説明

比例弁駆動装置

【課題】比例弁の故障が生じたときに、電流検出用抵抗への通電量の増加により電流検出用抵抗の発熱が過大となることを防止した比例弁の駆動装置を提供する。
【解決手段】電流検出用抵抗31の印加電圧Viが第1判定電圧以上であるときに出力がVjが5Vとなると共に、Viが第1判定電圧よりも低いときに出力Vjが0Vとなる比較回路90と、比較回路90の出力Vjを平滑化して出力する平滑回路91と、比例弁制御手段11によってPWM制御により比例弁20の通電制御を実行しているときに、AD入力ポートAD3に入力される平滑回路91の出力電圧Vkが、第2判定電圧以上となったときに、トランジスタ30をOFFして比例弁20及び電流検出用抵抗31への通電を遮断する比例弁通電遮断手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比例弁への通電量をPWM(Pulse Width Modulation)制御により制御する比例弁の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば燃料ガスの供給管に設けられてガスの供給流量を調整する比例弁の駆動装置において、比例弁の異常を検出する機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された比例弁の駆動装置においては、電源の出力端子間に、比例弁とトランジスタと電流検出用抵抗とが直列に接続されており、該電流検出用抵抗の端子間電圧に基づいて、比例弁に流れる電流を検出している。そして、検出した電流値が比例弁の開度に対応して設定された目標電流値と一致するように、トランジスタのベース電流を制御している。
【0004】
そして、目標電流値と検出した電流値との差が、予め設定された下限値から上限値までの範囲から外れたときに、比例弁又はトランジスタの故障が生じていると判断して、ガス供給管の安全弁を閉弁するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−65348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の比例弁の駆動装置においては、経時劣化等により比例弁の抵抗が低下すると、トランジスタをONしたときに電流検出用抵抗に過大なパルス電流が流れて、電流検出用抵抗の発熱が増大する。そして、このように、電流検出用抵抗の発熱が増大すると、ポッティング溶融等が生じて、電流検出用抵抗が実装された回路基板が故障するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、経時劣化等により比例弁の抵抗が低くなったときに、電流検出用抵抗への通電量の増加により電流検出用抵抗の発熱が過大な状態となることを防止した比例弁の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、電源の出力端子間に、比例弁と直列に接続されたスイッチング素子及び電流検出用抵抗と、前記電流検出用抵抗における電圧降下に基づいて、前記比例弁に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出される電流値と、前記比例弁の目標開度に応じて設定された目標電流値とが一致するように、前記スイッチング素子をPWM制御によりON/OFFして、前記比例弁の通電量を制御する通電制御手段とを備えた比例弁駆動装置に関する。
【0009】
そして、本発明の第1の態様は、前記電流検出用抵抗に印加される電圧を検出する印加電圧検出手段と、前記通電制御手段により前記スイッチング素子がONされているときに、前記印加電圧検出手段による検出電圧が、前記比例弁の抵抗値が所定の異常判定レベルであって前記スイッチング素子がONであるときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧である第1判定電圧よりも高くなったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する比例弁通電遮断手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、前記比例弁の故障により前記比例弁の抵抗値が前記異常判定レベル以下になると、前記スイッチング素子をONしたときに、前記電流検出用抵抗に印加される電圧が増加して前記第1判定電圧よりも高くなる。そこで、前記比例弁通電遮断手段は、前記スイッチング素子がONしているときに、前記印加電圧検出手段により検出される前記電流検出用抵抗への印加電圧が、前記第1判定電圧よりも高くなったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する。これにより、故障等により前記比例弁の抵抗値が低くなって、前記電流検出用抵抗への通電量が増加したときに、速やかに前記電流検出用抵抗への通電を停止して、前記電流検出用抵抗の発熱が過大な状態となることを防止することができる。
