説明

殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質、その製造方法、およびポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物

本発明は、殺生物作用を有する新規のポリマーまたはオリゴマー作用物質を提供する。殺生物作用を有するそのような特に有利なポリマーまたはオリゴマー作用物質は、グアニジン酸付加塩とアミン混合物の重縮合によって得られ、アミン混合物が、少なくとも1つのジアミンおよび/または1つのトリアミンを含み、少なくとも1つのアミンは、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンからなる群から選択する。ここで、好ましくは、少なくとも1つのアミンは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンから選択される。さらに、グアニジン酸付加塩がグアニジン塩酸塩であると好適である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に記載の殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質、請求項14に記載のその製造方法、請求項15および請求項21に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物、請求項22に記載の本発明による組成物を製造するための方法、ならびに請求項29および30に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質および本発明による組成物の使用に関する。
【0002】
殺生物作用を有するポリマーおよびオリゴマー作用物質、例えばポリグアニジンは、従来より知られている。それらは、様々な用途に使用可能である。
そこで、例えば米国特許出願公開第2,325,586A号に、重縮合法によるポリグアニジンとその塩の製造が記載されている。その際、ジアミンをハロゲン化シアンと反応させ、シアンアミドを生成する。その後の重合において、このシアンアミドから、所望のポリグアニジンまたはそれらの塩を得る。
【0003】
そのようなポリグアニジンの具体的な特性は、その殺生物作用である。そこで、欧州特許出願公開第0439699A2号において、より高い殺生物効果を有する重合体のグアニジン塩を含む溶液が提案されている。
【0004】
そのような殺生物剤における問題は、一般に抗菌性活性物質の場合と同様に、対応する作用物質に対する微生物の迅速な適応速度である。したがって、新規の抗微生物作用物質の開発は、対応する標的とする有機体の抵抗力の発達と常に競合する関係となっている。したがって、阻止したい微生物がまだ適応していない新規の有効な殺生物剤を絶えず提供し続ける必要がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、殺生物作用を有する新規のポリマーまたはオリゴマー作用物質を提供することである。さらに、この作用物質を、できるだけ簡単な方法で、迅速に、かつ必要に応じて大量に得ることができるようにすべきである。したがって、本発明の目的はさらに、加工性が高く、かつ保管し易い形態で作用物質を提供することである。それに対応して、本発明の目的はまた、ポリマーまたはオリゴマー作用物質を製造する方法、本発明による作用物質を含む組成物、およびこの組成物を製造する方法を提供することである。
【0006】
本発明の主要な特徴は、請求項1、請求項14、請求項15、ならびに請求項21、22、29、および30の特徴部分に記載されている。変形形態は、請求項2〜13、16〜20、および23〜28の主題である。
【0007】
本発明は、殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質であって、少なくとも1つのジアミンおよび/またはトリアミンを含むアミン混合物とのグアニジン酸付加塩の重縮合物によって得られ、少なくとも1つのアミンは、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンからなる群から選択される、ポリマーまたはオリゴマー作用物質を提供する。
【0008】
ここで、好ましくは、ポリマーまたはオリゴマー作用物質は、少なくとも1つのジアミンおよび/またはトリアミンを含むアミン混合物とのグアニジン酸付加塩の重縮合生成物であり、少なくとも1つのアミンを、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンから選択する。
【0009】
ここで、上記のアミンから、ホモポリマーを得ることもコポリマーを得ることもできる。
ここで、グアニジン酸付加塩がグアニジン塩酸塩であると有利である。
【0010】
第1の変形形態では、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質はホモポリマーである。このとき、アミン混合物は、アミン化合物を1種だけ含む。したがって、ポリマーまたはオリゴマー作用物質は、例えばポリ(ジエチレントリアミングアニジン塩酸塩)(PDETAG)またはポリイミノイミダゾールでよい。このとき、アミン混合物が、トリアミンであるジエチレントリアミンを含むと有利である。
【0011】
また、ホモポリマーは、ポリ(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)でもよく、このとき、アミン混合物は、ジアミンである4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を含んでなる。
【0012】
さらなる変形形態では、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質は、コポリマー、例えば重合体のグアニジン誘導体である。このとき、アミン混合物は、少なくとも2種の異なるアミンを含む。すなわち、アミン混合物は、第1の成分と、少なくとも1つの第2の成分とを含み、
・第1の成分は、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびジアルキレントリアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・第2の成分は、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、ジアルキレントリアミン、アルキレンジアミン、およびオキシアルキレンジアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる。
【0013】
特に好ましいコポリマーは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)と、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンからなる群からのアミンとの組合せから得られ、また、ジエチレントリアミンとヘキサメチレンジアミンまたはトリエチレングリコールジアミンとの組合せからも得られる。
【0014】
したがって、本発明によれば、
・前記第1の成分が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第2の成分が、同様に、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる
ときに好適である。
【0015】
第1の好ましいコポリマー実施形態における本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質では、前記第1の成分は4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)であり、前記第2の成分は、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンから選択されることが分かる。
【0016】
第2の好ましいコポリマー実施形態では、前記第1の成分はジエチレントリアミンであり、前記第2の成分は、ヘキサメチレンジアミンおよびトリエチレングリコールジアミンから選択される。
【0017】
コポリマーの製造においては、特に、出発モノマーの混合比が重要な役割を果たすことが知られている。コポリマーである本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質の実施形態に関して、2つのモノマーが、等モル比から、2つのモノマーのうちの一方が他方の4倍となる比までのときに特に有利であることが実証されている。すなわち、前記第1の成分と前記第2の成分は、4:1〜1:4のモル比で適用することができ、好ましくは2:1〜1:2のモル比とすることができる。
