説明

気筒判別装置、気筒判別方法、エンジン点火制御装置、及びエンジン点火制御方法

【課題】 スムーズな内燃機関の初動性能を得ることができる気筒判別装置及びその方法、更には、エンジン点火制御装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータ21の歯部30を検出した際に出力されるクランク信号と、カムロータ23の周上に形成された所定の歯部31を検出した際に出力されるカム信号とに基づき、特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、エンジンの気筒の判別を行なう気筒判別部26を備える気筒判別装置であって、前記気筒判別部26は、前記一対の欠歯部間に検出されるカム信号の有無と、前記一対の欠歯部間に検出されるクランク信号の数に基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータの歯部を検出してパルス状のクランク信号を生成するクランク信号検出部と、カムロータの周上に形成された所定の歯部を検出してパルス状のカム信号を生成するカム信号検出部と、前記クランク信号検出部による特定の歯部の検出タイミングが特定の気筒群の上死点となるように構成され、前記クランク信号の欠歯部間における前記カム信号の状態に基づいて気筒を判別する気筒判別部を備えてなる気筒判別装置及びその方法に関し、更には、前記気筒判別部により判別された気筒に対して燃料点火を行なうエンジン点火制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、内燃機関の電子制御化が進み、電子制御式燃料噴射装置が広く普及している。かかる電子制御式燃料噴射装置においては、内燃機関に供給すべき燃料の量を運転状態に基づいてマイクロコンピュータで演算し、燃費やドライバビリティ等を総合的に勘案して最適とされる量の燃料が内燃機関に供給される。ところで、電子制御式燃料噴射装置を用いた場合は、内燃機関に供給する燃料の量を最適化するばかりでなく、その噴射時期も任意に設定することが可能となる。このため、燃料の噴射時期についても従来より種々の提案がなされており、始動時においてクランク角と無関係に燃料噴射を行う非同期燃料噴射が広く採用されるに至っている。例えば、特許文献1のように、複数気筒からなる内燃機関を始動させる場合に、冷却水温やバッテリ電圧等の内燃機関システムの状態から、前記内燃機関が始動しやすいか否かの判断を行い、始動し難い状態であると判断した場合にのみ、始動性を高めるために、気筒判別信号に基づいて非同期燃料噴射を行なうものが提案されている。
【0003】
また、前記気筒判別信号は、夫々の気筒への燃料の噴射タイミングを得ると同時に、噴射した燃料を燃焼させるための点火タイミングを得るためのもので、前記特許文献1にも記載されているように、二種類の異なる信号からなっている。一般的にその詳細は、特許文献2に記載のように、カム軸の回転に応じて等間隔で回転信号を出力するセンサと、クランク軸が燃料への点火タイミングに対応するクランク角まで回転したとき、気筒グループに応じて幅の異なる矩形パルスを出力するセンサとを備え、前記矩形パルスの出力である第一の気筒判別信号(クランク信号)と、回転信号の出力である第二の気筒判別信号(カム信号)との対応関係によって、前記点火タイミングが、気筒毎に判別可能となるように出力されている。
【0004】
例えば、図5に示すように、#1気筒、#2気筒、#3気筒、#4気筒の4気筒からなり、夫々の気筒が1/4サイクルずつ異なるように駆動される内燃機関の場合、クランクロータに等角度で形成した24歯数のうち2歯連続で欠歯させた3箇所を欠歯部とし、このうちの2箇所で連続欠歯部4を形成し、この連続欠歯部4に対して略半回転した位置に単一欠歯部5を形成することで、歯部3a〜3rの18(24−6)歯数となったクランクロータ2をクランクシャフト1に固設する。また、カムロータ12にクランク角換算で180°CA(クランクアングル)の間隔で配置された歯部13a、13bを形成し、カムシャフト11に固設する。そして、図4に示すように、前記クランクロータ2の歯部3a〜3rの位置で発生されるパルス信号(クランク信号)と、カムロータ12の歯部13a、13bの位置で発生されるパルス信号(カム信号)を検出し、前記クランク信号において、前記連続欠歯部4、または、単一欠歯部5が検出されたときに、その検出前の所定期間内、つまり、所定のクランク信号カウンタ値のときにおける前記カム信号の有無によ
って、前記内燃機関の気筒の何れが圧縮上死点となっているかを判別することで、各気筒の燃料点火タイミングを決定している。
【特許文献1】特開平6−249021
【特許文献2】特開2003−184629
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術における初爆制御時においては、クランキングが開始されてから最初に前記内燃機関の気筒の何れが圧縮上死点となったかが判別されるタイミングは、前記圧縮上死点になったと同時に判別されているため、最初に圧縮上死点として判別された気筒に対して、そのまま燃料点火を行なうと燃料点火タイミングとしては遅れることとなり、内燃機関の初動性能が不安定となることが問題となっていた。
【0006】
また、最初に圧縮上死点として判別された気筒に対しては点火を行なわず、最初に特定の気筒が圧縮上死点として判別されたときからの時間をクランク信号に基づいてカウントし、前記カウント値に基づいて、予め記憶されている前記最初に圧縮上死点と判別された気筒の次に圧縮上死点となる気筒から順次、確実に燃料点火を行なうことも行なわれているが、上述の問題に対しての解決には至らず、更なる内燃機関の初動性能の向上が問題となっていた。
