気化器
【課題】 気化器内の圧力の挙動を安定させることができる気化器を提供する。
【解決手段】 流入口及び流出口を備えるチャンバーと、該チャンバー内を加熱する加熱装置と、該チャンバー内に設けられ、該チャンバー内の液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体13と、隔壁構造体13の下部に設けられ、隔壁構造体13で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部20と、を備え、前記隔壁構造体が、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することとした。
【解決手段】 流入口及び流出口を備えるチャンバーと、該チャンバー内を加熱する加熱装置と、該チャンバー内に設けられ、該チャンバー内の液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体13と、隔壁構造体13の下部に設けられ、隔壁構造体13で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部20と、を備え、前記隔壁構造体が、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化器に係り、詳しくは主として液体の有機金属材料を気化するための気化器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化合物半導体やITO膜等の成膜工程において、有機金属気相成長法(MOCVD :Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が用いられている。そして、有機金属気相成長法では、液体の有機金属材料をキャリアガスでバブリングして気体とする、いわゆるバブリング法を用いた気化器が広く知られている(特許文献1、2等)。
【0003】
しかしながら、バブリング法を用いる気化器では、バブリング流量、液面レベル、バブリングの気泡径、液温度などの様々なパラメータの変動によって気化ガスの供給濃度に変動を生じるという問題があった。
【0004】
そのため、キャリアガスを用いることなく、原料ガスを気化器内で加熱して気化させ、気化させた原料ガスそのものを高温対応の圧力調整式流量制御装置により流量制御して反応容器に供給する、液体材料気化供給システムが提案されている(特許文献3)。この液体材料気化供給システムを用いて有機金属ガスの流量制御を行うことにより、バブリング法で問題となるバブリング流量等の影響を受けずに流量を制御することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−88477号
【特許文献2】特開2010−284628号
【特許文献3】特開2009−252760号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記液体材料気化供給システムでは、制御されたタイミングで間欠的に液体材料である有機金属材料が気化器内に供給されるが、液体材料を供給した後の気化器内の圧力の挙動が、液体材料が供給される毎に異なり、不安定であった。
【0007】
そこで、本発明は、気化器内の圧力の挙動を安定させることができる気化器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る気化器は、流入口及び流出口を備えるチャンバーと、該チャンバー内に収容される液体材料を加熱する加熱装置と、該チャンバー内の液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体と、前記隔壁構造体で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部と、を備え、前記隔壁構造体は、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することを特徴とする。
【0009】
前記液流通部は、前記隔壁構造体の下端に形成された切り欠き部であることが好ましい。
【0010】
前記隔壁構造体は、好ましくは、複数枚の隔壁プレートを交差状に連結することにより形成される。
【0011】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは、上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、該第1のスリットに前記第2の隔壁プレートを挿し込むことによって該第2の隔壁プレートと連結されることが好ましい。
【0012】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第2の隔壁プレートは、下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、該第2のスリットに前記第1の隔壁プレートを挿し込むことによって該第1の隔壁プレートと連結されることが好ましい。