【0018】
さらに、アミン混合物とグアニジン塩を互いに等モルで使用すると好適である。
これらの条件下で得られるポリマーまたはオリゴマー作用物質の実施形態は、すべて抗菌作用を有し、この作用は、いわゆる最小発育阻止濃度によって記述することができる。最小発育阻止濃度は、特定の溶液中で細菌の成長を妨げることができる最低の殺菌剤濃度を示す。ここで、50μg/ml未満の最小発育阻止濃度が特に好適である。重合体のグアニジン誘導体である実施例の多くにおいて、最小発育阻止濃度は明らかに低く、10μg/ml未満、さらには5μg/ml未満である。この濃度が低ければ低いほど、対応する作用物質を殺生物剤としてより効果的に使用することができる。
【0019】
したがって、殺生物剤としてさらに効果的に使用するために、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質の特に好適な特性は、その最小発育阻止濃度が50μg/ml以下、好ましくは30μg/ml未満、特に好ましくは10μg/ml以下、さらに特に好ましくは5μg/ml未満であることである。
【0020】
本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質のさらなる利点は、比較的簡単な製造方法である。この方法は、
・1当量のグアニジン塩酸塩を準備するステップと、
・1当量のアミン混合物を添加するステップと、
・140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃に加熱するステップと、
・140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃で、ガス発生が終わるまで、溶解物を少なくとも5時間撹拌するステップと
を含む。
【0021】
また、そのような方法は、工業規模でも容易に実用的に実現することができる。したがって、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質は、容易に大規模に商業生産することができる。
【0022】
所望の最終生成物に応じて方法はわずかに異なる。すなわち、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)をベースとするホモポリマーを製造するためには、反応温度が例えば170℃であると好適である。それに対し、ジエチレントリアミンをベースとして製造するホモポリマーは、150℃で得ることができる。一方、本発明によるコポリマーの製造は、好ましくは170℃で行う。
【0023】
これら上記の反応条件において、かなり意外なことに、例えばトリアミンの縮合時に、重合体グアニジン構造だけでなく、環状構造、すなわちイミノイミダゾール構造もモノマー単位中に存在することが観察された。したがって、重合体グアニジン誘導体だけでなく、ポリイミノイミダゾールも、ポリマーまたはオリゴマー作用物質の本発明による実施形態である。
【0024】
本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質、ならびにその製造方法の他に、本発明はまた、本発明による少なくとも1つのポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物であって、該組成物はプラスチック粒であることを特徴とする組成物も提供する。
【0025】
そのようなプラスチック粒の提供は、多くの観点で有利である。すなわち、保管が容易であり、また適量を投与しやすく、それに対応して迅速かつ簡単に加工できる。例えば、含まれる作用物質に応じた殺生物作用を備えたプラスチック物品を製造するために使用することができる。そのような物品は、日常生活の多くの場面で非常に有利な役割を果たすことができる。例えば、(排)水管、家具、取っ手、衛生用品、シャワーカーテン、気密材料、食料品包装、食料品注ぎ口および流出口、食料品加工機械、床材、雑巾、掃除用液、農業設備および餌やり設備、ペット用の毛布、絨毯、靴底、歯磨き用具、飲み物容器、キーボードや他の入力デバイス、操作機構、電話機、抗菌性の塗料などである。当然、多数のさらなる物品を想定することができ、例えば、衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、化粧品用の包装材、および/または医療分野での使用品などである。
【0026】
それに対応して、組成物がさらに、少なくとも1つのプラスチック、好ましくは少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含むと好適であり、これは特に、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン(Polystyrol)、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドから選択する。当然、所望の特別な用途に応じて選択することができる他のポリマーも考えられる。
【0027】
また、ここで、組成物において、ポリマーまたはオリゴマー作用物質がプラスチックと共有結合しており、好ましくは、プラスチックが熱可塑性ポリマーであり、この熱可塑性ポリマーは、好ましくは、熱可塑性の脂肪族ポリウレタンおよび脂肪族/芳香族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族/芳香族ポリエステル、脂肪族ポリアミドおよび脂肪族/芳香族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネートおよび脂肪族/芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリ尿素および脂肪族/芳香族ポリ尿素、脂肪族ポリエステルアミドおよび脂肪族/芳香族ポリエステルアミドからなる群から選択される熱可塑性ポリマーであり、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が主鎖に環状構造を有するとき、特に有利である。
【0028】
さらに、そのような組成物が水酸化物塩として存在するときに、特に良好な殺生物効果を有することが示されている。これは、例えば、対応するハロゲン化物、例えば塩化物から塩基性アニオン交換によって得ることができる。
【0029】
さらに、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、以下のものからなる群から選択される構造を有すると特に有利である。
【0030】
【化1】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、自然数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜16、特に3〜8であり、
p、q、およびrは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0031】
また、請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物であって、
a)殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質であって、グアニジン酸付加塩とアミン混合物との重縮合によって得られ、アミン混合物が、少なくとも1つのジアミンおよび/または1つのトリアミンを含み、少なくとも1つのアミンが、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンからなる群から選択される、ポリマーまたはオリゴマー作用物質と、
b)プラスチックと
の反応によって得られ、
前記ポリマーまたは前記オリゴマー作用物質が前記プラスチックと共有結合している組成物が特に有利である。
【0032】
ポリマーまたはオリゴマー作用物質がプラスチックと共有結合している組成物の製造において、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を使用するとき、化合中に混合される成分からコポリマーが生じる。これは特に、熱可塑性ポリマーが、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)または熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタン(TAAPU)であり、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が環状構造を有し、該環状構造が、以下のものを含む群から選択されるときに生じる。
【0033】
【化2】

