説明

毛髪化粧料

【課題】ヘアコンディショナーやヘアリンス等の塗布の際の毛髪感触を向上させるための手段の提供。
【解決手段】(1)下記式(I)にて表される第三級アミン化合物を、化粧料の0.01〜10質量%


[Rは炭素数6〜24の直鎖・分岐鎖のアルキル基、Aはアミド基・エーテル基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4の直鎖・分岐鎖のヒドロキシアルキレン基・ヒドロキシアルキレニル基、R及びRは同一又は異なる水素原子・炭素数1〜3の直鎖・分岐鎖のアルキル基](2)高級アルコール及び/又は高級脂肪酸を化粧料の0.1〜20質量%(3)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸とその塩及び一塩基酸の有機酸のいずれか一方(4)水。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は、一般に、艶や指通りが悪くなるため、ヘアコンディショナー等の毛髪処理剤が用いられている。
【0003】
このような毛髪処理剤には、通常、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤が配合されている。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果が高いため、処理剤をはじめ、各種の毛髪化粧料に配合されている。
【0004】
また、毛髪のコンディショニング効果、特に、乾燥後に良好な毛髪のすべり性としっとり感を付与するために、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤に代えて、ヒドロキシエーテルアミン化合物を配合する毛髪化粧料(特許文献1、2)や、アミドアミンを配合する毛髪化粧料(特許文献3)が提供されている。
【0005】
さらに、アルコキシプロピルジメチルアミンを配合した毛髪化粧料(特許文献4、5)等が開示されている。また、高粘度のジメチルポリシロキサンを配合することによって、使用感触を改善する毛髪化粧料も開示されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−323495号公報
【特許文献2】特開2007−161605号公報
【特許文献3】特開平9−71516号公報
【特許文献4】特開2004−67534号公報
【特許文献5】特開2004−2261号公報
【特許文献6】特開平4−305516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、洗髪時におけるヘアコンディショナーやヘアリンス等の塗布の際の毛髪感触に着目し、当該感触(以下、塗布時感触ともいう)を向上させるための手段を提供することを課題とする発明である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題の解決に向けて検討を行ったところ、驚くべきことに、下記の構成の毛髪化粧料を提供することにより解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分(1)〜(4)を含有する毛髪化粧料(以下、本発明の毛髪化粧料ともいう)を提供する発明である。
(1)下記式(I)にて表される第三級アミン化合物を、化粧料の0.01〜10質量%
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、Rは炭素数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、Aは、アミド基又はエーテル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキレン基又はヒドロキシアルキレニル基であり、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。]
(2)高級アルコール及び/又は高級脂肪酸を、化粧料の0.1〜20質量%
(3)下記(3−1)及び(3−2)のいずれか一方
(3−1)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸
(3−2)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸塩及び一塩基酸である有機酸
(4)水
【0012】
上記の第三級アミン化合物(I)は、N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン、N−ステアロキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、又は、N−ステアラミドプロピル−N,N−ジメチルアミンであることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、洗髪時におけるコンディショナーやヘアリンスの塗布の際の毛髪感触に優れる毛髪化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<必須配合成分>
本発明の毛髪化粧料の必須の配合成分は、上記の(1)〜(4)に示す通りである。
【0015】
(1)第三級アミン化合物(I)