【0013】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、前記第2の隔壁プレートは下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、前記第1のスリットの下端に前記第2のスリットを挿し込むことにより、前記第1のプレートと前記第2のプレートとが連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る気化器によれば、チャンバー内で気化される液体材料を複数の細分化された区画に区分けする隔壁構造体を設けたので、液体材料中の熱分布を均一にし、大きな対流が発生することによる液体材料温度の不均一を防ぐことによって、気化器内の圧力挙動を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る気化器を含む液体材料気化供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る気化器の構成要素である隔壁構造体の組立前の隔壁プレートを示す平面図である。
【図3】図2の隔壁プレートを組み合わせた隔壁構造体を斜め上方から視た斜視図である。
【図4】図3の隔壁構造体を底側から視た斜視図である。
【図5】本発明実施例を用いた液体材料気化供給システムで流量制御した場合の気化器内の圧力と気化器外面の温度の時間変化を示すグラフである。
【図6】比較例の液体材料気化供給システムで流量制御した場合の気化器内の圧力と気化器外面の温度の時間変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る気化器の構成要素である隔壁構造体の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】比較例の気化器内の熱対流を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、以下に図1〜図8を参照して説明する。なお、全図を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0017】
図1は、気化器1を含む液体材料気化供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。図1を参照すれば、液体材料気化供給システムでは、耐圧密閉型の液体材料容器2に溜められた液体材料である有機金属材料MOは、窒素ガス等の不活性圧送用ガスGがバルブ3、レギュレータ4を介し圧送ガス供給管5を通じて液体材料容器2の上部に圧送されることにより、一端が液体材料に水没させられた液体材料搬送管6を通じて液体材料容器2から押し出され、バルブ7を介して気化器1に供給される。気化器1内で所定温度に加熱されることにより液体状態にあった有機金属材料が気化したガスは、加熱温度に応じた所要の蒸気圧を持って圧力調整式流量制御装置8に送られ、そこで流量制御されて反応容器9に供給される。反応容器9は、下流側の真空ポンプ10で減圧されている。なお、図1において破線で囲まれた領域は、加熱されている領域を示す。
【0018】
気化器1は、流入口1a及び流出口1bを備えるチャンバー11と、チャンバー11内を加熱する加熱装置12と、チャンバー11内に配置されチャンバー11内で気化される液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体13と、を備えている。
【0019】
図示例のチャンバー11は、チャンバー11を通孔14a、15a付き仕切壁14、15によって複数の室11a、11b、11cに仕切られている。液体材料である有機金属材料が供給される第1室11aに隔壁構造体13が収容されており、第1室11aで気化した有機金属ガスは、第2室11b、第3室11cを経ることで、十分に加熱され得る。チャンバー11内の室数は、適宜設定することができ、一室とすることもできる。チャンバー11は、例えばステンレス鋼で形成することができる。
【0020】
加熱装置12は、チャンバー11の前後左右側面、上面及び底面を覆うようにしてヒータープレートを固定することにより構成することができる。ヒータープレートは、例えば、アルミニウムや銅等のプレートにヒータを組み込んだものとすることができる。このような加熱装置12は、特開2009−252760号に開示された公知の加熱装置を充てることができる。加熱装置12は、外部からチャンバー11を加熱するものに限らず、チャンバー11内に配置することもできる。
【0021】
