説明

段差解消ブロック

【課題】 段差解消ブロックにおいて、段差を解消、緩和する機能の他、実用的な機能を発揮するものとする。
【解決手段】 全体として概略直角三角柱を倒伏された外形形状を有し、車道60の側端部と歩道70の側端部との間に配設された側溝縁石80の段差Hの勾配を緩和させる乗上げ用傾斜板31を有する本体部30と、この本体部30における傾斜板31の乗上げ面(図示において上面)側に配設された表示板20とを備え、本体部30の傾斜板31の乗上げ面には、乗上げ面から陥凹した輪郭略矩形の凹部32が形成され、表示板20は、この凹部32に対して着脱交換可能に嵌め込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段差解消ブロックに関し、詳細には、乗上げ用傾斜板の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車道と歩道とが併設されている道路においては、歩道を車道の側端縁よりも一段高く形成して、車歩道間の境界を明確にするとともに、車道側から歩道側に車両が乗り上げにくくし、歩行者の安全を確保することが行われている。
【0003】
一方、このような段差が形成されている歩道の際に車庫や店舗の駐車場等が設けられていることも多く、このような車庫等に進入する場合、車両は、車道から歩道に乗り上げる必要があり、車歩道間の上述した段差が障害となる。
【0004】
このため、歩道の際に車庫等が存在する場合には、その部分だけ歩道を車道の側端縁の高さまで低く形成して車歩道間の段差を緩和する場合もある。
【0005】
しかし、このように歩道を部分的に低く形成すると、歩道が波打つように高低を繰り返すことになり、歩きにくくなるとともに、一旦高く形成した歩道を後に出来た車庫等のために低く形成し直すのは、工事が大掛かりになり多大な費用や手間が掛かる。
【0006】
そこで、段差を簡易に解消あるいは緩和させるものとして段差解消ブロックが知られている。この段差解消ブロックは、主として車道の側端部に配置されて、車道と歩道とを緩やかに接続する乗上げ用傾斜板を有し、この乗上げ用傾斜板上を走行あるいは歩行することにより、段差を緩やかな勾配として乗り越すものである(特許文献1等)。
【0007】
しかも、この段差解消ブロックは、設置も撤去も容易であるため、必要な場所に適宜設置し、不要になれば即時撤去することができ、道路を改変する必要がなく、コスト面でも非常に廉価で利便性が高い。
【0008】
なお、この段差解消ブロックを公道に設置し、あるいは撤去する際には、法的な許可等を必要とする場合もあるが、このことは上述した有用性自体を否定するものではない。
【0009】
また、上述した段差解消ブロックは、公道の車歩道間の段差のみならず、例えば私有地内の通路に段差が形成されている場合にも、その段差を解消するために用いることができる。なお、この場合には、前述した設置等のための法的許可等が不要であることはいうまでもない。
【特許文献1】 特開平6−116906号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の段差解消ブロックは、専ら上述した段差を解消あるいは緩和をさせる機能のみを有するものであり、他の実用的な用途や機能を発揮するものではなかった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、段差を解消、緩和する機能の他、実用的な機能を発揮することができる段差解消ブロックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る段差解消ブロックは、傾斜板の乗上げ面側に、標章が表示された表示板が着脱交換可能に配設されたものである。
【0013】
すなわち、本発明の請求項1に係る段差解消ブロックは、通路に形成された段差の勾配を緩和させる乗上げ用傾斜板を有する段差解消ブロックにおいて、前記傾斜板の乗上げ面側に、陥凹した凹部が形成され、この凹部に、外部から視認可能の標章が表示された表示板が、着脱交換可能に配設されたことを特徴とする。
【0014】
ここで、通路は、例えば道路などであるが、必ずしも道路に限定されるものではない。
【0015】
