説明

水体からエネルギーを得る装置およびその方法

本発明は、水体からエネルギーを利用するための装置に関連するものであり、その装置は、−少なくとも二つのダリウス・ロータブレードを有するダリウス・ロータを含み、−中央軸とダリウス・ロータブレードとを連結する少なくとも二つの連結アームを含み、そこでダリウス・ロータブレードごとに連結アームの第1の近位部分が中央軸に連結され、近位部分の離れたところにある連結アームの位置はダリウス・ロータブレードの第1の位置に連結され、−少なくとも第1の近位部分の離れたところにある連結アームとダリウスブレードの第1の位置との間の連結はヒンジ可能な連結であり、−少なくとも一つの連結アームのすべてのダリウス・ロータブレードで、連結アームと中央軸間の近位部分の間の連結は堅固な連結である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水体からエネルギーを利用するための装置に関連するものであり、その装置は、−少なくとも二つのダリウス・ロータブレードを有するダリウス・ロータを含み、−中央軸とダリウス・ロータブレードとを連結する少なくとも二つの連結アームを含み、そこでダリウス・ロータブレードごとに連結アームの第1の近位部分が中央軸に連結され、近位部分の離れたところにある連結アームの位置はダリウス・ロータブレードの第1の位置に連結され、−ダリウス・ロータおよび連結アームは、共通の回転軸の周りで回転可能であり、−第1の位置の離れたところにあるダリウス・ロータブレードの長手方向におけるその第2の位置上の各々のダリウス・ロータブレードは、第2の連結アームを経て装置の中央軸に連結されるまたは連結されない。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、WO02/44558号から公知である。それは、波エネルギーの有効な利用を可能にする。ダリウス・ロータブレード上で水によって及ぼされる駆動力は、それを回転させるために中央軸に効果的に通されなければならず、それは堅固な構造を必要とする。例えば川、河口または海のような水体からエネルギーを利用する利点は高いエネルギー密度であり、−同時に、そのような装置の問題を構成する。水体からエネルギーを利用するための装置が通常の様々な負荷の他に過酷な気象状況に耐えなければならないので、非常に頑丈な、したがって比較的高価な構造が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、耐力能力が増加した堅固な構造の装置の提供を目的とする。
【0004】
このために、本発明は前文に記載の装置を提供し、少なくとも第1の近位部分の離れたところにある連結アームの位置とダリウス・ブレードの第1の位置との間の連結はヒンジ可能な連結であり、−少なくとも一つの連結アームのすべてのダリウス・ロータブレードで、連結アームの近位部分と中央軸線との間の連結は堅固な連結であり、そこにおいて、ヒンジ可能な連結の回転軸は、−ダリウス・ロータの回転の軸直角平面で30°未満の角度αであり、−ヒンジの頂点でダリウス・ロータの回転軸から特定のダリウス・ロータブレードの前縁まで続き、ダリウス・ロータの回転の軸直角平面に位置する線と直角をなす平面で15°未満の角度βである。
【0005】
そのような装置は、一方でダリウス・ロータブレードに及ぼされる駆動力が効果的に中央軸へ動かされる程度に堅固であり、また一方で、ロータブレードの曲げモーメントが特に連結アームへのダリウス・ロータブレードの移行の近くで減らされるので、変化する負荷の処理能力が向上される。本発明は、例えば中空の輪郭のようなダリウス・ロータブレードおよび/または連結アームの補強要素を弱めるダリウス・ロータブレードおよび/または連結アームで配置されたボルトを避けることができ、一方で加えて、流体力学的に低い抵抗の輪郭がヒンジ可能な連結で達成することができるので、簡単な組立と頑丈さとを組み合わせる。好ましくは、すべての連結アームと中央軸との近位部分間のすべての連結は堅固な連結であり、したがって、非常によく曲げモーメントを受けることができるにもかかわらず、非常に強い構造を達成する。装置は例えば、比較的低コストで波エネルギーまたは潮のエネルギーを利用するために使うことができる。
【0006】
好都合な実施態様によると、要素は、ダリウスブレードから選ばれるヒンジ可能な連結、近位部分の離れたところにある連結アームの位置、および、各々が相互接触のための接触領域を有する中央軸を経て連結される。