隔壁構造体13は、図2〜図4に示すように、複数枚の隔壁プレート16〜19を直交状に連結することにより、上下開放の格子状アセンブリに形成することができる。隔壁プレート16,17は、上端から下方に延びる第1のスリット16a、17aが形成されている。隔壁プレート18,19は、下端から上方に延びる第2のスリット18a、19aが形成されている。第1のスリット16a、17aに隔壁プレート18,19が挿し込まれ、第2のスリット18a、19aに隔壁プレート16,17が挿し込まれて、隔壁プレート16,17と隔壁プレート18,19とが直交状に連結されている。第2のスリット18a,19aは第1のスリット16a、17aの下端に挿し込まれ、第1のスリット16a,17aは第2のスリット18a,19aの上端に挿し込まれる。隔壁プレート16〜19を連結して隔壁構造体13を形成することにより隔壁構造体13を低コストで製造することができ、第1及び第2のスリット16a〜19aを嵌め合わせるだけで容易に組み立てることができる。なお、隔壁プレートは必ずしも直交状に連結した正方格子状である必要は無く、一定の包囲された区画が形成されるのであれば、隔壁プレート同士を連結する際に鋭角又は鈍角の角度を持たせても良い。
【0022】
隔壁構造体13の下部には、隔壁構造体13で区分けされた各区画の液流通を許容する液流通部20が形成される。液流通部20は、図示例のように、隔壁構造体13の下端に形成された切り欠き部によって構成することができる。液流通部は、隔壁構造体に形成した通孔(図示せず。)とすることもできる。或いは、隔壁構造体13の下部にスペーサ(図示せず。)を介在させるかチャンバー11の内壁に凸部(図示せず。)を形成する等して隔壁構造体13の底面とチャンバー11の内底面との間に形成した間隙によって液流通部を構成することもできる。液流通部20を通じて液体が各隔壁で仕切られた各区画内の液体材料を相互に流通することにより、各区画内の液面が同じになる。
【0023】
上記のような隔壁構造体13は、チャンバー11に溜まった液体材料を複数の小区画に区分けする。このような格子状隔壁構造体13をチャンバー11に収容することによって、区分けされた区画毎に収まっている液体材料の容積が小さくなり、均熱し易く、また、液体材料が隔壁構造体(チャンバー内面からの伝熱により加熱部として作用する。)に接触する表面積も大きくなる。その結果、区画毎に収まった液体材料の均熱性が高まり、大きな対流の発生による温度の不均衡の発生を抑制する効果を生じると考えられる。斯かる効果によって、後に明らかになるように、気化器1内のガス圧力は常に安定な挙動が得られる。
【0024】
圧力調整式流量制御装置8は、図1に示すようにオリフィス30、圧力センサ31、制御弁32、制御回路(図示せず)等を備える従来公知のもので、高温対応のものを充てることができる。圧力調整式流量制御装置(圧力式流量制御装置とも言う。)の流量制御の原理は、「オリフィスの上流側圧力が下流圧力の2倍以上あるとき、オリフィスを流れ出るガスが音速となり、その流量は上流圧力にのみ依存する。」ことを利用している。従って、オリフィスの上流側圧力P1と下流側圧力P2との関係がP1>2P2の場合、オリフィスを流れ出る流量は下記式1のように表され、オリフィス断面積及びオリフィス上流側圧力P1に比例して増加する。半導体プロセスは減圧下で行われることから、多くの場合、P1>2P2の条件(臨界膨張条件)は満たされる。従って、オリフィス上流側圧力P1を検出し、制御弁にてオリフィス上流側圧力を制御することによって流量を制御することができる。
【0025】
【数1】
【0026】
P1<2P2の場合は、下流側の圧力を無視できくなり、オリフィスを流れ出る流量は下記式(2)によって表され、これに基づいた流量制御がなされる。
【0027】
【数2】
【0028】
式(1)、(2)において、Q:標準状態に換算したときの体積流量(sccm)、S:オリフィス断面積(mm2)、P1:オリフィス上流側圧力(絶対圧 kPa)、P2:オリフィス下流側圧力(絶対圧 kPa)、T:オリフィス上流のガス温度(K)、C:ガス固有係数(分子量、ガス密度、比熱比により決定)である。
【0029】
上記実施形態では平面視において正方格子状の隔壁構造体を例示したが、隔壁構造体は、チャンバー11内に収容された液体材料を、更に複数の囲まれた領域に収容することにより、収容範囲を(好ましくは均等に)細分化できる構造であればよく、隔壁による区画形状を種々採用し得るメッシュ状、或いは正六角形の区画に仕切るハニカム状に形成することもできる。また、隔壁をパイプ状部材で形成することもでき、例えば図7に示すようにパイプ状部材21を複数本束ねて溶接する等して連結一体化した隔壁構造体とすることもできる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例によって、限定されるものではない。
【0031】
実施例
実施例では、図1に示した液体材料気化供給システムと同様のシステムを用い、気化器内に図2〜4に示した形状の格子状隔壁構造体を収容した。格子状隔壁構造体は、0.5mm厚のステンレス板で形成し、格子間隔(格子一区画の一辺の長さ)を3.6mm、高さ寸法を2.5cm、液流通部を構成する切り欠き凹部の高さ寸法を1mmとした。液体材料してTMGa(トリメチルガリウム)を用いた。圧送用ガス(窒素ガス)の圧力は絶対圧200kPaに設定した。気化器内の温度が75℃になるように加熱装置を制御した。圧力調整式流量制御装置の下流側圧力は1.8Torrに設定され、圧力調整式流量制御装置により流量を56sccmに制御した。気化器内の液体のTGMaが減少して気化器内の圧力が設定閾値圧力110kPa(絶対圧)になると、液体材料容器内のTMGaを5秒間、気化器に圧送するように制御した。気化器内の圧力(P0)と気化器第1室の外側下面温度の時間変化をモニターした結果を図5のグラフに示す。