ここで、
HCl*は、同じく、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、自然数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜16、特に3〜8であり、
p、q、およびrは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0034】
そのような組成物を製造する際、特にいわゆる「反応加工(reactive processing)」が生じる条件下で製造が行われるとき、化合中に混合された成分からコポリマーが生じる。このために、ポリマーまたはオリゴマー作用物質を熱可塑性ポリマーと混合し、反応条件は、ポリマーまたはオリゴマー作用物質と熱可塑性ポリマーの共有結合が生じるように選択する。これは、例えば、反応基、例えばイソシアネート基をさらに含むように熱可塑性ポリマーを選択することによって行うことができる。
【0035】
しかし、結合は、選択した条件下で、縮合の枠内で行うこともできる。このために特に適した熱可塑性ポリマーは、脂肪族ポリウレタン、および/または、芳香族および/または芳香脂肪族ポリウレタンである。好ましくは、ポリマーまたはオリゴマー作用物質は、流体として、好ましくは溶媒中に溶解して、熱可塑性ポリマーと反応させる。意外にも、特にこれらの条件下で容易に共有結合が生じることが示された。適切な溶媒は、例えばアルコールなどの極性溶媒であるが、水もまた非常に適している。
【0036】
さらに、120℃を超える、好ましくは140℃を超える、特に好ましくは160℃を超える、さらに特に好ましくは160℃〜300℃、さらに特に好ましくは170℃での質量温度で熱可塑性ポリマーを押出成形しながら、ポリマーまたはオリゴマー作用物質の0.1〜90重量%水溶液、好ましくは20〜80重量%水溶液、特に好ましくは30〜50重量%水溶液、さらに特に好ましくは40重量%水溶液に熱可塑性ポリマーを添加すると好適である。
【0037】
すなわち、正にこれらの反応条件下で、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質と、プラスチック粒組成物の熱可塑性ポリマーとの共有結合が観察される。これもまた本発明の対象であるこれらの素材は、同様に、殺生物作用を有する素材の様々な用途での使用に際して大きな利点がある。特に、ポリマーまたはオリゴマー作用物質がプラスチックと共有結合しているプラスチック粒も殺生物作用を有する。ポリマーまたはオリゴマー作用物質が熱可塑性ポリマーに共有結合しているこのプラスチック粒の特別な利点は、水または例えば体液との接触時の殺生物作用物質のいわゆる浸出が実質的に減少されることである。
【0038】
また、本発明によるプラスチック粒は、マスターバッチの形態で用意することもできる。このとき、このプラスチック粒は、対応する使用の前にもう一度希釈される。その際、プラスチック粒が本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質の物理的な混合物であるかどうか、あるいは本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質が熱可塑性ポリマーと共有結合しているかどうかは関係ない。
【0039】
本発明のさらなる利点は、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質自体において既にそうであるように、本発明によるプラスチック粒も、非常に高速で簡単な方法で製造することができることである。プラスチック粒を製造する方法は、
a)殺生物作用を有する本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を熱可塑性ポリマーと合わせて混合するステップと、
b)ステップa)で生成された混合物を粒状化するステップと
を含む。
【0040】
ここで、ポリマーまたはオリゴマー作用物質を好ましくは流体として熱可塑性ポリマーに供給し、ステップa)での混合は押出機内で行う。熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドからなる群から選択される。
【0041】
本発明による重合体グアニジン誘導体は、有利には、衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での日用品を製造するために使用することができることが分かる。
【0042】
したがって、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質、または本発明によるプラスチック粒を使用して、例えば、実験室や臨床の無菌領域で使用することができる白衣、手袋、帽子、または靴、ならびにマスク、手術用覆布、およびシーツなどの機能性繊維を作製することができる。有利には、病院で使用する雑巾、滅菌フィルタ、空気フィルタ、および家具やトレーの表面、ならびに窓カーテンも、少なくとも一部は本発明による作用物質を使用して製造することができる。食料品または化粧品用の包装材を製造するための使用も有利である。特に、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質は、(排)水管、家具、取っ手、衛生用品、シャワーカーテン、気密材料、食料品包装、食料品注ぎ口および流出口、食料品加工機械、床材、雑巾、掃除用液、農業設備および餌やり設備、ペット用の毛布、絨毯、靴底、歯磨き用具、飲み物容器、キーボードや他の入力デバイス、操作機構、電話機、抗菌性の塗料の製造の際の使用に有利に適している。
【0043】
同じことが、衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での使用品を製造するための本発明による組成物の使用にも当てはまる。
【0044】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の文言および実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】熱可塑性ポリマー、及び本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質から得られる本発明による組成物の一実施例の水性抽出液の1H−1H COSYスペクトルを示す図である。
【図2】熱可塑性ポリマー、及び本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質から得られる本発明による組成物のさらなる実施例の水性抽出液の1H−1H COSYスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施例1−ポリ(4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)グアニジン塩酸塩)(PMBCG)の合成
3回焼いて予備加熱(dreifach ausgeheizten)した100mlの三つ口フラスコ内に、アルゴン向流中で、1当量(8.12g、85mmol)のグアニジン塩酸塩を入れる。続いて、グローブボックス内で、1当量(17.88g、85mmol)の4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を添加する。
【0047】
フラスコには、内部温度計と、シュトゥッツ(Stutz)による逆止弁を有する3回予備加熱した還流冷却器(以下ではシュトゥッツクーラと呼ぶ)とを設置する。
油浴内で反応混合物を加熱する。その際、100℃の温度から、ゆっくりとしたガス発生が始まる。温度をさらに上昇させると、ガス発生は少しずつだけ強くなる。全体で85分後、170℃の温度に達する。
【0048】
この温度は、目視でガス発生が終了するまで、9時間にわたって維持される。
氷冷し、オイルポンプ真空をかけながら、溶解物を室温まで冷却する。
使用した最初の量から、上記の条件下で、24.48gの無色透明な脆性固体を生じる。
【0049】
得られるポリマーの構造は、化学式(I)で表すことができる。
【0050】
【化3】

