説明

水位検知装置及びこの水位検知装置を備えた加熱調理器

【課題】タンク内の水位を検知する水位検知装置において、別の検知装置を新たに追加することなく、水位検知装置の故障を診断できる機能を備えたものを提供する。
【解決手段】液体を貯留する水タンク7と、光を放射する発光素子10aと光量を検出する受光素子10bの組合せで構成され該受光手段10bの検出結果から水タンク7内の水8の有無を検知する水位センサ10と、該発光素子10aが放射する光を該受光素子10bへ到達させる第一光路部と、該発光素子10aが放射する光の一部を該受光素子10bへ到達させる第二光路部と、前記受光素子10bが検出する光量に基づいて水タンク7に貯留されている水8の水位を検知すると共に前記発光素子10aまたは前記受光素子10bの故障を検知する判定部11を備えることにより、簡単な構成にて、水位検知装置の故障診断機能を実現できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内の水位を検知する水位検知装置及びこの水位検知装置を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク内の水位を検知する水位検知装置として、例えば「インクタンクのプリズム20は液室に液体が存在しないときには外部から入射した光を外部へ反射するが、液室に液体が存在する場合は外部から入射した光を外部へ反射しない機能を有し、かつ、一辺40mmの正方形断面をもち厚さ1.7mmの直方体の光学特性をJIS K7136に従った規格で測定したときに全光線透過率が80%以上でありヘイズ値は75%以上85%以下であることと同等の光学特性を有する。」というものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005―41183号(請求項第一項)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術を用いた水位検知装置では、タンク内に水がある場合には受光せず、水がない場合だけ受光するという仕組みであるため、水位検知装置が故障した場合はタンク内に水が有ると常に判定してしまうという問題があった。このような問題を解決する方法として、水位検知装置が正常に動作していることを確認するために、発光手段もしくは受光手段に電流が供給されていることを検出する装置など、水位検知装置とは別の検知装置を新たに設け、水位検知装置の故障を判定する必要があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、別の検知装置を新たに追加することなく、水位検知装置の故障を診断できる機能を備えたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に関る水位検知装置は、液体を貯留するタンクと、光を放射する発光手段と光量を検出する受光手段の組合せで構成され、該受光手段の検出結果から前記タンク内の液体の有無を検知する水位センサと、該発光手段が放射する光を該受光手段へ到達させる第一光路部と、前記タンクと、前記発光手段及び前記受光手段との間に構成し、前記タンク内の液体の有無に係らず該発光手段が放射する光の一部を該受光手段へ到達させる第二光路部と、前記受光手段が検出する光量に基づいて、前記タンクに貯留されている液体の水位を検知すると共に、前記発光手段または前記受光手段の故障を検知する判定部と、を備え、前記発光手段の光の放射量を段階的に変え、それに伴う前記受光手段の出力から前記発光手段及び前記受光手段の故障を検知するものである。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、簡単な構成にて、水位検知装置の故障診断機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の縦断面概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る水タンクと水位センサの斜視概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る水タンクと水位センサの横断面概略図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の回路ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る各条件時の受光素子が受光する光量を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る判定部の故障診断時のフローチャート図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る各条件時の受光素子が受光する光量を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る水タンクと水位センサの横断面概略図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る水タンクと水位センサの横断面概略図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る水タンクと水位センサの横断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について、図1〜6を用いて説明する。なお、実施の形態1は、本発明の水位検知装置を加熱調理器に搭載した例である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の縦断面概略図である。なお、図1を含めて以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
