説明

気泡発生装置及びこれを備えた気泡発生システム

【課題】気体を混入した気液流体を貯液槽内で噴出する際に十分な微細気泡を生成して槽内に充満させることが可能な気泡発生装置を提供する。
【解決手段】浴槽などの貯液槽に気液流体を噴出する気液流体噴射手段を流入口と流出口とを有するノズル部材で構成する。このノズル部材には流入口に連なる減圧空洞部を設けこの減圧空洞部内に流入口からの気液噴流を衝突させる衝壁を設ける。そしてこの減圧空洞部に流入口の口径面積と等しいか若しくはこれより大きい口径面積の流出口を配設する。これによって流入口に供給された気液混合流体は減圧空洞部で拡散されるのと同時に衝壁に衝突してその流速が弱められその後流出口から貯液槽に流入されることとなる。従って気液流体は減圧空洞部で拡散され衝壁に衝突する際に微細気泡が生成され次いで吐出口から流速が弱められて流出する際に更に微細気泡が生成され貯液槽内に短時間で微細気泡を充満させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄槽或いは浴槽などの貯液槽内に気泡を生成する気泡発生装置及びこれを備えた気泡発生システムに係わり、詳細には洗浄或いは浴槽内の温水、洗浄水などの液体を流体ポンプで循環する際に空気などの気泡を生成して温浴効果或いは洗浄効果を高める気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗浄槽、浴槽などの貯液槽内に洗浄液、温浴水などを循環させて濾過するのと同時に気泡を生成する装置が広く使用されている。このような装置では粗大気泡に比べ微細気泡の方が物体の細部に進入し易い関係で洗浄効果或いは温浴効果が高いとされている。特に浴槽システムでは温浴水の循環の際に槽内に微細気泡を生成するとこの微細気泡が皮膚内に浸透して温浴効果が高く、又マイナスイオンの効果も期待されている。
【0003】
従来このような気泡発生装置としては、特許文献1に開示されているように槽内の流体を流入口から加圧ポンプで汲み上げる際にエアーポンプから空気を混入し、これをアキュムレータで更に加圧してノズルからジェット噴流として気泡(主に粗大気泡)を含んだ液流を槽内に戻している。この加圧ポンプとしては主に回転ポンプを用いて連続した液流を形成している。このようなバブルジェット方式で貯液槽内に粗大気泡を生成すると貯液槽内の物体(洗浄物或いは人体)にジェット流が噴射され洗浄物の破損或いは人体に不快感を及ぼすことがある。
【0004】
そこで、浴槽、洗浄槽内にジェット噴流を形成することなく静かに微細な気泡を発生させる為には、ノズルの先端部に対流部を設ける装置が例えば特許文献2に提案されている。この文献2には混合タンクで気体(空気)を混入した流体を対流させて混合し、この気液流体をノズルから噴出させる際に微細気泡を発生させる装置が開示されている。
【0005】
同様に貯液槽内に微細気泡を生成するノズル構造として特許文献3には図8(a)に示す弁構造が提案されている。同文献のノズル構造は図8(a)に示すように気泡を混入はした循環水の流路150の出口端に弁座151を設け、この弁座と対向する位置に弁体152を配置し、例えば弁座側の内壁を円錐形状に形成し、この内壁に嵌合するように弁体152を円錐形状に構成している。そして弁体151をギャップ調整用の螺合部153に固定して弁体と弁座との間に一定の間隙を形成し、螺合部153でギャップ量を調整するようにしている。また同様のノズル構造として図示しないが流出口をオリフィス弁構造とすることも知られている。このような構造のノズルから高圧下で空気などの気体を含んだ気液流体を噴出して拡散すると、このとき微細な気泡が発生する。この微細な気泡の発生には上記のギャップから噴出する圧力差と同時にノズルで拡散することが多量の気泡を発生する要素となっている。
【特許文献1】特許第2663538号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−265938号公報(図3)
