可視画像検索領域設定手段4は、赤外画像に設定された検索領域に対応させて、一連の可視画像に検索領域を設定する。
【0032】
可視画像高解像度化処理手段5は、上記一連の可視画像に設定された検索領域について、高解像度化を行う。可視画像欠陥部位特定手段6は、高解像度化された一連の可視画像の検索領域に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。可視画像欠陥寸法特定手段8は、一連の可視画像の検索領域に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する。
【0033】
(2)全体構成
図2に、この発明の一実施形態による欠陥検査装置の全体構成を示す。可視画像撮像部である可視カメラ16と、赤外画像撮像部である赤外カメラ18が設けられている。可視カメラ16の光軸20と赤外カメラ18の光軸22は、平行に設定され、検査対象24を撮像している。このように、可視カメラ16と赤外カメラ18の光軸20、22は平行に設定されているので、距離に拘わらず、可視カメラ16と赤外カメラ18は、検査対象24のほぼ同じ領域を撮像することになる。
【0034】
可視カメラ16、赤外カメラ18、コンピュータ26は、車など(図示せず)に搭載され、紙面に垂直な方向に移動される。可視カメラ16、赤外カメラ18の移動方向は、検査対象24に生じていると予想されるひび割れ方向に垂直な方向であることが好ましい。
【0035】
可視カメラ16による可視画像、赤外カメラ18による赤外画像は、コンピュータ26に入力され、欠陥検査プログラムによって、ひび割れ箇所の特定と寸法判定がなされる。
【0036】
(3)ハードウエア構成
図3に、欠陥検査装置のハードウエア構成を示す。CPU32には、ディスプレイ30、可視カメラ16、赤外カメラ18、ハードディスク34、メモリ36が接続されている。ハードディスク34には、オペレーティングシステム(WINDOWS(商標)など)38、欠陥検査プログラム40が記録されている。オペレーティングシステム38、欠陥検査プログラム40は、CD−ROMドライブ42を介して、CD−ROM44に記録されていたオペレーティングシステム38、欠陥検査プログラム40がインストールされたものである。欠陥検査プログラム40は、オペレーティングシステム38と協働してその機能を発揮する。
【0037】
(4)欠陥検査プログラムのフローチャート
図4a、図4bに、ハードディスク34に記録された欠陥検査プログラム40のフローチャートを示す。
【0038】
CPU32は、可視カメラ16からの可視画像をハードディスク34に記録する(ステップS1)。なお、可視カメラ16は、検査対象24に対して移動しながら撮像を行うので、少しずつ位置の異なる一連の画像がハードディスク34に記録されることになる。この実施形態では、縦2048ピクセル、横2048ピクセルの画像を、連続してハードディスク34に記録した。図5A、B、Cに、このようにして記録された一連の可視画像の例を示す。可視カメラ16が移動していることから、画像が少しずつずれていることが伺える。
【0039】
CPU32は、赤外カメラ18からの赤外画像をハードディスク34に記録する(ステップS1)。赤外カメラ18も、可視カメラ16とおなじように検査対象24に対して移動しながら撮像を行うので、少しずつ位置の異なる一連の画像がハードディスク34に記録されることになる。なお、赤外画像は、可視画像に比べてピクセル密度が粗いだけでなく、画像のコントラストが明瞭でないという特徴がある。
【0040】
図6A、B、Cに、このようにして記録された一連の赤外画像の例を示す。図から明らかなように、可視画像(図5A、B、C)では、見えにくかったひび割れ31が現れている。これは、赤外カメラ18が、温度差に基づく画像を生成するので、微細なひび割れであっても、周りとの温度差を生じる以上、画像として現れるからである。なお、コンクリートなどに生じたひび割れ部分には、コンクリートが存在せず空気(あるいは水)があることになるので、周りのコンクリートとの比熱などの差から、温度に差異が生じることになる。
【0041】
次に、CPU32は、可視カメラ16と赤外カメラ18のレンズ収差の違いや、レンズ光軸間距離の違いなどを考慮して補正を行い、可視画像と赤外画像が同じ位置となるようにする。たとえば、図7Aに示す可視画像、赤外画像のそれぞれについてレンズ収差を修正して、図7Bに示すように、可視画像と赤外画像の大きさ形状をそろえる。さらに、図7Cの太枠に示すように、レンズ光軸のずれ(図2の光軸20と22参照)を考慮して、計算上、可視画像と赤外画像において同じ領域といえる領域を切り出す。このような処理を、可視画像、赤外画像の一連の画像について行う。
【0042】
CPU32は、このようにして同じ領域として取り出した可視画像と赤外画像をハードディスク34に記録する。ここでは、このようにして記録された一連の可視画像と一連の赤外画像が、図5、図6のようであったとする。図5、図6は、ステップS1の際の記録画像を示すものとして用いたが、この明細書では、便宜上ステップS2の際の記録画像を示すものとしても用いる。
【0043】
