説明

水で希釈可能なゾルゲル組成物

本発明は、少なくとも次の成分:(i)グリシジルオキシプロピルアルコキシシラン、(ii)>1質量%の固体含有量を有する水性シリカゾル、(iii)加水分解触媒としての有機酸、及び(iv)架橋剤としてのn−プロピルジルコナート、ブチルチタナート又はチタンアセチルアセトナートを反応させることに基づき、0.75の成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比から出発する、あらゆる比率で水で希釈可能なゾルゲル組成物、その製造方法、その使用、特に腐食保護被覆、相応する腐食保護被覆又はプライマー被覆としてのゲル組成物としての使用、及びこのような被覆を備えた物品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン及びゾルゲル法によるシリカゾルをベースとする特別な水性組成物、その製造及びその使用に関する。
【0002】
シランは、ゾルゲル法によるナノコンポジットの製造における出発材料として次第に重要視されている、例えばEP 1 288 245 A, EP 0 982 348 A, DE 198 16 136 A, WO 99/036359。このようなナノコンポジットは、一般に極めて多様な適用のための被覆材料として使用される。
【0003】
ゾルゲル調製物をベースとする公知の被覆システムの頻繁でかつ主要な欠点は、塩化物の存在、及びシランの加水分解の副生成物として得られるか又は希釈剤として添加された有機の一般に揮発性でかつ毒性の溶剤の高い割合である。シランの完全な加水分解のために不十分な量の水の使用及び酸性加水分解触媒の使用は、数ヶ月間貯蔵安定性であるが、溶剤を含有するゾルゲル系の製造を可能にする。アルコキシ基の完全な加水分解を生じさせる水の量を増加させ、それにより前記系の貯蔵安定性を劇的に低下させ及び/又は特に前記系が極めて高い固体含有量を有する場合に、前記加水分解プロセスの完了後に急速にゲル形成することも公知である。
【0004】
公開前のドイツ国特許出願第10 2004 037 045.1は、主に、高い固体含有量の水性シランナノコンポジットに関する。しかしながら、残念なことに、このようなゾルゲル系の水による希釈性は限定的である。水で著しく希釈された系は、特に軽度に高められた貯蔵温度で、貯蔵の間に沈殿及び堆積を示す。薄い被覆を適用するために、特に所定の適用方法、例えば吹き付け又は浸漬の場合に、前記ゾルゲル系は希釈された溶液の形で適用する必要がある。
【0005】
本発明の根底をなす課題は、特に水で良好に希釈可能でありかつ貯蔵安定性である、他の反応性の、実質的に水性のゾルゲル系を提供することであった。
【0006】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された本発明により達成される。
【0007】
特に、成分(ii)対(i)の高い比率の場合に、例えばr=0.96の場合に、前記ゾルゲル被覆材料の水による希釈性は一般に制限され、かつこの場合、希釈された溶液は貯蔵安定性が低い。低い乾燥膜厚<10μmを達成するために、所定の形の適用、例えば浸漬又は吹き付けのために、例えば溶剤を用いた乾燥残分の著しい低減を達成する必要がある。その際に有機溶剤よりも水が使用される場合、意外にも、ドイツ国特許出願第102004037045.1と比較可能なゾルゲル系から出発し、成分(ii)対成分(i)の比較的低い質量比:r=成分(ii)の固体質量/成分(i)の質量を調節する場合に、水による希釈性が高くかつ同時に貯蔵安定性のゾルゲル被覆組成物を製造することができることが示された。比率r≦0.75で、水により希釈可能でかつ希釈した形で貯蔵安定であるゾルゲル被覆材料を有利に製造することが可能である。
【0008】
このように、意外にも、被覆のために特に反応性であり、かつ実際に水で無制限に希釈可能であり、かつ希釈した状態で4ヶ月以上も貯蔵安定である実質的に水性の加水分解物は、少なくとも(i)ジグリシジルオキシプロピルアルコキシシラン、(ii)>1質量%、有利に>20質量%の固体含有量を有する、コロイド状に分散する水性シリカゾル、(iii)加水分解触媒としての有機酸、特に酢酸、プロピオン酸又はマレイン酸、及び(iv)架橋剤としてのジルコニウムテトラプロピラート[つまり、いわゆるn−プロピルジルコナート:Zr(O−C374]、ブチルチタナート、特にn−ブチルチタナート[Ti(O−C494]又はチタンアセチルアセトナートを、成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比が≦0.75、つまりr=固体質量(ii)/質量(i)、r≦0.75で、混合することにより簡単でかつ経済的に得られることが見出された。さらに、有利に、特に毒性であるメタノールの場合に、この加水分解アルコールは、実質的に、つまり<5質量%、検出限度の範囲内の残留量まで、加水分解物から除去され、必要な場合に、水で定量的に置き換えることができる。
【0009】
本願発明の加水分解物並びに付加的に水で希釈された加水分解物(ゾルゲル系又はゾルゲル組成物又は、省略して組成物、被覆材料又は材料)は、さらに、比較的優れた貯蔵安定性、つまり4ヶ月以上の貯蔵安定性を特徴とする。
【0010】
さらに、本願発明の組成物は環境に優しく、実質的に塩化物不含であり、つまり前記組成物に対して有利に0.8質量%未満、特に0.5質量%未満の塩化物を含有し、かつ比較的低い割合の揮発性有機成分(VOC割合)、火災危険物質、及び毒性物質を有するだけである。この本発明の組成物は、一般に、比較的高い、有利に約≧90℃の引火点を有する。