段差とは、例えば車道よりも歩道が一段高く形成されている道路において、当該車道と歩道との間の段差などを意味するが、このような車道と歩道との間の段差に限定されるものではなく、道路等の通路の途中に形成された段差や、道路と建物等の内部の通路との境界に形成された段差等も含む意味である。
【0016】
また、標章とは、文字、図形、記号、若しくはこれらの結合、またはこれらと色彩との結合を意味する。例えば、交通標識や、進入口や退出口であることを示す語句・文字列、進入先の店舗の名称を表す商号や屋号、入店を促す語句や文章、来店に対する謝辞を表す語句や文章、その他広告を表す標章などを適用することができる。
【0017】
なお、表示板の表示面が外部に露出して配設されるものにあっては、表示面が傾斜板の乗上げ面と略面一となるように形成されていることが好ましい。乗上げ面と表示面とで段差が生じないためである。
【0018】
このように構成された本発明に係る段差解消ブロックによれば、傾斜板の乗上げ面側に形成された凹部に、外部から視認可能の標章が表示された表示板が配設されているため、この車両や歩行者等がこの段差解消ブロックの手前に差しかかった際に、車両の乗員や歩行者等に対して、傾斜板に配設された表示板の標章を視認させることができ、その標章として表示された語句等の意味内容を乗員や歩行者等に伝達することができる。したがって乗員や歩行者等を、その意味内容によって適切に誘導することができる。
【0019】
しかも、この表示板は、傾斜板に対して着脱交換可能であるため、意味内容の異なる複数の表示板を準備して、それらを必要に応じて交換して使用することができる。この場合、表示板以外の段差解消ブロックの本体(傾斜板を含む)は、表示板に表示される標章の意味内容に拘わらず共通に使用することができる。
【0020】
したがって、表示板よりも構造が複雑であるため製造コストが高い本体の汎用性を高めることができ、本体の製造コストを抑制することが可能となり、表示板を設けたことによるコストの上昇を抑制する効果を得られる。
【0021】
また、本発明に係る段差解消ブロックにおいては、前記表示板の、前記標章が表示された面の上方が、前記標章を透過させる透明板により覆われたものとするのが好ましい。
【0022】
このように好ましい構成の段差解消ブロックによれば、表示板よりも上層側の部分、すなわち車両のタイヤや歩行者の履き物底などが直接接する部分に、透明板が配設されているため、表示板自体には、タイヤ等が直接接することはない。
【0023】
したがって、表示板に表示された標章に繰り返しタイヤ等が接して標章が摩耗し、表示が薄くなったり消えるということを防止することができ、耐久性を向上させることができる。
【0024】
しかも、表示板に表示された標章は、透明板を透して外部から視認可能であるため、表示板の機能を損なうことがない。
【0025】
なお、透明板は、強化プラスチックや強化ガラス、硬質ウレタン、ポリプロピレン、硬質樹脂等、この透明板に乗り上げる車両の輪重や歩行者の重量などの予定される負荷によって破損することがない材料によって形成されていることを要する。この場合、表示板には輪重や体重等が直接負荷しないため、表示板自体は、そのような材料で形成されている必要はない。
【0026】
また、透明板は、その外部露出面(上面)が傾斜板の乗上げ面と略面一となるように配設されることが好ましい。乗上げ面と透明板の上面とで段差が生じないためである。
【0027】
さらに、本発明に係る段差解消ブロックにおいては、表示板として標章を電光表示する電光表示板を適用するとともに、この電光表示板の表示駆動用電源をさらに備えたものとするのが好ましい。
【0028】
表示板の標章が単に塗料等で表示されたものでは、夕刻や夜間等環境光量が少ない場合に、その表示を視認しにくくなるが、電源を備えて電光表示により標章を表示ものであれば、そのような光量が少ない環境下においても、被視認性を向上させることができるからである。
【0029】
なお、電光表示としては、表示板自体がバックライトを備え、そのバックライトによって表示板全体を発光させるものであってもよいし、発光素子によって標章のみを発光させるものであってもよい。
【0030】
バックライトや発光素子としては、発光ダイオード(LED)や、エレクトロルミネッセンス(EL)やネオン管等公知の種々のものを用いることができる。
【0031】
