殺菌組成物及びそれを使用する方法
ナノ構造及び液体を含む担体組成物において殺菌剤を含む新規な殺菌組成物、及びその使用方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な殺菌組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染は、例えば健康管理のような、衛生条件が重要である多くの分野において重大な問題である。問題のある感染は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルス生物から起こりうる。感染を防止すること、及びいったん感染したら感染を減らすか又は除去することの両方に対して挑戦がなされている。感染された環境は、物体の表面、流体及び流体管、及び/又は人及び動物のような生物学的環境を含みうる。
【0003】
殺菌剤は、身体の外部表面上の微生物を殺すか又はその増殖を阻止する。一般的な殺菌剤は、アルコール、沃素、過酸化水素及び硼酸を含む。殺菌剤の微生物破壊能力や生体組織に対するそれらの効果には大きな変動がある。例えば、塩化第二水銀は強力な殺菌剤であるが、それはデリケートな組織を刺激する。逆に、硝酸銀はそれより少ない菌しか殺さないが、目やのどのデリケートな組織上で使用されることができる。また、作用される殺菌剤が異なれば必要な時間にも大きな差異がある。沃素は、最も速く作用する殺菌剤であり、30秒以内に細菌を殺す。他の殺菌剤は遅く作用し、残留作用が大きい。
【0004】
殺菌剤は、外科的介入の前、注射及び穿刺の前、及び中空器官の検査前に、皮膚又は粘膜が消毒されなければならないときに使用される。さらに、殺菌剤はまた、創傷治療(外科創傷、慢性創傷、火傷、咬創、切創及び外傷性創傷)のために、そして局所的な表皮感染(例えば真菌感染)の治療のために使用される。殺菌剤を含有する溶液は、うがい薬の形で虫歯予防のために使用されてもよい。洗浄(例えば膀胱及び腹部洗浄)がまた、殺菌剤の存在下で作用される。特別な適用領域は、予防的、術前及び治療的眼科殺菌剤、上顎外科的介入及び抜歯の前及び首及び咽頭腔における感染における口腔の殺菌剤を含む。
【0005】
外科的手洗い消毒、術前皮膚製剤及び殺菌手洗い消毒液のような皮膚適用に使用するためのアルコールベースの殺菌剤は、良く知られており、それらの高い効果とそれらが微生物を殺菌するスピード、並びにそれらの非細胞毒性のために幅広く使用されている。60〜95容量%のエタノール又はイソプロパノールを含有するアルコール含有配合物は、外科用手洗い消毒として、術前皮膚製剤に、医療従事者の手洗い消毒液及び手を消毒するための殺菌手洗い消毒液として、及び侵襲性の医療処置の部位の局所的な皮膚消毒のために使用されることが多い。このような組成物の効果は、抗菌性の活性成分であるアルコールの迅速な蒸発のために短い期間である。このような配合物の使用から生じる他の制限は、それらの低い粘度及び水のような性質による皮膚乾燥及び適用困難性を含む。それゆえ、外科的手洗い消毒のような継続した抗菌効果(持続性)を要求する用途におけるそれらの使用は、それらの高い蒸気圧(それは適用時に迅速な蒸発を起こす)によって制限されている。従って、皮膚に適用されるとき、アルコール濃度の迅速な低下は、蒸発損失のために、微生物、特に細菌との薬剤の接触時間を制限する。
【0006】
殺菌性のうがい薬は、数世紀にわたって広範に使用され、プラーク、歯肉炎及び口臭の原因となる口腔内の細菌を殺すように作用する。Listerine(登録商標)(Pfizer社)のようなうがい薬は、チモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトールの活性成分を極めて微小な量で含む。理論に拘束されないが、Listerine(登録商標)のような殺菌性うがい薬の効果と味はこれらの四つの活性成分の有用性及び溶解性のためであると思われる。溶解性はまた、透明なコハク色のうがい薬溶液が曇った又は濁った又は不均一なものより消費者に確実に好まれるという美的観点から重要である。Listerine(登録商標)を含む多くのうがい薬では、エタノールが溶媒として使用されている。エタノールは21〜26%w/vの濃度で存在するので、それはうがい薬の殺菌能力に貢献する。
【0007】
アルコール含有うがい薬は、それらが使用者の口の中でヒリヒリ又は刺激効果を起こし、さらに口及びのどを癌にかかりやすくするので、欠点である(Weaverら.,J Oral Surg.1979 Apr;37(4):250−3;J Zunt et al.,Indiana Dent Assoc.1991 Nov−Dec;70(6):l6−9)。さらに、アルコール含有うがい薬は、生理的、心理的、社会的又は仕事関連の理由のために、アルコールを使用できないか又は使用すべきでない人を含む使用者に対して問題となりうる。アルコールは舌下で吸収される。うがい薬は吐き出されるべきであるが、アルコール依存者はうがい薬を含むアルコール含有物質の乱用者になりやすいことが立証されている。
【0008】
化学療法を受けている患者は、微少量のアルコールであっても摂取すべきでないことは知られている。化学療法は、耳下腺に不十分な量の唾液及び口の乾燥を生じさせる。アルコール含有うがい薬の使用はこの問題を悪化させる。それゆえ、アルコールを含有しないうがい薬で洗浄することは、これらの患者の歯科治療の助けとなるだろう。
【0009】
従って、上述の制限のない殺菌組成物に対する必要性が幅広く認識されており、かかる組成物を持つことは極めて有利であるだろう。
【発明の開示】
【0010】
本発明の一態様によれば、少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ナノ構造及び液体を含む組成物の殺菌効果量をその必要性のある個体に与え、それによって個体の身体表面を消毒することを含む、個体の身体表面を消毒する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、ナノ構造及び液体を含む組成物と物体を接触し、それによって物体を殺菌することを含む、物体を殺菌する方法が提供される。
【0013】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は少なくとも一種の殺菌剤をさらに含む。
【0014】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造は、液体の整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、コア材料、及び整列した流体分子のエンベロープは定常的な物理的状態にある。
【0015】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、流体分子は、少なくとも二種の均一流体組成物を含む不均一流体組成物を含み、液体は少なくとも二種の均一流体組成物のうちの少なくとも一種と同一である。
【0016】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、流体分子はガス状状態にある。
【0017】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は1リットルあたり1020個未満である。
【0018】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は1リットルあたり1015個未満である。
【0019】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はクラスターを形成することができる。
【0020】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はそれらの間での遠距離の相互作用を維持することができる。
【0021】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、コア材料は、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質からなる群から選択される。
【0022】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、コア材料は結晶性コア材料である。
【0023】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、液体は水である。
【0024】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の各々は、液体の比重より低いか又はそれに等しい比重によって特徴づけられる。
【0025】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる。
【0026】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は、水の緩衝能力より大きい緩衝能力を含む。
【0027】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はハイドロキシアパタイトから配合される。
【0028】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は液体組成物として配合される。
【0029】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、液体組成物は少なくとも1容量%の担体組成物を含む。
【0030】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は固体組成物として配合される。
【0031】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの担体組成物を含む。
【0032】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は経口投与形態として配合される。
【0033】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、経口投与形態は、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、トローチ剤及びカプセルからなる群から選択される。
【0034】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は局所又は粘膜投与形態として配合される。
【0035】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、局所又は粘膜投与形態は、クリーム、スプレー、ワイプ(wipe)、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルからなる群から選択される。
【0036】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は20容量%未満のアルコールを含む。
【0037】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤である。
【0038】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、経口的に非毒性の殺菌剤は、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、クロルヘキシジングルコネート、クロロブタノールヘミハイドレート、フェノール、オイカリプトールからなる群から選択される。
【0039】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、少なくとも一種の殺菌剤は、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア及びフェノール化合物からなる群から選択される。
【0040】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、一価アルコールは、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される。
【0041】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、金属化合物は、硝酸銀及びスルファジアジン銀からなる群から選択される。
【0042】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、四級アンモニウム化合物は、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)アンモニウムからなる群から選択される。
【0043】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、フェノール化合物は、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールからなる群から選択される。
【0044】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、身体表面は皮膚、歯又は粘膜である。
【0045】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌剤は毒剤である。
【0046】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、毒剤は、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンからなる群から選択される。
【0047】
本発明は、新規な殺菌組成物及びそれを使用する方法を提供することによって現在公知の構成の欠点を首尾よく対処する。
【0048】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0049】
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し添付図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0050】
図1A〜Bは二時間のインキュベーション期間後の増大する波長での本発明の液体組成物における殺菌組成物の吸収(図1A)と逆浸透水における殺菌組成物の吸収(図1B)を比較するグラフである。
【0051】
図2は観察時間の関数として本発明の液体組成物における絶対超音波速度の等温測定の結果を示す。
【0052】
図3は毛管チャネルを介して四つの上部チャネルと一つの下部チャネルを含むプラスチック装置の写真である。
【0053】
図4A〜Bは上部チャネルに色素及び希釈剤を添加した後のプラスチック装置の写真である。図4Aは設置後15分では希釈剤が水であるときに毛管を介して上部チャネルから下部チャネルへの移動が全くないことを示す。図4Bは設置後15分では希釈剤が本発明の液体組成物であるときに毛管を介して上部チャネルから下部チャネルへの移動があることを示す。
【0054】
図5は557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【0055】
図6A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【0056】
図7A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【0057】
図8A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【0058】
図9はpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【0059】
図10A〜Cは557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図10A)および水酸化ナトリウム滴定(図10B〜図10C)を例示するグラフである。
【0060】
図11A〜BはROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【0061】
図12A〜CはRF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12A)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12B)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12C)である。矢印は2回目の照射を示す。
【0062】
図13はRO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【0063】
図14A〜Jは粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図14A〜図14Eは実施例8のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図14G〜図14Jは赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【0064】
図15A〜Cはナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図15Aは一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液を表す。図15Bは100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液を表し、図15CはEtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【0065】
図16はバイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【0066】
図17はNeowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【0067】
図18はNeowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【0068】
図19はCD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【0069】
図20はt−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【0070】
図21A〜Dは200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。図21Aはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール不在下でのAG−14Bのグラフである。図21Bはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール不在下でのAG−14Bのグラフである。図21Cはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール不在下でのAG−14Aのグラフである。図21Dはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール不在下でのAG−14Aのグラフである。
【0071】
図22はエタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【0072】
図23A〜GはNeowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図23AはNeowater(商標)に溶解されたペプチドXのグラフである。図23BはNeowater(商標)に溶解されたX−5FUのグラフである。図23CはNeowater(商標)に溶解されたNLS−Eのグラフである。図23DはNeowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)のグラフである。図23EはNeowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2のグラフである。図23FはNeowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHのグラフである。図23GはNeowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKのグラフである。
【0073】
図24A〜Gはクリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図24AはNeowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用のグラフである。図24BはNeowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用のグラフである。図24CはNeowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用のグラフである。図24DはNeowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用のグラフである。図24EはNeowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用のグラフである。図24FはNeowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用のグラフである。図24GはNeowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用のグラフである
【0074】
図25はエタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【0075】
図26はろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【0076】
図27A〜Bは試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図27Aは24時間放置された試験チューブを例示し、図27Bは48時間放置された試験チューブを例示する。
【0077】
図28A〜Cは加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【0078】
