説明

水処理装置および水処理方法

【課題】処理水中に含まれる混入物(例えば、有機物など)を効果的に除去し得る水処理装置および水処理方法を提供する。
【解決手段】処理水中にマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生部43またはナノバブルを発生させるナノバブル発生部42と、マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の処理水を導入する第2槽15と、第2槽15内に導入される処理水と接触可能に設けられる、ポリビニルアルコールからなる担体16と、を備え、担体16は細孔を有するとともに、担体16上には微生物が固定化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理水から有機物等の混入物を除去することができる水処理装置および水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体から有機物などの物質を除去する技術が、様々な分野で用いられている。例えば、廃液処理においては、廃水中の様々な物質を除去するために、微生物の物質分解能力を利用した技術が用いられている。
【0003】
例えば、従来から、微生物固定化ゲル担体を用いる廃水処理装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。当該廃水処理装置は、浸漬膜濾過方式を採用した汚泥分離設備と、沈殿槽方式を採用した汚泥分離設備とを併用している。なお、当該廃水処理装置では、上記微生物固定化ゲル担体として、例えばポリビニルアルコール系含水ゲルが用いられている。
【0004】
また、従来から、異なる機能を有する複数の槽を用いる廃水処理方法が用いられている(例えば、特許文献2参照)。当該廃水処理方法では、担体が流動している曝気槽、第1の活性汚泥槽、第2の活性汚泥槽、沈殿槽の順番で、廃水が様々な処理を受けている。なお、当該廃水処理方法では、上記担体として、例えばポリビニルアルコール架橋ゲル担体が用いられている。
【0005】
また、従来から、微生物が固定化された担体が投入された廃水処理槽、および当該廃水処理槽から流出する処理水を濾過する膜モジュールを用いる廃水処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。なお、当該廃水処理装置では、上記担体としてポリビニルアルコール系含水ゲルが用いられている。
【0006】
一方、従来から、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な作用があることが知られており、現在、このような気泡を様々な分野に利用する試みがなされている。
【0007】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、マイクロバブルの一部は水中にて収縮して、最後には消滅してしまうマイクロバブルもある。一方、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0008】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。より具体的には、特許文献4には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献4には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種対象を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献4には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献4では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0009】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0010】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献6参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。なお、マイクロバブルを利用した洗浄装置も従来から用いられており、当該装置は、機械油等が付着した金属の洗浄、牡蠣の洗浄、または入浴時における人体の洗浄等に利用されている。
【特許文献1】特開2007−185598号公報(平成19年7月26日公開)
【特許文献2】特開2001−145894号公報(平成13年5月29日公開)
【特許文献3】特開平11−42497号公報(平成11年2月16日公開)
【特許文献4】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献5】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献6】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の水処理装置および水処理方法は、処理水内に含まれる混入物(例えば、有機物など)を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0012】
例えば、廃水を処理することを目的とした従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、微生物が固定化された担体に対して空気を供給する場合には、例えば粒子径の大きなバブルとして空気が供給されている。その結果、微生物に対して十分量の空気を供給することができないので、上記担体表面に十分量の微生物(例えば、好気性微生物)が繁殖することができない。なお、上記担体に細孔が設けられている場合には当該問題は更に深刻である。つまり、バブルの粒子径が大きいために当該バブルが細孔の内部に入ることができず、その結果、細孔の内部に微生物が繁殖することができない。その結果、従来の水処理方法および水処理方法は、担体の表面に固定化できる微生物の量が少ないので、処理水内に含まれる混入物を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0013】
また、上述したように、従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、担体上に固定化された微生物に対して十分量の空気を供給することができなかったので、当該微生物(例えば、好気性微生物)が有する物質分解能力を十分に発揮させることができない。なお、上記担体に細孔が設けられている場合には当該問題は更に深刻であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。その結果、従来の水処理方法および水処理方法は、担体の表面に固定化されている微生物を十分には活性化できないので、処理水内に含まれる混入物を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0014】
また、上記従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法は、基本的に微生物の物質分解能力のみに依存したものであるので、有機物などを十分に酸化するためには、大容量の微生物槽が必要である。その結果、従来の水処理装置および水処理方法は、装置が大型化するとともに莫大なコストを必要とするという問題点を有している。
【0015】
また、上記従来の微生物を用いた水処理装置および水処理方法では、担体が槽内で沈殿することを防止するために、様々な攪拌装置を用いている。しかしながら、例えば槽内の担体量を増加させればこれらの攪拌装置では、担体を十分に攪拌することができない。つまり、従来の水処理装置および水処理方法は、特に担体の量が多くなればなるほど、十分には担体を攪拌することができないという問題点を有している。
【0016】
また、上述したように、従来の微生物、またはバブルを用いた水処理装置および水処理方法は、処理水中の混入物を除去する能力が十分ではない。したがって、従来の水処理装置および水処理方法は、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)またはパーフルオロオクタン酸(PFOA)などの有機フッ素化合物に代表される難分解性物質を効果的に除去することができないという問題点を有している。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去し得る水処理装置および水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜6)を見出し、本願発明を完成させるに至った。つまり、
1)処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを含有させた後、当該処理水を、細孔を有するポリビニルアルコールからなる担体が充填された槽内に導入する。上記マイクロナノバブルまたはナノバブルは上記担体に付着することにより、当該単体の表面に固定化されている微生物がより活性化し、その結果、処理水中に含まれている有機物などの処理効率(例えば、分解効率)が向上すること、
2)処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを含有させた後、当該処理水を、細孔を有するポリビニルアルコールからなる担体が充填された槽内に導入する。なお、当該担体の表面上には、微生物を繁殖させておく。そして、上記槽内の状態を、好気的な状態または嫌気的な状態に交互に変化させることによって槽内に好気性微生物と嫌気性微生物の両方を増殖させることが可能となり、その結果、処理水中に含まれている有機物などの処理効率(例えば、分解効率)が向上すること。そして、このとき上記担体は細孔を有するものなので、担体の表層に主として好気性微生物が繁殖するとともに、上記担体の細孔内に主として嫌気性微生物が繁殖する。つまり、好気性菌と嫌気性菌とを同時に多量に増殖させることができるので、処理水中に含まれている有機物などの処理効率を更に向上させることができること、
3)マイクロナノバブルまたはナノバブルによって活性化した好気性微生物、および嫌気性微生物を同時に大量に増殖させることにより、処理設備から発生する余剰汚泥の量が、従来の処理設備と比較して少ないこと、
4)ポリビニルアルコールからなる担体は、比重が約1.025(粒子径は、例えば4mmなどに設定可能)である。また、マイクロナノバブルまたはナノバブルは当該担体の表面に付着し易い。そして、上記担体の表面にバブルが付着すれば、担体とバブルとの複合体の比重が1に近くなり、その結果、当該複合体が容易に処理水中を浮遊することが可能になる。換言すれば、上記複合体は槽の底部に沈殿し難いとともに、処理水の表面に浮上し難い。その結果、小さな撹拌エネルギーによって、槽内の担体を流動させることが可能になること、
5)有機フッ素系化合物(例えば、PFOS、PFOA)を合理的に処理する方法として、従来から活性炭吸着法が存在する。しかしながら、処理水中には有機フッ素化合物のみならず他の有機物が存在するので、当該方法では活性炭が短期間で破過し、その結果、活性炭を短期間で取替える必要があるという問題点を有している。そこで、有機フッ素化合物含有水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを含有させた後、当該有機フッ素化合物含有水を細孔を有するポリビニルアルコールからなる担体が充填された槽内に導入する。これによって、処理水中の有機フッ素化合物以外の有機物が処理(例えば、分解)され、その結果、主として有機フッ素化合物を吸着するための活性炭の寿命を延ばすことができること、