次に、CPU32は、一連の赤外画像のうちの1枚の画像を用いて、ひび割れ部分の特定を行う(ステップS3)。たとえば、図6Aの赤外画像を用いて、ひび割れ部位を特定する。CPU32は、図6Aの赤外画像を二値化処理などしてノイズを取り除き、連続した直線状の形状を検索することで、図8Aのような画像を得て、ひび割れ部分を特定する。なお、ひび割れ部分の特定処理については、丸屋剛「ウエーブレット変換を用いた床版コンクリートのひび割れ調査の実用化」コンクリート工学年次論文集29巻2号(2007年)などの技術を用いることができる。
【0044】
次に、CPU32は、図8Aのようにひび割れ部位を特定した画像において、図9に示すように、ひび割れ部位を含む赤外画像検索領域42、44、46、48を設定する(ステップS4)。たとえば、検索領域の横幅を決めておき、これにしたがって、ひび割れ領域が含まれるように、矩形領域を設定すればよい。
【0045】
次に、CPU32は、図9の赤外画像検索領域を設定するために用いた図6Aの赤外画像に対応する、図5Aの可視画像を取り出す。そして、図5Aの可視画像において、赤外画像検索領域42、44、46、38のそれぞれに対応する可視画像検索領域52、54、56、58を設定する(図10参照)(ステップS5)。赤外画像と可視画像は、前述のようにその位置関係が対応しているので、赤外画像における赤外画像検索領域に対応する可視画像の位置に、可視画像検索領域52、54、56、58を設定すればよい。これにより、図10に示すように、可視画像だけでは見出しにくいひび割れ領域を含む可視画像検索領域52を設定することができる。図10(図5A)の可視画像検索領域52、54、56、58のそれぞれの画像は、検索領域可視画像としてハードディスク34に記録される。
【0046】
続いて、CPU32は、ハードディスク34に記録された次の可視画像(図5B)を読み出し、図10において設定した赤外画像検索領域と同じ位置に可視画像検索領域52、54、56、58を設定する。図5Bの可視画像検索領域52、54、56、58(図示せず)のそれぞれの画像は、検索領域可視画像としてハードディスク34に記録される。
【0047】
上記と同様にして一連の可視画像について、可視画像検索領域52、54、56、58を設定し、その領域の画像を検索領域可視画像としてハードディスク34に記録する。
【0048】
可視画像検索領域52、54、56、58は一連の可視画像において固定されており、可視画像の撮像位置は移動しているので、図11A、B、Cに示すように、可視画像検索領域52、54、56、58の一連の検索領域可視画像においては、ひび割れが順次移動した状態となる。
【0049】
次に、図11に示す一連の検索領域可視画像に基づいて、各領域52、54、56、58ごとに高解像度化を行う(ステップS7)。この実施形態では、超解像処理により高解像度化を図っている。
【0050】
超解像処理の原理を、図12に示す。図12Aが、本来の輝度(オリジナル)のカーブαを示している。これに対し、これをディジタル化すると、図12Bに示すように、本来の輝度カーブαを反映した、画素幅にて平均した離散値となる(ディジタル画像1)。この撮像位置を1/2画素だけずらすと、図12Cに示すようなディジタル画像2となる。そこで、各位置において、ディジタル画像1の値と、ディジタル画像2の値との平均をとることで、図12Dに示すような高解像度化されたディジタル画像を得ることができる。このような処理を、2次元的に行うことで、ディジタル画像の高解像度化を行うことができる。
【0051】
上記のような超解像処理を行うためには、複数の画像の位置ずれ量を画素より細かな単位で正確に把握する必要がある。この実施形態では、図11A、B、Cに示す一連の検索領域可視画像自体に基づいて、位置ずれ量を算出している。たとえば、SSD(残差平方和)2次元パラボラフィッテングによって画像の位置ずれ量を決定することができる。以下、SSD2次元パラボラフィッテングについて説明する。
【0052】
たとえば、領域52における図11Aの検索領域可視画像と、領域54における図11Bの検索領域可視画像との位置ずれ量を求めるには、次のようにして行う。
【0053】
比較対象画像1(領域52の図11Aの画像)、画像2(領域54の図11Bの画像)のある座標(x,y)の輝度値をそれぞれI1(x,y),I2(x,y)としたとき,画像1に対する画像2のピクセル単位の変位が(dx,dy)であるときSSDは下式で表わされる。
【0054】
【数1】

【0055】
ここで,WはSSDを計算する注目領域(subset)を表わす。ピクセル単位でのずれ量を測定する場合には、SSD(dx,dy)が最小となる(dx,dy)を求めればよい。それに対し、サブピクセル単位(画素より細かな単位で)の移動量を求めるには、以下のように、SSDの値が移動量に対して二次関数に近似できると仮定したパラボラフィッティングが用いられる。
【0056】
(dx,dy)を変動させ、SSD(dx,dy)を最小とするピクセル単位の移動量(dx,dy)を求める。このときの移動量を(dx,dy)を(i,j)(整数)とする。さらにSSD(i-1,,j),SSD(i,,j-1),(i,,j+1)を求める。
