説明

段ばらし装置

【課題】 上段の箱体の集合体を把持した後に下段の箱体から離間させる際に落下させることなく確実に把持してばらす。
【解決手段】 物品を収容した複数の箱体を互いが接するように水平に並べて全体が矩形となるように組み合わせて一段の集合体とし、同集合体が段積みされた箱体群を上昇させる昇降台を設け、昇降台の上方に上昇させた箱体群の最上段を把持して横方向に移行する把持装置を設け、把持装置の移行先に把持した一段の箱体の集合体を搬送する搬送コンベヤを設け、前記把持装置は一段の箱体の集合体を四側面から対向して把持する複数の把持板を備え、同把持板には箱体方向に対して水平に進退して把持及び把持解除を行う進退機構を有し、把持板の把持面は平面で且つ対向する把持板間の上側の距離が下側より大きくなるように垂直に対して斜設させた構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容した複数の箱体を互いが接するように水平に並べて全体が矩形となるように組み合わせて一段の集合体とし、同集合体が段積みされた箱体群を上段から把持してばらす段ばらし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多段に段積みされた箱体群を上段からばらす段ばらし装置として、段積みされた箱体群を上昇させる昇降台を設け、昇降台の上方に上昇させた箱体群の最上段を把持して水平方向に移行する把持装置を設け、把持装置の移行先に把持した一段の集合体を搬送する搬送コンベヤを設けた構造のものが特許文献1〜3に開示されている。これらの技術の把持装置は、一段の集合体を四側面から把持する複数の把持板を備え、把持板は箱体方向に対して進退して把持及び把持解除を行うように構成されている。
【0003】
ところで、前記技術の把持板はその把持面が垂直となるように配置されているから、上段の集合体を把持した後に下段の箱体から離間させる際、把持した集合体の各箱体の変形度合いや全体の荷姿によっては摩擦抵抗の低下により箱体が落下して全体を把持できなくなるという問題があった。
【特許文献1】特公平1−29668号公報
【特許文献2】特開平7−196109号公報
【特許文献3】特開2005−34969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、上段の箱体の集合体を把持した後に下段の箱体から離間させる際、把持した集合体の各箱体の変形度合いや摩擦抵抗の低下に対しても落下することなく確実に把持できる段ばらし装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1)物品を収容した複数の箱体を互いが接するように水平に並べて全体が矩形となるように組み合わせて一段の集合体とし、同集合体が段積みされた箱体群を上昇させる昇降台を設け、昇降台の上方に上昇させた箱体群の最上段を把持して横方向に移行する把持装置を設け、把持装置の移行先に把持した一段の集合体を搬送する搬送コンベヤを設けた段ばらし装置であって、前記把持装置は一段の集合体を四側面から対向して把持する複数の把持板を備え、同把持板には箱体方向に対して水平に進退して把持及び把持解除を行う進退機構を有し、把持板の把持面は平面で且つ対向する把持板間の上側の距離が下側より大きくなるように垂直に対して斜設させた構造であることを特徴とする、段ばらし装置
2)把持板の傾斜角度が0.5〜2°の範囲である、1)記載の段ばらし装置
3)搬送コンベヤの搬送先に搬送された一段の集合体を一列ごとに切り離す切離しコンベヤを設け、切離しコンベヤの搬送先に切り離した一列の箱体を直交方向へ送り出す列搬送コンベヤを設けた、1)又は2)記載の段ばらし装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、把持板の把持面を対向する把持板間の上側の距離が下側より大きくなるように垂直に対して斜設させたから、摩擦抵抗の低下に対しても箱体は把持板の下部で引っ掛かり、必要以上の押圧力を掛けて変形させてしまうことなく落下を防止して把持を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の把持板の押圧力は荷姿に応じて変更できるようにしてもよい。把持板の傾斜角度は1°が望ましいが、箱体の寸法や変形を考慮して0.5〜2°の範囲で変更できる。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜7に示す実施例は、パレット上に載せられた多段の段ボール箱群を単品にばらして送り出す設備の例である。図1は実施例の段ばらし装置を組み込んだ設備のレイアウト図、図2は実施例の段ばらし装置の説明図、図3は実施例の把持装置の平面図、図4は実施例の把持装置の側面図、図5は実施例の把持板の説明図、図6,7は実施例の段ばらしを示す説明図である。
【0009】
図中、1は段ばらし装置、1aはフレーム、1bはレール、2は昇降台、3は把持装置、3aはフレーム、3bは車輪、3cは把持板、3dは進退機構、4はローラコンベヤ、5は切離しコンベヤ、6は列搬送コンベヤ、7は搬送コンベヤ、8はローラカーブコンベヤ、9はアキュームコンベヤ、10はターン装置、11はローラコンベヤ、12はガイドダイバータ、13はローラコンベヤ、14は箱体群、Bは一段の集合体、bは箱体、Pはパレットである。
【0010】
本実施例の段ばらし装置1は、図1,2に示すように段積みされた箱体群14を搬送する搬送コンベヤ7の搬送先に搬送された箱体群14を上昇させる昇降台2を設け、昇降台2の上方位置に昇降台2で上昇させた箱体群14の最上段を把持して横方向に移行する把持装置3を設け、把持装置3の移行先に把持装置3で把持した一段の集合体Bを受けて搬送するローラコンベヤ4を上下動可能に設けている。
【0011】
ローラコンベヤ4の搬送先には搬送された一段の集合体Bから一列の箱体bを切り離す切離しコンベヤ5を設け、切離しコンベヤ5の搬送先に搬送された切り離し済みの一列の箱体bを直交方向に送り出す列搬送コンベヤ6を設け、列搬送コンベヤ6の後方に設備のレイアウトに合わせてローラカーブコンベヤ8・アキュームコンベヤ9・ターン装置10・ローラコンベヤ11・ガイドダイバータ12・ローラコンベヤ13をそれぞれ設けている。
