説明

止血用のスプレーおよび組成物

本発明は、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末を含む組成物を含有する、粉末送達システムに関する。上記ゼラチン粉末またはコラーゲン粉末は、代表的には、乾燥形態であり(すなわち、液体成分を有さず)、および/もしくは噴霧剤が、上記組成物に添加される。本発明はまた、改善された粉末送達システムに関し、このシステムは、この送達システムのオリフィスの近くに位置する保護構造(例えば、スカート)を含む。さらなる局面において、本発明は、止血用途に有用な、ゼラチンベースまたはコラーゲンベースの組成物に関する。本発明のさらなる局面において、この粉末送達システムは、使用できる状態で、乾燥形態のゼラチン粉末またはコラーゲン粉末を備える。さらに、この乾燥形態の粉末送達システムは、水分および/または水に不適合な因子を備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末もしくはコラーゲン粉末を含有する組成物を含む、粉末送達システムに関する。上記ゼラチン粉末もしくはコラーゲン粉末は、代表的には、乾燥形態であり(すなわち、液体成分を含まず)、および/または噴霧剤がこの組成物に添加される。本発明はまた、送達システムのオリフィスの近くに位置する保護構造体(例えば、スカート)を含む、改善された粉末送達システムに関する。さらなる局面において、本発明は、止血用途において有用なゼラチンベースもしくはコラーゲンベースの組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特許文献1は、骨原性タンパク質と止血用ゼラチンの泡状ペーストとを含む組成物の送達のための注入可能な処方物、ならびに骨原性タンパク質を注入するために適切な止血用ゼラチンの泡状ペーストを作製する方法に関する。この方法は、Gelfoam(登録商標)粉末をグルタミン酸緩衝液で水和させる工程を包含する。
【0003】
特許文献2は、皮膚生検用の栓に関する。この栓は、ゼラチン材料から作製された多孔質のスポンジであり、創傷部に移植されて、膨張し、血液を吸収し、そして患者に完全に吸収される。上記特許は、パンチ(皮膚を切開するための刃)と栓との組み合わせに関する。使用される栓は、市販のGelfoam(登録商標)である。
【0004】
Gelfoam(登録商標)は、出血表面に対して止血剤として適用するための粉末状ゼラチンを提供する、市販の製品である。この粉末状ゼラチンは、金属の蓋を備えた全てガラス製のジャーの中、または袋の中に提供される。これらの各々は、開封されて、そしてその内容物(すなわち、ゼラチン)は、滅菌ビーカーまたは滅菌ボウルの中に入れられる。
【0005】
特許文献3は、生分解性ゼラチンマトリックス、止血促進量のトロンビン、およびε−アミノカプロン酸を含む止血用パッチを特許請求する。
【0006】
特許文献4は、止血効果を促進するための皮膚軟膏を開示する。この軟膏は、溶媒中に溶解した熱可塑性樹脂またはゴムを含み、そして分散ゼラチン粉末を含む。この生成物は、熱可塑性樹脂またはゴム、およびコラーゲン、ゼラチンまたはキトサンの細かい粉末を含む軟膏である。
【0007】
特許文献5は、塞栓を作製するための粒子状材料に関する。この材料は、止血剤または凝固剤でコーティングされたポリマーを含む。この止血剤は、細かく分割されたゼラチン粉末であり得る。
【0008】
特許文献6は、止血用組成物に関する。この組成物は、水性媒体中にトロンビンおよび非細線維性コラーゲンと細線維性コラーゲンとの混合物を含み、ここで、この細線維性コラーゲンは、約3nm〜30nmの平均線維直径を有する。
【0009】
特許文献7は、コラーゲン−トロンビン止血用組成物を形成する方法と、コラーゲンおよびトロンビンを含む凍結乾燥コラーゲン生成物との両方に関する。
【0010】
特許文献8は、止血剤として使用するためのゼラチン粉末、および粉砕ゼラチン粉末を含むゼラチンスラリーを含む生物学的封止剤に関する。このスラリーは、好ましくは、生理食塩水および水から選択される希釈剤と混合された、Gelfoam(登録商標)粉末を含む。このスラリーは、優れた流動特性を示す(最低限のダイラタンシー(dilatency)を示し、そしてカテーテルの管腔(特に細い管腔)を通って容易に注入もしくは導入され得る。従って、この生成物は、まさに流体特性を有する。
【0011】
特許文献9は、粒子(特に、デキストラン粒子)に関する。この粒子は、0.5μm〜1000μmの粒子サイズ、そして0.5nm〜1000nmの平均孔直径を有する。このような粒子が、この粒子を乾燥粉末の形態で投与することによって、創傷部における血塊形成を増強するために使用され得ることが開示されている。
【0012】
特許文献10は、種々の粒子サイズの冷水溶解性ゼラチン組成物に関する。
【0013】
特許文献11は、ゼラチンおよびアミノ酸の粒子に関する。このような粒子が、種々の樹脂とブレンドするために適切であることが述べられている。この粒子サイズ分布は、ほとんどの粒子が1.5μm〜9.0μmの粒子サイズを有するような分布である。
【0014】
特許文献12は、微粉化コラーゲンを調製するためのプロセスに関する。創傷表面への接着を最適化するためには、この粒子サイズが20μmを超えるべきではないことが述べられている。
【0015】
種々の止血用スプレーが市販されている:
Traumacel S(登録商標)は、加圧式スプレー中の止血用の散布粉剤である。活性成分は、酸化セルロースの水素カルシウム塩(hydrogen calcium salt)である。
Traumacel P(登録商標)は、酸化セルロースのカルシウム塩(カルボキシメチルセルロースカルシウム)を含む、粉末状止血剤である。これは、出血領域に乾燥粉末として適用される。
Avitene(登録商標)は、細線維性コラーゲン止血剤「粉(flour)」であり、代表的に乾燥状態で適用される。
Arista(登録商標)は、特許文献9(上記)に記載されるような、微小孔性多糖類球体ベースの、止血用スプレーである。
【特許文献1】国際公開第01/28603号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,394,886号明細書
【特許文献3】米国特許第5,645,849号明細書
【特許文献4】特開昭62−221357号公報
【特許文献5】仏国特許第2679772号明細書
【特許文献6】米国特許第6,096,309号明細書
【特許文献7】米国特許第4,515,637号明細書
【特許文献8】米国特許第6,045,570号明細書
【特許文献9】米国特許第6,060,461号明細書
【特許文献10】米国特許第3,930,052号明細書
【特許文献11】米国特許第5,225,536号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0012741号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
第一の局面において、本発明は、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末を含む組成物を貯蔵する室を含む、粉末送達システム関する。上記室は、上記組成物を散布するための大きさの、少なくとも1つの放出開口部を有する。
【0017】
別の局面において、本発明は、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末から構成される組成物を貯蔵する室を含む、粉末送達システムに関する。上記室は、上記組成物を散布するための大きさの、少なくとも1つの放出開口部を有する。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、本明細書において規定されるような組成物、および医薬として使用するための、本明細書において規定されるような組成物に関する。本発明の興味深い実施形態において、上記組成物は、ゲルの形態である。
【0019】
なおさらなる局面において、本発明は、止血を必要とする患者において止血を促進する方法に関する。上記方法は、本明細書において規定されるような組成物を、出血が生じている領域の少なくとも一部分に噴霧する工程を包含する。
【0020】
なおさらなる局面において、本発明は、止血を促進するための、本明細書において規定されるような組成物の製造のための、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末の使用に関する。上記組成物は、出血が生じている領域の少なくとも一部分に噴霧される。
【0021】
さらに、本発明はまた、本発明の方法によって得ることができるかまたは得られた、ゼラチン粉末組成物またはコラーゲン粉末組成物に関する。
【0022】
本発明はまた、粉末組成物を貯蔵する室を含む粉末送達システムに関する。上記室は、上記組成物を散布するための大きさの少なくとも1つの放出開口部、およびこの放出開口部に配置された保護構造体を備える。
【0023】
(発明の詳細な説明)
本発明は、急性または予防的に使用され得る、「使用できる状態(ready−to−use)」の止血用スプレーに関する。より伝統的に使用されるスポンジと比較して、止血スプレーを使用する1つの利点は、止血剤(この場合、ゼラチンもしくはコラーゲン)が、比較的広範囲に薄い層で適用され得ること、およびこれが、伝統的なスポンジでは到達するのが難しくあり得る身体の領域に適用され得ることである。
【0024】
酸化セルロースベースの止血用スプレーが存在するが、止血を行うのに適切な材料を含み、同時に酸化セルロースよりも生体適合性の高い止血用スプレーに対する必要性が存在する。本発明者らは、微粉化された、および/または細かく粉砕されたゼラチン粒子もしくはコラーゲン粒子ベースの止血用スプレーを提供する。明らかに、ゼラチンおよびコラーゲンは、酸化セルロースよりもずっと高程度で皮膚構成要素と似ている。結果として、本明細書において開示される止血用スプレーは、酸化セルロースベースの止血用スプレーよりも安全であり、そしてより少ない副作用(例えば、免疫系からの反応によって引き起こされる炎症)を生じ得るとみなされる。
【0025】
さらに、本明細書において開示される微粉化された、および/または細かく粉砕された粒子は、従来使用される粒子と比較して、有意に高い湿潤性(wetability)を有する。この湿潤性は、液体(例えば、血液)吸収能と密接に関係するので、この粉末は、従来使用される粉末(例えば、ゼラチン粉末)と比較して、改善された止血効果を提供している。