炭素数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であるRは、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、イソステアリル基等が挙げられる。また、Rがとり得る、炭素数2〜4のアルキレン基は、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基であり、炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキレン基としては、例えば、ヒドロキシメチレン基、1−ヒドロキシエチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、1−ヒドロキシトリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、3−ヒドロキシトリメチレン基、1−ヒドロキシテトラメチレン基、2−ヒドロキシテトラメチレン基、3−ヒドロキシテトラメチレン基、4−ヒドロキシテトラメチレン基、1−ヒドロキシペンタメチレン基、2−ヒドロキシペンタメチレン基、3−ヒドロキシペンタメチレン基、4−ヒドロキシペンタメチレン基、5−ヒドロキシペンタメチレン基、1−ヒドロキシヘキサメチレン基、2−ヒドロキシヘキサメチレン基、3−ヒドロキシヘキサメチレン基、4−ヒドロキシヘキサメチレン基、5−ヒドロキシヘキサメチレン基、6−ヒドロキシヘキサメチレン基、等が挙げられる。R及びRは、上述のように、同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。
【0016】
本発明において特に好適な第三級アミン化合物(I)は、Rがステアリル基(オクタデシル基)であり、Aがエーテル基又はアミド基であり、Rが2−ヒドロキシプロピル基(2価基)、プロピル基(2価基)であり、R及びRが、共にメチル基である、N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン、N−ステアロキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、又は、N−ステアラミドプロピル−N,N−ジメチルアミンである。
【0017】
第三級アミン化合物(I)は、その化学構造に応じた常法により製造することが可能である。例えば、N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミンは、その化学構造に応じた常法、例えば、特許文献1に開示の方法によって製造することができるが、その他公知の方法を用いてもよい。
【0018】
概説すれば、高級アルコールとBFエーテル錯体を仕込み、さらに、50〜90℃に加熱撹拌下にてエピクロルヒドリンを滴下し、熟成後、1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパンを得、当該1−クロロ−3−アルコキシ−2−ヒドロキシプロパンと25%NaOHを仕込んで熟成を行い、2層分離し、水層をカット後、脱水して、1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパンを得る。さらに、当該1,2−エポキシ−3−アルコキシプロパンに、ジメチルアミン又はモノメチルアミンを2〜3時間かけて添加し、熟成後、過剰のジメチルアミン又はモノメチルアミン等を減圧留去することにより、目的のN−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン(II)を得ることができる。
【0019】
本発明の毛髪化粧料における第三級アミン化合物(I)の配合量は、化粧料の0.01〜10質量%であり、好適には0.1〜5.0質量%である。当該配合量が0.01質量%未満であると、本願発明の塗布時感触の向上が実質的に期待できず、第三級アミン化合物(I)の配合による毛髪に対するコンディショニング効果が認められなくなる傾向があり、10質量%を超えると大量配合に見合った塗布時感触の向上効果が実質的に認められなくなる。
【0020】
(2)高級アルコールと高級脂肪酸
本発明の毛髪化粧料に配合可能な高級アルコールと高級脂肪酸は、化粧料等の外用組成物一般において用いられているものを、それぞれ1種又は2種以上を選択して用いることができる。高級アルコールと高級脂肪酸を組み合わせて配合することも可能である。
【0021】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。また、高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸等が挙げられる。これらの中で、高級アルコールとしてはステアリルアルコールが、高級脂肪酸としてはステアリン酸が、好適なものとして挙げられる。
【0022】
高級脂肪酸及び/又は高級アルコールの、本発明の毛髪化粧料における配合量としては、化粧料の0.1〜20質量%、好適には1〜10質量%である。当該配合量が0.1質量%未満では本願発明の塗布時感触の向上が実質的に期待できず、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールの配合による毛髪に対するコンディショニング効果が認められなくなる傾向があり、20質量%を超えると大量配合に見合った塗布時感触の向上効果が、実質的に認められなくなる。
【0023】
(3)特定の酸類
本発明の毛髪化粧料には、下記(3−1)と(3−2)に示すいずれか一方を配合することが必要である。
【0024】
(3−1)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸
本発明の毛髪化粧料における、置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸(以下、長鎖芳香族有機酸ともいう)は、炭素数が8〜22のアルキル基、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、等を芳香族環の置換基として含む、芳香族有機酸であることが好適である。
【0025】