【0011】
特に、本発明の被覆材料を用いて得られた金属上の被覆は、優れた腐食防止特性を示す。
【0012】
さらに、本願発明の被覆材料をベースとする被覆は、特に水及び酸素に関して有効な遮断層を提供する。
【0013】
本発明の被覆材料は同様に優れたプライマー特性を特徴とし、これは特に極めて薄い被覆の形で接着促進剤として有利に使用することができる。
【0014】
さらに、本発明の組成物の一つの適用後に得られた被覆は、優れた耐水性について及び優れた硬度及び耐引掻性を特徴とする。
【0015】
本発明は、従って、少なくとも次の成分
(i) グリシジルオキシプロピルアルコキシシラン、
(ii) >1質量%の固体含有量を有する水性シリカゾル、
(iii) 加水分解触媒としての有機酸、及び
(iv) 架橋剤としてのn−プロピルジルコナート、ブチルチタナート又はチタニウムアセチルアセトナート
の反応に基づき、その際、成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比≦0.75から出発する、水で希釈可能なゾルゲル組成物を提供する。この場合、成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比は有利に0.1〜0.7、さらに有利に0.2〜0.6、特に0.3〜0.5、並びにその間に数値的に位置する全ての数である。
【0016】
成分(i)は、有利に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン又は前記シランの少なくとも2種の混合物のグループから選択される。
【0017】
成分(ii)として、通常では、>1質量%〜≦50質量%の、有利に30質量%〜<50質量%、特に40〜<50質量%の、つまり約45質量%の固体含有量を有する、カチオン性のコロイド状に分散するシリカゾルが有利であり、前記固体含有量は一般にDIN EN ISO 3251により測定される。有利な水性シリカゾルは、3〜5、特に3.5〜4のpHを有する。しかしながら、アルカリ性又は中性で安定化されたシリカゾルを使用することもできる。この粒度分布は、通常の方法で、レーザー回折(Coulter LS粒度測定装置)により測定することができる。さらに、本発明により使用されるシリカゾルは、非晶質の水性SiO2粒子だけでなく、さらにゾルゲル形成される水性の元素酸化物、例えば酸化アルミニウム又は酸化ケイ素/酸化アルミニウム又は酸化チタン又は酸化ジルコニウム又は酸化亜鉛又は前記酸化物の少なくとも2種の混合物を含有することができる。さらに、有利なシリカゾルは一般に、40〜400nmの平均サイズを有する非晶質の水性酸化物粒子、例えば、限定するものではないがLevasil(R) 200S/30%並びにLevasil(R) 100S/45%を含有する。
【0018】
このpHは、通常の方法で、例えばpH紙、pHスティック及びpH電極を用いて測定することができる。
【0019】
さらに、成分(iii)として酢酸、プロピオン酸及びマレイン酸のグループからなる有機酸が有利である。このように、本発明の組成物は、前記組成物に対して、有利に成分(iii)0.01質量%〜3質量%、さらに有利に0.5質量%〜2質量%、特に1質量%〜2質量%を含有する。
【0020】
成分(iv)の架橋剤は、本発明の組成物を製造するために、粉末として、液体として又はアルコール溶液として使用することができる。本発明の組成物は、有利に、0.5質量%〜8質量%の成分(iv)含有量に基づく。
【0021】
本発明の組成物について、他の成分(v)として、テトラアルコキシシラン、特にテトラエトキシシラン、少なくとも1種のアルキルシラン、有利にアルキルアルコキシシラン、特にジメチルジエトキシシラン又はメチルトリメトキシシラン、及び/又は少なくとも1種のフェニルトリアルコキシシラン、特にフェニルトリエトキシシラン又はフェニルトリメトキシシランを有利に使用することもできる。
【0022】
従って、本発明の組成物は、成分(v)を前記組成物に対して1質量%〜10質量%の量で含有することができる。この場合に有利には、成分(ii)の割合は、相応して成分(v)に置き換えられる。
【0023】
さらに、このゾルゲル被覆の性能は、他の特別な添加物又は成分(vi)の選択によりさらに改善することができる。さらに、被覆材料中の特に適切な添加物又は成分(vi)は、リン酸、リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩、例えばNaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、又は相応するカチオン塩、ポリ酸及び/又はヘテロポリ酸及びそれらの塩、例えばクロム酸、モリブデン酸、クロム酸塩、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属のクロム酸塩及び二クロム酸塩、モリブデン酸カルシウム、モリブドリン酸(いくつかを挙げただけ)、有機結合剤の水性分散液、特に水性アクリラート分散液、例えばメチルメタクリラート/n−ブチルアクリラート分散液、例えばPlextol(R) D510、ナノ粒子、有利に無機ナノ粒子、さらに有利に熱分解法により製造されたナノ粒子、特にヒュームドシリカ、例えば熱分解法により製造されたシリカ(Aerosil(R))、及びアミノシラン及びアミノアルキルシロキサン(次に詳細に記載されている)を含む。
【0024】