【0057】
(i,j)の近傍では、SSD(x,y)は二次方程式Dp(dx.dy)で表現できるとし、その係数をSSD(i.j),SSD(i-1,j),SSD(i,j-1),SSD(i+1,j),SSD(i,j+1)から求める。これにより、SSD(dx.dy)を最小とする(dx,dy)がDp(dx,dy)の頂点として求まる。これを平行移動における変位の位置とすることができる。
【0058】
次に、SSDを最小とする(dx,dy)であるDp(dx,dy)の頂点を求める方法について述べる。
【0059】
ここで、Dp(dx,dy)は以下のように示されるものとする。
【0060】
【数2】

【0061】
SSD(i.j),SSD(i-1,j),SSD(i,j-1),SSD(i+1,j),SSD(i,j+1)の値を求めて、次式に代入し、係数ak(K=0,1,2,3,4)を算出する。
【0062】
【数3】

【0063】
である。また、式(2)は次のように変形できる。
【0064】
【数4】

【0065】
このとき、係数akが求まれば、サブピクセル単位の移動量を二次関数Dp(dx,dy)の頂点(-a1/a0,-a3/a2)として計算できる。
【0066】
以上のようにして、領域52の図11Aの画像と領域54の図11Bの画像とのずれ量をサブピクセル単位(画素より細かい単位)で算出することができる。
【0067】
続いて、上記のようにして算出したずれ量に基づいて、高解像度画像を求める。高解像度化の手法としては、画素ずらし法、重みを考慮した画素ずらし法、局所反復演算を用いた方法などがある。
【0068】
画素ずらし法は、高解像度画像のある画素の輝度値を求めるために、測定された複数枚の低解像度画像の該当する輝度値の平均をとる方法である。例えば、図13のように実線の格子で示された基準低解像度画像に対して、点線で示されたある低解像度画像の移動画素量が(k+dx,l+dy)であるときを考える。このとき、Irefの画素(i,j)とIfの画素(i+k,j+l)の重なった領域である領域Aに含まれる高解像度画像における画素の輝度値はすべて{Iref(i,j)+If(i+k,j+l)}/2で表わす。
【0069】
移動量が1ピクセル以内でさまざまに異なる複数の画像データを使用すれば、分割数を増やすことができるため、原理的にはより高解像度な画像が得られる。
【0070】
重みを考慮した画素ずらし法は、以下のように実行される。画素ずらし法における単なる画像の重ね合わせでは、高解像度画像のある画素の輝度値、低解像度画像の画素のうち、影響の大きいものからも小さいものからも同じ影響を受けて生成されてしまう。例えば、図14のように3枚の参照低解像度画像A、B、Cを用いて、参照画像Aの各画素を3分割するような高解像度画像のある画素S1はA、B、Cのある画素A2、B1、B2、C1から影響を受ける。しかし、実際この中でS1の輝度値に最も近い値を持つものはS1の画素中心に最も近い画素中心を持つC1であると考えられる。そこで、高解像度画像のある画素の輝度値を求める際には画素中心同士が近い低解像度画像の画素の輝度値がより大きく影響するように重み関数をかけて平均をとる。
【0071】
局所反復演算を用いた方法では、測定された複数枚の低解像度画像fiは、それぞれが真の高解像度画像CRealからの標本化により得られる画像であると考える。
【0072】
図15の右上図のように低解像度画像の輝度値fi(u,v)が真の高解像度画像の輝度値CReal(xu,yv)の近傍9点から標本化されるとするとfi(u,v)は数式(6)のように表わされる。ただし、(xu,yv)は高解像度画像にしたときの座標系におけるfi(u,v)の中心を含む画素の座標を表すものとする。
【0073】
【数5】

【0074】
hfi(k,l)は高解像度画像Crealに対するfiの標本化関数であり,(xu,yv)から(k,l)だけ離れた高解像度画像の画素が低解像度画像の画素(u,v)に対して接している面積割合とした。
【0075】
高解像度画像は、次に述べる処理を反復することで構築できる。その概念図を図16に示す。
【0076】
ステップ1 : 高解像度画像の輝度値の初期値C0(x,y)を設定する。初期値の選択は収束結果には影響しないのでどのような画像でもよいが、本研究では収束の速さの観点から位置合わせのために用いた基準画像を線形補間により細分化した画像を用いた。ここでの、繰り返し回数n=0とする。
【0077】
ステップ2 : Cn(x,y)に対し、Crealに対する測定データfi(u,v)の標本化関数hfi(k,l)を適用することで、低解像度画像Fi(U,V)を作成する。iは観測データ番号を表す。
【0078】
ステップ3: もしCn(x,y)の値が真の高解像度画像の輝度値Creal(x,y)であった場合、ステップ2で生成された低解像度画像Fi(u,v)は実際に測定された低解像度画像fi(u,v)と一致するはずである。そこで、観測誤差Enを数式(6)のように定義して、Enが最小値をとるときに処理を終了するものとする。
【0079】
【数6】

【0080】
