説明

歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置

【課題】各カラオケ楽曲において、利用者が歌入着信メロディとして所望する歌唱部分について、これを容易かつ効率的に自由に指定でき、これにより利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできると共に、客観的に最も上手く歌えた部分の歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給できるカラオケ演奏装置の提供。
【解決手段】利用者が好きなカラオケ楽曲において、歌入着信メロディとして所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間を、利用者が歌唱中などに自由に指定できる機構を設けると共に、歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に採点を行い、それらの採点結果の内、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ楽曲の伴奏音楽に合わせて歌った利用者の歌唱音声を録音し、当該歌唱録音データを部分的に抽出し、これを携帯電話の歌入着信メロディとして供給できるカラオケ演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老若男女を問わず、携帯電話への需要が非常に高まり、幅広い人々の間で利用されている。そして、この携帯電話の着信通知手段として、現在では、着信メロディ(通称「着メロ」)が爆発的に普及している。この着信メロディは利用者の嗜好や個性を反映できる手段として愛用され、今では様々な種類のものがあるが、通常は、インターネットのモバイル専用サイトなどから提供されている。
【0003】
ところで、近頃は特に若年層を中心として、携帯電話に様々なシールなどの飾り付けを施したり、ユニークなストラップを付けたりして自らの個性表現を求める人達が増加している。この点、着信メロディはバラエティーに富み、個性表現の代表的なものとなっている。しかしながら、通常、着信メロディは演奏される部分が予め決まっており、同一楽曲では同じフレーズが演奏される。同じフレーズが演奏されるということは、同一楽曲での個性表現について不都合であるばかりでなく、この場合では、同一場所で同一の演奏が他の携帯電話で行われた際には自他を混同してしまう。
【0004】
そこで、従来、カラオケ演奏装置を用いて利用者の嗜好に合った好みのカラオケ楽曲のフレーズを任意に携帯電話の着信メロディとして採用できる技術が想到された。例えば、特許文献1では、カラオケ楽曲をダウンロードして再生でき、この中のサビ部分のフレーズを着信メロディとして設定できる技術が開示されている。また、特許文献2では、特定の楽曲の中で利用者が入力したい歌唱部分を選択し、当該歌唱部分のメロディを着信メロディとして入力可能な音符に変換できる楽譜データ変換装置(カラオケシステムへの組込み可能)が開示されている。
【特許文献1】特開2000−267652号公報
【特許文献2】特開2002−169568号公報
【0005】
このように、現在では、カラオケ演奏装置を利用して、自分好みの着信メロディをアレンジできるようにする技術が確立されている。ところで、最近、この着信メロディと並行して歌入着信メロディ(通称「着歌」)が普及しつつある。歌入着信メロディは、実際に歌手が歌っている楽曲の一部のフレーズを取り出し、これを着信通知手段として利用するもので、好きな楽曲の歌唱入りの音楽を聴けるという意味では着信メロディよりもインパクトが強いため、今後、着信メロディと同様に定着し、普及する可能性は大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、好きな楽曲を歌いたいという願望、特に、好きな楽曲のイントロ部やサビ部分などのフレーズを歌いたいという願望は自然と人の心の中にある。そして、究極の個性表現や自他混同の防止という観点からも、携帯電話の利用者本人が歌唱して作成した歌入着信メロディを利用するのが好ましく、潜在的な需要が大いにある。具体的には、好きな楽曲を利用者自らが歌唱することで、例え、同一楽曲で同じフレーズが演奏されても、歌唱音声が異なるため、個性表現や自他混同の防止という観点では着信メロディよりも好適である。