【0032】
比較例
比較例は、格子状隔壁構造体を備えない以外は上記の実施例と同じ条件とした。比較例の気化器内の圧力と気化室(第1室)の外側下面温度の時間変化を図6のグラフに示す。
【0033】
図6のグラフから分かるように、比較例では、気化器内の圧力は上昇しながら極大値に達した後、時間の経過に伴って徐々に低下する傾向を示しており、約170kPa〜165kPaの範囲で変動し、一定の値で安定しない。そして、極大値を迎えた後の気化器内圧力の挙動も気化器に液体TGMaを供給する毎に異なっている。すなわち、気化器内圧力は、極大値を迎えた後、そのまま徐々に圧力を低下させるか、一端極大値と同じ圧力で数分間保持するかの二通りの挙動を示している。これは、気化器に供給された液体材料に熱勾配が存在することによって液中に気化室内全体にわたる大きな対流(図8の矢印参照)が起こり、蒸気圧にバラツキを生じることによって、気化器内圧力の挙動に影響を与えていると考えられる。
【0034】
一方、本発明の上記実施例では、図5のグラフから分かるように、気化器内の圧力は173〜174kPa(絶対圧)で安定しており、気化器に液体のTMGaが何度供給されても殆ど同じ挙動を示している。これは、隔壁構造体によって液体収容領域が細分化された結果、液体材料中の温度勾配を小さくし、大きな対流が発生することによる液体材料温度の不均一を防ぐことによって、気化器内の圧力挙動を一定にしていると考えられる。
【0035】
また、図5のグラフと図6のグラフとを比較すると、実施例は気化器外面の温度がほぼ安定しているが、比較例では気化器内の温度に顕著な変動が生じていることが分かる。比較例のように気化器の温度が不安定な場合、温度低下に伴う蒸気圧の低下が発生し、目的の蒸気圧が得られなくなり、蒸気圧の低下が圧力調整式流量制御装置の制御圧力を下回ると、正常な流量制御が不可能となる。それに対し、実施例のように気化器の温度を安定化することによって、上記のような欠点を完全に排除することが出来る。
【0036】
上記の実施例と比較例の結果から、隔壁構造体を気化器内に収容することによって、液体の有機金属材料中の熱分布を均一にし、対流の発生を防ぐことができていると考えられる。従って、気化器内に隔壁構造体を収容することによって、気化器内圧力の安定した挙動を得ることができることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 気化器
13 隔壁構造体
16,17,18,19 隔壁プレート
16a,17a 第1のスリット
18a,19a 第2のスリット
20 液流通部
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化器に係り、詳しくは主として液体の有機金属材料を気化するための気化器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化合物半導体やITO膜等の成膜工程において、有機金属気相成長法(MOCVD :Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が用いられている。そして、有機金属気相成長法では、液体の有機金属材料をキャリアガスでバブリングして気体とする、いわゆるバブリング法を用いた気化器が広く知られている(特許文献1、2等)。
【0003】
しかしながら、バブリング法を用いる気化器では、バブリング流量、液面レベル、バブリングの気泡径、液温度などの様々なパラメータの変動によって気化ガスの供給濃度に変動を生じるという問題があった。
【0004】
そのため、キャリアガスを用いることなく、原料ガスを気化器内で加熱して気化させ、気化させた原料ガスそのものを高温対応の圧力調整式流量制御装置により流量制御して反応容器に供給する、液体材料気化供給システムが提案されている(特許文献3)。この液体材料気化供給システムを用いて有機金属ガスの流量制御を行うことにより、バブリング法で問題となるバブリング流量等の影響を受けずに流量を制御することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−88477号
【特許文献2】特開2010−284628号
【特許文献3】特開2009−252760号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記液体材料気化供給システムでは、制御されたタイミングで間欠的に液体材料である有機金属材料が気化器内に供給されるが、液体材料を供給した後の気化器内の圧力の挙動が、液体材料が供給される毎に異なり、不安定であった。
【0007】
