段ボール加工装置
【課題】 切断紙片を段ボールから確実に離脱させて除去し得る段ボール加工装置の提供。
【解決手段】 段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、除去手段は切断紙片を押える離脱体、および離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入される構成の段ボール加工装置。
【解決手段】 段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、除去手段は切断紙片を押える離脱体、および離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入される構成の段ボール加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール加工装置に関し、特に、段ボールの加工に伴って発生する不要な切断紙片を、段ボールから除去するための紙片除去装置を備えた段ボール加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の段ボール加工装置として、下記特許文献1に記載の技術が提案されている。例えば段ボールは、これを箱状にするために、蓋および底に相当する領域の一部にスリットを形成する。このために、切断手段によってスリットに相当する部分を切除することが行われる。
【0003】
特許文献1では、切断手段によって切断されることで発生する切断紙片を段ボールから除去させるために、切断紙片に対向する領域に紙片除去装置としてのエアーノズルを配置して切断紙片に上方から空気圧を付与する構成が採用されている。
【0004】
またこの種の段ボール加工装置として、下記特許文献2に記載の技術が提案されている。これは、段ボールの搬送経路に、切断紙片を押圧するためのバネ体を設けて、このバネ体で切断紙片を押圧して、これを段ボールから除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−102844号公報
【特許文献2】実用新案登録第3114008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のように、切断紙片に対向する領域にエアーノズルを配置して切断紙片に上方から空気圧を付与する構成では、空気圧の制御がむずかしく、発生する切断紙片の状態によっては切断紙片を段ボールから除去できない場合が考えられる。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、特許文献1に示すようなむずかしい制御は必要ないが、単に切断紙片を押圧しただけでは、切断紙片の搬送方向前後部は段ボールから外れても、切断紙片の幅方向端辺部が段ボールから離脱しない場合がある。
【0008】
そこで本発明は上記課題に鑑み、切断紙片を段ボールから確実に離脱させて除去し得る段ボール加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形裁断されたシート状の段ボールを、その搬送経路後側から搬送経路前側へ移動させる過程において加工するための段ボール加工装置であって、前記段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、前記切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、該除去手段は切断紙片を押える離脱体、および該離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、前記離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、前記スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入されるものであることを特徴としている。
【0010】
上記構成において、成形裁断された段ボールを搬送経路前側へ搬送する途上で、切断手段によって段ボールの所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断して切断紙片とし、段ボールが搬送経路を移動すると、段ボールが移動するのに伴って、除去手段の離脱体が、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部へ至るよう押圧する。このため切断紙片は、段ボールに対してその離脱距離が、搬送経路前側から搬送経路後側に至るほど大きくなるよう傾いて、切断紙片が段ボールから離脱して、除去される。
【0011】
さらに、上記構成において、切断紙片が離脱体の押圧だけでは除去されない場合、段ボールが搬送経路前側に移動すると、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間にスクレーパが挿入されるから、切断紙片の搬送経路後側部がスクレーパに当って、切断紙片がスクレーパで掻き取られるようにして段ボールから離脱し、除去される。
【0012】
本発明の段ボール加工装置では、除去手段は搬送経路において、切断手段の搬送経路前側直近に配設されている構成を採用することができる。この構成によれば、切断手段で切断された切断紙片が、切断手段の直近位置で除去され、切断手段の搬送経路前側に段ボール加工のための他の設備があっても、その加工に切断紙片が邪魔にならない。
【0013】
本発明の段ボール加工装置では、離脱体は切断紙片を上方から下方に向けて押えるものである構成を採用することができる。この構成によれば、切断紙片は段ボールに対して下方に除去されるから、紙粉の舞い上がりが抑えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の段ボール加工装置は、切断紙片を除去するための除去手段に、切断紙片を押える離脱体を備えており、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、離脱体が切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部へ至るよう押圧すると、切断紙片は、段ボールに対してその離脱距離が、搬送経路前側から搬送経路後側に至るほど大きくなるよう傾き、段ボールの移動に伴って切断紙片を段ボールから除去することができ、切断紙片が離脱体の押圧だけでは除去されない場合でも、段ボールが搬送経路前側に移動すると、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間にスクレーパが挿入されるから、切断紙片の搬送経路後側部がスクレーパに当たると、切断紙片がスクレーパで掻き取られるようにして段ボールから離脱し、確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態を表す段ボール加工装置の、全体側面図である。
【図2】同フォールディング部の後側からの正面図である。
【図3】同フォールディング部の要部側面図である。
【図4】同フォールディング部の後側からの要部斜視図である。
【図5】同フォールディング部の下側且つ後側からの要部斜視図である。
【図6】同フォールディング部の下側からの要部斜視図である。
【図7】同切断手段の側面図である。
【図8】同幅方向外側のサイドバネ部材の斜視図である。
【図9】同幅方向外側のサイドバネ部材の正面図である。
【図10】同バネ受けの後上方からの全体斜視図である。
【図11】同幅方向中央部に配置するセンターバネ部材の斜視図である。
【図12】同センターバネ部材の正面図である。
【図13】同センターバネ部材のバネ受けの単体斜視図である。
【図14】同サイドスクレーパの単体斜視図である。
【図15】同サイドスクレーパの側面図である。
【図16】同センタースクレーパの側面図である。
【図17】同センタースクレーパの平面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態を表す段ボール加工装置の、要部側面図である。
【図19】同サイド離脱部の側面図である。
【図20】同サイド離脱部の前側からの正面図である。
【図21】同サイド離脱部の底面図である。
【図22】同サイド離脱部の後側からの斜視図である。
【図23】同センター離脱部を主とした要部平面図である。
【図24】同センター離脱部を主とした後側からの正面図である。
【図25】同センター離脱部の側面図である。
【図26】同センター離脱部の平面図である。
【図27】同センター離脱部の後側からの正面図である。
【図28】同センター離脱部の後側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る段ボール加工装置を、図面に基づいて説明する。はじめに段ボール加工装置の第一の実施形態の全体概略構成を、図1に基づいて説明する。段ボール加工装置1は、給紙部2、印刷部3、スロッタ部4、ダイカッター部5、糊付部6を含むフォールディング部7、カウンターエジェクト部8等を、段ボール(以下、段ボール箱用紙という)10の搬送経路後側X1から搬送経路前側X2に向けてこの順に配置されてなる。
【0017】
給紙部2は、矩形に裁断されたシート状の段ボール箱用紙10を積載した状態で、上位の段ボール箱用紙10から一枚ずつ印刷部3へ送り出すよう構成されている。印刷部3は、段ボール箱用紙10の表面に所定の印刷12を施すよう構成されている。この場合、印刷部3では多色刷りが可能になっている(図1において、1色目、2色目と記載している)。スロッタ部4は、印刷12が施された段ボール箱用紙10に、折目の目安となる罫線13を施すよう構成されている。
【0018】
ダイカッター部5は、段ボール箱用紙10を箱状に形成するのに必要な蓋片14および底片15を形成するために、段ボール箱用紙10の一部を除去するよう構成されている。詳細については後述する。フォールディング部7は、糊代壁11の糊代面に接着剤を塗布する糊付部6と、段ボール箱用紙10において、糊代壁11に対応する部分を重ねるように罫線13に沿って折る折畳み機構部17と、折畳み機構部17で折畳まれた段ボール箱用紙10を複数枚重ね、上方に設けたノズル18から圧搾エアー20を噴出させる積層部21とを備えている。
【0019】
図2ないし図6に示すように、フォールディング部7は、段ボール箱用紙10をカウンターエジェクト部8へ向けて搬送するための左右・上下の搬送ベルト22,23と、搬送ベルト22,23の幅方向外側に配置された保護壁体24,25とを備える。さらにフォールディング部7は、搬送ベルト22,23の間に、段ボール箱用紙10の幅方向中心側をその上面側および下面側で案内する、前後方向に長い上下一対のガイド部材26,27を有している。
【0020】
搬送ベルト22,23は、段ボール箱用紙10を上面10aおよび下面10bで挟んで搬送するもので、上下の搬送ベルト22,23はその間に、段ボール箱用紙10が通る隙間を形成することが可能なように構成されている。保護壁体24,25は、それぞれ上下一対の縦壁30,31から構成され、縦壁30,31どうしは、段ボール箱用紙10(幅方向外側部)が通る隙間δ1を介して鉛直面内で保持されている。
【0021】
上下一対のガイド部材26,27の間にも、段ボール箱用紙10が通る隙間δ2が設けられている。このガイド部材26,27は、搬送ベルト22,23の間(中心位置から側方に位置ずれしている)にあって、搬送ベルト22,23の前部に相当する領域から後部に相当する領域に亙すよう設けられている。カウンターエジェクト部8は、フォールディング部7から搬送されてきた段ボール箱用紙10を所定枚数の束にするよう構成されている。なお、その詳細な構成は省略する。
