説明

水処理システム及び方法

本発明は、産業、商業及び住宅用用途における水処理又は浄水システム及び処理水を提供する方法を対象にする。処理システムは、都市用水、井戸水、汽水及び汚れを含む水のような、水源からの水に含まれる何らかの硬度誘発種の少なくとも一部を除去することによって、処理水又は軟水を使用地点に提供する。水処理システムは、何らかのスケールを減少、又は少なくとも溶解する、電極区画のような電気化学装置の他の区画内で使用できる、水素イオンを発生させ、かつ捕捉する少なくとも1つの区画を有することができる電気脱イオン化装置のような、電気化学装置を含む。システムの他の用途は、飲食料品、糖類の処理及び加工、化学、製薬、廃水処理、及び発電産業のような種々の産業にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、流体を処理又は浄化するシステム及び方法に関し、特に貯蔵システムと、スケール付着を減少させるために電極区画内で使用できる水素イオンを捕捉する区画を有する電気化学装置とを組み込んだ水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウム及びマグネシウムのような硬度種を含む水は、産業、商業及び家庭用途でのある種の使用に望ましくないことがある。水の硬度分類の典型的な指針は、炭酸カルシウムとして1リットル当たりゼロ〜60ミリグラム(mg/l)が軟らかい、61〜120mg/lが中程度に硬い、121〜180mg/lが硬い、かつ180mg/l超が非常に硬いと分類される。
【0003】
硬水は、硬度イオン種を除去することによって軟化できる。かかる種を除去するシステムの例は、イオン交換床を使用するものを含む。かかるシステムにおいて、硬度イオンは、イオン交換樹脂の表面で混合される逆帯電したイオン種にイオン結合されるようになる。イオン交換樹脂は、最終的にイオン結合した硬度イオン種で飽和するようになるため、再生されねばならない。再生は、結合した硬度種を、塩化ナトリウムのような可溶性がより高いイオン種と置換することを通常伴う。イオン交換樹脂に結合した硬度種は、ナトリウムイオンによって置換され、オン交換樹脂は、再度その後の軟水ステップに使用できる状態になる。
【0004】
これと異なる他のシステムが、既に開示されている。例えばDoschは、米国特許第3148687号明細書でイオン交換樹脂を使用する軟水装置を含む洗浄機を教示している。同様に、Gadiniらは、国際特許出願公開第WO00/64325号で、水の硬度を減少させる改良された装置を有する水を使用する家庭用器具を開示している。Gadiniらは、制御システム、外部源からの給水システム、及び電気化学電池による軟化システムを有する家庭用器具を教示している。
【0005】
電気再生式脱イオン化(EDI)は、水を軟化するために使用できる1つの工程である。EDIは、電気活性媒体及びイオン輸送に影響を与えるための電位を使用して液体からイオン化可能な種を除去する工程である。電気活性媒体は、かかるイオン種を交互に収集し、かつ放出するか、又はイオン若しくは電子置換メカニズムによって連続的にイオン輸送を容易にするために機能し得る。EDI装置は、永久又は一時的電荷を有する媒体を含むことができる。かかる装置は、性能を達成又は強化することを目的とする電気化学反応を引き起こすことができる。これらの装置は、半透性イオン交換又は両極性膜のような電気活性膜も含む。
【0006】
連続的電気再生式脱イオン化(CEDI)は、一次的サイジングパラメータが媒体のイオン容量ではなく、媒体を通る輸送である工程である。典型的なCEDI装置は、選択透過性アニオン及びカチオン交換膜を含む。膜間の空間は、入口及び出口を有する液体流れ区画を作るように構成される。横方向直流電界が、区画の境界で電極を使用して外部電源によって与えられる。しばしば、電極区画は、電極からの反応生成物を、他の流れ区画から分離できるように提供される。電界を与えると、液体中のイオンは、通常そのそれぞれの対電極に引き付けられる。陽極に向き、かつ陰極に向く透過膜と接する隣接区画は、通常イオン減耗されるようになり、かつ陽極に向く電気活性カチオン浸透膜と、陰極に向く電気活性アニオン膜に接する区画は、通常イオン濃縮されるようになる。イオン減耗区画内の、及び実施態様によっては、イオン濃縮区画内の容量は、電気的に活性な媒体、又は電場応答媒体を含むことができる。CEDI装置において、電気活性媒体は、区画内のイオン輸送を強化するために、密接に混合したアニオン及びカチオンイオン交換樹脂ビーズを含むことができ、かつ電気化学反応の基質として関与できる。電気脱イオン化装置は、例えば米国特許第4632745号、第4925541号、及び第5211823号明細書でGiuffridaらによって、米国特許第5259936号及び第5316637号明細書でGanziによって、米国特許第5154809号明細書でOrenらによって、かつ米国特許第5240579号明細書でKedemによって開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1つの形態において、水処理システムを提供する。このシステムは、入口点に流体的に接続された貯水槽と、貯水槽に流体的に接続され、かつ少なくとも部分的に電気活性媒体で満たされ、かつ各側面でアニオン選択膜と接する区画を含む電気化学装置と、貯水槽の少なくとも1つ及び電気化学装置に流体的に接続された配水システムとを含むことができる。
【0008】
もう1つの実施態様において、本発明は、カチオン交換樹脂と、アニオン選択膜とを含むイオン捕捉区画を含む電気化学装置を提供する。
【0009】
もう1つの実施態様において、本発明は、カチオン交換樹脂が実質的になく、かつ各側面でアニオン選択膜と接する電気活性媒体を含む区画を含む電気化学装置を提供する。
【0010】
もう1つの実施態様において、本発明は、本質的にカチオン交換樹脂と、アニオン選択膜とからなる区画を含む電気化学装置を提供する。
【0011】
もう1つの実施態様において、本発明は、アニオンの隣接区画への移動を促進しながら、カチオンの移動を阻害するために構築及び配列された区画を含む電気化学装置を提供する。
【0012】