【0026】
本発明の状況において、用語「微粉化された、および/または細かく粉砕された」は、粒子が、約250μm未満の平均粒子サイズにサイズを減少させたことを意味することを意図する。
【0027】
ゼラチンの価格は、コラーゲンの価格のおよそ1/3であるので、ゼラチンは、経済的な理由から、コラーゲンよりも好ましい。
【0028】
(ゼラチン粉末またはコラーゲン粉末)
本発明者らは、本明細書において開示される方法によって生成されたゼラチン粉末またはコラーゲン粉末の、微粉化された、および/または細かく粉砕された粒子が、小さな平均粒子サイズを有することを見出した。したがって、伝統的なスポンジまたは粉末と比較して、スプレーの形態で投与される場合、より迅速かつより効果的な止血に起因して、止血を達成するためにはより少量のゼラチンまたはコラーゲンを必要とすればよい。驚くべきことに、実験の節に記載されるインビトロ湿潤法(wetability method)によって粉末を試験した場合、粉末の湿潤性の劇的な改善が見出された(すなわち、本明細書において開示される粉末が適用された液体を即座に吸収したことが見出された)。湿潤性の改善は、上記粉末の吸収能に対して、結果として止血効果に対して、同様の効果を有する可能性がある。改善された効果の機序は、十分に理解されていないが、この効果は、粒子に対する血液の接近を促進する小さな粒子サイズから生じた結果であり得る。さらに、この改善された効果は、大きな表面積によって引き起こされた可能性がある。
【0029】
図9および図10に図示されるような湿潤性試験によって得られた結果から、本発明の粉末において、湿潤性が著しく改善されることは明らかである。当業者は、粉末の湿潤性が、液体(例えば、血液)の吸収と関係することを理解する。さらに、改善された湿潤性を備えた粉末が、より効果的な止血効果を提供することが理解される。この改善された粉末がより高い湿潤性を有するほど、吸収可能な液体(例えば、血液)の量は多くなり、有効な止血効果を提供する。当業者は、比較的大量の液体を吸収し得る粉末と、高い湿潤性との間に相関が存在することを理解する。
【0030】
図9は、生理食塩水の液滴が表面上に適用された0〜82秒後の時点における、本発明のゼラチン粉末を図示する。この図は、実施例6に記載されたパラメーターに従って記録されている。
【0031】
図10は、生理食塩水の液滴が表面上に適用された0〜144秒後の時点における、従来のゼラチン粉末(Surgifoam(登録商標)Powder)を図示する。この図は、実施例6に記載されたパラメーターに従って記録されている。
【0032】
ゼラチンまたはコラーゲンは、現在好ましい材料であるが、基本的に、任意の生物学的に吸収可能な材料が、本明細書において記載される目的のために使用され得ることが、当業者によって理解される。したがって、ゼラチンまたはゼラチン以外の材料が、スポンジおよび粉末の調製のために適切であること、同時に、生物学的に吸収可能であることが公知の、任意の材料であり得る。適切な生物学的に吸収可能な材料の例としては、(ゼラチンおよびコラーゲンに加えて)キチン、キトサン、アルギン酸塩、セルロース、ポリグリコール酸、ポリ酢酸、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの種々の形態(例えば、直鎖状形態もしくは架橋形態、塩、エステルなど)もまた、本発明の止血用粉末中に含まれる、生物学的に吸収可能な材料として使用され得ることが理解される。
【0033】
「生物学的に吸収可能」とは、本発明の状況において、上記粉末を作製する材料が、身体中で、この粉末が血流へと移送されることを可能にするサイズを有する、より低分子へと分解され得るということを説明するために使用される用語である。この分解および吸収によって、上記粉末材料は、適用部位から徐々に除去される。例えば、変性ゼラチンは、タンパク質分解性の組織酵素によって、吸収可能なより小さな分子へと分解され得、これによって、この変性ゼラチン粉末は、組織に適用される場合、代表的に、約3〜6週以内に吸収され、そして出血表面および粘膜に適用される場合、代表的に、約3〜5日以内に吸収される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、生物学的に吸収可能な材料は、ゼラチンである。ゼラチンは、高度に生物学的に吸収可能であるため、好ましい。さらに、ゼラチンは、高度に生体適合性である。つまり、血流に入る場合、またはヒト組織と長時間接触する場合に、動物(例えば、ヒト)に対して非毒性である。
【0035】
ゼラチンは、代表的に、ブタ供給源に由来するが、他の動物供給源(例えば、ウシ供給源もしくは魚供給源)に由来してもよい。ゼラチンはまた、合成的に作製され得る(すなわち、組み換え手段によって作製され得る)。
【0036】
コラーゲンは、代表的に、ウシ供給源に由来するが、他の動物供給源に由来してもよい。コラーゲンはまた、合成的に作製され得る(すなわち、組み換え手段によって作製され得る)。
【0037】
上述のように、表面積は、ゼラチンまたはコラーゲンの粉末/粒子の重要なパラメーターであり、そして一般的には、以下の特定の表面積が好ましい:少なくとも0.25m/g(例えば、0.25〜3.00m/gもしくは0.25〜2.00m/g)、例えば、少なくとも0.50m/g(例えば、0.50〜3.00m/gもしくは0.50〜2.00m/g)、より好ましくは、少なくとも0.75m/g(例えば、0.75〜3.00m/gもしくは0.75〜2.00m/g)、例えば、少なくとも0.80m/g(例えば、0.80〜3.00m/gもしくは0.80〜2.00m/g)。いくつかの特定の興味深い実施形態において、上記の特定の表面積は、少なくとも0.90m/g(例えば、0.90〜3.00m/gもしくは0.90〜2.00m/g)、例えば、少なくとも1.00m/g(例えば、1.00〜3.00m/gもしくは1.00〜2.00m/g)である。本発明のなおさらなる実施形態において、上記の特定の表面積は、少なくとも1.25m/g(例えば、1.25〜3.00m/gもしくは1.25〜2.00m/g)、例えば、少なくとも1.50m/g(例えば、1.50〜3m/gもしくは1.50〜2.00m/g)であり得る。上記特定の表面は、ガス吸収(BET)によって慣習的に決定される。
【0038】
当業者によって認められるように、非常に小さな粒子サイズ(例えば、約10μm未満の平均粒子サイズ)を有する粉末は、低い流動性に起因して、技術的な問題を引き起こす。さらに、非常に小さな粒子サイズは、粉末を適用する場合に粉塵の問題を引き起こす。したがって、粉末の平均粒子サイズは、少なくとも10μmの平均粒子サイズの粒子の間での妥協したものでなくてはならない。一方で、この粒子は大き過ぎるべきではない(すなわち、この粒子は、250μm未満の平均粒子サイズを有するべきである)。したがって、本発明の好ましい実施形態において、粉末の平均粒子サイズは、少なくとも20μm(例えば、少なくとも30μm(例えば、少なくとも40μm))、より好ましくは、少なくとも50μm(例えば、少なくとも60μm(例えば、少なくとも70μm))である。同様に、粉末の平均粒子サイズは、好ましくは、200μmより小さく(例えば、175μmよりも小さい(例えば、150μmよりも小さい))、より好ましくは、125μmより小さい(例えば、100μmよりも小さい(例えば、90μmよりも小さい))。
【0039】
換言すると、平均粒子サイズは、10〜250μmの範囲である(例えば、20〜250μmの範囲である(例えば、30〜250μmの範囲である))。本発明の好ましい実施形態において、平均粒子サイズは、20〜200μmの範囲であり(例えば、30〜175μmの範囲であり(例えば、40〜175μmの範囲であり))、より好ましくは50〜150μmの範囲である(例えば、55〜125μmの範囲である(例えば、60〜100μmの範囲である))。最も好ましくは、平均粒子サイズは、70〜90μmの範囲である。
【0040】
本明細書において使用される場合、用語「平均粒子サイズ」は、本明細書において提供される実施例を参照して規定される。すなわち、平均粒子サイズは、レーザー回折測定に基づく。
【0041】
従来使用されるゼラチン粉末(例えば、Surgifoam(登録商標)Powder)は、以下の粒子サイズ分布を有する:
10体積%は、約90μm未満である、
50体積%は、約350μm未満である、そして
90体積%は、約700μm未満である。
【0042】
本明細書において記載される粒子は、好ましくは、少なくとも90体積%の粒子が、250μm未満(例えば、200μm未満(例えば、190μm未満))、より好ましくは180μm未満(例えば、170μm未満)の粒子サイズを有するような、粒子サイズ分布を有する。さらに、この粒子サイズ分布は、好ましくは、少なくとも90体積%の粒子が、5μmより大きい(例えば、10μmより大きい(例えば、12μmより大きい))、特に、15μmより大きい粒子サイズを有するような分布である。言い換えると、粒子サイズ分布は、好ましくは、少なくとも80体積%の粒子が、5〜250μm、好ましくは、5〜200μm(例えば、10〜190μm(例えば、12〜180μm))、特に、15〜170μmの粒子サイズを有するような分布である。
【0043】
個々のゼラチン粒子またはコラーゲン粒子は、球状であっても、非球状(例えば、「棒様」もしくは「薄片様」)であってもよく、そしてこれらは、図1Aおよび1Bに見られ得るように、「曲線状」であり得る。しかし、粒子の実際の物理的形態と関係なく、粒子に必要なことは、それらが優れた流動特性を示すべきであることであり、別の表現をすると、これらの粒子は、過度に凝集性であるべきではない。流動性は、例えば、流量(g/秒)に関して表現され得、そして特定の開口部直径を使用して、Ph.Eur.に記載されるように、標準化された漏斗において測定され得る。あるいは、Pharmaceutical Technology Europe, January 2004, pp.41−43においてFreemanによって記載されるように、Powder Flow Analyserにおいて凝集性が測定され得る。好ましくは、上述のPowder Flow Analyser法によって測定される場合、凝集指数(cohesion index)は、最大150(例えば、最大140(例えば、最大130))であり、より好ましくは、最大120(例えば、最大110)、特に、最大100(例えば、最大90(例えば、最大80、最大70、最大60もしくは最大50))である。
