説明

毛髪処理剤

【課題】ヘアカラー処理によって損傷を受けた毛髪であっても、毛髪のしっとり感に優れ、毛先まで良くまとまり、毛髪に触れたときの毛先までの均一感を良好にすることができる毛髪処理剤の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、下記一般式(I)で表される第4級アンモニウム塩(I)、セタノール、およびステアリルアルコールが配合され、セタノールよりもステアリルアルコールの配合量が多い毛髪処理剤である。この毛髪処理剤は、ヒアルロン酸塩とアミノ変性シリコーン、および/または、植物油が配合されたものが好適である。


[一般式(I)において、R1は炭素数14〜20のアルキル基を表し、R2はメチル基または炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のしっとり感などを付与するトリートメント効果がある毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラッシング、ドライヤー乾燥などの日常的な処理により毛髪が損傷を受け、また、ヘアカラー、パーマネントウェーブなどの処理によっても毛髪が損傷を受けることになり、毛先への損傷の蓄積は大きいことが一般的である。損傷した毛髪の外観や触感は、未損傷の毛髪よりも当然に劣るものとなる。このような背景もあって、コンディショニング作用を奏することが知られている第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤を配合した毛髪処理剤が使用され、この処理剤の改良提案が数多くされている。例えば、特許文献1には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム1.0%、セタノール1.5%、およびステアリルアルコール2.0%が配合されたヘアトリートメントが開示されており、特許文献2には、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム0.6%、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム0.5%、セタノール1%、ステアリルアルコール1%、およびベヘニルアルコール1%が配合されたリンスが開示されている。
【0003】
上記の通り、毛髪処理剤の改良が提案されてきているが、損傷した毛髪へのトリートメント効果を高めることが常に求められており、毛髪のしっとり感などが良好になるトリートメント効果がある毛髪処理剤も望まれているところである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−232113号公報
【特許文献2】特開2001−10931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、ヘアカラー処理によって損傷を受けた毛髪であっても、毛髪のしっとり感に優れ、毛先まで良くまとまり、毛髪に触れたときの毛先までの均一感を良好にすることができる毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、毛髪処理剤に高級アルコールと所定の4級アンモニウム塩を配合して検討を進め、高級アルコールとしてセタノールとステアリルアルコールを選択すると共にセタノールよりもステアリルアルコールを多量とすれば、毛髪のしっとり感、まとまり感、毛先までの触感の均一感が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、下記一般式(I)で表される第4級アンモニウム塩(I)、セタノール、およびステアリルアルコールが配合され、セタノールよりもステアリルアルコールの配合量が多いことを特徴とする。
【化1】

[一般式(I)において、R1は炭素数14〜20のアルキル基を表し、R2はメチル基または炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【0007】
本発明に係る毛髪処理剤においては、第4級アンモニウム塩(I)として少なくとも下記一般式(Ia)で表される第4級アンモニウム塩(Ia)が1.5〜6.0質量%配合されており、セタノールとステアリルアルコールの総配合量が3.0質量%以上が良い。
【化2】

[一般式(Ia)において、R3は炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【0008】
本発明に係る毛髪処理剤は、第4級アンモニウム塩(I)として少なくとも下記一般式(Ib)で表される第4級アンモニウム塩(Ib)が1.0質量%以下配合されたものが好ましい。この配合により、毛髪のしっとり感とまとまり感が向上し、その上、毛髪の柔らかさも良好になる。
【化3】

[一般式(Ib)において、R4は炭素数14〜20のアルキル基を表わし、R5は炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【0009】
また、本発明に係る毛髪処理剤は、ヒアルロン酸塩とアミノ変性シリコーンが配合されたものが好ましく、植物油が配合されたものも好ましい。
【0010】
洗髪後の毛髪トリートメントにも、本発明に係る毛髪処理剤を好適に使用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る毛髪処理剤は、所定の第4級アンモニウム塩が配合されたものである上に、セタノール及びこれよりも多量のステアリルアルコールが配合されたものなので、毛髪のしっとり感、毛先までのまとまり、毛髪に触れたときの毛先までの均一感が良好になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施形態に基づき、以下に説明する。
本実施形態に係る毛髪処理剤は、水と共に、所定の第4級アンモニウム塩(I)と高級アルコールが配合されたものである。また、ヒアルロン酸塩とアミノ変性シリコーンが共に配合されたものが好ましく、植物油が配合されたものも好ましい。公知となっている毛髪処理剤原料が配合されていても良い。
【0013】
本実施形態に係る毛髪処理剤に配合される第4級アンモニウム塩(I)は、下記一般式(I)で表される塩である。
【化4】