もう1つの実施態様において、本発明は、第1減耗区画と、第1減耗区画に隣接したカチオン交換樹脂を含むイオン捕捉区画と、イオン捕捉区画に隣接して位置決めされたアルカリ収集区画と、アルカリ収集区画に隣接して位置決めされた第2減耗区画とを含む電気化学装置を提供する。
【0013】
もう1つの実施態様において、本発明は、イオン選択膜の間に配置されたイオン交換繊維を含む電気化学装置を提供する。
【0014】
もう1つの実施態様において、本発明は、減耗区画と、濃縮区画とを含む電気化学装置を提供する。減耗及び濃縮区画の少なくとも一方は、電気活性繊維フェルトを含む。
【0015】
もう1つの実施態様において、本発明は、液体を処理する方法を提供する。この方法は、減耗区画と、濃縮区画と、減耗及び濃縮区画イオンの間に配置された捕捉区画とを含む電気化学装置を提供することと、処理する液体を減耗区画に通すことと、イオン捕捉区画内で水素イオンを収集することとを含むことができる。
【0016】
もう1つの実施態様において、本発明は、水を処理する方法を提供する。この方法は、イオン選択膜に接する区画を含む電気化学装置を提供することと、水を区画に導入することと、区画内で水を水素及びヒドロキシルイオンに解離することと、水素イオンの少なくとも一部を電気化学装置の電極区画に移行することとを含むことができる。
【0017】
もう1つの実施態様において、本発明は、液体処理を容易にする方法を提供する。この方法は、カチオン交換樹脂で少なくとも部分的に満たされ、かつ各側面でアニオン選択膜と接する少なくとも1つの区画を含む電気化学装置を提供することを含むことができる。
【0018】
もう1つの実施態様において、本発明は、液体処理を容易にする方法を提供する。方法は、本質的にカチオン交換樹脂と、アニオン選択膜とからなる区画を含む電気化学装置を提供することを含むことができる。
【0019】
本発明の他の利点、新しい特徴及び目的は、概略的であり、かつ一定の比率で書かれることを意図しない添付図面と併せて考慮されたとき、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。図では、例示される同一又は実質的に類似する各部品は、単一の数字又は表記によって表される。明瞭にするため、当業者が本発明を理解することを可能にするために例示が必要でないときには、全ての図で全ての部品に標識を付けず、本発明の各実施態様の全ての部品を示さない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好ましい、しかし必ずしもこれに限定されることのない実施態様は、例として、かつ添付図面を参照して記載される。
【0021】
本発明は、産業、商業及び住宅用用途における浄水又は水処理システム及び処理水を提供する方法を対象にする。処理システムは、都市用水、井戸水、汽水及び汚れを含む水のような、水源からの水に含まれる何らかの硬度誘発種の少なくとも一部を除去することによって、処理水又は軟水を使用地点に提供する。水処理システムは、何らかのスケールを減少、又は少なくとも溶解する、電極区画のような電気化学装置の他の区画内で使用できる、流体中に水素イオンを発生させ、かつ捕捉する少なくとも1つの区画を有することができる電気脱イオン化装置のような、電気化学装置を含むことができる。本発明のシステムの他の用途は、飲食料品、糖類の処理及び加工、化学、製薬、廃水処理、及び発電産業のような種々の産業にある。
【0022】
本発明の処理システムは、通常、水源又は入口点から水を受け、かつ処理水を使用地点に送り出す前に少なくとも数種の望ましくない種を含む水を浄化する。この処理システムは、通常、電気再生式脱イオン化装置のような電気化学装置と直列に、例えば流体的に接続された貯蔵システムを有する。本発明の実施態様によっては、処理システムは、水の少なくとも1つの特性、又は処理システムの操作条件を測定するセンサを更に含む。本発明の他の実施態様では、処理システムは、処理システムの少なくとも1つの操作パラメータ、又は処理システムの部品を調整又は制御するための制御装置も含む。
【0023】
図1は、本発明の1つの実施態様による水処理システムの概略流れ図を示す。水処理システム10は、通常、上流端で水源又は入口点14に、及び通常、下流端で電気化学装置、例えば電気脱イオン化装置16に流体的に接続された、通常、貯水槽として表現される貯蔵システム12を含む。水処理システム10は、通常、貯蔵システム12の下流に流体的に接続された使用地点18を含む。幾つかの実施態様では、水処理システム10は、センサ20と、電気脱イオン化装置16に電力を提供する電源24を制御又は規制する制御装置22とを同様に含む。電気脱イオン化装置16は、通常、貯蔵システム12内で保存し、かつ使用地点18へ最終的に送り出すための、処理水を生成するために、入口点14から流れる被処理水から望ましくない種を除去又は濃度を減少させる。電気脱イオン化装置16によって除去される望ましくない種は、通常、補助使用又はドレン26に濃縮水流中で移行される。
【0024】
本発明の幾つかの実施態様における水処理システム10は、貯蔵システム12又は電気脱イオン化装置16の上流に流体的に接続された前処理システム28を更に含むことができる。更に、水処理システム10は、通常、ポンプ30及び弁32のような流体制御部品も含む。
【0025】
本発明は、次の定義に照らして、更に理解されるであろう。すなわち、「加圧された」は、大気圧を超える、内圧又は加えられた圧力を有するシステム又は部品に対して使われる。例えば、加圧貯蔵システムは、大気圧よりも大きい内圧を有する。
【0026】
図2は、本発明の1つの実施態様を通る電気脱イオン化装置の流体及びイオン流路の断面図を概略的に示す。電気脱イオン化装置16は、イオン減耗(以下単に減耗という)区画34と、減耗区画34の間に位置決めされたイオン濃縮(以下単に濃縮という)区画36とを含む。通常、エンドブロック(図示せず)は、陽極42及び陰極44をそれぞれの区画に収容するためにエンドプレート(図示せず)に隣接して位置決めされる。幾つかの実施態様において、区画は、通常、その両側の周縁部に周縁密閉されたカチオン選択膜46とアニオン選択膜48とを含む。
【0027】