【特許文献3】特開2002−85949号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように浴槽或いは洗浄槽などの貯液槽内に気泡を発生させる場合に前掲特許文献1のように気泡を混入した液体を勢いよく噴出するジェット噴流で気泡を発生させると槽内に噴流が生じて微細な気泡が破壊され、逆に粗大な気泡が発生する問題がある。また槽内に強い噴流が形成されるため洗浄物の破損或いは人体に不快感を及ぼす問題がある。そこで前掲特許文献2のように槽内にジェット噴流を形成することなく静かに微細な気泡を発生させる装置が提案されるに至っている。例えば温浴槽の場合には微細気泡を槽内に充満させると体内に浸透して温浴効果の向上と同時にマイナスイオンの効果が期待されている。この場合、微細気泡を発生させるノズル構造を前掲特許文献3のように円錐形状のノズル弁の周囲に形成したギャップから噴出させるようにすると槽内に発生する微細気泡の量が少ない問題がある。つまり液体の循環経路で十分な気体を混入してもこれを槽内に供給するノズル部で十分な微細気泡を発生することが出来ない。
【0007】
そこで本発明者は気液流体を槽内に噴出する際にノズルの吐出口から乱流を形成するように拡散し、比較的遅い流速で噴出すると渦流などの乱流が形成される過程で微細気泡が生成されることを究明するに至った。これに対し、従来のノズル弁構造では上述のギャップを大きくすると気液流体は層流状態で槽内に流入され、逆にギャップを小さくすると速い流速で槽内に流入される為十分な微細気泡が生成されないことが判明した。
【0008】
本発明は気体を混入した気液流体を貯液槽内で噴出する際に十分な微細気泡を生成して槽内に充満させることが可能な気泡発生装置の提供をその主な課題としている。更に本発明は浴槽などの貯液槽に液体を循環させる際に槽内に短時間で十分な微細気泡を充満させることが可能な微細気泡発生システムの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため本発明は以下の構成を採用する。浴槽などの貯液槽に気液流体を噴出する気液流体噴射手段を流入口と流出口とを有するノズル部材で構成する。このノズル部材には流入口に連なる減圧空洞部を設け、この減圧空洞部内に流入口からの気液噴流を衝突させる衝壁を設ける。そしてこの減圧空洞部に流入口の口径面積と等しいか若しくはこれより大きい口径面積の流出口を配設する。これによって流入口に供給された気液混合流体は減圧空洞部で拡散されるのと同時に衝壁に衝突してその流速が弱められ、その後流出口から貯液槽に流入されることとなる。従って気液流体は減圧空洞部で拡散され衝壁に衝突する際に微細気泡が生成され、次いで吐出口から流速が弱められて流出する際に更に微細気泡が生成される。このように微細気泡をノズル部材の周縁部で十分に発生させ貯液槽内に短時間で充満させることが可能となる。
【0010】
また、上述のノズル部材は基端部に流入口を有する中空筒状体で構成し、この中空筒状体の先端開口部に封止体を設けて減圧空洞部を形成し、同時にこの封止体で流入口からの気液流体を突き当てる衝壁を構成する。そして減圧空洞部の側壁に前記流出口を形成する。このように構成すると流入口からの気液流体は衝壁に突き当たって減速され減圧空洞部内で渦流などの乱流を形成する際に微細気泡が生成され、その側壁から貯液槽内に流出する際にも乱流を形成して微細気泡を生成することとなり、貯液槽内に微細気泡を短時間で充満させることが可能である。
【0011】
更に、上記衝壁を減圧空洞部内の流入口と対向する位置で流入方向の先端側に配置する。そして上記流出口は流入方向と交差、例えば直交する側壁方向に設ける。このように構成すると流入口からの気液流体は流入口から直線的に衝壁に衝突して反射し減圧空洞部内に乱流状態で拡散し、流入方向と交差する方向に流出される。従って減圧空洞部内で微細気泡が発生し、流出口から貯液槽内に流出する際にも微細気泡が発生し、貯液槽内に充満することとなる。尚、流出口をノズル部材の周側壁に複数個所設ける場合にはこの流出口の総口径面積を上記流入口の口径面積と等しいか若しくは大きくなるように形成する。
【0012】
更に、液体供給ポンプ手段は液体導入パイプから液体を吸入する一次側ポンプと液体供給経路に液体を吐出する二次側ポンプとの複数のポンプ手段により構成し、上記気体供給ポンプは上記二次側ポンプの吸入口に高圧気体を供給するように構成する。このように構成することによって空気などの気体を比較的低圧状態の一次側ポンプから二次側ポンプに液体を給送する経路中に混入させ、二次側ポンプで加圧する際に気体と液体を混合圧縮する為、液体中に十分な気体を混入させることが出来、気体供給ポンプを小型、小容量のポンプ装置で構成することが出来る。
