説明

水中油型乳化組成物

【課題】乳化剤を含有しなくても、経時安定性やみずみずしい使用感に優れる水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(a)〜(c);
(a)デキストリン脂肪酸エステル
(b)油剤
(c)アルキル基を持つセルロース系高分子
を含有し、成分(a)と成分(b)の含有質量割合(b)/(a)が2〜14の範囲であり、かつ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする水中油型乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に乳化剤を含有しない水中油型乳化組成物に関し、さらに詳細には、デキストリン脂肪酸エステル、油剤、アルキル基を持つセルロース系高分子を含有し、経時安定性及びみずみずしい使用感に優れた水中油型乳化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化組成物は、みずみずしい使用感でありながら、エモリエント効果を付与できることから、医薬品や化粧料等、数多くの製品に用いられている。しかし、油剤を配合すると安定性が悪くなることから、安定性を向上させる技術が種々検討されている。
例えば、乳化剤やヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プルラン、ペクチンなどの水溶性高分子を含有することで経時安定性や使用感を向上させてきた。
【0003】
また、乳化剤を用いない技術として、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体によって油剤を乳化したゲル状組成物(例えば非特許文献1、特許文献1参照)や、アニオン性高分子とカチオン性高分子とからなる高分子電解質錯体を乳化剤の代わりに使用した乳化組成物(例えば非特許文献2参照)が開示されている。
さらに、両イオン性高分子と高級脂肪酸とから形成される複合体が乳化剤として作用することを利用した乳化組成物(例えば特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−75540公報
【特許文献2】特開平7−100356号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】フレグランスジャーナル、1998年、8号、p.79〜83
【非特許文献2】フレグランスジャーナル、1998年、8号、p.42〜46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乳化剤を用いた場合には、乳化剤によるべたつきが出る場合があって好ましくなく、また、一般消費者の間で界面活性剤乳化剤の安全性に不安を抱くものが多いという問題もあった。
【0007】
非特許文献1や特許文献1のように、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体を乳化剤として用いた場合には、水中油型乳化組成物における油剤の分散粒子が大きく、経時安定性を保つことが難しいという問題があった。また、上記水中油型乳化組成物は、高分子のゲルで安定化されたものであるため、安定化のために高い粘性が必要であり、ゲル強度が高いため、指どれが悪く、肌上で膜感が強く残り、また、特に低粘度領域では安定性が悪く、応用範囲が限られるものであった。
【0008】
非特許文献2のように乳化剤の代わりに水溶性高分子を用いた場合には、乳化剤と比較して、水溶性高分子の界面張力低下能が小さく、乳化力が相対的に小さいために、乳化安定性が悪いという問題があった。
さらに特許文献2の技術は、両イオン性高分子と高級脂肪酸とから形成される複合体を乳化剤として用いた水中油型乳化組成物であるが、両イオン性高分子と高級脂肪酸による油感が強く出てしまい、さっぱりとした使用感は得られないものであった。
本発明では、乳化剤を用いることなく、低粘度で経時安定性及びみずみずしい使用感に優れた水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油剤とデキストリン脂肪酸エステルを混合したものを、アルキル基を持つセルロース系高分子を含有する水中に分散することにより、乳化剤を含有しなくても、経時安定性及びみずみずしい使用感に優れる水中油型乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、本発明の水中油型乳化組成物は低粘度であっても経時安定性に優れるものである。
また、アルキル基を持つセルロース系高分子を他の水溶性高分子に代えた場合や、デキストリン脂肪酸エステルを他の油ゲル化剤等に代えた場合では経時安定性が悪いことから、デキストリン脂肪酸エステルとアルキル基を持つセルロース系高分子が経時安定性を高めており必須の組合せであり、何らかの相互作用をしているものと考えられる。
【0010】
すなわち、本発明は次の成分(a)〜(c);
(a)デキストリン脂肪酸エステル
(b)油剤
(c)アルキル基を持つセルロース系高分子
を含有し、成分(a)と成分(b)の含有質量割合(b)/(a)が2〜14の範囲であり、かつ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0011】
また、25℃における粘度が5000〜30000mPa・sの範囲であることを特徴とする前記水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0012】
さらに、成分(a)と成分(b)の合計含有量と成分(c)の含有量が、質量割合で(a+b):(c)=1:0.1〜1:70の範囲であることを特徴とする前記水中油型乳化組成物を提供するものである。
【0013】