そこで、本発明は、気化器内の圧力の挙動を安定させることができる気化器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る気化器は、流入口及び流出口を備えるチャンバーと、該チャンバー内に収容される液体材料を加熱する加熱装置と、該チャンバー内の液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体と、前記隔壁構造体で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部と、を備え、前記隔壁構造体は、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することを特徴とする。
【0009】
前記液流通部は、前記隔壁構造体の下端に形成された切り欠き部であることが好ましい。
【0010】
前記隔壁構造体は、好ましくは、複数枚の隔壁プレートを交差状に連結することにより形成される。
【0011】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは、上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、該第1のスリットに前記第2の隔壁プレートを挿し込むことによって該第2の隔壁プレートと連結されることが好ましい。
【0012】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第2の隔壁プレートは、下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、該第2のスリットに前記第1の隔壁プレートを挿し込むことによって該第1の隔壁プレートと連結されることが好ましい。
【0013】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、前記第2の隔壁プレートは下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、前記第1のスリットの下端に前記第2のスリットを挿し込むことにより、前記第1のプレートと前記第2のプレートとが連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る気化器によれば、チャンバー内で気化される液体材料を複数の細分化された区画に区分けする隔壁構造体を設けたので、液体材料中の熱分布を均一にし、大きな対流が発生することによる液体材料温度の不均一を防ぐことによって、気化器内の圧力挙動を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る気化器を含む液体材料気化供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る気化器の構成要素である隔壁構造体の組立前の隔壁プレートを示す平面図である。
【図3】図2の隔壁プレートを組み合わせた隔壁構造体を斜め上方から視た斜視図である。
【図4】図3の隔壁構造体を底側から視た斜視図である。
【図5】本発明実施例を用いた液体材料気化供給システムで流量制御した場合の気化器内の圧力と気化器外面の温度の時間変化を示すグラフである。
【図6】比較例の液体材料気化供給システムで流量制御した場合の気化器内の圧力と気化器外面の温度の時間変化を示すグラフである。
【図7】本発明に係る気化器の構成要素である隔壁構造体の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】比較例の気化器内の熱対流を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、以下に図1〜図8を参照して説明する。なお、全図を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0017】
図1は、気化器1を含む液体材料気化供給システムの一実施形態を示す概略構成図である。図1を参照すれば、液体材料気化供給システムでは、耐圧密閉型の液体材料容器2に溜められた液体材料である有機金属材料MOは、窒素ガス等の不活性圧送用ガスGがバルブ3、レギュレータ4を介し圧送ガス供給管5を通じて液体材料容器2の上部に圧送されることにより、一端が液体材料に水没させられた液体材料搬送管6を通じて液体材料容器2から押し出され、バルブ7を介して気化器1に供給される。気化器1内で所定温度に加熱されることにより液体状態にあった有機金属材料が気化したガスは、加熱温度に応じた所要の蒸気圧を持って圧力調整式流量制御装置8に送られ、そこで流量制御されて反応容器9に供給される。反応容器9は、下流側の真空ポンプ10で減圧されている。なお、図1において破線で囲まれた領域は、加熱されている領域を示す。
【0018】
気化器1は、流入口1a及び流出口1bを備えるチャンバー11と、チャンバー11内を加熱する加熱装置12と、チャンバー11内に配置されチャンバー11内で気化される液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体13と、を備えている。
【0019】