【0011】
次に、本発明の第2の態様は、前記電流検出用抵抗に印加される電圧が、前記比例弁の抵抗値が所定の異常判定レベルであって前記スイッチング素子がONであるときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧である第1判定電圧よりも高いときは第1電圧を出力し、前記電流検出用抵抗に印加される電圧が該第1判定電圧以下であるときには、該第1電圧とは異なるレベルの第2電圧を出力する比較回路と、前記比較回路の出力電圧を平滑化して出力する平滑回路と、前記通電制御手段により前記PWM制御が行われているときに、前記平滑回路の出力電圧が、前記第1電圧と前記第2電圧の間に設定された第2判定電圧から前記第1電圧までの範囲内となったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する比例弁通電遮断手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる本発明によれば、前記比例弁の抵抗値が前記異常判定レベルよりも高ければ、前記スイッチング素子をONしたときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧が前記第1判定電圧以下になるため、前記比較回路の出力は前記第2電圧に維持される。そのため、前記平滑回路の出力は前記第2電圧となる。
【0013】
一方、前記比例弁の抵抗値が前記異常判定レベル以下になると、前記スイッチング素子をONしたときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧が前記第1判定電圧よりも高くなって、前記比較回路の出力が前記第2電圧から前記第1電圧に切替わる。そして、この場合には、前記通電制御手段により前記PWM制御が行われると、前記スイッチング素子のON/OFFに応じて、前記比較回路の出力が前記第1電圧と前記第2電圧とに切替わる状態となる。そのため、前記平滑回路の出力は前記第1電圧から前記第2電圧までの間(前記第1電圧が前記第2電圧よりも高いときは、前記第2電圧よりも高く前記第1電圧よりも低い範囲、また、前記第1電圧が前記第2電圧よりも低いときは、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧よりも低い範囲)に設定された前記第2判定電圧から前記第1電圧までの範囲内となる。
【0014】
そこで、前記比例弁通電遮断手段は、前記通電制御手段により前記PWM制御が行われているときに、前記平滑回路の出力電圧が、前記第2判定電圧から前記第1電圧までの範囲内となったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する。これにより、故障等により前記比例弁の抵抗値が低くなって、前記電流検出用抵抗への通電量が増加したときに、速やかに前記電流検出用抵抗への通電を停止して、前記電流検出用抵抗の発熱が過大な状態となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の比例弁駆動装置の構成図。
【図2】図1に示した比例弁駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャート。
【図3】比例弁の正常であるときと異常であるときの電流検出用抵抗の印加電圧の相違と、比較回路及び平滑回路の出力の相違を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、比例弁20と接続されて、比例弁20の開度を制御する比例弁駆動装置の全体構成図である。比例弁20は、例えば、ガスバーナに燃料ガスを供給するガス供給管に備えられるものであり、通電される電流の大きさに比例してその開度が定まるものである。
【0017】