ここで、n=1〜8であり、主に1〜3である。
【0051】
残基R1およびR2は、使用するモノマーに由来するものでも、使用するグアニジン塩酸塩に由来するものでもよく、したがって以下のように定義される:
R1は、Hまたは
【0052】
【化4】

から選択し、
R2は、NH2または
【0053】
【化5】

から選択する。
【0054】
したがって、生じる生成物混合物は、化学式(II)、(III)、および(IV)に対応するポリマー化合物を含む。
【0055】
【化6】

化学式(I)、(II)、(III)、および(IV)は、例として以下に化学式(VIII)または(VIII’)に関して示すのと同様にそれぞれ置き換えて表すこともできる。ここで、グアニジン単位の正電荷は局在化しておらず、メソメリー効果で3つの窒素原子すべてに分布している。
【0056】
実施例2−ポリ(ジエチレントリアミングアニジン塩酸塩)(PDETAG)の合成
内部温度計、シュトゥッツクーラ、および蛇口付きの吸入部材を備える100mlの三つ口フラスコを、3回焼いて予備加熱して、アルゴンで満たす。この三つ口フラスコ内で、1当量(8.12g、85mmol)のグアニジン塩酸塩と、1当量(8.77g、85mmol)のジエチレントリアミンとを、油浴を用いて50分以内に150℃の温度まで加熱する。
【0057】
95℃の温度に達した後、ガス発生を観察することができ、温度をさらに上昇させると、ガス発生は急増する。
ガス発生が終了するまで、溶解物を撹拌しながら150℃で5時間保つ。
【0058】
氷冷し、オイル真空(Olvakuum)をかけながら、溶解物を室温まで冷却する。
使用した最初の量から、上記の条件下で、11.96gの白色の脆性固体を生じる。
意外にも、生じるポリマー作用物質の繰り返しモノマー単位は、化学式(V)に対応する環状構造を示す。
【0059】
【化7】

ここで、n=1〜12であり、主に2〜8である。
【0060】
R3は、NH2または
【0061】
【化8】

であり、
R4は、
【0062】
【化9】

または
【0063】
【化10】

から選択する。
【0064】
したがって、生じる生成物混合物は、化学式(VI)、(VII)、および(VIII)に対応するポリマー化合物を含む。
【0065】
【化11】