【0013】
次に本発明に係わる気泡発生システムは、液体を収容する浴槽などの貯液槽と、液体の吸入口と吐出口とを有する液体供給ポンプ手段と、上記吸入口に上記貯液槽からの液体を循環供給する液体循環パイプと、上記吐出口から上記貯液槽に液体を給送する液体給送パイプと、上記吸入口から上記吐出口に至る液体中に高圧空気を混入する気体供給ポンプとを備える。そして上記液体供給ポンプ手段は上記液体導入パイプから液体を吸入する一次側ポンプと上記液体給送パイプに液体を吐出する二次側ポンプとから構成して上記気体供給ポンプを上記二次側ポンプの吸入口に高圧空気を混入するように連結する。
【0014】
そこで上記液体給送パイプから気液流体を噴出する気液流体噴射手段を流入口と流出口とを有するノズル部材で構成し、このノズル部材には上記流入口に連なる減圧空洞部と、この減圧空洞部内に上記流入口からの気液噴流を衝突させる衝壁を設ける。また、上記減圧空洞部には上記流入口の口径面積と等しいか若しくは大きい口径面積の流出口を設ける。これによって浴槽などの温浴水を循環する過程で微細気泡を貯液槽内に充満させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は浴槽などの貯液槽に液体を供給若しくは循環させる過程で液体供給ポンプからの液体中に空気などの気体を混入し、この気液流体をノズル部材で貯液槽内に噴出する際に減圧空洞部で衝壁に衝突させて渦流などの乱流状態で拡散することにより微細気泡を発生させ、その後この微細気泡を含む流体を噴出口から槽内に流出する際にもその拡散で更に微細気泡を発生させるため貯液槽内に微細気泡を短時間で充満させることが可能となる。つまり高圧状態で気体を混入した液体をノズル部材から噴出して微細気泡を生成する際に、まず減圧空洞部で拡散させ、次いでこの気液流体を衝壁に衝突させて散乱させ、更にこの気液流体を衝壁で減速して流出口から乱流状態で吐出させることによってより多くの微細気泡を生成することが可能となる。このように生成され貯液槽内に充満した微細気泡は洗浄槽の場合物体の内部に浸透して洗浄効果を高め、また浴槽システムの場合体内に浸透して温浴効果を高め、同時にマイナスイオンを発生し、その効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図示の好適な実施の態様に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる気泡発生装置を示すシステム構成図であり、図2(a)(b)は同システムに於ける気液流体噴射手段の構造を示す説明図である。図3は流体供給ポンプの構造を示す説明図。図4は気泡と循環液を混合する混合タンク及び気泡発生装置の要部拡大図を示す。
【0017】
まず本発明に係わる気泡発生装置Aは、図1に示すように例えば浴槽などの貯液槽Bと、この貯液槽Bに浴水などの液体を供給する液体供給ポンプ手段Pと、この液体供給ポンプ手段Pからの液体に空気などの気体を混入する気体供給ポンプPU3と、気液流体を上記貯液槽Bに供給する液体供給経路(気液供給パイプ)4と、この気液供給パイプ4からの気液流体を貯液槽B内に噴出する気液流体供給パイプ6とから構成する。そしてこの気泡発生装置Aは貯液漕B内の液体を循環する過程で空気などの高圧気体を混入する循環システムとして構成するか或いは貯液漕B内に新たな液体を供給する過程で高圧気体を混入する気液流体供給システムとして構成する。
【0018】
図1に示すシステムは液体供給ポンプ手段Pを直列に連結した一次ポンプPU1と二次ポンプPU2で構成し、一次ポンプPU1で昇圧した液体を連通パイプ2で二次ポンプPU2に給送し、この二次ポンプPU2で更に昇圧しで気液供給パイプ4に給送する。上記連通パイプ2にはエアーポンプ(気体供給ポンプ)PU3からの気体導入パイプ3が連結してあり、一次ポンプPU1で昇圧した流体にエアーポンプPU3からの気体を混入しこの両者を二次ポンプPU2で更に昇圧して気液供給パイプ4から搬出する。気液供給パイプ4からの気液流体は混合タンク5に導かれこのタンク内で気体と流体が更に混合される。このように液体供給ポンプ手段Pを一次ポンプPU1と二次ポンプPU2で構成し、一次ポンプPU1の吐出口と二次ポンプPU2の吸入口とを連結する連通パイプ2にエアーポンプPU3からの高圧気体を導入するようにしたのは比較的低圧である一次ポンプ液体に高圧気体を導入することにより気体の混入量を多くするのと同時に二次ポンプPU2内で両者を混合するためである。この液体供給ポンプ手段Pの構造は後述する。