【0022】
図7に示すように、本実施形態に係る段ボール加工装置1のダイカッター部5には、段ボール箱用紙10における所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片32(図3,図6参照)として切断するための切断手段33が搬送経路途中に設けられている。
【0023】
切断手段33は、上下の送りローラ29A,29Bの前側にあって、上下の回転軸34,35に装着されている切断ローラ36および受けローラ37と、切断ローラ36および受けローラ37の間に送られた段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断すべく、切断ローラ36の外周面に備えられたカッター38とから構成されている。
【0024】
そして、切断ローラ36および受けローラ37の回転軸34,35回りの回転によって、段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断することで切断紙片32を形成し、この切断紙片32に相当する分のスリット40(図5,図6参照)を、段ボール箱用紙10に形成するよう構成されている。
【0025】
前記一部所定領域を切断することで発生する切断紙片32は、要するに、搬送方向両端部側に蓋となる前記蓋片14、底となる前記底片15を段ボール箱用紙10にそれぞれ形成するために、搬送方向を長手方向として所定の幅を有した細長の長方形に形成される。
【0026】
切断手段33は、このような切断紙片32を段ボール箱用紙10に形成できるよう、切断ローラ36および受けローラ37におけるカッター38およびスリット40の、軸方向位置および周方向位置、あるいはカッター38およびスリット40の軸方向幅、あるいは切断ローラ36および受けローラ37の径が任意に設定される。
【0027】
なおこの実施形態では、切断紙片32は、段ボール箱用紙10の搬送経路後端部側と、搬送経路前端部側の双方の部位において、その幅方向の途中部分に、間欠的に三箇所の領域に発生するよう切断手段33が構成されている。したがって、スリット40も切断紙片32が発生する部位に形成されることになる。
【0028】
図2ないし図6に示すように、フォールディング部7には、切断手段33で切断された切断紙片32の全部を段ボール箱用紙10から除去する(離脱させる)ための除去手段41が設けられている。除去手段41は、バネ部材(離脱体に相当する)と、スクレーパ(ブレード)とを備えている。
【0029】
バネ部材は、段ボール箱用紙10の搬送経路Dに沿う移動に伴って、切断紙片32をその搬送経路前側部32aから搬送経路後側部32b(図3,図6参照)に至るよう押えるよう構成されている。
【0030】
この実施形態では、切断紙片32を段ボール箱用紙10の幅方向の途中部分に間欠的に三箇所設ける(形成する)ため、バネ部材もまた、該三箇所に対応する位置に配置されている。具体的には、三つ(二種類)のバネ部材、すなわち幅方向外側のサイドバネ部材42と、サイドバネ部材42の間に配置されたセンターバネ部材43を備えている。
【0031】
サイドバネ部材42は、フォールディング部7の、上側の縦壁30に、バネ取付け部材44を介して設けられている。サイドバネ部材42のバネ取付け部材44は、ダイカッター部5から段ボール箱用紙10がフォールディング部7に給紙された直後の部位に設けられている。具体的には、バネ取付け部材44は、上側の縦壁30のうち、ダイカッター部5側に近い部位に取付けられている。
【0032】
左右何れのバネ取付け部材44も、上側の縦壁30の側面に側方から固定される。バネ取付け部材44は、サイドバネ部材42をその下側で支持するバネ受け46と、サイドバネ部材42をその上側で支持するバネ押え50とから構成されている。
【0033】
図8および図9に示すように、サイドバネ部材42は、被取付け部52と、被取付け部52の端部(搬送経路後側端部)から湾曲しつつ下方に延設された緩衝部54と、緩衝部54の下端部から搬送経路前側斜め下方に延設された押え部56とから一体的に形成されている。被取付け部52の搬送経路前側端部には、下方に向けて折曲した係止片58が一体的に形成されている。
【0034】
被取付け部52は、単純な長方形の平板状に形成され、緩衝部54は、被取付け部52側が被取付け部52の左右幅に等しく設定され、下方に位置するほど幅狭く形成されている。押え部56は、その長手方向に同一の幅に形成されている。
【0035】
押え部56の下端部56aは、水平前方に向けて折曲されて前部ほど幅狭く形成されている。被取付け部52は、搬送されてくる段ボール箱用紙10の上面10aよりも上方に位置するよう配置される。サイドバネ部材42の下端部56aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている(位置付けられている)。
【0036】
図10に示すように、バネ受け46は、上側の縦壁30の内側面30aに当接して固定される当接部60と、当接部60の下部から側方に向けて折曲された保持部61とから一体的に形成されている。当接部60は、単純な板状に形成され、その板面に複数の取付け孔60aが形成されている。保持部61はサイドバネ部材42の被取付け部52を載置する載置部62と、サイドバネ部材42の緩衝部54の湾曲状態を規制するよう保持する規制部63とから一体的に形成されている。この規制部63は、載置部62に対して後方に突出するよう形成されている。
【0037】
保持部61には、当接部60から離れる端部側に、サイドバネ部材42の被取付け部52および緩衝部54を嵌合支持する保持溝65が形成されている。この保持溝65は、サイドバネ部材42の被取付け部52が上方から嵌合する第一溝部67と、第一溝部67に連続して規制部63の表面に形成された、側面視して湾曲した第二溝部70とから形成されている。
【0038】
第一溝部67は、被取付け部52に合致する形状に形成され、第二溝部70は緩衝部54に合致するよう、下方ほど幅狭くした形状に形成されている。また、第一溝部67の前端は、載置部62の前端にまで至っている。また、第一溝部67の前端底部は、前方向に下傾斜する傾斜面72に形成されている。
【0039】
バネ押え50は、単純な矩形板状に形成されている(図2ないし図4参照)。その横板面が縦壁30の前記側面とは反対側の側面に当接するとともに、サイドバネ部材42の被取付け部52を保持溝65のうち第一溝部67に嵌合した状態(図10参照)で、下面が載置部62の上面62aと面一になり、被取付け部52を、上方から覆うものである。このバネ押え50の板面には取付け孔50aが形成されている。
【0040】
サイドバネ部材42の係止片58を載置部62の前面に前方から係止するよう、また被取付け部52を第一溝部67に上方から嵌め、バネ押え50を、その下面が載置部62の上面62aに面一となるよう被取付け部52を上方から覆い、取付け孔50aにボルト等の締結手段を挿通し、上側の縦壁30に螺合する。これによって、サイドバネ部材42がバネ取付け部材44から上方および前後方向に離脱するのが防止されており、サイドバネ部材42がバネ取付け部材44に保持された状態となる。
【0041】
以上のサイドバネ部材42の構成およびバネ取付け部材44の構成は、左右それぞれにおいて同一であり、バネ取付け部材44は、上側の各縦壁30において、それぞれ幅方向左右使い(左右で対象の構成となる使い方)をされている。
【0042】
図11および図12に基づいて、幅方向中央部に配置するセンターバネ部材43の構成を説明する。センターバネ部材43は、被取付け部53と、被取付け部53の端部(搬送経路後側端部)から湾曲しつつ下方に延設された緩衝部55と、緩衝部55の下端部から搬送経路前側斜め下方に延設された押え部57とから一体的に形成されている。被取付け部53の板面には、前後に離間した保持孔53aが形成されている。押え部57の下端部57aは、水平な前方に向けて折曲されて前部ほど幅狭く形成されている。
【0043】
図2および図4に示すように、センターバネ部材43は、バネ取付け部材45を介して上方のガイド部材26の後端部上面に固定されている。センターバネ部材43のバネ取付け部材45は、バネ受け47と、バネ押え51とから構成されている。図13に示すように、バネ受け47は、上方のガイド部材26の後端部上面に当接して固定される本体73と、規制部64とから一体的に形成されている。バネ受け47における規制部64の構成は、サイドバネ部材42を取付けるバネ受け46とほぼ同様の構成である。
【0044】
本体73は、前後方向に長尺の、偏平な角柱状に形成されている。規制部64は本体73の前端部に下方に突出するよう形成されている。本体73の上面73aの前部および規制部64の前面に、センターバネ部材43が嵌合してこれを保持する保持溝66が形成されている。
【0045】
保持溝66は、センターバネ部材43の被取付け部53が上方から嵌合する第一溝部68と、緩衝部55が前方から嵌合する第二溝部71とからなる。第一溝部68は被取付け部53に合致する形状に形成され、第二溝部71はセンターバネ部材43の緩衝部55に合致するよう、下方ほど幅狭くした形状に形成されている。
【0046】
第一溝部68の前端部は、本体73の上面73aの途中まで延長されている。第一溝部68の底面には、被取付け部53に形成した保持孔53aに対向(連通)する支持孔68aが上下方向に貫通して形成されている。第一溝部68に被取付け部53を嵌合し、第二溝部71に緩衝部55を嵌合して、保持孔53a、支持孔68aにボルト等の締結手段を挿通することで、センターバネ部材43が本体73に固定されている。また、本体73の後部板面には、本体73の固定用孔73bが形成されている。
【0047】
バネ押え51については、図2、図4を参照して説明する。バネ押え51は、単純な矩形板状に形成され、固定用孔73bに対応(連通)する貫通孔51aおよび保持孔53aに対応する貫通孔51bが形成されている。貫通孔51aおよび固定用孔73bにボルト等の締結手段を挿通し、上方のガイド部材26に螺合し、貫通孔51b、保持孔53aおよび支持孔68aにボルト等の締結手段を挿通して本体73に螺合する。そうすると、バネ受け47が上方のガイド部材26に固定され、バネ押え51がセンターバネ部材43(被取付け部53)を上方から覆った状態で、バネ受け47が上方のガイド部材26に固定される。
【0048】
上記構成において、センターバネ部材43の被取付け部53は、搬送されてくる段ボール箱用紙10の表面よりも上方に位置するよう配置される。センターバネ部材43の下端部57aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている(位置付けられている)。
【0049】
次に、図2ないし図6,図14および図15に基づいて、幅方向両側(左右)に設けたサイドスクレーパ74の構造を説明する。サイドスクレーパ74は、下側の縦壁31のダイカッター部5側寄りに、上下方向に移動自在に固定されるスクレーパ取付け部材75と、このスクレーパ取付け部材75に一体的に形成されたスクレーパ本体76とから構成されている。スクレーパ取付け部材75は、単純な平板状に形成され、その板面に上下方向に長い長孔75aが形成されている。
【0050】
スクレーパ本体76は、スクレーパ取付け部材75の上端前部に後方へ突出するよう形成されている。具体的に、スクレーパ本体76は、スクレーパ取付け部材75の上端前部から斜め後方へ向けて上傾斜する基部78と、基部78の幅方向外方端部から上方へ向けて凸となるよう湾曲した掻落し部80とから一体的に形成されている。