図29A〜Cは加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図29A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図29B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図29C)の写真である。
【0079】
図30A〜Cは加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図30A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図30B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図30C)の写真である。
【0080】
図31A〜Cは加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図31A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図31B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図31C)の写真である。
【0081】
図32A〜DはNeowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図32A)、振とう後30分の写真(図32B)、振とう後60分の写真(図32C)および振とう後120分の写真(図32D)である。
【0082】
図33は分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【0083】
図34A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図34A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図34B)である。
【0084】
図35A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図35A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図35B)である。
【0085】
図36A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36B)である。
【0086】
図37は293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【0087】
図38A〜Bは2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【0088】
図39は2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0089】
本発明は、新規な殺菌組成物及びそれを使用する方法である。
【0090】
特に、本発明は、身体の表面(例えば口、うがい薬として)又は物体を殺菌するために使用されることができる。
【0091】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。
【0092】
殺菌剤は、皮膚又は粘膜が消毒されなければならないとき、外科的介入前、注射、穿刺前、及び中空器官の検査前の適用を含む種々の目的のために使用されることができる。さらに、殺菌剤はまた、創傷治療のため、及び局所的な表皮感染(例えば真菌感染)の治療のために使用される。殺菌剤を含有する溶液は、うがい薬の形で虫歯予防のために使用されることができる。
【0093】
うがい薬は、プラーク、歯肉炎及び口臭の原因となる口腔内の細菌を殺すために有用である。大多数のうがい薬では、エタノールが溶媒として使用される。アルコール含有うがい薬は、それらが使用者の口の中でヒリヒリ又は刺激効果を起こし、さらに口の癌にかかりやすくすると考えられているので、不利である。さらに、アルコール含有うがい薬は、生理的(例えば化学療法を受けている患者)、心理的、社会的又は仕事関連の理由のためにアルコールを使用できないか又は使用すべきでない人を含む幾らかの使用者に対しては問題となりうる。それゆえ、上記の制限のない新規な殺菌組成物を持つことが極めて望ましい。
【0094】
本発明を実施に移しているとき、本発明者は、(米国特許出願No.60/545955及び10/865955並びに国際特許出願公開No.WO 2005/079153のような)ナノ構造を含む組成物が身体の表面もしくは物体自体を消毒するために又は殺菌剤のための担体として使用されるときに使用されることができることを発見した。
【0095】
以下に立証するように、そして後述する実施例の欄で述べたように、本発明者は、本発明の担体組成物がうがい薬の活性成分(例えばチモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)のための溶媒として効果的であることを示した。図1a−bに示されるように、殺菌活性剤は経時的に微細なミセルを作り、高い光学濃度(OD)信号及び右への曲線のシフトによって見られるように逆浸透(RO)水と比較すると本発明の担体組成物における分散が大きい。殺菌性うがい薬の効果及び味は、それらの活性成分(例えばチモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)の利用性又は溶解性によるので、本発明の担体組成物は、うがい薬に含まれる活性成分のための効果的な溶媒でありうる。さらに、本発明の組成物は、分散のために追加のアルコールが全く要求されないので、アルコールを含有しないようにすることができる。それゆえ、本発明の組成物は、溶媒としてアルコールの代替物として使用されることができる。
【0096】
従って、本発明の一態様によれば、少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物が提供される。
【0097】
本明細書で使用される用語「殺菌組成物(antiseptic composition)」は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルスのような病原体に対して細胞増殖抑制性又は細胞傷害性である、固体、半固体又は液体組成物に関する。好ましくは、本発明のこの態様の殺菌組成物は20%w/v以下のアルコールを含み、好ましくは(上に記載された理由のために)アルコールを含有しない。
【0098】
本明細書で使用される用語「担体組成物」は、殺菌組成物、例えば殺菌剤の活性成分を分散/溶解する液体組成物に関する。好ましくは、担体組成物は、生物の身体表面に付与されるときに有意な刺激を生じず、溶解された殺菌剤の生物活性及び特性を無効にしない。
【0099】
担体組成物はまた、殺菌特性を持ってもよい。
【0100】
本明細書で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートル又はサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートル又はそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、又は数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施態様のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、又は一つ以上のナノ粒子及び一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0101】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0102】
本発明のこの態様による一つの好ましい実施態様によれば、担体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、整列した流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような担体組成物は、本発明者の米国特許出願No.60/545955及び10/865955、並びに国際特許出願公開No.WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0103】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転又は再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性又は強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0104】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0105】
本明細書で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0106】
本明細書で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0107】
好ましくは、エンベロープの流体分子は担体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、担体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0108】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施態様のナノ構造は、液体の比重より低いか又はそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0109】
流体分子は液体状態又はガス状状態(気体状態)又はそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0110】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、担体液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0111】
ナノ構造の長距離の相互作用は本発明者によって証明されている(後述する実施例の欄中の実施例2参照)。本実施態様の担体組成物は温度変化を受け、超音波速度に対する温度変化の影響が調査された。当業者によって認識されているように、超音波速度は組成物中のナノ構造間の相互作用に関係される。後述する実施例の欄において示されているように、本発明の担体組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる。
【0112】
理論に拘束されないが、ナノ構造間の長距離の相互作用は担体組成物の独自の特性を与えると考えられる。一つのこのような特徴は、後述する実施例の欄の実施例1及び実施例8〜15に示すように、本発明の担体組成物が一般に薬剤を、特にストリップに存在する殺菌剤を水より大きい程度で溶解又は分散できることである。別の特徴は、後述する実施例の欄の実施例3に示すように、担体組成物はまた、疎水性膜を通る殺菌剤の透過を増強しうることである。担体組成物はまた、安定する環境を与えることによって薬剤の殺菌性を増強しうる。従って、例えば、本発明者は、担体組成物が熱の影響からタンパク質を遮蔽及び安定化し(実施例16及び17);増強された緩衝能力(即ち、水の緩衝能力より大きい)を含む(実施例4〜7)ことを示した。
【0113】
本明細書で使用される「緩衝能力」は、酸又は塩基が加えられると安定可能なpHを安定に維持する組成物の能力を示す。
【0114】
担体組成物の殺菌性は、組成物が特定の物質、特に上咽頭に典型的に存在する特定の生物物質(例えば真核性真菌、原生生物、メタン生成アーキア又は細菌)に接触するときに発現されるか又は高められることを本発明者によって見出された。他方、このような物質の存在なしでは殺菌性は全く観察されなかった。従って、本実施態様の担体組成物は、特定の生物物質が殺菌工程に対する「プライマー」として作用するという意味で、休眠中の殺菌性を持つ。
【0115】
本発明のこの態様によるナノ構造の製造は、「トップダウン」工程を使用して実施されてもよい。この工程は下記の方法工程を含み、そこでは固体粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末、又は合成ポリマー)が十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越える温度に加熱される。
【0116】
考えられる固体粉末の例は、限定されないが、BaTiO3,WO3及びBa2F9O12を含む。予期せぬことに、本発明者はまた、ハイドロキシアパタイト(HA)が本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0117】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,Aldrich及びClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0118】
表2に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0119】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃又は2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体及び粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上のものによって照射され、それは連続波RF放射線又は変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0120】
上で述べたように、本発明のこの態様の殺菌組成物は少なくとも一種の殺菌剤を含む。
【0121】
本明細書で使用される用語「殺菌剤」は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルスのような病原体に対して細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性である薬剤を示す。
【0122】
本発明の殺菌組成物の殺菌剤は本発明の殺菌組成物の意図される用途に従って選択される。
【0123】
好ましくは、殺菌剤は、適度に長い保管寿命(例えば2年)にわたって安定であり、好ましくは、それは、実体性、即ち薬剤と薬剤がその効果を誘発する微生物の間の長い接触時間を持つべきである。
【0124】
従って、例えば、殺菌組成物が生物投与のために使用されるとき、殺菌剤は非毒性殺菌剤であることが好ましい。例えば、うがい薬として使用されるとき、本発明のこの態様の殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤であることが好ましい。
【0125】
本明細書で使用される用語「経口的に非毒性の殺菌剤」は、その推奨される用量で、そしてそれが指示されるように投与されるとき、安全である(即ち、望ましくない副作用を起こさない)、殺菌剤を示す。例えば、もしうがい薬に使用されるなら、経口的に非毒性の殺菌剤は、殺菌剤の一部が口の中で洗浄されているときに洗浄しながらのみ込まれたとしても、非毒性であるべきである。本発明の経口殺菌組成物は、虫歯、歯周炎、歯芽感染、膿瘍及び歯周病のような口腔病の治療及び/又は予防のために使用されることができる。
【0126】
経口的に非毒性の殺菌剤は、限定されないが、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルブタノールヘミハイドレート、フェノール及びオイカリプトールを含む。
【0127】
本発明によって使用されうる他の殺菌剤は、限定されないが、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア又はフェノール化合物を含む。
【0128】
本発明のこの態様に従って使用されうる一価アルコールの例は、限定されないが、エタノール及びイソプロパノールを含む。
【0129】
本発明のこの態様に従って使用されうる金属化合物の例は、限定されないが、硝酸銀及びスルファジアジン銀を含む。
【0130】
本発明のこの態様に従って使用されうる四級アンモニウム化合物の例は、限定されないが、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)を含む。
【0131】
本発明のこの態様に従って使用されうるフェノール化合物の例は、限定されないが、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールを含む。
【0132】
殺菌組成物はまた、対象に対して有益でありうる他の薬剤を含んでもよい。例えば、抗生物質、又は口内洗浄剤の場合には組成物はまた、塩化亜鉛及びフッ化亜鉛の誘導体のような歯科治療のために有用な他の薬剤を含んでもよい。
【0133】
上述したように、上記の本発明の組成物(即ち、担体組成物及び/又は殺菌組成物)は殺菌性によって特徴づけられ、従って物体及び身体の表面を消毒又は殺菌するために使用されることができる。
【0134】
用語「殺菌(滅菌)」及び「消毒」は、交換可能に使用されることができ、細菌、真菌、アメーバ、原生生物及び/又はウイルスのような病原体を殺し、その増殖を防止するか又は妨げることを示す。
【0135】
本発明の組成物を使用して殺菌されることができる物体の例は、限定されないが、カテーテル(例えば血管カテーテル、導尿カテーテル、腹膜カテーテル、硬膜外カテーテル及び中枢神経系カテーテル)、チューブ(例えば腎瘻チューブ及び気管内チューブ)、ステント、矯正装置、人工弁、及び医療移植片を含む。他の例は、床、テーブル面、カウンター甲板、治療器具、車いす、ガーゼ及び綿のような無機表面を含む。
【0136】
このような物体は、ある時間、本発明の組成物と接触される(例えば室温で1分間)。しかしながら、本発明の組成物は、物体が必要により殺菌組成物の存在下で加熱されるように、それらの殺菌性を高温(例えば50℃)で保持するべきである。
【0137】
殺菌効果を改良するために、殺菌剤又はクリーニング剤(例えば磨き粉、洗剤又は研磨剤)のような他の薬剤を使用することができる。殺菌組成物が非動物用途のためであるとき、殺菌剤は毒剤又は非毒剤であることができる。毒性殺菌剤の例は、限定されないが、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンを含む。非毒剤の例は上で詳述される。
【0138】
あるいは、本発明の組成物は、個体の身体表面を消毒するために使用されることができる。これは、本発明の組成物のある量をその必要性のある個体の身体表面に与えることによって実施されることができる。
【0139】
消毒を改良するために、方法はさらに、上で詳述したような殺菌剤又は他の治療剤のような他の薬剤を与えることを含む。
【0140】
本発明で使用される用語「身体表面」は皮膚、歯又は粘膜(例えば口の内側を覆う粘膜)を示す。好ましくは、本発明の組成物はこれらの身体表面を横断して血液の循環に入らない。
【0141】
本明細書で使用される用語「個体」は人又は動物対象(即ち、死んでいる又は生きている個体)を示す。
【0142】
本発明の殺菌組成物はまた、他の生理的に許容可能な担体を含んでもよい。さらに、本発明の担体組成物はまた、賦形剤又は助剤を含んでもよい。
【0143】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプンのタイプ、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0144】
薬物の配合および投与のための様々な技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0145】
好ましくは、本発明の殺菌組成物は局所的に適用され、例えば皮膚上に置かれたり、口の中で洗浄されたり、又はのどに入れたりされる。
【0146】
本発明の殺菌組成物は、業界で周知の方法、例えば通常の混合、溶解、整粒、糖衣錠製造、磨砕、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥工程によって製造されてもよい。ナノ構造及び液体の製造は上に記載される。
【0147】
本発明に従って使用するための殺菌組成物は従来の方法で配合されてもよい。適切な配合は、意図される用途に依存する。
【0148】
例えば、本発明の殺菌組成物は、口腔を消毒するために配合されてもよく、従って故意に飲み込まない限り、いかなる経口投与として配合されてもよい。経口投与の例は、限定されないが、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、カプセル及びトローチ剤を含む。
【0149】
本発明の殺菌組成物はまた、局所又は粘膜投与形態として配合されてもよい。局所又は粘膜投与形態の例は、クリーム、スプレー、ワイプ、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルを含む。
【0150】
殺菌組成物は、少なくとも1容量%の担体組成物を含む液体として配合されてもよい。あるいは、殺菌組成物は、最大0.258グラム/100mlの担体組成物を含む固体又は半固体として配合されてもよい。
【0151】
経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して、作製されることができる。好適な賦形剤には、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーがある。所望する場合には、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0152】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料を、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0153】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性成分を好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
【0154】