上記一般式(I)において、R1は炭素数14〜20(好ましくは16〜18)のアルキル基を表し、R2はメチル基または炭素数14〜20(好ましくは16〜18)のアルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子(好ましくは臭素)を表す。
【0014】
第4級アンモニウム塩(I)を構成する4級アンモニウムとしては、例えば、ミリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムなどのトリメチル4級アンモニウム;ジミリスチルジメチルアンモニウム、ジセチルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウムなどのジメチル4級アンモニウム;が挙げられる。
【0015】
第4級アンモニウム塩(I)は、その一種または二種以上配合されていると良い。また、第4級アンモニウム塩(I)の配合量は、10質量%以下が通常であり、6.0質量%以下であると良い。
【0016】
本実施形態に係る毛髪処理剤には、下記一般式(Ia)で表される第4級アンモニウム塩(Ia)の一種または二種以上が、第4級アンモニウム塩(I)として少なくとも配合されていることが好適である。
【化5】

上記一般式(Ia)において、R3は炭素数14〜20(好ましくは16〜18)のアルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子(好ましくは臭素)を表す。毛先の柔らかさの観点からは、ステアリルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0017】
第4級アンモニウム塩(Ia)の配合量は、毛髪の柔らかさをより良好にするには、1.5質量%以上が良く、2.0質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましい。一方の配合量の上限は、特に限定されないが、6.0質量%であると良い。
【0018】
本実施形態に係る毛髪処理剤には、毛髪のしっとり感、まとまりをより良好にするためには、下記一般式(Ib)で表される第4級アンモニウム塩(Ib)の一種または二種以上が、第4級アンモニウム塩(I)として配合されていると良い。
【化6】