図示例のチャンバー11は、チャンバー11を通孔14a、15a付き仕切壁14、15によって複数の室11a、11b、11cに仕切られている。液体材料である有機金属材料が供給される第1室11aに隔壁構造体13が収容されており、第1室11aで気化した有機金属ガスは、第2室11b、第3室11cを経ることで、十分に加熱され得る。チャンバー11内の室数は、適宜設定することができ、一室とすることもできる。チャンバー11は、例えばステンレス鋼で形成することができる。
【0020】
加熱装置12は、チャンバー11の前後左右側面、上面及び底面を覆うようにしてヒータープレートを固定することにより構成することができる。ヒータープレートは、例えば、アルミニウムや銅等のプレートにヒータを組み込んだものとすることができる。このような加熱装置12は、特開2009−252760号に開示された公知の加熱装置を充てることができる。加熱装置12は、外部からチャンバー11を加熱するものに限らず、チャンバー11内に配置することもできる。
【0021】
隔壁構造体13は、図2〜図4に示すように、複数枚の隔壁プレート16〜19を直交状に連結することにより、上下開放の格子状アセンブリに形成することができる。隔壁プレート16,17は、上端から下方に延びる第1のスリット16a、17aが形成されている。隔壁プレート18,19は、下端から上方に延びる第2のスリット18a、19aが形成されている。第1のスリット16a、17aに隔壁プレート18,19が挿し込まれ、第2のスリット18a、19aに隔壁プレート16,17が挿し込まれて、隔壁プレート16,17と隔壁プレート18,19とが直交状に連結されている。第2のスリット18a,19aは第1のスリット16a、17aの下端に挿し込まれ、第1のスリット16a,17aは第2のスリット18a,19aの上端に挿し込まれる。隔壁プレート16〜19を連結して隔壁構造体13を形成することにより隔壁構造体13を低コストで製造することができ、第1及び第2のスリット16a〜19aを嵌め合わせるだけで容易に組み立てることができる。なお、隔壁プレートは必ずしも直交状に連結した正方格子状である必要は無く、一定の包囲された区画が形成されるのであれば、隔壁プレート同士を連結する際に鋭角又は鈍角の角度を持たせても良い。
【0022】
隔壁構造体13の下部には、隔壁構造体13で区分けされた各区画の液流通を許容する液流通部20が形成される。液流通部20は、図示例のように、隔壁構造体13の下端に形成された切り欠き部によって構成することができる。液流通部は、隔壁構造体に形成した通孔(図示せず。)とすることもできる。或いは、隔壁構造体13の下部にスペーサ(図示せず。)を介在させるかチャンバー11の内壁に凸部(図示せず。)を形成する等して隔壁構造体13の底面とチャンバー11の内底面との間に形成した間隙によって液流通部を構成することもできる。液流通部20を通じて液体が各隔壁で仕切られた各区画内の液体材料を相互に流通することにより、各区画内の液面が同じになる。
【0023】
上記のような隔壁構造体13は、チャンバー11に溜まった液体材料を複数の小区画に区分けする。このような格子状隔壁構造体13をチャンバー11に収容することによって、区分けされた区画毎に収まっている液体材料の容積が小さくなり、均熱し易く、また、液体材料が隔壁構造体(チャンバー内面からの伝熱により加熱部として作用する。)に接触する表面積も大きくなる。その結果、区画毎に収まった液体材料の均熱性が高まり、大きな対流の発生による温度の不均衡の発生を抑制する効果を生じると考えられる。斯かる効果によって、後に明らかになるように、気化器1内のガス圧力は常に安定な挙動が得られる。
【0024】
圧力調整式流量制御装置8は、図1に示すようにオリフィス30、圧力センサ31、制御弁32、制御回路(図示せず)等を備える従来公知のもので、高温対応のものを充てることができる。圧力調整式流量制御装置(圧力式流量制御装置とも言う。)の流量制御の原理は、「オリフィスの上流側圧力が下流圧力の2倍以上あるとき、オリフィスを流れ出るガスが音速となり、その流量は上流圧力にのみ依存する。」ことを利用している。従って、オリフィスの上流側圧力P1と下流側圧力P2との関係がP1>2P2の場合、オリフィスを流れ出る流量は下記式1のように表され、オリフィス断面積及びオリフィス上流側圧力P1に比例して増加する。半導体プロセスは減圧下で行われることから、多くの場合、P1>2P2の条件(臨界膨張条件)は満たされる。従って、オリフィス上流側圧力P1を検出し、制御弁にてオリフィス上流側圧力を制御することによって流量を制御することができる。
【0025】
【数1】
【0026】
P1<2P2の場合は、下流側の圧力を無視できくなり、オリフィスを流れ出る流量は下記式(2)によって表され、これに基づいた流量制御がなされる。
【0027】
【数2】
【0028】
式(1)、(2)において、Q:標準状態に換算したときの体積流量(sccm)、S:オリフィス断面積(mm2)、P1:オリフィス上流側圧力(絶対圧 kPa)、P2:オリフィス下流側圧力(絶対圧 kPa)、T:オリフィス上流のガス温度(K)、C:ガス固有係数(分子量、ガス密度、比熱比により決定)である。
【0029】