【0012】
把持装置3は、段ばらし装置1のフレーム1aの上端部にレール1bを設け、図3,4に示すようにフレーム3aの四隅に把持装置3をレール1bに沿って走行させる車輪3bを設け、フレーム3aに4体の把持板3cを前後左右対向して配置し、各把持板3cを箱体bの方向に対して水平に進退させる進退機構3dを設けている。把持板3cは、図5に示すようにその把持面が平面に形成され、対向する把持板3c間の上側の距離が下側より大きくなるように垂直に対して1°の角度に傾斜させている。なお、図5は分かり易くするために角度を誇張して図示している。
【0013】
本実施例では、箱体群14がパレットPに載置した状態で搬送コンベヤ7によって段ばらし装置1へ搬送される。搬送された箱体群14は図6(a)に示すように昇降台2に移行して把持装置3の把持可能位置まで上昇され、図6(b)に示すように把持装置3が把持板3cを箱体b方向へ前進させて箱体群14の最上段の四側面を把持する。
【0014】
把持板3cで把持された最上段の箱体bは昇降台2の若干の下降により下段の箱体bから一段の集合体Bとして離間される。このとき、把持板3cの傾斜により下側が箱体bの側面を引っ掛けるようにして摩擦抵抗を増加させ、例えば一段の集合体Bのうち狭幅の箱体bがあった場合や変形した場合による摩擦抵抗の低下に対しても落下することなく把持が維持される。
【0015】
把持された一段の集合体Bは把持装置3によって図6(c)に示すようにレール1bに沿ってローラコンベヤ4の上方位置まで移行し、ローラコンベヤ4が若干上昇してそのコンベヤ面に一段の集合体Bを受ける。この状態で把持装置3は把持板3cを後退させて把持を解除し、次の把持のために昇降台2の上方位置に復帰する。
【0016】
一段の集合体Bを乗せたローラコンベヤ4は駆動して図7(a)に示すように切離しコンベヤ5へ搬送し、切離しコンベヤ5の始端部に一段の集合体Bの一列が載るとローラコンベヤ4を停止し、切離しコンベヤ5を駆動させてその一列の箱体bのみが切離しコンベヤ5で搬送されて一段の集合体Bから切り離される。切り離された一列の箱体bは図7(b)に示すように列搬送コンベヤ6へ搬送し、一列の箱体bが列搬送コンベヤ6のコンベヤ面に載置されると図7(c)に示すように列搬送コンベヤ6を駆動して一列の箱体bが直交方向に搬送される。
【0017】
さらにローラコンベヤ4を駆動して次の列の箱体bが切離しコンベヤ5の始端部に載ると同様にローラコンベヤ4を停止するとともに切離しコンベヤ5を駆動して一段の集合体Bから切り離され、これを繰り返して一段の集合体Bが列単位にばらされて搬送されていく。
【0018】
昇降台2は次の一段の集合体Bの把持のためにさらに上昇し、把持装置3は把持板3cで箱体群14を四側面から把持するとともに昇降台2が若干下降して下段の箱体bから一段の集合体Bが離間し、把持装置3は横方向に移行して把持した一段の集合体Bをローラコンベヤ4へ受け渡す。その後の工程は図6,7に示すように同様に行われ、これらの一連の工程が順に繰り返されることで段積みされた箱体群14が単品の箱体bにばらされて所定の場所へ搬送される。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の段ばらし装置は、段ボール箱など変形可能な箱体の段ばらしに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例の段ばらし装置を組み込んだ設備のレイアウト図である。
【図2】実施例の段ばらし装置の説明図である。
【図3】実施例の把持装置の平面図である。
【図4】実施例の把持装置の側面図である。
【図5】実施例の把持板の説明図である。
【図6】実施例の段ばらしを示す説明図である。
【図7】実施例の段ばらしを示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 段ばらし装置
1a フレーム
1b レール
2 昇降台
3 把持装置
3a フレーム
3b 車輪
3c 把持板
3d 進退機構
4 ローラコンベヤ
5 切離しコンベヤ
6 列搬送コンベヤ
7 搬送コンベヤ
8 ローラカーブコンベヤ
9 アキュームコンベヤ
10 ターン装置
11 ローラコンベヤ
12 ガイドダイバータ
13 ローラコンベヤ
14 箱体群
B 一段の集合体
b 箱体
P パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容した複数の箱体を互いが接するように水平に並べて全体が矩形となるように組み合わせて一段の集合体とし、同集合体が段積みされた箱体群を上昇させる昇降台を設け、昇降台の上方に上昇させた箱体群の最上段を把持して横方向に移行する把持装置を設け、把持装置の移行先に把持した一段の集合体を搬送する搬送コンベヤを設けた段ばらし装置であって、前記把持装置は一段の集合体を四側面から対向して把持する複数の把持板を備え、同把持板には箱体方向に対して水平に進退して把持及び把持解除を行う進退機構を有し、把持板の把持面は平面で且つ対向する把持板間の上側の距離が下側より大きくなるように垂直に対して斜設させた構造であることを特徴とする、段ばらし装置。
【請求項2】
把持板の傾斜角度が0.5〜2°の範囲である、請求項1記載の段ばらし装置。
【請求項3】
搬送コンベヤの搬送先に搬送された一段の集合体を一列ごとに切り離す切離しコンベヤを設け、切離しコンベヤの搬送先に切り離した一列の箱体を直交方向へ送り出す列搬送コンベヤを設けた、請求項1又は2記載の段ばらし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−204174(P2007−204174A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21846(P2006−21846)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】