説明

水中油型日焼け止め料

【課題】 高級脂肪酸塩を乳化剤として用いた水中油型日焼け止め料において、塗布時の青白さがなく、透明性に優れ、伸び広がりが良好で、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を遮蔽することができ、しかも経時安定性に優れた水中油型日焼け止め料を提供すること。
【解決手段】 次の成分(a)〜(c);
(a)平均粒径が0.5〜2μmである酸化チタン
(b)紫外線吸収剤
(c)高級脂肪酸塩
を配合することを特徴とする水中油型日焼け止め料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級脂肪酸塩を乳化剤として用いた水中油型日焼け止め料に、平均粒径が0.5〜2μmである酸化チタンと紫外線吸収剤を配合した水中油型日焼け止め料に関するものであり、より詳細には、塗布時の青白さがなく、透明性に優れ、伸び広がりが良好で、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を遮蔽することができ、しかも経時安定性に優れた水中油型日焼け止め料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾンホールの破壊等の影響により、紫外線の有害性が注目されており、様々な日焼け止め料が開発され、上市されている。このような日焼け止め料としては、水中油型、油中水型、溶剤型等がある。油中水型や溶剤型は連続相が油剤や溶剤になるため、肌上に形成される化粧膜が疎水性になり耐水性に優れる日焼け止め料が得られるが、肌への塗布時に油っぽさや伸び広がりの悪さを感じる場合があり、特に盛夏時に使用するには好ましい剤型ではなかった。
【0003】
このため、これら油中水型や溶剤型では、配合する油剤をできるだけ油っぽさのないものを選択したり、過剰な油剤を吸収する多孔質球状粉体を配合する等の検討がなされている。これに対して、水中油型の日焼け止め料は、連続相が水なので、肌への塗布時にみずみずしい感触で、伸び広がりが良好な剤型である。また、日焼け止め料にはパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等の紫外線吸収剤や、0.1μm未満の微粒子の酸化チタンや酸化亜鉛等の紫外線遮蔽剤が汎用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紫外線吸収剤は多量に配合すると人によっては刺激を感じる場合があり、その配合量は制限されている。また、紫外線遮蔽剤である微粒子酸化チタンを配合した日焼け止め料(例えば、特許文献1参照)は、透明性に優れ、UV−B領域の紫外線を良好に遮蔽することはできるが、塗布時に青白さを生じること、及びUV−A領域の紫外線は十分に遮蔽することができない等の欠点を有していた。更に、微粒子酸化亜鉛を配合した日焼け止め料(例えば、特許文献2参照)は、微粒子酸化チタンような塗布時の青白さは解消され、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を遮蔽することはできるが、酸化亜鉛は水中で亜鉛が一部イオン化し、高級脂肪酸に代表されるアニオン性界面活性剤と水不溶の金属石鹸を生成し経時的ゲル化や結晶析出をするため、水中油型日焼け止め料には配合するのが困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−212224号公報
【特許文献2】特開2002−60329号公報
【0006】
このため、高級脂肪酸塩を乳化剤として用いた水中油型日焼け止め料において、塗布時の青白さがなく、透明性に優れ、伸び広がりが良好で、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を遮蔽することができ、しかも経時安定性に優れた水中油型日焼け止め料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実状において鋭意検討を重ね、紫外線遮蔽剤である酸化チタンの平均粒径と紫外線遮蔽効果、透明性、塗布時の伸び広がり等の関係を研究した結果、平均粒径が0.5〜2μmである酸化チタンを用いることにより、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を有効に遮蔽し、塗布時の青白さがなく、しかも水中油型の乳化剤である高級脂肪酸と併用しても、水不溶性の金属石鹸を生成せず経時的ゲル化や結晶析出がないことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)平均粒径が0.5〜2μmである酸化チタン
(b)紫外線吸収剤
(c)高級脂肪酸塩
を配合することを特徴とする水中油型日焼け止め料を提供するものである。
【0009】
また、更に、成分(d)平均粒径0.01〜0.14μmの酸化チタンを配合することを特徴とする前記水中油型日焼け止め料を提供するものである。
【0010】
そして、前記成分(a)の酸化チタンの結晶型がルチル型であることを特徴とする前記水中油型日焼け止め料を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水中油型日焼け止め料は、高級脂肪酸と併用しても経時安定性に優れ、塗布時の青白さがなく、透明性に優れ、伸び広がりが良好で、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線を遮蔽することができる水中油型日焼け止め料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)は、平均粒径が0.5〜2μmの酸化チタンである。平均粒径が0.5μm未満の酸化チタン(従来の顔料級の酸化チタン)は、塗布時の伸び広がりが悪くなり、塗布時の青白さを生ずるため好ましくない。また、平均粒径が2μmを超える酸化チタンは、紫外線遮蔽効果に劣るため好ましくない。尚、本発明において、平均粒径は電顕写真(TEM)を画像解析(LUZEX AP)して得られた体積平均径を示す。
【0013】
また、成分(a)の酸化チタンの結晶型は、アナタース、ルチル、ブルカイト等の何れでも良いが、結晶型がルチル型であると、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線をより有効に遮蔽できるため好ましい。そして、このような酸化チタンの製造方法は、塩素法、硫酸法等のいずれの製造方法により得られたものであってもよい。