6)マイクロナノバブルおよびナノバブルはフリーラジカルを発生させることが可能であり、当該フリーラジカルによって有機物を酸化処理することが可能になる。また、マイクロナノバブルおよびナノバブルは微生物を活性化させることが可能であり、当該微生物によって処理水中の混入物(例えば、有機フッ素化合物などの有機物)を効率よく生物処理することができる。そして、上記酸化処理および生物処理を組み合わせることによって、処理水中に含まれている有機物などの処理効率を更に向上させることができること。
【0019】
本発明の水処理装置は、上記課題を解決するために、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生手段と、前記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の前記処理水を導入する処理槽と、前記処理槽内に導入される前記処理水と接触可能に設けられる、ポリビニルアルコールからなる担体と、を備え、前記担体は細孔を有するとともに、前記担体上には微生物が固定化されていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後、当該処理水が上記担体と接触する。このとき、上記担体には細孔が設けられているので、担体の表面積を増加させることができる。換言すれば、微生物が生育するための足場を増加させることができる。また、上記担体は、ポリビニルアルコールからなるものである。ポリビニルアルコールは微生物との付着性および接着性が良いので、上記構成によれば、担体の表面上に多くの微生物を固定化することができる。つまり、上記構成によれば、担体表面に、より多くの微生物を、より確実に固定化することができる。
【0021】
また、上記構成によれば、処理水中にはマイクロナノバブルまたはナノバブルが含有されている。当該バブルはサイズが小さいので、上記細孔内に容易に拡散することができる。また、マイクロナノバブルおよびナノバブルは、ポリビニルアルコールからなる担体に吸着しやすい性質を有している。したがって、上記構成によれば、担体表面に吸着したバブルによって、微生物に対して十分な気体(例えば、酸素など)を供給することができる。したがって、上記構成によれば、微生物の増殖活性および物質分解活性を上昇させることができる。
【0022】
また、上述したように、マイクロナノバブルおよびナノバブルは、ポリビニルアルコールからなる担体に吸着し易い性質を有している。ポリビニルアルコールの比重は約1.025であるので、当該担体に気体が付着することによって、当該担体と気体との複合体の比重は、1に近くなる。つまり、上記複合体は、上記処理槽の底部に沈降し難い性質を示す。したがって、上記構成によれば、担体を容易に攪拌することができるので、当該担体の表面上に固定化された微生物に対して、良好に気体を供給することができるとともに、処理槽内に導入された処理水を嫌気性にした場合には、微生物の生育環境を容易に嫌気性条件に変更することができる。
【0023】
また、上記構成によれば、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルが発生する。マイクロナノバブルおよびナノバブルはフリーラジカルを発生することができるので、上記構成によれば、フリーラジカルによって、処理水中に含有される混入物を酸化分解することができる。
【0024】
以上のことから、上記構成によれば、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0025】
本発明の水処理装置では、前記細孔の孔径は、略20μmであることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、上記担体に設けられる細孔の孔径が小さい。したがって、上記構成によれば、担体の表面積を増加させることができるので、当該担体の表面に固定化することができる微生物の量を増加させることができる。その結果、上記構成によれば、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0027】
本発明の水処理装置では、前記処理槽内には、当該処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する第1散気手段と、当該処理槽内に導入された前記処理水を攪拌して水流を発生させるための攪拌手段とが備えられていることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、第1散気手段から吐出された気体、および攪拌手段によって生じた水流によって、上記処理槽内の担体を容易に攪拌することができる。つまり、上記処理槽内を好気的条件にする場合には、上記第1散気手段から気体を吐出することによって、上記処理水に対して気体(例えば、酸素)を供給することができると共に、上記処理槽内の担体を攪拌することができる。一方、上記処理槽内を嫌気的条件にする場合には、上記攪拌手段によって、上記処理槽内の担体を攪拌することができる。なお、上記処理槽内を嫌気的条件に設定する場合には、例えば、当該処理槽内への給気を停止すればよい。処理槽内の酸素は微生物によって消費されるので、その結果、処理槽内は徐々に嫌気的条件に変化する。また、上記処理槽内を好気的条件にするとともに上記処理槽内の流動状態を最大にする場合には、上記第1散気手段および上記攪拌手段の両方を稼動させればよい。これによって、例えば処理槽内への工場廃水などの流入濃度が急激に増加したとしても、上記処理槽内の処理効率を急激に向上させることによって、上記工場廃水を効率よく処理することができる。以上のように、上記構成によれば、処理槽内の処理水が好気的条件であっても嫌気的条件であっても、処理槽内の担体を容易に攪拌することができる。しかも、上記担体は、ポリビニルアルコールによって形成されている。ポリビニルアルコールの表面には、好気性微生物および嫌気性微生物の両方を、固定化および増殖させることが可能である。したがって、上記構成によれば、上記担体の表面上に固定化された微生物の物質分解能力を最大限に引き出すことができるとともに、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0029】
本発明の水処理装置では、前記第1散気手段および前記攪拌手段は共に、円筒形状のドラフト内に設けられており、前記ドラフトの2つの開口は、それぞれ、前記処理槽の底面、または当該処理槽内に導入された前記処理水の水面に対向するように配置されていることが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、第1散気手段および攪拌手段によって発生される水流の方向を規定することができる。その結果、処理槽内の担体を、より効果的に攪拌することができる。
【0031】
本発明の水処理装置では、前記ドラフト内にて、前記攪拌手段は、前記第1散気手段よりも前記処理槽の底面側に配置されていることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、第1散気手段によって、上記ドラフト内に上向きの水流を発生させることができる。そしてこのとき、上記攪拌手段は上記第1散気手段よりも下側に配置されているので、上記第1散気手段によって発生した水流が、上記攪拌手段によって妨げられることがない。また、上記攪拌手段によって上向きの水流を発生させれば、上記第1散気手段によって生じる水流を増強することができる。一方、上記攪拌手段によって下向きの水流を発生させれば、上記第1散気手段によって生じる水流とは逆向きの水流を発生させることができる。したがって、上記構成によれば、上記処理槽内に効率よく水流を発生させることができる。
【0033】
本発明の水処理装置では、前記攪拌手段は、前記処理槽の底面側に向かって水流を発生させるものであることが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、上記第1散気手段によって生じる水流とは逆向きの水流を発生させることができる。したがって、上記構成によれば、上記処理槽内(特に、処理槽の底部側)に効率よく水流を発生させることができる。
【0035】
本発明の水処理装置では、前記攪拌手段は、水中エアレータであることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、処理槽内の処理水を、水流による攪拌および空気曝気による攪拌の両方によって攪拌することができる。その結果、処理水の攪拌効果を増すことができるとともに、処理水中に気体を供給することができる。
【0037】
本発明の水処理装置では、前記処理槽内に導入された前記処理水の酸化還元電位を測定するための酸化還元電位計と、前記酸化還元電位計の測定結果に基づいて、前記第1散気手段によって吐出される気体量、および前記攪拌手段によって発生される水流量を調節するためのシーケンサーと、を備えることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、酸化還元電位計によって上記処理槽内に導入された処理水の酸化還元電位が測定される。その結果、上記処理水が好気性条件または嫌気性条件の何れの状態であるか知ることができる。そして、当該測定結果に基づいて、上記シーケンサーを介して上記第1散気手段および上記攪拌手段の動作を制御すれば、上記処理槽内を好気性条件または嫌気性条件の何れかに設定することができる。例えば、上記処理槽内を好気的条件に設定する場合には、上記第1散気手段によって気体(例えば、酸素など)を吐出すればよい。一方、上記処理槽内を嫌気的条件に設定する場合には、例えば、上記第1散気手段の動作を停止するとともに、上記攪拌手段によって水流を発生させればよい。
【0039】
本発明の水処理装置では、前記処理槽には蓋が備えられていることが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、上記処理槽内の処理水を外部環境から隔離することができる。例えば、上記処理槽内を嫌気的条件に設定する場合には、処理槽内の嫌気的条件を、より厳密に制御することができる。
【0041】
本発明の水処理装置では、前記担体は、前記処理槽内を流動可能に備えられていることが好ましい。
【0042】
上記構成によれば、上記担体と上記処理水とが偏りなく接触する。また、上記構成によれば、上記担体の表面上にマイクロナノバブルまたはナノバブルが付着し易い。つまり、上記構成によれば、上記担体の表面を、より確実に好気的条件にすることができるので、上記担体の表面上に、より多くの好気性微生物を繁殖させることができる。なお、主として好気性微生物を用いて処理水を処理する場合、処理水の流入負荷(例えば、BOD負荷またはCOD負荷など)を高く設定することができる。その結果、上記構成によれば、より効果的に処理水を処理することができる。
【0043】
本発明の水処理装置では、前記担体の一部は、前記処理槽内を流動可能に備えられ、前記担体の残りは、前記処理槽内に固定化されて備えられていることが好ましい。
【0044】