【0051】
基部78は、所定の幅を有して、この場合、スクレーパ本体76を、スクレーパ取付け部材75から所定距離だけ幅方向外側に位置ずれさせた構成となっている。基部78の上面78aは略平面に形成され、サイドスクレーパ74は下側の縦壁31に取付けた状態で、基部78の上面78aが略水平になるよう設定される。
【0052】
したがって、掻落し部80の下端部80aは、掻落し部80の湾曲方向長さに応じた分だけ、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面に対して下方に位置している。また、スクレーパ本体76は、平面視してサイドバネ部材42に対して、搬送経路前側X2にあるよう配置されている。
【0053】
次に、図2,図4,図16,図17に基づいて、幅方向両側のサイドスクレーパ74の中央位置に配置されるセンタースクレーパ81の構成を説明する。センタースクレーパ81は、下側のガイド部材27に取付けられる脚部材82と、脚部材82の上端部に一体的に形成されたスクレーパ本体77とから一体的に構成されている。
【0054】
脚部材82は、下側のガイド部材27に固定される平板状の固定部83と、固定部83から上方に折曲されるよう立上げられた平板状の脚部84とから、側面視してL字形に形成されている。固定部83には、ボルト等の締結手段を挿通する取付け孔83aが前後に離間して形成されている。脚部84は、下側のガイド部材27の後端面に沿うよう立上げられている。
【0055】
スクレーパ本体77は、後方に向けて斜め上方へ傾斜した板状に形成され、その上端面77aは、センタースクレーパ81が下側のガイド部材27に取付けられた状態で、略水平になるよう形成されている。なお、スクレーパ本体77の左右幅は固定部83の左右幅よりも大きく形成されて、スクレーパ本体77の両端部側が固定部83に対して左右に張り出すよう構成されている。また、スクレーパ本体77は、平面視してセンターバネ部材43に対して搬送経路前側X2にあるよう配置されている。
【0056】
次に作用を説明する。段ボール加工装置1において、矩形に成形裁断されたシート状の段ボール箱用紙10を一枚ずつ、搬送経路Dにおける搬送経路後側X1から搬送経路前側X2に向けて、給紙部2から印刷部3へ搬送(給紙)すると、図1に示すように、段ボール箱用紙10の表面に多色の印刷12が施されて、段ボール箱用紙10はさらにスロッタ部4に搬送される。スロッタ部4では、段ボール箱用紙10に、折目の目安となる罫線13が施される。この場合では、罫線13は幅方向に離間した三箇所(スリット40を形成する幅方向位置と同じ位置)に設けられる。
【0057】
罫線13が施された段ボール箱用紙10は、さらにダイカッター部5へ搬送され、段ボール箱用紙10の幅方向一端辺部の搬送方向の前後部を切断することで、段ボール箱用紙10を箱状に形成するための糊代壁11が形成される。また、段ボール箱用紙10における所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域が、切断手段33によって切断される。このとき切断された領域に、切断紙片32が発生する。
【0058】
段ボール箱用紙10は、さらに搬送経路前側X2に向けて、フォールディング部7へ搬送される。フォールディング部7には、切断手段33で切断された切断紙片32の全部を段ボール箱用紙10から除去する(離脱させる)ための除去手段41が設けられており、この除去手段41によって切断紙片32が段ボール箱用紙10から除去される。
【0059】
また、段ボール箱用紙10は糊付部6で、糊代壁11に糊付けがされ、さらに折畳み機構部17に搬送されて、糊代壁11に対応する部分を重ねるように罫線13に沿って折畳まれ(例えば幅方向外側の二つの罫線13)、カウンターエジェクト部8で段ボール箱用紙10が所定枚数の束にされる。その後、例えば段ボール箱用紙10に対して紙粉が除去される工程を経て、段ボール箱用紙10は、これを箱状に形成するのに必要な蓋片14および底片15が形成されたうえで出荷される。
【0060】
ここで、除去手段41によって切断紙片32が段ボール箱用紙10から除去される作用について、詳細に説明する。切断手段33によって段ボール箱用紙10の一部が切断されるから、基本的には、段ボール箱用紙10は、搬送経路前側X2に搬送されて切断手段33から離脱すれば、切断紙片32は段ボール箱用紙10から落下し、ダイカッター部5とフォールディング部7との間で切断紙片回収容器(図示せず)に回収される。
【0061】
しかしながら切断手段33は、切断ローラ36および受けローラ37の回転軸34,35回りの回転によって、段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断させて切断紙片32とするものであるから、切断紙片32の例えばサイド側が段ボール箱用紙10から離れきらない場合も多い。
【0062】
このような場合では、段ボール箱用紙10が搬送経路前側X2に搬送されてフォールディング部7に至ると、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、回収されなかった両サイドの切断紙片32がサイドバネ部材42によって押えられて落ち、切断紙片回収容器に回収される。
【0063】
このときサイドバネ部材42の下端部56aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている。このため、切断紙片32は、サイドバネ部材42の押え部56が搬送経路前側部32aから当接して、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、切断紙片32の搬送経路後側部32bを押圧するようになって、結局、切断紙片32を長手方向に亙るように押圧し、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0064】
幅方向中心側の切断紙片32においても同様に、回収されなかった切断紙片32がサイドバネ部材42によって押えられて落ち、回収される。このとき、センターバネ部材43の下端部57aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されているから、切断紙片32は、センターバネ部材43の押え部57が搬送経路前側部32aから当接して、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、切断紙片32の搬送経路後側部32bを押圧するようになって、結局、切断紙片32を長手方向に亙るように押圧する。このため、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0065】
サイドバネ部材42、センターバネ部材43における切断紙片32の上方からの押圧は、段ボール箱用紙10の前部の切断紙片32が終了すれば、段ボール箱用紙10の搬送移動により、段ボール箱用紙10の後部の切断紙片32についても同様に行われて、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0066】
サイドバネ部材42の下端部56a、センターバネ部材43の下端部57aは、ともに搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されているから、段ボール箱用紙10が搬送移動されると、サイドバネ部材42の押え部56、センターバネ部材43の押え部57は、段ボール箱用紙10の上面10aに摺動することになる。
【0067】
しかしながら、サイドバネ部材42、センターバネ部材43は、ともに緩衝部54,55を有し、押え部56,57はその下方が前方に向けてした傾斜するよう形成されている。このため、サイドバネ部材42、センターバネ部材43には充分な緩衝性が付与されていて、サイドバネ部材42の押え部56、センターバネ部材43の押え部57が段ボール箱用紙10の上面10aに摺動しても、段ボール箱用紙10の上面10aを損傷させることがない。
【0068】
ところで、切断紙片32の、例えばサイド側が段ボール箱用紙10から離れきらない場合などでは、サイドバネ部材42、センターバネ部材43を用いても、切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができない場合がある。しかしながら、本発明の実施形態に係る段ボール加工装置1では、サイドスクレーパ74およびセンタースクレーパ81を設けている。
【0069】
すなわち、仮にサイドバネ部材42あるいはセンターバネ部材43でも、切断紙片32が段ボール箱用紙10から取除かれなかった場合では、段ボール箱用紙10の搬送移動によって、サイドスクレーパ74のスクレーパ本体76、特にその掻落し部80が、段ボール箱用紙10の下面10bと切断紙片32との間に介入し(挿入され)、さらに段ボール箱用紙10が搬送移動することによって、切断紙片32が段ボール箱用紙10から掻取られるようにして取除かれ、落下する。
【0070】
段ボール箱用紙10は、その幅が広いほど幅方向両側部分は下方に撓み易い。しかしながら、サイドスクレーパ74のスクレーパ本体76における掻落し部80は、基部78の幅方向外方端部から上方へ向けて凸となるよう湾曲し、掻落し部80の下端部80aは、掻落し部80の湾曲方向長さに応じた分だけ、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面に対して下方に位置している。
【0071】
このため、段ボール箱用紙10の幅方向両側部分が下方に撓んでいたとしても、掻落し部80がスリット40を形成する壁に係止してしまい、段ボール箱用紙10の搬送移動を妨げるような状態を回避し、段ボール箱用紙10の搬送移動を円滑に案内することができる。また、サイドスクレーパ取付け部材75は、長孔75aによって、縦壁31への取付け位置を調節することができる。このため、段ボール箱用紙10のサイズ(幅方向長さ)に応じて、掻落し部80の高さ位置そのものを調節でき、段ボール箱用紙10の撓み量に対応することができる。
【0072】
また、サイドスクレーパ74では、スクレーパ本体76を、スクレーパ取付け部材75の上端前部に後方へ大きく突出するよう形成している構成により、スクレーパ本体76の下方に、スクレーパ取付け部材75が至らない(無い)ようにしている。換言すれば、スクレーパ本体76の下方に大きなスペースが形成されている。このため、段ボール箱用紙10から取除かれた切断紙片32がスクレーパ取付け部材75とスクレーパ本体76の間に噛込んでしまうといった現象を効果的に回避することができる。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態における段ボール加工装置1では、サイドバネ部材42およびセンターバネ部材43で、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って切断紙片32を上方から、搬送経路前側部32aから搬送経路後側部32bにかけて押圧することで、切断手段33で切断しても除去しきれなかった切断紙片32を、効果的に除去することができる。また、サイドバネ部材42およびセンターバネ部材43でも除去できなかった切断紙片32は、サイドスクレーパ74あるいはセンタースクレーパ81によって、確実に除去することができる。
【0074】