具体的には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸エタノールアミン、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸誘導体;p−デシル安息香酸等の安息香酸誘導体等、が挙げられる。
【0026】
これらの長鎖芳香族有機酸は、必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料における長鎖芳香族有機酸の配合量は特に限定されないが、好適には上述した第三級アミン化合物(I)に対して0.1モル以上、好適には0.5モル以上である。当該配合量が0.1モル未満であると、塗布時感触が製剤の粘度低下により損なわれる傾向が強くなる。当該配合量の上限は特に限定されるものではないが、1モルを超えると配合量の増加に見合った塗布時感触の向上効果が認められ難くなり、芳香族有機酸の過剰な存在による臭いや刺激等が認められる傾向にある。
【0028】
(3−2)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸塩及び一塩基酸である有機酸
本発明の毛髪化粧料における、置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸の塩(以下、長鎖芳香族有機酸塩ともいう)は、炭素数が8〜22のアルキル基、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、等を芳香族環の置換基として含む、芳香族有機酸の塩であることが好適である。
【0029】
具体的には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸エタノールアミン、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸誘導体;p−デシル安息香酸等の安息香酸誘導体等の塩が挙げられる。
【0030】
これらの長鎖芳香族有機酸塩は、必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好適である。なお、ここにいう塩とは、製薬学上許容される全ての塩を意味するものであり、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0031】
本発明の毛髪化粧料における長鎖芳香族有機酸塩の配合量は特に限定されないが、好適には上述した第三級アミン化合物(I)に対して0.1モル以上、好適には0.5モル以上である。当該配合量が0.1モル未満であると、塗布時感触が製剤の粘度低下により損なわれる傾向が強くなる。当該配合量の上限は特に限定されるものではないが、1モルを超えると配合量の増加に見合った塗布時感触の向上効果が認められ難くなり、芳香族有機酸塩の過剰な存在による臭いや刺激等が認められる傾向にある。
【0032】
一塩基酸である有機酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ピロリドンカルボン酸、酢酸、酪酸、グルタミン酸等が挙げられる。一塩基酸である有機酸を本発明の毛髪化粧料に添加することで、モノアルキル型の疑似カチオン界面活性剤が形成され、さらに、上記の芳香族有機酸塩が、形成されたラメラ構造のリンスゲルの隙間(パリセード層)に入り込む。このような状態を形成するための一塩基酸である有機酸の本発明の毛髪化粧料への配合量は、第三級アミン化合物(I)に対して0.1モル以上、好適には0.5〜1.0モルである。また、系のpHは、使用する一塩基酸である有機酸のpKa付近であることが好適である。
【0033】
(4)水
水は、イオン交換水、精製水、水道水、自然水等を用いることが可能であり、本発明の毛髪化粧料の剤形と形態に応じて自由に配合することができる。具体的には、上記の他の必須成分の配合量(質量%)と、毛髪化粧料の剤形と形態を考慮した、下記の他の成分の配合量(質量%)の残分として配合することが典型的である。
【0034】
<選択的配合成分>
(1)芳香族環骨格を有するアルコール
本発明の毛髪化粧料には、さらに、芳香族環骨格を有するアルコールを配合することにより、塗布時感触をいっそう向上させることが可能である。この芳香族環骨格を有するアルコールとしては、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール等を挙げることができるが、フェノキシエタノールが好適である。また、芳香族環骨格を有するアルコールの本発明の毛髪化粧料における配合量としては、化粧料の0.01〜3質量%、好適には0.1〜1質量%である。当該配合量が0.01質量%未満では、本発明の塗布時感触のさらなる向上が実質的に期待できず、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールの配合による毛髪に対するコンディショニング効果をさらに向上させることも困難であり、3質量%を超えると、塗布時感触の追加的な向上が限界に達し、配合量の増加に見合った効果が実質的に認められなくなる。
【0035】
(2)その他の成分
その他、本発明の毛髪化粧料には、必要に応じて、上記以外の成分を、本発明の効果を実質上損なわない質的、量的な範囲内で配合することができる。例えば、本発明の毛髪化粧料が、ヘアコンディショナー又はヘアリンスである場合には、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤が一般的な配合成分として例示される。また、本発明の毛髪化粧料がシャンプーである場合には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アシルメチルタウリン酸、N−アシルグルタミン酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミン等の非イオン性界面活性剤等が特徴的な一般的配合成分として挙げられる。