1は加熱調理器100の本体であり、本体1の内部には中に被加熱物(米や水等)が収納される炊飯釜2が着脱自在に設けられており、本体1には炊飯釜2を加熱するための誘導加熱コイル等の加熱体3も設けられている。炊飯釜2内に収納された被加熱物は、加熱体3によって加熱され、調理または保温される。4は本体1の後方上部に軸支されたヒンジ部(図示省略)を介して本体1の上面を開閉自在に覆う蓋体であり、蓋体4の内側に取り付けられ炊飯釜2の上部開口部を開閉自在に覆う内蓋5と、炊飯釜2内で発生した蒸気を導く蒸気パイプ6が設けられている。なお、内蓋5と蒸気パイプ6は、蓋体4から着脱自在に取付けられている。また、蒸気パイプ6の一端は前述の通り炊飯釜2と連通し、その他端は本体1に着脱自在に設けられた水タンク7と連通している。蒸気パイプ6は、蓋体4が開く際、蓋体4に残る蓋体側蒸気パイプ6aと、水タンク7内に残る水タンク側蒸気パイプ6bとに分かれる構成となっており、水タンク側蒸気パイプ6bの一端は、水タンク7内に所定量貯留された水8内にて開口している。このような構成にすることにより、炊飯釜2内に発生した蒸気は、蒸気パイプ6を通って水タンク7に貯留した水8内へ投入され、水8によって蒸気が冷却され復水し、復水した蒸気はそのまま水タンク7内に回収される。
【0010】
水タンク7は、炊飯釜2の脇に並ぶように本体1に収納されている。また、水タンク7は、上方に開口を有する箱状に形成されており、その水タンク7上方の開口は水タンク蓋9によって塞がれている。なお、本発明では、水タンク側蒸気パイプ6bは水タンク蓋9を貫通するように一体に構成されており、一度の動作で水タンク7から水タンク側蒸気パイプ6b及び水タンク蓋9を外すことができ、これにより容易に水タンク7へ給水ができるようになっている。
本体1の水タンク7側方には、水タンク7内の対向する位置に水8が有るか無いかを検出する水位センサ10と、水位センサ10の検出結果から水タンク7内の水位の位置や水位センサ10の故障を判断する判定部11が設けられている。なお、実施の形態1では、水位センサ10を縦方向に複数設置することによって、判定部11にて水タンク7内に貯留している水8の水位の詳細位置が検知できるように構成されている。判定部11で得られた結果は制御部12へ送信され、制御部12はその結果を用いて加熱体5への出力を制御する。
【0011】
次に、水タンク7の水位を検出する構成について、図2〜3を用いて具体的に説明する。図2は本発明の実施の形態1に係る水タンク7と水位センサ10の斜視概略図であり、図3は本発明の実施の形態1に係る水タンク7と水位センサ10の横断面概略図である。なお、図2、3において、説明しやすくする為に、水タンク7と一つの水位センサ10以外の構成は、消去して表示している。
【0012】
水タンク7は、光を透過する材料(例えばポリスチレン等)で形成されており、図2に示すように、水タンク7の本体1側の側方には、発光素子10aと受光素子10b及びそれらが取付けられる基板10cで構成された水位センサ10が設けられている。また、水タンク7の、水位センサ10に対向する位置には、凹部13が水タンク7の上面から下面に亘って形成されている。凹部13は、発光素子10aに対向する位置に設けられた入射側屈曲部13aと、受光素子10bに対向する位置に設けられた出射側屈曲部13bと、それらを結ぶ伝達部13cとで構成されている。また、水タンク7の側方のうち、水位センサ10と対向している面とは逆の面に、タンクカバー14が設けられており、タンクカバー14は水タンク7に取り外し可能に設置されている。また、タンクカバー14の水タンク7側の面には、発光手段10aから放射する光に対し、高い反射率を有する光反射部15を備えている。なお、実施の形態1では、光反射部15をタンクカバー14に設けているが、例えば光反射部15をタンクカバー14に対向する水タンク7の面に設置しても良い。
【0013】
図3は、水位センサ10および凹部13付近を拡大した横断面図である。
図3に示すように、例えばその水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い場合は、発光素子10aから放射された光Aが入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と空気の屈折率が大きくずれているので入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dで光Aが反射し、その反射した光Aは伝達部13cを通過し、さらに出射側屈曲部13bの内側の出射側反射面13eで反射して、受光素子10bに投光される。この、発光素子10aから放射された光が、入射側屈曲部13a、伝達部13c、出射側屈曲部13bを経由して受光素子10bに到達する光Aの光路を、本発明では第一光路としている。