前記水中油型乳化組成物を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水中油型乳化組成物は、実質的に乳化剤を含有しなくても、経時安定性及びみずみずしい使用感に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に用いられる成分(a)のデキストリン脂肪酸エステルは、成分(b)の油剤を均一に分散し、成分(c)とともに本発明の水中油型乳化組成物の経時安定性を向上させるものであり、化粧料、医薬品、食品等、一般に使用されるものであれば特に制限されず、デキストリンに、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸、ベヘニン酸等の炭素数8〜24の直鎖飽和脂肪酸、イソステアリン酸等の炭素数8〜24の分岐脂肪酸、並びにオレイン酸等の炭素数8〜24の不飽和脂肪酸、ヤシ油脂肪酸等の天然由来の脂肪酸よりなる群から選択された少なくとも1種の脂肪酸が結合したデキストリン脂肪酸エステルが挙げられる。また、前記脂肪酸デキストリンにおける脂肪酸の置換度は、デキストリンを構成するグルコース単位当たり1以上であることが好ましい。これらのうち、経時安定性及びみずみずしい使用感に優れている点で、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリンが好ましく、パルミチン酸デキストリンが特に好ましい。これらのデキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、「レオパールKL」「レオパールKE」「レオパールTT」「レオパールTL」(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0016】
成分(a)の含有量は0.1〜5質量%(以下、「%」と略す)が好ましく、この範囲であると経時安定性に優れながらもみずみずしい使用感となる。
【0017】
本発明に用いられる成分(b)の油剤は、使用時のなめらかな伸び広がりや肌へのエモリエント性、保湿効果を付与することに用いられ、化粧料、医薬品、食品等、一般に使用されるものであれば特に制限されず、動物油、植物油、合成油等が挙げられる。具体的には、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソデシル、イソオクタン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ジイソノナン酸プロピレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジイソノナン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、テトラオクタン酸ペンタンエリスリット、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸グリセリル、(2−ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、流動パラフィン、スクワラン等などが挙げられる。
【0018】
成分(b)の含有量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、0.1〜20%が好ましく、1〜7%がより好ましい。この範囲であると、適度なエモリエント効果があり、みずみずしく経時安定性に優れるものである。
【0019】
成分(a)と成分(b)の含有質量割合(b)/(a)は2〜14の範囲であり、この範囲よりも成分(a)の割合が高い場合には、ゲル強度が強くなりすぎて乳化が困難であり、この範囲よりも成分(b)の割合が高い場合には、ゲルの強度が十分ではなく、経時安定性や使用感が悪くなる。さらに上記質量割合は3〜10の範囲が好ましく、この範囲であると特に経時安定性に優れる水中油型乳化組成物が得られる。
【0020】
本発明に用いられる成分(c)のアルキル基をもつセルロース高分子は、成分(a)、(b)を良好に乳化させ、粘性を付与し、経時安定性を向上させ、みずみずしい使用感と保湿効果を組成物に与えることができる。例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられ、特に経時安定性の観点からヒドロキメチルセルロースが好ましい。
【0021】
成分(c)の含有量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、0.1〜5%が好ましく、0.4〜2%がより好ましい。この範囲であれば、低粘度であっても経時安定性の良好な水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0022】
成分(a)と成分(b)の合計含有量と成分(c)の含有量が、質量割合で(a+b):(c)=1:0.1〜1:70の範囲であることが好ましく、1:0.5〜1:10の範囲がより好ましい。この範囲であれば、成分(a)、(b)を良好に乳化させ、みずみずしく滑らかな感触に優れ、肌に対して優れたエモリエント効果、保湿効果を与える組成物を得ることができる。
【0023】
本発明の水中油型乳化組成物の粘度はB型回転粘度計(芝浦システム株式会社)によって測定を行なったとき、25℃における測定値が5000〜30000mPasの範囲であるとみずみずしい使用感がさらに優れる。5000mPas以下では肌に対して優れたエモリエント効果やなめらかな感触に欠け、経時による安定性が悪くなる場合があり、30000mPas以上では、クリーム状となり、使用感やなめらかな伸び広がりに欠ける場合がある。
【0024】
本発明の水中油型乳化組成物は乳化剤を実質的に含まないことを特徴としており、実質的に乳化剤を含まないとは、乳化剤の含有量が0.3%以下のことをいう。
【0025】
本発明の水中油型乳化組成物には、上記した必須成分の他に通常の化粧料や医薬品、食品に使用される成分、例えば、成分(c)以外の水溶性高分子、アルコール類、水性成分、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、香料、pH調整剤、着色料、清涼剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0026】