【0007】
本発明は、上述の従来欠点に鑑み、スムーズな内燃機関の初動性能を得ることができる気筒判別装置及びその方法、更には、エンジン点火制御装置及びその方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による気筒判別装置の第一の特徴構成は、複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータの歯部を検出した際に出力されるクランク信号と、カムロータの周上に形成された所定の歯部を検出した際に出力されるカム信号とに基づき、特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、エンジンの気筒の判別を行なう気筒判別部を備える気筒判別装置であって、前記気筒判別部は、前記一対の欠歯部間に検出されるカム信号の有無と、前記一対の欠歯部間に検出されるクランク信号の数に基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出するように構成されている点にある。
【0009】
上述の構成によれば、非対称位置に形成されているクランクロータ欠歯部間でのパルス数、つまり、二領域ある欠歯部において、一方の欠歯部から他方の欠歯部に至るまでに発生するクランク信号におけるパルス数と、他方の欠歯部から一方の欠歯部に至るまでに発生するクランク信号におけるパルス数とが異なるため、例えば、欠歯部間のパルス数が多い一方の欠歯部から他方の欠歯部間のパルス数をカウントするときには、欠歯部間のパルス数が少ない他方の欠歯部から一方の欠歯部間のパルス数を超えた時点で、一方の欠歯部から他方の欠歯部間に相当するクランク角にあることが判断でき、また、パルス数が多い方の欠歯部間における他方の欠歯部を検出する前に、他方の欠歯部に至るタイミングを事前に予測することが可能となるのである。つまり、前記パルス数が多い方の欠歯部間における他方の欠歯部の検出タイミングに対応する所定のクランク角のときに、特定の気筒群が上死点となるように構成される場合であっても、クランク信号の欠歯部からのパルス数に基づいて、初爆制御時の最初に燃料点火すべき気筒を含む気筒群を上死点となる前に判別することができ、更にカム信号に基づいて気筒を判別することで、初爆制御時の最初に燃料点火すべき気筒、つまり、最初に圧縮上死点となる気筒を圧縮上死点となる前に判別することが可能な気筒判別装置とすることができるのである。
【0010】
同第二の特徴構成は、上述の第一特徴構成に加えて、前記一対の欠歯部が、前記クランクロータの周上における歯部が欠落した領域の幅が異なる二種類の欠歯部で構成されている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、二領域ある欠歯部を容易に判別できるようになるため、初爆制御時以後に、順次燃料点火する気筒も容易に判別することができる気筒判別装置とすることができるのである。
【0012】
同第三の特徴構成は、上述の第二特徴構成に加えて、歯部が欠落した領域の幅が長い欠歯部の直後の歯部の検出タイミングが前記特定の気筒群の上死点となるように構成されている点にある。
【0013】
例えば、一方の欠歯部から他方の欠歯部におけるパルス数が他方の欠歯部から一方の欠歯部におけるパルス数よりも多い場合に、他方の欠歯部を連続欠歯部とすれば、連続欠歯部が検出されるタイミングより前に連続欠歯部が検出されることを予測することが可能となるのである。つまり、前記連続欠歯部の検出前に前記特定の気筒群が上死点に来るタイミングが予め容易に判別でき、更に、カム信号に基づいて気筒を判別することで、前記特定の気筒群の中の特定の気筒が圧縮上死点となるタイミングを事前に判別できるのである。
【0014】
同第四の特徴構成は、複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成され、前記欠歯部の少なくとも一方が特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられたクランクロータと、前記クランクロータにおける所定の欠歯部の間に対応するように、周上に歯部が形成されたカムロータと、を備えたエンジンの気筒判別装置であって、前記クランクロータの欠歯部を検出した場合に、その後に検出される前記カムロータの歯部の有無と前記クランクロータの歯部の数とに基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、前記特定の気筒を判別する気筒判別部を備える点にある。
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明によるエンジン点火制御装置の第一の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備える気筒判別装置と、前記気筒判別装置により判別された気筒に対して燃料点火を行なう燃料点火制御部とを備えてなる点にある。
【0016】