カチオン選択膜及びアニオン選択膜は、通常、イオン交換粉末と、ポリエチレン粉末結合剤と、グリセリン潤滑剤とからなる。実施態様によっては、カチオン及びアニオン選択膜は、複合シートを作るために、熱及び圧力を使用する熱可塑性工程によって通常、押し出し成形される不均質なポリオレフィンをベースとする膜である。均質膜のような他の膜の、単独又は不均質な膜と組み合わせた使用は、本発明においても検討されることができる。代表的な、適切なイオン選択膜は、例えばスルホン酸又は4級アンモニウム官能基を有するスチレンジビニルベンゼンを使用して支持されるウェブ、ポリフッ化ビニリデン結合剤中でスチレンジビニルベンゼンを使用して支持されるウェブ、及びポリエチレンシート上の独立スルホン化スチレン及び4級化ビニルベンジルアミングラフトを含む。
【0028】
濃縮区画36は、通常、カチオン交換樹脂50で満たされ、かつ減耗区画34は、通常、カチオン交換樹脂50及びアニオン交換樹脂52の混合物で満たされる。実施態様によっては、カチオン交換及びアニオン交換樹脂は、種々の配列中の多数の層が、組み立てられるように、減耗、濃縮及び電極区画のいずれかの中の層内に配列できる。他の実施態様は、例えば減耗、濃縮及び電極区画のいずれかの中での混合床イオン交換樹脂の使用、アニオン及びカチオン交換樹脂の層状床間の不活性樹脂の使用、米国特許第5858191号明細書でDiMascioらによって記載されたものを含むが、それらに限定されない種々のタイプ及び配列のアニオン及びカチオン樹脂の使用を含み、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0029】
操作中、通常は上流水源から来る被処理液体54は、硬度イオン種を含み、溶解カチオン及びアニオン成分を有して入口点14で処理システムに入るマニホルド60を通って減耗区画34に導入される。ここでカチオン成分は、カチオン交換樹脂50に引き付けられ、かつアニオン成分は、アニオン交換樹脂52に引き付けられる。通常、電気脱イオン化装置16の反対端に位置決めされる陽極42及び陰極44を通り、電気脱イオン化装置16を横切って印加される電界は、液体中のカチオン及びアニオン成分が、その求引電極に対応する方向に移動する傾向を有するように、通常、流体の流れの方向に対して垂直に通過する。
【0030】
カチオン成分は、通常、カチオン選択膜46を通って隣接濃縮区画36へ移動する。濃縮区画36の反対側に位置決めされるアニオン選択膜48は、隣接区画への移動を妨げることができ、それにより濃縮区画内のカチオン成分を捕捉する。同様に、アニオン成分は、通常、イオン選択膜を通って移動するが、カチオン成分の移動方向に対して反対の方向である。アニオン成分は、アニオン選択膜48を通って、減耗区画34から隣接濃縮区画36へ移動する。濃縮区画36の反対側に位置決めされるカチオン選択膜46は、更なる移動を妨げることができ、それ故に濃縮区画内のアニオン成分を捕捉する。総合的に見て、イオン成分は、減耗区画34内の液体54から除去又は減耗され、かつ濃縮区画36内で収集され、処理水生成水流56及び濃縮又は放出水流58をもたらす。
【0031】
本発明の幾つかの実施態様によれば、電気脱イオン化装置16を横切る印加電界は、通常、水の水素及びヒドロキシルイオンへの解離に至らせ得る分極現象を作ることができる。水素及びヒドロキシルイオンは、溶解イオン成分の除去が、連続的に、かつイオン種の移動のために消耗したイオン交換樹脂を再生する別個のステップなしに起きることができるように、イオン減耗区画34内で、イオン交換樹脂50及び52を再生できる。電気脱イオン化装置16を横切る印加電界は、通常、直流である。しかしながら、一方及び他方の電極間でバイアス又は電位差を作るいかなる印加電界も、イオン種の移動を促進するために使用できる。従って、カチオン及びアニオン種をそれぞれの求引電極に引き付けるために十分な電極間の電位差があるという条件で、交流を使用できる。本発明の更にもう1つの実施態様において、交流は、電流が電気脱イオン化装置を横切って印加される時、それぞれのイオン種を引き付ける電位勾配が作られるように、交流を脈動直流に変換するために、例えばダイオード又はブリッジ整流器を使用することによって整流できる。
【0032】
通常、減耗区画34内で利用される電気活性媒体、例えばイオン交換樹脂ビード50及び52は、3級アルキルアミノ基及びジメチルエタノールアミンのような、種々の官能基をその表面領域に有しても良い。これらの物質は、4級アンモニウム基のような、種々の官能基をその表面領域に有するイオン交換樹脂物質と組み合わせても、使用できる。電気活性媒体は、その表面に官能基を含む繊維又はフェルト物質を含むことができる。イオン交換繊維の使用は、かかる使用済み電気活性媒体の組み立て及び交換を容易にできる。実施態様によっては、イオン交換繊維は、正に帯電した若しくは負に帯電した、又は両方である、マトリックスに結合された種を含む。マトリックスは、例えばポリプロピレン、ポリエチレン又はポリスチレンのようなポリオレフィンのような、但しそれに限定されない高分子物質を含む繊維状フェルトであっても良い。繊維フェルト媒体の例には、Smoptech Corporation又はJohnson Metthey Inc.、Wayne、Pennsylvaniaから入手可能なものを含む。本発明の更なる実施態様によれば、電気化学装置は、表面組織、又は場合によっては三次元外観を有する、又は有さない隣接イオン交換膜に接触し得る突起を画定する三次元外観を有するイオン交換膜を含むことができる。かかる特徴は、隣接して流れる流体の混合を促進でき、これによって付着物の形成を阻害できる。
【0033】
貯蔵システム12は、入口点14又は水源からの水を保存又は蓄積でき、かつ電気脱イオン化装置16からの生成水流56からの軟水又は処理水を保存することにも役立つことができ、かつ、通常は処理水である水、又は分配システムを通る入口点14から使用地点18の水と混合した処理水を提供することもできる。1つの実施態様において、貯蔵システム12は、加圧貯蔵システムである。加圧貯蔵システム内の圧力は、種々の方法及び技術によって、例えば水をポンプで加圧して、又は水源を高くし、このようにして水頭圧力を作ることによって、作ることができる。