なお、サイドバネ部材42、センターバネ部材43、サイドスクレーパ74、センタースクレーパ81の搬送方向での設置位置は、段ボール箱用紙10のサイズや、該サイズによって決定されるスリット40の搬送方向長さに応じて、適宜変更できるよう構成することが好ましい。
【0075】
また、縦壁30,31、ガイド部材26,27の幅方向位置を変更できる構成とすることで、サイドバネ部材42、センターバネ部材43、サイドスクレーパ74、センタースクレーパ81の幅方向での設置位置を、段ボール箱用紙10のサイズや、該サイズによって決定されるスリット40の幅方向位置に対応させることができる。
【0076】
上記実施形態では、サイドバネ部材42は縦壁30に、バネ取付け部材44を介して縦壁30の幅方向外側に配置した。また、サイドスクレーパ74の掻落し部80は、縦壁31の幅方向外側にスクレーパ取付け部材75を取付けることで、縦壁31の幅方向外側に配置した。しかしながら、サイドバネ部材42は縦壁30に、バネ取付け部材44を介して縦壁30の幅方向内側に配置し、サイドスクレーパ74の掻落し部80は、縦壁31の幅方向内側にスクレーパ取付け部材75を取付けることで、縦壁31の幅方向内側に配置することもできる。
【0077】
次に、図18ないし図28に基づいて、本発明の第二の実施形態を説明する。第二の実施形態が第一の実施形態と異なる構成は、切断紙片を除去するための除去手段である。特に、離脱体およびその取付け部分からなる離脱部の構成が異なる。なお、スクレーパの構成、およびその他の構成については上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
以下、前記離脱部の構成について詳述する。離脱部は、図18ないし図22に示すサイド離脱部100と、図23ないし図28に示すセンター離脱部101とから構成されている。まず、図18ないし図22に基づいて、サイド離脱部100の構成を説明する。サイド離脱部100は、左右それぞれにおいて同一であり、上側の各縦壁30において、それぞれ幅方向左右使い(左右で対象の構成となる使い方)をされるので、一方のサイド離脱部100の構成の説明をもって他方のサイド離脱部100の構成の説明を代用する。
【0079】
サイド離脱部100は、縦壁30に取付けられる。サイド離脱部100は、切断紙片32(図3参照)を押圧するサイド押圧部材102と、サイド押圧部材102を縦壁30の下部に取付けるためのサイド取付け部材103と、このサイド取付け部材103にサイド押圧部材102を回動自在に支持する支持バネ部材104とから構成されている。
【0080】
サイド取付け部材103は、縦壁30の下面に当接するサイド取付台106と、サイド取付台106の幅方向端部から立設して縦壁30の下部側面に当接する取付壁107と、支持バネ部材104を支持するバネ支持片108とから一体的に形成されている。
【0081】
サイド取付台106および取付壁107はそれぞれ平板状に形成され、取付壁107はサイド取付台106の搬送経路前側寄りに配置されている。取付壁107には、取付けボルト(図示せず)が挿入される取付孔107aが前後に振り分けて形成されている。バネ支持片108はサイド取付台106の搬送経路後側端部に配置されるとともに、サイド取付台106から下方に向けて突出するよう形成されている。バネ支持片108はサイド取付台106の幅方向両側に、対向して配置されている。バネ支持片108に支軸109が渡されている。
【0082】
サイド押圧部材102は,それ自体ではバネ性は備えておらず、支持バネ部材104の弾性によって付勢されるよう構成されている。すなわちサイド押圧部材102は支軸109回りに回動自在に支持された平板状の基部110と、基部110の下端から基部110に直交するする方向に延長されたサイド押圧杆112とから一体的に形成されている。サイド押圧杆112は、基部110の幅方向外方寄りに配置されている。
【0083】
支持バネ部材104としてキックバネが好適に用いられ、支持バネ部材104は支軸109を外嵌して、一端部104aがサイド取付台106の下面に当接し、他端部104bが基部110の裏面に当接するよう設けられている。この構成により、サイド押圧部材102は、そのサイド押圧杆112がサイド取付台106から離間する方向に付勢されている。上記構成のサイド離脱部100とサイドスクレーパ74との位置関係は、上記第一の実施形態と同様である。
【0084】
次に、図23ないし図28に基づいて、センター離脱部101の構成を説明する。センター離脱部101は、上方のガイド部材26に取付けられる。センター離脱部101は、切断紙片32を押圧するセンター押圧部材113と、センター押圧部材113をガイド部材26に取付けるためのセンター取付け部材114と、このセンター取付け部材114にセンター押圧部材113を回動自在に支持する支持バネ部材105とから構成されている。
【0085】
センター取付け部材114は、ガイド部材26の上面に当接するセンター取付台115と、センター取付台115の後側部から下方に垂下する垂下壁116と、垂下壁116の下端後側部から前方に延長された支持壁117と、支持バネ部材105を支持するバネ支持片118とから一体的に形成されている。センター取付台115、垂下壁116および支持壁117はそれぞれ平板状に形成されている。
【0086】
センター取付台115には、取付けボルト(図示せず)が挿入される取付孔115aが前後に振り分けて形成されている。バネ支持片118は、支持壁117の搬送経路後側端部に配置されるとともに、支持壁117から下方に向けて突出するよう形成されている。バネ支持片118は支持壁117の幅方向両側に、対向して配置されている。バネ支持片118に支軸119が渡されている。
【0087】
センター押圧部材113は、それ自体ではバネ性は備えておらず、支持バネ部材105の弾性によって付勢されるよう構成されている。すなわちセンター押圧部材113は、支軸119回りに回動自在に支持された平板状の基部120と、基部120の下端から基部120に直交するする方向に延長されたセンター押圧杆121とから一体的に形成されている。このセンター押圧杆121は、基部120の幅方向中心に配置されている。
【0088】
支持バネ部材105として、キックバネが好適に用いられ、支持バネ部材105は支軸119を外嵌して、一端部105aが支持壁117の下面に当接し、他端部105bが基部120の裏面に当接するよう設けられている。この構成により、センター押圧部材113は、そのセンター押圧杆121が支持壁117から離間する方向に付勢されている。上記構成のセンター離脱部101とセンタースクレーパ81との位置関係は、上記第一の実施形態と同様である。
【0089】
上記構成において、段ボール箱用紙10がダイカッター部5を通ってフォールディング部7に給紙され、搬送経路前側X2に向けて段ボール箱用紙10がさらに移動すると、段ボール箱用紙10の一部所定領域のうち、段ボール箱用紙10の幅方向外側寄りに形成された切断紙片32は、サイド押圧部材102のサイド押圧杆112によって下方に押圧されて段ボール箱用紙10から離脱し、切断紙片回収容器に回収される。また、段ボール箱用紙10の一部所定領域のうち、段ボール箱用紙10の幅方向中心側に形成された切断紙片32は、センター押圧部材113のセンター押圧杆121によって下方に押圧されて段ボール箱用紙10から離脱し、切断紙片回収容器に回収される。このように、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121は、切断紙片32をその搬送経路前側X2から搬送経路後側X1に至るよう押えて離脱させる。
【0090】
サイド押圧杆112(サイド押圧部材102)、センター押圧杆121(センター押圧部材113)は、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性によって、支軸109,119回りに下方に付勢されている。そして、段ボール箱用紙10が移動して、切断紙片32がサイド押圧杆112、センター押圧杆121に接触すると、サイド押圧杆112、センター押圧杆121には、切断紙片32から、これを押圧する反力が働き、その反力に相当する分だけサイド押圧杆112、センター押圧杆121が、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性に抗して、支軸109,119回りに上方へ移動する(図19,25の仮想線に示す)。あるいは、サイド押圧杆112、センター押圧杆121が段ボール箱用紙10の上面10aにより押圧されても同様に、サイド押圧杆112、センター押圧杆121が、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性に抗して、支軸109,119回りに上方へ移動する。
【0091】
そして、第二の実施形態では、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121それ自体にはバネ性を付与せずに所定の剛性を付与して、支持バネ部材104,105によって支軸109,119回りに回動(揺動)自在としている。このため、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121の長寿命化を図ることができる。他の構成および作用効果は、上記第一の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0092】
1…段ボール加工装置、2…給紙部、3…印刷部、4…スロッタ部、5…ダイカッター部、6…糊付部、7…フォールディング部、8…カウンターエジェクト部、10…段ボール箱用紙、10a…上面、10b…下面、13…罫線、17…折畳み機構部、22,23…搬送ベルト、24,25…保護壁体、26,27…ガイド部材、30,31…縦壁、32…切断紙片、32a…搬送経路前側部、32b…搬送経路後側部、33…切断手段、40…スリット、41…除去手段、42…サイドバネ部材、43…センターバネ部材、44,45…バネ取付け部材、52,53…被取付け部、54,55…緩衝部、56,57…押え部、63,64…規制部、65,66…保持溝、73…本体、74…サイドスクレーパ、76,77…スクレーパ本体、80…掻落し部、81…センタースクレーパ、D…搬送経路、X1…搬送経路後側、X2…搬送経路前側
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール加工装置に関し、特に、段ボールの加工に伴って発生する不要な切断紙片を、段ボールから除去するための紙片除去装置を備えた段ボール加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の段ボール加工装置として、下記特許文献1に記載の技術が提案されている。例えば段ボールは、これを箱状にするために、蓋および底に相当する領域の一部にスリットを形成する。このために、切断手段によってスリットに相当する部分を切除することが行われる。
【0003】
特許文献1では、切断手段によって切断されることで発生する切断紙片を段ボールから除去させるために、切断紙片に対向する領域に紙片除去装置としてのエアーノズルを配置して切断紙片に上方から空気圧を付与する構成が採用されている。
【0004】
またこの種の段ボール加工装置として、下記特許文献2に記載の技術が提案されている。これは、段ボールの搬送経路に、切断紙片を押圧するためのバネ体を設けて、このバネ体で切断紙片を押圧して、これを段ボールから除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−102844号公報