また、そのようなLEDやEL等の発光素子は、表示板だけでなく、段差解消ブロックの本体部分(表示板や透明板などを除いた部分)の外面にも配することができる。
【0032】
なお、表示板として電光表示板を用いるものでは、光量検出用の光検出器と、この光検出器によって検出された光量に基づいて電源から電光表示板への通電を制御する制御ユニットとを備えたものとし、光検出器が環境光量の低下したことを検出したときにのみ、制御ユニットが、電源から電光表示板へ通電するように制御するのが好ましい。
【0033】
これによって、昼間など太陽光等による環境光量によって表示板の表示が視認できる程度の状態においては、通電しない制御によって省電力を図りつつ、夜間等環境光量によって表示板の表示が視認しにくい状態においては、通電する制御によって被視認性を向上させることができる。
【0034】
また、電源としては、ソーラーパネルおよび二次電池からなるものを適用するのが、省エネルギの観点および必要コスト抑制の観点から好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る段差解消ブロックによれば、傾斜板の乗上げ面側に形成された凹部に、外部から視認可能の標章が表示された表示板が配設されているため、この車両や歩行者等がこの段差解消ブロックの手前に差しかかった際に、車両の乗員や歩行者等に対して、傾斜板に配設された表示板の標章を視認させることができ、その標章として表示された語句等の意味内容を乗員や歩行者等に伝達することができる。したがって乗員や歩行者等を、その意味内容によって適切に誘導することができる。
【0036】
しかも、この表示板は、傾斜板に対して着脱交換可能であるため、意味内容の異なる複数の表示板を準備して、それらを必要に応じて交換して使用することができる。この場合、表示板以外の段差解消ブロックの本体(傾斜板を含む)は、表示板に表示される標章の表示内容に拘わらず共通に使用することができる。
【0037】
したがって、本体部の汎用性を高めることができ、製造コストを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の段差解消ブロックに係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る一実施形態である段差解消ブロック10の設置例を示す斜視図、図2は図1におけるA−A線に沿った断面を示す断面図、図3は図1に示した段差解消ブロック10の分解斜視図である。
【0040】
図示の段差解消ブロック10は、全体として概略直角三角柱を倒伏された外形形状を有し、車道60の側端部と歩道70の側端部との間に配設された側溝縁石80の段差Hの勾配を緩和させる乗上げ用傾斜板31を有する本体部30と、この本体部30における傾斜板31の乗上げ面(図示において上面)側に配設された表示板20とを備えた構成である。
【0041】
ここで、本体部30の傾斜板31の乗上げ面には、図3に示すように陥凹した輪郭略矩形の凹部32が形成され、表示板20は、この凹部32に嵌め込まれている。このとき、凹部32は、この凹部32に嵌め込まれた表示板20の露出面(図示において上面)と傾斜板31の乗上げ面とが略面一となるように形成されている。
【0042】
本体部30は、高強度の合成樹脂材によって一体成形されたものであり、図示しない裏面側は中空に形成されており、図2の断面図から解されるように、部分的にリブ等によって補強がなされている。
【0043】
そして、本体部30の凹部32には、本体部30の中空の裏面側に貫通する水抜き孔33が複数個形成されており、この凹部32に浸入した雨水等を水抜き孔33によって裏面側に排水するようになっている。
【0044】
また、凹部32の矩形輪郭の各短辺の中央部には、本体部30の裏面まで貫通する指掛け孔34,34が形成されている。この指掛け孔34,34は、凹部32に嵌め込まれた表示板20を凹部32から取り外す際に、表示板20の輪郭外側から表示板20の裏面側に指を掛けるために形成されている。
【0045】
一方、表示板20も強度の高い樹脂材によって矩形平板状に形成されたものであり、その外形輪郭が凹部32の外形輪郭よりも僅かに小さく形成され、表裏2面のうち表面(おもてめん)である上面には、図1,3に示すように、案内用の文字列21(例えば、『入口』の文字列(標章))が表示されており、この文字列21が表示された上面が傾斜板31の乗上げ面の向きと一致するように、表示板20の凹部32に嵌め込まれて、文字列21が外部から視認可能となっている。