本発明の水中油型乳化組成物の用途は、水中油型乳化組成物をそのまま本発明の化粧料や医薬品、食品とすることも可能であり、また、本水中油型乳化組成物を好ましくは1〜95%の範囲で用いて、これに他の成分を配合して化粧料や医薬品、食品とすることもできる。
【0027】
本発明の水中油型乳化組成物を含有した化粧料は、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め料、パック等の顔、手足、ボディ用の基礎化粧料、整髪料、リンス、ヘアトリートメント等の頭髪化粧料、ファンデーション、マスカラ、アイカラー、アイライナー、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料が例示できる。化粧料として用いると、本発明の効果であるみずみずしい使用感をより発揮できるため好ましい。
【実施例】
【0028】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
下記の実施例は、本発明の水中油型乳化組成物を化粧料である乳液として用いた例である。
実施例1〜9及び比較例1〜11:乳液
表1〜4に示す組成及び以下に示す製造方法に従って乳液を調製した。得られた乳液に関して、粘度及び流動性、みずみずしい使用感、経時安定性の評価を下記の方法に従って行った。その結果を併せて表1〜4に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
(注1):メトローズ65SH4000 (信越化学工業社製)
(注2):ナトロゾール250HHR (ハークレス社製)
(注3):GRINSTED XANTHAN CREAR 80(DANISCO社製)
(注4):ペミュレンTR-2(NOVEON社製)
(注5):CMCダイセル1170(岩瀬コスファ社製)
(注6):マルメロE (香栄興業社製)
(注7):レオパールKL(千葉製粉社製)
(注8):レオパールTT(千葉製粉社製)
(注9):KSG-16(信越化学工業社製)
(注10):ノムコートHK-G(日清オイリオグループ社製)
【0034】
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)を混合後、80℃に熱した成分(8)を加え、均一に混合分散する。
B.成分(9)〜(18)を80℃にて、均一に混合分散する。
C.A成分にB成分を加え乳化し、冷却し、水中油型乳化化粧料を得た。
【0035】
(粘度)
表1〜4の各試料を調製後、25℃にて24時間保管した後、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)によって粘度値を測定した。
【0036】
(流動性)
表1〜4の各試料を乳液の容器(口径3cm、容量200ml、円柱のPETボトル)に200ml充填し、25℃にて24時間保管した後、容器の口を水平から60℃、5秒間、傾けて以下の4段階判定基準を用いて判定した。
【0037】
4段階判定基準
(評価) (判定)
容易に流れ出る :◎
流れ出る :○
流れ出にくい :△
流れない :×
【0038】
(使用時のみずみずしい使用感)
表1〜4の各試料を化粧品評価専門パネル8名で使用し、使用時の「みずみずしい使用感」について下記絶対評価基準にて5段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0039】
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:非常にみずみずしい
4点:みずみずしい
3点:どちらともいえない
2点:べたつく
1点:非常にべたつく
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:4点を超える
○:3点を超える4点以下
△:2点を超える3点以下
×:2点以下
【0040】
(経時安定性(平均粒子径))
表1〜4の各試料を、調製直後及び50℃に1ヶ月間保存した試料の平均粒子径を測定し、下記のように比率を求め、下記4段階判定基準を用いて判定した。平均粒子径の測定は、各試料をスライドガラスに塗布し、顕微鏡BX51−P(OLYMPUS社製)を用いて粒子を目視観察し、平均粒子径を算出した。
【0041】
保存後の平均粒子径/調製直後の平均粒子径
(評価) :(判定)
1.3未満:◎
1.3以上1.6未満:○
1.6以上2.0未満:△
2.0以上または分離により測定不能:×
【0042】
(経時安定性(粘度変化))
本発明の乳液は安定性が良好であれば低温状態、高温状態で保管されていても、低粘度を保つことができる。したがって、次に示す加速試験において粘度が著しく変化せず、低粘度を保つことができる。安定性が悪い場合は加速試験によって、粘度が増加する傾向にある。ここでの加速試験とは40℃、5℃の恒温槽に1ヶ月間保管することである。各試料調製後25℃にて1日保管した後にB型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて測定した粘度値と、40℃、5℃の恒温槽に1ヶ月間保管した後の同粘度計を用いて測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判定した。
【0043】
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±2000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±2000mPa・s以上、±5000mPa・s未満 ;○
粘度変化が±5000mPa・s以上、±10000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±10000mPa・s以上 ;×
【0044】
表1〜4から明らかなように、本発明の実施例1〜9の乳液は、比較例1〜11と比較すると、流動性が高く、なめらかなに伸び広がり、低粘度であっても、経時安定性が優れた乳液であった。