上述の目的を達成するため、本発明による気筒判別方法の第一の特徴構成は、複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータの歯部を検出した際に出力されるクランク信号と、カムロータの周上に形成された所定の歯部を検出した際に出力されるカム信号とに基づき、特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、エンジンの気筒の判別を行なう気筒判別方法であって、前記一対の欠歯部間に検出されるカム信号の有無と、前記一対の欠歯部間に検出されるクランク信号の数に基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出する点にある。
【0017】
同第二の特徴構成は、上述の第一特徴構成に加えて、前記一対の欠歯部が、前記クランクロータの周上における歯部が欠落した領域の幅が異なる二種類の欠歯部で構成されている点にある。
【0018】
同第三の特徴構成は、上述の第二特徴構成に加えて、歯部が欠落した領域の幅が長い欠歯部の直後の歯部の検出タイミングが前記特定の気筒群の上死点となるように構成されている点にある。
【0019】
同第四の特徴構成は、複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成され、前記欠歯部の少なくとも一方が特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられたクランクロータと、前記クランクロータにおける所定の欠歯部の間に対応するように、周上に歯部が形成されたカムロータと、を備えたエンジンの気筒判別方法であって、前記クランクロータの欠歯部を検出した場合に、その後に検出される前記カムロータの歯部の有無と前記クランクロータの歯部の数とに基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、前記特定の気筒を判別する点にある。
【0020】
上述の目的を達成するため、本発明によるエンジン点火制御方法の第一の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成を備える気筒判別方法によって判別された気筒に対して燃料点火を行なう点にある。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明によれば、スムーズな内燃機関の初動性能を得ることができる気筒判別装置及びその方法、更には、エンジン点火制御装置及びその方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による気筒判別装置或いはエンジン点火制御装置を1サイクルが4ストロークからなる内燃機関に適用した実施の形態について説明する。尚、前記内燃機関は♯1気筒、♯2気筒、♯3気筒、♯4気筒の4気筒からなり、夫々の気筒が1/4サイクルずつ異なるように駆動されるように構成されている。また、前記♯1気筒と前記♯4気筒とは、同時に上死点となり第一の気筒群として構成され、また、前記♯2気筒と前記♯3気筒とが、同時に上死点となり第二の気筒群として構成されている。つまり、第一の気筒群と第二の気筒群とは半サイクル異なった気筒群として構成され、♯1気筒→♯3気筒→♯4気筒→♯2気筒→♯1気筒の順に順次圧縮上死点となるように構成されている。また、燃料噴射制御は、スタータ駆動開始時等のタイミングで行なわれる非同期噴射によって全気筒に対して燃料噴射が行なわれ、後述する気筒判別後は、各気筒に対して同期噴射を行なうように構成されている。
【0023】
前記気筒判別装置或いはエンジン点火制御装置の概略構成は、図1に示すように、内燃機関(不図示)のクランクシャフト20に取り付けられ矢印方向に回転されるクランクロータ21と、前記4気筒からなる内燃機関に対応するカムシャフト22に取り付けられ矢印方向に回転されるカムロータ23と、前記クランクロータ21の近傍に配設され前記クランクロータ21から発生されるクランク信号を検出するクランク信号検出部24と、前記カムロータ23の近傍に配設され前記カムロータ23から発生されるカム信号を検出するカム信号検出部25と、前記クランク信号とカム信号とに基づいて気筒を判別する気筒判別部26と、前記判別された気筒に所定のタイミングで点火する燃料点火制御部28とを備えて構成されている。
【0024】
つまり、前記クランクロータ21と、前記カムロータ23と、前記クランク信号検出部24と、前記カム信号検出部25と、前記気筒判別部26とにより本発明の気筒判別装置を構成し、前記クランクロータ21と、前記カムロータ23と、前記クランク信号検出部24と、前記カム信号検出部25と、前記気筒判別部26と、前記燃料点火制御部28とにより本発明のエンジン点火制御装置を構成している。
【0025】
前記クランクロータ21は、前記4気筒からなる内燃機関の各気筒のサイクルの状態について、第一の指標信号となるクランク信号を発生させるもので、前記クランクロータ2
1の外周に、等間隔で歯部30が、例えば、36歯分並べて配置することが可能なように配置されている。つまり、10°CA間隔で配設されている。また、前記クランクシャフト20が前記第二の気筒群、つまり、前記♯2気筒及び前記♯3気筒の上死点に対応する(以下、♯2気筒が上死点となるタイミングを「TDC2」、前記♯3気筒の上死点となるタイミングを「TDC3」と記載する)クランク角まで回転したとき、前記クランク信号検出部24と対向する歯部30aよりも、クランクシャフト20の回転方向に4歯分及び5歯分手前の部分の歯部30が欠落し、この部分に欠歯部29aが形成されている。また、クランクシャフト20が第一の気筒群、つまり、前記♯1気筒及び前記♯4気筒の上死点に対応する(以下、♯1気筒が上死点となるタイミングを「TDC1」、前記♯3気筒の上死点となるタイミングを「TDC4」と記載する)クランク角まで回転したとき、前記クランク信号検出部24と対向する歯部30bよりも、1歯分、2歯分、4歯分、及び5歯分手前の部分で歯部30が欠落し、この部分に欠歯部29b、29cが形成されている。つまり、前記クランクロータ21の外周には30歯分の歯部30が配設されている。