【0019】
上記二次ポンプPU2からの気液流体は気液供給パイプ4から混合タンク5に導かれ、この混合タンク5内で気体と液体が完全に混合される。図示の混合タンク5は上記気体と液体とが対流によって攪拌される適度の容積を有するタンクで構成されその吐出口には気液流体搬出パイプ6が連結されている。この気液流体搬出パイプ6の先端には気液流体噴射手段7が連結され、この気液流体噴射手段7は貯液槽B内に配置されている。そしてこの気液流体噴射手段7は図2に示す中空円筒形状のノズル部材70で構成され、基端部には流入口71と、この流入口71に連なる減圧空洞部72が設けられている。この減圧空洞部72の口径D2は流入口71の口径D1より大径に構成され、同じく流入口71の口径D1より大径となるよう流出口73の口径D3が設けられ、各口径(面積)はD1<D2,D1<D3の関係になっている。
【0020】
このため気液流体は流入口71から減圧空洞部72に流入する際に拡散される。また減圧空洞部72を形成するノズル部材70の先端部には封止体74が設けられ、この封止体74は流入口71からの気液流体が衝突する衝壁74aを備えている。図示のものは封止体74を球形状のボールで構成し、その表面で形成する衝壁74aは流入口71に向かって突出した湾曲形状にしてある。そしてこのノズル部材70の側壁に流出口73が上述の口径で構成されている。上記衝壁74aと流出口73との位置関係を説明すると図2(b)に示すように流入口71から気液流体の流入方向(矢視a)の先方に衝壁74aが配置され、流出口73は衝壁74aより上流側で気液流体の流入方向と直交する方向(矢視b)でノズル部材70の周側壁に設けられている。
【0021】
従って流入口71からの気液流体は気液流体搬出パイプ6と減圧空洞部72との圧力差に応じた速度で流入口71から矢視a方向に流入し衝壁74aに衝突して矢視c方向に反射する。このとき衝壁74aは球面形状で突出しているため気液流体は放射状に拡散し、このとき微細気泡が生成される。そして減圧空洞部72内に充満した微細気泡を含む気液流体は流出口73から貯液槽B内に流出する。このとき気液流体は先に衝壁74aに衝突して減速されているため流出口73から貯液槽B内に渦流などの乱流状態で流出するためこの流出口73から流出する際にも微細気泡が発生する。つまり図8(b)に示すように従来のノズル構造では流出口から気液流体が流出する際図示速度Vが大きいと層流となって槽内に流入し、この流出口で拡散することによって微細気泡が生成されることがない。これに対し上述の構成の流出口73は気液流体が流入速度Vの影響を受けない、この速度方向と直交する方向から流出し、その速度は上記減圧空洞部72と貯液槽Bの圧力差に応じた速度で流出するため渦流が発生し易く、この渦流が発生する過程で微細気泡が生成され槽内に煙状に充満される。
【0022】
次に、図3に気泡発生システムの具体的構成を示し、以下その構造について説明する。図3に示すように防音処置を施したケーシング20内に液体Lを供給する液体供給ポンプ(前述の液体供給ポンプ手段P)25と、気体供給用のエアーポンプ(前述の気体供給ポンプPU3)50と、混合タンク5が内蔵されている。液体供給ポンプ25は吸入口26と吐出口27とシリンダ室Sとピストン部材PIを備え、吸入口26に流体導入パイプ1が連結してある。図示のものはこの流体導入パイプ1を貯液槽Bに接続して貯液漕内の液体を循環するシステムを構成している。液体供給ポンプ25は詳細を後述するがシリンダ室内でピストン部材PIがレシプロ運動する往復動ポンプで構成する。この液体供給ポンプ25は小型化と高圧化を図るため一次、二次複数の往復動ポンプで構成し、一次ポンプ25aで流体導入パイプ1から導入した液体を加圧し、この一次ポンプ25aから吐出した流体を二次ポンプ25bで更に圧縮して高圧化した液体を、気液供給パイプ4を介して混合タンク5に供給する。つまり一次ポンプ25aの吐出口27は二次ポンプ25bの吸入口29に連通パイプ2で連結されている。
