説明

段付きネジ、締結構造及び画像形成装置

【課題】一般的な組立方法を用いた場合であっても、締結する部材の位置決めが容易に行える段付ネジ及び段付きネジを用いた締結構造を提供する。
【解決手段】締結孔21を有したベース20と、締結孔21と連通するとともに締結孔21よりも大径の挿通孔31を有した被位置決め部材30と、を位置決め固定する段付きネジ1であって、締結孔21に螺着するネジ部14と、ネジ部14の一端部に一体化され、挿通孔31に嵌合する第一円筒部13と、を有する軸部と、第一円筒部13の一端部に一体化されて第一円筒部13より大径のつば部12を有する頭部と、を備え、ネジ部14の軸方向長さL2が挿通孔31の軸方向長さtよりも短く、かつ、第一円筒部13の軸方向長さL1が挿通孔の軸方向長さtよりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段付きネジ及びこれを用いた物品の締結構造に関し、特にネジ孔を有したベース部材に対して被位置決め部材の位置を決めることが可能な段付きネジ及びこれを用いた物品の締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、ネジ孔の形成された筐体(ベース部材)に対して、外装カバー(被位置決め部材)をスライド可能に支持するために段付きネジが用いられる。段付きネジは、頭部とネジ部との間にネジ部の呼び径よりも外径が太く、ネジ頭部よりも外径が細い円筒部を備えている。外装カバーに開口された挿通孔と、挿通孔に挿通された円筒部の側面とにより、外装カバーが挿通孔に沿ってスライド可能に支持される。
このような締結構造は、画像形成装置以外にもよく用いられており、例えば特許文献1には、段付きネジを用いてシャッタ部材をスライド移動可能に支持した光走査装置が記載されている。特許文献1の光走査装置では、段付きネジをシャッタ部材のガイド溝内に挿通しつつ上カバーに螺着することにより、シャッタ部材をスライド可能に支持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の段付きネジを、締結すべき部材同士の位置を決めるために用いることは困難であった。ここで、段付きネジを部品の位置決めに使用する場合の問題点について図7、図8に基づいて説明する。図7、図8は、段付きネジを位置決めに用いた場合の問題点について説明する一部断面模式図である。
段付きネジ100は、ねじ込み方向の後端から順に、締結用の工具と係合する係合部101と、係合部101よりも大径のつば部102と、つば部102よりも小径の円筒部103と、円筒部103よりも小径で雄ネジのネジ山を有するネジ部104と、を備えている。係合部101、つば部102、円筒部103、及びネジ部104は一体的に同軸上に形成されている。
ベース部材110は、ネジ部104と螺合するネジ孔111を有する。また、ベース部材110に螺着された段付きネジ100により締結される被位置決め部材120は、円筒部103が挿通される挿通孔121を有している。挿通孔121は、円筒部103の外径と略同径に開口されている。また、円筒部103のねじ込み方向先端側の面は、螺着した際にベース部材110からの荷重を受ける座面103aとなっている。
【0004】
段付きネジ100のネジ部104の長さL02は、被位置決め部材120の厚さt0よりも長い(L02>t0)。従って、図7に示すように、ネジ部104の先端がネジ孔111に到達したとき、座面103aは、被位置決め部材120の表面S0から「L02−t0」だけ離間した位置にある。このとき、図8に示すように、段付きネジ100がネジ孔111に対して傾斜した状態でねじ込まれると、本来ベース部材110の当接面112と当接すべき座面103aが表面S0に当接し、円筒部103が表面S0に乗り上げたまま締結されることとなって、正しい姿勢での締結が不可能になる。
仮に、挿通孔121が円筒部103の外径よりも十分に大きいとすると、段付きネジ100が傾斜して挿入されたときに座面103aと表面S0が当接し辛くなるので、上述の問題が発生する確率は低くなる。しかし、両部材の位置を決めるためには、挿通孔121と円筒部103の直径が略同径である必要があり、段付きネジ100を位置決めに利用することができないという問題は解決されないこととなる。