このように、前記組成物のための1種又は数種の他の成分(vi)として、流動特性及び腐食保護特性をさらに改善する添加物を使用することもできる。適切な添加物(vi)は、塗料及び被覆工業において一般的に使用される流動調節助剤及び湿潤剤、並びに被覆材料に対して0.001質量%〜1質量%、有利に0.01質量%〜0.1質量%、さらに有利に0.03質量%〜0.06質量%の濃度でのリン酸又はその塩、又は被覆材料に対して有利に0.1質量%〜50質量%、さらに有利に1質量%〜40質量%、特に有利に10質量%〜30質量%の濃度での水性樹脂分散液、特にアクリラート分散液、さらに有利に水性メチルメタクリラート/n−ブチルアクリラート分散液、又は被覆材料に対して0.01質量%〜20質量%、有利に1質量%〜10質量%濃度でのナノ粒子、有利に熱分解法により製造されたナノ粒子、特に熱分解シリカである。
【0025】
さらに、本発明の、場合により著しく希釈された被覆材料の安定性は、6〜9のpH、有利に7〜8のpHに調節することにより付加的にさらに改善することができる。このように、例えば、限定するものではないが、このpHは、水に可溶性の塩基性物質の適切に計量された添加により調節することができる。このために適した例は、アンモニア、有機アミン、特に有利に(vi)による添加物、アミノシラン、例えば
2N−(CH23−Si(OCH33 (AMMO)
2N−(CH23−Si(OC253 (AMEO)
2N−(CH22−NH−(CH23−Si(OCH33 (DAMO)
2N−(CH22−NH−(CH23−Si(OC253 (DAEO)
2N−(CH22−NH−(CH22−NH−(CH23−Si(OCH33 (TRIAMO)
(OCH33Si−(CH23−NH−(CH23−Si(OCH33 (BisAMMO)
(OCH33Si−(CH23−NH−(CH23−Si(OC253 (BisAMEO)
又はそれぞれの前記アミノアルキルシランの水溶液、例えばDynasylan(R) 1122又はDynasylan(R) 1124又はいわゆるアミノシロキサン、特に水性アミノシロキサン溶液、例えばDynasylan(R) 1151、又は前記アミノアルキルシランの少なくとも1つをベースとするヒドロシル(これ自体は後に詳細に記載する)、つまり特にアミノアルコキシシラン及び他の有機官能性アルコキシシランの共縮合物の塩基性に調節された水溶液を含む。
【0026】
本発明の組成物(つまり相応する水により希釈されたゾルゲル系を含む)は、一般に軽度に濁った乃至オパール状の光沢を有する液体であり、意外にも40〜200nm、特に50〜100nmの平均直径を有するゾル粒子を特徴とする。このゾル粒子の直径は、通常の方法で、例えばレーザー回折により測定することができる。特に意外にも、この関係において、本発明による組成物は、有利に約4ヶ月以上の貯蔵期間にわたり、実際に変化しない粒度分布を有し、つまり貯蔵安定性である。
【0027】
さらに、本発明の組成物は、全組成物に対して、>0.5質量%〜<60質量%、有利に5質量%〜55質量%、さらに有利に10質量%〜50質量%、特に有利に20質量%〜40質量%、特に25質量%〜<35質量%の固体含有量を特徴とする。本発明の組成物の固体含有量は、一般にDIN ISO 3251により測定される。
【0028】
さらに、本発明による組成物の固体含有量及び粘度は水の添加により調節することができる。有利にこの関係で、添加される水の量は、0.5質量%〜60質量%の固体含有量が生じるような量である。この種の本発明による組成物は、一般に有利に数ヶ月間にわたり貯蔵安定性である。
【0029】
さらに、本発明の組成物は、全組成物に対して<5質量%、有利に<3質量%、さらに有利に<1質量%の比較的低い加水分解アルコール含有量を特徴とする。本発明の組成物のアルコール含有量は、通常の方法で、例えばガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0030】
この貯蔵安定性は、水の他に特に適当な有機溶剤、例えば1−メトキシプロパン−2−オール≦10質量%が添加される場合に、付加的に延長することができる。
【0031】
このように本発明の組成物は、全組成物に対して≦10質量%、有利に5質量%〜10質量%の1−メトキシプロパン−2−オール含有量を有するのが有利である。この種の系は一般に高い引火点をも特徴とする。
【0032】
本発明の水性組成物は、数学的パラメータとして、全組成物に対して有利に約99.5質量%〜30質量%、さらに有利に90質量%〜40質量%、特に有利に80質量%〜50質量%、特に>70質量%の含水量を有する。
【0033】
溶剤として水約>50%の割合の場合に、このような被覆組成物において、一般に「非揮発性成分」の量が測定される。この測定は、一般にDIN EN ISO 3251(「非揮発性成分の量の測定」)による水及びアルコールの蒸発により行われる。このために、前記材料を一般に使い捨てのアルミニウム皿中で125℃で1時間コンディショニングし、非揮発性成分を示差秤量により決定する。この測定法は、主に、被覆材料、被覆材料用の結合剤、ポリマー分散液、縮合樹脂、充填剤、顔料等を有するポリマー分散液に使用される。この方法は相対値を得る。
【0034】
このように本発明の組成物の場合に非揮発性含有量は特に有利に0.5質量%〜50質量%である。
【0035】
特に、この場合、非揮発性成分5質量%〜<30質量%を有する系が有利である。
【0036】