【特許文献2】実用新案登録第3114008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のように、切断紙片に対向する領域にエアーノズルを配置して切断紙片に上方から空気圧を付与する構成では、空気圧の制御がむずかしく、発生する切断紙片の状態によっては切断紙片を段ボールから除去できない場合が考えられる。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、特許文献1に示すようなむずかしい制御は必要ないが、単に切断紙片を押圧しただけでは、切断紙片の搬送方向前後部は段ボールから外れても、切断紙片の幅方向端辺部が段ボールから離脱しない場合がある。
【0008】
そこで本発明は上記課題に鑑み、切断紙片を段ボールから確実に離脱させて除去し得る段ボール加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成形裁断されたシート状の段ボールを、その搬送経路後側から搬送経路前側へ移動させる過程において加工するための段ボール加工装置であって、前記段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、前記切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、該除去手段は切断紙片を押える離脱体、および該離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、前記離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、前記スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入されるものであることを特徴としている。
【0010】
上記構成において、成形裁断された段ボールを搬送経路前側へ搬送する途上で、切断手段によって段ボールの所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断して切断紙片とし、段ボールが搬送経路を移動すると、段ボールが移動するのに伴って、除去手段の離脱体が、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部へ至るよう押圧する。このため切断紙片は、段ボールに対してその離脱距離が、搬送経路前側から搬送経路後側に至るほど大きくなるよう傾いて、切断紙片が段ボールから離脱して、除去される。
【0011】
さらに、上記構成において、切断紙片が離脱体の押圧だけでは除去されない場合、段ボールが搬送経路前側に移動すると、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間にスクレーパが挿入されるから、切断紙片の搬送経路後側部がスクレーパに当って、切断紙片がスクレーパで掻き取られるようにして段ボールから離脱し、除去される。
【0012】
本発明の段ボール加工装置では、除去手段は搬送経路において、切断手段の搬送経路前側直近に配設されている構成を採用することができる。この構成によれば、切断手段で切断された切断紙片が、切断手段の直近位置で除去され、切断手段の搬送経路前側に段ボール加工のための他の設備があっても、その加工に切断紙片が邪魔にならない。
【0013】
本発明の段ボール加工装置では、離脱体は切断紙片を上方から下方に向けて押えるものである構成を採用することができる。この構成によれば、切断紙片は段ボールに対して下方に除去されるから、紙粉の舞い上がりが抑えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の段ボール加工装置は、切断紙片を除去するための除去手段に、切断紙片を押える離脱体を備えており、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、離脱体が切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部へ至るよう押圧すると、切断紙片は、段ボールに対してその離脱距離が、搬送経路前側から搬送経路後側に至るほど大きくなるよう傾き、段ボールの移動に伴って切断紙片を段ボールから除去することができ、切断紙片が離脱体の押圧だけでは除去されない場合でも、段ボールが搬送経路前側に移動すると、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間にスクレーパが挿入されるから、切断紙片の搬送経路後側部がスクレーパに当たると、切断紙片がスクレーパで掻き取られるようにして段ボールから離脱し、確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態を表す段ボール加工装置の、全体側面図である。
【図2】同フォールディング部の後側からの正面図である。
【図3】同フォールディング部の要部側面図である。
【図4】同フォールディング部の後側からの要部斜視図である。
【図5】同フォールディング部の下側且つ後側からの要部斜視図である。
【図6】同フォールディング部の下側からの要部斜視図である。
【図7】同切断手段の側面図である。
【図8】同幅方向外側のサイドバネ部材の斜視図である。
【図9】同幅方向外側のサイドバネ部材の正面図である。
【図10】同バネ受けの後上方からの全体斜視図である。
【図11】同幅方向中央部に配置するセンターバネ部材の斜視図である。
【図12】同センターバネ部材の正面図である。
【図13】同センターバネ部材のバネ受けの単体斜視図である。
【図14】同サイドスクレーパの単体斜視図である。
【図15】同サイドスクレーパの側面図である。
【図16】同センタースクレーパの側面図である。
【図17】同センタースクレーパの平面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態を表す段ボール加工装置の、要部側面図である。
【図19】同サイド離脱部の側面図である。
【図20】同サイド離脱部の前側からの正面図である。
【図21】同サイド離脱部の底面図である。
【図22】同サイド離脱部の後側からの斜視図である。
【図23】同センター離脱部を主とした要部平面図である。
【図24】同センター離脱部を主とした後側からの正面図である。
【図25】同センター離脱部の側面図である。
【図26】同センター離脱部の平面図である。
【図27】同センター離脱部の後側からの正面図である。
【図28】同センター離脱部の後側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る段ボール加工装置を、図面に基づいて説明する。はじめに段ボール加工装置の第一の実施形態の全体概略構成を、図1に基づいて説明する。段ボール加工装置1は、給紙部2、印刷部3、スロッタ部4、ダイカッター部5、糊付部6を含むフォールディング部7、カウンターエジェクト部8等を、段ボール(以下、段ボール箱用紙という)10の搬送経路後側X1から搬送経路前側X2に向けてこの順に配置されてなる。
【0017】
給紙部2は、矩形に裁断されたシート状の段ボール箱用紙10を積載した状態で、上位の段ボール箱用紙10から一枚ずつ印刷部3へ送り出すよう構成されている。印刷部3は、段ボール箱用紙10の表面に所定の印刷12を施すよう構成されている。この場合、印刷部3では多色刷りが可能になっている(図1において、1色目、2色目と記載している)。スロッタ部4は、印刷12が施された段ボール箱用紙10に、折目の目安となる罫線13を施すよう構成されている。
【0018】
ダイカッター部5は、段ボール箱用紙10を箱状に形成するのに必要な蓋片14および底片15を形成するために、段ボール箱用紙10の一部を除去するよう構成されている。詳細については後述する。フォールディング部7は、糊代壁11の糊代面に接着剤を塗布する糊付部6と、段ボール箱用紙10において、糊代壁11に対応する部分を重ねるように罫線13に沿って折る折畳み機構部17と、折畳み機構部17で折畳まれた段ボール箱用紙10を複数枚重ね、上方に設けたノズル18から圧搾エアー20を噴出させる積層部21とを備えている。
【0019】
図2ないし図6に示すように、フォールディング部7は、段ボール箱用紙10をカウンターエジェクト部8へ向けて搬送するための左右・上下の搬送ベルト22,23と、搬送ベルト22,23の幅方向外側に配置された保護壁体24,25とを備える。さらにフォールディング部7は、搬送ベルト22,23の間に、段ボール箱用紙10の幅方向中心側をその上面側および下面側で案内する、前後方向に長い上下一対のガイド部材26,27を有している。
【0020】
搬送ベルト22,23は、段ボール箱用紙10を上面10aおよび下面10bで挟んで搬送するもので、上下の搬送ベルト22,23はその間に、段ボール箱用紙10が通る隙間を形成することが可能なように構成されている。保護壁体24,25は、それぞれ上下一対の縦壁30,31から構成され、縦壁30,31どうしは、段ボール箱用紙10(幅方向外側部)が通る隙間δ1を介して鉛直面内で保持されている。
【0021】
上下一対のガイド部材26,27の間にも、段ボール箱用紙10が通る隙間δ2が設けられている。このガイド部材26,27は、搬送ベルト22,23の間(中心位置から側方に位置ずれしている)にあって、搬送ベルト22,23の前部に相当する領域から後部に相当する領域に亙すよう設けられている。カウンターエジェクト部8は、フォールディング部7から搬送されてきた段ボール箱用紙10を所定枚数の束にするよう構成されている。なお、その詳細な構成は省略する。
【0022】
図7に示すように、本実施形態に係る段ボール加工装置1のダイカッター部5には、段ボール箱用紙10における所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片32(図3,図6参照)として切断するための切断手段33が搬送経路途中に設けられている。
【0023】
切断手段33は、上下の送りローラ29A,29Bの前側にあって、上下の回転軸34,35に装着されている切断ローラ36および受けローラ37と、切断ローラ36および受けローラ37の間に送られた段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断すべく、切断ローラ36の外周面に備えられたカッター38とから構成されている。
【0024】
そして、切断ローラ36および受けローラ37の回転軸34,35回りの回転によって、段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断することで切断紙片32を形成し、この切断紙片32に相当する分のスリット40(図5,図6参照)を、段ボール箱用紙10に形成するよう構成されている。
【0025】
前記一部所定領域を切断することで発生する切断紙片32は、要するに、搬送方向両端部側に蓋となる前記蓋片14、底となる前記底片15を段ボール箱用紙10にそれぞれ形成するために、搬送方向を長手方向として所定の幅を有した細長の長方形に形成される。
【0026】
切断手段33は、このような切断紙片32を段ボール箱用紙10に形成できるよう、切断ローラ36および受けローラ37におけるカッター38およびスリット40の、軸方向位置および周方向位置、あるいはカッター38およびスリット40の軸方向幅、あるいは切断ローラ36および受けローラ37の径が任意に設定される。
【0027】
なおこの実施形態では、切断紙片32は、段ボール箱用紙10の搬送経路後端部側と、搬送経路前端部側の双方の部位において、その幅方向の途中部分に、間欠的に三箇所の領域に発生するよう切断手段33が構成されている。したがって、スリット40も切断紙片32が発生する部位に形成されることになる。
