説明

死角場所推定装置及び死角場所推定方法

【課題】移動端末の位置情報を用いることにより、道路等の通行者にとって死角となる場所に関する有用な情報を得ることを可能とする。
【解決手段】死角場所推定装置1は、複数の移動端末の位置情報を取得する位置情報取得部11と、位置情報に基づいて当該移動端末のユーザの方位を位置情報毎に算出する方位算出部13と、建物及び道路の位置に関する情報を含む地域情報を取得する地域情報取得部12と、位置情報に示される所在位置及び当該位置情報のユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、死角情報を位置情報毎に生成する死角生成部14と、死角情報を道路における所定範囲毎に集計して死角場所を推定する死角集計部15と、死角場所に関する情報を出力する処理結果出力部16とを備える。これにより、通行者の死角となりやすい場所に関する有用な情報を得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、死角場所推定装置及び死角場所推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の分野において、屋内外における死角を求めるための技術が用いられており、例えば、建物内部のレイアウト設計を行うためのCADシステムでは、建物内の構成情報及び監視カメラの位置情報に基づいて、当該監視カメラの死角を表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−146113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、監視カメラが建物内を撮影する際に障害物となる物と監視カメラとの位置関係に基づいて死角が求められる。一方、道路を通行する歩行者、車両等にとって視認性の低い場所を求めることを目的として、通行者の所在位置を想定した上で、当該通行者の視野の範囲と、道路及び建物との位置関係に基づいて、想定された当該通行者の死角を求めることは可能である。しかしながら、こうして求められた死角に関する情報は、実際の通行者の通行情報に基づくものではないので、あまり有用ではない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、道路等の通行者にとって死角となる場所に関する有用な情報を得ることが可能な死角場所推定装置及び死角場所推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の死角場所推定装置は、移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報に基づいて、通行者の死角となりやすい場所である死角場所を推定する死角場所推定装置であって、複数の位置情報を取得する位置情報取得手段と、移動端末の位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を位置情報毎に算出する方位算出手段と、建物及び道路の位置に関する情報を含み予め記憶された地域情報を取得する地域情報取得手段と、位置情報に示される所在位置、及び方位算出手段により算出された当該位置情報のユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、当該ユーザの死角となる場所に関する情報である死角情報を位置情報毎に生成する死角生成手段と、死角生成手段により生成された死角情報を、道路における所定範囲毎に集計して、死角場所を推定する死角集計手段と、死角集計手段により推定された死角場所に関する情報を出力する処理結果出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の死角場所推定方法は、移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報に基づいて、通行者の死角となりやすい場所である死角場所を推定する死角場所推定方法であって、複数の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、移動端末の位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を位置情報毎に算出する方位算出ステップと、建物及び道路の位置に関する情報を含み予め記憶された地域情報を取得する地域情報取得ステップと、位置情報に示される所在位置、及び方位算出ステップにおいて算出された当該位置情報のユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、当該ユーザの死角となる場所に関する情報である死角情報を位置情報毎に生成する死角生成ステップと、死角生成ステップにおいて生成された死角情報を、道路における所定範囲毎に集計して、死角場所を推定する死角集計ステップと、死角集計ステップにおいて推定された死角場所に関する情報を出力する処理結果出力ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
移動端末において、例えば経路案内サービス等といった位置情報を利用するアプリケーションサービスを使用した場合に、移動端末が有するGPS装置により測定された位置情報等が、当該移動端末の所在位置を示す情報として用いられる。移動端末が上記のような位置情報を利用するアプリケーションサービスを利用した場合に、当該アプリケーションサービスを提供するサーバ装置等は、当該移動端末の位置情報を収集することができる。こうして収集された位置情報は、実際の通行者に関する情報である。本発明の死角場所推定装置及び死角場所推定方法では、死角情報は、取得された位置情報及び地域情報を用いて生成されるので、生成された死角情報は、移動端末を所持する実在のユーザにとっての当該地域における死角となる場所に関する情報となる。そして、生成された死角情報を集計して死角場所を推定するので、通行者の死角となりやすい場所に関する有用な情報を得ることが可能となる。
【0009】