【0034】
本発明の幾つかの実施態様によれば、貯蔵システム12は、加圧容器、又は入口62及び出口64のような、流体の流れの入口及び出口を有する容器を含む。入口62は、通常、入口点14に流体的に接続され、かつ出口64は、通常、配水システム又は使用地点18に流体的に接続される。貯蔵システム12は、数個の容器、又は各容器の種々の位置に位置決めされた数個の入口を有する容器を有することができる。同様に、出口64は、とりわけ使用地点18への需要又は流量、電気脱イオン化装置16の容量又は効率、及び貯蔵システム12の容量又は滞留量に応じて、種々の位置で、各容器に位置決めされても良い。貯蔵システム12は、望ましい機能を実行するか、又は望ましくない結果を回避する、種々の部品又は要素を更に含むことができる。例えば、貯蔵システム12は、貯蔵システム12の容器内のいかなる内部流れ電流も阻止させるために位置決めされるバッフルのような、内部部品を有する容器を有することができる。実施態様によっては、貯蔵システム12は、流体を加熱又は冷却する熱交換器を有する。例えば、貯蔵システム12は、高温で加熱流体を有することができる加熱コイルを有する容器を含むことができる。加熱流体は、加熱流体温度が炉内で上昇する時、容器内の水温が、熱伝達を介して上昇するように、炉のような加熱ユニット操作による閉ループの流れにおける熱水であっても良い。加熱流体は、同様に、熱伝達によって容器の流体温度を上昇させる。補助的又は追加部品の他の例には、何らかの容器の内圧を軽減し、かつ容器破裂を回避、又は少なくともその可能性を減少させることを目的とする圧力逃がし弁、及び所望のシステム操作圧力を維持するのに適した熱膨張タンクを含むが、それらに限定されない。熱膨張タンクの寸法及び容量は、貯蔵システムの水の総量、操作温度及び圧力を含むが、それらに限定されない要因によって決まる。
【0035】
操作中、貯蔵システム12は、通常、入口点14の下流に接続され、かつ電気脱イオン化装置16によって、再循環ループ内のように、直列に流体的に接続される。例えば、入口点14からの水は、入口62に流れることができ、かつ貯蔵システム12内に含まれるバルク水と混合できる。水は、通常、出口64を通って貯蔵システム12から出ることができ、かつ何らかの望ましくない種を処理又は除去するために、使用地点18へ、又はポンプ30を通って電気脱イオン化装置16に導かれる。電気脱イオン化装置16を離れる処理水は、入口点14からの水と混合でき、かつ入口62を通って貯蔵システム12に入ることができる。このようにして、一つのループが、貯蔵システム12及び電気脱イオン化装置16の間に形成され、かつ入口点14からの給水は、使用地点18によって作られ、かつ使用地点18に流れる水の需要を満たせる。
【0036】
入口点14は、水源から水処理システムへ水を提供するか、又は水源を水処理システムに接続する。水源は、都市用水若しくは井戸水のような飲用水源であっても良く、又は汽水若しくは塩水源のような非飲用であっても良い。通常、中間処理又は処理システムは、入口点14に到達する前に人間の消費用に水を浄化する。水は、通常、ナトリウム、塩化物、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸塩、硫酸塩等の溶解塩、イオン性の若しくはイオン化しうる種、又はシリカ及び二酸化炭素のような、他の不溶性若しくは半可溶性種又は溶解ガスを含む。その上、水は、フッ化物、塩素酸塩及び臭素酸塩種のような、但しそれらに限定されない添加剤を含むことがある。
【0037】
本発明のもう1つの実施態様によれば、水処理システム10は、配水システムを含み、一方で配水システムは使用地点に接続される。配水システムは、貯蔵システム12から使用地点18に加圧水、通常、処理水を提供するために、流体的に接続される部品を含むことができる。配水システムは、貯蔵システム12から1つ又は幾つかの使用地点18に、又は水処理システム10のいずれかの部品に水を提供するために、パイプ、弁、T字管、ポンプ及びマニホルドの配列を含むことができる。
【0038】
使用地点18は、通常、水を必要とする、又は要求する何らかの装置又は器具である。例えば、使用地点18は、洗濯機又は皿洗い機のような器具であるか、又は水を台所流し又はシャワーヘッドに提供することに役立つ水栓であっても良い。もう1つの実施態様において、使用地点18は、家庭又は住宅用途に適した水を提供するシステムを含む。もう1つの実施態様において、水処理システム10は、水処理システム10内の水の少なくとも1つの物理的特性を測定するセンサ、通常、水特性センサも含む。例えば、センサ20は、濁度、アルカリ度、水導電率、pH、温度、圧力、又は流量を測定できるセンサであっても良い。センサ20は、特に好ましい水特性を測定するために、水処理システム10内に設置又は位置決めできる。例えば、センサ20が水の導電率を測定するものである場合、これを貯蔵システム12内に設置し、使用地点18で供給のために利用可能な水質を間接的に測定するようにしても良い。もう1つの実施態様において、センサ20は、貯蔵システム12内に一連又は一組のセンサを含むことができる。一組のセンサは、貯蔵システム12内の水質が、制御装置22を介して断続的又は連続的に監視され、かつ電気脱イオン化装置16の操作又は水質が、以下に記載するように最適化できるように、配列でき、かつ制御装置22に接続できる。他の実施態様は、水処理システム10中の種々の位置で、センサの組の組み合わせを含むことができる。例えば、センサ20は、使用地点18への流量を測定する流量センサであっても良く、かつ水処理システム10の操作条件を監視する比濁計、pH、温度及び圧力センサのいずれかを更に含むことができる。
【0039】
本発明のもう1つの実施態様によれば、水処理システム10は、水が、例えば貯蔵システム12又は電気脱イオン化装置16に導入される前に、水から何らかの望ましくない種の一部を除去することを目的とする前処理システム28を更に含む。前処理システムの例には、通常汽水又は塩水を脱塩するために使用される逆浸透装置を含むが、それらに限定されない。前処理システムの部品として、炭素又は木炭フィルタが、電気脱イオン化装置16を汚染するか、又は操作を妨げ得る何らかの種又は何らかの塩素の少なくとも一部を除去するために必要であり得る。