【0044】
さらに、本明細書において記載されるゼラチン粒子またはコラーゲン粒子は、適切な密度を有さなければならない。本明細書中で使用される場合、用語「密度」とは、Ph.Eur.において定義される、「注入密度(poured density)」、「タップ密度」または「粒子密度」をいう。一方で、粒子の密度は、粒子が創傷領域への適用の際に粉塵となる傾向を有するので、過度に低くあるべきではない。一方で、この密度は、流動特性を満たさないので、過度に高くあるべきではない。したがって、ゼラチン粉末またはコラーゲン粉末は、好ましくは、0.05〜0.3g/mlの範囲(例えば、0.06〜0.25g/mlの範囲(例えば、0.07〜0.20g/mlの範囲))の、より好ましくは、0.075〜0.15g/mlの範囲の、注入密度を有する。同様に、ゼラチン粉末またはコラーゲン粉末は、好ましくは、0.075〜0.4g/mlの範囲(例えば、0.1〜0.3g/mlの範囲(例えば、0.125〜0.25g/mlの範囲))の、より好ましくは、0.15〜0.25g/mlの範囲のタップ密度を有する。
【0045】
(乾燥形態のゼラチン粉末またはコラーゲン粉末)
本明細書中で記載される組成物は、通常、乾燥形態である。したがって、本発明の好ましい実施形態において、上記送達システムは、乾燥ゼラチン粉末または乾燥コラーゲン粉末を含む組成物を含む。
【0046】
本発明の状況において、用語「乾燥」とは、用語「粉末」もしくは「粒子」と組み合わせて使用される場合、ゼラチン粉末組成物またはコラーゲン粉末組成物中に、液体物質(例えば、液体の水、有機溶媒など)が存在しないことを意味する。したがって、溶液、分散液、懸濁液、ゲル、ペーストなどの形態にある組成物は、用語「乾燥粉末」または「乾燥粒子」によって包含されない。しかし、この粉末組成物は、(この粉末の流動特性が有害な影響を受けない限り)水分含有量を有し得る。代表的に、粉末の水(水分)含有量は、最大20%(w/w)(例えば、最大18%(w/w))、好ましくは最大16%(w/w)(例えば、最大15%(w/w))、より好ましくは、最大14%(w/w)(例えば、最大13%(w/w))、特に、最大12%(w/w)(例えば、最大11%(w/w))である。
【0047】
理解されるように、一旦組成物が創傷領域に噴霧される場合、粉末が適用部位に接着することが重要である(すなわち、組成物は、創傷領域に接着するのに十分に粘着性でなければならない)。したがって、本発明の興味深い実施形態において、上記組成物は、この組成物の接着特性を改善する因子をさらに含む。この組成物が、代表的に創傷部位に適用され、したがって患者の血流に侵入し得る場合、上述の因子が、血流に侵入する場合またはヒト組織と長時間接触する場合に、生体適合性である(すなわち、動物(例えば、ヒト)に対して非毒性である)ことが最も重要なことである。言い換えると、用語「生体適合性」とは、問題の因子が、害を生じることなく(すなわち、有害な副作用を生じることなく)、生きた組織もしくは器官と共存する能力を有することを意味する。
【0048】
組成物の接着特性(または粘着性)を改善し得る適切な因子は、当業者に周知である。適切な因子の1つの分類としては、糖類(例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「糖類」は、用語「単糖類」「二糖類」、「オリゴ糖」、および「多糖類」と同様に、それらの誘導体(例えば、1つ以上のアミノ糖単位を含有する糖類)をまた包含する。本発明の状況において、アミノ糖単位は、糖単位中における利用可能な少なくとも1つのヒドロキシ基が、アミノ基またはアルカノイル化アミノ基(例えば、アセチル化アミノ基)で置換されている糖単位である。したがって、1つ以上のグルコサミン単位および/またはN−アセチルグルコサミン単位を含む糖類が、やはり上述の用語によって包含されることが理解される。アミノ糖単位以外に、糖類は、非置換糖単位、または、例えば、アルコシキで置換された糖単位(例えば、2,3−ジメチルグルコース)もしくはアシルオキシで置換された糖単位を含み得る。
【0050】
単糖類の具体的な例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、トレオース、グロース、アラビノース、リボース、エリトロース、リキソース、ガラクトース、ソルボース、アルトロース、タロース(tallose)、イドース、ラムノース、アロース、およびそれらの誘導体(例えば、ペントサミン、グルコサミンもしくはN−アセチルグルコサミンのようなヘキソサミン、およびグルクロン酸(glucoronic acid))が挙げられる。特に、グルコースが好ましい。
【0051】
二糖類の具体的な例としては、スクロース、マルトース、ラクトース、セルビオース(cellubiose)、およびそれらの誘導体が挙げられる。特に、スクロースが好ましい。
【0052】
多糖類の具体的な例としては、グリコーゲン、キチン、キトサン、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。多糖類誘導体の具体的な例としては、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、およびケラタン硫酸);アミノ化デキストラン(DEAE−デキストランが挙げられる);アミノ化デンプン、アミノ化グリコーゲン、アミノ化セルロース、アミノ化ペクチン、ならびにこれらの塩、錯体、誘導体および混合物が挙げられる。
【0053】
本発明の興味深い実施形態において、上記組成物は、この組成物の接着特性を改善する因子をさらに含む。この因子は、グルコース、スクロース、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0054】
上記組成物の接着特性を改善する因子の他の例としては、炭化水素樹脂、ロジン樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。炭化水素樹脂は、ExxonMobilからEscorez(登録商標)の商品名で;EastmanからRegalite(登録商標)、Piccotac(登録商標)およびPicco(登録商標)の商品名で;BPからIndopol(登録商標)の商品名で、またはArkon(登録商標)の商品名で、市販されている。ロジンエステルの例としては、水素化ウッドロジン(wood rosin)のエステル(例えば、水素化ウッドロジンのペンタエリスリトールエステル)、部分的に水素化されたウッドロジンのエステル(例えば、部分的に水素化されたウッドロジンのペンタエリスリトールエステル)、ウッドロジンのエステル、改変ウッドロジンのエステル、部分的に二量体化されたロジンのエステル、トール油ロジンのエステル、二量体化されたロジンのエステル、および同様のロジン、ならびにこれらの組み合わせおよび混合物が挙げられる。このようなロジンエステルは、商品名Foral(登録商標)、Foralyn(登録商標)、Pentalyn(登録商標)、Permalyn(登録商標)、およびStaybelite(登録商標)として市販されている。
【0055】
上記組成物の接着特性を改善する因子のさらなる例としては、Gum Karaya(ときには、Sterculia gumとして知られる)、Gum Arabicum、Gum Karrageenan、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、Manuba Honey、カゼイン、アルギン酸塩、または脂肪酸エステル(例えば、WO95/26715に開示される脂肪酸エステル)が挙げられる。
【0056】
したがって、本発明の興味深い実施形態において、上記組成物は、この組成物の接着特性を改善する少なくとも1つの因子を含む。明らかに、因子の正確な量は、どの特定の因子が使用されているかに依存して変動し得る。しかし、上記組成物は、代表的に、この組成物の総重量に基づいて、0.1〜50%(w/w)の因子を含む。好ましくは、そして特に、組成物の接着特性を改善する因子が糖類である場合、この組成物は、この組成物の総重量に基づいて、1〜25%(w/w)(例えば、5〜20%(w/w)(例えば、5〜15%(w/w)、5〜10%(w/w)、もしくは10〜15%(w/w))を含む。
【0057】
上記因子は、当業者に周知の方法によって組成物に適用され得る。例えば、この因子はゼラチン粉末とコラーゲン粉末との混合物中にあり得るか、および/またはこの因子は、ゼラチン粉末もしくはコラーゲン粉末の表面上にコーティングされ得る。
【0058】
上記組成物は、さらなる物質(例えば、凝固因子、抗フィブリン溶解剤、界面活性剤、治癒を促進する成長因子、抗菌剤、凝固を助けるカルシウムイオン、アドレナリン、もしくは血管を収縮させ得る他の物質)を含み得る。
【0059】
凝固因子の具体的な例としては、トロンビン、フィブリノーゲン、アプロチニン、フィブロネクチン、第XIII因子、第VII因子、第VIII因子、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される凝固因子が挙げられる。このような化合物は、任意の哺乳動物起源のもの(例えば、ブタ起源、ヒト起源のもの)であり得るか、または当業者に周知の方法による組み換え手段によって得ることができる。ゼラチンおよびコラーゲンは凝固因子としてみなされないことが、理解される。
【0060】
抗フィブリン溶解剤は、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、アプロチニン、ペプスタチン、ロイペプチン、アンチパイン、キモスタチン、ガベキサート、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。存在する場合、抗フィブリン溶解剤は、好ましくは、トラネキサム酸である。
【0061】