ステップ4:En が十分に小さくないとき、Cn(x,y)を修正して、これをCn+1(x,y)とし、ステップ2に戻る。高解像度画像の画素(x,y)が影響を与える低解像度画像の画素を(ux,vy)としその低解像度画像に関する補正量Δei(ux,vy)を数式(7)のように表わす。
【0081】
【数7】

【0082】
このとき、aは適当なスケーリングパラメーターとする。
【0083】
高解像度画像の1画素が影響を与える低解像度画像の画素は最大で4画素あるので個々のΔei(ux,vy)に対する重みをwi(ux,vy)としたとき、それらの重み付き平均を高解像度画像の画素(x,y)に対する総修正量Δei(x,y)とすると、Cn+1(x,y)は数式(8)のように表わされる。
【0084】
【数8】

【0085】
ここで、重み関数wiとして、Crealに対する測定データfi(u,v)の標本化関数hfiを使用することにする。wiの候補として平滑化フィルタ、鮮鋭化フィルタを使用することも提唱されている。このとき、数式(8)を書き直すと、数式(9)のようになる。
【0086】
【数9】

【0087】
CPU32は、上記にて説明した超解像処理を、各領域52の一連の検索領域可視画像を用いて行い、高解像度化された検索領域可視画像を得る。同様に、他の領域54、56、58の一連の検索領域可視画像についても、超解像度処理により、高解像度化された検索領域可視画像を得る。
【0088】
このようにして得た、各領域52、54、56、58の高解像度化された検索領域可視画像を図17に示す。高解像度化により、オリジナルの可視画像では判別が困難であった、領域52のひび割れが明瞭化されている。また、領域54、56、58においても、高解像度化によりひび割れの幅が明瞭化されることになる。
【0089】
CPU32は、このようにして高解像度化された各領域52、54、56、58の可視画像について、ステップS3と同様の手法によりひび割れ特定の処理を行う(ステップS8)。CPU32は、このようにして特定したひび割れを、ディスプレイ30に表示する。
【0090】
さらに、画像中のひび割れ部分につき、その延長方向に垂直な方向として幅を定義し、各ひび割れ中の最も大きな幅(たとえば、図18のα部分)の寸法を、ひび割れ寸法として算出する。

2.第2の実施形態
図19に、第二の実施形態による欠陥検査装置の全体構成図を示す。この実施形態では、第一の実施形態と異なり、可視画像高解像度化処理手段5が設けられていない。可視画像撮像部2は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成するものである。赤外画像撮像部10は、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像するものである。これにより、赤外画像撮像部10は、一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する。
【0091】
赤外画像欠陥部位特定手段12は、当該赤外画像のいずれか1枚(2枚以上を用いてもよい)に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。赤外画像検索領域設定手段14は、赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する。可視画像検索領域設定手段4は、赤外画像に設定された検索領域に対応させて、一連の可視画像に検索領域を設定する。
【0092】
可視画像欠陥部位特定手段6は、一連の可視画像の検索領域に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。可視画像欠陥寸法特定手段8は、一連の可視画像の検索領域に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する。
【0093】
第二の実施形態における欠陥検査プログラムのフローチャートは、図4a、図4bとほぼ同じである。ただし、ステップS7の高解像度化処理が無い点が異なっている。
【0094】
この実施形態では、可視画像高解像度化処理手段5が設けられていないので、第1の実施形態に比べると、欠陥部位の発見は難しい。しかし、赤外画像において欠陥であると特定された部位を含む検索領域を、可視画像に設定するうようにしている。したがって、検索領域には必ず欠陥があることが保障され、可視画像に基づく欠陥の発見が容易である。

3.第3の実施形態
図20に、第三の実施形態による欠陥検査装置の全体構成図を示す。可視画像撮像部2は、撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成するものである。赤外画像撮像部10は、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像するものである。これにより、赤外画像撮像部10は、一連の可視画像に対応する赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する。
【0095】