上記構成によれば、流動可能である担体は処理水と偏りなく接触し、固定化されている担体は、処理水との接触において偏りを生じる。つまり、流動可能である担体は、より多くの酸素と接触するので、当該担体の表面上には、主として好気性微生物が繁殖する。一方、固定化されている担体は、酸素との接触が少なくなるので、当該担体の表面(特に、細孔内の担体表面)上には、主として嫌気性微生物が増殖する。つまり、上記構成によれば、より効果的に上記処理水を好気性微生物および嫌気性微生物の両方にて処理することができる。つまり、上記構成によれば、嫌気性微生物を、より多く繁殖させることができる。
【0045】
本発明の水処理装置では、前記処理槽の底面上に、当該処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する第2散気手段が備えられていることが好ましい。
【0046】
上記構成によれば、第2散気手段から吐出される、気体またはバブル含有水によって、上記処理槽の底部に水流を発生させることができる。つまり、上記処理槽の底部に存在する担体を効果的に攪拌することができる。そして、担体の表面上に固定化されている微生物に対してより多くの酸素を供給することができるので、より効果的に、処理水中に含有される混入物を処理することができる。
【0047】
本発明の水処理装置では、前記バブル発生手段が、水中ポンプ型バブル発生機であることが好ましい。
【0048】
水中ポンプ型バブル発生機は、そのバブル発生機構故に、例えば最もサイズの大きいマイクロナノバブルを発生させることができる。また、水中ポンプ型バブル発生機は、必要とする空気量が最も多いので、多量のバブルを発生させることができる。したがって、上記構成によれば、処理水中に多量のマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させることができるので、より好気的条件下にて処理水中に含まれる混入物を処理することができる。
【0049】
本発明の水処理装置では、前記処理槽の横断面の形状が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、前記処理槽の縦方向の深さが、c(m)にて規定され、c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることが好ましい。
【0050】
上記構成によれば、上記処理槽内の処理水を効果的に流動させることができるので、上記担体が沈殿することを防止することができる。その結果、より効果的に、処理水中に含有される混入物を処理することができる。
【0051】
本発明の水処理装置では、前記処理槽には、当該処理槽内に導入された処理水を排出するための開口が設けられ、前記開口は、濾過フィルターによって前記担体から隔離されていることが好ましい。
【0052】
上記構成によれば、上記処理槽内の担体が、上記開口を介して処理槽外へ流出することを防止することができる。
【0053】
本発明の水処理装置では、前記濾過フィルターに向かって、第3散気手段によって気体が吐出されていることが好ましい。
【0054】
上記構成によれば、上記フィルターの表面に付着した上記担体を剥離させることができるので、上記処理槽内の処理済の処理水を、効率よく処理槽外へ流出させることができる。
【0055】
本発明の水処理装置では、前記処理槽の内側面には、当該処理槽の横断面の中央に向かって突出した凸部が設けられ、前記開口は、前記凸部よりも上側に設けられていることが好ましい。
【0056】
上記構成によれば、上記凸部によって、上記処理槽内における処理水の流動を妨げることができる。換言すれば、上記凸部を境界として、上記処理槽内の環境を好気的条件または嫌気的条件に分けることができる。例えば、上記凸部よりも上側の処理槽内の環境を好気的条件に設定することができるとともに、上記凸部よりも下側の処理槽内の環境を嫌気的条件に設定することができる。その結果、上記処理槽の上側に好気性微生物を増殖させることができるとともに、上記処理槽の下側に嫌気性微生物を増殖させることができる。そして、好気性微生物および嫌気性微生物の両方を繁殖させることにより、本発明の水処理装置によって処理することができる混入物の種類が多くなるとともに、嫌気性微生物を繁殖させることによって微生物汚泥の消化が起こり、その結果、余剰汚泥の発生を少なくすることができる。また、上記構成によれば、処理水の流動方向を変化させることができるので、処理槽に設けられた開口から上記担体が流出することを防止することができる。
【0057】
本発明の水処理装置では、前記凸部の縦断面の形状は、三角形であることが好ましい。
【0058】
上記構成によれば、上記凸部によって、上記処理槽内における処理水の流動を妨げることができる。
【0059】
本発明の水処理装置では、前記処理槽内の前記処理水が導入される急速ろ過塔または活性炭吸着塔が備えられていることが好ましい。
【0060】
上記構成によれば、処理水中に含有される混入物を、より確実に除去することができる。例えば、急速ろ過塔の後に活性炭吸着塔を連結することが好ましい。この場合、活性炭吸着塔に処理水が導入される前に、当該処理水中の浮遊物質を予め除去することができる。つまり、活性炭表面に付着する浮遊物質を少なくすることができる。そして、これによって、活性炭吸着塔の寿命を延ばすことができる。また、有機フッ素化合物などの難分解性物質は、活性炭吸着塔に吸着されるので、処理水中に含有された混入物を、より効果的に除去することができる。
【0061】
本発明の水処理方法は、上記課題を解決するために、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生工程と、前記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の前記処理水を処理槽内に導入する導入工程と、前記処理槽内に導入される前記処理水とポリビニルアルコールからなる担体とを接触させる接触工程と、を有し、前記担体は細孔を有するとともに、前記担体上には微生物が固定化されていることを特徴としている。
【0062】
上記構成によれば、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後、当該処理水が上記担体と接触する。このとき、上記担体には細孔が設けられているので、担体の表面積を増加させることができる。換言すれば、微生物が生育するための足場を増加させることができる。また、上記担体は、ポリビニルアルコールからなるものである。ポリビニルアルコールは微生物との付着性および接着性が良いので、上記構成によれば、担体の表面上に多くの微生物を固定化することができる。つまり、上記構成によれば、担体表面に、より多くの微生物を、より確実に固定化することができる。
【0063】
また、上記構成によれば、処理水中にはマイクロナノバブルまたはナノバブルが含有されている。当該バブルはサイズが小さいので、上記細孔内に容易に拡散することができる。また、マイクロナノバブルおよびナノバブルは、ポリビニルアルコールからなる担体に吸着しやすい性質を有している。したがって、上記構成によれば、担体表面に吸着したバブルによって、微生物に対して十分な気体(例えば、酸素など)を供給することができる。したがって、上記構成によれば、微生物の増殖活性および物質分解活性を上昇させることができる。
【0064】
また、上述したように、マイクロナノバブルおよびナノバブルは、ポリビニルアルコールからなる担体に吸着し易い性質を有している。ポリビニルアルコールの比重は約1.025であるので、当該担体に気体が付着することによって、当該担体と気体との複合体の比重は、1に近くなる。つまり、上記複合体は、上記処理槽の底部に沈降し難い性質を示す。したがって、上記構成によれば、担体を容易に攪拌することができるので、当該担体の表面上に固定化された微生物に対して、良好に気体を供給することができるとともに、処理槽内に導入された処理水を嫌気性にした場合には、微生物の生育環境を容易に嫌気性条件に変更することができる。
【0065】
また、上記構成によれば、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルが発生する。マイクロナノバブルおよびナノバブルはフリーラジカルを発生することができるので、上記構成によれば、フリーラジカルによって、処理水中に含有される混入物を酸化分解することができる。
【0066】
以上のことから、上記構成によれば、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0067】
本発明の水処理方法では、前記細孔の孔径は、略20μmであることが好ましい。
【0068】
上記構成によれば、上記担体に設けられる細孔の孔径が小さい。したがって、上記構成によれば、担体の表面積を増加させることができるので、当該担体の表面に固定化することができる微生物の量を増加させることができる。その結果、上記構成によれば、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0069】
本発明の水処理方法は、前記処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する気体吐出工程と、前記処理槽内に導入された前記処理水を攪拌する攪拌工程と、を有することが好ましい。
【0070】
上記構成によれば、気体吐出工程および攪拌工程によって生じた水流によって、上記処理槽内の担体を容易に攪拌することができる。つまり、上記処理槽内を好気的条件にする場合には、上記気体吐出工程によって、上記処理水に対して気体(例えば、酸素)を供給することができると共に、上記処理槽内の担体を攪拌することができる。一方、上記処理槽内を嫌気的条件にする場合には、上記攪拌工程によって、上記処理槽内の担体を攪拌することができる。なお、上記処理槽内を嫌気的条件に設定する場合には、例えば、当該処理槽内への給気を停止すればよい。処理槽内の酸素は微生物によって消費されるので、その結果、処理槽内は徐々に嫌気的条件に変化する。また、上記処理槽内を好気的条件にするとともに上記処理槽内の流動状態を最大にする場合には、上記気体吐出工程および上記攪拌工程の両工程を用いればよい。これによって、例えば処理槽内への工場廃水などの流入濃度が急激に増加したとしても、上記処理槽内の処理効率を急激に向上させることによって、上記工場廃水を効率よく処理することができる。以上のように、上記構成によれば、処理槽内の処理水が好気的条件であっても嫌気的条件であっても、処理槽内の担体を容易に攪拌することができる。しかも、上記担体は、ポリビニルアルコールによって形成されている。ポリビニルアルコールの表面には、好気性微生物および嫌気性微生物の両方を、固定化および増殖させることが可能である。したがって、上記構成によれば、上記担体の表面上に固定化された微生物の物質分解能力を最大限に引き出すことができるとともに、処理水中に含まれる混入物を効果的に除去することができる。
【0071】
本発明の水処理方法では、前記気体吐出工程は、前記処理水に対して気体を吐出する吐出工程と、前記処理水に対して気体を吐出しない不吐出工程とを交互に繰り返すことが好ましい。
【0072】
上記構成によれば、上記担体がポリビニルアルコールによって形成されているとともに、当該担体には細孔が設けられている。ポリビニルアルコールの表面には、好気性微生物および嫌気性微生物の両方が固定化できるとともに、固定化された両微生物は、当該担体上で増殖することができる。また、上記構成によれば、サイズの小さなバブルを用いるので、当該バブルは上記細孔内に容易に拡散することができる。従来技術では、担体に細孔を設けたとしても当該細孔内では主として嫌気性微生物が繁殖していた。一方、本願発明では、上記細孔内にまで、好気性微生物を繁殖させることができる。したがって、上記構成によれば、担体の表面上に固定化される微生物の量を増加させることができるので、処理水中に含まれる混入物をより効果的に処理することができる。また、好気性部生物菌と嫌気性微生物との両方を処理槽内に高濃度に繁殖させることができるので、様々な種類の混入物を処理することができる。また、嫌気性微生物を繁殖させることができるので、微生物汚泥の消化が起こり、これによって余剰汚泥の発生を少なくすることができる。