【0028】
図2ないし図6に示すように、フォールディング部7には、切断手段33で切断された切断紙片32の全部を段ボール箱用紙10から除去する(離脱させる)ための除去手段41が設けられている。除去手段41は、バネ部材(離脱体に相当する)と、スクレーパ(ブレード)とを備えている。
【0029】
バネ部材は、段ボール箱用紙10の搬送経路Dに沿う移動に伴って、切断紙片32をその搬送経路前側部32aから搬送経路後側部32b(図3,図6参照)に至るよう押えるよう構成されている。
【0030】
この実施形態では、切断紙片32を段ボール箱用紙10の幅方向の途中部分に間欠的に三箇所設ける(形成する)ため、バネ部材もまた、該三箇所に対応する位置に配置されている。具体的には、三つ(二種類)のバネ部材、すなわち幅方向外側のサイドバネ部材42と、サイドバネ部材42の間に配置されたセンターバネ部材43を備えている。
【0031】
サイドバネ部材42は、フォールディング部7の、上側の縦壁30に、バネ取付け部材44を介して設けられている。サイドバネ部材42のバネ取付け部材44は、ダイカッター部5から段ボール箱用紙10がフォールディング部7に給紙された直後の部位に設けられている。具体的には、バネ取付け部材44は、上側の縦壁30のうち、ダイカッター部5側に近い部位に取付けられている。
【0032】
左右何れのバネ取付け部材44も、上側の縦壁30の側面に側方から固定される。バネ取付け部材44は、サイドバネ部材42をその下側で支持するバネ受け46と、サイドバネ部材42をその上側で支持するバネ押え50とから構成されている。
【0033】
図8および図9に示すように、サイドバネ部材42は、被取付け部52と、被取付け部52の端部(搬送経路後側端部)から湾曲しつつ下方に延設された緩衝部54と、緩衝部54の下端部から搬送経路前側斜め下方に延設された押え部56とから一体的に形成されている。被取付け部52の搬送経路前側端部には、下方に向けて折曲した係止片58が一体的に形成されている。
【0034】
被取付け部52は、単純な長方形の平板状に形成され、緩衝部54は、被取付け部52側が被取付け部52の左右幅に等しく設定され、下方に位置するほど幅狭く形成されている。押え部56は、その長手方向に同一の幅に形成されている。
【0035】
押え部56の下端部56aは、水平前方に向けて折曲されて前部ほど幅狭く形成されている。被取付け部52は、搬送されてくる段ボール箱用紙10の上面10aよりも上方に位置するよう配置される。サイドバネ部材42の下端部56aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている(位置付けられている)。
【0036】
図10に示すように、バネ受け46は、上側の縦壁30の内側面30aに当接して固定される当接部60と、当接部60の下部から側方に向けて折曲された保持部61とから一体的に形成されている。当接部60は、単純な板状に形成され、その板面に複数の取付け孔60aが形成されている。保持部61はサイドバネ部材42の被取付け部52を載置する載置部62と、サイドバネ部材42の緩衝部54の湾曲状態を規制するよう保持する規制部63とから一体的に形成されている。この規制部63は、載置部62に対して後方に突出するよう形成されている。
【0037】
保持部61には、当接部60から離れる端部側に、サイドバネ部材42の被取付け部52および緩衝部54を嵌合支持する保持溝65が形成されている。この保持溝65は、サイドバネ部材42の被取付け部52が上方から嵌合する第一溝部67と、第一溝部67に連続して規制部63の表面に形成された、側面視して湾曲した第二溝部70とから形成されている。
【0038】
第一溝部67は、被取付け部52に合致する形状に形成され、第二溝部70は緩衝部54に合致するよう、下方ほど幅狭くした形状に形成されている。また、第一溝部67の前端は、載置部62の前端にまで至っている。また、第一溝部67の前端底部は、前方向に下傾斜する傾斜面72に形成されている。
【0039】
バネ押え50は、単純な矩形板状に形成されている(図2ないし図4参照)。その横板面が縦壁30の前記側面とは反対側の側面に当接するとともに、サイドバネ部材42の被取付け部52を保持溝65のうち第一溝部67に嵌合した状態(図10参照)で、下面が載置部62の上面62aと面一になり、被取付け部52を、上方から覆うものである。このバネ押え50の板面には取付け孔50aが形成されている。
【0040】
サイドバネ部材42の係止片58を載置部62の前面に前方から係止するよう、また被取付け部52を第一溝部67に上方から嵌め、バネ押え50を、その下面が載置部62の上面62aに面一となるよう被取付け部52を上方から覆い、取付け孔50aにボルト等の締結手段を挿通し、上側の縦壁30に螺合する。これによって、サイドバネ部材42がバネ取付け部材44から上方および前後方向に離脱するのが防止されており、サイドバネ部材42がバネ取付け部材44に保持された状態となる。
【0041】
以上のサイドバネ部材42の構成およびバネ取付け部材44の構成は、左右それぞれにおいて同一であり、バネ取付け部材44は、上側の各縦壁30において、それぞれ幅方向左右使い(左右で対象の構成となる使い方)をされている。
【0042】
図11および図12に基づいて、幅方向中央部に配置するセンターバネ部材43の構成を説明する。センターバネ部材43は、被取付け部53と、被取付け部53の端部(搬送経路後側端部)から湾曲しつつ下方に延設された緩衝部55と、緩衝部55の下端部から搬送経路前側斜め下方に延設された押え部57とから一体的に形成されている。被取付け部53の板面には、前後に離間した保持孔53aが形成されている。押え部57の下端部57aは、水平な前方に向けて折曲されて前部ほど幅狭く形成されている。
【0043】
図2および図4に示すように、センターバネ部材43は、バネ取付け部材45を介して上方のガイド部材26の後端部上面に固定されている。センターバネ部材43のバネ取付け部材45は、バネ受け47と、バネ押え51とから構成されている。図13に示すように、バネ受け47は、上方のガイド部材26の後端部上面に当接して固定される本体73と、規制部64とから一体的に形成されている。バネ受け47における規制部64の構成は、サイドバネ部材42を取付けるバネ受け46とほぼ同様の構成である。
【0044】
本体73は、前後方向に長尺の、偏平な角柱状に形成されている。規制部64は本体73の前端部に下方に突出するよう形成されている。本体73の上面73aの前部および規制部64の前面に、センターバネ部材43が嵌合してこれを保持する保持溝66が形成されている。
【0045】
保持溝66は、センターバネ部材43の被取付け部53が上方から嵌合する第一溝部68と、緩衝部55が前方から嵌合する第二溝部71とからなる。第一溝部68は被取付け部53に合致する形状に形成され、第二溝部71はセンターバネ部材43の緩衝部55に合致するよう、下方ほど幅狭くした形状に形成されている。
【0046】
第一溝部68の前端部は、本体73の上面73aの途中まで延長されている。第一溝部68の底面には、被取付け部53に形成した保持孔53aに対向(連通)する支持孔68aが上下方向に貫通して形成されている。第一溝部68に被取付け部53を嵌合し、第二溝部71に緩衝部55を嵌合して、保持孔53a、支持孔68aにボルト等の締結手段を挿通することで、センターバネ部材43が本体73に固定されている。また、本体73の後部板面には、本体73の固定用孔73bが形成されている。
【0047】
バネ押え51については、図2、図4を参照して説明する。バネ押え51は、単純な矩形板状に形成され、固定用孔73bに対応(連通)する貫通孔51aおよび保持孔53aに対応する貫通孔51bが形成されている。貫通孔51aおよび固定用孔73bにボルト等の締結手段を挿通し、上方のガイド部材26に螺合し、貫通孔51b、保持孔53aおよび支持孔68aにボルト等の締結手段を挿通して本体73に螺合する。そうすると、バネ受け47が上方のガイド部材26に固定され、バネ押え51がセンターバネ部材43(被取付け部53)を上方から覆った状態で、バネ受け47が上方のガイド部材26に固定される。
【0048】
上記構成において、センターバネ部材43の被取付け部53は、搬送されてくる段ボール箱用紙10の表面よりも上方に位置するよう配置される。センターバネ部材43の下端部57aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている(位置付けられている)。
【0049】
次に、図2ないし図6,図14および図15に基づいて、幅方向両側(左右)に設けたサイドスクレーパ74の構造を説明する。サイドスクレーパ74は、下側の縦壁31のダイカッター部5側寄りに、上下方向に移動自在に固定されるスクレーパ取付け部材75と、このスクレーパ取付け部材75に一体的に形成されたスクレーパ本体76とから構成されている。スクレーパ取付け部材75は、単純な平板状に形成され、その板面に上下方向に長い長孔75aが形成されている。
【0050】
スクレーパ本体76は、スクレーパ取付け部材75の上端前部に後方へ突出するよう形成されている。具体的に、スクレーパ本体76は、スクレーパ取付け部材75の上端前部から斜め後方へ向けて上傾斜する基部78と、基部78の幅方向外方端部から上方へ向けて凸となるよう湾曲した掻落し部80とから一体的に形成されている。
【0051】
基部78は、所定の幅を有して、この場合、スクレーパ本体76を、スクレーパ取付け部材75から所定距離だけ幅方向外側に位置ずれさせた構成となっている。基部78の上面78aは略平面に形成され、サイドスクレーパ74は下側の縦壁31に取付けた状態で、基部78の上面78aが略水平になるよう設定される。
【0052】
したがって、掻落し部80の下端部80aは、掻落し部80の湾曲方向長さに応じた分だけ、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面に対して下方に位置している。また、スクレーパ本体76は、平面視してサイドバネ部材42に対して、搬送経路前側X2にあるよう配置されている。
【0053】
次に、図2,図4,図16,図17に基づいて、幅方向両側のサイドスクレーパ74の中央位置に配置されるセンタースクレーパ81の構成を説明する。センタースクレーパ81は、下側のガイド部材27に取付けられる脚部材82と、脚部材82の上端部に一体的に形成されたスクレーパ本体77とから一体的に構成されている。
【0054】
脚部材82は、下側のガイド部材27に固定される平板状の固定部83と、固定部83から上方に折曲されるよう立上げられた平板状の脚部84とから、側面視してL字形に形成されている。固定部83には、ボルト等の締結手段を挿通する取付け孔83aが前後に離間して形成されている。脚部84は、下側のガイド部材27の後端面に沿うよう立上げられている。
【0055】
スクレーパ本体77は、後方に向けて斜め上方へ傾斜した板状に形成され、その上端面77aは、センタースクレーパ81が下側のガイド部材27に取付けられた状態で、略水平になるよう形成されている。なお、スクレーパ本体77の左右幅は固定部83の左右幅よりも大きく形成されて、スクレーパ本体77の両端部側が固定部83に対して左右に張り出すよう構成されている。また、スクレーパ本体77は、平面視してセンターバネ部材43に対して搬送経路前側X2にあるよう配置されている。
【0056】