比例弁駆動装置は、比例弁駆動装置の全体的な作動を制御するマイクロコンピュータ10(以下、マイコン10という)と、比例弁20の電源であるDC35V電源(本発明の電源に相当する)の出力端子V35とGND間に、比例弁20と直列に接続されたトランジスタ30(本発明のスイッチング素子に相当する)及び電流検出用抵抗31と、トランジスタ30と抵抗33及び抵抗34を介してダーリントン接続されたトランジスタ35と、出力端子が抵抗36及び抵抗37を介してトランジスタ35と接続されたオペアンプ40とを備えている。
【0018】
オペアンプ40の正入力端子には、マイコン10の出力ポートPOから出力される所定周波数(例えば、500Hz)の矩形波形が、抵抗42とコンデンサ43により三角波に成形されて入力される。なお、出力ポートPOは抵抗41によりDC5Vにプルアップされている。
【0019】
また、マイコン10のDA出力(デジタル/アナログ変換出力)ポートDAからは、比例弁20の目標開度に応じた目標電流値に対応して設定されたレベルの電圧が出力され、該電圧を抵抗52,53により分圧した電圧Vcがオペアンプ50の正入力端子に入力される。
【0020】
オペアンプ50の負入力端子は、電流検出用抵抗31の比例弁20側の端子と接続され、オペアンプ50の出力端子は、オペアンプ40の負入力端子に接続されている。また、オペアンプ50の出力端子と負入力端子間にコンデンサ51が接続され、オペアンプ50の出力端子は抵抗44を介してGNDに接続されている。
【0021】
比例弁20と電流検出用抵抗31との接続箇所71は、抵抗54及びコンデンサ55からなる積分回路を介してマイコン10のAD入力(アナログ/デジタル変換入力)ポートAD1に接続されている。このADポートAD1への入力は、比例弁20のオープン(断線)故障を検知するためのものである。
【0022】
比例弁駆動装置は、さらに、比較回路90と平滑回路91とを備えている。比較回路90においては、比例弁20と電流検出用抵抗31との接続箇所71が、抵抗60及び抵抗61を介してGNDと接続されており、抵抗60と抵抗61の接続箇所がコンパレータとして機能するオペアンプ65の負入力端子に接続されている。また、オペアンプ65の正入力端子は、5VとGND間に接続された抵抗63,64の接続箇所と接続され、オペアンプ65の出力端子は反転素子66と接続されている。
【0023】
平滑回路91においては、反転素子66の出力端子とマイコン10のAD入力(アナログ/デジタル変換入力)ポートAD3間に、抵抗80と抵抗83が直列に接続され、抵抗80,83の接続箇所とGND間に、抵抗81とコンデンサ82が並列に接続されている。
【0024】
マイコン10のメモリ13には、比例弁20の制御用プログラムのデータが保持されている。そして、マイコン10が該制御用プログラムを実行することによって、マイコン10は、比例弁20に対する通電量をPWM(Pulse Width Modulation)制御により制御する比例弁制御手段11、比例弁制御手段11により比例弁20に対する通電量のPWM制御が行われているときに、AD入力ポートAD3に入力される電圧が第2判定電圧(例えば1V)以上となったときには、比例弁20への通電を遮断する比例弁通電遮断手段12、及び電流検出用抵抗31に印加される電圧を検出する印加電圧検出手段14として機能する。なお、印加電圧検出手段14は、後述する第2の実施形態で使用される。
【0025】
次に、図2に示したタイミングチャートに従って、図1に示した比例弁駆動装置の作動について説明する。
【0026】
図2は、上から順に、(a)マイコン10の出力ポートPOの電圧Va、(b)オペアンプ40の正入力端子の電圧Vb、(c)オペアンプ50の正入力端子の電圧Vc、(d)オペアンプ50の負入力端子の電圧Vd、(e)オペアンプ40の負入力端子の電圧Vf、(f)オペアンプ40の出力端子の電圧Veの変化を示したものである。
【0027】
比例弁制御手段11は、マイコン10の出力ポートPOから、図2の(a)に示したように周波数500Hzの矩形波電圧Vaを出力する。そして、該矩形波電圧Vaが抵抗42及びコンデンサ43からなる積分回路により、図2の(b)に示したように、三角波電圧Vbに整形されてオペアンプ40の正入力端子に入力される。
【0028】
また、比例弁制御手段11は、例えば、比例弁20が設けられた燃料ガスの供給管に接続されたバーナの目標燃焼量に応じて、比例弁20の目標開度を設定する。そして、比例弁制御手段11は、目標開度に対応する通電量が得られるように、DA出力ポートDAから出力する電圧のレベルを設定する。
【0029】