抗菌剤は、殺菌剤または静菌剤(例えば、抗生物質およびスルホンアミド)、抗ウイルス化合物、抗真菌剤、ならびに抗感染剤から選択され得る。抗生物質は、例えば、β−ラクタム、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、マクロライド、ポリミキシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム(thrimethoprim)、アミノグリコシド、クリンダマイシンおよびメトロニダゾールから選択され得る。スルホンアミドは、例として、スルファジミジンもしくはスルファジメトキシンから選択され得る。抗真菌剤は、アンホテリシンB、ケトコナゾールおよびミコナゾールから選択され得る。;そして、抗ウイルス剤は、イドクスウリジンおよびアジドチミジンから選択される。適切な抗感染剤は、例として、ハロゲン、クロロヘキシジン、および四級アンモニウム化合物から選択され得る。殺菌化合物または静菌化合物の他の例としては、銀イオン(特に銀イオン錯体の形態)が挙げられる。
【0062】
界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および表面活性生物学的修飾因子(surface active biological modifier)からなる群より選択され得る。
【0063】
陰イオン界面活性剤の例としては、以下からなる群より選択される界面活性剤が挙げられる:ラウリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびこれらの塩、グリセリルエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸およびこれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム。特に、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0064】
陽イオン界面活性剤の例としては、四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、および塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムからなる群より選択される界面活性剤が挙げられる。
【0065】
非イオン性界面活性剤の例としては、以下からなる群より選択される界面活性剤が挙げられる:ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween 80)、モノステアリン酸グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリセロール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポロキサミン(polaxamine)、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン。
【0066】
表面活性生物学的修飾因子の例としては、例えば、アルブミンおよびカゼインが挙げられる。
【0067】
しかし、本発明の好ましい実施形態において、上記組成物は、このようなさらなる物質を含まない(すなわち、この組成物は、凝固因子、抗フィブリン溶解剤、界面活性剤、および/または抗菌剤を含まない)。
【0068】
本発明の1つの興味深い実施形態において、調製物は、水分および/または水に不適合である因子を含む。この実施形態は、乾燥粉末およびこの粉末と組み合わされて使用直前にペーストを形成する液体の両方を含む。このような実施形態において、上記乾燥粉末および液体は、保存下では別々に保たれる。上記乾燥成分と液体成分とは、同じパッケージ中に含まれ得るが、まだ保存下で接触することなく保たれる。この水分および/または水に不適合である因子は、抗菌剤、多糖類またはタンパク質であり得る。この組成物は、保存下で乾燥形態であり、安定性を改善する。この組成物は、使用直前に水と接触させられ得る。
【0069】
ゼラチンまたはコラーゲンのスポンジ、特に、ゼラチンの硬化スポンジ(例えば、市販のSpongostan(登録商標)スポンジおよびSurgifoam(登録商標)スポンジ)またはコラーゲンの硬化スポンジは、当該分野で周知の方法によって微粉化され得る。したがって、本明細書において記載された組成物は、例えば、当業者に公知の任意の適切な微粉化技術(例えば、ロータリーベッド(rotary bed)、押出し、強力ミキサーにおける顆粒化および処理、ミリング(例えば、ハンマーミルもしくは遠心ミルを使用することによる)、または噴霧乾燥によって調製され得る。
【0070】
ゼラチン粉末組成物またはコラーゲン粉末組成物は、好ましくは、放射線(例えば、β線)の適用によって滅菌処理に供される。その線量は、代表的に、20〜60kGy(例えば、25kGy)の範囲にわたる。
【0071】
上記に示したように、本明細書中に記載されるゼラチン粉末組成物および/またはコラーゲン粉末組成物は、医薬として使用され得る。したがって、さらなる局面において、本発明は、止血を必要とする患者において止血を促進する方法に関し、上記方法は、本明細書において規定される組成物を、出血が起こっている領域の少なくとも一部分に噴霧する工程を包含する。なおさらなる局面において、本発明は、止血を促進するための、本明細書中において規定される組成物の製造のための、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末の使用に関し、上記組成物は、出血が起こっている領域の少なくとも一部分に噴霧される。
【0072】
粉末組成物は、表面に直接適用され得、そして必要に応じて、上記表面に適用された後に、圧力によって(例えば、スポンジ、パッド、包帯、網、フィルムなどによって、または医療行為において通常使用される他の材料によって)適正に保持される。創傷領域に適用された後に組成物を適正に保持する為の好ましい材料は、必要に応じて生理食塩水中で湿らせた、外科用ガーゼまたは綿ガーゼである。
【0073】
本発明の粉末送達システムは、出血の制御が所望される一連の外科用手順において使用され得る(とりわけ、例えば、整形外科手順において、例えば、椎弓切除術、全股関節置換、股関節修復、膝手術、脊椎固定などと関連して;心胸郭/心血管手順において、例えば、CABG、弁置換、大動脈(aotic)手術、腹大動脈瘤、頸動脈内膜切除、および大腿−膝窩バイパスに関連して、使用され得る)。
【0074】
(ゲルの形態のゼラチンまたはコラーゲン)
本発明の別の興味深い実施形態において、上記組成物は、ゲルの形態である。
【0075】
用語「ゲル」は、「ペースト」、「懸濁液」などのような語と交換可能に使用され得る。本発明の状況において、用語「ゲル」とは、固体、または液体媒体中に固体材料が分散した半固体分散系をいう。この固体材料はまた、ゲル形成剤とも称され得る。さらに、ゲルは、水の動粘性率よりも高い動粘性率を有することによって、特徴付けられる。
【0076】
理解されるように、ゲルの固体材料(またはゲル形成剤)は、本明細書において開示されるゼラチン粒子またはコラーゲン粒子である。あるいは、この固体材料は、本明細書において開示されるゼラチン粒子とコラーゲン粒子との混合物であり得る。
【0077】
このゲルは、本明細書において開示されるゼラチン粒子またはコラーゲン粒子を、液体媒体中、特に水性媒体中に懸濁することによって得ることができる。代表的に、ゼラチンまたはコラーゲン1gあたり約1〜20mlの液体媒体が利用される(好ましくは2〜18ml/g(例えば、3〜16ml/g(例えば、4〜14ml/g))、より好ましくは6〜14ml/g、特に8〜12ml/g)。
【0078】
上述のように、液体媒体は、好ましくは、水性媒体である。より好ましくは、この水性媒体は、その中に溶解された塩(例えば塩化ナトリウム)を含む。最も好ましくは、この水性媒体は、生理食塩水である。
【0079】
理解されるように、一旦組成物が創傷領域に適用される場合、この組成物が適用部位に接着することが重要である(すなわち、この組成物は、創傷領域に接着するのに十分に粘着性でなければならない)。したがって、本発明の興味深い実施形態において、組成物は、この組成物の接着特性を改善する因子をさらに含む。組成物は、代表的に、創傷領域に適用され、したがって患者の血流に侵入し得るので、上述の因子が、血流に侵入する場合またはヒト組織と長時間接触する場合に、生体適合性(すなわち、動物(例えば、ヒト)に対して非毒性)であることが最も重要なことである。言い換えると、用語「生体適合性」とは、問題の因子が、害を生じることなく(すなわち、有害な副作用を生じることなく)、生きた組織もしくは器官と共存する能力を有することを意味する。
【0080】
組成物の接着特性(または粘着性)を改善し得る適切な因子は、当業者に周知である。適切な因子の1つの分類としては、糖類(例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0081】
本明細書中で使用される場合、用語「糖類」は、用語「単糖類」「二糖類」、「オリゴ糖」、および「多糖類」と同様に、それらの誘導体(例えば、1つ以上のアミノ糖単位を含有する糖類)をまた包含する。本発明の状況において、アミノ糖単位は、糖単位中における利用可能な少なくとも1つのヒドロキシ基が、アミノ基またはアルカノイル化アミノ基(例えば、アセチル化アミノ基)で置換されている糖単位である。したがって、1つ以上のグルコサミン単位および/またはN−アセチルグルコサミン単位を含む糖類が、やはり上述の用語によってまた包含されることが理解される。アミノ糖単位以外に、糖類は、非置換糖単位、または、例えば、アルコシキで置換された糖単位(例えば、2,3−ジメチルグルコース)もしくはアシルオキシで置換された糖単位を含み得る。
【0082】
単糖類の具体的な例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、トレオース、グロース、アラビノース、リボース、エリトロース、リキソース、ガラクトース、ソルボース、アルトロース、アロース、イドース、ラムノース、アロース、およびそれらの誘導体(例えば、ペントサミン、グルコサミンもしくはN−アセチルグルコサミンのようなヘキソサミン、およびグルクロン酸(glucoronic acid))が挙げられる。特に、グルコースが好ましい。
【0083】
二糖類の具体的な例としては、スクロース、マルトース、ラクトース、セルビオース(cellubiose)、およびそれらの誘導体が挙げられる。特に、スクロースが好ましい。