また、本発明の死角場所推定装置では、位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、方位算出手段は、一の位置情報に示される所在位置と、該一の位置情報の測位時刻より後の時刻において測位された位置情報である次位置情報に示される所在位置との位置関係に基づいて、一の位置情報に関する方位を算出することを特徴とする。
【0010】
この場合には、時系列上において続けて取得された位置情報に示される所在位置に基づいてユーザの進行方向を推定し、その進行方向をユーザの方位と見なして位置情報毎の方位が算出されるので、ユーザの方位を精度よく算出することができる。
【0011】
また、本発明の死角場所推定装置では、死角生成手段は、位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、地域情報取得手段により取得された地域情報に含まれる道路及び建物の位置とユーザの視野との位置関係に基づいて死角情報を生成することを特徴とする。
【0012】
この場合には、ユーザの方位に基づいて求められた当該ユーザの視野と、道路及び建物との位置関係に基づいて精度よく死角情報を生成することが可能となる。
【0013】
また、本発明の死角場所推定装置では、死角集計手段は、死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を、道路の所定範囲毎に計数し、計数された位置情報数に基づいて死角場所を推定することを特徴とする。
【0014】
この場合には、道路の所定範囲が死角となるユーザに関する位置情報数を当該所定範囲毎に計数することにより死角場所を推定するので、高精度な死角場所の推定が可能となる。
【0015】
また、本発明の死角場所推定装置では、死角集計手段は、予め記憶された移動端末のユーザの属性情報を取得し、位置情報により所在位置が示される移動端末のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される位置情報の数に重み付けを行うことを特徴とする。
【0016】
この場合には、例えば、高齢者の位置情報を計数する際に重み付けすることにより、死角に起因して視認性が低いといった問題のある場所を特定するといった本発明の目的に鑑みて、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0017】
また、本発明の死角場所推定装置では、位置情報は、ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含み、死角集計手段は、交通モード情報に示される移動手段が徒歩である位置情報を計数することにより、道路の所定範囲毎の歩行者数を取得し、道路の所定範囲毎の歩行者数及び死角情報に基づいて死角場所を推定することを特徴とする。
【0018】
通行者にとって死角となる場所であり、且つ歩行者の多い場所は、その場所が死角であることに起因した問題が発生する可能性が高い場所である。従って、この場合には、死角情報と歩行者数とに基づいて死角場所が推定されるので、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の死角場所推定装置は、位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、地域情報取得手段により取得された地域情報に含まれる道路及び建物の位置とユーザの視野との位置関係に基づいて、ユーザが視認可能な場所に関する情報である視界情報を位置情報毎に生成する視界生成手段を備え、死角集計手段は、死角生成手段により生成された死角情報、及び視界生成手段により生成された視界情報を、道路における所定範囲毎に集計して、死角場所を推定することを特徴とする。
【0020】
通行者にとって死角となる場所であり、且つ通行者にとって視認可能でない場所は、例えば、犯罪が発生しやすいといった、死角に起因した問題が発生しやすい場所である。従って、この場合には、死角情報及び視界情報に基づいて死角場所が推定されるので、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0021】
また、本発明の死角場所推定装置では、死角集計手段は、死角生成手段により生成された死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数、及び視界生成手段により生成された視界情報に示されるユーザの視認可能な場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を、道路の所定範囲毎に計数し、死角情報に関して計数された位置情報数、及び視界情報に関して計数された位置情報数に基づいて死角場所を推定することを特徴とする。
【0022】
この場合には、死角情報及び視界情報に基づいて死角場所が推定するに際して、道路の所定範囲が死角となるユーザに関する位置情報数、及び道路の所定範囲が視界となるユーザに関する位置情報数を、当該所定範囲毎に計数することにより死角場所を推定するので、高精度な死角場所の推定が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の死角場所推定装置及び死角場所推定方法によれば、道路等の通行者にとって死角となる場所に関する有用な情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】死角場所推定装置を含むシステムの全体構成図である。
【図2】死角場所推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】死角場所推定装置のハードブロック図である。
【図4】位置情報記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図5】方位の情報が付された位置情報記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図6】死角情報の生成のアルゴリズムを説明するための図である。
【図7】死角情報の生成のアルゴリズムを説明するための図である。
【図8】所定範囲に分割された道路を示す図である。