【0026】
前記カムロータ23は、前記4気筒からなる内燃機関の各気筒のサイクルの状態について、第二の指標信号となるカム信号を発生させるもので、前記カムロータ23の外周に、1歯分の歯部31が配設されている。前記歯部31は、前記カムシャフト22が前記TDC1まで回転したとき、特に前記TDC1が圧縮上死点となるTDC1まで回転したとき、前記カム信号検出部と対向するカムロータの外周部よりも回転方向に、例えば90°CA手前に位置するように配設されている。
【0027】
前記クランク信号検出部24は、前記クランクロータ21に形成された歯部30をクランク信号として検出するもので、電磁ピックアップ式の検出器で構成されている。前記クランク信号は、前記クランクロータ21に形成された歯部30が、前記クランク信号検出部24と対向する度にパルス信号として検出されるもので、図2、図3に示すように、前記歯部30の配設パターンに一致したパルス信号として検出される。つまり、10°CA間隔で発生するパルス信号が、180°CAの間隔で、一定数のパルス信号が1回欠如する単一欠如タイミングと、同じく、180°CAの間隔で一定数のパルス信号が2回連続して欠如する連続欠如タイミングとが180°CA毎に交互に発生するパルス信号として検出される。また、前記単一欠如タイミングから連続欠如タイミング間に16パルス発生するパルス信号として、更に、前記連続欠如タイミングから前記単一欠如タイミング間に13パルス発生するパルス信号として検出される。
【0028】
つまり、前記クランク信号検出部24は、前記複数の歯部30が前記クランクロータ21の周上に等間隔に形成されるとともに、一対の欠歯部が前記クランクロータ21の周上の非対称位置に形成された前記クランクロータ21の歯部30を検出してパルス状のクランク信号を生成するように構成されている。
【0029】
前記カム信号検出部25は、前記カムロータ23に形成された歯部31をカム信号として検出するもので、電磁ピックアップ式の検出器で構成されている。前記カム信号は、前記カムロータ23に形成された歯部31が、前記カム信号検出部25と対向する度にパルス信号として検出されるもので、同じく図2、図3に示すように、前記歯部31の配設パターンに一致したパルス信号として検出される。つまり、720°CA毎にパルス信号を1回発生するパルス信号として検出されるように構成されている。
【0030】
つまり、前記クランク信号における単一欠如タイミングが発生し、その後の連続欠如タイミングが発生する前に、前記カム信号におけるパルス信号があったときに、前記連続欠如タイミングの直後に、前記♯1気筒が圧縮上死点となるように構成されると同時に、前記クランク信号における単一欠如タイミングが発生し、その後の連続欠如タイミングが発
生する前に、前記カム信号におけるパルス信号がなかったときに、前記連続欠如タイミングの直後に、前記♯4気筒が圧縮上死点となるように構成されている。
【0031】
前記気筒判別部26は、図1に示すように、前記クランク信号とカム信号とに基づいて特定気筒の圧縮上死点を判別し、燃料点火を行なう気筒を判別するもので、前記クランク信号のパルス数を第一カウント値jとしてカウントする第一クランク信号カウント部32と、同じく前記クランク信号のパルス数を第二カウント値kとしてカウントする第二クランク信号カウント部34と、前記カム信号の有無を判別するカム信号判別部35と、初爆制御時において最初に燃料点火する気筒を検出する初爆気筒検出部37と、前記初爆制御時において最初に燃料点火した気筒以後に燃料点火する気筒を順次選択する気筒選択部36とを備えて構成されている。
【0032】
前記第一クランク信号カウント部32は、図2、図3に示すように、前記クランク信号の単一欠如タイミング或いは連続欠如タイミング検出時に前記第一カウント値jをリセットし、前記クランク信号の単一欠如タイミング或いは連続欠如タイミング検出時からのクランク信号のパルス数をカウントするように構成されている。つまり、前記第一クランク信号カウント部32は、前記連続欠如タイミング検出時から単一欠如タイミング検出時までの間であれば、前記連続欠如タイミング検出時のパルス信号で前記第一カウント値jをリセットし、最大12パルスまでカウントする。また、単一欠如タイミング検出時から前記連続欠如タイミング検出時までの間であれば、前記単一欠如タイミング検出時のパルス信号で前記第一カウント値jをリセットし、最大15パルスまでカウントする。尚、前記連続欠如タイミングにおける中間パルスでは、単一欠如タイミング検出時のパルス信号と同様に、前記第一カウント値jをリセットするように構成することが前記第一カウント値jの誤検出を防止でき好ましい。つまり、前記クランク信号におけるパルス信号の欠如が単一或いは連続の如何にかかわらず欠如タイミングを検出した時点で前記第一カウント値jをリセットするように構成することが好ましい。
【0033】
前記カム信号判別部35は、同じく図2、図3に示すように、前記カム信号を検出したときに第一カム信号検出フラッグFc1をセットし、前記第一カウント値jのリセットとともに、前記第一カム信号検出フラッグFc1をリセットすることで、前記クランク信号の単一欠如タイミングから連続欠如タイミングの間に、或いは、前記クランク信号の連続欠如タイミングから単一欠如タイミングの間に、前記カム信号におけるパルス信号が検出されたか否かを判別すると同時に、前記カム信号を検出したときに第二カム信号検出フラッグFc2をセットし、前記第一カウント値jが後述する所定の値Afとなったときに、例えば10となったときに、前記第二カム信号検出フラッグFc2をリセットするように構成されている。