【0084】
多糖類の具体的な例としては、グリコーゲン、キチン、キトサン、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。多糖類誘導体の具体的な例としては、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、およびケラタン硫酸);アミノ化デキストラン(DEAE−デキストランが挙げられる);アミノ化デンプン、アミノ化グリコーゲン、アミノ化セルロース、アミノ化ペクチン、ならびにこれらの塩、錯体、誘導体および混合物が挙げられる。
【0085】
本発明の興味深い実施形態において、上記組成物は、この組成物の接着特性を改善する因子をさらに含む。この因子は、グルコース、スクロース、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0086】
上記組成物の接着特性を改善する因子の他の例としては、炭化水素樹脂、ロジン樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。炭化水素樹脂は、ExxonMobilからEscorez(登録商標)の商品名で;EastmanからRegalite(登録商標)、Piccotac(登録商標)およびPicco(登録商標)の商品名で;BPからIndopol(登録商標)の商品名で、またはArkon(登録商標)の商品名で、市販されている。ロジンエステルの例としては、水素化ウッドロジンのエステル(例えば、水素化ウッドロジンのペンタエリスリトールエステル)、部分的に水素化されたウッドロジンのエステル(例えば、部分的に水素化されたウッドロジンのペンタエリスリトールエステル)、ウッドロジンのエステル、改変ウッドロジンのエステル、部分的に二量体化されたロジンのエステル、トール油ロジンのエステル、二量体化されたロジンのエステル、および同様のロジン、ならびにこれらの組み合わせおよび混合物が挙げられる。このようなロジンエステルは、商品名Foral(登録商標)、Foralyn(登録商標)、Pentalyn(登録商標)、Permalyn(登録商標)、およびStaybelite(登録商標)として市販されている。
【0087】
上記組成物の接着特性を改善する因子のさらなる例としては、Gum Karaya(ときには、Sterculia gumとして知られる)、Gum Arabicum、Gum Karrageenan、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、Manuba Honey、カゼイン、アルギン酸塩、または脂肪酸エステル(例えば、WO95/26715に開示される脂肪酸エステル)が挙げられる。
【0088】
上記組成物は、さらなる物質(例えば、凝固因子、抗フィブリン溶解剤、界面活性剤、保存料、可溶化剤、治癒を促進する成長因子、抗菌剤、凝固を助けるカルシウムイオン、アドレナリン、もしくは血管を収縮させ得る他の物質)を含み得る。
【0089】
凝固因子の具体的な例としては、トロンビン、フィブリノーゲン、アプロチニン、フィブロネクチン、第XIII因子、第VII因子、第VIII因子、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される凝固因子が挙げられる。このような化合物は、任意の哺乳動物起源のもの(例えば、ブタ起源、ヒト起源のもの)であり得るか、または当業者に周知の方法による組み換え手段によって得ることができる。ゼラチンおよびコラーゲンは凝固因子としてみなされないことが、理解される。
【0090】
抗フィブリン溶解剤は、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、アプロチニン、ペプスタチン、ロイペプチン、アンチパイン、キモスタチン、ガベキサート、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。存在する場合、抗フィブリン溶解剤は、好ましくは、トラネキサム酸である。
【0091】
抗菌剤は、殺菌剤または静菌剤(例えば、抗生物質およびスルホンアミド)、抗ウイルス化合物、抗真菌剤、ならびに抗感染剤から選択され得る。抗生物質は、例えば、β−ラクタム、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、マクロライド、ポリミキシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、トリメトプリム(thrimethoprim)、アミノグリコシド、クリンダマイシンおよびメトロニダゾールから選択され得る。スルホンアミドは、例として、スルファジミジンもしくはスルファジメトキシンから選択され得る。抗真菌剤は、アンホテリシンB、ケトコナゾールおよびミコナゾールから選択され得る。;そして、抗ウイルス剤は、イドクスウリジンおよびアジドチミジンから選択される。適切な抗感染剤は、例として、ハロゲン、クロロヘキシジン、および四級アンモニウム化合物から選択され得る。殺菌化合物または静菌化合物の他の例としては、銀イオン(特に銀イオン錯体の形態)が挙げられる。
【0092】
界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および表面活性生物学的修飾因子からなる群より選択され得る。
【0093】
陰イオン界面活性剤の例としては、以下からなる群より選択される界面活性剤が挙げられる:ラウリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびこれらの塩、グリセリルエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸およびこれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、グリコデオキシコール酸、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム。特に、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0094】
陽イオン界面活性剤の例としては、四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、および塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムからなる群より選択される界面活性剤が挙げられる。
【0095】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween 80)、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、多糖類、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される界面活性剤が挙げられる。
【0096】
表面活性生物学的修飾因子の例としては、例えば、アルブミンおよびカゼインが挙げられる。
【0097】
保存料の例としては、安息香酸、ソルビン酸、パラベン(例えば、メチル−p−ヒドロキシ安息香酸、エチル−p−ヒドロキシ安息香酸、プロピル−p−ヒドロキシ安息香酸、ブチル−p−ヒドロキシ安息香酸およびこれらの混合物)、ベンジルアルコール、クロルヘキシジンまたは塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
【0098】
可溶化剤の具体的な例としては、水混和性有機化合物(例えば、グリセロールまたはプロピレングリコール)が挙げられる。
【0099】
このようなゲルもしくはゲル様組成物は、当業者に周知の様式で、創傷領域に適用され得る。
【0100】
(粉末組成物のための送達システム)
粉末送達システムは、好ましくは、例えば、出血を停止するために、手術の間に外科医によって使用され得る手持ち式の送達システムである。
【0101】
適切な粉末送達システムは、粉末組成物(例えば、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末もしくはコラーゲン粉末を含有する組成物)を貯蔵する室を備える。この送達システムは、さらに、組成物を散布するためのサイズの少なくとも1つの放出開口部を備える。放出開口部は、好ましくは、特に、過剰摂取の危険性が避けられるように、表面(例えば、創傷、皮膚、器官など)に組成物を制御された量で散布するためのサイズであるべきである。
【0102】
送達システムは、単純なソルトシェイカー様デバイスであり得る。しかし、好ましい実施形態において、このデバイスは、組成物の散布のための細長の先端を備え、それによって、この組成物を、出血領域の正確な場所に、そしてさらに、限定された空間領域中に、より正確かつ迅速に適用することが可能である。最も適切な先端が、組成物の特定の用途のために選択され得るように、この先端は交換可能であり得る。この先端の開口部は、代表的に、0.05mm〜5mm、好ましくは、0.05mm〜4mm(例えば、0.05mm〜3mm(例えば、0.075mm〜2.5mm(例えば、約1mm、約1.5mmまたは約2.0mm)))の直径を有する。
【0103】
送達システムは、動力を備え得、そして、例えば、穴を有するプレートを回転させて、放出開口部における対応する穴に合わせる電気モーターを備える。しかし、好ましい実施形態において、送達システムは、例えば、このシステムを振るかまたは圧搾することによって手動で操作可能であり、それによって、システムのコストおよび複雑さを最小限に抑える。
【0104】
あるいは、もしくは加えて、送達システムは、弾性の壁部分またはベロー(bellow)を備え、その結果、弾性の壁部分またはベローは、放出開口部を通して室から組成物を放出するように圧迫され得る。これは、費用効果が高く、単純な実施形態であり、そして、さらに、直観的であり、かつ使いやすい。さらに、放出開口部は固定されたままであるので、組成物は、非常に正確に表面へと放出され得る。
【0105】
当業者に明らかであるように、送達システムは、弾性の壁部分またはベローを圧迫するための、ある種の電動機構を備え得る。しかし、好ましい実施形態において、弾性の壁部分またはベローは、手動で(例えば、指の圧により)、組成物の少なくとも一部を放出するように作動されるように適合される。
【0106】