赤外画像高解像度化処理手段11は、一連の赤外画像に対応する可視画像の位置ずれ情報を用いて、当該赤外画像の高解像度化処理を行う。つまり、第一の実施形態にて説明した位置ずれ量を可視画像に基づいて算出し、画素ずらし法、重みを考慮した画素ずらし法、局所反復演算を用いた方法などの超解像処理を赤外画像に対して行うようにしている。
【0096】
赤外画像欠陥部位特定手段13は、一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する。赤外画像欠陥寸法特定手段15は、一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する。
【0097】
第一の実施形態、第二の実施形態では、欠陥部位の特定や寸法の決定を最終的に可視画像に基づいて行っている。したがって、可視画像に現れない内部にある欠陥などは、寸法判定をすることができない。
【0098】
赤外画像は、温度差に基づく画像であるから、可視画像に現れない欠陥も明瞭にとらえることができる。しかし、赤外画像の画像情報だけでは位置情報が正確に得られず、画像の高解像度化をすることはできない。第三の実施形態では、位置情報の合致した赤外画像と可視画像を用いて、可視画像の位置情報に基づいて、赤外画像を高解像度化するようにしている。したがって、可視画像には現れない欠陥についても、その寸法まで特定することができる。
【0099】
第三の実施形態における欠陥検査プログラムのフローチャートを、図21に示す。ステップS11、S12は、図4aのステップS1、S2と同じである。ステップS13は、上述の高解像度化処理である。ステップS14、S15は、図4bのステップS8、S9に対応する。

4.その他の実施形態
(1)上記各実施形態では、欠陥としてひび割れを対象としている。しかし、ひび割れ以外に、施工時に生じたコンクリート表面や内部の空隙などにも用いることができる。
【0100】
(2)上記各実施形態では、欠陥の寸法決定まで行っている。しかし、欠陥の発見のみを行うようにしてもよい。
【0101】
(3)上記各実施形態では、欠陥の寸法としてひび割れの幅を測定している。しかし、ひび割れの長さなどを計測するようにしてもよい。
【0102】
(4)上記各実施形態では、赤外画像および可視画像の超解像処理に基づいて、ひび割れを特定し寸法を計測している。しかし、赤外画像に明瞭なコントラストがあらわれていれば、赤外画像だけでも位置ずれ量を求めることができ、超解像処理を行うことが可能である。たとえば、ひび割れの周りに、蜘蛛の巣がきれいに張られていたような場合には、蜘蛛の巣の部分の温度差により明瞭なコントラストが得られるため、この情報をもとに位置ずれ量を求めることができるからである。
【0103】
(5)上記各実施形態では、画像処理によりひび割れの特定を行っている。しかしながら、赤外画像に基づく赤外画像検索領域の設定(図4aのステップS4)を次のようにして手動で行うようにしてもよい。CPU32は、ディスプレイ30に赤外画像を表示する。使用者は、マウスやキーボードなど(図示せず)を用いて、赤外画像検索領域を設定する。
【0104】
また、CPU32がステップS8、S9(ステップS14、S15)の処理を行わず、高解像度化された検索領域可視画像をディスプレイ30に表示し、使用者が目視にて欠陥の特定、寸法判定を行うようにしてもよい。
【0105】
(6)上記各実施形態では、ステップS6の可視画像の高解像度化における位置ずれにつき、グレースケール(濃淡画像)に基づいてパラボラフィッティング等による画像の位置ずれ量を算出するようにしている。しかし、RGBのカラー可視画像を用いて、パラボラフィッティング等によって位置ずれ量を求めるようにしてもよい。
【0106】
RGBのそれぞれの画素値をCR、CG、CBとする。さらに基準画像および位置ずれ量を求める画像をそれぞれ添え字の数字0および1で表す。このとき、RGBの3次元残差平方和SSDは以下のように表すことにする。
【0107】
【数10】

【0108】
Wはサブセット領域である。以下、濃淡画像と同様にこのSSDを最小にすればよいことになる。
【0109】
i)空間的な面関数を用いる方法
上記のSSDが0になれば完全マッチングされて、ずれ量はないということになる。SSDの最小値が、ずれ量として算出されることになる。ただし、このSSDを単純に最小化すれば、おのずとずれ量が求まるともいえない。そこで、空間的な面関数を用いて、ずれ量を算出するようにしてもよい。
【0110】
たとえば、基準画像の座標(x,y)と位置ずれ情報を求める画像の座標CR1(x+i,y+i)を比べるとする。(CRO(x,y)−CR1(x+i,y+i))=10、(CGO(x,y)−CG1(x+i,y+i))=0、(CB0(x,y)−CB1(x+i,y+i))=0の時に比べ(CRO(x,y)−CR1(x+i,y+i))=6、(CGO(x,y)−CG1(x+i,y+i))=6、(CBO(x,y)−CB1(x+i,y+i))=6の方が視覚的な色が近いと考えられる(RGBが16ビットの場合)。
【0111】
