止水ブロック、及び該止水ブロックを備えた建具
【課題】縦枠と下枠との接合隅部分の止水を確実に行う。
【解決手段】下枠と左右縦枠とを方形に枠組みして形成した例えば浴室の開口枠において使用される止水ブロック50であって、前記下枠20と前記左右の縦枠10との接合隅部に配置され、前記下枠20に設けた下枠止水材40に当接すると共に、前記下枠止水材40の端部に当接して外力により下枠止水材40の端部が倒れ込んだり、ずれたり外れたりしないようにこれを支え、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する。
【解決手段】下枠と左右縦枠とを方形に枠組みして形成した例えば浴室の開口枠において使用される止水ブロック50であって、前記下枠20と前記左右の縦枠10との接合隅部に配置され、前記下枠20に設けた下枠止水材40に当接すると共に、前記下枠止水材40の端部に当接して外力により下枠止水材40の端部が倒れ込んだり、ずれたり外れたりしないようにこれを支え、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を通して隣接する室内への水漏れするのを防止するための止水ブロック、及び該止水ブロックを装着した建具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭内における日常生活上の安全確保のため、室内のいわゆるバリアフリー化が進められている。
この安全設計思想は、例えば、ユニットバスや通常の家庭用浴室等にも取り入れられてきているが、例えば、浴室とこれに隣接する更衣室などをバリアフリー化すると、両室間には段差がないため、浴室のドアを閉じかつドアの四周をドア開口枠に装着した止水材で封止しても、例えば成人が満水の浴槽に勢いよく入るなどして、浴槽から水を勢いよく溢れさせると、水は止水材の僅かな隙間から更衣室側に流出する。
【0003】
そのため、従来から、例えば、浴室と更衣室との間の床にタイト材を配置し、このタイト材を閉じたドア框の室外側面に当接させて浴室ドアのドア下端面と床との間を止水し、かつ縦枠の見付け側に止水材取付片を設け、止水材取付片にタイト材即ち止水材を装着して、両止水材同士が互いに当接するように配置し、ドアを閉めた状態において、ドアの四周を止水材で塞いで浴室側から更衣室側に水漏れが発生しないようにしている。
しかし、縦枠と下枠との接合隅部では、縦枠の止水材と下枠の止水材とは夫々接合しているだけで一体化しているわけではないから、両者の僅かな隙間から水が漏れ易く、従って、この部分の止水が難いという問題がある。そのため、この部分の止水対策として、前記両止水材に加えて前記接合下隅部に補助タイト材を用いたものが知られている(特許文献1参照)。
即ち、図10に示すように、縦枠113と下枠111との突き当て部つまり下隅部で、止水ピース117に取付けた補助タイト材116を縦枠113の下端部に取り付け、これを床面に取付けた床タイト材112の縦枠側端部の側面に当接させて、前記隅部からの水の漏洩を防止している。
【0004】
この従来の止水材構造では、下枠止水材と縦枠止水材との突き当て部分を良好に止水材することができる。しかし、下枠止水材装着溝の縦枠側端部と縦枠止水材取付片の下枠側下端部との間の呑込み部分では、僅かな隙間を通して毛細管現象により排水が回り込み、且つ水圧(またはエアー圧)が加わることでこの部分から漏水することがある。
【0005】
そこで、図11に示すように、下枠止水材を装着する溝の縦枠側端部と縦枠止水材取付片の下枠側下端部との間の呑込み部分を確実に止水するため、下枠の縦枠側外端部203と縦枠の下枠側下端部205との間に、装着時に下枠溝内に位置する止水材部と、下枠232の上面を越えて延在するつまり、下枠232から上方に出た溝外止水材部215とを有する止水材ピース211を介在させて、両者を接続し、更に、このようにして取り付けられた前記溝外止水材部215を、別途形成した止水材押さえ221で下枠側下端部205に押圧することで、前記呑み込み部に隙間が生じないようにして、その部分を確実に止水するものも知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−147137号公報
【特許文献2】特開2005−200975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、床又は下枠止水材(総称して単に下枠止水材という)は、いずれも床又は下枠(総称して単に下枠という)に設けた嵌合溝に装着されており、容易には外れない構造になっている。しかしながら、下枠止水材の両端面、即ち、補助止水材又は縦枠との接触面は単に止水材を突き当てているだけであるため、下枠止水材に外力が加わるとその可撓性により容易に倒れ込む。このように倒れ込むか又は例えば清掃時などに下枠止水材の端部を不用意に引っ張るなどすると縦枠の接触面と下枠止水材端面との間に隙間ができ(極端な場合には外れることもあり得る)、漏水の原因となる可能性がある。
【0007】
下枠止水材が倒れ込んだり、ずれたり外れたりすると、突き当てた相手側側面との間に隙間ができ、浴室から溢れた水がその隙間から室外側、例えば、更衣室側に流出するという問題が生じる。
そこで、本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、とくに止水し難い例えば浴室などのドア開口縦枠と下枠間の接合部での下枠止水材の倒れ込みや取付溝からのずれ又は離脱を防止して、ドアを閉じたときの止水を確実にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に配置され、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止することを特徴とする。
請求項6の発明は建具であって、上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する止水ブロックを配置したことを特徴とする。
【0009】
(作用)