【図9】死角集計部が一のユーザに係る4つの位置情報について生成された死角情報を集計する処理を説明する図、死角生成部により生成された死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路ID毎に集計した図、及び死角集計部により推定された死角場所に関する情報を、ディスプレイ等に表示させた例を示す図である。
【図10】ユーザ情報記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図11】死角情報及び歩行者数に基づく死角場所の推定を説明するための図である。
【図12】死角場所推定装置において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る死角場所推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図14】死角情報及び視界情報に基づく死角場所の推定を説明するための図である。
【図15】第2実施形態における死角場所推定装置で実施される処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る死角場所推定装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る死角場所推定装置を含むシステムの全体構成図である。図1に示すように、死角場所推定装置1は、ネットワークを介して位置情報記憶装置2とネットワークNを介して通信可能である。また、アプリケーションサービス提供装置3及び移動端末4もネットワークNを介した通信をすることができる。
【0027】
ここで、死角場所推定装置1の説明に先立って、位置情報記憶装置2及びアプリケーションサービス提供装置3について説明する。
【0028】
位置情報記憶装置2は、アプリケーションサービス提供装置3から移動端末の位置情報を取得し、取得した位置情報を保存する装置である。位置情報記憶装置2は、位置情報を記憶するための位置情報記憶部20を備える。
【0029】
アプリケーションサービス提供装置3は、例えば経路案内サービスといったアプリケーションサービスを移動端末4に提供する装置であり、例えば、サーバ装置により構成される。経路案内サービスのようなアプリケーションサービスを移動端末4が使用する場合には、移動端末4が有するGPS装置により測定された位置情報が当該移動端末4の所在位置を示す情報として用いられる。アプリケーションサービス提供装置3は、移動端末4が上記のような位置情報を利用するアプリケーションサービスを利用した場合に、移動端末4の位置情報を収集することができる。
【0030】
続いて、死角場所推定装置1の機能について詳細に説明する。図2は、死角場所推定装置の機能的構成を示すブロック図である。死角場所推定装置1は、移動端末4のユーザの所在位置を示す位置情報に基づいて、通行者の死角となりやすい場所である死角場所を推定する装置であり、機能的には、処理要求受付部10、位置情報取得部11(位置情報取得手段)、地域情報取得部12(地域情報取得手段)、方位算出部13(方位算出手段)、死角生成部14(死角生成手段)、死角集計部15(死角集計手段)、処理結果出力部16(処理結果出力手段)を備える。
【0031】
図3は、死角場所推定装置1のハードウエア構成図である。死角場所推定装置1は、物理的には、図3に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2に示した各機能は、図3に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図2を参照し、死角場所推定装置1の各機能部について詳細に説明する。
【0032】
処理要求受付部10は、死角場所推定装置1に対する死角場所を推定する処理要求を受け付ける部分である。処理要求は、例えば、ネットワークNを介して通信可能な端末装置(図示せず)から死角場所推定装置1に対して送信されたり、死角場所推定装置1が備える入力装置106を介して入力されたりするものであり、死角場所の推定を所望する地域に関する情報、及びその他の処理条件等を含んでいる。
【0033】
位置情報取得部11は、位置情報記憶装置2の位置情報記憶部20に記憶されている複数の位置情報を取得する部分である。ここで、位置情報記憶部20について説明する。
【0034】
位置情報記憶部20は、移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報を記憶している記憶手段である。図4は、位置情報記憶部20に記憶されている位置情報の構成及び内容の一例を示す図である。図4に示すように、位置情報記憶部20は、各位置情報を識別するポイントIDに対応付けて、ユーザID、緯度、経度、日時及び交通モードの情報を記憶している。ユーザIDは、移動端末4を識別すると共にユーザに固有の識別子である。緯度及び経度は、当該移動端末の所在位置を示す情報である。日時は、当該位置情報に示される所在位置が測位された日及び測位時刻を示す情報である。交通モードは、ユーザの移動手段の種別を示す情報であり、当該位置情報がアプリケーションサービス提供装置3により収集された時に、移動端末4が使用していたアプリケーションの種別、及び当該アプリケーション使用時にユーザによる入力された情報等に基づき取得される。
【0035】
地域情報取得部12は、処理要求受付部10により受け付けられた処理要求に含まれる、死角場所の推定を所望する地域に関する情報に基づいて、当該地域の建物及び道路の位置に関する情報を含む地域情報を地域情報記憶部50から取得する部分である。地域情報は、具体的には、後に説明する図6及び図7に模式的に示すような建物及び道路の位置に関する情報を含んでいる。
【0036】
地域情報記憶部50は、予め地域情報を記憶している記憶手段であり、ネットワークNを介して死角場所推定装置1と通信可能なサーバ装置に備えられることとしてもよいし、死角場所推定装置1の一機能部として備えられることとしてもよい。
【0037】
方位算出部13は、移動端末4の位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を位置情報毎に算出する部分である。具体的には、方位算出部13は、一の位置情報に示される所在位置と、一の位置情報の測位時刻より後の時刻において測位された位置情報である次位置情報に示される所在位置との位置関係に基づいて、一の位置情報に関する方位を算出する。