上記実施形態では平面視において正方格子状の隔壁構造体を例示したが、隔壁構造体は、チャンバー11内に収容された液体材料を、更に複数の囲まれた領域に収容することにより、収容範囲を(好ましくは均等に)細分化できる構造であればよく、隔壁による区画形状を種々採用し得るメッシュ状、或いは正六角形の区画に仕切るハニカム状に形成することもできる。また、隔壁をパイプ状部材で形成することもでき、例えば図7に示すようにパイプ状部材21を複数本束ねて溶接する等して連結一体化した隔壁構造体とすることもできる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例によって、限定されるものではない。
【0031】
実施例
実施例では、図1に示した液体材料気化供給システムと同様のシステムを用い、気化器内に図2〜4に示した形状の格子状隔壁構造体を収容した。格子状隔壁構造体は、0.5mm厚のステンレス板で形成し、格子間隔(格子一区画の一辺の長さ)を3.6mm、高さ寸法を2.5cm、液流通部を構成する切り欠き凹部の高さ寸法を1mmとした。液体材料してTMGa(トリメチルガリウム)を用いた。圧送用ガス(窒素ガス)の圧力は絶対圧200kPaに設定した。気化器内の温度が75℃になるように加熱装置を制御した。圧力調整式流量制御装置の下流側圧力は1.8Torrに設定され、圧力調整式流量制御装置により流量を56sccmに制御した。気化器内の液体のTGMaが減少して気化器内の圧力が設定閾値圧力110kPa(絶対圧)になると、液体材料容器内のTMGaを5秒間、気化器に圧送するように制御した。気化器内の圧力(P0)と気化器第1室の外側下面温度の時間変化をモニターした結果を図5のグラフに示す。
【0032】
比較例
比較例は、格子状隔壁構造体を備えない以外は上記の実施例と同じ条件とした。比較例の気化器内の圧力と気化室(第1室)の外側下面温度の時間変化を図6のグラフに示す。
【0033】
図6のグラフから分かるように、比較例では、気化器内の圧力は上昇しながら極大値に達した後、時間の経過に伴って徐々に低下する傾向を示しており、約170kPa〜165kPaの範囲で変動し、一定の値で安定しない。そして、極大値を迎えた後の気化器内圧力の挙動も気化器に液体TGMaを供給する毎に異なっている。すなわち、気化器内圧力は、極大値を迎えた後、そのまま徐々に圧力を低下させるか、一端極大値と同じ圧力で数分間保持するかの二通りの挙動を示している。これは、気化器に供給された液体材料に熱勾配が存在することによって液中に気化室内全体にわたる大きな対流(図8の矢印参照)が起こり、蒸気圧にバラツキを生じることによって、気化器内圧力の挙動に影響を与えていると考えられる。
【0034】
一方、本発明の上記実施例では、図5のグラフから分かるように、気化器内の圧力は173〜174kPa(絶対圧)で安定しており、気化器に液体のTMGaが何度供給されても殆ど同じ挙動を示している。これは、隔壁構造体によって液体収容領域が細分化された結果、液体材料中の温度勾配を小さくし、大きな対流が発生することによる液体材料温度の不均一を防ぐことによって、気化器内の圧力挙動を一定にしていると考えられる。
【0035】
また、図5のグラフと図6のグラフとを比較すると、実施例は気化器外面の温度がほぼ安定しているが、比較例では気化器内の温度に顕著な変動が生じていることが分かる。比較例のように気化器の温度が不安定な場合、温度低下に伴う蒸気圧の低下が発生し、目的の蒸気圧が得られなくなり、蒸気圧の低下が圧力調整式流量制御装置の制御圧力を下回ると、正常な流量制御が不可能となる。それに対し、実施例のように気化器の温度を安定化することによって、上記のような欠点を完全に排除することが出来る。
【0036】
上記の実施例と比較例の結果から、隔壁構造体を気化器内に収容することによって、液体の有機金属材料中の熱分布を均一にし、対流の発生を防ぐことができていると考えられる。従って、気化器内に隔壁構造体を収容することによって、気化器内圧力の安定した挙動を得ることができることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1 気化器
13 隔壁構造体
16,17,18,19 隔壁プレート
16a,17a 第1のスリット
18a,19a 第2のスリット
20 液流通部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口及び流出口を備えるチャンバーと、
該チャンバー内に収容される液体材料を加熱する加熱装置と、
該チャンバー内に収容される液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体と、
前記隔壁構造体で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部と、を備え、
前記隔壁構造体は、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することを特徴とする気化器。
【請求項2】
前記液流通部は、前記隔壁構造体の下端に形成された切り欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記隔壁構造体は、複数枚の隔壁プレートを交差状に連結することにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の気化器。