下枠の取付溝に取り付けた止水材の両端部に本発明に係る止水ブロックを配置する。止水ブロックは例えばネジ等の適当な固定手段で下枠または縦枠に取り付ける。ここで、止水ブロックは、開口の室外側において前記下枠止水材の端部の側面に当接して取り付ける場合は、外力により下枠止水材が室外側に押されると、止水ブロックが不動となるよう下枠止水材を室外側から支持する。また、逆方向の外力を受けたときは、止水ブロックの支持ピンで同様に下枠止水材を不動状態に支持して倒れ込み等を防止する。更に、止水ブロックの支持腕を下枠止水材の端部に挿入して室内側に配置した場合は、下枠止水材に室内又は室外向きの何れの外力が作用しても、その支持腕で該下枠止水材の端部を不動状態に支持してその倒れ込み等を防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下枠止水材の両端部で外力による倒れ込みや、取付がずれたり外れたりするのを防止するから、従来のように下枠止水材の両端側で漏水することがない。
また、止水ブロックの裏面で下枠止水材の縦枠側端部側面を支持するものでは、止水ブロックと下枠止水材とが密接に接合する結果、下枠止水材端部側の止水がより確実に行われるだけではなく、既存の止水材付きの下枠にも容易に適用できる。
また、止水ブロックの支持腕で下枠止水材の端部を不動状態に支持するものでは、下枠止水材内に支持腕を単に挿入するだけで下枠止水材と止水材との結合ができるだけではなく、その上面を水の案内面に形成することで、縦枠を伝って降下する水滴をスムースに室内側下枠又は床面に導くことができ、縦枠と横枠の結合部における止水を確実に行うことができる。また、清掃も容易である。
なお、本願発明において、不動状態に支持するとは、下枠止水材の端部が外力を受けたとき、下枠止水材端部と当接する縦枠や止水ブロックなどの他の部材との間に、漏水が生じる隙間ができないようにその移動を制限することをいい、必ずしも完全に動かないようにすることを意味するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る止水ブロックを開口枠の1例である浴室ドア枠に適用したものを例に採って説明する。
図1は、ユニットバスで構成した浴室と脱衣室との間の開口部のドア枠とドアとを全体的に示す正面図である。
浴室ドア枠は、それぞれアルミニウムの形材等で形成して両縦枠10、上枠20’及び下枠20をそれぞれ方形に枠組みして形成され、ドア枠内には周知の浴室ドア70が揺動自在に支持されている。また、この浴室ドア枠は、バリアフリーとなるよう、同一高さつまり段差のない浴室と更衣室床間に取り付けられる。
なお、図示の例では、一方の縦枠側にヒンジ止めされて開閉する一枚のドア70が示されているが、ドア70はこれに限ることはなく二枚以上の折り戸で構成してもよい。
【0012】
図2は、前記開口枠の縦枠10と下枠20との接合隅部の分解斜視図である。
図示のように、中空縦枠10には室外側に延在する見切り片11と、開口内方に延在する止水材取付片12が一体に形成されている。縦枠の止水材取付片12には、図示しない止水材が取り付けられ、この止水材は浴室のドアが閉じたときに、そのドアの縦框と当接してドア縦框と縦枠10間を封止する。
【0013】
下枠20には、その幅方向略中央部に下枠止水材取付溝21が一体に形成されており、この下枠止水材取付溝21は、その溝21に沿ってその両側上端から2条の突条21a、21bが溝内に突出しており、この実施形態では、室内側の突条21aが室外側の突条21bよりも上方に設けられている。下枠止水材40は中空で略矩形の断面を有し、変形可能なように例えば合成樹脂等の弾性材でできており、中空部の下方部には前記突条21a、21bに対応して溝40a及び40bがその長手方向に形成されている。下枠止水材40は、前記溝40a、40bを前記取付溝20の突条21a、21bに挿入することにより、浴室側に僅かに傾くようにして装着されている。
【0014】
縦枠10と下枠20は、従来と同様にシーラ30を介在させて、例えば図示しないネジにより接続される。下枠20に設けた下枠止水材取付溝21は下枠の縦枠との接合端の手前で終っており、その取付溝21が存在しない下枠20の平坦部分23に、縦枠10の止水材取付片12の切欠端部12aを突き合わせて接合一体化している。
この構成により、下枠止水材40と、縦枠10の止水材取付枠12の開口端側の止水材装着部(ポケット)14に取り付けられた止水材(図示せず)はほぼ連続し、浴室ドアが閉じたときに、各止水材がドアの左右の縦框及び上下の横框と当接してその四周を封止する。なお、図中の符号10aは、縦枠10の開口内部側側面を示す。
本実施形態では、この縦枠10と下枠20との接合隅部に、補助止水材である以下で説明する止水ブロック50が配置される。
【0015】
図3は、第1の実施形態に係る止水ブロックの斜視図であり、図3Aはその表面側及び図3Bはその裏面側を示す。
この止水ブロック50は、例えば合成樹脂製で、図3Aに示めすように互いに平行でかつ平坦な上面51及び底面55と、底面55から上面51に向かって傾斜した平面で構成される表面54と、底面55から垂直に立ち上がる平面で構成される裏面56と、上面側が底面側よりも短い台形状の側面53とからなっている。
表面54の幅方向略中央部にはその傾斜面に沿って開口した凹部54aが形成されており、凹部54aの平坦な底面54bには取り付け用のネジ孔54cが設けられている。また、上面51は、これを前記開口下隅部に取り付けたとき縦枠10側となる部分が一部切り欠かれ幅狭となった形状、つまり上面視略L字状を成している。この幅狭部は、止水ブロック50を開口の室外側つまり更衣室側に配置したときに、縦枠10の止水材取付片12の裏側面に当接する部分であり、従ってその幅は前記止水材取付枠12の幅に応じて設定される。
【0016】
この止水ブロック50は、図3Bに示すように、その裏面56側には、これを更衣室側に配置したとき、下枠止水材40の端部の側面に当接する部分に例えば発泡ゴムでできた止水材57が取り付けられており、これにより下枠止水材40の両端部では、止水材同士が当接して、後述するように下枠止水材40が浴室側から外力を受けたときに、前記取付溝21から外れたり、ずれたり、倒れ込んだりするのを防止することに加え、その止水機能を一層向上させている。
なお、本実施形態に係る止水ブロックの高さは、下枠止水材40の高さよりも高ければよく、例えば、浴槽を満水の状態にして成人が勢いよく浴槽に入った場合、浴室ドア前の部分における水位が20mm程度に達することがあるため、この浴槽の溢水を考慮して少なくとも20mmであることが好ましい。