【0040】
前処理システム28は、水処理システム10内のどこにでも位置決めできる。例えば、少なくとも幾つかの塩素種が、貯蔵システム12内に保持されるが、水が電気脱イオン化装置16に入る前に除去されるように、前処理システム28を、貯蔵システム12の上流又は加圧システム12の下流ではあるが電気脱イオン化装置16の上流に位置決めできる。
【0041】
本発明の1つ以上の実施態様によれば、水処理システム10は、水処理システム10及びその部品の操作条件を監視及び規制可能な制御装置22を更に含む。制御装置22は、通常、水処理システム10の部品へ入力及び出力信号を受信又は送信する、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又は分散制御システムのような、マイクロプロセッサベースの装置を含む。例えば、制御装置22は、電気脱イオン化装置16に電力を供給する電源24に信号を送信するか、又はポンプ30に電力を提供するモータ制御センタに信号を提供できるPLCであっても良い。幾つかの実施態様において、制御装置22は、開ループ又は閉ループ制御方式で、水処理システム10の操作条件を制御できる。例えば、開ループ制御中の制御装置22は、水が、いかなる操作条件も測定することなく処理されるように、水処理システムに信号を提供できる。制御装置22は、操作パラメータが測定された操作条件に応じて調整できるように、閉ループ制御中の操作条件を制御できる。更にもう1つの実施態様において、制御装置22は、遠隔ステーションに測定操作条件又は操作パラメータのいずれかを転送又は送信する遠隔通信装置のような、通信システムを更に含むことができる。
【0042】
本発明のもう1つの実施態様によれば、制御装置22は、水処理システム10内の流体の流れが、入口点14からの水質、使用地点18への水質、使用地点18への水の需要又は水質、電気脱イオン化装置16の操作効率又は容量を含むが、それらに限定されない種々の操作パラメータ、又は水導電率、pH、温度、圧力、組成及び流量のような種々の操作条件のいずれかに基づき制御、調整されるか、調整可能であるように、水処理システム10のいずれかの弁32を作動させる信号を提供できる。本発明の1つの実施態様において、制御装置22は、制御装置22が、水処理システム10の操作パラメータを監視可能であるように、センサ20から信号を受信する。例えば、センサ20は、貯蔵システム12内の水導電率が、制御装置22によって監視されるように、貯蔵システム12内に位置決めされた水導電率センサであっても良い。制御装置22は、センサ20によって測定された水質に基づき、電気脱イオン化装置16に電界を提供する、電源24を制御する。操作中、制御装置22は、電気脱イオン化装置16に供給される電圧、電流、又は両方を増加、減少又は別の方法で調整できる。
【0043】
もう1つの実施態様において、制御装置22は、所定のスケジュールに従って、又は水質のような操作条件又は他のいずれかの操作パラメータに従って、電源24から電気脱イオン化装置16への印加電界の方向を逆にできる。例えば米国特許第4956071号明細書でGiuffridaらによって記載された極性反転は、本発明の範囲内に包含されると考えられる。
【0044】
制御装置22は、プログラミングによって設定されるか、設定可能であっても良いか、又は水処理システム10の耐用年数及び効率のいずれかを最大にするか、又は操作コストを減少させることが可能であるように自己調整できる。例えば、制御装置22は、電気脱イオン化装置16への印加電圧及び電流、電気脱イオン化装置の濃縮及び減耗区画を通る流量、又は電気脱イオン化装置若しくは前処理システム、又は両方から、ドレン26への放出水流の流量を調整する、使用者が選択可能な設定点、又は自己調整設定点を有するマイクロプロセッサを含むことができる。本発明のもう1つの実施態様において、制御装置22は、電気脱イオン化装置16のサイクル変更を調整可能であるように、プログラムできる。例えば、制御装置22は、使用地点に送り出される水の導電率のような、但しそれに限定されない測定水特性に基づき、電気脱イオン化装置を横切る印加電界の複数の反転間の期間を制御できる。もう1つの実施態様において、制御装置22は、貯蔵システム12内の水のランゲリア飽和指数(LSI)を算出でき、かつ算出LSI及び設定点の間の差に基づき、システム10の操作パラメータを調整できる。LSIは、例えばASTM D 3739により算出できる。それ故に、1つの実施態様において、処理システムは、処理液体、例えば約2未満、好ましくは約1未満、かつ更に好ましくは約ゼロ未満の低いLSIを有する処理水を生成するために液体を処理できる。他の場合において、処理システムは、約300μS/cm未満、好ましくは約220μS/cm未満、かつ更に好ましくは約200μS/cm未満の低い導電率を有する液体を生成できる。
【0045】
制御装置22は、不安定なオンオフ制御又はチャッタリングの可能性を減少させるために、不感帯制御部を組み込むことができる。不感帯は、必ずしも制御信号を引き起こすことのない、センサが提供する信号出力のある範囲を指す。不感帯は、本発明の実施態様によっては、センサのようなシステムの1つ以上の部品内に本質的に存在し得るか、又は制御システムの一部としてプログラムされ得るか、又は両方である。不感帯制御部は、測定運動を平滑にすることによって不必要な断続的操作を回避できる。かかる制御技術は、寿命又は水処理システム10の部品が故障する前の平均時間を長引かせることができる。使用できる他の技術には、多数決方式、時間平滑化若しくは時間平均化測定又はその組み合わせの使用を含む。
【0046】