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、一般的な組立方法を用いた場合であっても、締結する部材の位置決めが容易に行える段付ネジ及び段付きネジを用いた締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、締結孔を有したベースと、前記締結孔と連通するとともに前記締結孔よりも大径の挿通孔を有した被位置決め部材と、を位置決め固定する段付きネジであって、前記締結孔に螺着するネジ部と、前記ネジ部の一端部に一体化され、前記挿通孔に嵌合する第一円筒部と、を有する軸部と、前記第一円筒部の一端部に一体化されて第一円筒部より大径のつば部を有する頭部と、を備え、前記ネジ部の軸方向長さが前記挿通孔の軸方向長さよりも短く、かつ、前記第一円筒部の軸方向長さが前記挿通孔の軸方向長さよりも長い段付きネジを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記ネジ部の他端部に一体化されて、前記ネジ部よりも小径の第二円筒部を備えた請求項1記載の段付きネジを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記第一円筒部と前記ネジ部と前記第二円筒部とを同軸上に配置した請求項1又は2記載の段付きネジを特徴とする。
【0006】
請求項4に記載の発明は、前記第二円筒部の他端部に面取部を備えた請求項1乃至3の何れか一項記載の段付きネジを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、締結孔を有したベースと、前記締結孔と連通するとともに前記締結孔よりも大径の挿通孔を有した被位置決め部材と、を段付きネジにより締結する締結構造であって、前記段付きネジが請求項1乃至4の何れか一項記載の段付きネジである締結構造を特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記被位置決め部材が複数の挿通孔を備え、前記複数の挿通孔のうちの少なくとも一つが前記第一円筒部の外径と略同一の内径を有し、その他の前記挿通孔が前記段付きネジに対して所定の方向に移動することを許容する大きさに形成されている請求項5記載の締結構造を特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6記載の締結構造を有する画像形成装置であって、前記ベースが筐体であり、前記被位置決め部材が外装カバーである画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、段付きネジのネジ部の軸方向長さが、被位置決め部材の挿通孔の軸方向長さよりも短く、かつ、第一円筒部の軸方向長さが挿通孔の軸方向長さよりも長いので、ネジ部先端がネジ孔に嵌合したときには、第一円筒部のねじ込み方向先端側の座面が挿通孔内部に入っているので、第一円筒部が被位置決め部材の表面に乗り上げたまま締結されることがなく、段付ネジを位置決めに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る段付きネジの斜視図である。
【図2】本発明に係る段付きネジの平面図である。
【図3】本発明に係る段付きネジを部品の位置決めに用いた様子を示す一部断面模式図である。
【図4】本発明に係る段付きネジを部品の位置決めに用いた様子を示す一部断面模式図である。
【図5】本発明に係る段付きネジが使用される画像形成装置の概略構成図である。
【図6】本発明に係る段付きネジが使用される画像形成装置の背面図である。
【図7】段付きネジを位置決めに用いた場合の問題点について説明する一部断面模式図である。
【図8】段付きネジを位置決めに用いた場合の問題点について説明する一部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一の実施形態について、図1、図2に基づいて説明する。本発明に係る段付きネジは、ネジ部の軸方向長さが被位置決め部材の挿通孔の軸方向長さよりも短く、かつ、ネジ部の一端部に一体化された第一円筒部の軸方向長さが挿通孔の軸方向長さよりも長い点に特徴がある。従って、ネジ部が締結孔に嵌合するとき、第一円筒部の他端部側が挿通孔内部に入る構成である。以下、詳述する。
図1は、本発明に係る段付きネジの斜視図である。図2は、本発明に係る段付きネジの平面図である。図に示す段付きネジ1は、軸部に円筒部を備えたつば付き六角ボルトの一種である。
段付きネジ1は、一端部側(ねじ込み方向の後端部側)から順に、締結用の工具と係合する係合部11と、係合部11の径よりも大径のつば部12と、つば部12よりも小径の第一円筒部13と、第一円筒部13よりも小径でネジ山を有するネジ部14と、ネジ部14よりも小径の第二円筒部15と、を備えている。係合部11とつば部12は段付きネジ1の頭部を構成し、第一円筒部13とネジ部14と第二円筒部15は段付きネジ1の軸部を構成する。つば部12は第一円筒部13の一端部(基端部)に、第一円筒部13はネジ部14の一端部(基端部)に、ネジ部14は第二円筒部15の一端部(基端部)に夫々同軸上に一体化されている。