しかしながら、従来では、各カラオケ楽曲に歌入着信メロディとして所望する歌唱部分を利用者が自由に指定し、その歌唱部分を利用者が上手く歌えたかどうかを客観的に判断し、これを歌入着信メロディとして効率良く供給できるようなシステムは想到されていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記不都合の解決を課題とし、具体的には、各カラオケ楽曲において、利用者が歌入着信メロディとして所望する歌唱部分について、これを容易かつ効率的に自由に指定でき、これにより利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジできると共に、客観的に最も上手く歌えた部分の歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給できるカラオケ演奏装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を鑑み、本発明者らは、利用者が好きなカラオケ楽曲において、歌入着信メロディとして所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間を、利用者が歌唱中などに自由に指定できる機構を設けると共に、歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に採点を行い、それらの採点結果の内、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送可能に制御することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置を想到した。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1記載のカラオケ演奏装置は、利用者による任意のカラオケ楽曲の歌唱音声に対する採点機能および録音機能を有し、当該歌唱録音データから携帯電話の歌入着信メロディを供給できるカラオケ演奏装置であって、
(ア)利用者が歌唱するカラオケ楽曲において、歌入着信メロディとして利用者が所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間を指定可能に制御する区間指定制御手段と、
(イ)前記指定された歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音する歌唱録音手段と、
(ウ)前記指定された歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に歌唱力の採点を行う歌唱力採点手段と、
(エ)前記各歌入着信メロディ対象歌唱区間の採点結果の内、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録する抽出記録手段と、
(オ)前記所定の記録部に記録された歌唱録音データを、適宜、所定の携帯電話に転送可能に制御する転送制御手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2記載のカラオケ演奏装置は、請求項1記載のカラオケ演奏装置において、
前記最高採点値を示した前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御する試聴制御手段を、さらに具備してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載のカラオケ演奏装置によれば、利用者が歌入着信メロディとして所望する歌唱部分について、これを利用者が容易かつ効率的に指定できることから、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジでき、また、その歌唱部分である歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に採点を行い、それらの採点結果の内、最高採点値を示した区間の歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにしたことから、利用者が最も上手く歌えた対象歌唱区間が客観的に判断できると共に、その歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給できるなどといった効果を奏する。
【0012】
また、本発明の請求項2記載のカラオケ演奏装置によれば、請求項1記載のカラオケ演奏装置において、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御することから、利用者が最も上手く歌えた対象歌唱区間の客観的な判断と共に、試聴による利用者自身の主観的な判断を加えることができ、これにより最終的に歌入着信メロディとして採用するか否かが決定できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置についての最適な実施例を挙げるが、先ず、請求項1記載の(ア)から(オ)の構成について詳述する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施例であるカラオケ演奏装置のブロック構成図である。本実施例におけるカラオケ演奏装置(1)は、装置全体の動作を制御する中央制御手段(2)と、これに接続された各種機器で構成される。具体的には、中央制御手段(2)には、RAM(3)、ハードディスク(4)、音源(8)、ミキサ(9)、ボーカルアダプタ(13)、MPEGデコーダ(14)、合成回路(15)、リモコン装置(6)、利用者IDが付されたICカード読み取り/書き込み装置(33)などが接続されている。また、ハードディスク(4)には、カラオケ楽曲を演奏するための楽曲データ(30)やディスプレイ装置(7)に背景映像を表示するための背景映像データ(31)などを記録している。