上記一般式(Ib)において、R4は炭素数14〜20(好ましくは16〜18)のアルキル基を表わし、R5は炭素数14〜20(好ましくは16〜18)のアルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子(好ましくは臭素)を表す。
【0019】
第4級アンモニウム塩(Ib)の配合量は、1.0質量%以下が良く、0.75質量%以下が好ましく、0.50質量%以下がより好ましい。下限量は、通常0.10質量%である。
【0020】
本実施形態に係る毛髪処理剤には、上記の通り高級アルコールが配合され、当該アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。
【0021】
高級アルコールの配合量の下限は、特に限定されないが、毛髪処理剤の粘性を高め、乳化安定性を高めるには1.0質量%が良く、2.0質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましい。他方、上限量も、特に限定されないが、ポンプ式容器から容易に吐出できる粘性の毛髪処理剤にするためには15質量%であると良く、10質量%が好ましい。
【0022】
セタノールとステアリルアルコールが上記高級アルコールとして少なくとも配合され、ステアリルアルコールの配合量はセタノールよりも多量とする。そして、セタノールとステアリルアルコールの総配合量は3.0〜10質量%であると良く、セタノールに対するステアリルアルコールの量は、特に限定されないが、例えばセタノール1.0質量部に対してステアリルアルコールを1.5〜2.5質量部にすると良い。
【0023】
ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸塩とアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーンを併用することが、しっとり感とまとまりを向上させるには好適である。これらの配合量は、通常、ヒアルロン酸塩が0.040質量%以下(好ましくは0.0030〜0.020質量%)、アミノ変性シリコーンが10質量%以下(好ましくは2.0〜7.0質量%)である。
【0024】
植物油を本実施形態に係る毛髪処理剤に配合することは、しっとり感、まとまりをより良好にする観点から好適である。配合量は、0.50〜5.0質量%が通常であり、1.0〜4.0質量%が良い。
【0025】
植物油としては、例えば、アーモンド油、アサ種子油、アブラナ種子油、アボガド油、アマナズナ種子油、アマニ油、アルガニアスピノサ核油、アンズ核油、ウメクロモドキ油、エゴマ油、エチウムプランタギネウム種子油、オリーブ油、カノラ油、カヤ種子油、キョウニン油、ククイナッツ油、クランベアビシニカ種子油、クランベリー種子油、クルミ種子油、クロフサスグリ種子油、コーン油、コケモモ種子油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ゴヨウマツ種子油、サザンカ油、サフラワー油、サラソウジュ種子油、シア脂油、シソ種子油、シロバナルーピン種子油、水添アボガド油、水添オリーブ油、水添ダイズ油、水添ナタネ種子油、水添パーム核油、水添パーム油、水添ヒマシ油、水添ホホバ油、水添ヤシ油、スクレロカリアビレア油、ダイズ油、チャボトケイソウ種子油、チャ実油、月見草油、ツバキ油、ツルコケモモ種子油、トウツバキ種子油、パーシック油、パーム油、ハトムギ油、ババス油、ピーナッツ油、ピスタシオ種子油、ヒポファエラムノイデス油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ビルベリー種子油、ブドウ種子油、プルーン種子油、ブロッコリー種子油、ヘーゼルナッツ油、ヘチマ種子油、ペポカボチャ種子油、ホホバ油、ホロムイイチゴ種子油、マカデミアナッツ油、マツ種子油、マンゴー種子油、メドウフォーム油、綿実油、モモ核油、ヤシ油、ユチャ油、ヨーロッパキイチゴ種子油、リンゴ種子油、ルリジサ種子油、ローズヒップ油、ワサビノ種子油が挙げられる。アボガド油、ローズヒップ油、トウツバキ種子油が好適であり、トウツバキ種子油、ローズヒップ油がより好適である。
【0026】
本発明の効果を損なうことがないかぎり、上記の通り、公知となっている毛髪処理剤原料を本実施形態に係る毛髪処理剤に配合しても良い。その原料としては、例えば、コレステロールエステル、ペンタエリスリトールエステルなどのエステル;脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩、モノメチル4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤;エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミドなどのノニオン界面活性剤;イミダゾリンベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタインなどの両性界面活性剤;アミノ酸、タンパク加水分解物などのコンディショニング剤;シリコーンなどのシリコーン誘導体;安息香酸塩、メチルイソチアゾリノンなどの防腐剤;ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールなどの酸化防止剤;pH調整剤;エデト酸塩などのキレート剤;香料;が挙げられる。
【0027】
本実施形態に係る毛髪処理剤のpHは、例えば、5.8〜6.8(温度25℃での測定値)である。また、粘度は、適宜設定されるべきものであり、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が15000〜45000mPa・sである。
【0028】
本実施形態の毛髪処理剤は、シャンプーによる洗髪後、乾燥前の毛髪トリートメントに使用することが好適なものである。また、コンディショニングシャンプー、リンスインシャンプー、パーマネントウェーブ用剤、ストレートパーマ剤、酸化染毛剤、ヘアブリーチ、ヘアカラープレトリートメント、ヘアカラーアフタートリートメント、パーマプレトリートメント、パーマアフタートリートメント、ヘアマニキュアなどにも適用しても良い。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の実施例に係る毛髪処理剤などを挙げつつ、本発明をより具体的に説明する。
【0030】
(毛髪処理剤)
水に原料を配合して、下記表1〜7に示す濃度(単位:質量%)の毛髪処理剤の乳化物を調製した。なお、臭化セチルトリメチルアンモニウムの配合には東邦化学工業社製「カチナールHTB−70ET」を使用し、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムの配合には東邦化学工業社製「カチナールSTB−70」を使用し、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムの配合には日光ケミカルズ社製「NIKKOL CA3475V」を使用し、ヤシ油脂肪酸ショ糖エステルの配合には第一工業製薬社製「DKエステル S−L18A」を使用した。
【0031】
(評価方法)
シャンプーで洗髪した頭髪に上記調製した約3gの毛髪処理剤を塗布し、揉み込んだ。このとき、頭髪の左半分に塗布した毛髪処理剤と右半分に塗布した毛髪処理剤は、異なるものとした。その後、頭髪を水洗し、ドライヤーで乾燥した。乾燥後、毛髪のしっとり感・毛先までのまとまり(しっとり感・まとまり)、毛先までの均一感、毛先の柔らかさ、毛髪全体の柔らかさ(柔らかさ)について、左半分と右半分の毛髪の直接対比評価を専門の評価者2〜3名が行った。
【0032】
上記毛髪処理剤の評価では、以下のシャンプーA〜Eのいずれかを使用した。
シャンプーA:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース0.3質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム11.0質量%、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム3.0質量%と共に、アミノ変性シリコーン、コンディショニング成分、香料などを水に配合したシャンプー。
【0033】
シャンプーB:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース0.5質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム11.0質量%、ラウロイルシルクアミノ酸ナトリウム0.4質量%、およびアシルリンゴアミノ酸ナトリウム2.0質量%と共に、アミノ変性シリコーン、コンディショニング成分、香料などを水に配合したシャンプー。
【0034】
シャンプーC:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース0.6質量%、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール0.02質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム7.0質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム4.0質量%、ラウロイルシルクアミノ酸ナトリウム0.4質量%、およびアシルリンゴアミノ酸ナトリウム2.0質量%と共に、アミノ変性シリコーン、コンディショニング成分、香料などを水に配合したシャンプー。
【0035】
シャンプーD:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース0.5質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム11.0質量%、ラウロイルシルクアミノ酸ナトリウム0.4質量%、およびアシルリンゴアミノ酸ナトリウム3.0質量%と共に、アミノ変性シリコーン、コンディショニング成分、香料などを水に配合したシャンプー。
【0036】
シャンプーE:ミルボン社製「ディーセス アウフェ ベースアクアA」
【0037】
毛髪処理剤の評価結果を、配合した原料濃度(単位:質量%)と共に、下記表1〜7に示す。なお、表中の「しっとり感・まとまり」などの評価結果は、数値が高いほど良い評価結果であったことを表している。
【0038】
【表1】