そこで、(x,θ,z)平面においてR、GおよびBがそれぞれ(x,θ,z)=(1,0,CR)、(1,2π/3,CG)および(1,4π/3,CB)となったものを考える。そのように定義すると図22のような図が描ける。そこで、この3点を通る面Sの関数C(x,θ)を考える。関数C(x,θ)には、3つの変数が存在しており、この3変数を数式10のCR、CG、CBの代わりに使用することでマッチングが可能となる。3変数のうち2つは面Sの傾きを表す係数、もう一つは切片を表すものになるため、ここで、3つの変数のパターンマッチング精度への影響度に応じた重み付けをしてもよい。つまり、カラー情報でパターンマッチングを行う場合どの変数を使えば最も正確なパターンマッチングができるかを検討し、その結果に基づき変数に重み付けをするようにしてもよい。
【0112】
ii)RGBを三角形として考える方法
図23に示すように、RGBの画素値を伸ばして三角形を作る。この三角形と類似したものを検索することで正しい移動量を求める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、
前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、
前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、
前記検索領域における一連の可視画像に基づいて、高解像度化処理を行い、高解像度化された検索領域可視画像を得る可視画像高解像度化手段と、
前記検索領域可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段と、
を備えた欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1に係る欠陥検査装置において、
前記検索領域可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段を、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
コンピュータを欠陥検査装置として機能させるための欠陥検査プログラムであって、
撮像する対象領域を移動させながら撮像された、可視光強度に基づく一連の可視画像と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域が撮像された、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を記録した記録部にアクセスする手段と、
前記一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記一連の赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、
前記検索領域における一連の可視画像に基づいて、高解像度化処理を行い、高解像度化された検索領域可視画像を得る可視画像高解像度化手段と、
前記検索領域可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段と、
をコンピュータによって実現するための欠陥検査プログラム。
【請求項4】
請求項3に係る欠陥検査プログラムにおいて、
前記検索領域可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段を、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査プログラム。
【請求項5】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成し、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成し、
前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定し、
前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定し、
前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定し、
前記検索領域における一連の可視画像に基づいて、高解像度化処理を行い、高解像度化された検索領域可視画像を得て、
前記検索領域可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項6】
請求項5に係る欠陥検査方法において、
前記検索領域可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定することを、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、
前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、
前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、
前記一連の可視画像の検索領域を用い、当該一連の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における可視画像の高解像度化処理を行う可視画像高解像度化処理手段と、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段と、