本発明による使用のための活性成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達され得る。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位が、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定され得る。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0155】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、活性成分が、その意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果的な量は、消毒するのに効果的である活性成分(殺菌剤)の量を意味する。
【0156】
治療効果的な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な説明に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0157】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量または用量は、最初はインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイから推定されることができる。例えば、用量は、所望の濃度または滴定量を得るために動物モデルにおいて配合されることが可能である。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0158】
本明細書中に記載される活性成分の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における、インビトロでの標準的な薬学的手法によって、明らかにすることができる。これらのインビトロでの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する投薬量範囲を決定するために使用されることができる。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(Fingl他、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照)。
【0159】
投薬量および投薬間隔は、活性成分の血漿中レベルまたは脳中レベルが生物学的効果を誘導または抑制するために十分であるように個々に調節することができる(最小有効濃度、MEC)。MECは、それぞれの調製物について変化するが、インビトロデータから推定されることができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個体の特徴、および、投与経路に依存する。検出アッセイを、血漿中濃度を求めるために使用することができる。
【0160】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回の局所投与で行うことができ、この場合、処置期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
【0161】
局所的に投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
【0162】
本発明の組成物は、所望されるならば、活性成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用担体に配合された本発明の調製物を含む医薬組成物はまた、適切な容器に入れられ、指示される状態の処置のために標識されて調製されることができる。
【0163】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになるだろう。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0164】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0165】
本明細書で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子、生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は、当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0166】
実施例1
液体及びナノ構造における殺菌活性剤の分散
殺菌組成物(チモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)を含むストリップを、液体及びナノ構造と、逆浸透水の両方に溶解し、それらの溶媒特性を比較した。
【0167】
材料及び実験方法
材料:Neowater(登録商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)、逆浸透(RO)水、Listerine(登録商標)(Pocket Pak)ストリップ(Pfizer Consumer Healthcare,New Jersey)。
【0168】
方法:殺菌組成物を含むストリップを包装から取り出し、半分に切断した。それぞれの半分を、5mlの液体及びナノ構造又はRO水のいずれかを有するバイアルに置いた。両バイアルを数秒間十分に攪拌し、数分間静止した。ストリップの半分が十分に溶解されることを確実にするために瓶を視覚的に検査した。ODは、USB2000分光光度計(走査180〜185nm)を使用してt=0及びt=2時間で測定された。
【0169】
結果
2時間のインキュベーション後、ストリップに存在する殺菌組成物は、時間の経過とともに微細なミセルを作り、高いCD信号及び右への曲線シフト(図1A〜B)によって見られるようにRO水と比較すると液体及びナノ構造においてより多く分散していた。さらに、RO水と異なり、液体及びナノ構造では明らかな相分離は全くなかった。
【0170】
明確化のために別々の実施態様の文脈で記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施態様で組み合わせて与えられてもよいことが認識される。逆に簡単のために単一の実施態様の文脈で記載されている本発明の種々の特徴は別々に又はいかなる好適なサブコンビネーションで与えられてもよい。
【0171】
実施例2
超音波試験
本発明の組成物を超音波共振器における一連の超音波試験に供す。
【0172】
方法
本発明の担体組成物(本実施例ではNeowater(商標)として示される)および2回蒸留水における超音波速度の測定を、ResoScan(登録商標)研究システム(TF Instruments、Heidelberg、ドイツ)を使用して行った。
【0173】
校正
ResoScan(登録商標)研究システムの両方のセルを、0.005%のTween20が補充された標準水(脱塩水、Roth.Art.3175.2、Charge:03569036)で満たし、20℃での等温測定の期間中に測定した。両方のセルの間における超音波速度の差を、本明細書中下記でさらに詳述されるような等温測定におけるゼロ値として使用した。
【0174】
等温測定
ResoScan(登録商標)研究システムのセル1を参照として使用し、蒸留水(Roth Art.34781、ロット#48362077)で満たした。セル2を本発明の担体組成物で満たした。絶対値の超音波速度を20℃で測定した。実験値の比較を可能にするために、超音波速度を20.000℃に補正した。
【0175】
結果
図2は、20.051℃で測定されたときの、観測時間の関数としての絶対値の超音波速度Uを本発明の担体組成物(U2)および蒸留水(U1)について示す。両方のサンプルが観測の時間枠(35分)において安定な等温速度を示した。
【0176】
下記の表1には、測定された超音波速度(U1、U2)および20℃へのそれらの補正をまとめる。補正を、蒸留水については1℃あたり3m/sの温度−速度補正を使用して計算した。
【0177】
図2および表1に示されるように、蒸留水と、本発明の担体組成物との間における差が等温測定によって認められた。差ΔU=U2−U1が、20.051℃の温度では15.68cm/sであり、20℃の温度では13.61cm/sであった。ΔUの値は、ResoScan(登録商標)システムのどのノイズシグナルよりも著しく大きい。結果が第2のResoScan(登録商標)研究システムで繰り返された。
【0178】
実施例3
液体及びナノ構造の疎水性
本発明の組成物を一連の試験に供し、それが疎水性を有するかどうかを決定した。
【0179】
材料及び実験方法
材料:Neowater(登録商標)(Do−Coop technologies,イスラエル);着色剤フェノールブロマイドブルー(Sigma−Aldrich)。
【0180】
プラスチック装置:疎水性プラスチック樹脂(所有権のある樹脂、MicroWebFab、ドイツ製造)から作られた上部及び下部室を含む装置が構成された。上部及び下部室は、疎水性毛管チャネルとして作用する極めて狭いチャネルが四つの上部室を単一の下部室と相互接続するように、成形された。これらの疎水性毛管チャネルは典型的な膜又は他の生物バリヤをシミュレートする(図3)。
【0181】
方法:カラー混合物は本発明の液体組成物と又は水と、1:1の希釈度で希釈された。本発明の液体組成物の一つの10マイクロリットルの小滴+カラー組成物を第一プラスチック装置の四つの上部室に入れ、一方平行して本発明の液体組成物の一つの500マイクロリットルの小滴を上部室のすぐ上の下部室に入れた。同様に、水の一つの10マイクロリットルの小滴+カラー組成物を第二プラスチック装置の四つの上部室に入れ、一方平行して水の一つの500マイクロリットルの小滴を上部室のすぐ上の下部室に入れた。各プラスチック装置における色素の位置は、小滴を入れた15分後に分析された。
【0182】
結果
水及びカラー混合物を含むプラスチック装置の下部室はクリアであるが(図4A)、本発明の液体組成物及びカラー混合物を含むプラスチック装置の下部室は薄い青色を示す(図4B)。
【0183】
結論
本発明の液体組成物は、それが疎水性毛管を通って流れることができるように、疎水性を有する。
【0184】
実施例4
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0185】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0186】
結果
表2には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0187】
図5および表2に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0188】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0189】
実施例5
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0190】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0191】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図6A〜Cおよび図7A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図8A〜Cおよび図9に示す。
【0192】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大した。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0193】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0194】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであるが、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0195】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0196】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0197】
結果
図10A〜Cおよび図11A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0198】
実施例7
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0199】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0200】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0201】
実験を三連で行った。
【0202】
結果
図12A〜Cおよび図13から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0203】
実施例8
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0204】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0205】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0206】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0207】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0208】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0209】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0210】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0211】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した:
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0212】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0213】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0214】
結果
図14A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図14A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0215】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図15A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図15B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図15C)。
【0216】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0217】
実施例9
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0218】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0219】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0220】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0221】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0222】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部でに漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0223】
分光光度計での測定(図16)は、アセトンの存在下および不在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0224】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0225】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0226】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0227】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0228】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0229】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0230】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0231】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0232】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図17)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図18)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0233】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0234】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0235】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図19)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0236】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0237】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0238】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0239】
結果
分光光度計での測定が図20に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0240】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0241】
実施例10
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0242】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0243】
結果
エタノールの存在下および不在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図21A〜Dに示す。
【0244】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0245】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0246】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0247】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0248】
図22に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0249】
実施例11
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0250】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0251】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で成長させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0252】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図23A〜Gに示す。図24A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0253】
実施例12
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0254】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0255】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0256】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0257】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0258】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図25を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図26に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0259】
実施例13
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0260】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0261】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図27A〜B)。