ここで、化学式(VI)、(VII)、および(VIII)における環の約90%が正電荷を有すると考えることができる。ここでも、正電荷は、環内の窒素原子の1つに局在化しているのではなく、むしろ非局在化していると考えることができる。したがって、化学式(VIII)の代替表現形式は、以下の化学式(VIII’)である。
【0066】
【化12】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、上述した意味合いを持つ自然数であり、
pとqは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0067】
実施例2の化学式(I)〜(IV)も同様に表すことができ、正電荷は、メソメリー効果で、グアニジン単位の3つの窒素原子すべてに分布している。
実施例3−本発明によるグアニジンコポリマーの合成
上記の実施例に対応して用意された反応フラスコ内で、それぞれ、グアニジン塩酸塩1当量(8.12g、85mmol)と、表1に対応する混合比でのコモノマー1当量とを、油浴を用いて30分以内に170℃の温度に加熱する。
【0068】
溶解物を撹拌しながらこの温度で5時間保つ。氷冷し、オイル真空をかけながら、溶解物を室温まで冷却する。
【0069】
【表1】

表1:グアニジンコポリマーを製造するためにアミン混合物中で使用したジアミンとトリアミンの混合比(Aq=当量)
アミン混合物中に含まれる2つのモノマーの混合比は、1:1〜1:4の間または4:1〜1:1の間であることが分かる。
【0070】
実施例4−最小発育阻止濃度の特定
本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質の殺生物作用を調べるために、上記の実施例に従って製造した化合物を、細菌培養培地、好ましくはTryptic Soy Broth中に入れ、様々な濃度に希釈した。濃度が異なるこれらの溶液に、大腸菌(Escherichia coli)の懸濁液を接種して、37℃で24時間培養した。
【0071】
ここで、最小発育阻止濃度(MHK)とは、検査対象の殺生物剤が細菌の成長を妨げることができる、溶液中でのその殺生物剤の最小濃度を意味する。ここで、対応する溶液において、細菌の成長による混濁は観察されない。
【0072】
実施例1および実施例2で示した化学式(I)および化学式(V)に対応するホモポリマー、ならびに実施例3で挙げたコモノマー混合物C1〜C23から得られるコポリマーに関して、表2に列挙する平均の最小発育阻止濃度(MHK)が得られる。
【0073】
【表2】

表2:本発明による重合体グアニジン誘導体の最小発育阻止濃度の特定(MHK=最小発育阻止濃度)
対照標準として、対照標準ポリマーを使用した。このポリマーの殺生物作用は既知であり、最小発育阻止濃度は通常は5μg/mlである。
【0074】
本発明によるすべてのポリマーまたはオリゴマー作用物質、具体的には、重合体グアニジン誘導体である本発明によるコポリマーが殺生物作用を有することが分かる。ここで、特に、第2のモノマーとしてヘキサメチレンジアミンを含むコポリマーが、5μg/ml未満の最小発育阻止濃度を有する。
【0075】
【表3】