【0017】
止水ブロック50の裏面56には、更に、全体が平面視略L字状をなすピン部材58が取り付けられている。このピン部材58は後述するように、下枠止水材40の側面に設けた掛止孔44(図4A参照)に挿入係止して、下枠止水材40に室内側方向の外力が作用したときに、下枠止水材40の移動を拘束つまり不動状態に支持して、下枠止水材が室内側に倒れ込んだり、或いは取付溝21からずれたり外れたりするのを防止するためのものである。前記略L字状のピン部材58は、外力を受けたとき下枠止水材が取付溝21から外れ難くし、かつ引張り時に止水材端面と縦枠当接面とが離れないようにするため、その先端が縦枠10方向を向くように開口外向きに設置するのが好ましい。
【0018】
図4Aは、下枠20の取付溝21に下枠止水材40を取り付けた状態を示す斜視図である。
図示のように、下枠止水材20は、取付溝21に嵌合して室内側に僅かに傾いて装着され、縦枠10の止水材取付枠12の開口側端部に突き当てて配置されている。また、下枠止水材40の止水材取付枠12の近傍には、既に述べたように止水ブロック50の前記略L字状のピン58を挿入するための掛止孔44が穿設されている。
【0019】
図4Bは、図4Aの状態において、さらに前記止水ブロック50を取り付けた状態を示す斜視図である。
止水ブロック50は、その一方の側面を縦枠10の見切り片11に、またその裏面56を止水材取付枠12の裏面及びその開口側端面に沿わせて、かつその裏面56に設けた止水材57を下枠止水材40の側面に当接した状態に位置決めし、その位置で前記凹部54aのネジ孔54cにネジ54dをはめ込んで下枠20に止着する。
【0020】
図5は、このように開口部の下枠隅部に止水ブロック50を取り付け、浴室ドア70を閉じたときの状態を示す要部断面図である。
ドア70が閉じると、その下框72で下枠止水材40を押す。押された下枠止水材40は当接する止水ブロック50の止水材57を押して変形させ両止水材が完全に密着して漏水を防止する。
止水ブロック50は以上の構成よりなるから、例えば、浴室ドア70を閉じた状態で、例えば開口下枠隅部の下枠止水材に水流が勢いよく当たったり或いは清掃中に掃除具などが当たった場合には、従来の下枠止水材は、その外力により倒れ込み、或いは極端な場合は下枠溝から外れてそこから漏水するが、本実施形態では、下枠止水材に室内側から強い外力が作用しても、その端部は室外側に固定された前記止水ブロックの前記止水材57面で支えられているから、外れたりずれたり倒れ込んだりすることがない。
また、本止水ブロック50は、裏面に設けた略L字状のピン部材58が下枠止水材40の掛止孔44に掛止して室内側へ移動しないよう拘束するから、室外側から例えば清掃具などによる外力が作用しても、倒れ込んだり外れたりずれたりすることがない。
【0021】
図6は、第1の実施形態の止水ブロック50にカバー80を被せた状態を示す斜視図である。
第1の実施形態の止水ブロックは、図3に示すように、その傾斜した表面54にネジを取り付けるための凹部54aが設けられており、この部分にゴミや水滴が溜まり易く、凹部54aに溜まったゴミや水滴を除去するのは容易ではないので、この問題を解決するため、図示のように、カバー80が被せられている。
カバー80は、図示のように湾曲した滑らかな外面形状を有し、止水ブロック50の全体を覆っている。これにより、例えば縦枠10の止水材取付片12の裏面を伝って落ちる水滴がこの滑らかな上面を伝って床面に容易に流下する。また、カバー80表面にゴミが付着しても洗い流したりあるいは清掃具で容易に除去することができる。
なお、カバー80は、図示のように止水ブロック50全体を覆うものに限定されず、例えば、上面および表面のみを覆うようにしてもよい。
このカバー80は、止水ブロックと同様に例えば合成樹脂で形成されるが、とくにその材料に限定はなく、表面を滑らかにした金属等であってもよい。
【0022】
次に止水ブロックの第2の実施形態を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
この止水ブロック60は、図示のように上面61と縦枠10の止水材取付片12の当接面となる平坦な裏面66と、縦枠10の開口側の面10a(図2参照)との当接面となる一方の平坦な側面62aと、下枠20の取付溝21に装着された下枠止水材40の端部に当接する他方の平坦な側面62b、及び下枠20に載置される底面67からなり、前記側面62bの略中央部分には、中空状に形成された下枠止水材40の端面から挿入される支持部である断面略矩形の支持腕68が、前記下枠止水材40の室内側への傾斜に合わせた角度を持って室内側に僅かに傾斜した状態で突設されている。また、前記支持腕68を備えた側面62bと反対側の側面62a側には、前記側面62aから面一状に前方に張り出した取付片65が一体に形成されており、その取付片65の略中央部には、本止水ブロック60を縦枠10の前記開口側側面10aにネジ止めするためのネジ孔65aが穿設されている。また、本止水ブロック60の表面は、上面61から下枠側に続く導水面を形成するよう湾曲面Cに構成されている。また、その底面67は下枠20の載置面形状に合わせて成形されており、この実施形態では、裏面66との境界部が切欠状となる段部67aが形成されている。
【0023】
図8は、この止水ブロックを縦枠10と下枠20との接合隅部に配置した状態を示す斜視図である。
この止水ブロック60は、第1の実施形態の止水ブロック50と同様に縦枠10と下枠20との接合下隅部に配置されるが、同実施形態とは相違して浴室側に取り付けられる。
止水ブロック60は、その支持腕68を前記下枠止水材の端面からその中空内部へ挿入し、その裏面66を縦枠10の止水材取付片12の止水材装着部(ポケット)14と縦枠10の開口側側面の間の平坦な部分に当接させ、かつ下枠20の取付溝21が途切れた平坦面23(図2参照)上に配置し、その取付片65の取付孔65aにネジ65bを挿通して縦枠10の開口側側面10aにネジ止めする。
なお、ネジ65bは必ずしも縦枠10の側面に止着するものに限定されず、下枠20に止着するようにしてもよい。
【0024】
図9は、本止水片60を浴室内側に設けた状態を示す縦断面図である。