【0023】
上記連通パイプ2にはエアーポンプ50が連結され、一次ポンプ25aで加圧された液体にエアーポンプ50から高圧気体を混入する。図示のエアーポンプ50は先の液体供給ポンプ25と同一構造で、小型化と高圧化を図るため一次ポンプ50aと二次ポンプ50bで構成され、一次ポンプ50aの吸入口51から外気を吸入し、二次ポンプ50bの吐出口55から気体導入パイプ3で前述の液体供給ポンプ25の一次ポンプ25aと二次ポンプ25bとを連結する連通パイプ2に連結してある。このように液体供給ポンプ25の一次ポンプ25aからの連通パイプ2に気体導入パイプ3を連結してエアーを供給したのは、二次ポンプ25bの出力パイプである気液供給パイプ4にエアーを供給するのに比べエアーポンプの負荷を小さくするためである。従ってエアーポンプ50の小型化が要求されない場合には気体導入パイプ3を気液供給パイプ4に連結しても良い。
【0024】
上述の液体供給ポンプ25とエアーポンプ50はいずれも一次ポンプ25a,50aと二次ポンプ25b,50bで構成されているが、まず液体供給ポンプ25は略々同一の構造の一次ポンプ25aと二次ポンプ25bで構成され、それぞれシリンダ室S1、S2とピストン部材PI1、PI2とを備え、各ピストン部材PI1、PI2は駆動手段Dで相反的に給排動作を行うようになっている。この駆動手段Dは、駆動モータMに連結された駆動回転軸15に軸承した偏心カム16を中心に180度対向した位置に第1シリンダ室S1と第2シリンダ室S2を配置し、各シリンダ室S1,S2に装着したピストン部材PI1,PI2を偏心カム16に取付けている。そして第1ピストン部材PI1が上死点のとき第2ピストン部材PI2は下死点に位置するように偏心カム16に連結され相反的に給排動作を行うようになっている。
【0025】
そこで一次ポンプ25aの吸入口26には吸入弁26aが逆止弁構造で配置してあり、吸入口26に接続した流体導入パイプ1から液体を吸入し、第1シリンダ室S1に供給する。またこの第1シリンダ室S1の吐出口27には吐出弁27aが通常の逆止弁構造で配置してあり第1シリンダ室S1で圧縮された液体を吐出口27から排出する。この一次ポンプ25a側の吐出口27は連通パイプ2で二次ポンプ25b側の吸入口29に連結してあり、第1シリンダ室S1から吐出した流体を第2シリンダ室S2に供給する。この第2シリンダ室S2にも吸入口29に吸入弁29aが、吐出口30に吐出弁30aがそれぞれ通常の逆止弁構造で配置されている。このような構成によって一次ポンプ25aの吸入口26から吸入した液体を二次ポンプ25bの吐出口30から高圧流体として吐出する。
【0026】
上述のエアーポンプ50も小型高圧化のために一次ポンプ50aと二次ポンプ50bで構成してあり、一次ポンプ50aの吸入口51から逆止弁51aを介して空気を吸入し、第1シリンダ室S3で圧縮して吐出口52から連通パイプ53を経て二次ポンプ50bの第2シリンダ室S4に供給する。この吐出口52には吐出弁52aが、二次ポンプ50bの吸入口54には吸入弁54aがそれぞれ通常の逆止弁構造で配置され、二次ポンプ50bの吐出口55から吐出弁55aを介して高圧空気を気体導入パイプ3に送出する。
【0027】
液体供給ポンプ25の吐出口30に連結された気液供給パイプ4は混合タンク5に連結されている。この混合タンク5は液体を収納するタンク室5aで構成され、気液供給パイプ4から供給された液体と気体を混合して気泡を発生するように構成されている。この混合タンク5には内部に発生した気泡を分別して除去する気泡分別手段57が次のいずれかの手段で構成されている。
【0028】
第1の気泡分別手段57は隔壁57aであり、タンク室5aを略々2分割する分割壁で構成され、気液供給パイプ4の気液流入口4aと気液流体搬出パイプ6の気液流出口6aとを隔壁57aで区割する。これによって混合タンク5内に発生した気泡はタンク室5aの上方に浮上し、このタンク室5a内で発生した気泡が気液流出口6aに導かれることがない。
【0029】