【0014】
このような成分(a)の酸化チタンは市販品として、平均粒径0.7μmであるMP−70、平均粒径1μmであるMP−100(何れも、テイカ社製)等を用いることができる。
【0015】
更に、成分(a)の酸化チタンは、必要に応じて、通常公知の表面処理剤である、アルミナ、シリカ、酸化鉄等の無機化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、リン脂質、リン脂質誘導体、金属石鹸、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等により表面処理して用いても良い。
【0016】
本発明の水中油型日焼け止め料における、成分(a)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜30質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましい。成分(a)をこの範囲内で用いると、塗布時の伸び広がり及び経時安定性がより良好な水中油型日焼け止め料を得ることができる。
【0017】
本発明に用いられる成分(b)の紫外線吸収剤は、通常化粧料や皮膚外用剤に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、パラメトキシケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、ヒドロキメトキシベンゾフェノン、ヒドロキメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸パラ−ターシャリ−ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤、4−ターシャリ−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、アントラニル酸メンチル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。尚、これらの中でも成分(b)として、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系紫外線吸収剤を選択すると、塗布時の伸び広がりがより良好になるため好ましい。
【0018】
本発明の水中油型日焼け止め料における、成分(b)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10%が好ましい。成分(b)をこの範囲内で用いると、塗布時の伸び広がり及び経時安定性がより良好な水中油型日焼け止め料を得ることができる。
【0019】
本発明に用いられる成分(c)の高級脂肪酸塩は、本発明において乳化剤として用いられるものである。このような高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。尚、これらの中でも、乳化剤としの機能より、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、イソステアリン酸から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
【0020】
また、成分(c)は、予め塩基によって中和された高級脂肪酸塩として用いても、化粧料の製造工程途中で塩基性物質を添加し中和して高級脂肪酸塩として配合しても良い。このような塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。尚、中和量は、高級脂肪酸の等量によって決定されるものである。
【0021】
本発明の水中油型日焼け止め料における、成分(c)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜5%が好ましい。成分(c)をこの範囲内で用いると、乳化が良好で経時安定がより良好な水中油型日焼け止め料を得ることができる。
【0022】
本発明の水中油型日焼け止め料には、上記成分に加えて、成分(d)として平均粒径0.01〜0.14μmの酸化チタンを配合することにより、より高い紫外線遮蔽効果を得ることができる。
【0023】
このような成分(d)の酸化チタンは、必要に応じて、通常公知の表面処理剤である、アルミナ、シリカ、酸化鉄等の無機化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、リン脂質、リン脂質誘導体、金属石鹸、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等により表面処理して用いても良い。
【0024】
本発明の水中油型日焼け止め料における、成分(d)の配合量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10%が好ましい。成分(d)をこの範囲内で用いると、塗布時の伸び広がりが悪くならず、また塗布時の青白さも目立たず、より広範囲でより高い紫外線遮蔽効果の水中油型日焼け止め料を得ることができる。
【0025】
本発明の水中油型日焼け止め料には、水中油型の外層(連続相)を構成する水を必須に配合する。本発明の水中油型日焼け止め料における、水の配合量は40〜95%が好ましい
【0026】
本発明の水中油型日焼け止め料には上記成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に配合される成分である、成分(a)及び(d)以外の粉体、油剤、油性ゲル化剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、成分(c)以外の界面活性剤、アルコール類、有機変性粘土鉱物、樹脂、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を配合することができる。
【0027】