【0034】
尚、前記第二カム信号検出フラッグFc2は、後述する前記第二クランク信号カウント部34によりカウントされる第二カウント値kのリセットタイミングを判断するために適用されるものである。
【0035】
前記初爆気筒検出部37は、前記第一クランク信号カウント部32により検出される第一カウント値jと、前記カム信号判別部35によりセットされる前記第一カム信号検出フラッグFc1とに基づいて、初爆制御時における燃料点火の対象となる気筒を検出するもので、例えば、図2、図3に示すように、前記第一カウント値jが12を超えたときに、現在のタイミングが単一欠如タイミングから連続欠如タイミングの間にあると判断することにより、次に来る連続欠如タイミングの検出時にTDC1或いはTDC4となることを検出し、且つ、前記第一カウント値jが12よりも大きいときに、つまり、13、或いは、14、また或いは、15のときに、前記第一カム信号検出フラッグFc1がセットされているか否かにより、前記♯1気筒が圧縮上死点となるか、前記♯4気筒が圧縮上死点と
なるかを判別することが可能なように構成されている。また、前記♯1気筒が圧縮上死点となる場合には、図2に示すように、前記♯1気筒が圧縮上死点となると判別された時点で第一初期条件フラッグFf1をセットし、前記♯4気筒が圧縮上死点となる場合には、図3に示すように、前記♯4気筒が圧縮上死点となると判別された時点で第二初期条件フラッグFf2をセットするように構成されている。尚、前記第一初期条件フラッグFf1がセットされている場合には、前記第二初期条件フラッグFf2はセットされないように、また、前記第二初期条件フラッグFf2がセットされている場合には、前記第一初期条件フラッグFf1はセットされないように構成されている。
【0036】
前記第二クランク信号カウント部34は、初爆制御時における初爆対象気筒への燃料点火が実施された後に、前記各気筒へ順次燃料点火を行なうためのタイミングを計測するためのもので、図2、図3に示すように、前記クランク信号における連結欠如タイミング直後のパルスを検出した時点で、前記第二カウント値kをリセットし、前記クランク信号の連続欠如タイミングから二回目の連続欠如タイミング検出時までのパルス数をカウントするように構成されている。つまり、720°CA毎に1サイクルとしてのカウントを行なうことにより、前記各気筒へ燃料点火するタイミングに対応した異なるカウント値を設定することが可能なように構成されている。
【0037】
尚、前記第二カウント値kは、前記クランク信号における最初の連続欠如タイミングが検出されるまでの間は、前記クランク信号の連続欠如タイミングから二回目の連続欠如タイミングまでのパルス数よりも大きな値の初期カウント値Mfに、例えば、k=Mf=62にセットされている。つまり、前記第二クランク信号カウント部34は、前記初爆気筒検出部37によって、第一初期条件フラッグFf1、或いは、第二初期条件フラッグFf2がセットされた後の、最初の連続欠如タイミングが検出されるまでは、前記第二カウント値kをMfに保ち、前記初爆気筒検出部37によって、第一初期条件フラッグFf1、或いは、第二初期条件フラッグFf2がセットされた後の、最初の連続欠如タイミングが検出されたときに前記第二カウント値kをリセットし、その後のクランク信号におけるパルス数のカウントを行うように構成されている。
【0038】
尚、k=Mfのとき以外の、前記第二カウント値kのリセットタイミングは、前記第二カム信号検出フラッグFc2に基づいて決定されるように構成され、詳しくは、第一初期条件フラッグFf1がセットされている場合には、前記Fc2がセットされている状態で、前記クランク信号における連続欠如タイミングを検出したときに、前記第二カウント値kをリセットし、前記第二カム信号検出フラッグFc2がリセットされている状態で、前記クランク信号における連続欠如タイミングを検出したときに、前記第二カウント値kをリセットしないように構成されている。また、第二初期条件フラッグFf2がセットされている場合には、前記Fc2がリセットされている状態で、前記クランク信号における連続欠如タイミングを検出したときに、前記第二カウント値kをリセットし、前記第二カム信号検出フラッグFc2がセットされている状態で、前記クランク信号における連続欠如タイミングを検出したときに、前記第二カウント値kをリセットしないように構成されている。つまり、前記第二カム信号検出フラッグFc2をリセットする前記第一カウント値jにおける所定の値Afは、前記カム信号におけるパルス信号が検出されるときの前記第一カウント値jよりも小さく0よりも大きい範囲で設定すれば、前記連続欠如タイミング検出時において、前記第二カム信号検出フラッグFc2のセット状態とリセット状態が交互に繰り返されるように設定できる。
【0039】
前記気筒選択部36は、前記各気筒が圧縮上死点で前記燃料点火制御部28により燃料点火されるように、前記初爆気筒検出部37により判別された初爆制御時における燃料点火の対象気筒を選択するとともに、前記初爆制御時における燃料点火の対象気筒以後に点火する気筒を前記第二クランク信号カウント部34よりカウントされる第二カウント値k