従って、本発明の1つ以上の実施態様によれば、水処理システムは、通常、貯蔵システム12の第1領域内で大気圧を超える圧力で、水源に接続される入口点14からの水を保存する。貯蔵システム12は、通常、処理水を使用地点18へ移行する配水システムに流体的に接続される。水処理システム18は、貯蔵システム12の第2領域内で貯蔵システム12に導入される処理水を生成するために、何らかの望ましくない種の少なくとも一部を除去することによって、入口点14からの水を浄化する電気脱イオン化装置16も有することができる。貯蔵システム12の第1及び第2領域は、少なくとも1つの水質センサ、更に好ましくは、同様に電気脱イオン化装置16の操作パラメータを調整する、制御装置22に接続された一組の水質センサによって監視される。このように、制御装置22は、貯蔵システム12の第1及び第2領域を監視でき、かつ第1及び第2領域内の水の水特性を測定するセンサ又は一組のセンサ20によって測定された特性のいずれかに応じて電気脱イオン化装置16の操作を制御できる。
【0047】
本発明の更にもう1つの実施態様において、制御システム22は、センサ又は一組のセンサ20を介して、貯蔵システム12の第1及び第2領域内の水の水特性を監視及び/又は測定でき、かつ少なくとも1つの使用地点18へ流れる流量も監視及び/又は測定でき、かつ測定特性に基づき、電気脱イオン化装置16の操作パラメータを調整できる。例えば、流量が増加したことが使用地点18で測定又は判定される時、制御装置22は、使用地点18に流れる追加の需要を補うために、水を処理する電気脱イオン化装置16の操作パラメータを調整できる。他の場合において、制御装置22は、貯蔵システム12の第1及び第2領域内の容量、及び使用地点18によって要求される過去の需要に応じて、電気脱イオン化装置16の操作パラメータを調整できる。使用地点の過去の需要は、長期間にわたる、かかる使用地点での使用を監視することによって、判定できる。
【0048】
本発明のもう1つの実施態様によれば、制御装置22は、需要及び水質を監視し、かつ印加電圧の増加若しくは減少、又は電気脱イオン化装置16の電界反転間の期間のような電気脱イオン化装置の操作を調整することが可能な、適応又は予測アルゴリズムを組み込むことによって水処理システムの操作を規制する。例えば、制御装置22は、シャワーヘッドとなる使用地点18に供給するための、住居用途における早朝時間中の処理水の高い需要を予想する際の予測に使えても良い。
【0049】
本発明のもう1つの実施態様によれば、電気脱イオン化装置16は、水を処理する間、水素イオンを蓄積できる区画を含む。水素イオンは、1つの実施態様において、区画内を流れる水が、水素及びヒドロキシルイオンに少なくとも部分的に解離するように、分極現象を作ることができる電界が、印加される時に発生し得る。適切な操作条件で、水分解は、電流が限界電流密度を超えるレベルで電気脱イオン化装置を通過できるように、電界を印加することによって実行できる。水分解は、例えば米国特許第3165460号明細書でZangらが、米国特許第5503729号明細書でBatchelderらが、米国特許第5593563号明細書でDenoncourtらが、米国特許第5858915号明細書でGanziらが、米国特許第5679228号明細書で、Batchelderらが、米国特許第5679229号明細書で、Goldsteinらが、米国特許第5837124号明細書でSuらが、そして米国特許第6187162号明細書でMirが検討を加えている。もう1つの実施態様において、本発明は、印加された電界で、水が特定の区画内のみで分解されるように、限界電流密度が、かかる区画内のみに印加される電気脱イオン化装置を提供する。
【0050】
もう1つの実施態様によれば、本発明は、イオン捕捉(捕捉)区画を含む電気脱イオン化装置を提供する。捕捉区画は、特定のイオンが通過することを優先的に可能にする選択透過膜を含むことができる。膜は、アニオン選択膜であっても良く、かつ捕捉区画は、その両側面でアニオン選択膜と接することができる。本発明のもう1つの実施態様において、捕捉区画は、アニオン選択膜間で、捕捉区画の領域と共に配置された電気活性媒体を更に含む。電気活性媒体は、遊離イオン種をイオン結合できるイオン交換樹脂であっても良い。イオン種は、正又は負に帯電していても良く、かつ樹脂は、遊離イオン種を求引して結合する結合した荷電種を有しても良い。電気活性媒体は、アニオン交換樹脂又はカチオン交換樹脂、又はその混合物であっても良い。カチオン交換樹脂が、電気活性媒体中で優勢であるならば、例えば正に帯電したカチオン種のイオン結合により、高い保持比があるはずである。アニオン選択膜が、主にカチオン交換樹脂である電気活性媒体を取り囲むならば、正に帯電したカチオンの移動は、更に阻害される。このことは、負に帯電したアニオン種と比較して、かかる捕捉区画中で高い相対濃度の保持カチオンをもたらすはずである。それ故に、本発明の1つの実施態様において、電気脱イオン化装置16は、主にカチオン交換樹脂からなり、かつアニオン選択膜と接する電気活性媒体を含む区画内で、水を水素及びヒドロキシルイオンに分割するために操作される。本発明の幾つかの実施態様において、捕捉区画は、隣接収集区画を有する。かかる収集区画は、捕捉区画から移動できる移動アニオン種を収集できる。収集区間は、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂、又はその混合物であっても良い電気活性媒体を同様に有することができる。
【0051】
本発明のこれら及び他の実施態様の機能及び利点は、以下の実施例からより完全に理解されるであろう。次の実施例は、本発明の利益を示すことが意図されているが、本発明の全範囲を包含しない。
【実施例1】
【0052】
この実施例は、区画内で水素イオンを発生でき、かつ蓄積した電気脱イオン化装置を示す。この実施例で使用された電気脱イオン化装置の断面は、図3に概略的に示す。電気脱イオン化装置16は、電極区画38及び40の間に、合計で10の区画となる5つのセル対を有した。陰極区画38には、カチオン選択膜46が接した。隣接区画、濃縮区画36は、カチオン交換樹脂50及びアニオン交換樹脂52の混合物で満たされた。具体的には、電気活性媒体は、Rohm & Haas Company、Philadelphia、Pennsylvaniaから両方とも入手可能である約60%のAMBERLITE(登録商標)IRA458樹脂及び約40%のAMBERLITE(登録商標)SF120樹脂の混合床であった。陰極区画38にすぐ隣接する濃縮区画36には、カチオン選択膜46及びカチオン選択膜に対向するアニオン選択膜48と接する。濃縮区画36には、アニオン選択膜48及びカチオン選択膜46が接する減耗区画34がすぐ隣接した。減耗区画34は、濃縮区画36を含む混合床樹脂と組成が類似する、混合床樹脂からなった。区画34に隣接して、区画70及び72が位置決めされた。区画72は、アニオン選択膜48と接するカチオン交換樹脂50からなる捕捉区画であった。区画70は、区画34及び36内の樹脂と類似した濃度を有するイオン交換樹脂の混合床からなった。区画72の反対側には、第1減耗区画34と類似した組成のイオン交換樹脂の混合床からなる第2減耗区画34があった。電気脱イオン化装置16の残りの区画は、上記のような類似した順序で、減耗及び濃縮区画、並びに区画70及び72からなった。