【0073】
本発明の水処理方法では、前記接触工程の後に、前記処理水を急速ろ過塔にかける濾過工程、または前記処理水を活性炭吸着塔にかける吸着工程を有することが好ましい。
【0074】
上記構成によれば、処理水中に含有される混入物を、より確実に除去することができる。例えば、上記構成は、濾過工程の後に吸着工程を備えるものであることが好ましい。この場合、活性炭吸着塔に処理水が導入される前に、当該処理水中の浮遊物質を予め除去することができる。つまり、活性炭表面に付着する浮遊物質を少なくすることができる。そして、これによって、活性炭吸着塔の寿命を延ばすことができる。また、有機フッ素化合物などの難分解性物質は、活性炭吸着塔に吸着されるので、処理水中に含有された混入物を、より効果的に除去することができる。
【0075】
本発明の水処理方法では、前記処理水は、有機フッ素化合物含有廃水、工業用水、工場廃水、工場廃水処理水、または上水であることが好ましい。
【0076】
上記構成によれば、処理水中に含有される混入物を効果的に除去することができる。
【発明の効果】
【0077】
本発明の水処理装置は、以上のように、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生手段と、上記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の上記処理水を導入する処理槽と、上記処理槽内に導入される上記処理水と接触可能に設けられる、ポリビニルアルコールからなる担体と、を備え、上記担体は細孔を有するとともに、上記担体上には微生物が固定化されているものである。
【0078】
また、本発明の水処理方法は、以上のように、処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生工程と、上記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の前記処理水を処理槽内に導入する導入工程と、上記処理槽内に導入される上記処理水とポリビニルアルコールからなる担体とを接触させる接触工程と、を有し、上記担体は細孔を有するとともに、上記担体上には微生物が固定化されている方法である。
【0079】
それゆえ、上記担体は処理槽内での流動性に優れているので、小さな攪拌力にて上記担体を攪拌することができるという効果を奏する。また、上記担体は高含水性であるとともに酸素透過性に優れており、しかも当該担体には細孔が設けられているので、担体上に多くの微生物を固定化することができる。しかも、上記処理槽内に導入される処理水中にはマイクロナノバブルまたはナノバブルなどのサイズの小さいバブルが含有されているので、当該バブルは容易に上記細孔内に容易に拡散することができる。その結果、上記担体の表面上に固定化された微生物の量を多くすることができる、換言すれば、担体上に固定化された微生物の増殖を活発にすることができるとともに、当該微生物の物質分解能力を最大限に引き出すことができるという効果を奏する。また、本願発明は、廃水などの処理工程にて発生する余剰汚泥の量を少なくすることができるという効果を奏する。また、上記担体は化学的に架橋された構造によって不溶化しているので、担体自体が生分解を受け難いという効果を奏する。そして、本願発明は上述したような優れた効果を奏するので、廃水などの処理能力を、従来の活性汚泥法の処理能力の2〜3倍にまで高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
〔実施の形態1〕
図1に、本実施の形態の水処理装置を示す。
【0081】
本実施の形態の水処理装置は、第1槽1、ナノバブル発生部42(バブル発生手段)、および第2槽15(処理槽)を備えている。以下に、各構成について説明する。
【0082】
本実施の形態の水処理装置では、流入管23を介して、処理水としての工場廃水44が第1槽1内に導入される。
【0083】
本実施の形態の水処理装置では、上記処理水として工場廃水を用いるが、これに限定されない。上記処理水としては、例えば、工場廃水、有機フッ素化合物含有廃水、工業用水、工場廃水処理水、地下水または上水(水道水)を用いることが好ましい。上記処理水として工場廃水を用いる場合には、例えば、有機物としての生物学的酸素要求量が300ppm以上、かつ化学的酸素要求量が200ppm以上の工場廃水を用いることが可能である。本実施の形態の水処理装置は、処理水内に含まれる混入物の除去効果が高いので、上述したような工場廃水も処理することができる。
【0084】
次いで、上記第1槽1内に導入された処理水中に、ナノバブル発生部42によってマイクロナノバブルまたはナノバブルが発生する。以下に、ナノバブル発生部42について説明する。
【0085】
ナノバブル発生部42は、第1気体せん断部3を有する気液混合循環ポンプ2(過流ポンプ)、第2気体せん断部4、第3気体せん断部6、電気ニードルバルブ9などを含んでいる。
【0086】
まず、管8を介して気体(例えば、酸素など)が第1気体せん断部3中に供給されるとともに、管7を介して処理水が第1気体せん断部3中に供給される。第1気体せん断部3中の気体と処理水とは、気液混合循環ポンプ2によって混合・せん断され、その結果、上記気体からなるマイクロバブルおよびマイクロナノバブルが形成される。
【0087】
上記気液混合循環ポンプ2は高揚程のポンプであればよく、適宜公知のポンプを用いることができる。具体的には、上記気液混合循環ポンプ2は、揚程40m以上の高揚程のポンプ、換言すれば4kg/cm以上の圧力で気液混合物を押し出すことができるポンプであることが好ましい。上記構成によれば、多量のマイクロバブルを作製することができる。さらに、気液混合循環ポンプ2は、2ポールを有するポンプであることが好ましい。ポンプには、2ポールを有するポンプと4ポールを有するポンプとが存在し、2ポールを有するポンプの方が、4ポールを有するポンプと比較してトルクが安定している。したがって、より安定に多量のマイクロバブルを作製することができる。
【0088】
第1気体せん断部3の形状は特に限定されないが、当該第1気体せん断部3中にて回転せん断流を効率よく発生させるためにも、円筒形の流路を有するものであることが好ましい。なお、当該流路中を、上記バブル含有水が通過する。
【0089】
第1気体せん断部3中の気体および処理水には気液混合循環ポンプ2によって圧力がかけられ、その結果、第1気体せん断部3中に、処理水および気体の混相旋回流が発生する。更に詳細には、気液混合循環ポンプ2にはインペラと呼ばれる羽根が備えられており、当該羽根を高速回転させることによって、混相旋回流が形成される。上記第1気体せん断部3の中心部には、上記混相旋回流が高速にて旋回する結果生じる気体空洞部が形成される。そして、気液混合循環ポンプ2によって更に気体空洞部に圧力を加えることによって、気体空洞部は竜巻状の細長い形状になる。その結果、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。なお、上記気体空洞部内は負圧となるので、当該負圧を利用すれば、外部から当該気体空洞部に対して気体を自給することが可能になる。
【0090】
上記管8を介して、上記気体空洞部に気体(例えば、酸素など)を自給させながら混相旋回流を高速旋回させることによって、上記混相旋回流を切断・粉砕することができる。なお、切断・粉砕は、第1気体せん断部3の出口近傍における、第1気体せん断部3の内外の気液混合物の旋回速度の差によって生じる。
【0091】
上記回転せん断流の回転速度は特に限定されないが、500〜600回転/秒であることが好ましい。なお、上記回転せん断流の回転速度は、上記羽根(インペラ)の回転速度を調節することによって設定することができる。上記構成によれば、上記第1気体せん断部3によって、多量のマイクロバブルを作製することができる。
【0092】
すなわち、第1気体せん断部3において、流体力学的に気液混合物の圧力を制御することによって負圧形成部から気体(例えば、酸素など)を吸入し、気液混合循環ポンプ2によって上記気液混合物を高速流体運動させることによって負圧部を形成し、これによって、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、気液混合循環ポンプ2によって処理水と気体とを効果的に自給混合溶解し、気液混合物を圧送することによって、マイクロバブル白濁水を製造することができる。そして、第1気体せん断部3にて作製されたマイクロバブルは、管を介して第2気体せん断部4に圧送される。つまり、上記マイクロバブル白濁水に圧力をかけた状態にて、当該マイクロバブル白濁水を第2気体せん断部4内に送り込む。このとき気液混合循環ポンプ2は高揚程のポンプであるので、揚程が40m以上であれば、4kg/cm以上の圧力をかけた状態にて、マイクロバブル白濁水を第2気体せん断部4内に送り込むことができる。
【0093】
第2気体せん断部4の形は特に限定されないが、当該第2気体せん断部4中にて回転せん断流を更に細くするためにも、円筒形の流路を有するものであることが好ましい。
【0094】
上記構成によれば、第1気体せん断部3にて形成された回転せん断流を第2気体せん断部4に圧送することによって、第2気体せん断部4中にて、上記第1気体せん断部3にて形成された回転せん断流をより細くすることができるとともに、回転せん断流の回転速度を上昇させることができる。その結果、第1気体せん断部3にて形成されたマイクロバブルを用いてナノバブルおよびマイクロナノバブルを作製することができるとともに、超高温の極限反応場を形成することができる。
【0095】
極限反応場では、局所的に高温高圧状態となる。そして、当該極限反応場では、フリーラジカルが発生する。フリーラジカルは安定化するために他の原子から電子を奪う性質があり、それ故に、強力な酸化作用を示す性質、および熱を発生する性質を有している。したがって、本実施の形態の水処理装置は、フリーラジカルに由来する酸化作用によっても、処理水中に含まれる混入物を酸化分解することができる。
なお、ナノバブルは水中に長時間存在することができる。具体的には、ナノバブルは2ヶ月以上、水中に存在し続けることができる。したがって、上記酸化作用および後段における微生物活性化作用は、長時間維持することができる。
【0096】
上記第2気体せん断部4にて形成されたバブル含有水は、管5を介して第3気体せん断部6に供給される。上記第2気体せん断部4にて作製されたバブルは、当該第3気体せん断部6にて更にせん断されて、バブルサイズが更に小さくなる。なお、第3気体せん断部6としては、上記第2気体せん断部4と同じ構成を用いることが可能である。なお、第2気体せん断部4については既に説明したので、ここでは第3気体せん断部6の説明を省略する。
【0097】
なお、本実施の形態の水処理装置におけるナノバブル発生部42としては、市販されているものを用いることができる。具体的には、株式会社 協和機設の商品を用いることができる(例えば、バビダスHYK型など)が、これに限定されない。
【0098】
上記第3気体せん断部6によって、マイクロナノバブルまたはナノバブルを含有する処理水が第1槽1内に、水流26として吐出される。