図示のように、下枠止水材40と縦枠止水材装着部(ポケット)14とは、例えば第1の実施形態では、縦枠止水材装着部14の開口側面と下枠止水材40とを当接させているが、本実施形態では、縦枠止水材装着部14の下部を切り欠きその部分に下枠止水材40を通した構成としている。つまり、下枠止水材40の上に縦枠止水材装着部14が乗るように配置されている。
このように各止水材を配置することで、浴室ドア70が閉じたときに、浴室ドア70の四周を封止するようになっている。
図示の状態では、浴室ドア70が閉じてドア下框72が下枠止水材40を圧縮し、縦枠止水材装着部14に装着された止水材と下枠止水材40及びドア70の下框と下枠止水材40間がそれぞれ密着し、かつ止水ブロックで下枠止水材40の枠隅部側の止水を行う。
【0025】
なお、以上の構成において、縦枠止水材装着部14と下枠止水材40との接合部、つまり下枠止水材40を挿通するために縦枠止水材装着部(ポケット)14を切り欠いた部分に、例えば発泡ゴムなどを貼り付けることで、止水性能を一層向上することができる。
また、本実施形態に係る止水ブロックの高さは、第1の実施形態と同様の理由で少なくとも20mmであることが好ましい。
【0026】
本実施形態によれば、止水ブロックの支持腕を中空の下枠止水材に嵌合させたから、下枠止水材に外力が作用する場合、その外力の方向が浴室の室内室外側を問わず、前記支持腕で下枠止水材の端部を不動状態に支持するから、下枠止水材の端部は、ずれたり外れたり或いは倒れ込むもことがない。従って、漏水が完全に防止される。
【0027】
なお、以上の説明では、下枠止水材40は中空のものであるとしているが、下枠止水材40は必ずしも中空のものに限定されず、止水ブロック60の支持腕68が、下枠止水材40の内面を支持してそれを不動状態に支持できるものであれば、例えば、図11に示す従来の下枠止水材200のように、その内面が閉じていないものであってもよい。
また、以上の実施形態では、止水ブロック側に支持部となる支持腕を設けて下枠止水材を支持しているが、この構成に代えて、例えば下枠止水材側に支持腕を設け、逆に止水ブロック側面にこの支持腕の支持部となる開孔や溝等を設けた構成でもよい。また、前記支持部は、例えば下枠止水材端面に設けた溝、又は突条に対応して、止水ブロックの側面に設けた前記溝に挿入可能な突条、又は下枠止水材の突条が挿入可能な溝であってもよい。
【0028】
以上の実施形態は、止水ブロックを浴室建具に用いた場合について説明したが、本発明の止水ブロックは必ずしも浴室などの室内で用いるものに限定されず、屋外と室内を仕切る建具に使用することもできる。また、窓枠内に収容する開閉戸は、ドアや折り戸に限定されず、引き違い障子であってもよい。従って、本願発明で建具というときは、これらの開閉戸を備えた窓枠をも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ユニットバスで構成した浴室と脱衣室との間の開口部のドア枠とドアとを全体的に示す正面図である。
【図2】前記開口枠の縦枠と下枠との接合隅部の分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
【図4】図4Aは、下枠の取付溝に下枠止水材を取り付けた状態を示す斜視図、図4Bは、図4Aの状態において、さらに前記止水ブロックを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】開口部の下枠隅部に止水ブロックを取り付け、浴室ドアを閉じたときの状態を示す要部断面図である。
【図6】第1の実施形態の止水ブロックにカバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
【図8】止水ブロックを縦枠と下枠との接合隅部に配置した状態を示す斜視図である。
【図9】本止水片を浴室内側に設けた状態を示す縦断面図である。
【図10】従来の止水部材を示す斜視図である。
【図11】従来の別の止水部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・縦枠、11・・・身切り片、12・・・止水材取付片、14・・・止水材装着部(ポケット)、20・・・下枠、21・・・取付溝、40・・・下枠止水材、44・・・掛止孔、50、60・・・止水ブロック、70・・・浴室ドア、80・・・カバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を通して隣接する室内への水漏れするのを防止するための止水ブロック、及び該止水ブロックを装着した建具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭内における日常生活上の安全確保のため、室内のいわゆるバリアフリー化が進められている。
この安全設計思想は、例えば、ユニットバスや通常の家庭用浴室等にも取り入れられてきているが、例えば、浴室とこれに隣接する更衣室などをバリアフリー化すると、両室間には段差がないため、浴室のドアを閉じかつドアの四周をドア開口枠に装着した止水材で封止しても、例えば成人が満水の浴槽に勢いよく入るなどして、浴槽から水を勢いよく溢れさせると、水は止水材の僅かな隙間から更衣室側に流出する。
【0003】
そのため、従来から、例えば、浴室と更衣室との間の床にタイト材を配置し、このタイト材を閉じたドア框の室外側面に当接させて浴室ドアのドア下端面と床との間を止水し、かつ縦枠の見付け側に止水材取付片を設け、止水材取付片にタイト材即ち止水材を装着して、両止水材同士が互いに当接するように配置し、ドアを閉めた状態において、ドアの四周を止水材で塞いで浴室側から更衣室側に水漏れが発生しないようにしている。
しかし、縦枠と下枠との接合隅部では、縦枠の止水材と下枠の止水材とは夫々接合しているだけで一体化しているわけではないから、両者の僅かな隙間から水が漏れ易く、従って、この部分の止水が難いという問題がある。そのため、この部分の止水対策として、前記両止水材に加えて前記接合下隅部に補助タイト材を用いたものが知られている(特許文献1参照)。
即ち、図10に示すように、縦枠113と下枠111との突き当て部つまり下隅部で、止水ピース117に取付けた補助タイト材116を縦枠113の下端部に取り付け、これを床面に取付けた床タイト材112の縦枠側端部の側面に当接させて、前記隅部からの水の漏洩を防止している。