本発明による組成物は、さらに少なくとも1種の界面活性剤を有することができる。特に、このように、基材の濡れにおける付加的な改善を達成するために、シリコーン界面活性剤、例えばBYK-348(ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサン)の添加を行うことができ、これは特に金属基材上で被覆を製造する場合に関する流動の問題を回避することに寄与することができる。この組成物に対して、一般に<0.5質量%、特に0.1質量%〜0.3質量%の界面活性剤が有利である。
【0037】
さらに、いわゆるヒドロシル系を本発明の組成物に添加することもできる。
【0038】
ヒドロシル系(Hydrosil system)とは、例えばEP 0 716 127 A、EP 0 716 128 A、EP 0 846 717 A及びEP 1 101 787 Aから推知されるように、水溶性の、実際に完全に加水分解された(フルオロ)アルキル−/アミノアルキル−/ヒドロキシ−(及び/又はアルコキシ−)シロキサンの混合物を含有する、主に水性の塩化物不含の主に僅かに酸性、しかしながら中性及び塩基性の水性系であると解釈される。この例は、Dynasylan(R) HS 2909、Dynasylan(R) HS 2775、Dynasylan(R) HS 2776及びDynasylan(R) HS 2627を含む。Dynasylan(R) F 8815を本発明による組成物に、1:0.01〜0.01:1、さらに有利に約1:01.〜0.1:1の質量比で添加することが特に有利であり、ここで使用された前記水性Dynasylan(R) F 8815は、前記組成物に対してかつ前記のようにDIN EN ISO 3251により測定して、有利に<80質量%、特に有利に<40質量%、さらに有利に0.1〜20質量%、特に約13〜15質量%の活性物質含有量を有する。こうして得られた本発明による組成物は、有利に、被覆の側で著しく疎水性でかつ親油性の特性(つまりイージー・トゥー・クリーンともいわれる)への適用を特徴とする。
【0039】
本発明のゾルゲル組成物、特に水で希釈された系は有利に6〜9、特に7〜8のpHを有する。
【0040】
同様に、本発明の場合に、最初に成分(i)を導入し、引き続き成分(iii)を有効に混合しながら計量供給し、次いで成分(iv)を添加し、その後で成分(ii)を添加し、かつ反応させることにより、本発明によるゾルゲル組成物を製造する方法を提供することであり、その際前記反応は所望の場合に少なくとも1種の希釈剤を添加しながら実施され、かつ成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比≦0.75から出発する。
【0041】
この方法で使用することができる希釈剤は、水、メタノール、エタノール及び/又は1−メトキシプロパン−2−オール及び他のアルコール、例えばプロパノール又はイソプロパノールを含む。
【0042】
1種以上の成分(v)を使用する場合に、これらは本発明の方法の場合に有利に成分(i)と一緒に導入される。
【0043】
本発明の方法において、前記反応は有利に0〜35℃、さらに有利に5〜25℃の温度で、1〜60分、さらに有利に5〜20分の期間にわたり実施され、こうして得られた生成混合物を約35〜85℃、有利に50〜60又は60〜70℃の温度で、つまり有利に加水分解アルコールの沸点よりもいくらか低く、10分〜4時間、さらに有利に30分〜3時間で後反応させる。反応及び後反応は、一般に有効に混合しながら、例えば撹拌しながら実施される。
【0044】
引き続き、この反応において形成された加水分解アルコール、特にメタノール、エタノール及び/又はn−プロパノールを、生じた生成混合物系から減圧下での蒸留により除去し、必要な場合に、この除去されたアルコールの量を水の相応する量に置き換えることができる。
【0045】
さらに、この反応混合物又は生成混合物に界面活性剤、例えば、限定はしないが、BYK 348を添加することができる。
【0046】
これとは別に、一般にこうして得られた僅かに曇った乃至オパール状の光沢を有する生成混合物を、可能な限り、水及び/又は1−メトキシプロパン−2−オール又は他のアルコールを用いて希釈し及び/又は所望の固体含有量に調節することもできる。
【0047】
本発明の方法の場合に、1種以上の成分(vi)を前記生成混合物に添加することも有利である。
【0048】
本発明による生成混合物又は本発明による組成物は、さらにヒドロシル、有利にフルオロ官能性活性物質を含有するヒドロシルと混合することができる。特に、活性物質として計算して及び後の組成物に対して、13質量%〜15質量%の量でのヒドロシル濃度として有効に混合しながら添加される。このようにして得られた組成物は、有利に適用後に硬質の耐引掻性の被覆になることを特徴とし、及び付加的にこの種の被覆は水による濡れ試験において、>105゜の接触角を有する。
【0049】
従って、本発明はさらに、本発明の方法により得られたゾルゲル組成物を提供する。
【0050】
一般的には、本発明の組成物は次のように製造できる:
一般に、成分(i)を最初に導入し、これに(iii)を最初に計量供給し、次いで(iv)を計量供給し、引き続き(ii)を添加し;成分(ii)対(i)の比を調節し、他の成分として、所望の場合に1種以上の成分(v)、所望の場合に1種以上の成分(vi)及び所望の場合に希釈剤を使用する。さらに、有効な混合を保証するのが好ましい。
【0051】