【0010】
係合部11の側面は、スパナやレンチと係合するように略正六角柱状に形成されるとともに、係合部11の一端面にはプラスドライバと係合する十字穴11aが形成されている。なお、略正六角柱状と十字穴というのは一例であり、段付きネジ1をねじ込むための工具と係合すれば他の形状としてもよい。
なお、図1に示すように、つば部12、第一円筒部13、第二円筒部15は、それぞれ略円柱状である。第一円筒部13の外径をD1、ネジ部14の呼び径をD2、第二円筒部15の外径をD3とすると、これらの間には「D1<D2<D3」の関係がある。
【0011】
図3、図4は、本発明に係る段付きネジを部品の位置決めに用いた様子を示す一部断面模式図である。
ベース20は、ネジ部14と螺合するネジ孔21(締結孔)を有する。本発明におけるネジ孔21には、予め雌ネジの山が切られているが、段付きネジ1のネジ部14をセルフタップネジとした場合には、セルフタップネジによってネジが切られる下穴としてもよい。このとき、ネジ部14は下穴に雌ネジを切りながら締結するので、下穴の内径をD2´とすれば、D1乃至D3とD2´との間には「D1<D2<D2´<D3」の関係が必要である。
被位置決め部材30は、第一円筒部13が挿通される挿通孔31を有する。ネジ孔21と挿通孔31は連通し、位置決め後に略同軸上となる。挿通孔31の外径D4は、第一円筒部13の外径D1と同径か、所定の裕度を持たせて挿通孔31をやや大きく開口する。つまり、D4とD1の間には「D4≧D1」の関係を持たせる。この関係により、段付きネジ1を被位置決め部材30の位置決定に用いることができる。
つば部12の外径は、挿通孔31の外径D4よりも大きいので、段付きネジ1から被位置決め部材30が脱落することを防止する。
図示するように、ネジ部長さL2はネジ孔21の軸方向長さtよりも短く(L2<t)形成されている。ネジ部14の他端部がネジ孔21に到達したときには、必ず円筒部座面13aが挿通孔31の内部に位置する。このため、ネジ部14がネジ孔21に嵌合し始めてから、円筒部座面13aが表面Sに当接することはない。逆に言えば、円筒部座面13aが表面Sに当接した状態では、ネジ部14がネジ孔21に入らないので、段付きネジ1の第一円筒部13が表面Sに乗り上げたまま締結されることはなく、正しい姿勢で締結される。従って、段付きネジ1を被位置決め部材30の位置決めに用いることができる。なお、挿通孔31の内径に関わらず上記のように締結されるようにするためには、L2<tを満たしていれば十分である。
第二円筒部15は、ネジ部14よりも小さい径を有しているので、ネジ部14に比べて挿通孔31及びネジ孔21に挿通しやすい。第二円筒部15が挿通孔31及びネジ孔21に挿通された後、第二円筒部に続いてネジ部14は挿通孔31に沿ってガイドされ、ネジ孔21に案内される。また、第二円筒部15の他端部(ねじ込み方向先端部)には、所定の角度にて面取りされた面取部15aが形成されており、第二円筒部15をネジ孔21に挿入しやすくしている。
【0012】
また、第二円筒部15は、第二円筒部を有さない従来の段付きネジに比べて、段付きネジ1の重心を他端部側へとずらす役割を有する。
例えば、挿通孔31とネジ孔21の軸方向が略重力方向に向いている状態で被位置決め部材30の位置が決定される場合、挿通孔31とネジ孔21に対して段付きネジ1が傾斜しているために、互いの軸方向がずれていたとしても、第二円筒部15が段付きネジ1の軸線を重力方向に誘導するので、段付きネジ1の傾斜が改善される。
また、挿通孔31とネジ孔21の軸方向が略水平方向に向いている場合においても、第二円筒部15の働きにより段付きネジ1の軸線と挿通孔31とネジ孔21の軸方向とが揃うように誘導されるので、段付きネジ1が正しい姿勢で螺着されやすくなる。
【0013】
本発明に係る段付きネジを使用した画像形成装置について説明する。図5は、本発明に係る段付きネジが使用される画像形成装置の概略構成図である。
デジタル式の複写機200(画像形成装置)の最上部には、原稿束Pから原稿を一枚ずつ分離して搬送する自動原稿送り装置201と、原稿束を載置する原稿トレイ202と、自動原稿送り装置201から搬送された原稿が停止するコンタクトガラス206と、コンタクトガラス206の下方から原稿画像を読み取る読み取り手段250と、コンタクトガラス206上の原稿を搬送する搬送ベルト204と、を備えた画像読取部が配置されている。
複写機200の最下部には、用紙を積載する第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210と、夫々のトレイから用紙を1枚ずつ分離して給送する第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213と、を備える給紙装置が配置されている。