【0007】
ヒンジ可能な連結は、厚さが減少した形をしていることが考えられるけれども、ヒンジ可能な連結は、ダリウスブレードの長手方向が連結アームの接触の領域と関連して移動することができる、あるいは、それに関して回転可能であるように接触の領域を互いに導くことによって構成されることが強度の理由で好ましく、後者の場合、ある領域の接触は凹状であり、他の領域の接触は凸状である。
【0008】
好都合な実施態様によれば、装置は第2の連結アームを含み、第2の連結アームの第1の近位部分は堅固に中央軸に連結され、および、第1の近位部分から距離をおいた第2の連結アームの位置は、ヒンジ可能な連結を経てダリウス・ロータブレードの第2の位置に連結される。
【0009】
したがって、より大きい流入面が達成され、結果的により多くのエネルギーを利用することができ、それによって、一方で共に発生するより大きな駆動力は効果的に伝えられ、また一方で曲げモーメントは伝えられない。
【0010】
好ましい実施態様によれば、少なくとも中央軸とダリウスブレードの第1の位置とを連結する連結アームは、ウェルズ・ロータブレードである。
【0011】
そのような装置は、波エネルギーを利用することに特に適している。中央軸とダリウスブレードとを連結するウェルズブレードの数は好ましくは、ダリウスブレードと同数、またはその二倍と等しい。後者の場合、第2の連結アームは、またウェルズ・ロータブレードである。
【0012】
好ましくは、第2の連結アームは、中央軸とダリウスブレードの第1の位置とを連結するウェルズ・ロータブレードより短い。
【0013】
その場合、ダリウスブレードの下の末端は、装置の回転軸に、上の末端よりも近くに位置する。その場合にはダリウス・ロータブレードと回転軸との間の最も好適な角度は、25°から35°である
【0014】
この実施態様は、特に波エネルギーを利用することに適している。
【0015】
実際には、本発明の典型的な装置は、i)電気を生成する発電機、および、ii)流体圧を生成する発電機から選ばれる発電機を有する。
【0016】
流体として、液体または気体、好ましくは空気を使うことができる。
【0017】
本発明は水体からエネルギーを利用する方法にも関するものであり、そこで、本発明の装置は波および/または流量が自然に発生する水体に導入される。
【0018】
波エネルギーを利用するため、適切な水体の平均波高(底と上部との間の)は、年当たり少なくとも50cmである。
【0019】
好都合な実施態様は、ダリウスブレードの第1の位置と連結され、その第1の位置が第2の位置よりも高い連結アームは少なくともウェルズ・ロータブレードであり、ウェルズ・ロータブレードは、水体の高さの下の5分の平均波高の0.5から2.0倍の間の深さ、好ましくは0.8から1.25倍の間の深さに位置することにおいて特徴づけられる。
【0020】
したがって、波エネルギーを非常に効果的に利用することができる。
【0021】
好都合な実施態様によると、少なくとも二つのダリウスブレードの先端は、水面より上に突き出る。
【0022】
したがって、高いエネルギー出力を達成することができる。波を有する水体で、少なくとも二つのダリウス・ロータブレードの上の先端は、年平均の波高の少なくとも二倍、突き出る。
【0023】
好都合な実施態様によると、5分以上で平均をとった回転軸は、垂直に対して5°未満である。
【0024】
その方法において、最も高いエネルギー出力が達成される。
【0025】
方法の好都合な実施態様によれば、油圧エネルギー、空気エネルギー、電気または水素ガスから選ばれるエネルギーが生成される。
【0026】
水素ガスは、装置によって生成される電気を用いて電気分解によって得ることができる。
【0027】
用途において、以下の定義が用いられる:ロータは、二つ以上のロータブレードの組立であり、その後者は略してブレードと呼ばれる。
【0028】
ウェルズ・ロータは少なくとも二つのブレードを含み、ブレードは、ブレードの前縁および後縁によって形成された平面の両側で凸状である。その平面に関して、ウェルズブレードは、好ましくは鏡面対称である。ウェルズブレードは、ウェルズ・ロータの回転軸に関して、本質的に放射状の方向で拡大する。ブレードの平面は、ウェルズ・ロータの回転軸の垂直に対して、多くても15°、好ましくは多くても5°、より好ましくは0°である。