【0015】
ここで、各機能手段について少々説明する。先ず、音源(8)は、中央制御手段(2)が実行する楽曲シーケンサ(19)の処理によって入力された楽曲データに応じて楽音信号を形成する。形成された楽音信号はミキサ(9)に入力され、このミキサ(9)は、音源(8)が発生した複数の楽音信号やカラオケマイク(5)と、A/Dコンバータ(12)を介して入力された利用者の歌唱音声信号を適当なバランスでミキシングする。ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(10)に入力される。このサウンドシステム(10)はパワーアンプを備え、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ(11)から伴奏楽音と歌唱音声を放音する。
【0016】
また、A/Dコンバータ(12)によってデジタル信号に変換された歌唱音声信号は、ボーカルアダプタ(13)にも入力される。このボーカルアダプタ(13)は、入力された歌唱音声信号から歌唱周波数を採取すると共に、中央制御手段(2)の楽曲シーケンサ(19)から入力されたリファレンスの周波数を採取する。そして、この歌唱周波数とリファレンス周波数を同期させ、所定時間毎に区切って中央制御手段(2)に入力し、歌唱力採点手段(23)による採点処理を行う。
【0017】
なお、リファレンスとしては、通常、楽曲に含まれるガイドメロディデータが用いられる。ハードディスク(4)には採点テーブル(図示省略)が記録されており、この採点テーブルによる採点は、基本的には歌唱の周波数(音程・ピッチ)について行われ、基本点数を算出すると共に、ビブラートの程度、抑揚の程度、音質の良否、タイミングの良否、しゃくりの回数などに基づきボーナスポイントを算出して基本点数に加算(減算)する。さらに、RAM(3)には各種プログラムや楽曲データを読み出すエリア(図示省略)の他、採点時に採点結果を記録する採点結果データエリア(28)などが設定されている。
【0018】
ハードディスク(4)に記録されている背景映像データ(31)はMPEG(Moving Picture Experts Group)形式にエンコードされており、中央制御手段(2)の背景映像再生手段(図示省略)により再生処理を行い、これを読み出してMPEGデコーダ(14)に入力する。このMPEGデコーダ(14)は、入力されたMPEGデータをNTSC(National Television System Committee)の映像信号に変換して合成回路(15)に入力し、この合成回路(15)は、この背景映像の映像信号上に歌詞テロップや採点表示などのOSDを合成し、合成された映像信号をディスプレイ装置(7)に表示する。
【0019】
リモコン装置(6)には、液晶ディスプレイ(通称「LCD」)が設けられ、このLCD(Liquid Crystal Display)にはタッチセンサ方式の操作パネルが装着されてGUI(Graphical User Interface)環境を提供している。さらに、楽曲コードを予約登録するために使用する発光ダイオードからなる赤外線転送部が設けられ、通常は、充電器とデータの同期処理器を兼用した充電ステーション(通称「クレードル」)に着脱可能に装着接続している。一方、本体側のリモコンインタフェイス(図示省略)は、リモコン装置(6)から送られてくる赤外線信号を受信して、その楽曲コード信号を復元して中央制御手段(2)に入力する。例えば、リモコン装置(6)から楽曲コードが入力される度に、中央制御手段(2)は、この楽曲コードをカラオケ楽曲のリクエストであるとしてシーケンサ(18)に伝達し、シーケンサ(18)は、これに応じ、当該楽曲コードで識別される楽曲データをハードディスク(4)の楽曲データ記録エリア(29)から読み出す。
【0020】
また、このシーケンサ(18)は主に楽曲シーケンサ(19)および歌詞シーケンサ(20)からなっており、楽曲シーケンサ(19)は楽曲データ中の演奏データトラック、ガイドメロディトラックなどのトラックデータを読み出し、このデータで音源(8)を制御して所定のカラオケ楽曲の演奏を行い、一方、歌詞シーケンサ(20)は文字パターン作成手段(21)を備え、楽曲データ中の歌詞トラックのデータを読み出し、このデータに基づいて歌詞テロップの画像パターンを作成し、これを合成回路(15)に出力する。
【0021】
歌唱録音手段(16)は、楽曲データに応じた伴奏楽音信号とミキサ(9)から受け取ったカラオケマイク(5)に入力された歌唱音声との混合信号を入力し、この混合信号をサンプリングしてPCMデータへの変換処理を行う。このPCMデータは、歌唱録音データ(29)とされ、歌唱されたカラオケ楽曲の楽曲コード(26)と、歌入着信メロディ対象区間コード(27)と、歌唱力採点手段(23)にて採点された採点結果データ(28)と共に、一旦、RAM(3)に記録された後、これらのデータは、速やかに、ハードディスク(4)に設けられた区間別採点管理テーブル(T)に記録される。この時、抽出記録手段(24)により、当該区間別採点管理テーブル(T)に基づき、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出され、抽出歌唱録音データ記録エリア(32)に記録される。