に基づいて順次選択するもので、例えば、前記第二カウント値kが62以上の場合には、前記初爆気筒検出部37により検出された初爆制御時における燃料点火の対象気筒が、前記第二カウント値kがリセットされるまでの所定のタイミングで、つまり、前記第一初期条件フラッグFf1、或いは、前記第二初期条件フラッグFf2がセットされた後に、最初に前記クランク信号における連続欠如タイミングが検出されるまでの所定のタイミングで、前記燃料点火制御部28により燃料点火がなされるべく選択するように構成され、また、前記第二カウント値kが61以下で、且つ、前記第一初期条件フラッグFf1がセットされている場合には、図2に示すように、前記第二カウント値kが0となるまでの所定のタイミングで前記#1気筒が、前記第二カウント値kが16となるまでの所定のタイミングで前記#3気筒が、前記第二カウント値kが30となるまでの所定のタイミングで前記#4気筒が、前記第二カウント値kが46となるまでの所定のタイミングで前記#2気筒が、前記燃料点火制御部28により燃料点火がなされるべく前記第二カウント値kに基づいて選択するように構成され、更に、前記第二カウント値kが61以下で、且つ、前記第二初期条件フラッグFf2がセットされている場合には、図3に示すように、前記第二カウント値kが0となるまでの所定のタイミングで前記#4気筒が、前記第二カウント値kが16となるまでの所定のタイミングで前記#2気筒が、前記第二カウント値kが30となるまでの所定のタイミングで前記#1気筒が、前記第二カウント値kが46となるまでの所定のタイミングで前記#3気筒が、前記燃料点火制御部28により燃料点火がなされるべく前記第二カウント値kに基づいて選択するように構成されている。
【0040】
以下気筒判別装置或いはエンジン点火制御装置における燃料点火対象気筒の判別及び燃料点火動作について、図4のフローチャートに基づいて説明する。イグニッションスイッチの操作等により内燃機関のクランキングが開始されるとともに、前記クランク信号検出部24により前記クランク信号の検出、及び、前記カム信号検出部25により前記カム信号の検出が開始されると、前記第一クランク信号カウント部32は、第一カウント値jを0にリセットし、前記第二クランク信号カウント部34は、第二カウント値kを初期値Mf、例えば、62に設定し、前記カム信号部判別部35は、第一カム信号検出フラッグFc1及び第二カム信号検出フラッグFc2をリセットし、初爆気筒検出部37は、第一初期条件フラッグFf1及び第二初期条件フラッグFf2をリセットする(SA1)。
【0041】
前記カム信号検出部25によりカム信号が検出されると(SA2)、前記カム信号判別部35は、前記第一カム信号検出フラッグFc1及び前記第二カム信号検出フラッグFc2をセットする(SA3)。
【0042】
前記クランク信号検出部24により、単一欠如タイミング或いは連続欠如タイミングが検出されると(SA4)、前記第一クランク信号カウント部35は、前記第一カウント値jを0にリセットし、また、前記カム信号判別部35は、前記第一カム信号検出フラッグFc1をリセットする(SA5)。
【0043】
前記第二クランク信号カウント部34は、前記クランク信号検出部24により検出された単一欠如タイミング或いは連続欠如タイミングが、連続欠如タイミングであった場合に(SA6)、当該第二カウント値kが62で(SA7)、前記第一初期条件フラッグFf1がセットされているか(SA8)、或いは、前記第二初期条件フラッグFf2がセットされているときには(SA9)、前記第二カウント値kを0にリセットする(SA10)。また、当該第二カウント値kが62と異なる値で、つまり、当該第二カウント値kが61以下で(SA7)、前記第一初期条件フラッグFf1がセットされ(SA11)、前記第二カム信号検出フラッグFc2がセットされているときにも(SA12)、前記第二カウント値kを0にリセットする(SA10)。更に、前記第一初期条件フラッグFf1はセットされていないが(SA11)、代わりに、前記第二初期条件フラッグFf2がセットされ(SA13)、前記第二カム信号検出フラッグFc2がセットされていないとき、
つまり、リセットされているときにおいても(SA14)、前記第二カウント値kを0にリセットする(SA10)。
【0044】
前記第一クランク信号カウント部32は、前記クランク信号検出部24により前記クランク信号におけるパルスを検出すると(SA15)、前記第一カウント値jをインクリメントする(SA16)。
【0045】
前記カム信号判定部35は、前記第一カウント値jが所定の値Af、例えば、10であれば(SA17)、前記第一カウント値jを0にリセットする(SA18)。
【0046】
前記気筒選択部36は、前記第二クランク信号カウント部34によってカウントされる第二カウント値kが初期値Mf、つまり、62であれば初爆制御時における燃料点火対象気筒の判別が未終了と判断し(SA19)、前記初爆気筒検出部37により初爆制御時における燃料点火対象気筒を検出し、前記初爆気筒検出部37により検出された初爆制御時における燃料点火対象気筒を選択する。
【0047】
つまり、前記初爆気筒検出部37は、前記第一クランク信号カウント部32によってカウントされる前記クランク信号におけるパルス数である第一カウント値jが13以上になるのを待って(SA20)、前記カム信号部判別部35によってセットされる第一カム信号検出フラッグFc1を確認する(SA21)。前記第一カム信号検出フラッグFc1がセットされている場合には、♯1気筒が初爆制御時における燃料点火対象気筒であると検出し、判別することで、前記第一初期条件フラッグFf1をセットする(SA22)。前記気筒選択部36は、連続欠如タイミングが検出されるまでの所定のタイミングで、前記初爆気筒検出部37により検出された初爆制御時における燃料点火対象気筒である♯1気筒が前記燃料点火制御部28によって燃料点火されるように選択し(SA23)、前記燃料点火制御部28は、前記選択された♯1気筒に対して燃料点火する(SA24)。