【0262】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0263】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0264】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0265】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図28A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図29A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図30A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図31A〜Cに示す。
【0266】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0267】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにしても、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0268】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0269】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0270】
結果
図32A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図33は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0271】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図33)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0272】
実施例14
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0273】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図34A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図34B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0274】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図35A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0275】
実施例15
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0276】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で成長させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0277】
結果
タキソールは、図36A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図37に示す。
【0278】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0279】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0280】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0281】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0282】
結果
図38A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む担体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0283】
実施例17
ナノ構造を含む担体の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む担体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0284】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む担体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0285】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0286】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0287】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0288】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0289】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0290】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0291】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0292】
結果
図39に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0293】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0294】
【図1】二時間のインキュベーション期間後の増大する波長での本発明の液体組成物における殺菌組成物の吸収(図1A)と逆浸透水における殺菌組成物の吸収(図1B)を比較するグラフである。
【図2】観察時間の関数として本発明の液体組成物における絶対超音波速度の等温測定の結果を示す。
【図3】毛管チャネルを介して四つの上部チャネルと一つの下部チャネルを含むプラスチック装置の写真である。
【図4】上部チャネルに色素及び希釈剤を添加した後のプラスチック装置の写真である。
【図5】557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図6】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである(図6a〜図6c)。
【図7】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる(図7a〜図7c)。
【図8】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである(図8a〜図8c)。
【図9】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図10】557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図10a)および水酸化ナトリウム滴定(図10b〜図10c)を例示するグラフである。
【図11】ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11a)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11b)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図12】RF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12a)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12b)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12c)である。矢印は2回目の照射を示す。
【図13】RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図14A.B.F.G】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図14C.D.H.I】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図14E.J】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図15a】ナノドロップで測定されたときの、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図15b】ナノドロップで測定されたときの、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図15c】ナノドロップで測定されたときの、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図16】バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図17】Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図18】Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図19】CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図20】t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図21】200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図22】エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図23A−D】Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。
【図23E−G】Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。
【図24A−D】クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図24E−G】クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図25】エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図26】ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図27】試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である(図27a〜図27b)。
【図28】加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28c)の写真である。
【図29】加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図29a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図29b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図29c)の写真である。
【図30】加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図30a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図30b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図30c)の写真である。
【図31】加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図31a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図31b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図31c)の写真である。
【図32】Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図32a)、振とう後30分の写真(図32b)、振とう後60分の写真(図32c)および振とう後120分の写真(図32d)である。
【図33】分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図34】分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図34a)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図34b)である。
【図35】分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図35a)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図35b)である。
【図36】分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36a)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36b)である。
【図37】293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図38】2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である(図38a〜図38b)。
【図39】2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な殺菌組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染は、例えば健康管理のような、衛生条件が重要である多くの分野において重大な問題である。問題のある感染は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルス生物から起こりうる。感染を防止すること、及びいったん感染したら感染を減らすか又は除去することの両方に対して挑戦がなされている。感染された環境は、物体の表面、流体及び流体管、及び/又は人及び動物のような生物学的環境を含みうる。
【0003】
殺菌剤は、身体の外部表面上の微生物を殺すか又はその増殖を阻止する。一般的な殺菌剤は、アルコール、沃素、過酸化水素及び硼酸を含む。殺菌剤の微生物破壊能力や生体組織に対するそれらの効果には大きな変動がある。例えば、塩化第二水銀は強力な殺菌剤であるが、それはデリケートな組織を刺激する。逆に、硝酸銀はそれより少ない菌しか殺さないが、目やのどのデリケートな組織上で使用されることができる。また、作用される殺菌剤が異なれば必要な時間にも大きな差異がある。沃素は、最も速く作用する殺菌剤であり、30秒以内に細菌を殺す。他の殺菌剤は遅く作用し、残留作用が大きい。
【0004】
殺菌剤は、外科的介入の前、注射及び穿刺の前、及び中空器官の検査前に、皮膚又は粘膜が消毒されなければならないときに使用される。さらに、殺菌剤はまた、創傷治療(外科創傷、慢性創傷、火傷、咬創、切創及び外傷性創傷)のために、そして局所的な表皮感染(例えば真菌感染)の治療のために使用される。殺菌剤を含有する溶液は、うがい薬の形で虫歯予防のために使用されてもよい。洗浄(例えば膀胱及び腹部洗浄)がまた、殺菌剤の存在下で作用される。特別な適用領域は、予防的、術前及び治療的眼科殺菌剤、上顎外科的介入及び抜歯の前及び首及び咽頭腔における感染における口腔の殺菌剤を含む。
【0005】
外科的手洗い消毒、術前皮膚製剤及び殺菌手洗い消毒液のような皮膚適用に使用するためのアルコールベースの殺菌剤は、良く知られており、それらの高い効果とそれらが微生物を殺菌するスピード、並びにそれらの非細胞毒性のために幅広く使用されている。60〜95容量%のエタノール又はイソプロパノールを含有するアルコール含有配合物は、外科用手洗い消毒として、術前皮膚製剤に、医療従事者の手洗い消毒液及び手を消毒するための殺菌手洗い消毒液として、及び侵襲性の医療処置の部位の局所的な皮膚消毒のために使用されることが多い。このような組成物の効果は、抗菌性の活性成分であるアルコールの迅速な蒸発のために短い期間である。このような配合物の使用から生じる他の制限は、それらの低い粘度及び水のような性質による皮膚乾燥及び適用困難性を含む。それゆえ、外科的手洗い消毒のような継続した抗菌効果(持続性)を要求する用途におけるそれらの使用は、それらの高い蒸気圧(それは適用時に迅速な蒸発を起こす)によって制限されている。従って、皮膚に適用されるとき、アルコール濃度の迅速な低下は、蒸発損失のために、微生物、特に細菌との薬剤の接触時間を制限する。
【0006】
殺菌性のうがい薬は、数世紀にわたって広範に使用され、プラーク、歯肉炎及び口臭の原因となる口腔内の細菌を殺すように作用する。Listerine(登録商標)(Pfizer社)のようなうがい薬は、チモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトールの活性成分を極めて微小な量で含む。理論に拘束されないが、Listerine(登録商標)のような殺菌性うがい薬の効果と味はこれらの四つの活性成分の有用性及び溶解性のためであると思われる。溶解性はまた、透明なコハク色のうがい薬溶液が曇った又は濁った又は不均一なものより消費者に確実に好まれるという美的観点から重要である。Listerine(登録商標)を含む多くのうがい薬では、エタノールが溶媒として使用されている。エタノールは21〜26%w/vの濃度で存在するので、それはうがい薬の殺菌能力に貢献する。
【0007】
アルコール含有うがい薬は、それらが使用者の口の中でヒリヒリ又は刺激効果を起こし、さらに口及びのどを癌にかかりやすくするので、欠点である(Weaverら.,J Oral Surg.1979 Apr;37(4):250−3;J Zunt et al.,Indiana Dent Assoc.1991 Nov−Dec;70(6):l6−9)。さらに、アルコール含有うがい薬は、生理的、心理的、社会的又は仕事関連の理由のために、アルコールを使用できないか又は使用すべきでない人を含む使用者に対して問題となりうる。アルコールは舌下で吸収される。うがい薬は吐き出されるべきであるが、アルコール依存者はうがい薬を含むアルコール含有物質の乱用者になりやすいことが立証されている。
【0008】
化学療法を受けている患者は、微少量のアルコールであっても摂取すべきでないことは知られている。化学療法は、耳下腺に不十分な量の唾液及び口の乾燥を生じさせる。アルコール含有うがい薬の使用はこの問題を悪化させる。それゆえ、アルコールを含有しないうがい薬で洗浄することは、これらの患者の歯科治療の助けとなるだろう。
【0009】
従って、上述の制限のない殺菌組成物に対する必要性が幅広く認識されており、かかる組成物を持つことは極めて有利であるだろう。
【発明の開示】
【0010】
本発明の一態様によれば、少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ナノ構造及び液体を含む組成物の殺菌効果量をその必要性のある個体に与え、それによって個体の身体表面を消毒することを含む、個体の身体表面を消毒する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、ナノ構造及び液体を含む組成物と物体を接触し、それによって物体を殺菌することを含む、物体を殺菌する方法が提供される。
【0013】
以下に記載される本発明の好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は少なくとも一種の殺菌剤をさらに含む。
【0014】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造は、液体の整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、コア材料、及び整列した流体分子のエンベロープは定常的な物理的状態にある。
【0015】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、流体分子は、少なくとも二種の均一流体組成物を含む不均一流体組成物を含み、液体は少なくとも二種の均一流体組成物のうちの少なくとも一種と同一である。
【0016】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、流体分子はガス状状態にある。
【0017】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は1リットルあたり1020個未満である。
【0018】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は1リットルあたり1015個未満である。
【0019】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はクラスターを形成することができる。
【0020】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はそれらの間での遠距離の相互作用を維持することができる。
【0021】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、コア材料は、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質からなる群から選択される。
【0022】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、コア材料は結晶性コア材料である。
【0023】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、液体は水である。
【0024】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造の各々は、液体の比重より低いか又はそれに等しい比重によって特徴づけられる。
【0025】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる。
【0026】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、組成物は、水の緩衝能力より大きい緩衝能力を含む。