【0038】
引き続き、図5を用いて、ユーザの方位の算出を説明する。方位算出部13は、図4に示す位置情報から一のユーザに関する位置情報を抽出し、日時の項目に記憶されているデータに基づいて抽出した位置情報を時系列に並べる。図5は、ユーザID「a」により識別されるユーザの位置情報を抽出し、時系列に並べた位置情報20aである。ポイントID「1」の位置情報(一の位置情報)は、「2009/5/20 14:00」に測位された位置情報であり、ポイントID「2」の位置情報(次位置情報)は、「2009/5/20 14:01」に測位された位置情報であるので、ポイントID「2」の位置情報は、ポイントID「1」の位置情報の測位時刻より後の時刻において測位された位置情報である。
【0039】
そして、方位算出部13は、ポイントID「1」の位置情報に示される緯度「35.1234567890」及び経度「135.1234567890」と、ポイントID「2」の位置情報に示される緯度「35.1234567890」及び経度「135.1234567891」との位置関係に基づいて、ポイントID「1」の位置情報におけるユーザの方位を算出する。ユーザの方位は、例えば、「北」を基準として時計回りに測定される角度により示され、ポイントID「1」の位置情報におけるユーザの方位は、「90°」である。
【0040】
以上のように、方位算出部13により、時系列上において続けて取得された位置情報に示される所在位置に基づいてユーザの進行方向を推定し、その進行方向をユーザの方位と見なして位置情報毎の方位が算出されるので、ユーザの方位を精度よく算出することができる。
【0041】
死角生成部14は、位置情報に示される所在位置、及び方位算出部13により算出された当該位置情報に係るユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、当該ユーザの死角となる場所に関する情報である死角情報を位置情報毎に生成する部分である。死角生成部14における死角情報の生成のアルゴリズムについて、図6及び図7を参照しながら詳細に説明する。図6及び図7は、死角情報の生成のアルゴリズムを説明するための図である。なお、図6及び図7に示す例では、地域情報に含まれる道路の形状はT字路であり、同図に示されるような建物Bが道路沿いに位置している。また、ユーザの移動端末4の所在位置は、同図中において位置aで示され、ユーザの方位は、図示上方向である。
【0042】
まず、図6(a)に示すように、死角生成部14は、ユーザの方位の情報に基づいて、ユーザの位置aを中心としてユーザの向いている方向側(矢印方向)に例えば角度θが35°、半径rが20mの扇形を成す視野Aを生成する。次に、図6(b)に示すように、死角生成部14は、地域情報に含まれる建物の情報に基づいて、視野Aにおいて建物Bが重複する部分を取り除き、その重複部分が取り除かれた視野Aの各頂点(位置aを除く)をマークする。そして、図6(c)に示すように、死角生成部14は、位置aを始点として扇形の半径と同一の距離(20m)で、且つマークした全ての頂点を通過する線L1〜L4を生成する。
【0043】
続いて、図6(d)に示すように、死角生成部14は、生成した線L1〜L4において、建物Bと重複する部分を削除し、線L1〜L4と建物Bとが交差する箇所にマークする。そして、死角生成部14は、図7(a)に示すように、図6(b)において生成した視野Aの辺を位置aを始点として時計回りに探索し、図6(d)においてマークされた頂点が発見された順に番号(1〜6)を付与する。さらに、図7(b)に示すように、死角生成部14は、図7(a)において付与した番号順に頂点を結び、この番号順に結ばれた領域Cを位置aに位置するユーザの視認可能な場所の範囲である視界として生成する。最後に、図6(b)において、視野Aにおいて建物Bが重複する部分が取り除かれた多角形から、図7(b)において生成された視界の領域Cを減ずることにより、図7(c)に示すように死角Dが生成される。死角生成部14は、この死角Dに関する情報を死角情報とする。以上のようにして、死角生成部14は、位置aにおけるユーザの位置情報に係る死角情報を生成する。即ち、死角生成部14は、位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、地域情報取得部12により取得された地域情報に含まれる道路及び建物の位置とユーザの視野との位置関係に基づいて死角情報を生成する。これにより、精度よく死角情報を生成することが可能となる。
【0044】
死角集計部15は、死角生成部14により生成された死角情報を、道路における所定範囲毎に集計して、死角場所を推定する部分である。具体的には、死角集計部15は、死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路の所定範囲毎に計数し、計数された位置情報数に基づいて死角場所を推定する。
【0045】
処理結果出力部16は、死角集計部15により推定された死角場所に関する情報を出力する部分である。処理結果出力部16は、例えば、死角場所推定装置1に処理要求を送信した端末装置(図示せず)に対して死角場所に関する情報を返信したり、死角場所推定装置1が備える、例えばディスプレイといった出力装置107に死角場所に関する情報を表示させたりする。
【0046】
以下に、図8及び図9を参照しながら、死角集計部15による死角場所の推定、及び処理結果出力部16による推定された死角場所に関する情報の出力について詳細に説明する。
【0047】
図8は、地域情報に基づいて、道路を分割して生成された所定範囲を示す図である。死角集計部15は、図8に示すように、地域情報取得部12により取得された地域情報に含まれる道路の位置に関する情報に基づいて、道路を所定範囲毎に分割し、所定範囲r1〜r4を生成する。
【0048】
なお、本実施形態では、死角集計部15が道路の領域を分割して所定範囲r1〜r4を生成することとしているが、地域情報記憶部50に記憶されている地域情報において、予め道路を分割して生成された所定範囲に関する情報を含んでいることとしてもよい。