【0048】
また、前記初爆気筒検出部37は、前記カム信号部判別部35によってセットされる第一カム信号検出フラッグFc1を確認し(SA21)。前記第一カム信号検出フラッグFc1がセットされていない場合には、つまり、前記第一カム信号検出フラッグFc1がリセットされている場合には、♯4気筒が初爆制御時における燃料点火対象気筒であると検出し、判別することで、前記第二初期条件フラッグFf2をセットする(SA25)。前記気筒選択部36は、連続欠如タイミングが検出されるまでの所定のタイミングで、前記初爆気筒検出部37により検出された初爆制御時における燃料点火対象気筒である♯4気筒が前記燃料点火制御部28によって燃料点火されるように選択し(SA26)、前記燃料点火制御部28は、前記選択された♯4気筒に対して燃料点火する(SA27)。
【0049】
前記気筒選択部36は、前記ステップSA19において、前記第二クランク信号カウント部34によってカウントされる第二カウント値kが62と異なる値、つまり、前記第二カウント値kが61以下であれば初爆制御時における燃料点火対象気筒の判別が終了していると判断し(SA19)、前記第二クランク信号カウント部34により前記第二カウント値kをインクリメントする(SA28)。
【0050】
前記気筒選択部36は、前記初爆気筒検出部37により前記第一初期条件フラッグFf1がセットされている場合には(SA29)、前記第二カウント値kが前記第一初期条件フラッグFf1がセットされている場合における所定の値となったときに(SA30)、前記第二カウント値kに対応した燃料点火対象気筒を選択し(SA31)、つまり、前記第二カウント値kが0となるまでの所定のタイミングで前記#1気筒が、前記第二カウント値kが16となるまでの所定のタイミングで前記#3気筒が、前記第二カウント値kが30となるまでの所定のタイミングで前記#4気筒が、前記第二カウント値kが46とな
るまでの所定のタイミングで前記#2気筒が、前記燃料点火制御部28により燃料点火がなされるべく前記第二カウント値kに基づいて選択し、前記燃料点火制御部28は、前記選択された燃料点火対象気筒に対して燃料点火する(SA32)。
【0051】
また、前記気筒選択部36は、前記初爆気筒検出部37により前記第二初期条件フラッグFf2がセットされている場合には(SA33)、前記第二カウント値kが前記第二初期条件フラッグFf2がセットされている場合における所定の値となったときに(SA34)、前記第二カウント値kに対応した燃料点火対象気筒を選択し(SA35)、つまり、前記第二カウント値kが0となるまでの所定のタイミングで前記#4気筒が、前記第二カウント値kが16となるまでの所定のタイミングで前記#2気筒が、前記第二カウント値kが30となるまでの所定のタイミングで前記#1気筒が、前記第二カウント値kが46となるまでの所定のタイミングで前記#3気筒が、前記燃料点火制御部28により燃料点火がなされるべく前記第二カウント値kに基づいて選択し、前記燃料点火制御部28は、前記選択された燃料点火対象気筒に対して燃料点火する(SA36)。
【0052】
つまり、従来では初爆制御時において、圧縮上死点となる気筒が最初に判別されたときには、前記判別された気筒は、既に圧縮上死点となっているため、燃料点火タイミングを逸してしまい、次回に圧縮上死点となる気筒から燃料点火制御を開始していたが、本発明では、圧縮上死点となる気筒が最初に判別されたときには、前記判別された気筒は、未だ圧縮上死点となる以前の状態にあるため、前記判別された気筒から燃料点火制御を開始することが可能となり、スムーズな初爆性能を得ることが可能となるのである。
【0053】
以下別の実施形態について説明する。上述した実施形態における気筒判別アルゴリズム及び点火タイミング検出アルゴリズムは一例に過ぎず、他のアルゴリズムを用いて実現することができることはいうまでもない。
【0054】
また、上述では、一対の欠歯部が、歯部の一領域の歯部が欠落した単一欠歯部と、前記単一欠歯部とは異なる二領域の歯部が一歯部を挟んで隣接して欠落した連続欠歯部で構成されている場合について説明したが、これに限定するものではなく、適宜、一対の欠歯部が前記クランクロータの周上の非対称位置に構成されていればよい。
【0055】
本発明の内燃機関の初爆制御方法及び制御装置は、初爆制御時において、非同期噴射制御を行なう内燃機関に用いることが可能であるが、また、同期噴射制御を行なう内燃機関に用いることも可能である。
【0056】
また更には、初動性能を他の方法で向上させることを目的とした内燃機関システム、例えば、クラッチ制御手段等により、内燃機関の停止後にクラッチ機構を介して走行中の駆動輪から動力を得て内燃機関を回転させることで、クランク角を所定角度に調整することによりピストン位置を燃料が噴射された状態で上死点付近に停止し、再始動時に速やかに爆発工程に移行することができるようにした内燃機関システム等に本発明を用いることで、より安定したエンジン早期始動制御を可能にすることができる。
【0057】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】気筒判別装置或いはエンジン点火制御装置の概略構成の説明図