【0004】
この従来の止水材構造では、下枠止水材と縦枠止水材との突き当て部分を良好に止水材することができる。しかし、下枠止水材装着溝の縦枠側端部と縦枠止水材取付片の下枠側下端部との間の呑込み部分では、僅かな隙間を通して毛細管現象により排水が回り込み、且つ水圧(またはエアー圧)が加わることでこの部分から漏水することがある。
【0005】
そこで、図11に示すように、下枠止水材を装着する溝の縦枠側端部と縦枠止水材取付片の下枠側下端部との間の呑込み部分を確実に止水するため、下枠の縦枠側外端部203と縦枠の下枠側下端部205との間に、装着時に下枠溝内に位置する止水材部と、下枠232の上面を越えて延在するつまり、下枠232から上方に出た溝外止水材部215とを有する止水材ピース211を介在させて、両者を接続し、更に、このようにして取り付けられた前記溝外止水材部215を、別途形成した止水材押さえ221で下枠側下端部205に押圧することで、前記呑み込み部に隙間が生じないようにして、その部分を確実に止水するものも知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−147137号公報
【特許文献2】特開2005−200975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、床又は下枠止水材(総称して単に下枠止水材という)は、いずれも床又は下枠(総称して単に下枠という)に設けた嵌合溝に装着されており、容易には外れない構造になっている。しかしながら、下枠止水材の両端面、即ち、補助止水材又は縦枠との接触面は単に止水材を突き当てているだけであるため、下枠止水材に外力が加わるとその可撓性により容易に倒れ込む。このように倒れ込むか又は例えば清掃時などに下枠止水材の端部を不用意に引っ張るなどすると縦枠の接触面と下枠止水材端面との間に隙間ができ(極端な場合には外れることもあり得る)、漏水の原因となる可能性がある。
【0007】
下枠止水材が倒れ込んだり、ずれたり外れたりすると、突き当てた相手側側面との間に隙間ができ、浴室から溢れた水がその隙間から室外側、例えば、更衣室側に流出するという問題が生じる。
そこで、本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、とくに止水し難い例えば浴室などのドア開口縦枠と下枠間の接合部での下枠止水材の倒れ込みや取付溝からのずれ又は離脱を防止して、ドアを閉じたときの止水を確実にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に配置され、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止することを特徴とする。
請求項6の発明は建具であって、上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する止水ブロックを配置したことを特徴とする。
【0009】
(作用)
下枠の取付溝に取り付けた止水材の両端部に本発明に係る止水ブロックを配置する。止水ブロックは例えばネジ等の適当な固定手段で下枠または縦枠に取り付ける。ここで、止水ブロックは、開口の室外側において前記下枠止水材の端部の側面に当接して取り付ける場合は、外力により下枠止水材が室外側に押されると、止水ブロックが不動となるよう下枠止水材を室外側から支持する。また、逆方向の外力を受けたときは、止水ブロックの支持ピンで同様に下枠止水材を不動状態に支持して倒れ込み等を防止する。更に、止水ブロックの支持腕を下枠止水材の端部に挿入して室内側に配置した場合は、下枠止水材に室内又は室外向きの何れの外力が作用しても、その支持腕で該下枠止水材の端部を不動状態に支持してその倒れ込み等を防止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下枠止水材の両端部で外力による倒れ込みや、取付がずれたり外れたりするのを防止するから、従来のように下枠止水材の両端側で漏水することがない。
また、止水ブロックの裏面で下枠止水材の縦枠側端部側面を支持するものでは、止水ブロックと下枠止水材とが密接に接合する結果、下枠止水材端部側の止水がより確実に行われるだけではなく、既存の止水材付きの下枠にも容易に適用できる。
また、止水ブロックの支持腕で下枠止水材の端部を不動状態に支持するものでは、下枠止水材内に支持腕を単に挿入するだけで下枠止水材と止水材との結合ができるだけではなく、その上面を水の案内面に形成することで、縦枠を伝って降下する水滴をスムースに室内側下枠又は床面に導くことができ、縦枠と横枠の結合部における止水を確実に行うことができる。また、清掃も容易である。
なお、本願発明において、不動状態に支持するとは、下枠止水材の端部が外力を受けたとき、下枠止水材端部と当接する縦枠や止水ブロックなどの他の部材との間に、漏水が生じる隙間ができないようにその移動を制限することをいい、必ずしも完全に動かないようにすることを意味するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る止水ブロックを開口枠の1例である浴室ドア枠に適用したものを例に採って説明する。
図1は、ユニットバスで構成した浴室と脱衣室との間の開口部のドア枠とドアとを全体的に示す正面図である。
浴室ドア枠は、それぞれアルミニウムの形材等で形成して両縦枠10、上枠20’及び下枠20をそれぞれ方形に枠組みして形成され、ドア枠内には周知の浴室ドア70が揺動自在に支持されている。また、この浴室ドア枠は、バリアフリーとなるよう、同一高さつまり段差のない浴室と更衣室床間に取り付けられる。
なお、図示の例では、一方の縦枠側にヒンジ止めされて開閉する一枚のドア70が示されているが、ドア70はこれに限ることはなく二枚以上の折り戸で構成してもよい。
【0012】
図2は、前記開口枠の縦枠10と下枠20との接合隅部の分解斜視図である。
図示のように、中空縦枠10には室外側に延在する見切り片11と、開口内方に延在する止水材取付片12が一体に形成されている。縦枠の止水材取付片12には、図示しない止水材が取り付けられ、この止水材は浴室のドアが閉じたときに、そのドアの縦框と当接してドア縦框と縦枠10間を封止する。
【0013】