【0022】
転送制御手段(25)は、この抽出歌唱録音データ記録エリア(32)に記録された歌唱録音データを、所定の携帯電話に転送可能とするように制御する。上述したように、RAM(3)に、一旦、記録される歌唱録音データ(29)は、通常、PCMデータであるが、ハードディスク(4)の抽出歌唱録音データ(32)は、一般的な携帯電話における歌入着歌メロディの保存データ形式に合わせ、MP3(MPEG Audio Layer 3)形式に変換して記録される。そして、本実施例では、転送制御手段(25)は、このMP3データを所定の携帯電話(M)に対し、近距離無線通信手段であるブルートゥース(blue tooth)機構のアドホック接続を利用し、カラオケ演奏装置(1)をマスタとし、一方、携帯電話(M)をスレイブとなるようにピコネットを形成して転送させるものであるが、本発明はこれに限らず、例えば、IrDA(InfraRed Data Association)方式の無線LAN機構などを利用しても構わない。
【0023】
以下、図2に示す、歌入着信メロディの供給手順を示す表示画面の変遷図と、図3に示す、歌入着信メロディ対象歌唱区間の指定手順を示す表示画面の変遷図に基づき、本発明の請求項1記載の(ア)から(オ)の構成、および請求項2記載の構成について、さらに詳述する。
【0024】
図2のD1からD8は、それぞれ本発明のカラオケ演奏装置が付帯するリモコン装置のLCD表示画面である。なお、これら画面表示は、このLCDと共に、図1におけるディスプレイ装置(7)に表示しても構わない。なお、ディスプレイ装置にはGUI環境が設定されていないので、GUI環境が備えられたリモコン装置が利用できない場合は、カラオケ演奏装置が付帯する操作パネルやキーボードを利用する。
【0025】
利用者は、先ず、自らの歌入着信メロディを作成し、その供給を受けるサービスを選択するためのインタフェイス画面(図示省略)からD1を表出させる。このD1には、「My着歌エントリー」アイコン(41)が設置され、利用者がこのアイコン(41)を選択すると歌入着信メロディ供給機能システムが起動してD2が表出する。このD2には、本コンテンツが有料であることから課金処理を行うため、その支払い方法が設定されている。本実施例では、支払い方法は二つ指定され、一つは、個人ID認証と共に金銭の授受ができる前払式電子マネー用ICカードを利用する方法で、もう一つは現金を利用する方法である。具体的には、「ICカード」アイコン(42)ないし「キャッシュ」アイコン(43)を選択して支払いを行い、カラオケ演奏装置付帯のICカード読み取り/書き込み装置ないしキャッシュ欄(図示省略)にて審査料が引き落とされる。なお、前払式電子マネー用ICカードを利用する場合には、当該ICカードには課金情報と共にエントリー情報に関するデータも記録され、利用者毎の歌入着信メロディの作成履歴を、このカラオケ演奏装置とネットワーク接続されたカラオケホスト装置内に記録することもできる。
【0026】
料金の支払いを確認するとD3が表出する。このD3には、利用者が所望する楽曲の楽曲コードを指定するための「楽曲コード入力」欄(44)が設置され、利用者は該当コードを入力してから「確定」アイコン(45)を選択するとD4が表出する。このD4には、楽曲演奏と共に歌唱録音する旨と、利用者による録音したい歌唱部分の指定、すなわち、利用者が所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間の指定を促すメッセージが表示され、所定時間経過後、演奏が開始される。
【0027】
ここで、図3に基づき、歌入着信メロディ対象歌唱区間の指定手順について説明する。演奏が開始されると、前奏中ないし間奏中(S1)で歌詞文字表示のないD4aに続き、歌詞文字列が表示(S2)されるD4bが現れるが、利用者は、D4cに示すように、所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間の開示歌詞文字(Ms)を、その歌詞文字の色変わり直前のタイミングで指示ボタンや指示アイコンといった所定の指定トリガ(区間指定インタフェイス)を押圧することで指定を行う(S3)。これに続き、D4dに示すように、歌入着信メロディ対象歌唱区間の終了歌詞文字(Me)を、その歌詞文字の色変わった直後のタイミングで、開始歌詞文字の指定方法と同様、所定の指定トリガを押圧することで指定を行う(S4)。こうして、歌入着信メロディ対象歌唱区間が指定されるが、このような操作を複数繰り返せば、利用者が所望する区間を複数指定することができる。
【0028】