第2の気泡分別手段57は気液供給パイプ4の気液流入口4aを重力の作用方向上方に配置し、気液流体搬出パイプ6の気液流出口6aを下方に配置し、この気液流入口4aと気液流出口6aとの間に高低段差H(図示57b)を形成する。これによってタンク室5a内に発生した気泡は上方に浮上し気液流体搬出パイプ6に導かれることがない。
【0030】
第3の気泡分別手段57は網状フィルタ57cであり、気液流体搬出パイプ6の気液流出口6aの周辺に網状フィルタ57cを設け、この網状フィルタ57cのメッシュをタンク室5a内で発生した気泡を除去する大きさに形成する。以上説明した第1乃至第3の気泡分別手段57はそのいずれか1つをタンク室5aに配置しても、図示のように第1、第2、第3の各構成を設けてもいずれでも良い。
【0031】
尚、図示58はドレンパイプ(過剰気泡搬出パイプ)であり、タンク室5a内で発生してオーバフローする気泡を流出口58aから外部に搬出する。この流出口58aには図示しないフロート弁が設けてあり、フロートが所定の水位以上になると流出口58aを閉じ、所定水量以下のときには流出口58aを開いて混合タンク内に発生した気泡をドレンパイプ58からドレントレイ60に搬出する。混合タンク内が所定水量以上のときにはフロート弁が流出口58aを閉じ、混合タンク内の液体が外部に漏れ出すのを防止する。一方前述のケーシング20の底部にドレントレイ60が設けてあり、このドレントレイ60に気泡を搬出し、前述のエアーポンプ50の吸入口51にドレントレイ60に排出された水滴を外気と同時に吸入するようにしてある。
【0032】
これにより、気泡発生装置A内で生じた余剰水をエアーポンプ50から外気と共に吸入して混合タンク5に環流する。上記ドレントレイ60にはスポンジなどの多孔質部材61が敷設してあり、この多孔質部材61で余剰水を蒸発させる。つまり気泡発生装置A内にはこの混合タンク5に生じた粗大気泡を除去するため余剰気泡の搬出と、流体導入パイプ1の振動を減衰するダンパタンクから液体が流出するが、これらの液体は特別なドレンパイプを配設して外部に搬出することなく、上記ドレントレイ60に集積して気化を促し、このドレントレイ60からエアーポンプ50の吸入口51に導いて混合タンク5に環流するようになっている。
【0033】
以上のように構成された気泡発生装置Aは後述するポンプ動作で流体導入パイプ1から吸入弁26aを介して一次ポンプ25aのシリンダ室S1、S2に洗浄水、浴水などの液体が供給され、二次ポンプ25bで加圧され気液供給パイプ4に送られる。この一次ポンプ25aと二次ポンプ25bとの間にエアーポンプ50から高圧空気が混入され、気液供給パイプ4には液体(洗浄液、浴水など)中に気体(空気)が溶解された状態で混合タンク5に供給される。混合タンク5で発生した気泡は前述のように選別され、この気体と液体との混合流体は気液流体搬出パイプ6に送られる。
【0034】
そこで本発明は気液流体搬出パイプ6の先端に取付けられ貯液槽B内に微細気泡を充満させるように噴出する気液流体噴射手段7を以下のように構成する。この気液流体噴射手段7は中空円筒形状のノズル部材70と、このノズル部材70に一体形成され前記気液流体搬出パイプ6からの気液を案内する気液流体流出路75と、この流出路75に配置された封止体(球体弁)74とから構成される。そしてノズル部材70には先端部に流入口71が形成され、ノズル基端部には上記気液流体流出路75が形成してあり、流出口73の口径D3と気液流体流出路75の口径D1とはD1<D3の関係になっている。その他の構成は図2に基づいて説明した通りである。
【0035】
次に前述の液体供給ポンプ25およびエアーポンプ50の構成について、図5、図6に基づいて詳述する。図5、図6はシリンダ室Sとこのシリンダ室内をレシプロ運動するピストン部材PIで空気若しくは液体を吐出部に送るポンプの構造を示す。図示のものは一対のポンプヘッド24a,24bと上記各ピストン部材PIを駆動する駆動手段Dから構成されている。このポンプヘッド24a,24bは同一構造でそれぞれ吐出室62a、6bとこの吐出室62a、62bに流体を流入するシリンダ室S1(S3)、S2(S4)と、ピストン部材PI1(PI3)、PI2(PI4)を備えている。以下同一構造であるのでその一方について説明する。