下枠20には、その幅方向略中央部に下枠止水材取付溝21が一体に形成されており、この下枠止水材取付溝21は、その溝21に沿ってその両側上端から2条の突条21a、21bが溝内に突出しており、この実施形態では、室内側の突条21aが室外側の突条21bよりも上方に設けられている。下枠止水材40は中空で略矩形の断面を有し、変形可能なように例えば合成樹脂等の弾性材でできており、中空部の下方部には前記突条21a、21bに対応して溝40a及び40bがその長手方向に形成されている。下枠止水材40は、前記溝40a、40bを前記取付溝20の突条21a、21bに挿入することにより、浴室側に僅かに傾くようにして装着されている。
【0014】
縦枠10と下枠20は、従来と同様にシーラ30を介在させて、例えば図示しないネジにより接続される。下枠20に設けた下枠止水材取付溝21は下枠の縦枠との接合端の手前で終っており、その取付溝21が存在しない下枠20の平坦部分23に、縦枠10の止水材取付片12の切欠端部12aを突き合わせて接合一体化している。
この構成により、下枠止水材40と、縦枠10の止水材取付枠12の開口端側の止水材装着部(ポケット)14に取り付けられた止水材(図示せず)はほぼ連続し、浴室ドアが閉じたときに、各止水材がドアの左右の縦框及び上下の横框と当接してその四周を封止する。なお、図中の符号10aは、縦枠10の開口内部側側面を示す。
本実施形態では、この縦枠10と下枠20との接合隅部に、補助止水材である以下で説明する止水ブロック50が配置される。
【0015】
図3は、第1の実施形態に係る止水ブロックの斜視図であり、図3Aはその表面側及び図3Bはその裏面側を示す。
この止水ブロック50は、例えば合成樹脂製で、図3Aに示めすように互いに平行でかつ平坦な上面51及び底面55と、底面55から上面51に向かって傾斜した平面で構成される表面54と、底面55から垂直に立ち上がる平面で構成される裏面56と、上面側が底面側よりも短い台形状の側面53とからなっている。
表面54の幅方向略中央部にはその傾斜面に沿って開口した凹部54aが形成されており、凹部54aの平坦な底面54bには取り付け用のネジ孔54cが設けられている。また、上面51は、これを前記開口下隅部に取り付けたとき縦枠10側となる部分が一部切り欠かれ幅狭となった形状、つまり上面視略L字状を成している。この幅狭部は、止水ブロック50を開口の室外側つまり更衣室側に配置したときに、縦枠10の止水材取付片12の裏側面に当接する部分であり、従ってその幅は前記止水材取付枠12の幅に応じて設定される。
【0016】
この止水ブロック50は、図3Bに示すように、その裏面56側には、これを更衣室側に配置したとき、下枠止水材40の端部の側面に当接する部分に例えば発泡ゴムでできた止水材57が取り付けられており、これにより下枠止水材40の両端部では、止水材同士が当接して、後述するように下枠止水材40が浴室側から外力を受けたときに、前記取付溝21から外れたり、ずれたり、倒れ込んだりするのを防止することに加え、その止水機能を一層向上させている。
なお、本実施形態に係る止水ブロックの高さは、下枠止水材40の高さよりも高ければよく、例えば、浴槽を満水の状態にして成人が勢いよく浴槽に入った場合、浴室ドア前の部分における水位が20mm程度に達することがあるため、この浴槽の溢水を考慮して少なくとも20mmであることが好ましい。
【0017】
止水ブロック50の裏面56には、更に、全体が平面視略L字状をなすピン部材58が取り付けられている。このピン部材58は後述するように、下枠止水材40の側面に設けた掛止孔44(図4A参照)に挿入係止して、下枠止水材40に室内側方向の外力が作用したときに、下枠止水材40の移動を拘束つまり不動状態に支持して、下枠止水材が室内側に倒れ込んだり、或いは取付溝21からずれたり外れたりするのを防止するためのものである。前記略L字状のピン部材58は、外力を受けたとき下枠止水材が取付溝21から外れ難くし、かつ引張り時に止水材端面と縦枠当接面とが離れないようにするため、その先端が縦枠10方向を向くように開口外向きに設置するのが好ましい。
【0018】
図4Aは、下枠20の取付溝21に下枠止水材40を取り付けた状態を示す斜視図である。
図示のように、下枠止水材20は、取付溝21に嵌合して室内側に僅かに傾いて装着され、縦枠10の止水材取付枠12の開口側端部に突き当てて配置されている。また、下枠止水材40の止水材取付枠12の近傍には、既に述べたように止水ブロック50の前記略L字状のピン58を挿入するための掛止孔44が穿設されている。
【0019】
図4Bは、図4Aの状態において、さらに前記止水ブロック50を取り付けた状態を示す斜視図である。
止水ブロック50は、その一方の側面を縦枠10の見切り片11に、またその裏面56を止水材取付枠12の裏面及びその開口側端面に沿わせて、かつその裏面56に設けた止水材57を下枠止水材40の側面に当接した状態に位置決めし、その位置で前記凹部54aのネジ孔54cにネジ54dをはめ込んで下枠20に止着する。
【0020】
図5は、このように開口部の下枠隅部に止水ブロック50を取り付け、浴室ドア70を閉じたときの状態を示す要部断面図である。
ドア70が閉じると、その下框72で下枠止水材40を押す。押された下枠止水材40は当接する止水ブロック50の止水材57を押して変形させ両止水材が完全に密着して漏水を防止する。
止水ブロック50は以上の構成よりなるから、例えば、浴室ドア70を閉じた状態で、例えば開口下枠隅部の下枠止水材に水流が勢いよく当たったり或いは清掃中に掃除具などが当たった場合には、従来の下枠止水材は、その外力により倒れ込み、或いは極端な場合は下枠溝から外れてそこから漏水するが、本実施形態では、下枠止水材に室内側から強い外力が作用しても、その端部は室外側に固定された前記止水ブロックの前記止水材57面で支えられているから、外れたりずれたり倒れ込んだりすることがない。
また、本止水ブロック50は、裏面に設けた略L字状のピン部材58が下枠止水材40の掛止孔44に掛止して室内側へ移動しないよう拘束するから、室外側から例えば清掃具などによる外力が作用しても、倒れ込んだり外れたりずれたりすることがない。
【0021】
図6は、第1の実施形態の止水ブロック50にカバー80を被せた状態を示す斜視図である。