次に作用を説明する。段ボール加工装置1において、矩形に成形裁断されたシート状の段ボール箱用紙10を一枚ずつ、搬送経路Dにおける搬送経路後側X1から搬送経路前側X2に向けて、給紙部2から印刷部3へ搬送(給紙)すると、図1に示すように、段ボール箱用紙10の表面に多色の印刷12が施されて、段ボール箱用紙10はさらにスロッタ部4に搬送される。スロッタ部4では、段ボール箱用紙10に、折目の目安となる罫線13が施される。この場合では、罫線13は幅方向に離間した三箇所(スリット40を形成する幅方向位置と同じ位置)に設けられる。
【0057】
罫線13が施された段ボール箱用紙10は、さらにダイカッター部5へ搬送され、段ボール箱用紙10の幅方向一端辺部の搬送方向の前後部を切断することで、段ボール箱用紙10を箱状に形成するための糊代壁11が形成される。また、段ボール箱用紙10における所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域が、切断手段33によって切断される。このとき切断された領域に、切断紙片32が発生する。
【0058】
段ボール箱用紙10は、さらに搬送経路前側X2に向けて、フォールディング部7へ搬送される。フォールディング部7には、切断手段33で切断された切断紙片32の全部を段ボール箱用紙10から除去する(離脱させる)ための除去手段41が設けられており、この除去手段41によって切断紙片32が段ボール箱用紙10から除去される。
【0059】
また、段ボール箱用紙10は糊付部6で、糊代壁11に糊付けがされ、さらに折畳み機構部17に搬送されて、糊代壁11に対応する部分を重ねるように罫線13に沿って折畳まれ(例えば幅方向外側の二つの罫線13)、カウンターエジェクト部8で段ボール箱用紙10が所定枚数の束にされる。その後、例えば段ボール箱用紙10に対して紙粉が除去される工程を経て、段ボール箱用紙10は、これを箱状に形成するのに必要な蓋片14および底片15が形成されたうえで出荷される。
【0060】
ここで、除去手段41によって切断紙片32が段ボール箱用紙10から除去される作用について、詳細に説明する。切断手段33によって段ボール箱用紙10の一部が切断されるから、基本的には、段ボール箱用紙10は、搬送経路前側X2に搬送されて切断手段33から離脱すれば、切断紙片32は段ボール箱用紙10から落下し、ダイカッター部5とフォールディング部7との間で切断紙片回収容器(図示せず)に回収される。
【0061】
しかしながら切断手段33は、切断ローラ36および受けローラ37の回転軸34,35回りの回転によって、段ボール箱用紙10の一部所定領域を切断させて切断紙片32とするものであるから、切断紙片32の例えばサイド側が段ボール箱用紙10から離れきらない場合も多い。
【0062】
このような場合では、段ボール箱用紙10が搬送経路前側X2に搬送されてフォールディング部7に至ると、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、回収されなかった両サイドの切断紙片32がサイドバネ部材42によって押えられて落ち、切断紙片回収容器に回収される。
【0063】
このときサイドバネ部材42の下端部56aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されている。このため、切断紙片32は、サイドバネ部材42の押え部56が搬送経路前側部32aから当接して、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、切断紙片32の搬送経路後側部32bを押圧するようになって、結局、切断紙片32を長手方向に亙るように押圧し、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0064】
幅方向中心側の切断紙片32においても同様に、回収されなかった切断紙片32がサイドバネ部材42によって押えられて落ち、回収される。このとき、センターバネ部材43の下端部57aは、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されているから、切断紙片32は、センターバネ部材43の押え部57が搬送経路前側部32aから当接して、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って、切断紙片32の搬送経路後側部32bを押圧するようになって、結局、切断紙片32を長手方向に亙るように押圧する。このため、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0065】
サイドバネ部材42、センターバネ部材43における切断紙片32の上方からの押圧は、段ボール箱用紙10の前部の切断紙片32が終了すれば、段ボール箱用紙10の搬送移動により、段ボール箱用紙10の後部の切断紙片32についても同様に行われて、回収されなかった切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができる。
【0066】
サイドバネ部材42の下端部56a、センターバネ部材43の下端部57aは、ともに搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面10bよりも下側にあるよう設定されているから、段ボール箱用紙10が搬送移動されると、サイドバネ部材42の押え部56、センターバネ部材43の押え部57は、段ボール箱用紙10の上面10aに摺動することになる。
【0067】
しかしながら、サイドバネ部材42、センターバネ部材43は、ともに緩衝部54,55を有し、押え部56,57はその下方が前方に向けてした傾斜するよう形成されている。このため、サイドバネ部材42、センターバネ部材43には充分な緩衝性が付与されていて、サイドバネ部材42の押え部56、センターバネ部材43の押え部57が段ボール箱用紙10の上面10aに摺動しても、段ボール箱用紙10の上面10aを損傷させることがない。
【0068】
ところで、切断紙片32の、例えばサイド側が段ボール箱用紙10から離れきらない場合などでは、サイドバネ部材42、センターバネ部材43を用いても、切断紙片32を段ボール箱用紙10から取除くことができない場合がある。しかしながら、本発明の実施形態に係る段ボール加工装置1では、サイドスクレーパ74およびセンタースクレーパ81を設けている。
【0069】
すなわち、仮にサイドバネ部材42あるいはセンターバネ部材43でも、切断紙片32が段ボール箱用紙10から取除かれなかった場合では、段ボール箱用紙10の搬送移動によって、サイドスクレーパ74のスクレーパ本体76、特にその掻落し部80が、段ボール箱用紙10の下面10bと切断紙片32との間に介入し(挿入され)、さらに段ボール箱用紙10が搬送移動することによって、切断紙片32が段ボール箱用紙10から掻取られるようにして取除かれ、落下する。
【0070】
段ボール箱用紙10は、その幅が広いほど幅方向両側部分は下方に撓み易い。しかしながら、サイドスクレーパ74のスクレーパ本体76における掻落し部80は、基部78の幅方向外方端部から上方へ向けて凸となるよう湾曲し、掻落し部80の下端部80aは、掻落し部80の湾曲方向長さに応じた分だけ、搬送されてくる段ボール箱用紙10の下面に対して下方に位置している。
【0071】
このため、段ボール箱用紙10の幅方向両側部分が下方に撓んでいたとしても、掻落し部80がスリット40を形成する壁に係止してしまい、段ボール箱用紙10の搬送移動を妨げるような状態を回避し、段ボール箱用紙10の搬送移動を円滑に案内することができる。また、サイドスクレーパ取付け部材75は、長孔75aによって、縦壁31への取付け位置を調節することができる。このため、段ボール箱用紙10のサイズ(幅方向長さ)に応じて、掻落し部80の高さ位置そのものを調節でき、段ボール箱用紙10の撓み量に対応することができる。
【0072】
また、サイドスクレーパ74では、スクレーパ本体76を、スクレーパ取付け部材75の上端前部に後方へ大きく突出するよう形成している構成により、スクレーパ本体76の下方に、スクレーパ取付け部材75が至らない(無い)ようにしている。換言すれば、スクレーパ本体76の下方に大きなスペースが形成されている。このため、段ボール箱用紙10から取除かれた切断紙片32がスクレーパ取付け部材75とスクレーパ本体76の間に噛込んでしまうといった現象を効果的に回避することができる。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態における段ボール加工装置1では、サイドバネ部材42およびセンターバネ部材43で、段ボール箱用紙10の搬送移動に伴って切断紙片32を上方から、搬送経路前側部32aから搬送経路後側部32bにかけて押圧することで、切断手段33で切断しても除去しきれなかった切断紙片32を、効果的に除去することができる。また、サイドバネ部材42およびセンターバネ部材43でも除去できなかった切断紙片32は、サイドスクレーパ74あるいはセンタースクレーパ81によって、確実に除去することができる。
【0074】
なお、サイドバネ部材42、センターバネ部材43、サイドスクレーパ74、センタースクレーパ81の搬送方向での設置位置は、段ボール箱用紙10のサイズや、該サイズによって決定されるスリット40の搬送方向長さに応じて、適宜変更できるよう構成することが好ましい。
【0075】
また、縦壁30,31、ガイド部材26,27の幅方向位置を変更できる構成とすることで、サイドバネ部材42、センターバネ部材43、サイドスクレーパ74、センタースクレーパ81の幅方向での設置位置を、段ボール箱用紙10のサイズや、該サイズによって決定されるスリット40の幅方向位置に対応させることができる。
【0076】
上記実施形態では、サイドバネ部材42は縦壁30に、バネ取付け部材44を介して縦壁30の幅方向外側に配置した。また、サイドスクレーパ74の掻落し部80は、縦壁31の幅方向外側にスクレーパ取付け部材75を取付けることで、縦壁31の幅方向外側に配置した。しかしながら、サイドバネ部材42は縦壁30に、バネ取付け部材44を介して縦壁30の幅方向内側に配置し、サイドスクレーパ74の掻落し部80は、縦壁31の幅方向内側にスクレーパ取付け部材75を取付けることで、縦壁31の幅方向内側に配置することもできる。
【0077】
次に、図18ないし図28に基づいて、本発明の第二の実施形態を説明する。第二の実施形態が第一の実施形態と異なる構成は、切断紙片を除去するための除去手段である。特に、離脱体およびその取付け部分からなる離脱部の構成が異なる。なお、スクレーパの構成、およびその他の構成については上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
以下、前記離脱部の構成について詳述する。離脱部は、図18ないし図22に示すサイド離脱部100と、図23ないし図28に示すセンター離脱部101とから構成されている。まず、図18ないし図22に基づいて、サイド離脱部100の構成を説明する。サイド離脱部100は、左右それぞれにおいて同一であり、上側の各縦壁30において、それぞれ幅方向左右使い(左右で対象の構成となる使い方)をされるので、一方のサイド離脱部100の構成の説明をもって他方のサイド離脱部100の構成の説明を代用する。
【0079】
サイド離脱部100は、縦壁30に取付けられる。サイド離脱部100は、切断紙片32(図3参照)を押圧するサイド押圧部材102と、サイド押圧部材102を縦壁30の下部に取付けるためのサイド取付け部材103と、このサイド取付け部材103にサイド押圧部材102を回動自在に支持する支持バネ部材104とから構成されている。