を備えた欠陥検査装置。
【請求項8】
請求項7に係る欠陥検査装置において、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段を、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
コンピュータを欠陥検査装置として機能させるための欠陥検査プログラムであって、
撮像する対象領域を移動させながら撮像された、可視光強度に基づく一連の可視画像と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域が撮像された、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を記録した記録部にアクセスする手段と、
前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、
前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定する可視画像検索領域設定手段と、
前記一連の可視画像の検索領域を用い、当該一連の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における可視画像の高解像度化処理を行う可視画像高解像度化処理手段と、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する可視画像欠陥部位特定手段と、
をコンピュータによって実現するための欠陥検査プログラム。
【請求項10】
請求項9の欠陥検査プログラムにおいて、さらに、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する可視画像欠陥寸法特定手段を、
コンピュータによって実現するための欠陥検査プログラム。
【請求項11】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成し、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成し、
前記赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定し、
前記赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定し、
前記赤外画像に設定された検索領域に対応させて、前記一連の可視画像に検索領域を設定し、
前記一連の可視画像の検索領域を用い、当該一連の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における可視画像の高解像度化処理を行い、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する処理
を備えた欠陥検査方法。
【請求項12】
請求項11の欠陥検査方法において、
前記高解像度化された検索領域における一連の可視画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定することを
さらに備えることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項13】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、
前記一連の赤外画像を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の位置ずれ情報に基づいて、当該赤外画像の高解像度化処理を行う赤外画像高解像度処理手段と、
前記高解像度化された一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段、
を備えた欠陥検査装置。
【請求項14】
請求項13に係る欠陥検査装置において、
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する赤外画像欠陥寸法特定手段を、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項15】
コンピュータを欠陥検査装置として機能させるための欠陥検査プログラムであって、
撮像する対象領域を移動させながら撮像された、可視光強度に基づく一連の可視画像と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域が撮像された、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を記録した記録部にアクセスする手段と、
前記一連の赤外画像を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の位置ずれ情報に基づいて、当該赤外画像の高解像度化処理を行う赤外画像高解像度化処理手段と、
前記高解像度化された一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