【0027】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、ナノ構造はハイドロキシアパタイトから配合される。
【0028】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は液体組成物として配合される。
【0029】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、液体組成物は少なくとも1容量%の担体組成物を含む。
【0030】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は固体組成物として配合される。
【0031】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの担体組成物を含む。
【0032】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は経口投与形態として配合される。
【0033】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、経口投与形態は、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、トローチ剤及びカプセルからなる群から選択される。
【0034】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は局所又は粘膜投与形態として配合される。
【0035】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、局所又は粘膜投与形態は、クリーム、スプレー、ワイプ(wipe)、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルからなる群から選択される。
【0036】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌組成物は20容量%未満のアルコールを含む。
【0037】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤である。
【0038】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、経口的に非毒性の殺菌剤は、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、クロルヘキシジングルコネート、クロロブタノールヘミハイドレート、フェノール、オイカリプトールからなる群から選択される。
【0039】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、少なくとも一種の殺菌剤は、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア及びフェノール化合物からなる群から選択される。
【0040】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、一価アルコールは、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される。
【0041】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、金属化合物は、硝酸銀及びスルファジアジン銀からなる群から選択される。
【0042】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、四級アンモニウム化合物は、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)アンモニウムからなる群から選択される。
【0043】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、フェノール化合物は、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールからなる群から選択される。
【0044】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、身体表面は皮膚、歯又は粘膜である。
【0045】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、殺菌剤は毒剤である。
【0046】
記載される好ましい実施態様におけるさらなる特徴によれば、毒剤は、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンからなる群から選択される。
【0047】
本発明は、新規な殺菌組成物及びそれを使用する方法を提供することによって現在公知の構成の欠点を首尾よく対処する。
【0048】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0049】
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し添付図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0050】
図1A〜Bは二時間のインキュベーション期間後の増大する波長での本発明の液体組成物における殺菌組成物の吸収(図1A)と逆浸透水における殺菌組成物の吸収(図1B)を比較するグラフである。
【0051】
図2は観察時間の関数として本発明の液体組成物における絶対超音波速度の等温測定の結果を示す。
【0052】
図3は毛管チャネルを介して四つの上部チャネルと一つの下部チャネルを含むプラスチック装置の写真である。
【0053】
図4A〜Bは上部チャネルに色素及び希釈剤を添加した後のプラスチック装置の写真である。図4Aは設置後15分では希釈剤が水であるときに毛管を介して上部チャネルから下部チャネルへの移動が全くないことを示す。図4Bは設置後15分では希釈剤が本発明の液体組成物であるときに毛管を介して上部チャネルから下部チャネルへの移動があることを示す。
【0054】
図5は557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【0055】
図6A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【0056】
図7A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【0057】
図8A〜CはpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【0058】
図9はpHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【0059】
図10A〜Cは557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図10A)および水酸化ナトリウム滴定(図10B〜図10C)を例示するグラフである。
【0060】
図11A〜BはROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【0061】
図12A〜CはRF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12A)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12B)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12C)である。矢印は2回目の照射を示す。
【0062】
図13はRO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【0063】
図14A〜Jは粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図14A〜図14Eは実施例8のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図14G〜図14Jは赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【0064】
図15A〜Cはナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図15Aは一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液を表す。図15Bは100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液を表し、図15CはEtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【0065】
図16はバイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【0066】
図17はNeowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【0067】
図18はNeowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【0068】
図19はCD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【0069】
図20はt−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【0070】
図21A〜Dは200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。図21Aはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール不在下でのAG−14Bのグラフである。図21Bはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール不在下でのAG−14Bのグラフである。図21Cはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール不在下でのAG−14Aのグラフである。図21Dはエタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール不在下でのAG−14Aのグラフである。
【0071】
図22はエタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【0072】
図23A〜GはNeowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図23AはNeowater(商標)に溶解されたペプチドXのグラフである。図23BはNeowater(商標)に溶解されたX−5FUのグラフである。図23CはNeowater(商標)に溶解されたNLS−Eのグラフである。図23DはNeowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)のグラフである。図23EはNeowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2のグラフである。図23FはNeowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHのグラフである。図23GはNeowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKのグラフである。
【0073】
図24A〜Gはクリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図24AはNeowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用のグラフである。図24BはNeowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用のグラフである。図24CはNeowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用のグラフである。図24DはNeowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用のグラフである。図24EはNeowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用のグラフである。図24FはNeowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用のグラフである。図24GはNeowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用のグラフである
【0074】
図25はエタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【0075】
図26はろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【0076】
図27A〜Bは試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図27Aは24時間放置された試験チューブを例示し、図27Bは48時間放置された試験チューブを例示する。
【0077】
図28A〜Cは加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【0078】
図29A〜Cは加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図29A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図29B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図29C)の写真である。
【0079】
図30A〜Cは加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図30A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図30B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図30C)の写真である。
【0080】
図31A〜Cは加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図31A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図31B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図31C)の写真である。
【0081】
図32A〜DはNeowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図32A)、振とう後30分の写真(図32B)、振とう後60分の写真(図32C)および振とう後120分の写真(図32D)である。
【0082】
図33は分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【0083】
図34A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図34A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図34B)である。
【0084】
図35A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図35A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図35B)である。
【0085】
図36A〜Bは分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36B)である。
【0086】
図37は293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【0087】
図38A〜Bは2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【0088】
図39は2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0089】
本発明は、新規な殺菌組成物及びそれを使用する方法である。
【0090】
特に、本発明は、身体の表面(例えば口、うがい薬として)又は物体を殺菌するために使用されることができる。
【0091】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。
【0092】
殺菌剤は、皮膚又は粘膜が消毒されなければならないとき、外科的介入前、注射、穿刺前、及び中空器官の検査前の適用を含む種々の目的のために使用されることができる。さらに、殺菌剤はまた、創傷治療のため、及び局所的な表皮感染(例えば真菌感染)の治療のために使用される。殺菌剤を含有する溶液は、うがい薬の形で虫歯予防のために使用されることができる。
【0093】
うがい薬は、プラーク、歯肉炎及び口臭の原因となる口腔内の細菌を殺すために有用である。大多数のうがい薬では、エタノールが溶媒として使用される。アルコール含有うがい薬は、それらが使用者の口の中でヒリヒリ又は刺激効果を起こし、さらに口の癌にかかりやすくすると考えられているので、不利である。さらに、アルコール含有うがい薬は、生理的(例えば化学療法を受けている患者)、心理的、社会的又は仕事関連の理由のためにアルコールを使用できないか又は使用すべきでない人を含む幾らかの使用者に対しては問題となりうる。それゆえ、上記の制限のない新規な殺菌組成物を持つことが極めて望ましい。
【0094】
本発明を実施に移しているとき、本発明者は、(米国特許出願No.60/545955及び10/865955並びに国際特許出願公開No.WO 2005/079153のような)ナノ構造を含む組成物が身体の表面もしくは物体自体を消毒するために又は殺菌剤のための担体として使用されるときに使用されることができることを発見した。
【0095】
以下に立証するように、そして後述する実施例の欄で述べたように、本発明者は、本発明の担体組成物がうがい薬の活性成分(例えばチモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)のための溶媒として効果的であることを示した。図1a−bに示されるように、殺菌活性剤は経時的に微細なミセルを作り、高い光学濃度(OD)信号及び右への曲線のシフトによって見られるように逆浸透(RO)水と比較すると本発明の担体組成物における分散が大きい。殺菌性うがい薬の効果及び味は、それらの活性成分(例えばチモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)の利用性又は溶解性によるので、本発明の担体組成物は、うがい薬に含まれる活性成分のための効果的な溶媒でありうる。さらに、本発明の組成物は、分散のために追加のアルコールが全く要求されないので、アルコールを含有しないようにすることができる。それゆえ、本発明の組成物は、溶媒としてアルコールの代替物として使用されることができる。
【0096】
従って、本発明の一態様によれば、少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物が提供される。
【0097】
本明細書で使用される用語「殺菌組成物(antiseptic composition)」は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルスのような病原体に対して細胞増殖抑制性又は細胞傷害性である、固体、半固体又は液体組成物に関する。好ましくは、本発明のこの態様の殺菌組成物は20%w/v以下のアルコールを含み、好ましくは(上に記載された理由のために)アルコールを含有しない。
【0098】
本明細書で使用される用語「担体組成物」は、殺菌組成物、例えば殺菌剤の活性成分を分散/溶解する液体組成物に関する。好ましくは、担体組成物は、生物の身体表面に付与されるときに有意な刺激を生じず、溶解された殺菌剤の生物活性及び特性を無効にしない。
【0099】
担体組成物はまた、殺菌特性を持ってもよい。
【0100】
本明細書で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートル又はサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートル又はそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、又は数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施態様のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、又は一つ以上のナノ粒子及び一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0101】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0102】
本発明のこの態様による一つの好ましい実施態様によれば、担体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、整列した流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような担体組成物は、本発明者の米国特許出願No.60/545955及び10/865955、並びに国際特許出願公開No.WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0103】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転又は再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性又は強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0104】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0105】
本明細書で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0106】
本明細書で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0107】