一方、その水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が有る場合は、発光素子10aから放射された光が入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と水8の屈折率が近いので光は入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dから水タンク7内に透過する。この透過した光のうち、一部の光Bは水位センサ10とは反対側に設けられた光反射部15によって反射し、その反射した光Bは出射側屈曲部13bの内側の出射側反射面13eを透過して、受光素子10bに投光される。この、発光素子10aから放射された光が、入射側屈曲部13a、光反射部15、出射側屈曲部13bを経由して受光素子10bに到達する光Bの光路を、本発明では第二光路としている。なお、光Bは、発光素子10aから放射された光の一部だけであることから、かならず光Bは光Aよりも光量が少なくなるように構成されている。
【0014】
なお、凹部13の具体的な形状として、一例として水タンク7の厚さが2.0mm、入射側屈曲部13a及び出射側屈曲部13bの内側角度を45°、外側角度を10°、伝達部12cの距離を20mm、伝達部12cの厚さを3.0mmで構成している。また、凹部13は、上記の形態に限定されるものではなく、例えば平面視で3角形状であってもよい。
【0015】
また、水位センサ10と本体1を構成する本体壁面1aとの間には、水位センサ10を支持する支持具16が設けてあり、この支持具16は水位センサ10を支持して本体壁面1aに水位センサ10を取り付ける役割と、発光素子10a及び受光素子10bを基板10cに半田付けする際に、発光素子10a及び受光素子10bを精度よく所定の位置に導くもしくは所定の位置に矯正する役割を有している。
また、支持具16には、発光素子10aに対向する位置に発光側開口部16a、受光素子10bに対向する位置に受光側開口部16bが形成されており、発光側開口部16a、受光側開口部16bの内壁には、カーボンブラックなどの炭素材料からなる光を吸収する光吸収塗膜17が設けられている。このように光吸収塗膜17を発光側開口部16a、受光側開口部16bの内壁に設けることにより、例えば、発光側開口部16aに光吸収塗膜17を設けると、発光素子10aから放射される光のうち、より指向性の高い光だけを凹部13へ投光でき、これにより周囲への迷光が低減し水位センサ10の誤検知を低減することができる。また、例えば受光側開口部16bに光吸収塗膜17を設けると、受光素子10bが光路を通ってきた光以外の外部からの光を受光するのを抑制することができ、これにより水位センサ10の誤検知を低減することができる。
【0016】
また、本体壁面1aの光が通る部分には、光を透過する材料で形成された窓部18が設けられている。窓部18を設けることにより、発光素子10a及び受光素子10bに水などがかかるのを防止することができ、これにより発光素子10a及び受光素子10bが故障することを抑制している。また、窓部18と本体壁面1aの間に光吸収塗膜17を設けることによって、上記のように発光側開口部16a、受光側開口部16bの内壁に光吸収塗膜17を設けた時と同様の効果を得ることが出来る。ここで、窓部18の素材として、発光素子10aから発光される光の波長帯域のみ良く透過するような素材を設けることによって、上記の様な発光素子10a及び受光素子10bへの水かかりを防止しつつ、加熱調理器100外からの光による受光素子10bへの受光を抑制することができ、これにより、誤検知を防止することが出来る。
【0017】
次に、水位センサ10及び判定部11による水タンク7の水位検知の概要について説明する。
図4は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の回路ブロック図である。
図4に示すように、本発明の発光素子10a及びそれに対応する受光素子10bは、水タンク7に対して高さ方向にずらして3組み設けられている。各発光素子10aは判定部11からの信号によって発光し、その各発光素子10aの光を受けた各受光素子10bからの信号は、増幅器19で増幅されたのち判定部11に入力され、その結果から判定部11は水タンク7のどの位置まで水8が溜まっているか判定する。例えば、図4のように、一番下の発光素子10a及び受光素子10bの位置まで水8が溜まっている状態の場合、一番上と真ん中の受光素子10bからは高い光量を受光していることを示す信号が判定部11に出力され、一番下の受光素子10bからは小さい光量が受光していることを示す信号が判定部11に出力される。判定部11はこの結果を受けて、真ん中の受光素子10bと一番下の受光素子10bとの間に水8の水面があると判定する。判定部11によって得られた結果は、制御部12に出力され、制御部12はその結果から、加熱体3の入力電圧を制御して炊飯釜2から出る蒸気の量を調節したり、水タンク7一杯まで水8が溜まっていると判定された場合は炊飯を停止したりする。また、ランプや液晶ディスプレイから構成された表示部20を用いて使用者に水タンク7に溜まった水8の量を表示したり、水タンク7一杯まで水8が溜まっていると判定された場合は使用者に水タンク7の排水を促すメッセージを表示したりする。なお、水タンク7の排水を促すメッセージは表示部20の表示だけでなく、ブザー等による報知も併せて行ってもよい。
【0018】
ここで、本実施の形態では、発光素子10a及び受光素子10bが3組み設けられた構成であるが、発光素子10a及び受光素子10bは1組み以上設置してあれば水タンク7内の水8の水面を判定することが可能であり、組数を制限するものでは無い。但し、発光素子10a及び受光素子10bの組合せを複数設けることにより、より細かく水タンク7内の水8の水面の位置を把握することが出来るものである。