本発明に配合可能な、成分(a)及び(d)以外の粉体は、感触調整やメーキャップ効果の付与等を目的として配合されるものであり、通常の化粧料に配合されるものであれば、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、コンジョウ、群青、無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、スメクタイト、ベントナイト、カオリン、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ポリスチレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー等の有機粉体類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。また、これら粉体は一種又は二種以上の複合化したものを用いても良く、必要に応じて、通常公知の表面処理剤である、アルミナ、シリカ、酸化鉄等の無機化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物、リン脂質、リン脂質誘導体、金属石鹸、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等により表面処理して用いても良い。本発明の水中油型日焼け止め料に成分(d)以外の粉体を配合する場合の配合量は、0.1〜40%が好ましい。
【0028】
本発明に配合可能な油剤は、通常の化粧料に配合される油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明の水中油型日焼け止め料に油剤を配合する場合の配合有量は、1〜30%が好ましい。
【0029】
本発明に配合可能な水溶性高分子は、水中油型日焼け止め料に粘性を付し、使用性を改善したり、乳化物を安定化させるため等として用いられるものであり、通常の化粧料に配合される水溶性高分子氏であれば特に限定されず、天然物由来、合成物等の起源を問わず、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等の変性デンプン系高分子、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなどがある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明の水中油型日焼け止め料に水溶性高分子を配合する場合の配合有量は、0.001〜5%が好ましい。
【0030】
本発明に配合可能な成分(c)以外の界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが、アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等;カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等;非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等;両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0031】
本発明に配合可能な、保湿剤としては、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。また、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等、酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルレチン酸、トラネキサム酸、アズレン等、美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられ、ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酢酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等がある。アミノ酸類としては、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等、核酸としては、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられ、それぞれ一種又は二種以上用いることができる。
【0032】
本発明の水中油型日焼け止め料は、日焼け止め料だけでなく、ファンデーション、下地等のメーキャップ化粧料や、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料および頭髪化粧料等に紫外線遮蔽効果を付与した化粧料にも適用することができる。また、本発明の水中油型日焼け止め料の形態は、クリーム状、ゲル状、乳液状、液状、固形状の何れでも良い。
【0033】
本発明の水中油型日焼け止め料の製造方法は、特に限定されないが、成分(b)と成分(c)をその他の油剤と混合し、これに成分(a)を分散し、水中に分散させる方法や、成分(b)と成分(c)をその他の油剤と混合し、これを水中に分散した後に、成分(a)を添加し均一分散する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1〜4及び比較例1〜3:日焼け止めクリーム
下記表1及び2に示す組成の日焼け止めクリームを下記製造方法により調製し、「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」、「経時安定性」の各項目について、以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表1及2に示した。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
(製造方法) A:成分1〜8を70℃に加熱し混合する。 B:Aに成分9〜13を加えて、均一分散し、70℃に保温する。 C:成分14〜18を70℃に加熱し混合する。 D:CにBを加えて、乳化する。 E:Dを室温まで冷却し、チューブに充填して日焼け止めクリームを得た。
【0039】
〔評価方法:「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」〕