【請求項4】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは、上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、該第1のスリットに前記第2の隔壁プレートを挿し込むことによって該第2の隔壁プレートと連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項5】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第2の隔壁プレートは、下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、該第2のスリットに前記第1の隔壁プレートを挿し込むことによって該第1の隔壁プレートと連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項6】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、前記第2の隔壁プレートは下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、前記第1のスリットの下端に前記第2のスリットを挿し込むことにより、前記第1のプレートと前記第2のプレートとが連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項1】
流入口及び流出口を備えるチャンバーと、
該チャンバー内に収容される液体材料を加熱する加熱装置と、
該チャンバー内に収容される液体材料を複数の区画に区分けする隔壁構造体と、
前記隔壁構造体で区分けされた各区画間の液流通を許容する液流通部と、を備え、
前記隔壁構造体は、格子状、ハニカム状、メッシュ状、又は、パイプ状の隔壁を有することを特徴とする気化器。
【請求項2】
前記液流通部は、前記隔壁構造体の下端に形成された切り欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記隔壁構造体は、複数枚の隔壁プレートを交差状に連結することにより形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の気化器。
【請求項4】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは、上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、該第1のスリットに前記第2の隔壁プレートを挿し込むことによって該第2の隔壁プレートと連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項5】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第2の隔壁プレートは、下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、該第2のスリットに前記第1の隔壁プレートを挿し込むことによって該第1の隔壁プレートと連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項6】
前記隔壁プレートは第1の隔壁プレートと第2の隔壁プレートとを含み、前記第1の隔壁プレートは上端から下方へ延びる第1のスリットを有し、前記第2の隔壁プレートは下端から上方へ延びる第2のスリットを有し、前記第1のスリットの下端に前記第2のスリットを挿し込むことにより、前記第1のプレートと前記第2のプレートとが連結されることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−77710(P2013−77710A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216885(P2011−216885)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)研究集会名 国立大学法人東北大学 工学研究科技術社会システム専攻 博士論文本審査会 (2)主催者名 国立大学法人東北大学 工学研究科 (3)共催社名 国立大学法人東北大学 (4)開催日 平成23年8月3日
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)研究集会名 国立大学法人東北大学 工学研究科技術社会システム専攻 博士論文本審査会 (2)主催者名 国立大学法人東北大学 工学研究科 (3)共催社名 国立大学法人東北大学 (4)開催日 平成23年8月3日
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
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