第1の実施形態の止水ブロックは、図3に示すように、その傾斜した表面54にネジを取り付けるための凹部54aが設けられており、この部分にゴミや水滴が溜まり易く、凹部54aに溜まったゴミや水滴を除去するのは容易ではないので、この問題を解決するため、図示のように、カバー80が被せられている。
カバー80は、図示のように湾曲した滑らかな外面形状を有し、止水ブロック50の全体を覆っている。これにより、例えば縦枠10の止水材取付片12の裏面を伝って落ちる水滴がこの滑らかな上面を伝って床面に容易に流下する。また、カバー80表面にゴミが付着しても洗い流したりあるいは清掃具で容易に除去することができる。
なお、カバー80は、図示のように止水ブロック50全体を覆うものに限定されず、例えば、上面および表面のみを覆うようにしてもよい。
このカバー80は、止水ブロックと同様に例えば合成樹脂で形成されるが、とくにその材料に限定はなく、表面を滑らかにした金属等であってもよい。
【0022】
次に止水ブロックの第2の実施形態を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
この止水ブロック60は、図示のように上面61と縦枠10の止水材取付片12の当接面となる平坦な裏面66と、縦枠10の開口側の面10a(図2参照)との当接面となる一方の平坦な側面62aと、下枠20の取付溝21に装着された下枠止水材40の端部に当接する他方の平坦な側面62b、及び下枠20に載置される底面67からなり、前記側面62bの略中央部分には、中空状に形成された下枠止水材40の端面から挿入される支持部である断面略矩形の支持腕68が、前記下枠止水材40の室内側への傾斜に合わせた角度を持って室内側に僅かに傾斜した状態で突設されている。また、前記支持腕68を備えた側面62bと反対側の側面62a側には、前記側面62aから面一状に前方に張り出した取付片65が一体に形成されており、その取付片65の略中央部には、本止水ブロック60を縦枠10の前記開口側側面10aにネジ止めするためのネジ孔65aが穿設されている。また、本止水ブロック60の表面は、上面61から下枠側に続く導水面を形成するよう湾曲面Cに構成されている。また、その底面67は下枠20の載置面形状に合わせて成形されており、この実施形態では、裏面66との境界部が切欠状となる段部67aが形成されている。
【0023】
図8は、この止水ブロックを縦枠10と下枠20との接合隅部に配置した状態を示す斜視図である。
この止水ブロック60は、第1の実施形態の止水ブロック50と同様に縦枠10と下枠20との接合下隅部に配置されるが、同実施形態とは相違して浴室側に取り付けられる。
止水ブロック60は、その支持腕68を前記下枠止水材の端面からその中空内部へ挿入し、その裏面66を縦枠10の止水材取付片12の止水材装着部(ポケット)14と縦枠10の開口側側面の間の平坦な部分に当接させ、かつ下枠20の取付溝21が途切れた平坦面23(図2参照)上に配置し、その取付片65の取付孔65aにネジ65bを挿通して縦枠10の開口側側面10aにネジ止めする。
なお、ネジ65bは必ずしも縦枠10の側面に止着するものに限定されず、下枠20に止着するようにしてもよい。
【0024】
図9は、本止水片60を浴室内側に設けた状態を示す縦断面図である。
図示のように、下枠止水材40と縦枠止水材装着部(ポケット)14とは、例えば第1の実施形態では、縦枠止水材装着部14の開口側面と下枠止水材40とを当接させているが、本実施形態では、縦枠止水材装着部14の下部を切り欠きその部分に下枠止水材40を通した構成としている。つまり、下枠止水材40の上に縦枠止水材装着部14が乗るように配置されている。
このように各止水材を配置することで、浴室ドア70が閉じたときに、浴室ドア70の四周を封止するようになっている。
図示の状態では、浴室ドア70が閉じてドア下框72が下枠止水材40を圧縮し、縦枠止水材装着部14に装着された止水材と下枠止水材40及びドア70の下框と下枠止水材40間がそれぞれ密着し、かつ止水ブロックで下枠止水材40の枠隅部側の止水を行う。
【0025】
なお、以上の構成において、縦枠止水材装着部14と下枠止水材40との接合部、つまり下枠止水材40を挿通するために縦枠止水材装着部(ポケット)14を切り欠いた部分に、例えば発泡ゴムなどを貼り付けることで、止水性能を一層向上することができる。
また、本実施形態に係る止水ブロックの高さは、第1の実施形態と同様の理由で少なくとも20mmであることが好ましい。
【0026】
本実施形態によれば、止水ブロックの支持腕を中空の下枠止水材に嵌合させたから、下枠止水材に外力が作用する場合、その外力の方向が浴室の室内室外側を問わず、前記支持腕で下枠止水材の端部を不動状態に支持するから、下枠止水材の端部は、ずれたり外れたり或いは倒れ込むもことがない。従って、漏水が完全に防止される。
【0027】
なお、以上の説明では、下枠止水材40は中空のものであるとしているが、下枠止水材40は必ずしも中空のものに限定されず、止水ブロック60の支持腕68が、下枠止水材40の内面を支持してそれを不動状態に支持できるものであれば、例えば、図11に示す従来の下枠止水材200のように、その内面が閉じていないものであってもよい。
また、以上の実施形態では、止水ブロック側に支持部となる支持腕を設けて下枠止水材を支持しているが、この構成に代えて、例えば下枠止水材側に支持腕を設け、逆に止水ブロック側面にこの支持腕の支持部となる開孔や溝等を設けた構成でもよい。また、前記支持部は、例えば下枠止水材端面に設けた溝、又は突条に対応して、止水ブロックの側面に設けた前記溝に挿入可能な突条、又は下枠止水材の突条が挿入可能な溝であってもよい。
【0028】
以上の実施形態は、止水ブロックを浴室建具に用いた場合について説明したが、本発明の止水ブロックは必ずしも浴室などの室内で用いるものに限定されず、屋外と室内を仕切る建具に使用することもできる。また、窓枠内に収容する開閉戸は、ドアや折り戸に限定されず、引き違い障子であってもよい。従って、本願発明で建具というときは、これらの開閉戸を備えた窓枠をも包含する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ユニットバスで構成した浴室と脱衣室との間の開口部のドア枠とドアとを全体的に示す正面図である。