【0036】
さらに、毛髪化粧料の形態を問わず、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の上記の高級脂肪酸と高級アルコール以外の油分;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の保湿剤;カチオン化セルロース等のカチオン性高分子等のコンディショニング剤;トリクロロカルバニリド、イオウ、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール等の抗フケ用薬剤;増粘剤;粘度調整剤;乳濁剤;金属イオン封鎖剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;防腐剤;粉末成分;血行促進剤、局所刺激剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、殺菌剤、消炎剤、アミノ酸、ビタミン類、生薬エキス類等の育毛薬剤;pH調整剤;色素;香料;低級アルコール等が挙げられる。
【0037】
(3)本発明の毛髪化粧料
本発明の毛髪化粧料は、選択する剤形と形態に応じた方法に従って製造することが可能であり、典型的には、上記の必須配合成分と必要な選択的成分を、水等の溶剤に溶解させることにより製造され、その製品形態としては、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアシャンプー、リンスインシャンプー等が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0039】
<評価方法>
本発明の毛髪化粧料に関し用いた評価手法を以下に示す。
【0040】
(1)使用感触試験
塗布時感触に関する実使用試験を、女性パネル6名により行った。具体的には、洗髪直後の濡れた毛髪に、試験品(ヘアリンス)を、適量手にとって塗布し、その際の塗布感触を、(1)製剤の毛髪上での伸び、(2)髪のしなやかさ、(3)毛髪のなめらかさ、(4)毛髪のしっとり感、の4項目について下記基準により評価を行った。
【0041】
◎:良好と回答したパネルが4人以上である。
○:良好と回答したパネルが3人である。
○△:良好と回答したパネルが2人である。
△:良好と回答したパネルが1人である。
×:良好と回答したパネルが0人である。
【0042】
<試験例>
下記表1に示す処方のヘアリンスを、当該処方成分を精製水の中に溶解混合することにより調製した。併せて、上記の試験を行った結果も表1に示す。なお、表1において、ステアロキシヒドロキシプロピルアミンは、N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミンであり、それ以降においても同様である。また、同じく、ステアロキシプロピルヒドロキシルアミンは、N−ステアロキシプロピル−N,N−ジメチルアミンであり、それ以降においても同様である。さらに、おなじくステアラミドプロピルジメチルアミンは、N−ステアラミドプロピル−N,N−ジメチルアミンであり、それ以降においても同様である。
【0043】
【表1】

【0044】
表1において、実施例1〜15により、本発明の規定内において、第三級アミン化合物(ステアロキシヒドロキシプロピルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン)と長鎖芳香族有機酸又はその塩全般、さらに、一塩基酸である有機酸を配合した系について、本発明の所期の効果である塗布時感触の向上が認められることが明らかになった。
【0045】
また、比較例1により、ステアロキシヒドロキシプロピルアミン(第三級アミン化合物(I))の配合量が少ないと、他の必須成分の配合量が本発明の規定内であっても、塗布時感触は全ての項目において良くないことが判明した。比較例2においては、ステアロキシヒドロキシプロピルアミンの配合量が、本発明の規定範囲よりも多い場合も、塗布時感触がかえって優れないことが判明した。比較例3と4により、ステアリルアルコール(高級アルコール)の配合量が、過少(比較例3)であっても、過多(比較例4)であっても、塗布時感触が劣る傾向にあることが判明した。
【0046】
比較例5〜7により、塩基酸数が2以上の有機酸を配合した場合も、塗布時感触は、一塩基酸である有機酸を配合する本発明には及ばないことが明らかになった。また、比較例8により、有機酸を全く配合しない場合には、塗布時感触に劣ることが判明した。
【0047】
なお、芳香族環骨格を有するアルコールであるフェノキシエタノールの配合の効果は、各実施例にのみ認められ、比較例においては認められなかった。
【0048】
以下、本発明の毛髪化粧料の処方例を開示する。
【0049】
[処方例1] ヘアコンディショナー
配合成分 配合量(質量%)
(1)N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン
1.5
(2)乳酸 0.6
(3)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5
(4)ステアリルアルコール 5.0
(5)ステアリン酸 0.5
(6)モノステアリン酸グリセリン 0.5
(7)ピロリドンカルボン酸 0.4
(8)ヒドロキシエチル尿素 0.4
(9)トウツバキ種子油 0.1
(10)高重合ポリエチレングリコール(Mw400万) 0.1
(11)第4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム−61) 0.1