【0080】
サイド取付け部材103は、縦壁30の下面に当接するサイド取付台106と、サイド取付台106の幅方向端部から立設して縦壁30の下部側面に当接する取付壁107と、支持バネ部材104を支持するバネ支持片108とから一体的に形成されている。
【0081】
サイド取付台106および取付壁107はそれぞれ平板状に形成され、取付壁107はサイド取付台106の搬送経路前側寄りに配置されている。取付壁107には、取付けボルト(図示せず)が挿入される取付孔107aが前後に振り分けて形成されている。バネ支持片108はサイド取付台106の搬送経路後側端部に配置されるとともに、サイド取付台106から下方に向けて突出するよう形成されている。バネ支持片108はサイド取付台106の幅方向両側に、対向して配置されている。バネ支持片108に支軸109が渡されている。
【0082】
サイド押圧部材102は,それ自体ではバネ性は備えておらず、支持バネ部材104の弾性によって付勢されるよう構成されている。すなわちサイド押圧部材102は支軸109回りに回動自在に支持された平板状の基部110と、基部110の下端から基部110に直交するする方向に延長されたサイド押圧杆112とから一体的に形成されている。サイド押圧杆112は、基部110の幅方向外方寄りに配置されている。
【0083】
支持バネ部材104としてキックバネが好適に用いられ、支持バネ部材104は支軸109を外嵌して、一端部104aがサイド取付台106の下面に当接し、他端部104bが基部110の裏面に当接するよう設けられている。この構成により、サイド押圧部材102は、そのサイド押圧杆112がサイド取付台106から離間する方向に付勢されている。上記構成のサイド離脱部100とサイドスクレーパ74との位置関係は、上記第一の実施形態と同様である。
【0084】
次に、図23ないし図28に基づいて、センター離脱部101の構成を説明する。センター離脱部101は、上方のガイド部材26に取付けられる。センター離脱部101は、切断紙片32を押圧するセンター押圧部材113と、センター押圧部材113をガイド部材26に取付けるためのセンター取付け部材114と、このセンター取付け部材114にセンター押圧部材113を回動自在に支持する支持バネ部材105とから構成されている。
【0085】
センター取付け部材114は、ガイド部材26の上面に当接するセンター取付台115と、センター取付台115の後側部から下方に垂下する垂下壁116と、垂下壁116の下端後側部から前方に延長された支持壁117と、支持バネ部材105を支持するバネ支持片118とから一体的に形成されている。センター取付台115、垂下壁116および支持壁117はそれぞれ平板状に形成されている。
【0086】
センター取付台115には、取付けボルト(図示せず)が挿入される取付孔115aが前後に振り分けて形成されている。バネ支持片118は、支持壁117の搬送経路後側端部に配置されるとともに、支持壁117から下方に向けて突出するよう形成されている。バネ支持片118は支持壁117の幅方向両側に、対向して配置されている。バネ支持片118に支軸119が渡されている。
【0087】
センター押圧部材113は、それ自体ではバネ性は備えておらず、支持バネ部材105の弾性によって付勢されるよう構成されている。すなわちセンター押圧部材113は、支軸119回りに回動自在に支持された平板状の基部120と、基部120の下端から基部120に直交するする方向に延長されたセンター押圧杆121とから一体的に形成されている。このセンター押圧杆121は、基部120の幅方向中心に配置されている。
【0088】
支持バネ部材105として、キックバネが好適に用いられ、支持バネ部材105は支軸119を外嵌して、一端部105aが支持壁117の下面に当接し、他端部105bが基部120の裏面に当接するよう設けられている。この構成により、センター押圧部材113は、そのセンター押圧杆121が支持壁117から離間する方向に付勢されている。上記構成のセンター離脱部101とセンタースクレーパ81との位置関係は、上記第一の実施形態と同様である。
【0089】
上記構成において、段ボール箱用紙10がダイカッター部5を通ってフォールディング部7に給紙され、搬送経路前側X2に向けて段ボール箱用紙10がさらに移動すると、段ボール箱用紙10の一部所定領域のうち、段ボール箱用紙10の幅方向外側寄りに形成された切断紙片32は、サイド押圧部材102のサイド押圧杆112によって下方に押圧されて段ボール箱用紙10から離脱し、切断紙片回収容器に回収される。また、段ボール箱用紙10の一部所定領域のうち、段ボール箱用紙10の幅方向中心側に形成された切断紙片32は、センター押圧部材113のセンター押圧杆121によって下方に押圧されて段ボール箱用紙10から離脱し、切断紙片回収容器に回収される。このように、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121は、切断紙片32をその搬送経路前側X2から搬送経路後側X1に至るよう押えて離脱させる。
【0090】
サイド押圧杆112(サイド押圧部材102)、センター押圧杆121(センター押圧部材113)は、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性によって、支軸109,119回りに下方に付勢されている。そして、段ボール箱用紙10が移動して、切断紙片32がサイド押圧杆112、センター押圧杆121に接触すると、サイド押圧杆112、センター押圧杆121には、切断紙片32から、これを押圧する反力が働き、その反力に相当する分だけサイド押圧杆112、センター押圧杆121が、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性に抗して、支軸109,119回りに上方へ移動する(図19,25の仮想線に示す)。あるいは、サイド押圧杆112、センター押圧杆121が段ボール箱用紙10の上面10aにより押圧されても同様に、サイド押圧杆112、センター押圧杆121が、それぞれ支持バネ部材104,105の弾性に抗して、支軸109,119回りに上方へ移動する。
【0091】
そして、第二の実施形態では、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121それ自体にはバネ性を付与せずに所定の剛性を付与して、支持バネ部材104,105によって支軸109,119回りに回動(揺動)自在としている。このため、サイド押圧杆112およびセンター押圧杆121の長寿命化を図ることができる。他の構成および作用効果は、上記第一の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0092】
1…段ボール加工装置、2…給紙部、3…印刷部、4…スロッタ部、5…ダイカッター部、6…糊付部、7…フォールディング部、8…カウンターエジェクト部、10…段ボール箱用紙、10a…上面、10b…下面、13…罫線、17…折畳み機構部、22,23…搬送ベルト、24,25…保護壁体、26,27…ガイド部材、30,31…縦壁、32…切断紙片、32a…搬送経路前側部、32b…搬送経路後側部、33…切断手段、40…スリット、41…除去手段、42…サイドバネ部材、43…センターバネ部材、44,45…バネ取付け部材、52,53…被取付け部、54,55…緩衝部、56,57…押え部、63,64…規制部、65,66…保持溝、73…本体、74…サイドスクレーパ、76,77…スクレーパ本体、80…掻落し部、81…センタースクレーパ、D…搬送経路、X1…搬送経路後側、X2…搬送経路前側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形裁断されたシート状の段ボールを、その搬送経路後側から搬送経路前側へ移動させる過程において加工するための段ボール加工装置であって、
前記段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、前記切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、
該除去手段は切断紙片を押える離脱体、および該離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、
前記離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、前記スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入されるものであることを特徴とする段ボール加工装置。
【請求項2】
除去手段は搬送経路において、切断手段の搬送経路前側直近に配設されていることを特徴とする請求項1記載の段ボール加工装置。
【請求項3】
離脱体は切断紙片を上方から下方に向けて押えるものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の段ボール加工装置。
【請求項1】
成形裁断されたシート状の段ボールを、その搬送経路後側から搬送経路前側へ移動させる過程において加工するための段ボール加工装置であって、
前記段ボールにおける所定の幅方向長さ且つ搬送経路方向長さの一部領域を切断紙片として切断するための切断手段が搬送経路途中に設けられ、前記切断手段で切断された切断紙片を段ボールから除去するための除去手段が設けられ、
該除去手段は切断紙片を押える離脱体、および該離脱体によって搬送経路前側部が段ボールから離脱された切断紙片の搬送経路後側部を段ボールから切除するためのスクレーパを備え、
前記離脱体は段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って、切断紙片をその搬送経路前側部から搬送経路後側部に至るよう押えるものであり、前記スクレーパは、段ボールの搬送経路に沿う移動に伴って段ボールと切断紙片との間に挿入されるものであることを特徴とする段ボール加工装置。
【請求項2】
除去手段は搬送経路において、切断手段の搬送経路前側直近に配設されていることを特徴とする請求項1記載の段ボール加工装置。
【請求項3】
離脱体は切断紙片を上方から下方に向けて押えるものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の段ボール加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−40691(P2012−40691A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180991(P2010−180991)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【特許番号】特許第4728443号(P4728443)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(595112720)三和紙器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【特許番号】特許第4728443号(P4728443)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(595112720)三和紙器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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