また、各発光素子10aの発光は、まとめて発光させても良いし、順番に発光させても良い。
【0019】
次に、発光素子10a及び受光素子10bの故障判断について説明する。
図5は本発明の実施の形態1に係る各条件時の受光素子10bが受光する光量を示す図である。
図5に示すように、発光素子10a及び受光素子10bが正常時には、例えば水タンク7に水8が無い場合は、図3に示す第一光路からの光Aが受光素子10bで検出される。また、水タンク7に水8が有る場合は、光Aよりも光量の小さい第二光路からの光Bが受光素子10bで検出される。それに対し、発光素子10aもしくは受光素子10bが故障した時には、受光素子10bは光を検出しない。このように、受光素子10bが受光する光量の差によって、判定部11は水タンク7の水8の有無だけで無く、発光素子10aもしくは受光素子10bが故障したことを検知することが出来る。
なお、判定部11にて発光素子10aもしくは受光素子10bが故障したことを検知した時は、判定部11はその結果を制御部12に出力し、制御部12はそれを受けて、例えば加熱体3の入力を切って炊飯を停止したり、表示部20を用いて使用者に故障を報知したりする。なお、故障を報知する手段としては、表示部20の表示だけでなくブザー等による報知も併せて行ってもよい。
【0020】
次に、発光素子10a及び受光素子10bの故障判断の精度を高める方法について説明する。
図6は本発明の実施の形態1に係る判定部11の故障診断時のフローチャート図である。
図6に示すように、故障診断が開始すると(S1)、判定部11は強さの異なる3つの電圧で発光素子10aを発光させ、その時の受光素子10bの受光量(例えばV>V>V)を検出する(S2)。S2の計測が終わると(S3のYes)、その結果から受光素子10bの受光量の値がどの個体でも一定の値Vとなるような発光素子10aに入力される電圧に対する補正値Aを算出する(S4)。これにより、発光素子10aや受光素子10bの個体バラツキや経年劣化によって、受光素子10bが受光する光量への影響を抑制することができ、水タンク7内の水8の有無を精度よく検出することが出来るようになる。
次に、受光素子10bの値Vと故障検知用閾値Vthrを比較し(S5)、受光素子10bの値Vが故障検知用閾値Vthrより小さい場合は(S5のYes)、発光素子10aもしくは受光素子10bが故障していると判定する(S6)。また、受光素子10bの値Vが故障検知用閾値Vthrより大きい場合は(S5のNo)、発光素子10a及び受光素子10bは故障していないと判定する(S7)。その後、判定部11は、発光素子10a及び受光素子10bの状況を制御部12に送信する(S8)。
なお、上記発光素子10aの発光量を変化させる手段として、発光素子10aに入力する電圧を変化させる代わりに、発光素子10aに投入する電流をパルス状にし、このパルス幅を変えることによって発光素子10aの発光量を変化させても良い。
【0021】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2について説明する。図7は本発明の実施の形態2に係る各条件時の受光素子10bが受光する光量を示す図である。なお、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態2が、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態2では、受光素子10bが受光する光について、実施の形態1で示した第一光路からの光A及び第二光路からの光Bの他に、対になっている発光素子10a以外の発光素子10aからの光Cを導く第三光路を有するものである。ここで、第三光路の構成についてはどのようなものでも良く、受光素子10bが受光する光量のうち、光Cの光量が、光Bの光量より少なければ良い。なお、実施の形態2では、各発光素子10aの発光を同時に行うものについて説明する。
【0022】
図7に示すように、実施の形態2の受光素子10bは、発光素子10a及び受光素子10bが正常時には、例えば水タンク7に水8が無い場合は、第一光路からの光Aと第三光路からの光Cが受光素子10bで検出される。また、水タンク7に水8が有る場合は、光Aより光量の小さい第二光路からの光Bと第三光路からの光Cが受光素子10bで検出される。それに対し、発光素子10aが故障した時には、第三光路からの光Cが受光素子10bで検出される。また、受光素子10bが故障した時には、受光素子10bは光を検出しない。このように、受光素子10bが受光する光量の差によって、判定部11は水タンク7の水8の有無だけで無く、発光素子10aと受光素子10bのどちらが故障したのか検知することが出来る。
なお、判定部11にて発光素子10aもしくは受光素子10bが故障したことを検知した時は、判定部11はその結果を制御部12に出力し、制御部12はそれを受けて、例えば加熱体3の入力を切って炊飯を停止したり、表示部20を用いて使用者に故障を報知したりする。なお、故障を報知する手段としては、表示部20の表示だけでなくブザー等による報知も併せて行ってもよい。
【0023】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3について説明する。図8は本発明の実施の形態3に係る水タンク7と水位センサ10の横断面概略図である。なお、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態3が、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。また、実施の形態3に、実施の形態2の構成を用いても良い。