【0099】
なお、本実施の形態の水処理装置では、信号線11を介して、シーケンサー14によって、電気ニードルバルブ9の開閉動作および気液混合循環ポンプの動作が制御される。これによって、第3気体せん断部6から吐出されるナノバブルおよびマイクロナノバブルの量を調節することができる。
【0100】
上記第1槽1内に吐出されたバブルを含有した処理水は、管10を介して、第2槽15(処理槽)内に導入される。第2槽15内に導入された上記処理水は、当該第2槽15内において、担体16と接触することができる。当該担体16には細孔が設けられているとともに、当該担体16の表面上には多くの微生物が固定化されている。そして、当該微生物によって上記処理水に含有される様々な混入物(例えば、有機物など)が分解処理される。以下に、上記第2槽15内にて行われる微生物を用いた分解処理に関して説明する。
【0101】
上述したように、第2槽15は、処理水中に含有される混入物を主として微生物によって分解処理するための処理槽として機能する。なお、処理水中には、ナノバブルまたはマイクロナノバブルが存在しているので、第2槽15内においても当該バブルによってフリーラジカルが発生し、当該フリーラジカルによる混入物の酸化分解が続いている。
【0102】
上記第2槽15としては特に限定されず、適宜公知の槽を用いることができる。上記第2槽15の形状としては特に限定されないが、例えば、上記第2槽15における処理水の収容部の形状は、立方体または直方体であることが好ましい。このとき、上記第2槽15の横断面の形状(上記収容部の横断面の形状)が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、前記処理槽の縦方向の深さ(上記収容部の縦方向の深さ)が、c(m)にて規定され、c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることが更に好ましい。
【0103】
上記第2槽15には、蓋が設けられていることが好ましい。上記蓋は、上記第2槽15の内部を密閉構造にすることができるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。また、当該蓋には、空気抜きに用いられる管46が設けられていることが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、上記第2槽15内の処理水を外部環境から隔離することができるので、第2槽15の内部を好気的条件または嫌気的条件に厳密に設定することができる。例えば、上記第2槽15内を嫌気的条件に設定する場合には、第2槽15内の処理水を外気から隔離することができるので、嫌気的条件をより厳密に制御することができる。また、上記第2槽15内を好気的条件に設定する場合には、上記管46によって過剰な気体(例えば、酸素など)を取り除くことができるので、好気的条件をより厳密に制御することができる。
【0105】
また、上記第2槽15には、当該第2槽15内の処理水の酸化還元電位を測定するための酸化還元電位計47が設けられていることが好ましい。酸化還元電位計47としては特に限定されず、適宜公知の酸化還元電位計を用いることができる。なお、当該酸化還元電位計47の機能については、後述する。
【0106】
上記第2槽15の内部、換言すれば、上記収容部には、ポリビニルアルコールからなる担体16が設けられており、当該担体16には細孔が設けられている。
【0107】
上記担体16の具体的な構成としては、ポリビニルアルコールによって形成されているとともに、当該担体16に対して細孔が形成されているものであればよく、特に限定されない。例えば、上記担体16としては、ポバール樹脂を用いることが好ましい。更に具体的には、上記担体16としては、株式会社クラレ製のクラゲール(登録商標)を用いることが好ましい。例えば、上記クラゲールは、直径約4mm、比重1.025の粒子であって、1粒子あたり約10億個の微生物を固定化することができる。したがって、上記構成によれば、担体16の表面上に固定化される微生物の量を多くすることができる。
【0108】
上記細孔の孔径としては特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、上記孔径は、19μm〜21μmであることが好ましい。更に好ましくは、略20μmである。上記構成によれば、上記担体16の表面積を増すことができるとともに、当該細孔中に容易にマイクロナノバブルおよびナノバブルを拡散させることができる。また、ポリビニルアルコールの表面には、ナノバブルおよびマイクロナノバブルが付着しやすい。その結果、担体16の表面に固定化された微生物を、より活性化させることができる。
【0109】
また、上記担体16の表面には、微生物が固定化されている。上記微生物としては特に限定されないが、好気性微生物または嫌気性微生物であることが好ましい。更に具体的には、上記微生物としては微小の糸ミミズ類、原生動物、またはバクテリア等であることが好ましいが、これらに限定されない。
【0110】
上記担体16の形状としては特に限定されず、適宜目的にあった形状であり得る。例えば、上記担体16の形状は、粒子状であることが好ましい。上記構成によれば、担体16は第2槽15内を流動し易いので、弱い力によって上記担体16を攪拌することができる。また、上記構成によれば、担体16の表面積を増加させることができるので、担体16の表面上により多くの微生物を固定化させることができる。
【0111】
また、上記担体16は、上記第2槽15内を流動可能に備えられ得る。換言すれば、上記担体16は第2槽15の表面に固定されることなく、第2槽15内の処理水中を浮遊するように設けられ得る。また、上記担体16は、その一部が上記第2槽15内を流動可能に備えられ、上記担体16の残りが上記第2槽15内に固定化されて備えられていてもよい。なお、担体16の一部を流動可能とし、残りを固定化する場合には、全担体16の量に対する固定化される担体16の量の比率は特に限定されず、適宜設定することができる。このとき、固定化する担体16の量が多いほど嫌気性微生物の量を増やすことができるので、所望とする好気性微生物と嫌気性微生物との量比を考慮して、全担体16の量に対する固定化される担体16の量の比率を決定すればよい。
【0112】
上記第2槽15内には、第2槽15内に気体を吐出する散気管19((第1散気手段))が設けられていることが好ましい。上記散気管19によって第2槽15内の処理水に対して気体(気泡18)を吐出することによって、第2槽15の内部を好気的条件に設定することができる。また上記気体は処理水中を水面に向かって上昇するので、上昇水流を発生させることができる。そして、これによって、第2槽15内の処理水および担体16を攪拌することができる。
【0113】
上記散気管19には、管13を介してブロワー12から気体が供給されており、当該気体が、散気管19から第2槽15内に吐出されている。上記散気管19およびブロワー12の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。また、ブロワー12から散気管19に対して供給される気体としても特に限定されない。例えば、空気または酸素などを用いることが可能であるが、これらに限定されない。
【0114】
また、上記第2槽15内には、第2槽15内の処理水および担体16を攪拌するために水流を発生させる水中攪拌機20(攪拌手段)が設けられていることが好ましい。水中攪拌機20の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、上記水中攪拌機20としては、処理水に対して気体を吐出しないものであることが好ましい。上記構成によれば、第2槽15の内部を嫌気的条件に設定したままで、処理水および担体16を攪拌することができる。更に具体的には、上記攪拌機20としては、水中エアレータであることが好ましいが、これに限定されない。
【0115】
上記散気管19および水中攪拌機20は、上記第2槽15内に設けられた水流発生管17内(ドラフト)に設けられることが好ましい。
【0116】
上記水流発生管17が設けられる位置は特に限定されないが、上記第2槽15の中心部であることが好ましい。上記構成によれば、第2槽15内の処理水および担体16を均等に攪拌することができる。
【0117】
上記水流発生管17の形状としては特に限定されないが、例えば、円筒形状であることが好ましい。そして、このとき、上記水流発生管17の2つの開口は、それぞれ、第2槽15の底面、または当該第2槽15内に導入された処理水の水面に対向するように配置されていることが好ましい。
【0118】
また、上記水流発生管17の内部には、上記水中攪拌機20の下部に当該水中攪拌機20を固定支持するため支持板21が設けられていることが好ましい。更に、上記支持板21には、担体16が通過し得るサイズを有する複数の開口が設けられていることが好ましい。例えば、上記担体16の形状が直径4mmの略球形である場合には、上記開口の直径は6mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記開口を介して自由に担体16が流動することができるので、第2槽15内の処理水および担体16を効果的に流動させることができる。
【0119】
上記水中攪拌機20および散気管19の第2槽15内の配置は特に限定されないが、両構成共に、上記水流発生管17の内部に設けられることが好ましい。上記構成によれば、第2槽15内の水流の方向を容易に制御することができる。
【0120】
また、このとき水流発生管17内における水中攪拌機20の位置は、上記散気管19よりも第2槽15の底面側であることが好ましい。上記構成によれば、散気管19によって形成される水流を、水中攪拌機20によって妨げることを防止することができる。このとき、水中攪拌機20によって形成される水流の方向は、上向き(処理水の水面に向かう方向)であってもよいし、下向き(第2槽15の底面に向かう方向)であってもよい。水中攪拌機20によって形成される水流の方向が上向きである場合、第2槽15内の上側に存在する処理水および担体16をより効果的に攪拌することができる。また、散気管19と水中攪拌機20とを同時に用いることにより、より強い水流を発生させることができる。一方、水中攪拌機20によって形成される水流の方向が下向きである場合、第2槽15内の上側に存在する処理水および担体16をより効果的に攪拌することができる。
【0121】
上述した気液混合循環ポンプ2、電動ニードルバルブ9、ブロワー12、散気管19、水中攪拌機20および酸化還元電位計47は、信号線11を介してシーケンサー14に接続されている。上記酸化還元電位計47によって第2槽15内の処理水の酸化還元電位が測定され、当該測定値は、酸化還元電位調節計48に送られる。上記酸化還元電位調節計48では、上記測定値に基づいて、第2槽15内の処理水が好気的条件にあるのか嫌気的条件にあるのか判断する。なお、上記酸化還元電位調節計48には、予め第2槽15内の処理水の所望の状態(嫌気的または好気的)を記憶させておくことも可能である。なお、上記処理水の所望の状態は、経時的に変化するものであってもよい。例えば、好気的条件と嫌気的条件とを繰り返すものであってもよい。そして、上記酸化還元調節計48から、各種情報がシーケンサー14に伝達される。
【0122】