シリカゾルのこの割合の結果として、引き続き、(i)及び、必要な場合に(v)のシランの加水分解のために必要な水よりもよりも多くの水を前記混合物に導入することが可能となる。加水分解を開始させるために、一般に反応混合物の温度を僅かに上昇させる。この場合、付加的な冷却、必要な場合に軽度な加熱を実施することができる。反応混合物又は生成混合物を、所定の時間にわたり僅かに高めた温度で撹拌しながら後反応させるのが有利である。従って、反応の後に、この生成物は、一般に大量の水及び加水分解アルコール、例えばメタノール、エタノール又はn−プロパノールを有する加水分解物である。
【0052】
さらに、加水分解アルコール、特に毒性であるメタノールを生じた生成混合物から蒸留により除去し、相応する量の水で置き換えることもできる。
【0053】
この加水分解物は優れた貯蔵安定性を有し、有利に水をさらに添加することにより無制限に希釈することができる。加水分解は、シラン分子の相互の並びにSiO2粒子の表面のOH基との緩慢な縮合の開始を伴い、これは無機/有機ネットワークの予備的な形成を引き起こすが、一般に反応生成物の堆積は伴わない。それにもかかわらず、本発明のゾルゲル組成物は、意外にも、水で希釈された状態でも貯蔵安定性である。
【0054】
同様に、本発明による組成物に他の成分、例えばいくつかの例を挙げると、界面活性剤、さらなる量の水、1−メトキシプロパン−2−オール、及びヒドロシル混合物を有利に混合することもできる。
【0055】
このように、有利に、希釈可能で、貯蔵安定性の、僅かに曇った、オパール状の光沢を有する、易移動性の液体が得られる。さらに、このレオロジー特性に基づき、本発明の組成物は一般に、特にユーザーフレンドリーでかつ実際に全ての割合で水で希釈可能であり、その際、このように水で希釈されたゾルゲル系は優れた貯蔵安定性を示す。
【0056】
本発明の組成物は、一般に、基材に適用、例えばいくつかの方法を挙げると、刷毛塗り、吹き付け、ブレード塗布又は浸漬により使用される。被覆の前に、保護すべき表面、特に金属表面は、被覆工業において通常の方法により、清浄化又は特に脱脂することができる。清浄化は、例えば限定されるものではないが、化学的、機械的又は熱的方法で行うことができる。一般に、ゾルゲル被覆材料の適用に引き続き、この被覆は短時間の初期乾燥が行われ、次いで熱的後処理、つまり硬化を行うことができる。こうして、被覆操作の後に、有利に熱処理は>150℃の温度で行われる。この関係において、本発明の組成物は優れた適用特性も特徴とする。
【0057】
このように、ゾルゲル被覆は、本発明による組成物、特に水で希釈可能な組成物を用いて、特に金属基材上に多様な方法で腐食保護被覆又はプライマー被覆として製造することができる。この関係で、適当な技術は、一般に被覆分野において液状の被覆材料のために適した全ての方法、例えば吹き付け、刷毛塗り、ローラ塗布、浸漬及びブレード塗布を含む。0.1〜10μmの乾燥膜厚が有利であり、特に1μm以下の乾燥膜厚が有利である。このゾルゲル被覆は一般に空気中で乾燥させて、タッチドライの被覆が形成される。後架橋は、高めた温度で実施することができる。有利に、金属表面上に適用されたゾルゲル被覆は、室温で数分間、有利に0.5〜100分間、更に有利に1〜20分間、特に5〜10分間乾燥させ、その後で有利に完全な硬化が、有利に100〜400℃で、更に有利に150〜250℃で、特に有利に180〜220℃で行われる。完全な硬化のための時間は、温度に依存して数秒間、数日間及び数週間の間で変えることができ、これは有利に0.5〜60分間、更に有利に0.5〜20分間である。通風条件下での硬化は、例えば、制限するものではないが、通風乾燥庫中で、200〜220℃の温度で、5〜20分間内が特に適当であることが判明した。
【0058】
前記被覆の機械特性及び前記被覆の耐水性は、有利に架橋剤としてn−プロピルジルコナート、n−ブチルチタナート又はチタンアセチルアセトナートの添加によりもたらされる。
【0059】
更に、ジメチル−ジエトキシシランの適切な添加により、被覆の疎水性効果及び弾性を向上させることができる。本発明の被覆材料を製造する場合に、フェニルアルコキシシランの添加により、相応する被覆の熱安定性及び弾性の両方に有利な影響を与えることができる。メチルトリエトキシシランの添加は、前記被覆の疎水性特性を向上するという有利な効果を有する。更に、耐引掻性及び耐摩耗性は、特に被覆材料の製造の際にテトラエトキシシランの添加により更に向上させることができる。
【0060】
酸に敏感な基材、例えば鋼上の飛び錆(fly rust)の形成は、pHを7又は7を僅かに上回る値に調節する場合に十分に回避することができる。このために、前記ゾルゲル形に塩基性の添加剤を添加することができる。原則として、全ての水溶性塩基が適しているが、特に適しているのは塩基性アミン、更に特に適しているのは塩基性アミノシラン並びに塩基性アミノシラン加水分解物、例えばDynasylan(R) 1151(Degussa)である。
【0061】
本発明は、同様に、ゾルゲル組成物を基材に適用し、熱的に硬化させる、基材表面を被覆するための本発明のゾルゲル組成物の使用を提供する。
【0062】
例えば、本発明の組成物を基材に適用後に、前記被覆を0.5〜100分間で適当に排気又は初期乾燥させることができ、引き続き前記被覆を有利に60〜400℃の範囲内の温度で硬化させることができる。
【0063】
例えば、限定するものではないが、前記硬化を次の条件下で実施することができる:乾燥ユニットを予熱、次いで30〜60分間150℃で、又は10〜30分間180℃で、又は約20分間200℃で、又は10〜20分間220℃で。
【0064】
この場合、<1〜15μm、有利に0.1〜10μm、更に有利に0.2〜5μmの膜厚を達成することができる。特に有利に、本発明の被覆は金属表面上での腐食保護被覆として又は0.1〜約1μmの膜厚を有するプライマー被覆として特に適している。