表3:特に低い最小発育阻止濃度(MHK)を有する本発明によるコポリマーの抜粋(MBC=4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、HMD=ヘキサメチレンジアミン、DETA=ジエチレントリアミン)
実施例5−熱可塑性ポリマーに共有結合しているポリマーまたはオリゴマー作用物質を含むプラスチック粒
本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を熱可塑性ポリマー、例えばポリウレタンと組み合わせるとき、特定の条件下でいわゆる反応加工が生じる。その際、ポリマーまたはオリゴマー作用物質は、使用する熱可塑性樹脂と共有結合で結合される。
【0076】
さらに、対応する製造法において、殺生物性重縮合物の水溶液、すなわち本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を、熱可塑性重縮合物または重付加生成物の溶解物と共押出成形する。その際、縮合により、新たな熱可塑性樹脂(殺生物性熱可塑性樹脂)が得られる。
【0077】
出発材料の熱可塑性樹脂として、溶融押出によって加工できる重縮合物または重付加生成物を使用する。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリカプロラクトンなどのポリエステル;ポリアミド(PA)6、PA66、PA610、PA11、PA12などのポリアミド;ポリエステルアミド、脂肪族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリウレタンおよび芳香族ポリウレタン、ならびに脂肪族ポリ尿素および芳香族ポリ尿素である。
【0078】
ポリマーまたはオリゴマー作用物質として、水溶性ポリグアニジン(PG)を使用し、これは具体的には、以下の構造を有するものである。
【0079】
【化13】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、自然数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜16、特に3〜8であり、
p、q、およびrは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0080】
殺生物性プラスチック粒を製造するために、従来の押出機での溶融押出において、熱可塑性樹脂に応じて押出温度70〜300℃で、水中での殺生物性ポリマーまたはオリゴマー作用物質の濃度が0.1〜90重量%である殺生物性ポリマーまたはオリゴマー作用物質水溶液を熱可塑性樹脂に添加する。
【0081】
水分は、押出機の蒸発領域内で除去する。押出成形の終了後、新たな生成物として殺生物性熱可塑性樹脂が得られ、これは、使用する熱可塑性樹脂に対してポリマーまたはオリゴマー作用物質の構造を0.1〜50%含む。このとき、ポリマーまたはオリゴマー作用物質は、縮合により熱可塑性樹脂と共有結合している。縮合は、押出成形中に生じる。
【0082】
押出成形後にポリマーまたはオリゴマー作用物質が使用した熱可塑性ポリマーと共有結合していることは、NMRによっても、質量分光測定によっても確認することができる。
熱可塑性ポリマーと共有結合しているポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む本発明によるプラスチック粒に関する第1の実施例では、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)を二軸スクリュー押出機内で170℃の質量温度(Massetemperatur)で押出成形しながら、第1のポリグアニジン(PG1)の40%水溶液を添加する。第1のポリグアニジン(PG1)は、以下の構造を有する。
【0083】
【化14】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、上述した意味合いを持つ自然数であり、
pとqは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0084】
このとき、添加は、TAPU中に10重量%の第1のポリグアニジン(PG1)を含む化合物が生じるように行う。
質量分光分析により、化合物の抽出後に、本発明による作用物質、すなわち第1のポリグアニジン(PG1)が抽出液中に存在しないことが示される。ここで、抽出は沸騰水で行った。
【0085】
第2の実施例では、熱可塑性ポリマーとして、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)の代わりに、熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタン(TAAPU)を使用する。押出成形は、ここでも、二軸スクリュー押出機内で170℃の質量温度で、第1のポリグアニジン(PG1)の40%水溶液を添加しながら行った。
【0086】
この場合にも、抽出液中に純粋なPG1の存在は認められず、これは、使用した熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタンとのPG1とが共有結合していることを示す。
図1において、第3の実施例に関しても、2次元NMRスペクトルで共有結合を明白に確認できる。この実施例では、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)を、前述したのと同様に二軸スクリュー押出機内で170℃の質量温度で押出成形しながら、第2のポリグアニジン(PG2)の40%水溶液を添加した。ここで、第2のポリグアニジン(PG2)は以下の構造を有する。
【0087】
【化15】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、上述した意味合いを持つ自然数であり、
pとqは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0088】
TAPU中に10重量%の第2のポリグアニジン(PG2)を含む化合物が生じる。ここで、図1は、この実施例の抽出液の1H−1H COSY−スペクトルを示す。
図2に、第4の実施例に関しても抽出液の1H−1H COSYスペクトルを示す。ここでは、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)ではなく、熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタンを使用し、前述したのと同様に、第2のポリグアニジン(PG2)の40%水溶液と共に、170℃の質量温度で押出成形した。添加は、TAAPU中に10重量%の第2のポリグアニジン(PG2)を含む化合物が生じるように行った。この場合にも、沸騰水抽出液中でポリマーまたはオリゴマー作用物質、すなわち第2のポリグアニジン(PG2)の存在は認められない。
【0089】
1H−1H−COSY NMRに関する実験条件:
Bruker Avance 300B分光計(Z傾斜を有するDual 1H−13Cプローブヘッド(Dual 1H−13C Probenkopf mit Z−Gradient))によって、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール(約1mL)とD2O(約0.2mL)との溶媒混合物中において25℃で1H−1H−COSY NMRを測定した。内部標準としてプロトン化D2Oピークで較正した(25℃で4.79ppm)(報告で示される2Dスペクトルは較正されていない。なぜなら、較正により、上および左の1Dスペクトルがずれるからである)。
【0090】
質量分光測定の実験条件:
質量スペクトルを、Thermo Fisher Scientific Finnigan LTQ−FT分光計によって、溶媒としてのメタノール中で、大気圧での化学イオン化(APCI)法によって測定した。
【0091】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、様々な形に変形可能である。
殺生物作用を有する特に有利なポリマーまたはオリゴマー作用物質は、少なくとも1つのジアミンおよび/またはトリアミンを含むアミン混合物とのグアニジン酸付加塩の重縮合によって得られることが分かる。ここで、少なくとも1つのアミンを、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンからなる群から選択する。ここで、好ましくは、少なくとも1つのアミンを、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンから選択する。さらに、グアニジン酸付加塩はグアニジン塩酸塩であることが好ましい。
【0092】
また、アミン混合物が、アルキレンジアミン、具体的には一般式NH2(CH2nNH2(ここでnは2〜10の整数、特に6)の化合物を含むか、またはオキシアルキレンジアミン、具体的には一般式NH2[(CH22O]n(CH22NH2(ここでnは2〜5の整数、特に2)の化合物を含むと有利である。
【0093】
第1の変形形態では、本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質はホモポリマーである。ここで、アミン混合物は、トリアミンであるジエチレントリアミンを含んでなるもの、またはジアミンである4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を含んでなるものとする。
【0094】
さらなる変形形態では、アミン混合物は、第1の成分と、少なくとも1つの第2の成分とを含み、
・第1の成分は、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびジアルキレントリアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・第2の成分は、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、ジアルキレントリアミン、アルキレンジアミン、およびオキシアルキレンジアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる。
【0095】
ここで、
・前記第1の成分が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第2の成分が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンからなる群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる
ときに特に好適である。
【0096】
ここで、特に、前記第1の成分が4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)であり、前記第2の成分がジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンから選択されるポリマーまたはオリゴマー作用物質が特に有利であり、あるいは、前記第1の成分がジエチレントリアミンであり、前記第2の成分がヘキサメチレンジアミンおよびトリエチレングリコールジアミンから選択されるポリマーまたはオリゴマー作用物質が特に有利である。さらに、前記第1の成分と前記第2の成分が、4:1〜1:4のモル比、好ましくは2:1〜1:2のモル比であると好適である。
【0097】
本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を製造するための方法であって、
a)1当量のグアニジン塩酸塩を準備するステップと、
b)1当量のアミン混合物を添加するステップと、
c)140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃に加熱するステップと、
d)ステップd)で調整した温度、すなわち140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃で、ガス発生が終わるまで、溶解物を少なくとも5時間撹拌するステップと
を含む方法において、本発明のさらなる利点が認められる。
【0098】
さらに、少なくとも1つの本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む本発明による組成物であって、該組成物がプラスチック粒である組成物の利点が認められる。ここで、組成物がさらに、少なくとも1つのプラスチック、好ましくは少なくとも1つの熱重合体を含むと好適であり、この組成物は、特に、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドから選択される。
【0099】
また、ここで、組成物において、ポリマーまたはオリゴマー作用物質がプラスチックと共有結合しており、好ましくは、プラスチックが熱可塑性ポリマーであり、この熱可塑性ポリマーは、好ましくは、熱可塑性の脂肪族ポリウレタンおよび脂肪族/芳香族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルおよび脂肪族/芳香族ポリエステル、脂肪族ポリアミドおよび脂肪族/芳香族ポリアミド、脂肪族ポリカーボネートおよび脂肪族/芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリ尿素および脂肪族/芳香族ポリ尿素、脂肪族ポリエステルアミドおよび脂肪族/芳香族ポリエステルアミドからなる群から選択される熱可塑性ポリマーであり、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が主鎖に環状構造を有するとき、特に有利である。
【0100】
特に、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、
【0101】
【化16】