【0036】
図示のシリンダ室S3及びS4は前面フレーム63と背面フレーム64との間に取付けられた上部フレーム65と下部フレーム66にそれぞれ穿設した中空円筒形状の開口で構成されている。このシリンダ室S1には吐出室62aを有するポンプヘッド24aが連結してあり、シリンダ室S3には外気を流入する吸入口51と吐出口52が設けられ、ピストン部材PI3の往復動作で吸入口51から外気を流入し、吐出口52から吐出室62bに送る。この吐出口52には圧力調整ネジが設けてある。また逆止弁(吐出弁)55aを有する吐出口55が設けてある。
【0037】
そこでシリンダ室S3、S4にはピストン部材PI3、PI4が往復動自在に嵌合してあり、この各ピストン部材PI3、PI4は偏心カム16で駆動される。この偏心カム16は、前面フレーム63と背面フレーム64との間に軸受支持された回転軸15に固定(例えば圧入)した2つの偏心回転体16a及び16bで構成され、この偏心回転体16a、16bは図5に示すように軸心に対して180度隔てた位置に対称となるように配置され、偏心回転体16aがピストン部材PI3を、偏心回転体16bがピストン部材PI4を往復動するように連結されている。
【0038】
そしてこの一方の偏心回転体16aには円環状のリング124aが他方の偏心回転体16bにはリング124bがそれぞれベアリングを介して連結してある。このリング124aにはピストン部材PI3のロッド部が、リング124bにはピストン部材PI4のロッド部がそれぞれ連結してある。特に、このリング124a、124bは偏心回転体16a,16bに図6に示す固定ネジ124cで径方向の取付け位置が調節出来るようにしてある。これにより回転体の製造時の寸法誤差或いはシリンダ室と位置関係の誤差によって振動が生ずるのをリングの取付け位置を調節することによって解消する。
【0039】
またシリンダ室S3、S4とこれに嵌合したピストン部材PI3、PI4とは回転軸15を中心に180度隔てた位置に互いに対向するように配置してあり、各ピストン部材PI3、PI4の吸排工程は同一にしてある。つまり偏心回転体16aがピストン部材PI3を上死点に位置させるときには、偏心回転体16bはピストン部材PI4を上死点に位置させる。これは流体の吸排過程で2つのピストンに生ずる負荷(抗力)が反対方向に等しい力が作用して互いに相殺され、振動を軽減する為である。従って2つのピストンの吸排工程は略々同一であれば良く、配置される方向も略々直線上で対向させれば良い。
【0040】
又、シリンダ室Sを回転軸15の周囲3ヶ所に設ける場合には120度隔てた位置に、同様に4ヶ所に設ける場合には90度隔てた位置に配置すれば吸排工程で複数のピストンが回転軸15に与える負荷はそれぞれ相殺される。同時にこの複数のピストンに対応する偏心回転体16a、16bもその最大偏心位置が回転軸15の回りに所定角度ずつ位相差を有することとなり、それぞれが他のバランサとして作用し大きな振動を発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に関する気泡発生装置の全体構成を示すシステム構成図。
【図2】図1の装置に於ける気液流体噴射手段の構成を示す構造説明図であり、(a)は断面説明図、(b)は噴出される流体の流れを示す説明図。
【図3】図1の装置における液体供給ポンプ及びエアーポンプの詳細を示す説明図。
【図4】図3の装置の要部拡大構成図。
【図5】図3の装置における液体供給ポンプ及び気体供給ポンプの構造を示す正面図。
【図6】図3の装置における液体供給ポンプ及び気体供給ポンプの構造を示す断面図。
【図7】図1の装置における混合タンクの内部構造を示す説明図。
【図8】従来の気泡発生装置における気泡流体噴出ノズルの構造を示し、(a)は断面説明図、(b)は噴出される流体の流れを示す説明図。
【符号の説明】
【0042】
A 気泡発生装置
B 貯液槽
P 液体供給ポンプ手段
PU1 一次ポンプ
PU2 二次ポンプ
PU3 気体供給ポンプ
PI ピストン部材
S シリンダ室
1 流体導入パイプ
2 連通パイプ
3 気体導入パイプ
4 気液供給パイプ(液体供給経路)
5 混合タンク
6 気液流体搬出パイプ
7 気液流体噴射手段
25 液体供給ポンプ
25a 一次ポンプ
25b 二次ポンプ