送達システムは、当業者に公知の、従来の方法で製造され得る。このシステムは、好ましくは、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンのような、1種以上の適切な可塑性材料から作製される。このシステムの寸法は、実際の設計に依存して、変動し得る。しかし、このシステムは、なお片手によって手動で作動可能であるべきであることが重要である。代表的には、総量0.5g〜5g(例えば、1g〜3g)の粉末組成物が、この送達システム内に充填される。
【0107】
本発明の特に好ましい実施形態において、送達システムは、さらに、放出開口部に配置された保護構造体を備え得る。これにより、放出開口部が、少なくともある程度、周囲から隔離されることが達成される。このことは、次いで、送達システムが、外科手術と組み合わせて使用される場合に有利であり、ここで、汚染、特に、血液の凝固に起因する放出開口部の目詰まりが、最小限にされ得るか、または、完全に回避され得る。
【0108】
保護構造体は、種々の方法で構築され得る。保護構造体は、放出開口部を囲み得るが、図4に示されるような比較的開放的な構造を有し得る。
【0109】
あるいは、保護構造体は、放出開口部を囲み得、そして、格子の形態であり得る。好ましい実施形態において、保護構造体は、放出開口部から突出するように配置されたスカート部分である。
【0110】
保護構造体は、送達システムと同じ材料から作製され得、そして、保護構造体は、送達システムの一体になった部分を形成し得るか、または、保護構造体は、送達システムの、一体になっていない部分(例えば、取り外し可能な部分)であり得る。
【0111】
上記のような保護構造体を備える送達システムは、それ自体が新規かつ特許性があると考えられるので、本発明はまた、粉末組成物を貯蔵するための室を持つ粉末送達システムにも関する。上記室は、上記組成物を散布するためのサイズの少なくとも1つの放出開口部と、この放出開口部に配置された保護構造体とを備える。
【0112】
上記送達システムは、好ましくは、本明細書中で前述されたような、ゼラチンもしくはコラーゲンの粉末組成物を含むことが理解される。しかし、送達システムは、止血目的に適したあらゆる粉末組成物を含み得る。
【0113】
本発明の実施において有用な特定の材料の例は、多糖類、セルロース誘導体、ポリマー(天然および合成)、無機酸化物、セラミック、ゼオライト、ガラス、金属および複合材料の分類内からの材料を含む。好ましい材料は、当然無毒性であり、無菌の供給物として提供される。粒子状の多糖類は、デンプン、セルロースおよび/またはペクチンとして提供され得、そして、キチン(例えば、エビ、カニおよびロブスターから供給される動物)もなお使用され得る。糖類とタンパク質との会合(糖タンパク質(特に、糖レクチン)を形成する)としてか、または、糖類と脂質との会合(糖脂質)として記載される、グリコサッカリド(glycosaccharide)または複合糖質もまた、有用である。これらの複合糖質は、細胞膜内のオリゴマー性糖タンパク質であるようである。
【0114】
セラミック材料は、無機酸化物(例えば、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化セシウム、酸化アルミニウム、および他の金属元素、アルカリ土類元素、遷移元素もしくは半金属化学元素の酸化物、ならびにこれらに混合物)のコロイド分散系を、焼結するか、または、ゾル−ゲル濃縮するか、または、脱水することによって提供され得る。無機酸化物粒子の最初の分散サイズまたはゾルのサイズ、脱水の速度、脱水が生じる温度、組成物内のせん断速度、および、脱水の期間を選択することによって、粒子の空隙率およびそのサイズは、当業者の技術によって容易に制御され得る。
【0115】
セルロース誘導体粒子に関して、天然セルロースまたは合成セルロース(酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酸化セルロースおよびこれらの塩(特に、これらのカルシウム塩)を含む)、ならびに、セルロースベースの材料の繊維および微小繊維が、本発明に従って使用され得る。
【0116】
材料が、セルロース製であっても他の組成物であっても、特定の用途には大き過ぎ得るサイズを有する場合、これらの粒子は、適切なサイズまで研磨もしくは製粉され得ることが理解される。これは、直接乳鉢−乳棒混合(direct mortar and pestle milling)、ボールミル(ball milling)、粉砕(crusing)(力が全ての空隙を圧迫して除かない限り)、流動床脱凝集(fluidised bed deaggregation)およびサイズ減少、ならびに、任意の他の利用可能な物理的プロセスによってなされ得る。
【0117】
特に興味深く、市販されている材料は、多糖ビーズ(例えば、Sephadex(登録商標)ビーズとしてPharmacia Labsより入手可能なデキストランビーズ)を含む。これらは、通常、損傷した組織の除去および閉じた創傷からの瘢痕組織の除去を助けるために、表面の挫滅組織切除を補助するものとして、外科手術において使用される。以下に、デバイスが、図面を参照してより徹底的に説明される。
【0118】
図2は、本発明に従う粉末送達システムのスケッチである。
【0119】
図3は、送達システムの代替的な実施形態である。
【0120】
図4は、送達システムのための保護構造体のスケッチである。
【0121】
図2は、本発明に従う送達システムの単純な実施形態を模式的に例示する。送達システム(1)は、組成物(3)を貯蔵する室(2)を備え、組成物(3)は、ゼラチン粉末もしくはコラーゲン粉末を含み、そして、この室(2)は、少なくとも1つの放出開口部(4)を有する。図示される送達システム(1)は、さらに、シフト(5)を有するプラグを備える。当業者に理解されるように、室(2)内の組成物(3)は、送達システムを逆さまに回転させ、そして、必要に応じて、または簡便には、このシステムを振ることによって、散布され得る。組成物(3)は、次いで、重力の影響により、放出開口部(4)およびシフト(5)を通って室(2)を出る。図示されるように、この送達システムは、さらに、延長したノズルまたは細長の先端(6)を備え得、この延長したノズルまたは細長の先端(6)は、さらに、再び密閉できるキャップ(7)を提供され得る。室(2)は、弾性もしくは可撓性の材料(例えば、プラスチック)の壁(8)を有し得、従って、例えば、片手のみの指で、壁(8)を内向きに圧搾して、室(2)から組成物(3)を出させることが可能である。
【0122】
送達システム1の代替的な実施形態が、図3に示される。送達システム(1)は、組成物(3)を含む室(2)およびベロー(9)を備え、このベロー(9)は、圧搾されたときに、空気圧を生じて、室(2)に空気を通し、そして、組成物(3)を、延長されたノズルに駆動して、放出開口部(4)から外に出す。送達システム(1)は、空気を外側からベロー(9)に入れるために、図示されるような一方向入口弁(10)を提供され得る。送達システム(1)は、さらに、粉末がベロー(9)内に吸い込まれないことを保証するために、一方向出口弁(11)を提供され得る。
【0123】
特定の距離を開けるための保護構造体(special distance protective structure)が図4に例示される。図示される実施形態は、脚(13)により支持されるリング(12)を備え、従って、延長したノズルの放出開口部(4)は、表面に接し得ない。あるいは、保護構造体は、放出開口部(4)に取り付けられたスカート(図示されず)であり得、上記スカートは、延長したノズルの放出開口部(4)の前に延びている。
【0124】
送達システムのさらなる局面は、ペン様デバイスの形態である。このペン様デバイスは、薬剤の加圧送達に適したデバイスであり、このデバイスにおいて、送達は、ピストンを出口の方向に推進するために、中空膜内に位置する鋸歯状のピストンの鋸歯状の縁部と係合された弓形張出し(bow)を圧迫する際に、中空の部材の出口を通り、上記係合は、上記中空の管状膜内の開口部を通る。係合した弓形張出しの圧迫により、ピストンが、弓形張出しの半径により規定される距離だけ出口の方向に推進され、薬剤を送達する。圧迫の開放により、弓形張出しが、より高い位置エネルギーのその曲がった位置に戻り、そして、ピストンの第2の鋸歯状縁部と再度係合することが可能となり、上記第2の鋸歯状の縁部は、ピストン上で、出口から離れて位置している。
【0125】
記述したように、送達は、鋸歯状の縁の間隔に呼応して、弓形張出しの半径により規定される限定容量でなされる。圧迫の程度は、鋸歯状のピストンが、1〜4鋸歯(例えば、1、2、3もしくは4の鋸歯、好ましくは、1、2および3の鋸歯、より好ましくは、1および2の鋸歯)の距離だけ突出する程度であり得る。例えば、完全な圧迫により、ピストンは、2鋸歯の距離だけ推進し、わずかな圧迫により、ピストンは、1鋸歯の距離だけ推進する。弓形張出しがその静止位置である、最大位置エネルギーの位置に戻るために、弓形張出しは、ピストン上で、出口から離れて位置する鋸歯と再び係合しなければならない。
【0126】
中空の部材は、送達されるべき薬剤に適切かつ適した内径を有する中空の管状部材であり得る。この薬剤は、液体、固形顆粒、粉末、ペースト、懸濁物またはエマルジョンの形態などの多数の形態であり得る。
【0127】
代表的な実施形態において、弓形張出しの半径は、1回の完全な圧迫あたり、0.05〜2ml(代表的には、0.075〜1ml、より代表的には、0.1〜0.5ml(例えば、0.1ml、0.2ml、0.3ml、0.4mlおよび0.5ml))の容量を送達するために、そのアーチの圧迫が、鋸歯状のピストンの突出を生じるようなものである。
【0128】
本発明者らは、この送達が、従来のデバイスと比べて高圧であり、そして、50〜200N(例えば、75〜200N、代表的には100〜180N)の圧力での粉末状の薬剤の送達に適切であることを見出した。
【0129】
ペン様デバイスの弓形張出しは、代表的に、例えば、親指による圧迫によって、同時にデバイスを保持および使用しやすくするように、中空の部材の長手軸に沿って位置している。図8は、ペン様デバイスの例示的な実施例を図示する。
【0130】
本発明は、さらに、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例】
【0131】