からなる群から選択される構造を有すると有利である。
【0102】
ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、自然数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜16、特に3〜8であり、
p、q、およびrは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0103】
また、ここで、
a)殺生物作用を有する本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質を熱可塑性ポリマーと合わせて混合するステップと、
b)ステップa)で生成された混合物を粒状化するステップと
を含む、プラスチック粒を製造するための方法、すなわち上記のことに対応する組成物を製造するための方法が好適である。
【0104】
ここで、ポリマーまたはオリゴマー作用物質を流体として熱可塑性ポリマーに供給し、ステップa)での混合は押出機内で行う。熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドからなる群から選択される。
【0105】
ここで、熱可塑性ポリマーが、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)または熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタン(TAAPU)であり、ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、以下のものからなる群から選択される環状構造を有すると特に好適である。
【0106】
【化17】

ここで、
HCl*は、HClが共有結合していないことを意味し、
nは、自然数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜16、特に3〜8であり、
p、q、およびrは、化学式中での構造フラグメント相互の好ましいモル比を定義する整数である。
【0107】
さらに、120℃を超える、好ましくは140℃を超える、特に好ましくは160℃を超える、さらに特に好ましくは170℃での質量温度で熱可塑性ポリマーを押出成形し、ポリマーまたはオリゴマー作用物質の20〜50%水溶液、好ましくは30〜50%水溶液、特に好ましくは40%水溶液を熱可塑性ポリマーに添加すると好適である。
【0108】
衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での日常の使用品(日用品)を製造するための本発明によるポリマーまたはオリゴマー作用物質の使用の特別な利点が認められる。
【0109】
さらに、衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での日常の使用品を製造するための本発明による組成物、特にプラスチック粒の使用の利点が認められる。
【0110】
構造的な詳細、空間的な要件、および方法ステップを含め、特許請求の範囲、明細書、および図面から分かるすべての特徴および利点は、単独でも、様々な組合せでも、本発明の対象となり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質であって、グアニジン酸付加塩とアミン混合物との重縮合によって得られ、前記アミン混合物が、少なくとも1つのジアミンおよび/または1つのトリアミンを含み、少なくとも1つのアミンは、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンを含む群から選択される、ポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項2】
少なくとも1つのアミンは、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンから選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項3】
前記グアニジン酸付加塩がグアニジン塩酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項4】
前記アミン混合物が、アルキレンジアミン、具体的には一般式NH2(CH2nNH2(ここでnは2〜10の整数、特に6)の化合物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項5】
前記アミン混合物が、オキシアルキレンジアミン、具体的には一般式NH2[(CH22O]n(CH22NH2(ここでnは2〜5の整数、特に2)の化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項6】
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質がホモポリマーであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項7】
前記アミン混合物が、トリアミンであるジエチレントリアミンを含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項8】
前記アミン混合物が、ジアミンである4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)を含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項9】
前記アミン混合物が、第1の成分と、少なくとも1つの第2の成分とを含み、
・前記第1の成分が、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびジアルキレントリアミンを含む群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第2の成分が、少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、ジアルキレントリアミン、アルキレンジアミン、およびオキシアルキレンジアミンを含む群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項10】
前記アミン混合物が、第1の成分と、少なくとも1つの第2の成分とを含み、
・前記第1の成分が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)およびジエチレントリアミンを含む群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第2の成分が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンを含む群から選択されるジアミンまたはトリアミンであり、
・前記第1の成分が前記第2の成分とは異なる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項または請求項9に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項11】
前記第1の成分が4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)であり、前記第2の成分がジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびトリエチレングリコールジアミンから選択されることを特徴とする請求項9または10に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項12】
前記第1の成分がジエチレントリアミンであり、前記第2の成分がヘキサメチレンジアミンおよびトリエチレングリコールジアミンから選択されることを特徴とする請求項9または10に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項13】
前記第1の成分と前記第2の成分が、4:1〜1:4のモル比、好ましくは2:1〜1:2のモル比で得られることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質を製造するための方法であって、
a)1当量のグアニジン塩酸塩を準備するステップと、
b)1当量のアミン混合物を添加するステップと、
c)140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃に加熱するステップと、
d)ステップd)で調整した温度、すなわち140℃〜180℃、好ましくは145℃〜175℃、特に好ましくは150℃〜170℃で、ガス発生が終わるまで、溶解物を少なくとも5時間撹拌するステップと
を含む方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物であって、該組成物がプラスチック粒であることを特徴とする組成物。
【請求項16】
さらに、特にポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドから選択した、少なくとも1つのプラスチック、好ましくは少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質がプラスチックと共有結合していることを特徴とする請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記プラスチックが、好ましくは、熱可塑性の脂肪族および脂肪族/芳香族ポリウレタン、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリエステル、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリアミド、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリカーボネート、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリ尿素、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリエステルアミドを含む群から選択される熱可塑性ポリマーであることを特徴とする請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、主鎖に環状構造を有することを特徴とする請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、
【化1】

を含む群から選択した構造を有することを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
a)殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質であって、グアニジン酸付加塩とアミン混合物との重縮合によって得られ、前記アミン混合物が、少なくとも1つのジアミンおよび/または1つのトリアミンを含み、少なくとも1つのアミンは、i)少なくとも1つの脂環式残基を有するジアミン、およびii)ジアルキレントリアミンを含む群から選択される、ポリマーまたはオリゴマー作用物質と、
b)プラスチックと
の反応によって得られ、
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質が前記プラスチックと共有結合している
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマーまたはオリゴマー作用物質を含む組成物。
【請求項22】
請求項15から21の少なくともいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法であって、
a)請求項1から13のいずれか一項に記載の殺生物作用を有するポリマーまたはオリゴマー作用物質を熱可塑性ポリマーと合わせて混合するステップと、
b)ステップa)で生成された前記混合物を粒状化するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質を流体として前記熱可塑性ポリマーに供給することを特徴とする請求項22に記載の組成物を製造するための方法。
【請求項24】
ステップa)での混合を押出機内で行うことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、シリコーン、およびポリアミドを含む群から選択されることを特徴とする請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性の脂肪族ポリウレタン(TAPU)または熱可塑性の脂肪族/芳香族ポリウレタン(TAAPU)であり、前記ポリマーまたはオリゴマー作用物質が、以下のものを含む群から選択される環状構造を有することを特徴とする請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【化2】

【請求項27】
120℃を超える、好ましくは140℃を超える、特に好ましくは160℃を超える、さらに特に好ましくは160℃〜300℃、さらに特に好ましくは170℃での質量温度で前記熱可塑性ポリマーを押出成形することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーまたはオリゴマー作用物質の0.1〜90重量%の水溶液、好ましくは20〜80重量%の水溶液、特に好ましくは30〜50重量%の水溶液、さらに特に好ましくは40重量%の水溶液を前記熱可塑性ポリマーに添加することを特徴とする請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での日用品を製造するための請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマーまたはオリゴマー作用物質の使用。
【請求項30】
衣料用布地、機能性繊維、抗菌紙、技術フィルタ、食料品および化粧品用の包装材、および/または医療分野での日用品を製造するための請求項15から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510909(P2013−510909A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538193(P2012−538193)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001317
【国際公開番号】WO2011/057611
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(506110690)フィリップス−ウニベルジテート・マールブルク (8)
【Fターム(参考)】