好ましくは、エンベロープの流体分子は担体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、担体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0108】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施態様のナノ構造は、液体の比重より低いか又はそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0109】
流体分子は液体状態又はガス状状態(気体状態)又はそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0110】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、担体液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0111】
ナノ構造の長距離の相互作用は本発明者によって証明されている(後述する実施例の欄中の実施例2参照)。本実施態様の担体組成物は温度変化を受け、超音波速度に対する温度変化の影響が調査された。当業者によって認識されているように、超音波速度は組成物中のナノ構造間の相互作用に関係される。後述する実施例の欄において示されているように、本発明の担体組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる。
【0112】
理論に拘束されないが、ナノ構造間の長距離の相互作用は担体組成物の独自の特性を与えると考えられる。一つのこのような特徴は、後述する実施例の欄の実施例1及び実施例8〜15に示すように、本発明の担体組成物が一般に薬剤を、特にストリップに存在する殺菌剤を水より大きい程度で溶解又は分散できることである。別の特徴は、後述する実施例の欄の実施例3に示すように、担体組成物はまた、疎水性膜を通る殺菌剤の透過を増強しうることである。担体組成物はまた、安定する環境を与えることによって薬剤の殺菌性を増強しうる。従って、例えば、本発明者は、担体組成物が熱の影響からタンパク質を遮蔽及び安定化し(実施例16及び17);増強された緩衝能力(即ち、水の緩衝能力より大きい)を含む(実施例4〜7)ことを示した。
【0113】
本明細書で使用される「緩衝能力」は、酸又は塩基が加えられると安定可能なpHを安定に維持する組成物の能力を示す。
【0114】
担体組成物の殺菌性は、組成物が特定の物質、特に上咽頭に典型的に存在する特定の生物物質(例えば真核性真菌、原生生物、メタン生成アーキア又は細菌)に接触するときに発現されるか又は高められることを本発明者によって見出された。他方、このような物質の存在なしでは殺菌性は全く観察されなかった。従って、本実施態様の担体組成物は、特定の生物物質が殺菌工程に対する「プライマー」として作用するという意味で、休眠中の殺菌性を持つ。
【0115】
本発明のこの態様によるナノ構造の製造は、「トップダウン」工程を使用して実施されてもよい。この工程は下記の方法工程を含み、そこでは固体粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末、又は合成ポリマー)が十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越える温度に加熱される。
【0116】
考えられる固体粉末の例は、限定されないが、BaTiO3,WO3及びBa2F9O12を含む。予期せぬことに、本発明者はまた、ハイドロキシアパタイト(HA)が本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0117】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,Aldrich及びClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0118】
表2に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0119】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃又は2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体及び粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上のものによって照射され、それは連続波RF放射線又は変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0120】
上で述べたように、本発明のこの態様の殺菌組成物は少なくとも一種の殺菌剤を含む。
【0121】
本明細書で使用される用語「殺菌剤」は、細菌、真菌、アメーバ、原生動物及び/又はウイルスのような病原体に対して細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性である薬剤を示す。
【0122】
本発明の殺菌組成物の殺菌剤は本発明の殺菌組成物の意図される用途に従って選択される。
【0123】
好ましくは、殺菌剤は、適度に長い保管寿命(例えば2年)にわたって安定であり、好ましくは、それは、実体性、即ち薬剤と薬剤がその効果を誘発する微生物の間の長い接触時間を持つべきである。
【0124】
従って、例えば、殺菌組成物が生物投与のために使用されるとき、殺菌剤は非毒性殺菌剤であることが好ましい。例えば、うがい薬として使用されるとき、本発明のこの態様の殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤であることが好ましい。
【0125】
本明細書で使用される用語「経口的に非毒性の殺菌剤」は、その推奨される用量で、そしてそれが指示されるように投与されるとき、安全である(即ち、望ましくない副作用を起こさない)、殺菌剤を示す。例えば、もしうがい薬に使用されるなら、経口的に非毒性の殺菌剤は、殺菌剤の一部が口の中で洗浄されているときに洗浄しながらのみ込まれたとしても、非毒性であるべきである。本発明の経口殺菌組成物は、虫歯、歯周炎、歯芽感染、膿瘍及び歯周病のような口腔病の治療及び/又は予防のために使用されることができる。
【0126】
経口的に非毒性の殺菌剤は、限定されないが、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルブタノールヘミハイドレート、フェノール及びオイカリプトールを含む。
【0127】
本発明によって使用されうる他の殺菌剤は、限定されないが、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア又はフェノール化合物を含む。
【0128】
本発明のこの態様に従って使用されうる一価アルコールの例は、限定されないが、エタノール及びイソプロパノールを含む。
【0129】
本発明のこの態様に従って使用されうる金属化合物の例は、限定されないが、硝酸銀及びスルファジアジン銀を含む。
【0130】
本発明のこの態様に従って使用されうる四級アンモニウム化合物の例は、限定されないが、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)を含む。
【0131】
本発明のこの態様に従って使用されうるフェノール化合物の例は、限定されないが、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールを含む。
【0132】
殺菌組成物はまた、対象に対して有益でありうる他の薬剤を含んでもよい。例えば、抗生物質、又は口内洗浄剤の場合には組成物はまた、塩化亜鉛及びフッ化亜鉛の誘導体のような歯科治療のために有用な他の薬剤を含んでもよい。
【0133】
上述したように、上記の本発明の組成物(即ち、担体組成物及び/又は殺菌組成物)は殺菌性によって特徴づけられ、従って物体及び身体の表面を消毒又は殺菌するために使用されることができる。
【0134】
用語「殺菌(滅菌)」及び「消毒」は、交換可能に使用されることができ、細菌、真菌、アメーバ、原生生物及び/又はウイルスのような病原体を殺し、その増殖を防止するか又は妨げることを示す。
【0135】
本発明の組成物を使用して殺菌されることができる物体の例は、限定されないが、カテーテル(例えば血管カテーテル、導尿カテーテル、腹膜カテーテル、硬膜外カテーテル及び中枢神経系カテーテル)、チューブ(例えば腎瘻チューブ及び気管内チューブ)、ステント、矯正装置、人工弁、及び医療移植片を含む。他の例は、床、テーブル面、カウンター甲板、治療器具、車いす、ガーゼ及び綿のような無機表面を含む。
【0136】
このような物体は、ある時間、本発明の組成物と接触される(例えば室温で1分間)。しかしながら、本発明の組成物は、物体が必要により殺菌組成物の存在下で加熱されるように、それらの殺菌性を高温(例えば50℃)で保持するべきである。
【0137】
殺菌効果を改良するために、殺菌剤又はクリーニング剤(例えば磨き粉、洗剤又は研磨剤)のような他の薬剤を使用することができる。殺菌組成物が非動物用途のためであるとき、殺菌剤は毒剤又は非毒剤であることができる。毒性殺菌剤の例は、限定されないが、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンを含む。非毒剤の例は上で詳述される。
【0138】
あるいは、本発明の組成物は、個体の身体表面を消毒するために使用されることができる。これは、本発明の組成物のある量をその必要性のある個体の身体表面に与えることによって実施されることができる。
【0139】
消毒を改良するために、方法はさらに、上で詳述したような殺菌剤又は他の治療剤のような他の薬剤を与えることを含む。
【0140】
本発明で使用される用語「身体表面」は皮膚、歯又は粘膜(例えば口の内側を覆う粘膜)を示す。好ましくは、本発明の組成物はこれらの身体表面を横断して血液の循環に入らない。
【0141】
本明細書で使用される用語「個体」は人又は動物対象(即ち、死んでいる又は生きている個体)を示す。
【0142】
本発明の殺菌組成物はまた、他の生理的に許容可能な担体を含んでもよい。さらに、本発明の担体組成物はまた、賦形剤又は助剤を含んでもよい。
【0143】
本明細書中において、用語「賦形剤」は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプンのタイプ、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0144】
薬物の配合および投与のための様々な技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0145】
好ましくは、本発明の殺菌組成物は局所的に適用され、例えば皮膚上に置かれたり、口の中で洗浄されたり、又はのどに入れたりされる。
【0146】
本発明の殺菌組成物は、業界で周知の方法、例えば通常の混合、溶解、整粒、糖衣錠製造、磨砕、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥工程によって製造されてもよい。ナノ構造及び液体の製造は上に記載される。
【0147】
本発明に従って使用するための殺菌組成物は従来の方法で配合されてもよい。適切な配合は、意図される用途に依存する。
【0148】
例えば、本発明の殺菌組成物は、口腔を消毒するために配合されてもよく、従って故意に飲み込まない限り、いかなる経口投与として配合されてもよい。経口投与の例は、限定されないが、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、カプセル及びトローチ剤を含む。
【0149】
本発明の殺菌組成物はまた、局所又は粘膜投与形態として配合されてもよい。局所又は粘膜投与形態の例は、クリーム、スプレー、ワイプ、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルを含む。
【0150】
殺菌組成物は、少なくとも1容量%の担体組成物を含む液体として配合されてもよい。あるいは、殺菌組成物は、最大0.258グラム/100mlの担体組成物を含む固体又は半固体として配合されてもよい。
【0151】
経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して、作製されることができる。好適な賦形剤には、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーがある。所望する場合には、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0152】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料を、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0153】
経口使用され得る医薬組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性成分を好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
【0154】
本発明による使用のための活性成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達され得る。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位が、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定され得る。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0155】
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物には、活性成分が、その意図された目的を達成するために効果的な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、治療効果的な量は、消毒するのに効果的である活性成分(殺菌剤)の量を意味する。
【0156】
治療効果的な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な説明に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0157】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量または用量は、最初はインビトロアッセイおよび細胞培養アッセイから推定されることができる。例えば、用量は、所望の濃度または滴定量を得るために動物モデルにおいて配合されることが可能である。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用されることができる。
【0158】
本明細書中に記載される活性成分の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における、インビトロでの標準的な薬学的手法によって、明らかにすることができる。これらのインビトロでの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する投薬量範囲を決定するために使用されることができる。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(Fingl他、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照)。
【0159】
投薬量および投薬間隔は、活性成分の血漿中レベルまたは脳中レベルが生物学的効果を誘導または抑制するために十分であるように個々に調節することができる(最小有効濃度、MEC)。MECは、それぞれの調製物について変化するが、インビトロデータから推定されることができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個体の特徴、および、投与経路に依存する。検出アッセイを、血漿中濃度を求めるために使用することができる。
【0160】
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回の局所投与で行うことができ、この場合、処置期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
【0161】
局所的に投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
【0162】
本発明の組成物は、所望されるならば、活性成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用担体に配合された本発明の調製物を含む医薬組成物はまた、適切な容器に入れられ、指示される状態の処置のために標識されて調製されることができる。
【0163】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになるだろう。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0164】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0165】
本明細書で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子、生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は、当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0166】
実施例1
液体及びナノ構造における殺菌活性剤の分散
殺菌組成物(チモール、サリチル酸メチル、メントール及びオイカリプトール)を含むストリップを、液体及びナノ構造と、逆浸透水の両方に溶解し、それらの溶媒特性を比較した。
【0167】
材料及び実験方法
材料:Neowater(登録商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)、逆浸透(RO)水、Listerine(登録商標)(Pocket Pak)ストリップ(Pfizer Consumer Healthcare,New Jersey)。
【0168】
方法:殺菌組成物を含むストリップを包装から取り出し、半分に切断した。それぞれの半分を、5mlの液体及びナノ構造又はRO水のいずれかを有するバイアルに置いた。両バイアルを数秒間十分に攪拌し、数分間静止した。ストリップの半分が十分に溶解されることを確実にするために瓶を視覚的に検査した。ODは、USB2000分光光度計(走査180〜185nm)を使用してt=0及びt=2時間で測定された。
【0169】
結果
2時間のインキュベーション後、ストリップに存在する殺菌組成物は、時間の経過とともに微細なミセルを作り、高いCD信号及び右への曲線シフト(図1A〜B)によって見られるようにRO水と比較すると液体及びナノ構造においてより多く分散していた。さらに、RO水と異なり、液体及びナノ構造では明らかな相分離は全くなかった。
【0170】
明確化のために別々の実施態様の文脈で記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施態様で組み合わせて与えられてもよいことが認識される。逆に簡単のために単一の実施態様の文脈で記載されている本発明の種々の特徴は別々に又はいかなる好適なサブコンビネーションで与えられてもよい。
【0171】
実施例2
超音波試験
本発明の組成物を超音波共振器における一連の超音波試験に供す。
【0172】
方法
本発明の担体組成物(本実施例ではNeowater(商標)として示される)および2回蒸留水における超音波速度の測定を、ResoScan(登録商標)研究システム(TF Instruments、Heidelberg、ドイツ)を使用して行った。
【0173】
校正
ResoScan(登録商標)研究システムの両方のセルを、0.005%のTween20が補充された標準水(脱塩水、Roth.Art.3175.2、Charge:03569036)で満たし、20℃での等温測定の期間中に測定した。両方のセルの間における超音波速度の差を、本明細書中下記でさらに詳述されるような等温測定におけるゼロ値として使用した。
【0174】
等温測定
ResoScan(登録商標)研究システムのセル1を参照として使用し、蒸留水(Roth Art.34781、ロット#48362077)で満たした。セル2を本発明の担体組成物で満たした。絶対値の超音波速度を20℃で測定した。実験値の比較を可能にするために、超音波速度を20.000℃に補正した。
【0175】
結果
図2は、20.051℃で測定されたときの、観測時間の関数としての絶対値の超音波速度Uを本発明の担体組成物(U2)および蒸留水(U1)について示す。両方のサンプルが観測の時間枠(35分)において安定な等温速度を示した。
【0176】
下記の表1には、測定された超音波速度(U1、U2)および20℃へのそれらの補正をまとめる。補正を、蒸留水については1℃あたり3m/sの温度−速度補正を使用して計算した。
【0177】
図2および表1に示されるように、蒸留水と、本発明の担体組成物との間における差が等温測定によって認められた。差ΔU=U2−U1が、20.051℃の温度では15.68cm/sであり、20℃の温度では13.61cm/sであった。ΔUの値は、ResoScan(登録商標)システムのどのノイズシグナルよりも著しく大きい。結果が第2のResoScan(登録商標)研究システムで繰り返された。
【0178】
実施例3
液体及びナノ構造の疎水性
本発明の組成物を一連の試験に供し、それが疎水性を有するかどうかを決定した。
【0179】
材料及び実験方法
材料:Neowater(登録商標)(Do−Coop technologies,イスラエル);着色剤フェノールブロマイドブルー(Sigma−Aldrich)。
【0180】
プラスチック装置:疎水性プラスチック樹脂(所有権のある樹脂、MicroWebFab、ドイツ製造)から作られた上部及び下部室を含む装置が構成された。上部及び下部室は、疎水性毛管チャネルとして作用する極めて狭いチャネルが四つの上部室を単一の下部室と相互接続するように、成形された。これらの疎水性毛管チャネルは典型的な膜又は他の生物バリヤをシミュレートする(図3)。
【0181】