(実施例1A−微粉化されたゼラチン粉末の調製)
ゼラチン粉末を、10,000rpmの速度を使用して、80mmのスクリーンサイズを有するRetsch Centrifugal Millにて生成した。硬化し、滅菌したゼラチンスポンジ(Spongostan(登録商標))を、0.5cmの片に切断し、約750mgの物質を、一度に粉砕した(スクリーンがいっぱいになるまで)。各粉砕ラウンドの後に、スクリーンを冷却し、そして、減圧クリーナーで掃除した。続いて、ゼラチン粉末をβ線照射(約25kGy)により滅菌した。
【0132】
得られた粉末のSEM像を、図1Aに示す(倍率500倍)。
【0133】
(実施例1B−微粉化されたゼラチン粉末の調製)
ゼラチン粉末を、4,500rpmの速度を使用して、74μmのスクリーンサイズを有するFitzpatrick Hammer Mill RP−M5Aにて生成した。硬化し、滅菌したゼラチンスポンジ(Spongostane(登録商標))を、3×7cmの片に切断した。粉砕後、ゼラチン粉末を、β線照射(約25kGy)によって滅菌した。
【0134】
得られた粉末のSEM像を、図1Bに示す(倍率500倍)。
【0135】
(実施例2−粒子サイズの決定)
実施例1Aおよび1Bにおいて調製したゼラチン粉末のサンプルについて、粒子サイズ分布の決定を、以下の機器および設定を用いるレーザー回折により実施した:
【0136】
【表1】

図5および6は、粒子サイズ分布のグラフ表示を与える。認められ得るように、両方のサンプルについての平均粒子サイズは、約80μmであった。
【0137】
2つのサンプルの体積サイズ分布には、以下のパーセンタイルが見られた:
【0138】
【表2】

(実施例3−水含量の決定)
実施例1Aおよび1Bにおいて調製したゼラチン粉末サンプル中の水含量の決定を、Ph.Eur.に記載される「Loss On Drying」法により実施した。サンプルを、Mettler Infrarottrockner LP16を用いて、100℃にて30分間分析した。データを、1分おきに収集した。
【0139】
2つのサンプルにおいて、以下の水含量が見られた:
【0140】
【表3】

(実施例4−見かけ上の密度および粒子密度の決定)
実施例1Aおよび1Bにおいて調製したゼラチン粉末サンプルの見かけ上の密度(タップ密度および注入密度)の決定を、Ph.Eur.に記載される方法に従って実施した。
【0141】
以下の密度が見られた:
【0142】
【表4】

実施例1Bにおいて調製したゼラチン粉末サンプルの粒子密度の決定を、Ph.Eurに記載される比重びん密度法に従って実施した。
【0143】
【表5】

(実施例5−固有表面積の決定)
実施例1Aおよび1Bにおいて調製したゼラチン粉末サンプルの固有の表面積の決定を、以下の条件を用いて、窒素吸着により実施した:
【0144】
【表6】

以下の表面積が見られた:
【0145】
【表7】

(実施例6−湿潤性および生理食塩水の吸収)
(湿潤性)
湿潤性を、湿式プロセスを行なっている間に、マクロスコープ(macroscope)下で評価した。慣習的に使用されているSurgifoam(登録商標)Powderを、本発明に従う粉末と比較した。粉末の均質な層を達成するために、Vacuum Dispensing Unitによって、各粉末を別個の顕微鏡ガラススライド上に適用した。
パラメーター:
マクロスコープ:Meiji UniMac Zoom Macroscope
光源:Schot KL1500 Electronic(レベル3)
二腕ライトワイヤ:Fibre Optic Eluminator(2方向からの光)
カメラ:Sony XC−75CEシリーズ番号94154(黒/白)
ソフトウェア:Piccolo Capture Driver バージョン1.6、MCMデザイン。
【0146】
顕微鏡ガラススライドを、マクロスコープ下に置き、0秒の時点で、写真を撮った。生理食塩水の液滴(35μl)を載せた後、2秒ごとに写真を撮った。拡大係数は、0.7倍の拡大であり、そして、対物レンズは、2.5倍の拡大であり、結果的に、1.75倍の拡大であった。
【0147】
0秒の時点での図9は、生理食塩水を載せる前の、本発明に従う乾燥粉末を示す。2秒の時点で、生理食塩水の液滴を粉末に載せた。生理食塩水の液滴は、2秒の時点で、暗いゾーンとして認識され得る。液滴が落ちたゾーンから、その液滴は、4秒で、リング状に広がり始めた。このリングは、以後の時点で認識されるように、広がり続けた。リングが広がるにつれて、広がった生理食塩水の液滴により取り囲まれるゾーンは、粉末のぬれに起因して、連続的に暗くなる。
【0148】
0秒の時点での図10は、生理食塩水を載せる前の、Surgiform(登録商標)Powderを示す。2秒の時点で、生理食塩水の液滴を同様にこの粉末に載せた。液滴は、液滴が落ちた部分的に暗いゾーンとして認識され得る。本発明に従う粉末と比較した場合、顕著な差がある。なぜならば、液滴によって取り囲まれるゾーン内に、ぬれていない粉末がなお残っているからである。Surgiform(登録商標)Powderにおいては、生理食塩水の液滴の広がりは、144秒後においてもなお見られず、すなわち、液滴ゾーンの直径は、大きくならない。さらに、液滴の落下点にある粉末のみが、部分的にぬれていることに注意すべきである。
【0149】
湿潤性の研究から得られた結果を、以下の表にまとめる。
【0150】
【表8】

上の結果、ならびに図9および10から、本発明に従う粉末の湿潤性が、有意に改善されていることは明らかである。
【0151】
(生理食塩水の吸収)
吸収された生理食塩水の量を、0.5分間、2分間および5分間、粉末を生理食塩水に曝露した後に秤量することによって決定した。本発明に従う粉末によって吸収された生理食塩水の量を、Surgifoam(登録商標)Powderによって吸収された量と比較した。得られた結果を、以下の表にまとめる。
【0152】
【表9】

上記の結果は、本発明に従う粉末が、Surgifoam(登録商標)Powderよりも速く生理食塩水を吸収し、そして、その吸収能がより高いことを示す。従って、本発明に従う粉末の吸収特性は、有意に改善されている。
【0153】
(実施例7−ヒトからの血液における、インビトロ凝固試験)
実施例1Aにおいて上記されたように調製したゼラチン粉末のインビトロ凝固特性を調べた。「試験粉末I」と名づけた試験粉末を、25kGyのβ線照射により滅菌し、一方で「試験粉末II」と名づけた試験粉末を、55kGyのβ線照射により滅菌した。
【0154】
各試験粉末のサンプル(30mg)を、チューブに入れ、そして、試験粉末30mg/血液1mlの割合を用いて、新鮮なヒトの血液(1ml)を上に載せた。チューブを、37℃に水浴に置き、一定に振盪した。
【0155】
完全な凝固が起こるのに必要な時間を、各サンプルについて記録した。
【0156】
未処理のコントロール、ネガティブコントロール(ネガティブコントロールであるプラスチックの片で処理した)およびポジティブコントロール(Fuller’s Earthで処理した)もまた試験した。
【0157】
各試験粉末およびコントロールを、4人の異なるヒトからの血液を用いて1度にアッセイした。
【0158】
(結果)
【0159】
【表10】

上の凝固データから見られ得るように、ゼラチン粉末組成物は、優秀な凝固特性を示し、その凝固時間は、未処理コントロールの凝固時間の30〜50%の範囲であった。
【0160】
(実施例8−ブタ脾臓モデルにおける、止血効果の評価)
本研究の目的は、ブタ(雌ブタ、35kg)の脾臓に作製した、小さな、大量に出血している切開に対して適用した場合の、実施例1Aおよび1Bにおいて調製したゼラチン粉末(2種の異なる接着剤(グルコース1水和物およびスクロース)ありなし)のインビボ効果を比較することであった。目的はさらに、出血あたりに必要とされる粉末の量に関する知識を得ることであった。
【0161】
この動物実験の狙いは、接着成分なしか、または2種の異なる接着成分のうち1つを添加した乾燥吸着性ゼラチン粉末の効果を比較することであった。吸着性のゼラチン粉末を、ブタの脾臓に作製した、大量に出血している切開に対して乾燥状態で適用した。
【0162】
(実験の設計)
粉末を、試験期間の間に、脾臓の複数の外科的切開に適用した。記録した時間の比較分析を行い、各試験を2回繰り返した。ブタに麻酔をかけ、麻酔から回復できないようにした。
【0163】
(サンプルの調製)
出血の程度に依存して、切開領域を、粉末の1g容器の一部または全含量のいずれかで処置した。止血を得るために適切な粉末の量を、全ての辺から約10mmの余裕をもって適用した。
【0164】
(外科的手順)
主な試験パラメーターは、止血の時間を測定するためのものであった。
【0165】
腹部中央の切開を作製して、脾臓を露出した。切開のサイズは、長さ1.5cmおよび深さ2mmであった。
【0166】
合計13の切開をブタの脾臓に作製し、このうち1つの切開を、デジタル式の圧力(digital pressure)およびぬれガーゼを用いて、一貫した出血のあることを示すためのネガティブコントロールとして使用した。
【0167】
試験粉末に、可能な限り迅速に、かつ深く、デジタル式の圧力を2分間適用した。止血の評価を、止血が30秒間で達成されるまで、さらに30秒のデジタル式の圧力を加えながら、30秒ごとに行った。止血剤の非存在下で、12分を超える一貫した出血のあることを示すために、生理食塩水で湿らせたガーゼを用いたネガティブコントロールを、試験の開始時に行った。
【0168】
試験された止血剤の特徴を扱う例を提供するために、30秒ごとに、手順の前、間および後に、これらの手順を記録する写真を撮った。ネガティブコントロールの写真は、12分まで撮る。
【0169】
(結果)
得られた結果を以下の表に示す。さらに、得られたデータを、図7に図式的に示す。
【0170】
【表11】

ゼラチン粉末組成物は、12分以内に止血に達しなかったネガティブコントロールと比べ、3.0分の平均時間で止血を達成した。しかし、2つの異なる接着成分ありの試験物品と、接着成分なしの試験物品との間には差はなかった。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1A】記載なし。
【図1B】記載なし。
【図2】図2は、本発明に従う粉末送達システムのスケッチである。
【図3】図3は、送達システムの代替的な実施形態である。