26 吸入口
27 吐出口
50 エアーポンプ
50a 一次ポンプ
50b 二次ポンプ
51 吸入口
55 吐出口
70 ノズル部材
71 流入口
72 減圧空洞部
73 流出口
74 封止体(球体弁)
74a 衝壁
75 気液流体流出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する浴槽などの貯液槽と、
上記貯液槽に水その他の液体を供給する液体供給ポンプ手段と、
上記液体供給ポンプ手段から上記貯液槽に至る液体供給経路と、
上記液体供給経路中の液体に空気その他の気体を混入する気体供給ポンプと、
上記液体供給経路からの気液流体を噴出する気液流体噴射手段と、を備えた気泡発生装置において、
上記気液流体噴射手段は、流入口と流出口とを有するノズル部材で構成され、
このノズル部材には上記流入口に連なる減圧空洞部と、この減圧空洞部内に上記流入口からの気液噴流を衝突させる衝壁が設けられ、
上記減圧空洞部には上記流入口の口径面積と等しいか若しくは大きい口径面積の流出口が設けられていることを特徴とする気泡発生装置。
【請求項2】
前記ノズル部材は基端部に流入口を、先端部に流出口を有する中空筒状体で構成され、
この中空筒状体の先端部にボールその他の封止体を設けて前記減圧空洞部が形成されていると共に該封止体で前記衝壁が形成され、
前記流出口は上記減圧空洞部の側壁に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気泡発生装置。
【請求項3】
前記衝壁は、前記減圧空洞部内で前記流入口と対向する流入方向先端側に配置され、
前記流出口は上記流入方向と交差する側壁に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気泡発生装置。
【請求項4】
前記流出口は前記ノズル部材の周側壁に複数個所設けられ、
この流出口の総口径面積は前記流入口の口径面積と等しいか若しくは大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の気泡発生装置。
【請求項5】
前記液体供給ポンプ手段は液体導入パイプから液体を吸入する一次側ポンプと前記液体供給経路に液体を吐出する二次側ポンプとの複数のポンプ手段により構成され、
前記気体供給ポンプは上記二次側ポンプの吸入口に高圧気体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかの項に記載の気泡発生装置。
【請求項6】
液体を収容する浴槽などの貯液槽とこの貯液槽に液体供給ポンプ手段で液体に高圧空気を混入させて循環する気泡発生システムであって、
液体を収容する浴槽などの貯液槽と、
液体の吸入口と吐出口とを有する液体供給ポンプ手段と、
上記吸入口に上記貯液槽からの液体を循環供給する液体循環パイプと、
上記吐出口から上記貯液槽に液体を給送する液体給送パイプと、
上記吸入口から上記吐出口に至る液体中に高圧空気を混入する気体供給ポンプと、を備え、
上記液体供給ポンプ手段は上記液体導入パイプから液体を吸入する一次側ポンプと上記液体供給経路に液体を吐出する二次側ポンプとから構成され、
上記気体供給ポンプは上記二次側ポンプの吸入口に高圧空気を混入するように連結され、
上記液体給送パイプから気液流体を噴出する気液流体噴射手段と、を備え、
上記気液流体噴射手段は、流入口と流出口とを有するノズル部材で構成され、
このノズル部材には上記流入口に連なる減圧空洞部と、この減圧空洞部内に上記流入口からの気液噴流を衝突させる衝壁が設けられ、
上記減圧空洞部には上記流入口の口径面積と等しいか若しくは大きい口径面積の流出口が設けられていることを特徴とする気泡発生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−296430(P2007−296430A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124561(P2006−124561)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(504345698)株式会社S.I.V (3)
【Fターム(参考)】