方法:カラー混合物は本発明の液体組成物と又は水と、1:1の希釈度で希釈された。本発明の液体組成物の一つの10マイクロリットルの小滴+カラー組成物を第一プラスチック装置の四つの上部室に入れ、一方平行して本発明の液体組成物の一つの500マイクロリットルの小滴を上部室のすぐ上の下部室に入れた。同様に、水の一つの10マイクロリットルの小滴+カラー組成物を第二プラスチック装置の四つの上部室に入れ、一方平行して水の一つの500マイクロリットルの小滴を上部室のすぐ上の下部室に入れた。各プラスチック装置における色素の位置は、小滴を入れた15分後に分析された。
【0182】
結果
水及びカラー混合物を含むプラスチック装置の下部室はクリアであるが(図4A)、本発明の液体組成物及びカラー混合物を含むプラスチック装置の下部室は薄い青色を示す(図4B)。
【0183】
結論
本発明の液体組成物は、それが疎水性毛管を通って流れることができるように、疎水性を有する。
【0184】
実施例4
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0185】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0186】
結果
表2には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0187】
図5および表2に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0188】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0189】
実施例5
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0190】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0191】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図6A〜Cおよび図7A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図8A〜Cおよび図9に示す。
【0192】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大した。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0193】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0194】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであるが、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0195】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0196】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0197】
結果
図10A〜Cおよび図11A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0198】
実施例7
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0199】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0200】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0201】
実験を三連で行った。
【0202】
結果
図12A〜Cおよび図13から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0203】
実施例8
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0204】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0205】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0206】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0207】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0208】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0209】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0210】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0211】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した:
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0212】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0213】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0214】
結果
図14A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図14A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0215】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図15A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図15B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図15C)。
【0216】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0217】
実施例9
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0218】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0219】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0220】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0221】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0222】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部でに漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0223】
分光光度計での測定(図16)は、アセトンの存在下および不在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0224】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0225】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0226】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0227】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0228】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0229】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0230】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0231】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0232】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図17)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図18)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0233】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0234】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0235】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図19)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0236】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0237】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0238】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0239】
結果
分光光度計での測定が図20に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0240】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0241】
実施例10
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0242】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0243】
結果
エタノールの存在下および不在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図21A〜Dに示す。
【0244】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0245】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0246】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0247】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0248】
図22に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0249】
実施例11
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0250】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0251】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で成長させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0252】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図23A〜Gに示す。図24A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0253】
実施例12
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0254】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0255】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0256】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0257】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0258】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図25を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図26に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0259】
実施例13
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0260】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0261】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図27A〜B)。
【0262】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0263】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0264】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0265】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図28A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図29A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図30A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図31A〜Cに示す。
【0266】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0267】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにしても、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0268】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0269】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0270】
結果
図32A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図33は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0271】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図33)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0272】
実施例14
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0273】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図34A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図34B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0274】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図35A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0275】
実施例15
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0276】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で成長させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0277】
結果
タキソールは、図36A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図37に示す。
【0278】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0279】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0280】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0281】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0282】
結果
図38A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む担体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0283】
実施例17
ナノ構造を含む担体の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む担体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0284】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む担体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0285】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0286】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0287】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0288】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0289】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0290】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0291】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0292】
結果
図39に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0293】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0294】
【図1】二時間のインキュベーション期間後の増大する波長での本発明の液体組成物における殺菌組成物の吸収(図1A)と逆浸透水における殺菌組成物の吸収(図1B)を比較するグラフである。
【図2】観察時間の関数として本発明の液体組成物における絶対超音波速度の等温測定の結果を示す。
【図3】毛管チャネルを介して四つの上部チャネルと一つの下部チャネルを含むプラスチック装置の写真である。
【図4】上部チャネルに色素及び希釈剤を添加した後のプラスチック装置の写真である。
【図5】557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図6】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである(図6a〜図6c)。
【図7】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる(図7a〜図7c)。
【図8】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである(図8a〜図8c)。
【図9】pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図10】557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図10a)および水酸化ナトリウム滴定(図10b〜図10c)を例示するグラフである。
【図11】ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11a)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図11b)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図12】RF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12a)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12b)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図12c)である。矢印は2回目の照射を示す。
【図13】RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図14A.B.F.G】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図14C.D.H.I】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図14E.J】粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。