をコンピュータによって実現するための欠陥検査プログラム。
【請求項16】
請求項15に係る欠陥検査プログラムにおいて、さらに
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する赤外画像欠陥寸法特定手段を、
コンピュータによって実現することを特徴とする欠陥検査プログラム。
【請求項17】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成し、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成し、
前記一連の赤外画像を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の位置ずれ情報に基づいて、当該赤外画像の高解像度化処理を行い、
前記高解像度化された一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する、
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項18】
請求項17に係る欠陥検査方法において、
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定することを、
さらに備えたことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項19】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成する可視画像撮像部と、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成する赤外画像撮像部と、
前記一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記一連の赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、
前記一連の赤外画像に設定された検索領域を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における赤外画像の高解像度処理を行う赤外画像高解像度処理手段と、
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する赤外画像欠陥寸法特定手段を、
を備えた欠陥検査装置。
【請求項20】
コンピュータを欠陥検査装置として機能させるための欠陥検査プログラムであって、
撮像する対象領域を移動させながら撮像された、可視光強度に基づく一連の可視画像と、前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域が撮像された、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を記録した記録部にアクセスする手段と、
前記一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定する赤外画像欠陥部位特定手段と、
前記一連の赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定する赤外画像検索領域設定手段と、
前記一連の赤外画像に設定された検索領域を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における赤外画像の高解像度化処理を行う赤外画像高解像化度処理手段と、
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する赤外画像欠陥寸法特定手段、
をコンピュータによって実現するための欠陥検査プログラム。
【請求項21】
撮像する対象領域を移動させながら撮像し、可視光強度に基づく一連の可視画像を生成し、
前記可視画像撮像部が撮像する前記対象領域と実質的に同じ対象領域を撮像し、前記一連の可視画像に対応する、赤外光強度に基づく一連の赤外画像を生成し、
前記一連の赤外画像に基づいて、画像の濃度差によってパターン解析を行い、欠陥部位を特定し、
前記一連の赤外画像において、前記欠陥部位を含む検索領域を設定し、
前記一連の赤外画像に設定された検索領域を用い、当該一連の赤外画像に対応する可視画像の検索領域の位置ずれ情報に基づいて、当該検索領域における赤外画像の高解像度化処理を行い、
前記高解像度化された検索領域における一連の赤外画像に基づいて、前記欠陥部位の寸法を特定する、
ことを特徴とする欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−216829(P2010−216829A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60786(P2009−60786)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000130374)株式会社コンステック (8)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】