【0053】
操作中、被処理水は、減耗区画34に導入され、かつ通常、濃縮水流である洗浄流体は、濃縮区画36内を流れた。第2洗浄流体は、区画70内に流れ、かつ濃縮区画からの流体と共に廃棄物として放出された。別個の流体が、区画70に流れ、かつ普通に収集され、かつ最終的に陽極区画に再導入された。陽極区画からの流体は、ドレンに放出された。印加電界の影響で、水は、区画72内で水素及びヒドロキシルイオンに分割された。区画72内のカチオン交換樹脂50は、正に帯電した水素イオンの輸送を阻害した。区画72によって境界を形成するアニオン選択膜48は、区画72からの水素イオンのいかなる移動も更に阻害した。本質的にカチオン交換樹脂からなり、かつアニオン選択膜と接する区画72内の電気活性媒体の配列が、水素イオン輸送を阻害しながら、隣接区画70へのヒドロキシルイオンの移動を促進するので、時間がたつと、水素イオン濃度は、ヒドロキシルイオン濃度に対して増加した。
【0054】
電気脱イオン化装置16は、約10Vから約20Vの印加電界によって操作された。被処理水は、約12psigの圧力で、セル当たり毎分約0.03リットルの率で導入された。表1及び2は、それぞれ約784μS/cm及び約775μS/cmの導電率を有する給水を使用して、それぞれ約0.23A及び約0.22Aによる、約10Vでの電気脱イオン化装置の操作中の種々の水流の測定されたパラメータを要約する。表3及び4は、それぞれ約680μS/cm及び約722μS/cmの導電率を有する給水を使用して、それぞれ約0.35A及び約0.32Aによる、約20Vでの電気脱イオン化装置の操作中の種々の水流の測定されたパラメータを要約する。
【0055】
表1−4に示したデータは、電気脱イオン化装置16の操作中の種々の水流の測定された特性を要約する。各表の最終の2行は、陽極区画から離れる水の測定された流体特性を記載する。具体的には、各表の最終の次の行に、給水が、陽極区画内に導入され、かつその陽極区画から離れる流体の測定された物理的特性が、記載されている。比較すると、最終行において、区画72からの流体は、陽極区画に導入され、かつその陽極区画から離れる流体の特性が、記載されている。データは、水素が、水分割から収集され、かつ電極区画に導入される区画72からの流体を使用すると、測定LSIは、区画72からの流体を使用せずに測定されたLSIよりも低かったことを示している。ゼロに近いLSIは、スケール付着可能性が低いことを示すので、このことは、重要である。それ故に、実施例は、本発明の使用により、電気脱イオン化装置内でのスケール付着可能性を減少できることを示している。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
当業者は、ここに記載された全てのパラメータ及び構成が、例示的なものであることが意図され、かつ実際のパラメータ及び構成が、本発明のシステム及び方法が使用される具体的な用途によって決まることを容易に認めるはずである。当業者は、定常の実験法の域を出ないものを使用するだけで、ここに記載された本発明の具体的な実施態様の多くの等価物を認識する又は確認できるはずである。従って、前述の実施態様は、専ら例として提示されること、並びに添付の請求項及びその等価物の範囲内で、本発明が具体的に記載された以外の方法で実施できることが理解されるべきである。例えば、電気脱イオン化装置に言及する場合、本発明のシステム及び技術は、電気脱イオン化装置、電気透析装置、及び場合によっては容量脱イオン化装置のような、但しそれらに限定されないいかなる電気化学装置にも適用できる又はそれらを利用する。本発明は、ここに記載された各特徴、システム、又は方法を対象とする。その上、2つ以上の特徴、システム、又は方法のいかなる組み合わせも、かかる特徴、システム、又は方法が互いに矛盾していないならば、本発明の範囲内であると考えられる。本発明は、液体として水を使用して記載されたが、そのように限定されるべきでない。例えば、処理水に言及する場合、他の流体が、本発明の方法に従うか、又はシステム内で処理できると考えられる。更に、水又は水の特性に関して調整、修正、測定又は稼働する本発明のシステムの部品又は方法のステップに言及する場合、本発明は、同様に適用できると考えられる。それ故に、処理する流体は、水を含む混合物である流体であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】入口点及び電気化学装置に流体的に接続された貯蔵システムを示す、本発明の1つ以上の実施態様による、水処理システムの工程流れ図である。
【図2】本発明の1つ以上の実施態様による、減耗及び濃縮区画を通る流体及びイオンの流れの方向を示す、典型的な電気脱イオン化装置を通る概略断面図である。
【図3】本発明の1つ以上の実施態様による、イオン捕捉区画を示す、電気脱イオン化装置を通る概略断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 水処理システム
12 貯蔵システム
14 入口点
16 電気化学装置
18 使用地点
20 センサ
22 制御装置
28 前処理システム
34 減耗区画
36 濃縮区画
38 電極区画
48 アニオン選択膜
50 カチオン交換樹脂
52 アニオン交換樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口点に流体的に接続された貯水槽と、
貯水槽に流体的に接続され、かつ少なくとも部分的に電気活性媒体で満たされ、かつ各側面でアニオン選択膜と接する区画を含む電気化学装置と、