【0049】
図9(a)は、死角集計部15が一のユーザに係る4つの位置情報について生成された死角情報を集計する処理を説明する図である。図9(a)において、4つの位置情報により示される所在位置及び方位は、矢印a1〜a4の位置及び向きにより示されている。また、これらの位置情報に係るユーザの視野は、視野A1〜A4により示される。
【0050】
続いて、図9(b)に示すように、死角集計部15は、道路の所定範囲毎に、死角生成部14により生成された死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を計数する。図9(b)における道路IDは、道路の所定範囲を識別する情報であり、道路ID「1」〜「4」はそれぞれ所定範囲r1〜r4に該当する。また、死角情報は、図9(a)に示される視野A1〜A4に基づいて、図6及び図7を用いて説明したアルゴリズムを用いて死角生成部14により生成される。
【0051】
例えば、図9(a)において矢印a1により所在位置及び方位を示されるユーザの位置情報から生成される死角は、所定範囲r4に該当する。また、矢印a2,a3により所在位置及び方位を示されるユーザの位置情報から生成される死角も同様に、所定範囲r4に該当する。さらに、矢印a4により所在位置及び方位を示されるユーザの位置情報から生成される死角は、所定範囲r3,r4に該当する。従って、道路の所定範囲r3に死角が該当する位置情報数は「1」であり、道路の所定範囲r4に死角が該当する位置情報数は「4」である。以上のようにして、死角集計部15は、死角情報を集計することにより、死角場所の推定を行う。これにより、高精度な死角場所の推定が可能となる。
【0052】
さらに、図9(c)に示すように、処理結果出力部16は、死角集計部15により推定された死角場所に関する情報を、例えばディスプレイ等に表示させる。図9(c)に示す例では、道路ID「4」(所定範囲r4)に対応する位置情報数が多く、道路の所定範囲r4は、死角に起因して視認性が低いといった問題が発生する可能性が高い場所であるので、処理結果出力部16は、道路の所定範囲r4の領域を格子パターンにより表示させる。また、道路ID「3」(所定範囲r3)に対応する位置情報数が多く、道路の所定範囲r3は、死角に起因して視認性が低いといった問題が発生する可能性がある場所であるので、処理結果出力部16は、道路の所定範囲r3の領域を右下がり斜線パターンにより表示させる。
【0053】
また、死角集計部15は、位置情報により所在位置が示される移動端末4のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される前記位置情報の数に重み付けを行う。ユーザの属性情報は、ユーザ情報記憶部60に予め記憶されている。
【0054】
ユーザ情報記憶部60は、移動端末4のユーザの属性情報を予め記憶している記憶手段であり、ネットワークNを介して死角場所推定装置1と通信可能なサーバ装置に備えられることとしてもよいし、死角場所推定装置1の一機能部として備えられることとしてもよい。図10は、ユーザ情報記憶部60の構成、及び記憶されているデータの例を示す図である。図10に示す例では、ユーザ情報記憶部60は、移動端末4のユーザの識別子であるユーザIDに対応付けて、ユーザの名前、性別及び生年月日等を記憶している。
【0055】
死角集計部15は、死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路の所定範囲毎に計数するに際して、通常の場合には1つの位置情報に関する位置情報数を「1」として計数するところ、当該位置情報に係るユーザの生年月日が一定の年月日以前であり、そのユーザが高齢者であった場合には、そのユーザの位置情報に関する位置情報数に重み付けをし、例えば、位置情報数を「2」として計数することができる。これにより、死角に起因して視認性が低いといった問題のある場所を特定するといった死角場所推定装置1の目的に鑑みて、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0056】
また、死角集計部15は、位置情報に含まれる交通モード情報(図4参照)に示される移動手段が徒歩である位置情報を計数することにより、道路の所定範囲毎の歩行者数を取得し、道路の所定範囲毎の歩行者数及び死角情報に基づいて死角場所を推定することができる。図11を参照しながら、死角情報及び歩行者数に基づく死角場所の推定を説明する。図11は、死角情報及び歩行者数に基づく死角場所の推定を説明するための図である。
【0057】
図11の符号d1は、死角集計部15により集計された、道路の所定範囲r1〜r4毎の、死角が該当する位置情報数である。一方、符号w1は、死角集計部15により集計された、道路の所定範囲r1〜r4毎の歩行者数である。道路の所定範囲毎の歩行者数は、位置情報に示される所在位置が道路の所定範囲に該当し、且つ位置情報における交通モードが「徒歩」である位置情報数を計数することにより得られる。
【0058】
続いて、符号d2に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における位置情報数(d1)のうちの最大値で各位置情報数を除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。また、符号w2に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における歩行者数(w1)のうちの最大値で各歩行者数を除して、各歩行者数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。
【0059】
そして、符号m1に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における、死角が該当する位置情報数の指標値(d2)と歩行者数の指標値(w2)とを乗じた指標値を死角場所に関する指標値として算出する。道路の所定範囲のうち、符号m1に示される指標値が大きい場所は、通行者にとって死角となる場所であり、且つ歩行者の多い場所であり、その場所が死角であることに起因した問題が発生する可能性が高い場所である。従って、死角集計部15が符号m1に示される指標値に基づいて死角場所の情報を推定することにより、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0060】