なお、上記指定トリガ(区間指定インタフェイス)については、図6の区間指定制御手段の区間指定インタフェイスを組み込んだカラオケマイクおよびリモコン装置の概略図に示すように構成するのがよい。先ず、図6の(イ)は、本発明のカラオケ演奏装置が付帯するカラオケマイクである。このマイク(5)には、利用者の歌唱中などに歌入着信メロディ対象歌唱区間を指定できるようにするため、利用者がマイクを握った状態で自然に指が触れる位置に押圧式の指示ボタン(5a)を設けている。この指示ボタン(5a)を区間指定インタフェイスとし、利用者が所望するタイミングでの押圧により、図1における区間指定制御手段(22)をもって、上述した指定手順により歌入着信メロディ対象歌唱区間が指定される。
【0029】
次に、図6の(ロ)は、本発明のカラオケ演奏装置が付帯するリモコン装置である。このリモコン装置(6)には、表示手段としてはLCD(6b)が設けられ、このLCD(6b)にはタッチセンサ方式でGUI環境を提供する操作パネル(6c)が装着されている。そして、所定の利用者が歌唱中などに、他の利用者がその歌唱を歌入着信メロディとして所望する場合、その歌入着信メロディ対象歌唱区間を指定できるようにするため、所定のモードにて操作パネル(6c)に指示アイコン(6a)が表示されるように設定されている。この指示アイコン(6a)を区間指定インタフェイスとし、所望するタイミングでの押圧により、図1における区間指定制御手段(22)をもって、上記(イ)と同様、歌入着信メロディ対象歌唱区間が指定される。
【0030】
演奏が終了すると、図2に示すように、自動的にD5が表出する。このD5には、利用者が最も上手く歌えた対象歌唱区間の最高採点値と、その歌唱部分を試聴できる旨を含めたメッセージが表示されると共に、「試聴」アイコン(46)を選択すると、図1における試聴制御手段(17)は、当該部分の歌唱録音データを再生演奏するように制御する。試聴の最中にはD6が表出されるが、このD6には「採用」アイコン(47)が設置され、試聴により利用者自身の主観的な判断で最終的に歌入着信メロディとして採用するか否かが決定でき、この「採用」アイコン(47)を選択すれば、携帯電話への書き込みインタフェイス表示画面であるD7が表出する。なお、D5において、試聴しない場合には、その「採用」アイコン(47)を選択すればD6は表出されずにD7が表出する。
【0031】
次に、D7の表示段階では、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出されて所定の記録部に記録された状態にあり、このD7には、利用者自らの歌入着信メロディが作成された旨と、利用者の携帯電話からのアクセス要請のメッセージが表示される。そして、利用者が「書込み開始」アイコン(48)を選択し、その携帯電話からアクセスすると、歌入着信メロディ用の歌唱音声データが転送される。なお、本実施例では、ブルートゥース機構(ピコネット)を採用しているため、カラオケ演奏装置と携帯電話間では、先ず、チャレンジ・レスポンス方式にて認証が行われ、認証後、データ転送が行われる。そして、データ転送が終了するとD8が表出し、このD8には、サービスの終了を示すメッセージが表示される。
【0032】
以下、図4に示す、歌唱音声の採点機能ブロック構成図と、図5に示す、歌入着信メロディ抽出記録用の区間別採点管理テーブルの概念図に基づき、本発明の請求項1記載の(ウ)と(エ)の構成について、さらに詳述する。
【0033】
先ず、上記図1において、歌唱力採点手段(23)は、マイクロプログラムに基づくデジタル処理で音声信号を処理するが、図4は、その機能をブロック化している。この歌唱力採点手段(23)は、カラオケ演奏時に楽曲データから読み出されるガイドメロディデータをリファレンス(53)として入力するが、このガイドメロディデータは主にMIDIデータであり、中央制御手段(2)は、このMIDIデータを周波数データおよび音量データに変換して歌唱力採点手段(23)に入力させる。また、図1において、カラオケマイク(5)から入力された歌唱音声信号はA/Dコンバータ(12)によってデジタル波形データに変換され、抽出部(51)にて、所定の採点要素の波形データから歌唱周波数データと歌唱音量データを抽出する。この抽出された各種データを比較部(52)に入力し、ガイドメロディのリファレンス(53)の周波数データと音量データとを比較し、その差分データを割り出す。また、歌唱音量データとガイドメロディ音量データからは歌唱発音時のタイミングの差分に基づいてリズム差分データを割り出し、この差分データは中央制御手段(2)により処理される。中央制御手段(2)はこの差分データも蓄積記憶し、平均値や標準偏差などを算出する。
【0034】