化粧品評価専門パネル20名に、前記実施例及び比較例の日焼け止めクリームを使用してもらい、「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し各日焼け止めクリーム毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0040】
〔評価方法:経時安定性〕
前記実施例及び比較例の日焼け止めクリームを40℃の恒温槽に1ヶ月間保管し、調製直後の状態を基準として、乳化状態や凝集状態の変化を以下の4段階判定基準を用いて判定した。
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
変化無し : ◎
僅かにキメが粗くなる : ○
粉体凝集やゲル化が発生 : △
著しく変化有り : ×
【0041】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1〜4の日焼け止めクリームは、「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」、「経時安定性」の全ての項目に優れた日焼け止め料であった。また、実施例1〜4の日焼け止めクリームは、分光光度計により紫外線遮蔽効果を測定した結果、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線遮蔽効果に優れていた。これに対して、成分(a)の代わりに平均粒径0.28μmの酸化チタンを配合した比較例1は、「塗布時の青白さの無さ」に劣り、「塗布時の伸び広がり」も良好ではなかった。また、成分(a)の代わりに平均粒径0.025μmの酸化亜鉛を配合した比較例2は、「経時安定性」に劣り、「塗布時の伸び広がり」も良好ではなかった。更に、成分(a)の代わりに成分(d)の酸化チタンのみを配合した比較例3は、「塗布時の伸び広がり」と「塗布時の青白さの無さ」に劣り、「経時安定性」も良好ではなかった。
【0042】
実施例5:日焼け止め下地乳液
(成分) (%)
1.ステアリン酸 1.5
2.セタノール 0.8
3.モノステアリン酸グリセリン 0.6
4.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5
6.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
8.平均粒径0.7μmである酸化チタン(注1) 7
9.平均粒径0.035μmである微粒子酸化チタン(注4) 5
10.雲母チタン(注6) 3
11.精製水 残量
12.1,3−ブチレングリコール 12
13.アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 0.5
14.トリエタノールアミン 1
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
16.カルボキシビニルポリマー 0.2
注4:MT−500SA(テイカ社製)
注6:FLAMENCO RED 420C(エンゲルハード社製)
【0043】
(製造方法)
A:成分11〜16を70℃に加熱し混合する。
B:Aに成分8〜10を加えて、均一分散し、70℃に保温する。
C:成分1〜7を70℃に加熱し混合する。
D:BにCを加えて、乳化する。
E:Dを室温まで冷却し、容器に充填して日焼け止め下地乳液を得た。
実施例5の日焼け止め下地乳液は、「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」、「経時安定性」の全ての項目に優れた日焼け止め料であった。また、分光光度計により紫外線遮蔽効果を測定した結果、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線遮蔽効果に優れていた。
【0044】
実施例6:日焼け止めファンデーション(クリーム状)
(成分) (%)
1.ステアリン酸 2
2.セタノール 2.5
3.モノステアリン酸グリセリン 2
4.スクワラン 15
5.メチルポリシロキサン 7
6.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
8.平均粒径0.7μmである酸化チタン(注1) 15
9.平均粒径0.035μmである微粒子酸化チタン(注4) 3
10.ベンガラ 0.1
11.黄酸化鉄 0.6
12.黒酸化鉄 0.2
13.精製水 残量
14.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
15.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.4
16.水素添加大豆リン脂質 0.5
17.1,3−ブチレングリコール 11
18.トリエタノールアミン 1.3
19.カルボキシビニルポリマー 0.2
【0045】
(製造方法)
A:成分13〜19を70℃に加熱し混合する。
B:Aに成分8〜12を加えて、均一分散し、70℃に保温する。
C:成分1〜7を70℃に加熱し混合する。
D:CにBを加えて、乳化する。
E:Dを室温まで冷却し、ジャー容器に充填して日焼け止めファンデーションを得た。
実施例6の日焼け止めファンデーションは、「塗布時の伸び広がり」、「塗布時の青白さの無さ」、「経時安定性」の全ての項目に優れた日焼け止め料であった。また、分光光度計により紫外線遮蔽効果を測定した結果、UV−A〜UV−Bの幅広い紫外線遮蔽効果に優れていた。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)平均粒径が0.5〜2μmである酸化チタン
(b)紫外線吸収剤
(c)高級脂肪酸塩
を配合することを特徴とする水中油型日焼け止め料。
【請求項2】
更に、成分(d)平均粒径0.01〜0.14μmの酸化チタンを配合することを特徴とする請求項1記載の水中油型日焼け止め料。
【請求項3】
前記成分(a)の酸化チタンの結晶型がルチル型であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型日焼け止め料。

【公開番号】特開2007−246454(P2007−246454A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73530(P2006−73530)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】