上記シーケンサー14は、上記酸化還元電位調節計48の判断に基づいて、気液混合循環ポンプ2、電動ニードルバルブ9、ブロワー12、散気管19および水中攪拌機20の動作を制御することができる。これによって、第2槽15内の状態を好気的条件または嫌気的条件に設定することができるので、担体16の表面上に固定化される微生物の種類(好気性微生物または嫌気性微生物)を制御することができる。つまり、本実施の形態の水処理装置では、好気性微生物と嫌気性微生物の両方を同時に繁殖させて、両方の微生物によって混入物を処理(分解除去)することができる。すなわち、従来技術では1つの槽にて好気性微生物と嫌気性微生物との両方を充分に繁殖させることができなかったが、本実施の形態の水処理装置では、1つの槽にて好気性微生物と嫌気性微生物との両方を充分に繁殖させることができる。
【0123】
酸化還元電位計47の値がプラスである場合には、第2槽15の内部は好気的条件であり、逆にマイナスである場合には、第2槽15の内部は嫌気的条件である。そして、本実施の形態の水処理装置では、第2槽15の内部条件を適切に制御することによって、好気性微生物と嫌気性微生物との両方が、適切に共存できる環境を生み出している。
【0124】
シーケンサー14による気液混合循環ポンプ2、電動ニードルバルブ9、ブロワー12、散気管19、および水中攪拌機20の動作の制御方法は特に限定されない。上記制御方法は、例えば、各構成の運転時間、および/または、運転する構成の組み合わせを適切に制御する方法であり得る。例えば、第2槽15の内部を好気的条件に設定する場合には、ブロワー12および散気管19を駆動させればよい。一方、第2槽15の内部を嫌気的条件に設定する場合には、ブロワー12および散気管19を停止させるとともに、水中攪拌機20を駆動させればよい。また、上記第2槽15の内部を、好気的条件と嫌気的条件とに連続的に変化させることも可能である。
【0125】
以上のようにして第2槽15内にて処理された処理水は、管22を介して第2槽15の外へ排出される。当該排出された処理水45は、処理済の液体として所望の用途に用いられ得る。また、上記処理水45に対して、さらなる浄化処理を施すことも可能である。このことについては、別の実施の形態にて説明する。
【0126】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図2に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0127】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1におけるナノバブル発生部42が、マイクロナノバブル発生部43(バブル発生手段)に置換されている。
【0128】
本実施の形態の水処理装置は、マイクロナノバブル発生部43を用いているので、第1槽1内のナノバブルの量が少なく、大部分がマイクロナノバブルである。したがって、本実施の形態の水処理装置は、フリーラジカルによる酸化作用は実施の形態1における水処理装置と比較して少ない。しかしながら、マイクロナノバブルは担体16の表面上に固定化された微生物を活性化させることができるので、本実施の形態の水処理装置は、従来の水処理方法および水処理装置と比較して、処理能力が高い。
【0129】
上記マイクロナノバブル発生部43は、マイクロナノバブルを発生させることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。以下に、マイクロナノバブル発生部43の構成の一例を説明する。
【0130】
例えば、マイクロナノバブル発生部43は、気体せん断部25、管5、循環ポンプ24、水を取り込むための管7、空気を取り込むための管8、および電動ニードルバルブ9から構成され得る。循環ポンプ24によって圧力が高められた水は、空気と共に気体せん断部25内に導入されて、マイクロナノバブルを発生する。
【0131】
マイクロナノバブル発生部43としては、例えば、ナノプラネット研究所製のM2−LM型を用いることが可能であるが、これに限定されない。
【0132】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図3に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0133】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1にて説明したナノバブル発生部42に加えて実施の形態2にて説明したマイクロナノバブル発生部43が設けられている。
【0134】
本実施の形態の水処理装置では、多量のナノバブルと共に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。したがって、実施の形態1または実施の形態2にて説明した水処理装置よりも、本実施の形態の水処理装置の方が処理能力が高い。
【0135】
なお、ナノバブル発生部42およびマイクロバブル発生部43については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0136】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図4に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1にて説明したナノバブル発生部42に加えて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27が設けられている。
【0138】
本実施の形態の水処理装置には、ナノバブル発生部42および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27が備えられているので、多量のナノバブルと共に多量のマイクロナノバブルを発生させることができる。したがって、実施の形態1または実施の形態2にて説明した水処理装置よりも、本実施の形態の水処理装置の方が処理能力が高い。
【0139】
水中ポンプ型マイクロナノバブル発生27は、空気用の管を介して小型ブロワー28に連結されている。また、上記小型ブロワー28から水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27へは、例えば1〜5リットル/分にて空気を供給されていることが好ましい。水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27のインペラが高速回転して、空気と処理水との混合物をせん断することによって、マイクロナノバブルを発生させることができる。なお、小型ブロワー28、電動ニードルバルブ、および水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27は、シーケンサー14によって、あらかじめ組み込まれたプログラムに基づいて制御され得る。
【0140】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部27として、野村電子工業株式会社製のマイクロバブラーMB−150を用いることができるが、これに限定されない。
【0141】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について、図5に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1における第2槽15が、より深槽となるとともに底部がすり鉢状になっている。また、本実施の形態の水処理装置では、第2槽15の底部(底面上)に、水流発生管17を挟んで両側に、散気管32(第2散気手段)および散気管33(第2散気手段)が設けられている。
【0143】
上記散気管32および散気管33から吐出される気体は、ブロワー12から吐出される空気である。つまり、ブロワー12から吐出される空気が、電動バルブ29、電動バルブ30、および電動バルブ31によって3つに分けられ、それぞれの空気が、散気管19、散気管32または散気管33から吐出されている。
【0144】
本実施の形態の水処理装置は、第2槽15の底部が左傾斜壁34と右傾斜壁35とを有するすり鉢状の深槽構造となり、かつ散気管19、散気管32および散気管33が備えられているので、担体16の流動状態を良好にすることができる。
【0145】
本実施の形態の水処理装置では、電動バルブ29、電動バルブ30および電動バルブ31の開閉動作を、シーケンサー14によって予め設定したり、各種運転データに基づいて変更することも可能である。また、処理水45の水質から判断して、電動バルブ29、電動バルブ30、および電動バルブ31の開閉動作、開いている時間、および閉じている時間を調整して、処理効率を向上させることも可能である。
【0146】
工場廃水44の種類によっては、常時好気的条件にて処理を行うことも可能である。このとき、第2槽15内の処理水および担体16の流動状態が良い方が、処理効率が向上する。
【0147】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について、図6に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0148】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態5におけるナノバブル発生部42が、マイクロナノバブル発生部43に置換されている。
【0149】
本実施の形態の水処理装置はマイクロナノバブル発生部43を備えているので、第1槽1内では、多量のマイクロナノバブルが発生している一方で、ナノバブルの発生量が少ない。したがって、本実施の形態の水処理装置は、フリーラジカルによる酸化作用は実施の形態5における水処理装置と比較して少ない。しかしながら、マイクロナノバブルは担体16の表面上に固定化された微生物を活性化させることができるので、本実施の形態の水処理装置は、従来の水処理方法および水処理装置と比較して、処理能力が高い。
【0150】
なお、マイクロナノバブル発生部43に関しては既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
【0151】
〔実施の形態7〕
本発明の他の実施の形態について、図7に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
本実施の形態の水処理装置は、実施の形態1における第2槽15が、より深槽となるとともに底部がすり鉢状になっている。また、本実施の形態の水処理装置では、第2槽15の底部に左傾斜壁34と右傾斜壁35とが備えられている。また、本実施の形態の水処理装置は、第2槽15内に管10を介して第1槽1と連結された流入管36が設けられている。なお、上記流入管36の設置位置は特に限定されないが、第2槽15の底面上に設けられることが好ましい。
【0153】
本実施の形態の水処理装置は、上記構成を有しているが故に、実施の形態1〜6にて説明した水処理装置と比較して、良好に嫌気的条件にて処理を行うことができる。
【0154】
例えば、第2槽15が深槽であるとともに容量が大きく、担体16上に多量の微生物が固定化され、かつブロワー12の運転時間を極力少なくすれば、第2槽15内を嫌気的条件に設定することができる。このとき、ナノバブル発生部42にて使用する空気量を、例えば0.7リットル/分以下に設定すれば、更に容易に嫌気的条件を実現することが可能になる。
【0155】
また、第1槽1と連結された流入管36が第2槽15の底部に設置されているので、当該流入管36から処理水を吐出することによって、第2槽15内に、ゆるやかな上昇水流を発生させることが可能となり、これによって、担体16と処理水とを、ゆるやかに接触させることができる。
【0156】