【図2】各種信号等の発生タイミングと初爆対象気筒判別タイミングと燃料点火制御開始タイミングとを説明するためのタイミングチャート
【図3】各種信号等の発生タイミングと初爆対象気筒判別タイミング燃料点火制御開始タイミングとを説明するためのタイミングチャート
【図4】気筒判別装置或いはエンジン点火制御装置における初爆制御時の燃料点火対象気筒の判別動作を説明するためのフローチャート
【図5】従来技術における初爆対象気筒判別タイミングと燃料点火制御開始タイミングとを説明するためのタイミングチャート
【図6】従来技術における気筒判別装置の説明図
【符号の説明】
【0059】
20:クランクシャフト
21:クランクロータ
22:カムシャフト
23:カムロータ
24:クランク信号検出部
25:カム信号検出部
26:気筒判別部
28:燃料点火制御部
30:クランクロータの歯部
31:カムロータの歯部
32:第一クランク信号カウント部
34:第二クランク信号カウント部
35:カム信号判別部
36:気筒選択部
37:初爆気筒検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータの歯部を検出した際に出力されるクランク信号と、カムロータの周上に形成された所定の歯部を検出した際に出力されるカム信号とに基づき、特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、エンジンの気筒の判別を行なう気筒判別部を備える気筒判別装置であって、
前記気筒判別部は、前記一対の欠歯部間に検出されるカム信号の有無と、前記一対の欠歯部間に検出されるクランク信号の数に基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出するように構成されている気筒判別装置。
【請求項2】
前記一対の欠歯部が、前記クランクロータの周上における歯部が欠落した領域の幅が異なる二種類の欠歯部で構成されている請求項1記載の気筒判別装置。
【請求項3】
歯部が欠落した領域の幅が長い欠歯部の直後の歯部の検出タイミングが前記特定の気筒群の上死点となるように構成されている請求項2記載の気筒判別装置。
【請求項4】
複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成され、前記欠歯部の少なくとも一方が特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられたクランクロータと、前記クランクロータにおける所定の欠歯部の間に対応するように、周上に歯部が形成されたカムロータと、を備えたエンジンの気筒判別装置であって、
前記クランクロータの欠歯部を検出した場合に、その後に検出される前記カムロータの歯部の有無と前記クランクロータの歯部の数とに基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、前記特定の気筒を判別する気筒判別部を備える気筒判別装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかの気筒判別装置と、前記気筒判別装置により判別された気筒に対して燃料点火を行なう燃料点火制御部とを備えてなるエンジン点火制御装置。
【請求項6】
複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成されたクランクロータの歯部を検出した際に出力されるクランク信号と、カムロータの周上に形成された所定の歯部を検出した際に出力されるカム信号とに基づき、特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、エンジンの気筒の判別を行なう気筒判別方法であって、
前記一対の欠歯部間に検出されるカム信号の有無と、前記一対の欠歯部間に検出されるクランク信号の数に基づいて、前記特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられた欠歯部を検出する気筒判別方法。
【請求項7】
前記一対の欠歯部が、前記クランクロータの周上における歯部が欠落した領域の幅が異なる二種類の欠歯部で構成されている請求項6記載の気筒判別方法。
【請求項8】
歯部が欠落した領域の幅が長い欠歯部の直後の歯部の検出タイミングが前記特定の気筒群の上死点となるように構成されている請求項7記載の気筒判別方法。
【請求項9】
複数の歯部が周上に等間隔に形成されるとともに一対の欠歯部が周上の非対称位置に形成され、前記欠歯部の少なくとも一方が特定の気筒の上死点に対応する位置に設けられたクランクロータと、前記クランクロータにおける所定の欠歯部の間に対応するように、周上に歯部が形成されたカムロータと、を備えたエンジンの気筒判別方法であって、
前記クランクロータの欠歯部を検出した場合に、その後に検出される前記カムロータの歯部の有無と前記クランクロータの歯部の数とに基づいて、前記特定の気筒の上死点に対
応する位置に設けられた欠歯部を検出することによって、前記特定の気筒を判別する気筒判別方法。
【請求項10】
請求項6から9の何れかの気筒判別方法によって判別された気筒に対して燃料点火を行なうエンジン点火制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−266175(P2006−266175A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86286(P2005−86286)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】