さらに、符号m2に示すように、処理結果出力部16は、死角場所に関する指標値(m1)の大きさに基づいて、道路の所定範囲r1〜r4の各領域を、格子パターン、左下がり斜線パターン、右下がり斜線パターンといった異なるパターンにより表示・出力する。
【0061】
続いて、図12を参照して、本実施形態の死角場所推定方法における死角場所推定装置1の動作について説明する。図12は、死角場所推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0062】
まず、処理要求受付部10は、死角場所推定装置1に対する死角場所を推定する処理要求を受け付ける(S1)。この処理要求は、死角場所の推定を所望する地域に関する情報を含んでいる。そして、処理要求受付部10は、ステップS1において受け付けた処理要求に含まれる、地域に関する情報に基づいて、地域情報取得部12を介して地域情報記憶部50を参照することにより、当該地域が存在するか否かを判定する(S2)。当該地域が存在しない場合には、処理結果出力部16がエラー表示を行い(S3)、処理が終了する。一方、当該地域が存在する場合には、処理手順はステップS4に進む。
【0063】
ステップS4において、位置情報取得部11は、ステップS1において受け付けた地域に所在位置が該当する複数の位置情報を位置情報記憶部20から取得する(S4、位置情報取得ステップ)。また、地域情報取得部12は、ステップS1において受け付けた地域に関する情報に基づいて、当該地域の建物及び道路の位置に関する情報を含む地域情報を地域情報記憶部50から取得する(S4、地域情報取得ステップ)。
【0064】
次に、方位算出部13は、ステップS4において取得した移動端末4の位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を位置情報毎に算出して、算出した方位を位置情報に追加する(S5、方位算出ステップ)。
【0065】
続いて、死角生成部14は、位置情報に示される所在位置、及び方位算出部13により算出された当該位置情報に係るユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、死角情報を位置情報毎に生成する(S6、死角生成ステップ)。
【0066】
次に、死角集計部15は、地域情報取得部12により取得された地域情報に含まれる道路の位置に関する情報に基づいて、道路を所定範囲毎に分割し(S7)、死角生成部14により生成された死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路の所定範囲毎に計数し、計数された位置情報数に基づいて死角場所を推定する(S8、死角集計ステップ)。
【0067】
また、ステップS8において、死角集計部15は、死角情報に示されるユーザの死角となる場所が道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路の所定範囲毎に計数するに際して、位置情報により所在位置が示される移動端末4のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される位置情報数に重み付けを行うことができる。
【0068】
さらに、ステップS8において、死角集計部15は、位置情報に含まれる交通モード情報に示される移動手段が徒歩である位置情報を計数することにより、道路の所定範囲毎の歩行者数を取得し、道路の所定範囲毎の歩行者数及び死角情報に基づいて死角場所を推定することができる。
【0069】
そして、処理結果出力部16は、死角集計部15により推定された死角場所に関する情報を、死角場所推定装置1が備える、例えばディスプレイといった出力装置107に表示させる(S9、処理結果出力ステップ)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0070】
以上説明した第1実施形態の死角場所推定装置1では、死角情報は、取得された位置情報及び地域情報を用いて、死角生成部14により、生成されるので、生成された死角情報は、移動端末4を所持する実在のユーザにとっての当該地域における死角となる場所に関する情報となる。そして、生成された死角情報を集計して死角場所が死角集計部15により推定されるので、通行者の死角となりやすい場所に関する有用な情報を得ることが可能となる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る死角場所推定装置1について説明する。図13は、第2実施形態に係る死角場所推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る死角場所推定装置1は、視界生成部17(視界生成手段)をさらに備えている点で第1実施形態と異なる。
【0072】
視界生成部17は、位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、地域情報取得部12により取得された地域情報に含まれる道路及び建物の位置とユーザの視野との位置関係に基づいて、ユーザが視認可能な場所に関する情報である視界情報を位置情報毎に生成する部分である。
【0073】
具体的には、視界生成部17は、第1実施形態において図6及び図7を参照して説明した死角を生成する処理のアルゴリズムにおける、図6(a)〜(d)及び図7(a)〜(b)の処理を行うことにより、視界情報を生成する。即ち、視界生成部17は、図7(b)における視界領域Cを視界情報として生成する。
【0074】
また、第2実施形態では、死角集計部15は、死角生成部14により生成された死角情報、及び視界生成部17により生成された視界情報を、道路における所定範囲毎に集計して死角場所を推定する。続いて、図14を参照しながら、死角情報及び視界情報に基づく死角場所の推定を説明する。図14は、死角情報及び視界情報に基づく死角場所の推定を説明するための図である。
【0075】