工場廃水44の中で嫌気的条件での処理が必要な廃水は、硝酸性窒素を多量に含有した廃水であって、当該廃水中に水素供与体としてのアルコール等の有機物が存在すれば、硝酸性窒素が容易に還元されて、硝酸性窒素を窒素ガスとして空気中に放出させることができる。
【0157】
〔実施の形態8〕
本発明の他の実施の形態について、図8に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0158】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1と比較して、工場廃水44の代わりに有機フッ素化合物含有水39を用いている。また、本実施の形態の水処理装置では、急速ろ過塔40および活性炭吸着塔41にて処理した後に、処理水45を得ている。
【0159】
上記急速ろ過塔40および活性炭吸着塔41の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。
【0160】
本実施の形態の水処理装置では、フリーラジカルおよび微生物によって処理水を処理した後に、当該処理水を更に急速ろ過塔40および活性炭吸着塔41にて処理するので、処理が困難な有機フッ素化合物含有水からも、容易に有機フッ素化合物を除去することができる。また、本実施の形態の水処理装置では、活性炭吸着塔41の活性炭の寿命を延ばすことができる。
【0161】
〔実施の形態9〕
本発明の他の実施の形態について、図9に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0162】
本実施の形態の水処理装置には、実施の形態1と比較して、管22と第2槽15との連結点である開口から担体16が流出することを防止するために、スクリーン容器51(濾過フィルター)が設けられている。そして、上記開口は、上記スクリーン容器51によって、第2槽15内の担体16から隔離されている。また、本実施の形態の水処理装置には、上記スクリーン容器51に向かって気体を吐出する洗浄用散気管52(第3散気手段)が設けられている。
【0163】
上記スクリーン容器51としては、上記開口内に上記担体16が流入することを妨げることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、上記スクリーン容器51としては、直径3.5mm程度の小孔を有するフィルターを用いることができるが、これに限定されない。
【0164】
また、上記洗浄用散気管52としては、上記スクリーン容器51の表面に付着した担体16を剥ぎ落とす程度のバブルを上記スクリーン容器51に対して吐出できるものであればよく、適宜公知の構成を用いることができる。
【0165】
〔実施の形態10〕
本発明の他の実施の形態について、図10に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0166】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1における水中攪拌機20を、下向きの水中攪拌機53(攪拌手段)に置換している。
【0167】
上記水中攪拌機53の具体的な構成としては、水中攪拌機20と同じ構成を用いることが可能である。
【0168】
上記構成によれば、上記水中攪拌機53によって、下向きの水流を発生させることができる。そして、上記水中攪拌機53の動作を停止すれば、散気管19によって上向きの水流を発生させることができる。つまり、本実施の形態の水処理装置によれば、上向きおよび下向きの両方方向性の水流を発生させることができる。そして、上記構成によれば、第2槽15の底部に存在する担体16および処理水を効果的に攪拌することができるので、嫌気性微生物の活性を上昇させることができる。
【0169】
〔実施の形態11〕
本発明の他の実施の形態について、図11に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0170】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1における水中攪拌機20を、下向きの水中攪拌機53(攪拌手段)に置換している。また、本実施の形態の水処理装置では、管13を介してブロワー12から水中攪拌機53に対して気体が供給されており、これによって、水中攪拌機53によって発生する水流中に、上記気体からなるバブルが含まれている。
【0171】
上記水中攪拌機53の具体的な構成としては、水中攪拌機20と同じ構成を用いることが可能である。
【0172】
上記構成によれば、上記水中攪拌機53によって、下向きの水流を発生させることができる。なお、このとき、上記下向きの水流にはバブルが含まれているので、第2槽15の底部に対しても、気体を供給することができる。そして、上記水中攪拌機53の動作を停止すれば、散気管19によって上向きの水流を発生させることができる。つまり、本実施の形態の水処理装置によれば、上向きおよび下向きの両方方向性の、バブルを含有する水流を発生させることができる。そして、上記構成によれば、第2槽15の底部に存在する担体16および処理水を効果的に攪拌することができるので、好気性微生物の活性を上昇させることができる。
【0173】
〔実施の形態12〕
本発明の他の実施の形態について、図12に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1等と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1等の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0174】
本実施の形態の水処理装置では、実施の形態1における水中攪拌機20を、下向きの水中攪拌機53(攪拌手段)に置換している。また、本実施の形態の水処理装置では、第2槽15の内側面上に、第2槽15の横断面における中央に向かって突出した凸部54が設けられている。
【0175】
上記凸部54は、第2槽15内を上部槽および下部槽とに分けることができるものであればよく特に限定されない。例えば、上記凸部54は、上記第2槽15の内側面に沿った環状構造であることが好ましい。また、このとき、上記凸部54における、第2槽15の横断面における中央に向かう突出距離も特に限定されない。また、上記凸部54の縦断面の形状は、三角形であることが好ましい。上記凸部54の最も好ましい形状は、当該凸部54が上記第2槽15の内側面に沿った環状構造を有するとともに、当該凸部54の縦断面の形状が正三角形である。
【0176】
上記構成によれば、上記水中攪拌機53によって、下向きの水流を発生させることができる。そして、上記水中攪拌機53の動作を停止すれば、散気管19によって上向きの水流を発生させることができる。つまり、本実施の形態の水処理装置によれば、上向きおよび下向きの両方方向性の水流を発生させることができる。そして、上記構成によれば、第2槽15の底部に存在する担体16および処理水を効果的に攪拌することができるので、嫌気性微生物の活性を上昇させることができる。
【0177】
また、上記構成によれば、第2槽15の内側面上には凸部54が設けられているので、当該凸部5によって第2槽15内の処理水の流れを制御することができる。例えば、担体16が水中攪拌機53の吐出する水流によって第2槽15の底面にあたり、その後の跳ね返って、第2槽15内を上昇したとしても、上記凸部54により、流れの方向が変化する。これによって、担体16が開口から流出することを防止することができる。また、上記構成によれば、凸部54を境にして第2槽15内を2つの領域にわけることができるので、各領域を好気的条件または嫌気的条件に設定することができる、これによって、両条件下にて同時に処理水を処理することができる。
【実施例】
【0178】
〔実施例1〕
図1に基づいて、水処理装置を作製した。当該水処理装置では、第1槽1の容量を0.1m、第2槽15の容量を5mとした。また、上記第2槽15内には、ポバール樹脂(株式会社クラレ製のクラゲール(登録商標))を約1m(第2槽15の容量の約20%)加えた。また、ナノバブル発生機であるナノバブル発生部42としては、株式会社協和機設社製のバビタスHYK−32を用いた。なお、上記バビタスHYK−32が備える気液混合循環ポンプ2の動力は、3.7kwであった。
【0179】
また、水中攪拌機20としては、新明和工業株式会社製の水中エアレータSU15を用いた。なお、当該水中エアレータSU15は、吐出水量が9m/分、出力が1.5kw、本体重量が175kgである水中エアレータである。
【0180】
上記水処理装置に有機物を含有した廃水(工場廃水44)を導入して、当該廃水を1ヶ月間処理した。なお、上記廃水としては、半導体工場から排出される有機物含有廃水を用い、当該有機物含有廃水の処理前のTOC値(全有機炭素)は、87ppmであった。
【0181】
一方、1ヶ月間の処理を行った後の有機物含有廃水(処理水45)のTOC値は、16ppmであった。
【0182】
〔実施例2〕
図8に基づいて、水処理装置を作製した。当該水処理装置では、第1槽1の容量を0.1m、第2槽15の容量を5mとした。また、上記第2槽15内には、ポバール樹脂(株式会社クラレ製のクラゲール(登録商標))を約1m(第2槽15の容量の約20%)加えた。また、ナノバブル発生機でああるナノバブル発生部42としては、株式会社協和機設社製のバビタスHYK−32を用いた。なお、上記バビタスHYK−32が備える気液混合循環ポンプ2の動力は、3.7kwであった。また、急速ろ過塔40の容量は0.05mとし、活性炭吸着塔41の容量は0.2mとした。
【0183】
また、水中攪拌機20としては、新明和工業株式会社製の水中エアレータSU15を用いた。なお、当該水中エアレータSU15は、吐出水量が9m/分、出力が1.5kw、本体重量が175kgである水中エアレータである。
【0184】
上記水処理装置にPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)を含有した有機フッ素化合物含有水(有機フッ素化合物含有水39)を導入して、当該有機フッ素化合物含有水を90日間以上処理した。なお、処理前の上記有機フッ素化合物含有水のPFOS濃度は160ng/Lであった。当該処理後の有機フッ素化合物含有水を、急速ろ過塔40および活性炭吸着塔41にて処理した後、当該有機フッ素化合物含有水のPFOSの濃度を測定したところ、PFOS濃度は3.2ng/Lであった。なお、PFOSの濃度の測定は、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析法(LC−MS/MS)に従った。
【0185】
以上の結果より、本実施例におけるPFOSの除去率は、98%であった。
【0186】
〔比較例1〕
図1に基づいて、水処理装置を作製した。当該水処理装置では、第1槽1の容量を0.1m、第2槽15の容量を5mとした。また、上記第2槽15内には、ポバール樹脂を加えなかった。また、ナノバブル発生部42としては、株式会社協和機設社製のバビタスHYK−32を用いた。なお、上記バビタスHYK−32が備える気液混合循環ポンプ2の動力は、3.7kwであった。
【0187】
また、水中攪拌機20としては、新明和工業株式会社製の水中エアレータSU15を用いた。なお、当該水中エアレータSU15は、吐出水量が9m/分、出力が1.5kw、本体重量が175kgである水中エアレータである。
【0188】
上記水処理装置に有機物を含有した廃水(工場廃水44)を導入して、当該廃水を1ヶ月間処理した。なお、上記廃水としては、半導体工場から排出される有機物含有廃水を用い、当該有機物含有廃水の処理前のTOC値(全有機炭素)は、92ppmであった。