給紙装置の上部には、トナー像を形成する画像形成部が配置され、給紙装置の用紙搬送方向下流には、用紙を画像形成部へと搬送する縦搬送ユニット214が配置されている。
画像形成部は、読み取り手段250によって原稿から読み取られた画像データを感光体215に書き込む書き込みユニット257と、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれた潜像をトナー像化する現像ユニット227と、を備える。
画像形成部の用紙搬送方向下流には、熱と圧力によりトナー像を用紙に定着させる定着ユニット217と、用紙を複写機200の外部に排出する排紙ユニット218と、排出された用紙を積載する排紙トレイ219が配置されている。
【0014】
原稿トレイ202に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束Pは、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス206上の所定の位置に給送される。給送された原稿は、読み取りユニット250によってコンタクトガラス206上の原稿の画像データを読み取り後、給送ベルト204および反転駆動コロによって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出される。さらに、原稿トレイ202に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス206上に給送される。
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210の各給紙トレイに積載された用紙は、各々第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213によって給紙され、縦搬送ユニット214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読み取りユニット250にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像ユニット227を通過することによってトナー像が形成される。そして、用紙は感光体215の回転と等速で搬送ベルト216によって搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット217にて画像を定着させ、排紙ユニット218に搬送される。排紙ユニット218に搬送された用紙は、排紙トレイ219に排紙される。
上述の給紙装置や画像形成部等は不図示の筐体に収容されており、複写機200の外面は、不図示の外装カバーにて被覆されている。本発明に係る段付きネジは、筐体に外装カバーを取り付けるために用いられる。
【0015】
図6は、本発明に係る段付きネジが使用される画像形成装置の背面図である。
図に示す画像形成装置Pは、2枚の外装カバー50a、50bによって、外面が覆われている。
外装カバー50aには4つの挿通孔51、52、53、54が開口されており、各挿通孔は4本の段付きネジ61、62、63、64によって、不図示の筐体(ベース)に取り付けられている。取り付けに用いられている段付きネジ61乃至64は、同一の形状を有している。
4つの挿通孔のうち、挿通孔51は位置決め用に開口された孔であり、挿通孔51の内径と段付きネジ61の第一円筒部61a(不図示)の外径とは略同一である。
【0016】
また、挿通孔52、53の内径は、挿通孔51の内径よりも大きい。すなわち、挿通孔52、53は、段付きネジ62、63の第一円筒部62a、63aの外径よりもやや大きく開口され、挿通孔52、53部分において外装カバー50aは、夫々段付きネジ62、63に対して相対的にスライド移動可能に構成されている。
挿通孔54の内径は、図中上下方向が挿通孔51の内径よりもやや大きく、図中左右方向が第一円筒部64aの外径よりも長く開口された角丸長方形である。挿通孔54部分において外装カバー50aは、夫々段付きネジ64に対して相対的にスライド移動可能に構成されている。
すなわち、外装カバー50aは、段付きネジ61を用いて位置決め固定された挿通孔51部分を基準として、図中左方向への膨張を許容する構成である。
【0017】
画像形成装置Pが高温となる環境下に置かれた場合には、外装カバー50aが膨張するが、挿通孔51部分を基準位置として、挿通孔52乃至54と第一円筒部62a乃至64aとに案内されて外装カバー50aの膨張部分が順次スライドしていくことにより、膨張による変形が外装カバー50aの平面内に抑制される。つまり3次元方向に変形することがないので、外装カバー50a全体としての歪みを抑制することができる。