【図4】図4は、送達システムのための保護構造体のスケッチである。
【図5】図5は、粒子サイズ分布のグラフ表示である。
【図6】図6は、粒子サイズ分布のグラフ表示である。
【図7】記載なし。
【図8】図8は、ペン様デバイスの例示的な実施例を図示する。
【図9】図9は、生理食塩水の液滴が表面上に適用された0〜82秒後の時点における、本発明のゼラチン粉末を図示する。この図は、実施例6に記載されたパラメーターに従って記録されている。
【図10】図10は、生理食塩水の液滴が表面上に適用された0〜144秒後の時点における、従来のゼラチン粉末(Surgifoam(登録商標)Powder)を図示する。この図は、実施例6に記載されたパラメーターに従って記録されている。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末送達システムであって、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末を含む組成物を貯蔵する室を含み、該室は、該組成物を散布するための大きさの、少なくとも1つの放出開口部を有する、送達システム。
【請求項2】
前記放出開口部が、表面に、制御された量で前記組成物を散布するための大きさである、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記組成物を散布するための細長い先端をさらに備える、請求項1または2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記送達システムが、手動で操作可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の送達システム。
【請求項5】
前記送達システムが、該システムを振ることによってかまたは圧搾することによって、手動で操作可能である、請求項4に記載の送達システム。
【請求項6】
前記送達システムが、弾性の室またはベローを備える、請求項1〜5のいずれかに記載の送達システム。
【請求項7】
前記弾性の室またはベローが、例えば、指圧によって、手動で作動されて、前記組成物の少なくとも一部分を放出するように適合されている、請求項6に記載の送達システム。
【請求項8】
前記放出開口部に配置された保護構造体をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の送達システム。
【請求項9】
前記保護構造体が、前記放出開口部から延びるように配置されたスカート部分である、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記組成物が、ゼラチンを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の送達システム。
【請求項11】
前記組成物が、コラーゲンを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の送達システム。
【請求項12】
前記組成物が、ゼラチンとコラーゲンとの混合物を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の送達システム。
【請求項13】
前記粉末が、20μm〜250μmの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項1〜12のいずれかに記載の送達システム。
【請求項14】
前記粉末が、前記粒子の少なくとも80体積%が15μm〜170μmの粒子サイズを有する、粒子サイズ分布を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の送達システム。
【請求項15】
前記粉末が、乾燥粉末である、請求項1〜14のいずれかに記載の送達システム。
【請求項16】
前記粉末の水分含有量が、最大で20%(w/w)であり、好ましくは、最大で15%(w/w)である、請求項15に記載の送達システム。
【請求項17】
前記粉末が、0.05g/ml〜0.3g/mlの範囲の注入密度を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の送達システム。
【請求項18】
前記組成物が、該組成物の接着特性を改善する因子をさらに含む、請求項1〜17のいずれかに記載の送達システム。
【請求項19】
前記因子が、スクロース、グルコース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項18に記載の送達システム。
【請求項20】
前記因子が、前記粉末と混合されている、請求項18または19に記載の送達システム。
【請求項21】
前記因子が、前記粉末の表面上にコーティングされている、請求項18または19に記載の送達システム。
【請求項22】
前記組成物が、該組成物の総重量で計算して0.1%〜50%(w/w)の前記因子を含む、請求項19〜21のいずれかに記載の送達システム。
【請求項23】
前記組成物が、凝固因子をさらに含む、請求項1〜22のいずれかに記載の送達システム。
【請求項24】
前記凝固因子が、トロンビン、フィブリノーゲン、アプロチニン、フィブロネクチン、第XIII因子、第VII因子、第VIII因子、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の送達システム。
【請求項25】
前記組成物が、凝固因子を含まない、請求項1〜22のいずれかに記載の送達システム。
【請求項26】
前記送達システムが、いかなる噴霧剤も含まない、請求項1〜25のいずれかに記載の送達システム。
【請求項27】
粉末送達システムであって、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末から構成される組成物を貯蔵する室を含み、該室は、該組成物を散布するための大きさの、少なくとも1つの放出開口部を有する、送達システム。
【請求項28】
前記送達システムが、請求項2〜9のいずれかで規定される、請求項27に記載の送達システム。
【請求項29】
前記粉末が、請求項13〜17のいずれかで規定される、請求項27または28に記載の送達システム。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
医薬として使用するための、請求項1〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
止血を必要とする患者において止血を促進する方法であって、該方法は、請求項1〜29のいずれかに記載の組成物を、出血が生じている領域の少なくとも一部分に噴霧する工程を包含する、方法。
【請求項33】
止血を促進するための、請求項1〜29のいずれかに記載の組成物の製造のための、少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粉末またはコラーゲン粉末の使用であって、該組成物は、出血が生じている領域の少なくとも一部分に噴霧される、使用。
【請求項34】
粉末送達システムであって、粉末組成物を貯蔵する室を含み、該室は、該組成物を散布するための大きさの少なくとも1つの放出開口部、および該放出開口部に配置された保護構造体を備える、送達システム。
【請求項35】
前記送達システムが、請求項2〜7のいずれかで規定される、請求項38に記載の送達システム。
【請求項36】
前記保護構造体が、前記放出開口部から延びるように配置されたスカート部分である、請求項35に記載の送達システム。
【請求項37】
少なくとも10μmの平均粒子サイズを有するゼラチン粒子またはコラーゲン粒子を含む組成物であって、該組成物は、ゲルの形態である、組成物。
【請求項38】
前記組成物が、ゼラチン1グラム当たりまたはコラーゲン1グラム当たり、1ml〜20mlの液体媒体を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、ゼラチン1グラム当たりまたはコラーゲン1グラム当たり、8ml〜12mlの液体媒体を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記液体媒体が、水性媒体である、請求項38または39に記載の組成物。
【請求項41】
前記水性媒体が、その中に溶解された塩化ナトリウムを含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記水性媒体が、生理食塩水である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物が、ゼラチン粒子を含む、請求項37〜42のいずれかに記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物が、コラーゲン粒子を含む、請求項37〜42のいずれかに記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が、ゼラチン粒子とコラーゲン粒子との混合物を含む、請求項37〜42のいずれかに記載の組成物。
【請求項46】
前記粒子が、請求項13〜17のいずれかで規定される、請求項37〜45のいずれかに記載の組成物。
【請求項47】
医薬として使用するための、請求項37〜46のいずれかに記載の組成物。
【請求項48】
止血を促進するための医薬の製造のための、請求項37〜46のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項49】
止血を必要とする患者において止血を促進する方法であって、該方法は、請求項37〜46のいずれかに記載の組成物を、出血が生じている領域の少なくとも一部分に投与する工程を包含する、方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−519450(P2007−519450A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549875(P2006−549875)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000063
【国際公開番号】WO2005/072700
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506257928)
【Fターム(参考)】