【0046】
また、この表示板20は、凹部32に嵌め込まれているだけであるため、凹部32の輪郭部に形成された指掛け孔34,34に指を挿し入れて、表示板20の裏面に指先を掛けて引き上げることにより、本体部30から離脱させることができ、これにより、図3に示すように、他の文字列21(例えば、『WELCOME』、『お静かにお入り下さい』あるいは『駐車禁止』等)がそれぞれ表示された他の表示板20,20,20と、着脱交換可能とされている。
【0047】
なお、表示板20への文字列21の表示は、単にインク等による表面への印刷であってもよいし、各文字を刻字して、その刻字された陥凹部をインク等を塗布してもよく、インクの色や表示板20の色も種々のものを採用することができる。
【0048】
また、表示板20の表面だけでなく、裏面にも同一の文字列21または他の文字列を表示してもよく、外部に視認させようとする文字列21に応じて、表裏両面のうち一方の面を選択し、その面を上面側にして凹部32に嵌め込むようにすることで、1枚の表示板20を、より有効に活用することができる。
【0049】
すなわち、同一の文字列を表示したものでは、表面側の文字列21が、タイヤや歩行者の靴底との摩擦によって摩滅したり汚損等したとき、表示板20を裏返して、摩滅や汚損の無い同一の文字列21を表示させることができ、一方、表裏面に互いに異なる文字列を表示したものでは、表示板20を裏返すだけで、伝達しようとする意味内容を切り換えることができる。
【0050】
このように構成された段差解消ブロック10は、例えば図4に示すように、車道60と歩道70との境界に段差Hが形成されて、歩道70の際に店舗の駐車場が設けられている場合、その車道60と歩道70と境界に配置されることにより、車両100が車道60から歩道70を横切って駐車場に入構するとき、タイヤは傾斜板31の乗上げ面に乗上げるため、段差Hを緩やかな勾配に緩和させることができる。
【0051】
また、傾斜板31の乗上げ面側に形成された凹部32に、外部から視認可能の文字列21が表示された表示板20が配設されているため、車両100がこの段差解消ブロック10の手前に差しかかったとき、車両100の乗員110に対して、傾斜板31に配設された表示板20の文字列21を視認させることができ、その表示された文字列21の意味内容を乗員110に伝達することができる。
【0052】
したがって、単に段差解消・緩和機能のみならず、設置者が伝達しようとする内容を適切に伝達することができ、この文字列『入口』の場合には、乗員110に対して、「入口」であるか「出口」であるかの疑念を解消させて「入口」であることに確信を与えることができる。
【0053】
しかも、この表示板20は、本体30の傾斜板31に対して着脱交換可能であるため、図3に示したように、意味内容の異なる複数の表示板20,,20,…を準備して、それらを必要に応じて簡単に交換して使用することができる。この場合、表示板20以外の段差解消ブロック10の本体部30は、表示板20に表示される文字列21の意味内容に拘わらず共通に使用することができる。
【0054】
よって、表示板20よりも構造が複雑であるため製造コストが高い本体部30の汎用性を高めることができ、本体部30の製造コストを抑制することが可能となり、表示板20を設けたことによるコストの上昇を抑制することができる。
【0055】
なお、表示板20に表示する文字列21は種々のものを適用することができ、例えば、交通標識や、進入口や退出口であることを示す語句・文字列、進入先の店舗の名称を表す商号や屋号、入店を促す語句や文章、来店に対する謝辞を表す語句や文章、その他広告を表す標章などを表示することもできる。
【0056】
例えば文字列21として店舗名『○○ストア』が表示された表示板20に交換すれば、自店(「○○ストア」)に隣接して他店(「△△ストア」)が存在している場合にも、乗員110を自店に正しく誘導することができる。
【0057】
また、図3に示した交換用の表示板20に表示された文字列21(『WELCOME』、『お静かにお入り下さい』、『駐車禁止』)によっても、それぞれの文字列の意味内容を、乗員110に伝達することができる。