【0065】
本発明は更に、本発明の組成物を本発明により用いる場合に得ることができる被覆を提供する。
【0066】
本発明の被覆及びこのように被覆された基材又は物品は、更に、特に有利に、優れた耐摩耗性及び耐引掻性、良好な耐候性、特にUV放射線及び降雨に対しての耐候性を特徴とする。
【0067】
このように、本発明のゾルゲル系は、特に金属表面上に、優れた腐食保護作用を有する、機械的安定な、耐引掻性の及び耐摩耗性の、疎水性が高い、接着促進する及び耐薬品性の被覆を製造するためにも適している。
【0068】
例えば、本発明の被覆は、いくつかの例を挙げると、限定するものではないが有利に紙上に、例えばベニアの製造のため、例えば厚紙、木材、無垢木、チップボード上に、プラスチック上に、例えばメラミン上に、塗膜上に、石材上に、セラミック、特に金属及び/又は金属合金上に、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、鋼、メッキされた鋼、ステンレス鋼、例えば金属板又は成形品上に、特に自動車工業における中間層又はトップコートとして又は金属表面上での単独の腐食保護層として又はプライマー層として作成される。本発明の被覆は、金属表面での直接適用として特に優れている。
【0069】
従って、本発明により、本発明の被覆を有する物品が提供される。
【0070】
本発明は、次の実施例により詳細に説明されるが、本発明の主題を制限するものではない。
【0071】
実施例:
固体含有量の測定
DIN ISO 3251により、液状材料又は被覆材料の固体含有量は、不揮発成分の量であると解釈され、この測定は十分に定義された条件下で実施される。
【0072】
本発明の被覆組成物又は液状材料の固体含有量は、DIN ISO 3251 (QM-AA AS-FA-SL 7001)に基づく方法で次のように測定した:
使い捨てアルミニウム皿(d=約65mm、h=約17mm)に、化学秤上で試料1g(精度1mg)を入れた。この皿を簡単に旋回して、生成物を皿内に均一に分配した。この皿を、約125℃で1時間乾燥庫中に貯蔵した。乾燥手順の完了後に、前記皿をデシケーター中で20分間室温に冷却し、化学秤で1mgの精度で計り直した。試験ごとに少なくとも2回の測定を実施して、平均値を報告する必要があった。
【0073】
DIN 50021 (CASSテスト)に基づく方法による腐食保護の評価
この被覆された金属基材を試験溶液中に50℃で24時間置く。この金属基材を腐食液で完全に覆う。その後、この試験基材を試験溶液から取り出し、腐食を視覚的に評価した:
評価基準:
+: 腐食の痕跡はないか又は孤立した痕跡だけが見られる
o:明らかな腐食(孔食)が見られる
-: 極めて明らかな腐食(孔食)が見られる
この試験溶液は、DIN 50021に従って製造される(DIN 50021, page 3, section 5.3, DIN 50021 - CASS試験のための試験溶液参照)
乾燥膜厚の測定
試験装置:
− Fischer社のDualscope MP4C
− Fischer社のDualscope MP40
試験:
硬化した被覆の測定のために、プローブをペイント膜上に置き、この測定値をμmで読み取る。被覆された面積の大きさに応じて、複数の測定値を測定するのが好ましい(3〜10)。散乱の基準として、最大値と最小値との差又は標準偏差を用いることができる。測定値の数値を読み取ることができる。
【0074】
校正:
それぞれの一連の測定の前に、この装置を標準化(ゼロ点決定)により未被覆の物品について調査し、引き続き試験シートを調査した。測定された膜厚の偏差が>1μmである場合、保証された試験片を用いて補正校正が行われる。
【0075】
実施例1
ゾルゲル系1の製造
装置:
蒸留装置を備えた撹拌反応器、真空ポンプ
計量供給装置、液相温度計及び上部温度計
手順:
Dynasylan(R) GLYMO 415.6gを初期バッチとして導入し、酢酸20.6gを撹拌しながら添加した。直後にTYZOR(R) NPZ 41.1gを計量供給した。5分後に温度は約2〜5℃上昇した。この時点で、Levasil(R) 100S/45%(45質量%の固体含有量を有する水性シリカゾル)417.0gを1分間にわたり撹拌混入した。良好な撹拌作用が保証された。直後にDI水477.3gを再び迅速に滴加した。最高温度(約42℃)が達成された場合に、不透明な分散液を更に75〜80℃(還流)で2時間さらに撹拌した。この分散液を約50℃の液相温度に冷却した後、さらにDI水356.4gを計量供給した。引き続きメタノールを約50〜60℃の液相温度及び約270mbarの絶対圧で留去した。蒸留の完了時に、この液相温度は圧力を変えずに60〜65℃に上昇した。上部温度は、同様に>62℃に上昇した。この時点で、水だけが留去され、従って蒸留は完了した。この分散液を≦50℃に冷却した後、蒸留により除去されたDI水の量(これは>59.4gであった)を補充した。この分散液をさらに少なくとも2時間撹拌した。これを室温で排出した。生成物は乳白色の不透明な外観を有していた。比率r=成分(ii)の固体質量/成分(i)の質量は0.45であった。
【0076】
最終質量:
収率はほぼ100%:1498g
この生成物の物理化学的特性は次のようであった:
固体含有量(1h、125℃) 36質量% (DIN ISO 3251に基づく)
SiO2含有量 約16質量% (AN-SAA-1653)
pH 4〜5
密度(20℃) 1.148g/ml (DIN 51757)