DA変換ポートDAから出力される電圧は、分圧抵抗52,53により分圧され、図2の(d)に示したように、目標電圧Vcとされてオペアンプ50の正入力端子に入力される。
【0030】
オペアンプ50の負入力端子には、電流検出用抵抗31に印加される電圧(モニタ電圧)が抵抗56を介して入力される。ここで、電流検出用抵抗31に印加される電圧は、トランジスタ30と比例弁20と電流検出用抵抗31に流れる電流の大きさに比例して増減する。そして、オペアンプ50は、図2の(e)に示したように、正入力端子に入力される目標電圧Vcと負入力端子に入力されるモニタ電圧Vdとの差を増幅した電圧Vfを、オペアンプ40の負入力端子に出力する。
【0031】
オペアンプ40は、コンパレータとして機能し、図2の(f)に示したように、正入力端子に入力される三角波電圧Vbが、負入力端子に入力される電圧Vfを越える期間をHighレベル(12.6V)とし、三角波信号Vbが負入力端子に入力される電圧Vf以下となる期間をLowレベル(0V)とする矩形波電圧Veを、トランジスタ35のベースに出力する。これにより、目標電圧Vcとモニタ電圧Vdとの差を減少させるように、トランジスタ35のベースに出力される矩形波電圧VeのDutyを変更するPWM制御が実行される。
【0032】
そして、オペアンプ40からトランジスタ35のベースに出力される矩形波電圧VeがHighレベルであるときは、トランジスタ35及びトランジスタ30がON状態となり、該矩形波電圧VeがLowレベルであるときには、トランジスタ35及びトランジスタ30がOFF状態となる。
【0033】
なお、このように、比例弁制御手段11が、オペアンプ40,50を用いて、目標電圧Vcとモニタ電圧Vdとの差を減少させるように、PWM制御によりトランジスタ35をON/OFFする構成が、本発明の通電制御手段に相当する。
【0034】
また、印加電圧検出手段14は、AD(アナログ/デジタル変換)入力ポートAD2に入力される電圧Viのデジタル変換値から、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viを検出する。
【0035】
次に、比例弁通電遮断手段12により、比例弁20に対する通電を遮断する処理の第1の実施形態、及び第2の実施形態様について、図3を参照して説明する。
【0036】
[第1の実施形態]図3は、比例弁制御手段11によって、上述したPWM制御により比例弁の通電量を制御するときの、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viと、比較回路90の出力電圧Vjと、マイコン10の入力ポートPIに入力される平滑回路91の出力電圧Vkの変化を、縦軸を電圧(V)に設定し、横軸を時間(t)に設定して示したものである。
【0037】
そして、上段から順に、(g)比例弁20の抵抗値が80Ω(正常時)であるときに、電流検出用抵抗31に印加される電圧Vi、(h)比例弁20の抵抗値が80Ω(正常時)であるときの、比較回路90の出力電圧Vj及び平滑回路91の出力電圧Vkを示している。
【0038】
また、(i)比例弁20の抵抗値が40Ω(異常時)であるときに、電流検出用抵抗31に印加される電圧Vi、(j)比例弁20の抵抗値が40Ω(異常時)であるときの、比較回路90の出力電圧Vj及び平滑回路91の出力電圧Vkを示している。
【0039】
先ず、比例弁20の抵抗値が80Ω(正常時)であるときは、(g)に示したように、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viのピーク値が4V程度となる。そして、オペアンプ65の正入力端子に入力される電圧Vmは、Viが5V(本発明の第1判定電圧に相当する)以上であるときに、オペアンプ65の負入力端子に入力される電圧VnがVmよりも高くなるように設定されている。
【0040】
そのため、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viが5V以上であるときは、オペアンプ65の出力電圧が0Vとなって比較回路90の出力電圧Vjが5V(本発明の第1電圧に相当する)となる。また、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viが5Vよりも低いときには、オペアンプ65の出力電圧が5Vとなって比較回路90の出力電圧Vjが0V(本発明の第2電圧に相当する)。
【0041】
そして、この場合は、(h)に示したように、比較回路90の出力電圧Vjが0Vに維持されるため、平滑回路91の出力電圧Vkも0Vとなる。そのため、マイコン10のAD入力ポートAD3に入力される電圧は0Vとなる。