歌唱力採点手段(23)は、歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に歌唱力の採点を行い、抽出記録手段(25)は、それらの採点結果の内、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録するが、これら一連の処理は、図5における区間別採点管理テーブル(T)に基づくものである。当該管理テーブル(T)の構成は、利用者が歌唱したカラオケ楽曲を特定する「楽曲コード」フィールド(f1)と、この楽曲コードに紐付けされ、上記開示歌詞文字を演奏経過の相対時間で表す色替えタイミングデータにて特定するための「開始歌詞文字」フィールド(f3)、これと同様に、上記終了歌詞文字を特定するための「終了歌詞文字」フィールド(f4)、これら歌詞文字により指定された歌入着信メロディ対象歌唱区間を特定するための「歌唱区間コード」フィールド(f2)、当該歌唱区間毎の採点結果を示す「採点値」フィールド(f5)、その採点値に基づいて付された順位を示す「順位」フィールド(f6)、当該順位にて1位、すなわち最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出するためのフラグを示す「抽出フラグ」フィールド(f7)などを主体としている。
【0035】
通常、採点は楽曲の演奏過程において小節やフレーズなど所定の音符領域を1つの採点対象領域とされるが、本実施例ではイントロ部分やサビ部分を中心として8つの歌入着信メロディ対象歌唱区間が指定され、各歌唱区間は複数の小節から構成されているため、それぞれの小節毎に採点が集計される。そして、その平均値が区間毎の採点値として採用され、各採点平均値が全て揃ったタイミングにて、この採点平均値が互いに比較され、各採点平均値が何番目の順位に相当するかが算出される。
【0036】
以上、詳述したように、本発明の歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置によれば、利用者が歌入着信メロディとして所望する歌唱部分について、これを利用者が容易かつ効率的に指定できることから、利用者が自分好みの楽曲の歌入着信メロディを独自にアレンジでき、また、その歌唱部分である歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に採点を行い、それらの採点結果の内、最高採点値を示した区間の歌唱録音データを抽出し、これを携帯電話に転送制御できるようにしたことから、利用者が最も上手く歌えた対象歌唱区間が客観的に判断できると共に、その歌唱録音データを歌入着信メロディとして効率良く供給できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例であるカラオケ演奏装置のブロック構成図。
【図2】歌入着信メロディの供給手順を示す表示画面の変遷図。
【図3】歌入着信メロディ対象歌唱区間の指定手順を示す表示画面の変遷図。
【図4】歌唱音声の採点機能ブロック構成図。
【図5】歌入着信メロディ抽出記録用の区間別採点管理テーブルの概念図。
【図6】区間指定インタフェイスを組み込んだカラオケマイクおよびリモコン装置の概略図。
【符号の説明】
【0038】
1 歌入着信メロディ供給機能を有するカラオケ演奏装置
2 中央制御手段
3 RAM
4 ハードディスク
5 カラオケマイク
6 リモコン装置
16 歌唱録音手段
17 試聴制御手段
22 区間指定制御手段
23 歌唱力採点手段
24 抽出記録手段
25 転送制御手段
27 着歌対象歌唱区間コード
28 採点結果データ
29 歌唱録音データ
32 抽出歌唱録音データ
T 区間別採点管理テーブル
M 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による任意のカラオケ楽曲の歌唱音声に対する採点機能および録音機能を有し、当該歌唱録音データから携帯電話の歌入着信メロディを供給できるカラオケ演奏装置であって、
(ア)利用者が歌唱するカラオケ楽曲において、歌入着信メロディとして利用者が所望する歌入着信メロディ対象歌唱区間を指定可能に制御する区間指定制御手段と、
(イ)前記指定された歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱音声を当該楽曲の伴奏音楽と共に録音する歌唱録音手段と、
(ウ)前記指定された歌入着信メロディ対象歌唱区間毎に歌唱力の採点を行う歌唱力採点手段と、
(エ)前記各歌入着信メロディ対象歌唱区間の採点結果の内、最高採点値を示した歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データを抽出して所定の記録部に記録する抽出記録手段と、
(オ)前記所定の記録部に記録された歌唱録音データを、適宜、所定の携帯電話に転送可能に制御する転送制御手段と、
を具備してなるカラオケ演奏装置。
【請求項2】
前記最高採点値を示した前記歌入着信メロディ対象歌唱区間の歌唱録音データが抽出され記録された後、当該歌唱録音データを試聴可能に制御する試聴制御手段を、さらに具備してなる請求項1記載のカラオケ演奏装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−17758(P2006−17758A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192434(P2004−192434)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】