粘度(20℃) 約8mPa s (DIN 53015)
加水分解後のメタノール <3% (AN-SAA 0272)
比較例1a
ゾルゲル系1aの製造
装置:
蒸留装置を備えた撹拌反応器
計量供給装置
内部温度計
手順:
Dynasylan(R) GLYMO 363.6gを初期バッチとして導入し、酢酸18.0gを撹拌しながら添加した。直後にTYZOR(R) NPZ 36.0gを計量供給した。5分後に温度は約2〜5℃上昇した。この時点で3分間にわたりLevasil(R) 100S/45% 782.4gを撹拌混入した。良好な撹拌作用が保証された。最高温度(シリカゾルの添加の完了の10分後)が達成された場合に、不透明な分散液を更に75〜80℃(還流)で2時間撹拌した。この分散液を約50℃の液相温度に冷却した後、DI水312.0gを計量供給した。引き続きメタノールを約50〜60℃の液相温度及び約270mbarの絶対圧で留去した。蒸留の完了時に、この液相温度は圧力を変えずに63〜65℃に上昇した。上部温度は、同様に>62℃に上昇した。この時点で、水だけが留去され、従って蒸留は完了した。この分散液を≦50℃に冷却した後、蒸留により除去された水の量を補充した。この分散液をさらに約2時間撹拌した。
【0077】
生成物は乳白色の不透明な外観を有していた。
【0078】
比率r=成分(ii)の固体質量/成分(i)の質量は0.96であった。
【0079】
最終質量:
収率はほぼ100%:1364g
分析:
【表1】

【0080】
実施例2
実施例1及び比較例1aとからのゾルゲル系の水による希釈性
実施例1及び比較例1aからの生成物を、1:1でDI水で希釈し、50℃で貯蔵した。数日間貯蔵した後、比較例1aからの生成物の場合には明らかな堆積が生じたが、実施例1からの生成物の場合には生じなかった。
【0081】
概要:実施例1からの生成物だけが、水で希釈した場合に貯蔵安定であった。
【0082】
貯蔵安定性の水で希釈された生成物は、1μm以下の僅かな乾燥膜厚を達成するために、実際の適用の吹き付け及び浸漬のために重要である。
【0083】
実施例3
中和されたゾルゲル系の製造
実施例1からの生成物を撹拌容器に装入し、強力に撹拌しかつ連続的にpHモニタリングしながら、Dynasylan(R) 1151(Degussa社の水性アミノシラン加水分解物)を混合した。Dynasylan(R) 1151を、組成物中でpH7が達成されるまで計量供給した。生じた生成物は、室温で4ヶ月以上にわたり貯蔵安定性であった。貯蔵期間の間に、pHは変化した。貯蔵期間の完了時にこれは6であった。
【0084】
実施例4
貯蔵安定性
実施例1からの生成物及び比較例1aからの生成物を、乾燥庫中で50℃で密閉したガラスフラスコ中で長期間にわたり貯蔵した。比較例1aからの生成物は、100日未満の貯蔵時間の後にゲル化したが、実施例1による生成物は、50℃で180日の貯蔵後でも液状のままであった。これは、本発明による生成物の貯蔵安定性は希釈していない状態でも、比較例1aからのゾルゲル系と比較して明らかに良好であったことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の成分:
(i) グリシジルオキシプロピルアルコキシシラン、
(ii) >1質量%の固体含有量を有する水性シリカゾル、
(iii) 加水分解触媒としての有機酸、及び
(iv) 架橋剤としてのn−プロピルジルコナート、ブチルチタナート又はチタニウムアセチルアセトナート
の反応に基づき、その際、成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比≦0.75から出発する、水で希釈可能なゾルゲル組成物。
【請求項2】
成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比が0.30〜0.50であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分(i)が3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン又は前記のシランの少なくとも2種の混合物のグループから選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
成分(ii)として、>20%〜50%の固体含有量を有するコロイド状に分散するシリカゾルを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
成分(iii)として有機酸は、酢酸、プロピオン酸及びマレイン酸のグループから選択されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
組成物に対して0.5質量%〜8質量%の成分(iv)含有量を特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
他の成分(v)として、少なくとも1種のテトラアルコキシシラン、少なくとも1種のアルキルシラン及び/又は少なくとも1種のフェニルトリアルコキシシランを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
pHが6〜9であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の他の成分(vi)が、リン酸、リン酸塩、ポリ酸及び/又はヘテロポリ酸、ポリ酸及び/又はヘテロポリ酸の塩、流動調節剤、湿潤剤、界面活性剤、有機結合剤の水性分散液、ナノ粒子、アミノアルキルシラン、アミノアルキルシロキサン及び前記アミノアルキルシラン及びアミノアルキルシロキサンの水溶液のグループから選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