【0042】
一方、比例弁20の抵抗値が40Ω(異常時)であるときには、PWM制御を行ったときに、(i)に示したように、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viのピーク値が7V程度となって5V以上となる。そのため、トランジスタ30をONしたときにオペアンプ65の負入力端子に入力される電圧Vnが正入力端子に入力される電圧Vmよりも高くなり、比較回路90の出力電圧Vjが5Vとなる。
【0043】
そして、この場合は、(j)に示したように、比較回路90の出力電圧Vjが、PWM制御によるトランジスタ30のON/OFFに応じて、5Vと0Vに切替わる状態となる。そのため、平滑回路91の出力電圧Vkは、(k)に示したように4V程度となり、マイコン10のAD入力ポートAD3に入力される電圧は4V程度となる。
【0044】
以上説明したように、比例弁20の抵抗値が80Ω(正常時)であるときは、マイコン20のAD入力ポートAD3に入力される電圧Vkが0Vとなる。また、比例弁20の抵抗値が40Ω(異常時)であるときには、マイコン20のAD入力ポートAD3に入力される電圧が4V程度となる。
【0045】
そこで、比例弁通電遮断手段12は、PWM制御により比例弁20の通電量が制御されているときに、AD入力ポートAD3に入力される電圧Vkのレベルを監視し、AD入力ポートAD3に入力される電圧Vkが1V(本発明の第2判定電圧に相当する)以上となったとき(本発明の第2判定電圧から第1電圧までの範囲になったときに相当する)に、出力ポートPOからの矩形波電圧の出力を停止する。
【0046】
出力ポートPOからの矩形波電圧の出力が停止すると、オペアンプ40からトランジスタ35のベースへの出力が0Vとなって、トランジスタ35,30がOFF状態となり、DC35V電源から比例弁20及び電流検出用抵抗31への通電が遮断される。
【0047】
第1の実施形態による場合、比例弁通電遮断手段12は、AD入力ポートAD3に入力される電圧Vkが1V以上であるか否かを判断すればよい。そのため、後述する第2の実施形態のように、PWM制御により比例弁20の通電量が制御されていることを確認した上で、印加電圧検出手段14により電流検出用抵抗31に印加される電圧Viを検出し、Viのピーク値が閾値以上となったか否かを判断するという処理を行う必要がない。したがって、第2の実施形態による場合よりも、比例弁通電遮断手段12における処理が簡易なものとなり、マイコン10の演算負荷を軽くすることができる。
【0048】
[第2の実施形態]図3を参照して、比例弁20の抵抗値が80Ω(正常時)であるときは、PWM制御により比例弁20の通電量を制御したときに、(g)に示したように、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viのピーク値が4V程度となる。一方、比例弁20の抵抗値が40Ω(異常時)であるときには、PWM制御により比例弁20の通電量を制御したときに、(i)に示したように、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viのピーク値が7V程度となる。
【0049】
そこで、電流検出用抵抗31に印加される電圧Viをマイコン20のAD変換ポートAD2に入力して、印加電圧検出手段14によりViを検出し、PWM制御により比例弁20の通電量が制御されているときに、比例弁通電遮断手段12によって印加電圧検出手段14により検出されるViを監視する。
【0050】
そして、比例弁通電遮断手段12は、印加電圧検出手段14により検出されるViが5V(本発明の第1判定電圧に相当する)以上となったときに、出力ポートPOからの矩形波信号の出力を停止する。
【0051】
出力ポートPOからの矩形波信号の出力が停止すると、オペアンプ40からトランジスタ35のベースへの出力が0Vとなって、トランジスタ35,30がOFF状態となり、DC35V電源から比例弁20及び電流検出用抵抗31への通電が遮断される。第2の実施形態による場合は、比較回路90と平滑回路91は不要となる。
【0052】