実施の形態3では、実施の形態1及び実施の形態2で設けられた光反射部15の代わりに、タンクカバー14の水タンク7側の面に粗い凹凸面21を形成し、光が凹凸面21に当たった時に大きな反射角で反射するように構成されている。
【0024】
図8に示すように、その水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が有る場合は、発光素子10aから放射された光が入射側屈曲部12aに投光されたとき、水タンク7材料と水8の屈折率が近いので光は入射側屈曲部12aの内側の入射側反射面12dから水タンク7内に透過する。この透過した光Bは水位センサ10とは反対側に設けられた凹凸部21によって大きな反射角で反射し、その反射した光Bの一部は出射側屈曲部12bの内側の出射側反射面12eを透過して、受光素子10bに投光される。この、発光素子10aから放射された光が、入射側屈曲部12a、凹凸部21、出射側屈曲部12bを経由して受光素子10bに到達する光Bの光路を、実施の形態2では本発明の第二光路としている。なお、光Bは、発光素子10aから放射された光の一部だけであることから、かならず光Bは光Aよりも光量が少なくなるように構成されている。
上記のように構成することにより、タンクカバー14の取付けが不十分であったり、タンクカバー14自体が歪んでしまったりしている場合でも、安定的に光Bを受光素子10bに向けて反射することができ、これによる誤検知を抑制することが出来る。
【0025】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4について説明する。図9は本発明の実施の形態4に係る水タンク7と水位センサ10の横断面概略図である。なお、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態4が、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。また、実施の形態4に、実施の形態2の構成を用いても良い。
実施の形態4では、窓部18に、水タンク7に設けた凹部13と同様に、入射側屈曲部18a、出射側屈曲部18b、伝達部18cを形成し、これによって第二光路を形成している。
【0026】
図9に示すように、例えばその水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い場合は、発光素子10aから放射された光Aが入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と空気の屈折率が大きくずれているので入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dで光Aが反射し、その反射した光Aは伝達部13cを通過し、さらに出射側屈曲部13bの内側の出射側反射面13eで反射して、受光素子10bに投光される。この、発光素子10aから放射された光が、入射側屈曲部13a、伝達部13c、出射側屈曲部13bを経由して受光素子10bに到達する光Aの光路を、本発明では第一光路としている。加えて、発光素子10aから放射された光のうち拡散した一部の光Bが、窓部18に形成された入射側屈曲部18a、伝達部18c、出射側屈曲部18bを経由して受光素子10bに到達する。この光Bの光路を、実施の形態4では第二光路としている。つまり、実施の形態4では、水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い場合は、第一光路からの光Aと第二光路からの光Bの両方を受光素子10bで受光する。
一方、その水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が有る場合は、第一光路の光は入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と水8の屈折率が近いので光は入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dから水タンク7内に透過する。しかし、第二光路の光Bは、水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い時と同様に、窓部18に形成された入射側屈曲部18a、伝達部18c、出射側屈曲部18bを経由して受光素子10bに到達する。
上記のように第二光路を水タンク7と水位センサ10との間に構成することにより、例えば水タンク7内の水8に米に含まれるおねば成分が混ざって透過率が低下しても、第二光路からの光Bを受光することができ、水位を検知することが出来る。また、実施の形態3と同様に、タンクカバー14の取付けが不十分であったり、タンクカバー14自体が歪んでしまったりしている場合でも、安定的に受光素子10bは光Bを受光することができ、これによる誤検知を抑制することが出来る。
【0027】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5について説明する。図10は本発明の実施の形態5に係る水タンク7と水位センサ10の横断面概略図である。なお、図中において実施の形態1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。以下に、実施の形態5が、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。また、実施の形態5に、実施の形態2の構成を用いても良い。