【図2】前記開口枠の縦枠と下枠との接合隅部の分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
【図4】図4Aは、下枠の取付溝に下枠止水材を取り付けた状態を示す斜視図、図4Bは、図4Aの状態において、さらに前記止水ブロックを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】開口部の下枠隅部に止水ブロックを取り付け、浴室ドアを閉じたときの状態を示す要部断面図である。
【図6】第1の実施形態の止水ブロックにカバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係る止水ブロックの斜視図である。
【図8】止水ブロックを縦枠と下枠との接合隅部に配置した状態を示す斜視図である。
【図9】本止水片を浴室内側に設けた状態を示す縦断面図である。
【図10】従来の止水部材を示す斜視図である。
【図11】従来の別の止水部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・縦枠、11・・・身切り片、12・・・止水材取付片、14・・・止水材装着部(ポケット)、20・・・下枠、21・・・取付溝、40・・・下枠止水材、44・・・掛止孔、50、60・・・止水ブロック、70・・・浴室ドア、80・・・カバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に配置され、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止することを特徴とする止水ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材の端部の室外側側面に当接する当接面を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項3】
請求項2に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材に掛止する手段を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項4】
請求項1に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材の端面と当接する側面を有し、該側面に下枠止水材の端部内面を支持する支持部を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項5】
請求項4に記載された止水ブロックであって、
縦枠に当接し、縦枠を流下する水滴を下枠又は床面に導く案内面を備えたことを特徴とする止水ブロック。
【請求項6】
上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する止水ブロックを配置したことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項6に記載され建具であって、
前記止水ブロックの裏面を下枠止水材の側面及び縦枠の止水材取付片の裏面に当接して配置し、前記当接部分の止水を行うことを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項6に記載された建具であって、
前記下枠止水材を前記縦枠の止水材取付片の下端を挿通して前記止水ブロックの側面に当接し、前記当接面の止水を行うことを特徴とする建具。
【請求項1】
上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に配置され、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止することを特徴とする止水ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材の端部の室外側側面に当接する当接面を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項3】
請求項2に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材に掛止する手段を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項4】
請求項1に記載された止水ブロックであって、
前記下枠止水材の端面と当接する側面を有し、該側面に下枠止水材の端部内面を支持する支持部を備え、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持することを特徴とする止水ブロック。
【請求項5】
請求項4に記載された止水ブロックであって、
縦枠に当接し、縦枠を流下する水滴を下枠又は床面に導く案内面を備えたことを特徴とする止水ブロック。
【請求項6】
上枠と、下枠と、左右縦枠とを方形に枠組みした開口枠における前記下枠と前記左右の縦枠との接合隅部に、前記下枠に設けた下枠止水材に当接すると共に、前記下枠止水材の端部を不動状態に支持する手段を有し、前記下枠止水材と共に室外側への漏水を防止する止水ブロックを配置したことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項6に記載され建具であって、
前記止水ブロックの裏面を下枠止水材の側面及び縦枠の止水材取付片の裏面に当接して配置し、前記当接部分の止水を行うことを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項6に記載された建具であって、
前記下枠止水材を前記縦枠の止水材取付片の下端を挿通して前記止水ブロックの側面に当接し、前記当接面の止水を行うことを特徴とする建具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−126897(P2007−126897A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321184(P2005−321184)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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