【0058】
なお、上述した表示板20の文字列表示面は、樹脂板そのままの平滑面であってもよいが、図5に示すように、一部領域(例えば、傾斜板31の勾配方向に直交する方向に延びるような帯状の矩形領域)または全面について、粗面部22が形成されていることが好ましい。
【0059】
文字列表示面はタイヤ等が接するため、粗面部22によって摩擦力を高めることができ、この表示板20上でタイヤ等が滑るのを抑制することができるからである。このような摩擦力増強部としては、粗面部22の他、傾斜板31の勾配方向に直交する方向に延びる突条等であってもよい。
【0060】
もちろん、本体部30の傾斜板31にも、図5に示すように突条39等の摩擦力増強部を形成してもよい。
【0061】
また、本体部30の凹部32に形成された水抜き孔33に代えて、図6に示すように、勾配方向に延びた水抜き用の溝38を形成してもよい。この溝38の下端は本体部30の裏面側に貫通されており、凹部32に浸入した雨水等は、この溝38を流れて、本体部30の裏面に排水される。なお、水抜き孔33や溝38は必須の構成要件ではないため、本発明の段差解消ブロックは、必ずしもこれら水抜き孔33等を設けたものに限定されるものではない。
【0062】
(実施形態2)
図7は、実施形態1の段差解消ブロック10に対して、傾斜板31の凹部32のうち、表示板20の上面側を、表示板20の文字列21を透過させる透明板40により覆った構成の段差解消ブロック10の分解斜視図である。
【0063】
ここで、凹部32は詳しくは、図8の断面図に示すように凹部32の周縁を形成する周壁部が段付きに形成され、下段は表示板20の外形サイズよりも僅かに大きい輪郭形状で形成され、段付きの上段側は、下段の輪郭形状よりも一回り大きい輪郭形状で形成されている。
【0064】
そして、下段側(底部37)には表示板20が配設され、上段側には段付部36に沿って配設される矩形環状のシール部材50を介して、透明板40が配設される。なお、透明板40が凹部32に配設された状態において、透明板40の図示上面が傾斜板31の乗上げ面と略面一となるように、透明板40の厚さおよび段付部36の深さが設定されている。
【0065】
また、透明板40は強化プラスチックや強化ガラス等により形成されており、この透明板40に乗り上げる車両の輪重や歩行者の重量などの予定される負荷によって破損することはない
【0066】
なお、この実施形態2の段差解消ブロック10においては、本体部30の凹部32に水抜き孔33が形成されていない。これは、シール部材50によって、本体部30と透明板40とによって囲まれた凹部32の内部空間が水密に密閉されて、凹部32の内部空間に雨水等が浸水するのを防止しているためである。もちろん、この凹部32の内部空間の温度変動により、内部空間に結露が生じる可能性もあるため、内部空間の湿度を制御し、あるいは結露を排水する目的で、実施形態1の段差解消ブロック10と同様の水抜き孔33を設けてもよい。
【0067】
一方、この凹部32の底部37には、指掛け用の半柱状の指掛け溝35,35が形成されており、表示板20の対応部分に形成された指掛け孔25,25および指掛け溝35,35に指を挿し入れて、表示板20の裏面に指先を掛けて引き上げることにより、表示板20を本体部30から離脱させることができ、他の表示板20と着脱交換が可能となっている(図8参照)。
【0068】
また、透明板40およびシール部材50は、本体部30に形成された指掛け孔34,34に指を挿し入れて、シール部材50の裏面に指先を掛けて引き上げることにより、透明板40およびシール部材50を凹部32から離脱させることができ、表示板20の着脱を行うことができる(図8参照)。
【0069】
このように構成された実施形態2の段差解消ブロック10によれば、表示板20の上方側の部分、すなわち車両タイヤや歩行者の履き物底などが直接接する部分が、透明板40によって覆われているため、表示板20自体には、タイヤ等が直接接することはない。
【0070】
したがって、表示板20に表示された文字列21に繰り返しタイヤ等が接して文字列21が摩滅し、表示の視認性が低下するのを防止することができ、耐久性を向上させることができる。
【0071】