実施の形態5では、凹部13の一部に、第二光路用の導光部13fを設けている。
【0028】
図10に示すように、例えばその水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い場合は、発光素子10aから放射された光Aが入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と空気の屈折率が大きくずれているので入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dで光Aが反射し、その反射した光Aは伝達部13cを通過し、さらに出射側屈曲部13bの内側の出射側反射面13eで反射して、受光素子10bに投光される。この、発光素子10aから放射された光が、入射側屈曲部13a、伝達部13c、出射側屈曲部13bを経由して受光素子10bに到達する光Aの光路を、本発明では第一光路としている。加えて、発光素子10aから放射された光のうち拡散した一部の光Bが、凹部13に形成された導光部13fを経由して受光素子10bに到達する。この光Bの光路を、実施の形態5では第二光路としている。つまり、実施の形態5では、実施の形態4と同様に、水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い場合は、第一光路からの光Aと第二光路からの光Bの両方を受光素子10bで受光する。
一方、その水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が有る場合は、第一光路の光は入射側屈曲部13aに投光されたとき、水タンク7材料と水8の屈折率が近いので光は入射側屈曲部13aの内側の入射側反射面13dから水タンク7内に透過する。しかし、第二光路の光Bは、水位センサ10に対向する位置の水タンク7の内側に水8が無い時と同様に、凹部13に形成された導光部13fを経由して受光素子10bに到達する。
上記のように第二光路を水タンク7と水位センサ10との間に構成することにより、例えば水タンク7内の水8に米に含まれるおねば成分が混ざって透過率が低下しても、第二光路からの光Bを受光することができ、水位を検知することが出来る。また、実施の形態3と同様に、タンクカバー14の取付けが不十分であったり、タンクカバー14自体が歪んでしまったりしている場合でも、安定的に受光素子10bは光Bを受光することができ、これによる誤検知を抑制することが出来る。
【符号の説明】
【0029】
1 本体、2 炊飯釜、3 加熱体、4 蓋体、5 内蓋、6 蒸気パイプ、6a 蓋体側蒸気パイプ、6b 水タンク側蒸気パイプ、7 水タンク、8 水、9 水タンク蓋、10 水位センサ、10a 発光素子、10b 受光素子、10c 基板、11 判定部、12 制御部、13 凹部、13a 入射側屈曲部、13b 出射側屈曲部、13c 伝達部、13d 入射側反射面、13e 出射側反射面、13f 導光部、14 タンクカバー、15 光反射部、16 支持具、16a 発光側開口部、16b 受光側開口部、17 光吸収塗膜、18 窓部、18a 入射側屈曲部、18b 出射側屈曲部、18c 伝達部、19 増幅器、20 表示部、21 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクと、
光を放射する発光手段と光量を検出する受光手段の組合せで構成され、該受光手段の検
出結果から前記タンク内の液体の有無を検知する水位センサと、
該発光手段が放射する光を該受光手段へ到達させる第一光路部と、
前記タンクと、前記発光手段及び前記受光手段との間に構成し、前記タンク内の液体の有無に係らず該発光手段が放射する光の一部を該受光手段へ到達させる第二光路部と、
前記受光手段が検出する光量に基づいて、前記タンクに貯留されている液体の水位を検
知すると共に、前記発光手段または前記受光手段の故障を検知する判定部と、
を備え、
前記発光手段の光の放射量を段階的に変え、それに伴う前記受光手段の出力から前記発光手段及び前記受光手段の故障を検知することを特徴とする水位検知手段。
【請求項2】
前記判定部が前記タンクに水が貯留していると判断しているときに、前記発光手段及び前記受光手段の故障を検知することを特徴とする請求項1に記載の水位検知手段。
【請求項3】
被加熱物を収納する炊飯釜と、
該炊飯釜を加熱する加熱体と、
請求項1もしくは請求項2に記載の水位検知装置を備え、
前記炊飯釜から出る蒸気を復水した水を前記タンクに貯留し、前記水位検知装置の結果
により前記加熱体への入力を調節することを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185179(P2012−185179A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137536(P2012−137536)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【分割の表示】特願2010−21168(P2010−21168)の分割
【原出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】