【0189】
一方、1ヶ月間の処理を行った後の有機物含有廃水(処理水45)のTOC値は、32ppmであった。
【0190】
〔比較例2〕
基本的には、図1に基づいて水処理装置を作製した。当該水処理装置では、第1槽1の容量を0.1m、第2槽15の容量を5mとした。また、上記第2槽15内には、ポバール樹脂(株式会社クラレ製のクラゲール(登録商標))を約1m(第2槽15の容量の約20%)加えた。また、当該比較例2では、ナノバブル発生部42の代わりに、公知のブロワーおよび散気管を用いてサイズの大きなバブルを発生させ、当該バブルによって第1槽1内の処理水を攪拌した。
【0191】
また、水中攪拌機20としては、新明和工業株式会社製の水中エアレータSU15を用いた。なお、当該水中エアレータSU15は、吐出水量が9m/分、出力が1.5kw、本体重量が175kgである水中エアレータである。
【0192】
上記水処理装置に有機物を含有した廃水(工場廃水44)を導入して、当該廃水を1ヶ月間処理した。なお、上記廃水としては、半導体工場から排出される有機物含有廃水を用い、当該有機物含有廃水の処理前のTOC値(全有機炭素)は、84ppmであった。
【0193】
一方、1ヶ月間の処理を行った後の有機物含有廃水(処理水45)のTOC値は、44ppmであった。
【0194】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明によれば、処理水中に含まれる混入物(例えば、有機物)を効果的に除去することができる。そのため、本発明は、廃水処理装置および水浄化装置に代表される各種水処理装置やその部品を製造する分野に利用することができるだけでなく、さらには、混入物が除去された純度の高い液体を用いる必要がある分野に、広く応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明における水処理装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明における水処理装置の他の実施の形態を示す模式図である。
【図3】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図4】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図5】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図6】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図7】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図8】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図9】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図10】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図11】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図12】本発明における水処理装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0197】
1 第1槽
2 気液混合循環ポンプ
3 第1気体せん断部
4 第2気体せん断部
6 第3気体せん断部
5・7・8・10・13・22・46 管
9 電気ニードルバルブ
11 信号線
12 ブロワー
14 シーケンサー
15 第2槽(処理槽)
16 担体
17 水流発生管(ドラフト)
18 気泡
19 散気管(第1散気手段)
20・53 水中攪拌機(攪拌手段)
21 支持板
24 循環ポンプ
25 気体せん断部
26 水流
27 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生部
28 小型ブロワー
29・30・31 電動バルブ
32・33 散気管(第2散気手段)
34 左傾斜壁
35 右傾斜壁
36 流入管
39 有機フッ素化合物含有水
40 急速ろ過塔
41 活性炭吸着塔
42 ナノバブル発生部(バブル発生手段)
43 マイクロナノバブル発生部(バブル発生手段)
44 工場廃水
45 処理水
47 酸化還元電位計
48 酸化還元電位調節計
51 スクリーン容器(濾過フィルター)
52 洗浄用散気管(第3散気手段)
54 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生手段と、
前記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の前記処理水を導入する処理槽と、
前記処理槽内に導入される前記処理水と接触可能に設けられる、ポリビニルアルコールからなる担体と、を備え、
前記担体は細孔を有するとともに、前記担体上には微生物が固定化されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記細孔の孔径は、略20μmであることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記処理槽内には、当該処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する第1散気手段と、当該処理槽内に導入された前記処理水を攪拌して水流を発生させるための攪拌手段とが備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記第1散気手段および前記攪拌手段は共に、円筒形状のドラフト内に設けられており、
前記ドラフトの2つの開口は、それぞれ、前記処理槽の底面、または当該処理槽内に導入された前記処理水の水面に対向するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記ドラフト内にて、前記攪拌手段は、前記第1散気手段よりも前記処理槽の底面側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記攪拌手段は、前記処理槽の底面側に向かって水流を発生させるものであることを特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記攪拌手段は、水中エアレータであることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記処理槽内に導入された前記処理水の酸化還元電位を測定するための酸化還元電位計と、
前記酸化還元電位計の測定結果に基づいて、前記第1散気手段によって吐出される気体量、および前記攪拌手段によって発生される水流量を調節するためのシーケンサーと、を備えることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記処理槽には蓋が備えられていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記担体は、前記処理槽内を流動可能に備えられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項11】
前記担体の一部は、前記処理槽内を流動可能に備えられ、前記担体の残りは、前記処理槽内に固定化されて備えられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項12】
前記処理槽の底面上に、当該処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する第2散気手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項13】
前記バブル発生手段が、水中ポンプ型バブル発生機であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項14】
前記処理槽の横断面の形状が、長さがa(m)である第1辺、および、長さがb(m)である第2辺を有する四角形にて規定されるとともに、前記処理槽の縦方向の深さが、c(m)にて規定され、
c:aおよびc:bにて示される比が、共に1:1.0〜1.3であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項15】
前記処理槽には、当該処理槽内に導入された処理水を排出するための開口が設けられ、
前記開口は、濾過フィルターによって前記担体から隔離されていることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項16】
前記濾過フィルターに向かって、第3散気手段によって気体が吐出されていることを特徴とする請求項15に記載の水処理装置。
【請求項17】
前記処理槽の内側面には、当該処理槽の横断面の中央に向かって突出した凸部が設けられ、
前記開口は、前記凸部よりも上側に設けられていることを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項18】
前記凸部の縦断面の形状は、三角形であることを特徴とする請求項17に記載の水処理装置。
【請求項19】
前記処理槽内の前記処理水が導入される急速ろ過塔または活性炭吸着塔が備えられていることを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載の水処理装置。
【請求項20】
処理水中にマイクロナノバブルまたはナノバブルを発生させるバブル発生工程と、
前記マイクロナノバブルまたはナノバブルが発生した後の前記処理水を処理槽内に導入する導入工程と、
前記処理槽内に導入される前記処理水とポリビニルアルコールからなる担体とを接触させる接触工程と、を有し、
前記担体は細孔を有するとともに、前記担体上には微生物が固定化されていることを特徴とする水処理方法。
【請求項21】
前記細孔の孔径は、略20μmであることを特徴とする請求項20に記載の水処理方法。
【請求項22】
前記処理槽内に導入された前記処理水に対して気体を吐出する気体吐出工程と、
前記処理槽内に導入された前記処理水を攪拌する攪拌工程と、を有することを特徴とする請求項20または21に記載の水処理方法。
【請求項23】
前記気体吐出工程は、前記処理水に対して気体を吐出する吐出工程と、前記処理水に対して気体を吐出しない不吐出工程とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項22に記載の水処理方法。
【請求項24】
前記接触工程の後に、前記処理水を急速ろ過塔にかける濾過工程、または前記処理水を活性炭吸着塔にかける吸着工程を有することを特徴とする請求項20〜23の何れか1項に記載の水処理方法。
【請求項25】
前記処理水は、有機フッ素化合物含有廃水、工業用水、工場廃水、工場廃水処理水、または上水であることを特徴とする請求項20〜24の何れか1項に記載の水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−195887(P2009−195887A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43604(P2008−43604)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】