【0029】
ダリウス・ロータは、少なくとも二つのブレードを含み、本発明による装置では通常、三つまたは四つのブレードであり、そこで、回転軸の平面のブレードおよび前記平面の回転軸の標準は、多くても60°、好ましくは多くても45°の回転軸の角度である。好都合な角度は、例えば0°である(そこで、ダリウスブレードは回転軸と交差しない)。
【0030】
ブレードの広さ(コードとも呼ばれる)は、輪郭の前方側面と裏面(英語で、前縁および後縁:the leading and trailing edge)との間の最も短い全体の距離である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、ここで図面に関して示される、
【図1】図1は、本発明の波エネルギーの使用のための装置の斜視図を示す;
【図2】図2は、図1の装置の詳細の下面図の詳細を横断面において示す;
【図3】図3は、図1の装置の詳細の分解断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、波エネルギーの使用のための本発明の装置100を示し、装置100はダリウス・タイプの三つの第1のロータブレード101と、ウェルズ・タイプの第2のロータブレード102の形の三つの第1の連結アームとを含む。第1の連結アームとして作用する第2のロータブレード102は、電気を生成するために発電機105と連結される中央軸104にその近端部で堅固に連結される。中央軸104の中央線は、ダリウス・ロータブレード101および第1の連結アーム102全体の回転軸Aと一致する。第1の連結アーム102は、ダリウス・ロータブレードの第1の位置にヒンジ可能に連結されるその末端に近い。以下に、これは、さらに説明される。ここに図示するように本発明の装置の実施態様では、ダリウスブレード101は斜めに配置され、連結アーム122を経て中央軸104に第2の位置で連結される。第2の位置と第2の連結アーム122との間の連結、および、連結アーム122と中央軸104との間の連結は、堅固な連結である。特に多少長い第2の連結アームで、第2の位置と第2の連結アーム122との間の連結が同様にヒンジ可能に実行される場合、それは好ましい。
【0033】
図1に示される装置100は、先願WO02/44558号にて開示されたように、例えば柱(示されず)を用いて海に入れられる。
【0034】
図2は、下面図における図1の装置100の詳細の横断面を示す。ウェルズ・ロータブレードの形状を有する第1の連結アーム202の近位部分に堅固に連結される中央軸204を見ることができる。第1の連結アーム202の末端の近くで、第1の連結アーム202にヒンジ225を経て連結されるダリウス・ロータブレード201は位置する。ヒンジ225により、回転軸Bの周りの第1の連結アーム202に関してダリウス・ロータブレード201の屈曲が可能になる。図示した実施態様において、これは、回転軸Aに直角をなす平面に位置している(角度αは0°である)。前記平面において、線Bは、回転軸からダリウス・ロータブレード201の前縁231まで続く線に対して3.5°のピッチ角βを作成する。
【0035】
図3は、図2のヒンジの分解断面図を示す。ダリウス・ロータブレード301、第1の連結アーム302、および、ヒンジ325を見ることができる。ヒンジ325は、第1の連結アーム302に堅固に連結される三つの第1の指341を有する第1のヒンジ部分331と、ダリウス・ロータブレード301に堅固に取り付けられる二つの第2の指342を有する第2のヒンジ部分332とを含む。組み立てられる場合、第2の指342は、第1の指341の間に位置する。第1および第2の指は、キャッスルナット371で固定されるヒンジ・ペン351がそれを通じて配置される孔350をすべて備える。担持用軸受筒352は可動部品間(すなわちヒンジ・ペン351、第1の指341および第2の指342)の摩擦を減らし、これらの間の隙間を限定する。
【0036】