また、透明板40の上面には、摩擦力増強部を形成することもできる。そのような摩擦力増強部としては、例えば図9に示すような、傾斜板31の勾配方向に直交する方向に延びる突条41であってもよいし、実施形態1における表示板20と同様の粗面部であってもよい。
【0072】
さらにまた、透明板40は本体部30に固定されて着脱することができないものであってもよく、そのように透明板40を固定したものでは、例えば図10に示すように、本体部30の側壁30aに、表示板20を凹部32に出し入れするための挿抜口30bを形成することにより、表示板20を凹部32に着脱交換することができる。
【0073】
なお、凹部32に挿入された状態の表示板20を、挿抜口30bから引き抜く操作を容易にすべく、表示板20は、その挿抜口30b側の端縁に把持片26が形成されていることが好ましい。
【0074】
また、挿抜口30bには、側壁30aの外面と面一となるような蓋や開閉扉を設けてもよい。
【0075】
なお、上述した各実施形態において、指掛け孔34は2つであるものに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、表示板20を凹部32から離脱させる構造は、上述した指掛け孔34に限定されるものではなく、他の構造によってもよい。例えば、表示板20自体に、表示板20を上方に引き上げるために指で把持可能の把持突起(把持片)を設けてもよい。
【0076】
もちろん、段差解消ブロック10自体がそのような離脱させる構造を有するものでなくてもよい。離脱構造を有しないものであっても、離脱が必要なときに、例えば吸盤等を表示板20の表示面に吸着させ、表示板20をこの吸盤ごと引き上げることで、凹部32から表示板20を簡単に離脱させることも可能だからである。
【0077】
また、各実施形態の段差解消ブロック10の本体部30の両側壁30aには、他の段差解消ブロックの側壁と連結される連結部を設けてもよい。段差解消ブロック10が複数個直列に連結されることにより、段差Hが形成されている間口幅に対応することができるからである。
【0078】
(実施形態3)
図11は、実施形態1の段差解消ブロック10に対し、表示板20として、文字列21を多数のLED27の配列によって形成し、これらLED27を点灯可能として電光表示する電光表示板を用いるとともに、この電光表示板20の表示駆動用電源として、本体部30の外表面に配されたソーラーパネル72および本体部30に内蔵された二次電池73を備えた実施形態3の段差解消ブロックを示す斜視図である。
【0079】
また、本体部30に外表面から外部に臨んだ光センサ71(光検出器)と、本体部30に内蔵され、この光センサ71によって検出された光量に基づいて二次電池73から電光表示板20のLED27への通電を制御する制御ユニット74とを備え、光センサ71が外部光量(環境光量)の低下したことを検出したときにのみ、制御ユニット74が、二次電池73からLED27へ通電するように制御されている。
【0080】
さらに、本体部30の傾斜板31の左側縁部近傍には、矢印形状で点消灯する発光素子による指示標識が例えば4つ(指示標識75a,75b,75c,75d)形成されており、図示下方の指示標識75aから、図示上方の指示標識75dに向けて順次点消灯(矢印が下から上に流れるように点消灯)するように、あるいは全てが同期して一斉に点消灯するように、制御ユニットによって制御されている。
【0081】
なお、この矢印形状の発光素子の指示標識75a〜75dに代えて、傾斜板31の右側縁部近傍に示した小円状で点消灯する例えば7つ(7つに限定されるものではない。)の発光素子の指示標識76a,76b,76c,76d,76e,76f,76gを配設してもよい。
【0082】
このように構成された実施形態3の段差解消ブロック10によれば、夕刻や夜間等環境光量が少ない場合でも、表示板20の文字列21を構成するLED27が発光するため、文字列の被視認性を向上させることができる。
【0083】
また、光センサ71が外部光量の低下したことを検出したときにのみ、制御ユニット74が、二次電池73から電光表示板20のLED27へ通電するように制御するため、昼間など太陽光等による外部光量によって文字列21の表示が視認できる程度の状態においては、通電しない制御によって省電力を図りつつ、夜間等外部光量によって文字列21の表示が視認しにくい状態においては、通電する制御によって被視認性を向上させることができる。