【0039】
表1では、毛髪処理剤1a〜1dが対比対象であり、2a〜2cとが対比対象である。表1において、セタノールのみを配合した(ステアリルアルコールとの併用ではない)毛髪処理剤1aよりも、セタノールとステアリルアルコールを併用した1b〜1dのしっとり感・まとまり、毛先までの均一感が優れていたことを確認でき、更に、セタノールよりも多量にステアリルアルコールが配合された1dの方が、セタノールが多量配合された1b〜1cよりもしっとり感・まとまり等が優れていたことを確認できる。また、ステアリルアルコールのみを配合した(セタノールとの併用ではない)毛髪処理剤2cよりも、セタノールとステアリルアルコールを併用した2a〜2bのしっとり感・まとまりなどが優れていたことを確認できる。
【0040】
【表2】

【0041】
表2の毛髪処理剤3aと3bとを対比すると、第4級アンモニウム塩(Ia)としてステアリルトリメチルアンモニウム塩を選択すれば、毛先の柔らかさに有意であると分かる。
【0042】
【表3】

【0043】
表3の毛髪処理剤4a〜4cとを対比すると、第4級アンモニウム塩(Ia)の量が増加するほど柔らかさが向上し、第4級アンモニウム塩(Ia)の配合量が1.5質量%以上が良く、2.0質量%以上が好ましいことが分かる。
【0044】
【表4】

【0045】
表3の毛髪処理剤5aと5bとを対比すると、セタノールとステアリルアルコールの総配合量の増量に伴い、しっとり感・まとまり、毛先までの均一感が向上したことを確認できる。
【0046】
【表5】

【0047】
表5では、毛髪処理剤6aと6bが対比対象であり、7aと7bが対比対象であり、8a〜8cとが対比対象である。表5において、6aと6bとの対比から、第4級アンモニウム塩(Ib)の配合によりしっとり感・まとまりが向上し、7aと7bとの対比から、第4級アンモニウム塩(Ib)の配合量を増やすとしっとり感・まとまりなどが低下することもあることから、その配合量の上限を1.0質量%程度にすることがしっとり感・まとまり、柔らかさの観点から適切であると確認できる。
【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
表7の10a、10b、11a〜11cの評価結果から、カチオン界面活性剤、セタノール、ステアリルアルコールを配合した毛髪処理剤では、アボガド油、ローズヒップ油、トウツバキ種子油が、ブドウ種子油よりもしっとり感・まとまりの点で好適な植物油であることを確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される第4級アンモニウム塩(I)、セタノール、およびステアリルアルコールが配合され、
セタノールよりもステアリルアルコールの配合量が多いことを特徴とする毛髪処理剤。
【化1】

[一般式(I)において、R1は炭素数14〜20のアルキル基を表し、R2はメチル基または炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【請求項2】
第4級アンモニウム塩(I)として少なくとも下記一般式(Ia)で表される第4級アンモニウム塩(Ia)が1.5〜6.0質量%配合されており、
セタノールとステアリルアルコールの総配合量が3.0質量%以上である請求項1に記載の毛髪処理剤。
【化2】

[一般式(Ia)において、R3は炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【請求項3】
第4級アンモニウム塩(I)として少なくとも下記一般式(Ib)で表される第4級アンモニウム塩(Ib)が1.0質量%以下配合された請求項1または2に記載の毛髪処理剤。
【化3】

[一般式(Ib)において、R4は炭素数14〜20のアルキル基を表わし、R5は炭素数14〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
【請求項4】
ヒアルロン酸塩とアミノ変性シリコーンが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
植物油が配合された請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
洗髪後の毛髪トリートメントに用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。

【公開番号】特開2010−138108(P2010−138108A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315908(P2008−315908)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】