水による抵抗を下げるため、充填材ブロック361、362、363が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水体からエネルギーを利用するための装置であって、−少なくとも二つのダリウス・ロータブレードを有するダリウス・ロータを含み、−中央軸とダリウス・ロータブレードとを連結する少なくとも二つの連結アームを含み、そこで該ダリウス・ロータブレードごとに該連結アームの第1の近位部分が中央軸に連結され、該近位部分の離れたところにある該連結アームの位置は該ダリウス・ロータブレードの第1の位置に連結され、−該ダリウス・ロータおよび該連結アームは、共通の回転軸の周りで回転可能であり、−該第1の位置の離れたところにある該ダリウス・ロータブレードの長手方向におけるその第2の位置上の各々の該ダリウス・ロータブレードは、第2の連結アームを経て装置の中央軸に連結されるまたは連結されず、−少なくとも該第1の近位部分の離れたところにある、該連結アームの位置と、該ダリウスブレードの第1の位置との間の連結はヒンジ可能な連結であり、−少なくとも一つの該連結アームのすべてのダリウス・ロータブレードにおいて、該連結アームの近位部分と中央軸との間の連結は堅固な連結であり、そこで、該ヒンジ可能な連結の回転軸は、−該ダリウス・ロータの回転の軸直角平面で30°未満の角度αであり、−該ヒンジの近くで、該ダリウス・ロータの回転軸から特定の該ダリウス・ロータブレードの前縁まで続き、該ダリウス・ロータの回転の軸直角平面に位置する線と直角をなす平面で15°未満の角度βである装置。
【請求項2】
前記ヒンジ可能な連結を経て連結される前記要素が前記ダリウスブレードから選ばれ、前記連結アームの位置は近位部分の離れたところにあり、前記中央軸は各々の相互接触のための接触領域を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、第2の連結アームを含み、該第2の連結アームの第1の近位部分は前記中央軸に堅固に連結され、該第1の近位部分から距離をおかれた該第2の連結アームの位置は、ヒンジ可能な連結を経て前記ダリウス・ロータブレードの第2の位置に連結される、請求項1または請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記中央軸と前記ダリウスブレードの第1の位置とを連結する少なくとも前記連結アームがウェルズ・ロータブレードである、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記第2の連結アームが前記中央軸と前記ダリウスブレードの第1の位置とを連結するウェルズ・ロータブレードより短い、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、i)電気を生成する発電機、および、ii)流体圧を生成する発電機から選ばれる発電機を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の装置が、波および/または流量が自然に発生する水体に導入される、水体のエネルギーを生成する方法。
【請求項8】
前記第1の位置が前記第2の位置よりも高い場所にある前記ダリウスブレードの第1の位置と連結される連結アームは少なくともウェルズ・ロータブレードであり、該ウェルズ・ロータブレードは、前記水体の高さの下の5分の平均波高の0.5から2.0倍の間の深さ、好ましくは0.8から1.25倍の間の深さに位置する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記二つのダリウスブレードの上の先端が水面より上に突き出る、請求項7または請求項8記載の方法。
【請求項10】
5分で平均をとられた前記回転軸が垂直から5°未満である、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
油圧エネルギー、空気エネルギー、電気または水素ガスから選ばれるエネルギーが生成される、請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510587(P2012−510587A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538579(P2011−538579)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【国際出願番号】PCT/NL2009/000236
【国際公開番号】WO2010/062170
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511003420)エコフィス インヴェストメンツ ビー.ヴイ. (2)
【Fターム(参考)】