図11の符号d1は、死角集計部15により集計された、道路の所定範囲r1〜r4毎の、死角が該当する位置情報数である。一方、符号c1は、死角集計部15により集計された、道路の所定範囲r1〜r4毎の、視界情報に含まれる視界の領域が道路の所定範囲に該当する位置情報数である。死角集計部15は、視界情報に示されるユーザの視界の領域Cが道路の所定範囲に該当する位置情報の数を道路の所定範囲毎に計数することにより、符号c1に示す情報を生成する。
【0076】
続いて、符号d2に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における死角が該当する位置情報数(d1)のうちの最大値で各位置情報数を除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。また、符号c2に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における視界領域が該当する位置情報数(c1)のうちの最大値で各位置情報数を除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。さらに、符号c3に示すように、死角集計部15は、視界領域が該当する位置情報数の指標値を1から減じた指標値を生成する。即ち、符号c3に示される指標値は、道路の所定範囲r1〜r4毎の視界の悪さの度合いを示していることとなる。
【0077】
そして、符号m3に示すように、死角集計部15は、所定範囲r1〜r4における、死角が該当する位置情報数の指標値(d2)と視界に関する指標値(c3)とを乗じた指標値を死角場所に関する指標値として算出する。道路の所定範囲のうち、符号m3に示される指標値が大きい場所は、通行者にとって死角となる場所であり、且つ通行者にとって視認可能でない場所であり、例えば、犯罪が発生しやすいといった、死角に起因した問題が発生しやすい場所である。従って、死角情報及び視界情報に基づいて死角場所が推定されることにより、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0078】
さらに、符号m4に示すように、処理結果出力部16は、死角場所に関する指標値(m3)の大きさに基づいて、道路の所定範囲r1〜r4の各領域を、格子パターン、左下がり斜線パターン、右下がり斜線パターンといった異なるパターンにより表示・出力する。
【0079】
続いて、図15を参照して、第2実施形態における死角場所推定装置1の動作について説明する。図15は、死角場所推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。ステップS11〜S15において実施される処理内容は、図12のフローチャートにおけるステップS1〜S5に示す処理内容と同様である。
【0080】
続いて、死角生成部14は、位置情報に示される所在位置、及び方位算出部13により算出された当該位置情報に係るユーザの方位、並びに地域情報に基づいて、死角情報を位置情報毎に生成する(S16)。また、視界生成部17は、位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、地域情報取得部12により取得された地域情報に含まれる道路及び建物の位置とユーザの視野との位置関係に基づいて、視界情報を位置情報毎に生成する(S16)。続くステップS17において実施される処理内容は、図12のフローチャートにおけるステップS7に示す処理内容と同様である。
【0081】
次に、死角集計部15は、死角生成部14により生成された死角情報、及び視界生成部17により生成された視界情報を、道路における所定範囲毎に集計して死角場所を推定する(S18)。
【0082】
そして、処理結果出力部16は、死角集計部15により推定された死角場所に関する情報を、死角場所推定装置1が備える、例えばディスプレイといった出力装置107に表示させる(S19)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0083】
以上説明した第2実施形態の死角場所推定装置1では、通行者にとって死角となる場所であり、且つ通行者にとって視認可能でない場所は、例えば、犯罪が発生しやすいといった、死角に起因した問題が発生しやすい場所であることに鑑みて、死角生成部14により死角情報が生成され、視界生成部17により視界情報が生成され、生成された死角情報及び視界情報に基づいて死角集計部15により死角場所が推定されるので、より有用な死角場所の情報を得ることが可能となる。
【0084】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0085】
例えば、死角生成部14により死角情報が生成され、死角場所の推定のために死角集計部15に供される位置情報は、交通モードが「車」である位置情報のみを抽出して用いることとしてもよい(図4参照)。この場合に推定される死角場所に関する情報は、死角に起因した交通事故を防止するのに有用な情報となる。
【0086】
また、第1実施形態において説明した、死角集計部15が死角情報を集計して死角場所の推定を行う際におけるユーザ属性情報に基づく重み付けは、第1実施形態の処理において省略することができる。一方、この重み付けの処理を第2実施形態の処理に追加することとしてもよい。
【0087】
また、第1実施形態において、死角集計部15が交通モード情報に基づいて歩行者数を考慮して死角場所を推定する処理を説明したが、この処理は、第1実施形態において省略することができる。一方、歩行者数を考慮した死角場所を推定する処理を第2実施形態の処理に追加することとしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…死角場所推定装置、4…移動端末、10…処理要求受付部、11…位置情報取得部、12…地域情報取得部、13…方位算出部、14…死角生成部、15…死角集計部、16…処理結果出力部、17…視界生成部、20…位置情報記憶部、50…地域情報記憶部、60…ユーザ情報記憶部、B…建物、C…視界領域、D…死角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報に基づいて、通行者の死角となりやすい場所である死角場所を推定する死角場所推定装置であって、