このとき、位置決め固定されている挿通孔51部分に用いられている段付きネジ61と、その他の部分に用いられている段付きネジ62乃至64とは、同一の段付きネジであるため、ネジの混同や付け間違いをすることがない。
なお、本発明に係る段付きネジをデジタル複写式の画像形成装置に適用した例により説明したが、本発明は複写機、印刷機、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機等に使用することができる。また、本発明は、電子写真方式の画像形成装置のみならず、インクジェット方式の画像形成装置に適用することも可能である。
【0018】
以上のように本発明によれば、段付きネジのネジ部の軸方向長さが、被位置決め部材の挿通孔の軸方向長さよりも短く、かつ、第一円筒部の軸方向長さが挿通孔の軸方向長さよりも長いので、ネジ部がネジ孔に嵌合したときには、第一円筒部の座面が挿通孔内部に入っているので、第一円筒部が被位置決め部材の表面Sに乗り上げたまま締結されることがなく、段付ネジを位置決めに用いることができる。
また、ネジ部の他端部に一体的に、ネジ部よりも小径の第二円筒部を備えたので、段付きネジの重心が段付きネジの他端部側に移動するので、段付ネジが斜めに挿入されるのを防止できる。
また、本発明に係る段付きネジを画像形成装置の外装カバー等に使用した場合、外装カバーを位置決め固定するために用いられる挿通孔と、スライド移動させるために用いられる挿通孔とが、同一の外装カバーに混在していたとしても、位置決め固定用に本発明の段付きネジを用いることができるので、ネジの混同や付け間違いをすることがない。
【符号の説明】
【0019】
1…段付きネジ、11…係合部、11a…十字穴、12…つば部、13…第一円筒部、13a…円筒部座面、14…ネジ部、15…第二円筒部、15a…面取部、20…ベース、21…ネジ孔、30…被位置決め部材、31…挿通孔、50a、50b…外装カバー、51、52、53、54…挿通孔、61、62、63、64…段付きネジ、P…画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2007−144853公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結孔を有したベースと、前記締結孔と連通するとともに前記締結孔よりも大径の挿通孔を有した被位置決め部材と、を位置決め固定する段付きネジであって、
前記締結孔に螺着するネジ部と、前記ネジ部の一端部に一体化され、前記挿通孔に嵌合する第一円筒部と、を有する軸部と、
前記第一円筒部の一端部に一体化されて第一円筒部より大径のつば部を有する頭部と、を備え、
前記ネジ部の軸方向長さが前記挿通孔の軸方向長さよりも短く、かつ、前記第一円筒部の軸方向長さが前記挿通孔の軸方向長さよりも長いことを特徴とする段付きネジ。
【請求項2】
前記ネジ部の他端部に一体化されて、前記ネジ部よりも小径の第二円筒部を備えたことを特徴とする請求項1記載の段付きネジ。
【請求項3】
前記第一円筒部と前記ネジ部と前記第二円筒部とを同軸上に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の段付きネジ。
【請求項4】
前記第二円筒部の他端部に面取部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の段付きネジ。
【請求項5】
締結孔を有したベースと、前記締結孔と連通するとともに前記締結孔よりも大径の挿通孔を有した被位置決め部材と、を段付きネジにより締結する締結構造であって、
前記段付きネジが請求項1乃至4の何れか一項記載の段付きネジであることを特徴とする締結構造。
【請求項6】
前記被位置決め部材が複数の挿通孔を備え、前記複数の挿通孔のうちの少なくとも一つが前記第一円筒部の外径と略同一の内径を有し、その他の前記挿通孔が前記段付きネジに対して所定の方向に移動することを許容する大きさに形成されていることを特徴とする請求項5記載の締結構造。
【請求項7】
請求項5又は6記載の締結構造を有する画像形成装置であって、
前記ベースが筐体であり、前記被位置決め部材が外装カバーであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−58548(P2011−58548A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207923(P2009−207923)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】