【0084】
また、電源として、ソーラーパネル72および二次電池73からなるものを用いた構成により、自然エネルギの有効利用を図るとともに、維持コストを抑制することができる。
【0085】
さらに、発光素子の指示標識75a〜75dあるいは76a〜76gを制御ユニット74が所定時間間隔で順次点消灯させることにより、常時点灯させたままにしたものに比べて、被着目性能を向上させることができる。
【0086】
なお、各実施形態の段差解消ブロック10は、主として、車道60と歩道70との境界の段差Hに設置されて、車両100が乗り上げるものとして説明したが、本発明の段差解消ブロックは、このような設置場所や用途に限定されるものではなく、単に敷地内の通路上に形成された段差に設置されてもよいし、室内等において段差のある敷居等の部分に設置するものであってもよく、車両のみならず歩行者が乗り上げるものであってもよい。室内に設置されるものでは、バリアフリーの用途に資することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】 本発明に係る一実施形態である段差解消ブロックの設置例を示す斜視図
【図2】 図1におけるA−A線に沿った断面を示す断面図
【図3】 図1に示した段差解消ブロックの分解斜視図
【図4】 表示板の表示を車両の乗員が視認する様子を示す模式図
【図5】 本体部の傾斜板に突条の摩擦力増強部が形成され、表示板に粗面加工が施された段差解消ブロックを示す分解斜視図
【図6】 凹部に水抜き用の溝が形成された本体部を示す斜視図
【図7】 本発明に係る他の実施形態である段差解消ブロックを示す分解斜視図
【図8】 図7におけるB−B線に沿った断面を示す断面図
【図9】 上面に摩擦力増強部としての突条が形成された透明板を示す斜視図
【図10】 本体部の側壁に挿抜口が形成された段差解消ブロックを示す斜視図
【図11】 本発明に係る他の実施形態である段差解消ブロックを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
10 段差解消ブロック
20 表示板
21 文字列
22 粗面部
25 指掛け孔
26 把持片
30 本体部
30a 側壁
30b 挿抜口
31 乗上げ用傾斜板
32 凹部
33 水抜き孔
34 指掛け孔
35 指掛け溝
36 段付部
37 底部
38 溝
39 突条
40 透明板
41 突条
50 シール部材
60 車道
70 歩道
80 側溝縁石
100 車両
110 乗員
H 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路に形成された段差の勾配を緩和させる乗上げ用傾斜板を有する段差解消ブロックにおいて、
前記乗上げ用傾斜板の乗上げ面側に、陥凹した凹部が形成され、この凹部に、外部から視認可能の標章が表示された表示板が、着脱交換可能に配設されたことを特徴とする段差解消ブロック。
【請求項2】
前記表示板の、前記標章が表示された面の上方が、前記標章を透過させる透明板により覆われたことを特徴とする請求項1に記載の段差解消ブロック。
【請求項3】
前記表示板は前記標章を電光表示する電光表示板であり、該電光表示板の表示駆動用電源をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の段差解消ブロック。
【請求項4】
光量検出用の光検出器と、該光検出器によって検出された光量に基づいて前記電源から前記電光表示板への通電を制御する制御ユニットとを備えたことを特徴とする請求項3に記載の段差解消ブロック。
【請求項5】
前記電源は、ソーラーパネルおよび二次電池からなることを備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の段差解消ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−152769(P2006−152769A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370173(P2004−370173)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(504468610)
【Fターム(参考)】