【図15a】ナノドロップで測定されたときの、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図15b】ナノドロップで測定されたときの、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図15c】ナノドロップで測定されたときの、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図16】バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図17】Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図18】Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図19】CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図20】t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図21】200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図22】エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図23A−D】Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。
【図23E−G】Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。
【図24A−D】クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図24E−G】クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図25】エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図26】ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図27】試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である(図27a〜図27b)。
【図28】加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28c)の写真である。
【図29】加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図29a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図29b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図29c)の写真である。
【図30】加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図30a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図30b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図30c)の写真である。
【図31】加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図31a)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図31b)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図31c)の写真である。
【図32】Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図32a)、振とう後30分の写真(図32b)、振とう後60分の写真(図32c)および振とう後120分の写真(図32d)である。
【図33】分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図34】分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図34a)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図34b)である。
【図35】分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図35a)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図35b)である。
【図36】分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36a)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図36b)である。
【図37】293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図38】2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である(図38a〜図38b)。
【図39】2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および不在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物。
【請求項2】
ナノ構造及び液体を含む組成物の殺菌効果量をその必要性のある個体に与え、それによって個体の身体表面を消毒することを含む、個体の身体表面を消毒する方法。
【請求項3】
ナノ構造及び液体を含む組成物と物体を接触し、それによって物体を殺菌することを含む、物体を殺菌する方法。
【請求項4】
組成物は少なくとも一種の殺菌剤をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、前記コア材料、及び前記整列した流体分子のエンベロープは定常的な物理的状態にある、請求項1,2又は3に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項6】
前記流体分子は、少なくとも二種の均一流体組成物を含む不均一流体組成物を含み、前記液体は前記少なくとも二種の均一流体組成物のうちの少なくとも一種と同一である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項7】
前記流体分子の少なくとも一部はガス状状態にある、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項8】
前記ナノ構造の濃度は1リットルあたり1020個未満である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項9】
前記ナノ構造の濃度は1リットルあたり1015個未満である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項10】
前記ナノ構造はクラスターを形成することができる、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項11】
前記ナノ構造はそれらの間での遠距離の相互作用を維持することができる、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項12】
前記コア材料は、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質からなる群から選択される、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項13】
前記コア材料は結晶性コア材料である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項14】
前記液体は水である、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項15】
前記ナノ構造の各々は、前記液体の比重より低いか又はそれに等しい比重によって特徴づけられる、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項16】
前記組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項17】
前記組成物は、水の緩衝能力より大きい緩衝能力を含む、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項18】
前記ナノ構造はハイドロキシアパタイトから配合される、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項19】
液体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項20】
前記液体組成物は少なくとも1容量%の前記担体組成物を含む、請求項19に記載の殺菌組成物。
【請求項21】
固体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項22】
前記固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの前記担体組成物を含む、請求項21に記載の殺菌組成物。
【請求項23】
半固体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項24】
前記半固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの前記担体組成物を含む、請求項23に記載の殺菌組成物。
【請求項25】
経口投与形態として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項26】
前記経口投与形態は、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、トローチ剤及びカプセルからなる群から選択される、請求項25に記載の殺菌組成物。
【請求項27】
局所又は粘膜投与形態として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項28】
前記局所又は粘膜投与形態は、クリーム、スプレー、ワイプ、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルからなる群から選択される、請求項27に記載の殺菌組成物。
【請求項29】
20容量%未満のアルコールを含む、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項30】
アルコールを含まない、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項31】
前記少なくとも一種の殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤である、請求項1又は2に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項32】
前記経口的に非毒性の殺菌剤は、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、クロルヘキシジングルコネート、クロロブタノールヘミハイドレート、フェノール、オイカリプトールからなる群から選択される、請求項31に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項33】
前記少なくとも一種の殺菌剤は、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア及びフェノール化合物からなる群から選択される、請求項1,2又は3に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項34】
前記一価アルコールは、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項35】
前記金属化合物は、硝酸銀及びスルファジアジン銀からなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項36】
前記四級アンモニウム化合物は、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)アンモニウムからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項37】
前記フェノール化合物は、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項38】
前記身体表面は皮膚、歯又は粘膜である、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記殺菌剤は毒剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
前記毒剤は、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも一種の殺菌剤、及びナノ構造と液体を含む担体組成物を含む殺菌組成物。
【請求項2】
ナノ構造及び液体を含む組成物の殺菌効果量をその必要性のある個体に与え、それによって個体の身体表面を消毒することを含む、個体の身体表面を消毒する方法。
【請求項3】
ナノ構造及び液体を含む組成物と物体を接触し、それによって物体を殺菌することを含む、物体を殺菌する方法。
【請求項4】
組成物は少なくとも一種の殺菌剤をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、前記コア材料、及び前記整列した流体分子のエンベロープは定常的な物理的状態にある、請求項1,2又は3に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項6】
前記流体分子は、少なくとも二種の均一流体組成物を含む不均一流体組成物を含み、前記液体は前記少なくとも二種の均一流体組成物のうちの少なくとも一種と同一である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項7】
前記流体分子の少なくとも一部はガス状状態にある、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項8】
前記ナノ構造の濃度は1リットルあたり1020個未満である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項9】
前記ナノ構造の濃度は1リットルあたり1015個未満である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項10】
前記ナノ構造はクラスターを形成することができる、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項11】
前記ナノ構造はそれらの間での遠距離の相互作用を維持することができる、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項12】
前記コア材料は、強誘電性物質、強磁性物質及び圧電性物質からなる群から選択される、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項13】
前記コア材料は結晶性コア材料である、請求項5に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項14】
前記液体は水である、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項15】
前記ナノ構造の各々は、前記液体の比重より低いか又はそれに等しい比重によって特徴づけられる、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項16】
前記組成物は、水に対して増強された超音波速度によって特徴づけられる、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項17】
前記組成物は、水の緩衝能力より大きい緩衝能力を含む、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項18】
前記ナノ構造はハイドロキシアパタイトから配合される、請求項1,2又は4に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項19】
液体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項20】
前記液体組成物は少なくとも1容量%の前記担体組成物を含む、請求項19に記載の殺菌組成物。
【請求項21】
固体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項22】
前記固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの前記担体組成物を含む、請求項21に記載の殺菌組成物。
【請求項23】
半固体組成物として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項24】
前記半固体組成物は少なくとも0.258グラム/100mlの前記担体組成物を含む、請求項23に記載の殺菌組成物。
【請求項25】
経口投与形態として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項26】
前記経口投与形態は、うがい薬、ストリップ、泡、チューイングガム、経口スプレー、トローチ剤及びカプセルからなる群から選択される、請求項25に記載の殺菌組成物。
【請求項27】
局所又は粘膜投与形態として配合される、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項28】
前記局所又は粘膜投与形態は、クリーム、スプレー、ワイプ、泡、石けん、オイル、溶液、ローション、軟膏、ペースト及びゲルからなる群から選択される、請求項27に記載の殺菌組成物。
【請求項29】
20容量%未満のアルコールを含む、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項30】
アルコールを含まない、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項31】
前記少なくとも一種の殺菌剤は経口的に非毒性の殺菌剤である、請求項1又は2に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項32】
前記経口的に非毒性の殺菌剤は、チモール、サリチル酸メチル、メントール、塩化ナトリウム、過酸化水素、クロルヘキシジングルコネート、クロロブタノールヘミハイドレート、フェノール、オイカリプトールからなる群から選択される、請求項31に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項33】
前記少なくとも一種の殺菌剤は、一価アルコール、金属化合物、四級アンモニウム化合物、沃素、ヨードフォア及びフェノール化合物からなる群から選択される、請求項1,2又は3に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項34】
前記一価アルコールは、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項35】
前記金属化合物は、硝酸銀及びスルファジアジン銀からなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項36】
前記四級アンモニウム化合物は、塩化ジエチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ジエチルドデシルベンジルアンモニウム、塩化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化トリメチルオクタデシルアンモニウム、塩化トリメチルヘキサデシルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、及び塩化ベンジルドデシルビス(B−ヒドロキシエチル)アンモニウムからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項37】
前記フェノール化合物は、フェノール、パラクロロメタキシレノール、クレゾール及びヘキシルレゾルシノールからなる群から選択される、請求項33に記載の殺菌組成物及び方法。
【請求項38】
前記身体表面は皮膚、歯又は粘膜である、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記殺菌剤は毒剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
前記毒剤は、ホルムアルデヒド、塩素、塩化第二水銀及び酸化エチレンからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図23A−D】
【図23E−G】
【図24A−D】
【図24E−G】
【図25】
【図26】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図3】
【図4】
【図11】
【図14A.B.F.G】
【図14C.D.H.I】
【図14E.J】
【図21】
【図22】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図38】
【図39】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図23A−D】
【図23E−G】
【図24A−D】
【図24E−G】
【図25】
【図26】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図3】
【図4】
【図11】
【図14A.B.F.G】
【図14C.D.H.I】
【図14E.J】
【図21】
【図22】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2009−523128(P2009−523128A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549108(P2008−549108)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000015
【国際公開番号】WO2007/077562
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000015
【国際公開番号】WO2007/077562
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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