貯水槽の少なくとも1つ及び電気化学装置に流体的に接続された配水システムとを含む水処理システム。
【請求項2】
配水システムに流体的に接続された使用地点を更に含む請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
水処理システムの少なくとも1つの操作パラメータを測定するセンサを更に含む請求項1に記載の水処理システム。
【請求項4】
貯水槽が加圧されることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
【請求項5】
電気化学装置の濃縮区画に流体的に接続された循環システムを更に含む請求項1に記載の水処理システム。
【請求項6】
電気活性媒体はカチオン交換樹脂を含む請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
電気活性媒体はイオン交換繊維を含む請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
カチオン交換樹脂とアニオン選択膜とを含むイオン捕捉区画を有する電気化学装置。
【請求項9】
イオン捕捉区画の下流に流体的に接続された陽極区画を更に含む請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項10】
イオン捕捉区画及び陽極区画の間に位置決めされた希釈区画を更に含む請求項9に記載の電気化学装置。
【請求項11】
イオン捕捉区画に隣接して位置決めされたアルカリ収集区画を更に含む請求項10に記載の電気化学装置。
【請求項12】
収集区画に隣接して位置決めされる第2希釈区画を更に含む請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項13】
第2希釈区画に隣接して位置決めされる濃縮区画を更に含む請求項12に記載の電気化学装置。
【請求項14】
希釈、濃縮、収集及び陽極区画の少なくとも1つを少なくとも部分的に満たすカチオン交換樹脂と、アニオン交換樹脂の混合物を更に含む請求項13に記載の電気化学装置。
【請求項15】
アニオン交換樹脂が実質的になく、かつ各側面でアニオン選択膜と接する電気活性媒体を含む区画を含む電気化学装置。
【請求項16】
本質的にカチオン交換樹脂と、アニオン選択膜とからなる区画を含む電気化学装置。
【請求項17】
アニオンの隣接区画への移動を促進しながら、カチオンの移動を阻害するために構築及び配列された区画を含む電気化学装置。
【請求項18】
第1減耗区画と、
第1減耗区画に隣接したカチオン交換樹脂を含むイオン捕捉区画と、
イオン捕捉区画に隣接して位置決めされたアルカリ収集区画と、
アルカリ収集区画に隣接して位置決めされた第2減耗区画とを含む電気化学装置を提供する電気化学装置。
【請求項19】
イオン捕捉区画に流体的に接続された陽極区画を更に含む請求項18に記載の電気化学装置。
【請求項20】
第1減耗区画と、イオン捕捉区画を分離するアニオン選択膜を更に含む請求項18に記載の電気化学装置。
【請求項21】
イオン捕捉区画と、アルカリ収集区画を分離するアニオン選択膜を更に含む請求項18に記載の電気化学装置。
【請求項22】
減耗区画と、濃縮区画を含む電気化学装置であって、減耗及び濃縮区画の少なくとも1つは、電気活性繊維フィルタを含む電気化学装置。
【請求項23】
電気活性繊維フェルトは、ポリマー結合剤中に弱イオン化種を含む請求項22に記載の電気化学装置。
【請求項24】
減耗区画と、濃縮区画と、減耗及び濃縮区画イオンの間に配置されたイオン捕捉区画とを含む電気化学装置を提供することと、
処理する液体を減耗区画に通すことと、
イオン捕捉区画内で水素イオンを収集することとを含む液体を処理する方法。
【請求項25】
水素イオンの少なくとも一部を、電気化学装置の電極区画に移行するステップを更に含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ヒドロキシルイオンの少なくとも一部が、イオン捕捉区画から移動することを促進するステップを更に含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
イオン選択膜及び電極区画に接する区画を含む電気化学装置を提供することと、
水を区画に導入することと、
区画内で水を水素及びヒドロキシルイオンに解離することと、
水素イオンの少なくとも一部を電極区画に移行することとを含む水を処理する方法。
【請求項28】
ヒドロキシルイオンの少なくとも一部が、イオン選択膜を通って移動することを可能にするステップを更に含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
水素イオンの少なくとも一部が、イオン選択膜を通って移動することを阻害するステップを更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
区画は、カチオン交換樹脂を少なくとも部分的に満たされる請求項27に記載の方法。
【請求項31】
カチオン交換樹脂を少なくとも部分的に満たされ、かつ各側面でアニオン選択膜と接する少なくとも1つの区画を含む電気化学装置を提供することを含む液体処理を容易にする方法。
【請求項32】
本質的にカチオン交換樹脂と、アニオン選択膜とからなる区画を含む電気化学装置を提供することを含む液体処理を容易にする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−512123(P2007−512123A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539947(P2006−539947)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037969
【国際公開番号】WO2005/049507
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(505146180)ユーエスフィルター・コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】