上述した第1の実施形態、又は第2の実施形態により、比例弁通電遮断手段12によって、比例弁20の抵抗値が減少したときに、トランジスタ30をOFF状態として、比例弁20及び電流検出用抵抗31に対する通電を遮断することによって、電流検出用抵抗31に流れるピーク電流の増加により、電流検出用抵抗31での発熱が過大となって基板の損傷が生じることを防止することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、上記第2の実施形態において、電流検出用抵抗31に印加される電圧が5V(本発明の第1判定電圧)よりも高いときは比較回路90の出力電圧Vjが5V(本発明の第1電圧)となり、電流検出用抵抗31に印加される電圧が5V以下であるときには比較回路90の出力電圧Vjが0V(本発明の第2電圧)となる設定とした。
【0054】
なお、比較回路90の設定を、電流検出用抵抗31に印加される電圧が5V(本発明の第1判定電圧)よりも高いときは比較回路90の出力電圧Vjが0V(本発明の第1電圧)となり、電流検出用抵抗31に印加される電圧が5V以下であるときには比較回路90の出力電圧Vjが5V(本発明の第2電圧)となる設定(第1電圧<第2電圧)としてもよい。この場合には、比例弁通電遮断手段12は、平滑回路91の出力電圧Vkが例えば4V(本発明の第2判定電圧に相当)以下となったときに、出力ポートPOからの矩形波信号の出力を停止して、トランジスタ35,30をOFF状態とすればよい。
【符号の説明】
【0055】
10…マイクロコンピュータ、11…比例弁制御手段、12…比例弁通電遮断手段、13…メモリ、14…印加電圧検出手段、20…比例弁、30…トランジスタ(本発明のスイッチング素子)、31…電流検出用抵抗、90…比較回路、91…平滑回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の出力端子間に、比例弁と直列に接続されたスイッチング素子及び電流検出用抵抗と、
前記電流検出用抵抗における電圧降下に基づいて、前記比例弁に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出される電流値と、前記比例弁の目標開度に応じて設定された目標電流値とが一致するように、前記スイッチング素子をPWM制御によりON/OFFして、前記比例弁の通電量を制御する通電制御手段とを備えた比例弁駆動装置において、
前記電流検出用抵抗に印加される電圧を検出する印加電圧検出手段と、
前記通電制御手段により前記スイッチング素子がONされているときに、前記印加電圧検出手段による検出電圧が、前記比例弁の抵抗値が所定の異常判定レベルであって前記スイッチング素子がONであるときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧である第1判定電圧よりも高くなったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する比例弁通電遮断手段とを備えたことを特徴とする比例弁駆動装置。
【請求項2】
電源の出力端子間に、比例弁と直列に接続されたスイッチング素子及び電流検出用抵抗と、
前記電流検出用抵抗における電圧降下に基づいて、前記比例弁に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出される電流値と、前記比例弁の目標開度に応じて設定された目標電流値とが一致するように、前記スイッチング素子をPWM制御によりON/OFFして、前記比例弁の通電量を制御する通電制御手段とを備えた比例弁駆動装置において、
前記電流検出用抵抗に印加される電圧が、前記比例弁の抵抗値が所定の異常判定レベルであって前記スイッチング素子がONであるときに前記電流検出用抵抗に印加される電圧である第1判定電圧よりも高いときは第1電圧を出力し、前記電流検出用抵抗に印加される電圧が該第1判定電圧以下であるときには、該第1電圧とは異なるレベルの第2電圧を出力する比較回路と、
前記比較回路の出力電圧を平滑化して出力する平滑回路と、
前記通電制御手段により前記PWM制御が行われているときに、前記平滑回路の出力電圧が、前記第1電圧と前記第2電圧の間に設定された第2判定電圧から前記第1電圧までの範囲内となったときには、前記電源から前記比例弁への通電を遮断する比例弁通電遮断手段とを備えたことを特徴とする比例弁駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−169145(P2010−169145A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10808(P2009−10808)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】