(12)ジメチコン(20mPa・s) 5.0
(13)ジメチコノール(1万mPa・s) 1.0
(14)ミネラルオイル 0.3
(15)パルミチン酸オクチル 0.3
(16)ソルビトール 10.0
(17)ジグリセリン 3.0
(18)イソプレングリコール 4.0
(19)POE(10)POP(7)ジメチルエーテル(ランダム共重合体) 0.2
(20)香料 0.6
(21)カチオン化デンプン 0.1
(22)トウガラシチンキ 0.05
(23)メントール 0.1
(24)バニリルブチルエーテル 0.02
(25)カラスムギ抽出液 0.1
(26)フェノキシエタノール 0.4
(27)ベンジルオキシエタノール 0.3
(28)精製水 残余
【0050】
<製造方法>
精製水以外を70℃に温めて、固形分を融解させる。70℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。
【0051】
[処方例2] ヘアコンディショナー
配合成分 配合量(質量%)
(1)N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン
2.5
(2)ステアリルアルコール 6.0
(3)固形パラフィン 0.5
(4)モノオレイン酸グリセリン 0.4
(5)ドデシルベンゼンスルホン酸 1.3
(7)香料 0.4
(8)ジメチコン(1000mPa・s) 0.5
(9)ベンジルアルコール 0.3
(10)アモジメチコン(1000mPa・s) 1.0
(11)ジメチコノール(4000mPa・s) 2.0
(12)イソステアリン酸イソセチル 1.0
(13)グリセリン 5.0
(14)イソプレングリコール 2.0
(15)POE(35)POP(40)ジメチルエーテル(ブロック共重合体) 0.3
(16)カチオン化セルロース 0.5
(17)ビワ抽出液 0.2
(18)メチルパラベン 0.3
(19)精製水 残余
【0052】
<製造方法>
精製水以外を80℃に温めて、固形分を融解させる。80℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。
【0053】
[処方例3] ヘアトリートメント
配合成分 配合量(質量%)
(1)N−ステアロキシプロピル−N,N−ジメチルアミン 1.0
(2)グリコール酸 0.5
(3)ステアリルアルコール 5.0
(4)ステアリン酸 0.3
(5)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.3
(6)ピロリドンカルボン酸 0.05
(7)香料 0.4
(8)ジメチコン(6mPa・s) 10.0
(9)高重合メチルポリシロキサン(100万mPa・s) 1.0
(10)アモジメチコン(1000mPa・s) 2.0
(11)パルミチン酸オクチル 1.0
(12)POE(5)イソステアリルグリセリルエーテル 0.2
(13)ソルビトール 15.0
(14)ジグリセリン 2.0
(15)ジプロピレングリコール 10.0
(16)高重合ポリエチレングリコール(Mw200万) 0.2
(17)ヒドロキシエチルセルロース 0.2
(18)メントール 0.1
(19)バラ抽出液 0.4
(20)大豆レシチン 0.2
(21)精製水 残余
【0054】
<製造方法>
精製水以外を70℃に温めて、固形分を融解させる。70℃の水を攪拌混合しながら添加する。更に、常温まで冷却する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(1)〜(4)を含有する毛髪化粧料。
(1)下記式(I)にて表される第三級アミン化合物を、化粧料の0.01〜10質量%
【化1】

[式中、Rは炭素数6〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、Aは、アミド基又はエーテル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐鎖のヒドロキシアルキレン基又はヒドロキシアルキレニル基であり、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。]
(2)高級アルコール及び/又は高級脂肪酸を、化粧料の0.1〜20質量%
(3)下記に示す(3−1)及び(3−2)のいずれか一方
(3−1)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸
(3−2)置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸塩及び一塩基酸である有機酸
(4)水
【請求項2】
第三級アミン化合物(I)が、N−(2−ヒドロキシ−3−ステアロキシプロピル)−N,N−ジメチルアミン、N−ステアロキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、又は、N−ステアラミドプロピル−N,N−ジメチルアミンである、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
置換基に炭素数が8以上のアルキル基を有する芳香族酸又はその塩が、ベンゼンスルホン酸誘導体又はその塩、あるいは、安息香酸誘導体又はその塩である、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−241773(P2010−241773A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95431(P2009−95431)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】