複数の前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記移動端末の前記位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を前記位置情報毎に算出する方位算出手段と、
建物及び道路の位置に関する情報を含み予め記憶された地域情報を取得する地域情報取得手段と、
前記位置情報に示される所在位置、及び前記方位算出手段により算出された当該位置情報のユーザの方位、並びに前記地域情報に基づいて、当該ユーザの死角となる場所に関する情報である死角情報を前記位置情報毎に生成する死角生成手段と、
前記死角生成手段により生成された前記死角情報を、道路における所定範囲毎に集計して、前記死角場所を推定する死角集計手段と、
前記死角集計手段により推定された死角場所に関する情報を出力する処理結果出力手段と
を備えることを特徴とする死角場所推定装置。
【請求項2】
前記位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、
前記方位算出手段は、一の前記位置情報に示される所在位置と、該一の位置情報の測位時刻より後の時刻において測位された位置情報である次位置情報に示される所在位置との位置関係に基づいて、前記一の位置情報に関する方位を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の死角場所推定装置。
【請求項3】
前記死角生成手段は、前記位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、前記地域情報取得手段により取得された前記地域情報に含まれる道路及び建物の位置と前記ユーザの視野との位置関係に基づいて前記死角情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の死角場所推定装置。
【請求項4】
前記死角集計手段は、前記死角情報に示されるユーザの死角となる場所が前記道路の所定範囲に該当する前記位置情報の数を、前記道路の所定範囲毎に計数し、計数された位置情報数に基づいて前記死角場所を推定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の死角場所推定装置。
【請求項5】
前記死角集計手段は、予め記憶された前記移動端末のユーザの属性情報を取得し、前記位置情報により所在位置が示される前記移動端末のユーザに関する前記属性情報に基づいて、計数される前記位置情報の数に重み付けを行う
ことを特徴とする請求項4に記載の死角場所推定装置。
【請求項6】
前記位置情報は、ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含み、
前記死角集計手段は、前記交通モード情報に示される移動手段が徒歩である前記位置情報を計数することにより、前記道路の所定範囲毎の歩行者数を取得し、前記道路の所定範囲毎の前記歩行者数及び前記死角情報に基づいて前記死角場所を推定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の死角場所推定装置。
【請求項7】
前記位置情報に示される所在位置、及び当該位置情報に関するユーザの方位に基づいてユーザの視野を求め、前記地域情報取得手段により取得された前記地域情報に含まれる道路及び建物の位置と前記ユーザの視野との位置関係に基づいて、ユーザが視認可能な場所に関する情報である視界情報を前記位置情報毎に生成する視界生成手段を備え、
前記死角集計手段は、前記死角生成手段により生成された前記死角情報、及び前記視界生成手段により生成された前記視界情報を、前記道路における所定範囲毎に集計して、前記死角場所を推定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の死角場所推定装置。
【請求項8】
前記死角集計手段は、前記死角生成手段により生成された前記死角情報に示されるユーザの死角となる場所が前記道路の所定範囲に該当する前記位置情報の数、及び前記視界生成手段により生成された前記視界情報に示されるユーザの視認可能な場所が前記道路の所定範囲に該当する前記位置情報の数を、前記道路の所定範囲毎に計数し、死角情報に関して計数された位置情報数、及び視界情報に関して計数された位置情報数に基づいて前記死角場所を推定する
ことを特徴とする請求項7に記載の死角場所推定装置。
【請求項9】
移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報に基づいて、通行者の死角となりやすい場所である死角場所を推定する死角場所推定装置における死角場所推定方法であって、
複数の前記位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記移動端末の前記位置情報に基づいて、当該移動端末のユーザの向いている方位を前記位置情報毎に算出する方位算出ステップと、
建物及び道路の位置に関する情報を含み予め記憶された地域情報を取得する地域情報取得ステップと、
前記位置情報に示される所在位置、及び前記方位算出ステップにおいて算出された当該位置情報のユーザの方位、並びに前記地域情報に基づいて、当該ユーザの死角となる場所に関する情報である死角情報を前記位置情報毎に生成する死角生成ステップと、
前記死角生成ステップにおいて生成された前記死角情報を、道路における所定範囲毎に集計して、前記死角場所を推定する死角集計ステップと、
前記死角集計ステップにおいて推定された死角場所に関する情報を出力する処理結果出力ステップと
を有することを特徴とする死角場所推定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−81615(P2011−81615A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233653(P2009−233653)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】