40〜200nmの平均直径を有するゾル粒子を特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
全組成物に対して>0.5質量%〜<60質量%の固体含有量を特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
全組成物に対して<5質量%までの加水分解アルコール含有量を特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
全組成物に対して≦10質量%の1−メトキシプロパン−2−オール含有量を特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
全組成物に対して約99.5質量%〜30質量%の水含有量を特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
組成物中に少なくとも1種の界面活性剤が存在することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
疎水性及び/又は疎油性のヒドロシル系が1:0.01〜0.01:1の質量比で添加され、使用された前記ヒドロシル系は有利に<80質量%の前記シロキサンを活性物質として含有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
最初に成分(i)を導入し、引き続き成分(iii)を有効に混合しながら計量供給し、次いで成分(iv)を添加し、その後で成分(ii)を添加し、かつ反応させ、その際、前記反応は所望の場合に少なくとも1種の希釈剤を添加しながら実施され、かつ成分(ii)の固体質量対成分(i)の質量比≦0.75から出発する、請求項1から16までのいずれか1項記載のゾルゲル組成物の製造方法。
【請求項18】
水、メタノール、エタノール及び/又は1−メトキシプロパン−2−オールを希釈剤として使用することを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
1種以上の成分(v)を使用する場合に、これは成分(i)と一緒に最初に導入することを特徴とする、請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
反応を0〜35℃の温度で1〜60分間実施し、生成混合物を35〜85℃の温度で10分〜4時間後反応させることを特徴とする、請求項17から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
反応中に生成される加水分解アルコールのメタノール、エタノール及び/又はn−プロパノールを系から除去し、必要な場合に、この操作において除去されたアルコールの量を相応する量の水で置き換えることを特徴とする、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
成分(vi)を生成混合物に添加することを特徴とする、請求項17から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
反応混合物又は生成混合物のpHを6〜9の値に調節することを特徴とする、請求項17から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
生成混合物を水で希釈することを特徴とする、請求項17から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
請求項17から24までのいずれか1項記載の方法により得られたゾルゲル組成物。
【請求項26】
請求項1から16までのいずれか1項記載の、請求項17から23までのいずれか1項記載の方法により製造された又は、請求項25記載の得られたゾルゲル組成物の、基材表面を被覆するための使用。
【請求項27】
ゾルゲル組成物を基材に適用し、これを熱硬化させる、請求項26記載の使用。
【請求項28】
紙、厚紙、木材、チップボード、プラスチック、塗膜、石材、セラミック、金属又は金属合金の被覆のための、請求項26又は27記載の使用。
【請求項29】
金属又は金属合金上に腐食保護被覆を製造するための、請求項26から28までのいずれか1項記載の使用。
【請求項30】
接着促進被覆(プライマー被覆)としての請求項26から29までのいずれか1項記載の使用。
【請求項31】
請求項26から30までのいずれか1項記載の使用により得られた被覆又は塗膜。
【請求項32】
膜厚が0.1〜10μmであることを特徴とする、請求項26から31までのいずれか1項記載の腐食保護被覆又はプライマー被覆。
【請求項33】
請求項31又は32記載の被覆を有する物品。

【公表番号】特表2009−524709(P2009−524709A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551674(P2008−551674)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069397
【国際公開番号】WO2007/085320
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】