成分(a)の代わりに別の油ゲル化剤を用いた比較例1〜4や、成分(c)の代わりに別の水溶性高分子を用いた比較例5、8、9は調製直後に水相と油相が分離し乳液状にはならなかった。また、成分(c)の代わりにアルキル変性カルボキシポリマーを用いた比較例6は非常にかたいクリーム状になり、傾けても流れないものであり、みずみずしい使用感に欠け、べたつくものであった。アルキル変性カルボキシポリマーの含有量を減らして実施例と同程度の低粘度に調製した比較例7に関しては製造直後は一見乳液状であるが、経時安定性が非常に悪く、排液が見られた。
また、成分(a)と成分(b)の含有質量割合(b)/(a)が22である比較例10は分離してしまい乳液状にならず、(b)/(a)が1である比較例11は成分(a)と成分(b)を混合したものの粘度が非常に高くなり、水中に分散しづらく、分離した乳液であった。
【0045】
実施例9:日焼け止め料
(成分) (%)
1.ヒドロキシメチルセルロース(注1) 1
2.1,3−ブチレングリコール 7
3.精製水 残量
4.グリセリン 3
5.ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1
6.メチルパラベン 0.1
7.パラメトキシ皮酸2−エチルヘキシル 6
8.4−tert−ブチルー4´―メトキシジベンゾイルメタン 1
9.ジメチルポリシロキサン 1.5
10.パルミチン酸デキストリン(注7) 1.5
11.微粒子酸化チタン 10
12.香料 適量
13.キサンタンガム 0.1
14.エタノール 5
【0046】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を混合後、80℃に熱した成分(3)を加え、均一に混合分散する。
B.成分Aに成分(4)、(5)を加える。
C.成分(6)〜(10)を70℃にて、均一に混合分散する。
D.B成分にC成分を加え乳化し、冷却する。
E.D成分に成分(11)〜(14)を加え、日焼け止め料を得た。
【0047】
実施例9で得られた日焼け止め料は乳化剤を含有しなくても、低粘度で経時安定性やみずみずしい使用感に優れる日焼け止め料であった。
【0048】
実施例10:美容液
(成分) (%)
1.ヒドロキシメチルセルロース(注1) 0.3
2.1,3−ブチレングリコール 15
3.精製水 残量
4.アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム 2
5.メチルパラベン 0・1
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 1
7.2−エチルヘキサン酸セチル 2
8.スクワラン 3.5
9.パルミチン酸デキストリン(注7) 3
10 ステアリン酸イヌリン(注11) 1
11.香料 適量
【0049】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を混合後、80℃に熱した成分(3)を加え、均一に混合分散する。
B.成分Aに成分(4)を加える。
C.成分(5)〜(10)を70℃にて、均一に混合分散する。
D.B成分にC成分を加え乳化し、冷却する。
E.D成分に成分(11)を加え、美容液を得た。
【0050】
実施例10で得られた美容液は乳化剤を含有しなくても、低粘度で経時安定性やみずみずしい使用感に優れる美容液であった。
【0051】
実施例11: リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.ヒドロキシメチルセルロース(注1) 0.3
2.1,3−ブチレングリコール 15
3.精製水 残量
4.メチルパラベン 0・1
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 1
6.2−エチルヘキサン酸セチル 2
7.スクワラン 3.5
8.パルミチン酸デキストリン(注7) 3
9.ステアリン酸イヌリン(注11) 1
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
11.2−エチルヘキサン酸セチル 3
12.顔料級酸化チタン 2.2
13.ベンガラ 適量
14.黄酸化鉄 適量
15.黒酸化鉄 適量
16.1,3−ブチレングリコール 4.5
17.香料 適量
(注11):レオパールISK(千葉製粉社製)
【0052】
(製造方法)
A.成分(1)、(2)を混合後、80℃に熱した成分(3)を加え、均一に混合分散する。
B.成分(4)〜(11)を70℃にて、均一に混合分散する。
C.AにBを加え乳化し、冷却する。
D.成分(12)〜(16)を均一に混合分散し、これをCに加え、均一に混合分散する。
E.Dに成分(17)を加え、リキッドファンデーションを得た。
【0053】
実施例11で得られたリキッドファンデーションは乳化剤を含有しなくても、低粘度で経時安定性やみずみずしい使用感に優れるリキッドファンデーションであった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)デキストリン脂肪酸エステル
(b)油剤
(c)アルキル基を持つセルロース系高分子
を含有し、成分(a)と成分(b)の含有質量割合(b)/(a)が2〜14の範囲であり、かつ、実質的に乳化剤を含有しないことを特徴とする水中油型乳化組成物。
【請求項2】
25℃における粘度が5000〜30000mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
成分(a)と成分(b)の合計含有量と成分(c)の含有量が、質量割合で(a+b):(c)=1:0.1〜1:70の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2011−213621(P2011−213621A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81570(P2010−81570)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】