説明

水分散型粘着剤組成物および粘着フィルム

【課題】ガラス基板との接着性が高く、高い耐熱性および耐湿性を有する水分散型粘着剤組成物、および、その水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着フィルムを提供すること。
【解決手段】炭素数が4〜18で直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、リン酸基含有ビニルモノマーおよびアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有する反応成分を反応させることにより得られる水分散型共重合体100重量部に対して、カルボキシル基との反応性を有する架橋0.07〜4重量部を配合して水分散型粘着剤組成物を調製する。これを光学フィルム1の片面にコーティングし、加熱して乾燥することにより、粘着剤層2を形成して、粘着型光学フィルムを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散型粘着剤組成物および粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどの光学フィルムが、各種産業用途に用いられており、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの画像表示装置に貼着して用いられている。
画像表示装置に貼着される光学フィルムとして、光学フィルムに粘着剤を積層した粘着型光学フィルムが知られている。
【0003】
また、近年、環境負荷の観点から、有機溶剤の使用を低減することが望まれており、溶媒として有機溶剤を使用する溶剤型粘着剤から、分散媒として水を使用する水分散型粘着剤への転換が望まれている。
このような水分散型粘着剤として、例えば、共重合体エマルジョンを含む感圧接着剤組成物であって、共重合体が、共重合体全体に対して10〜50重量%のメタクリル酸2−エチルヘキシルが共重合されており、かつ、共重合体のガラス転移温度が−25℃以下である感圧性接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−254063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような特許文献1を含む従来の水分散型粘着剤は、ポリオレフィンなどの疎水性被着体に対する接着性が改善されるものの、ガラスなどの親水性被着体に対する接着性が特に低く、画像表示装置に使用されるガラス基板に強固に接着することが困難である。
また、光学フィルムに積層される水分散型粘着剤には、苛酷な加熱や加湿などによっても密着性などが低下しない高い耐熱性や耐湿性が要求される。
【0005】
しかし、上記した水分散型粘着剤では、苛酷な加熱や加湿などによって、気泡や歪みが発生して、光学特性が低下するという不具合がある。
本発明の目的は、ガラス基板との接着性が高く、高い耐熱性および耐湿性を有する水分散型粘着剤組成物、および、その水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の水分散型粘着剤組成物は、炭素数が4〜18で直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、リン酸基含有ビニルモノマーおよびアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有する反応成分を反応させることにより得られる水分散型共重合体と、カルボキシル基との反応性を有する架橋剤とを含む水分散型粘着剤組成物であり、前記架橋剤の配合割合が、前記水分散型共重合体100重量部に対して、0.07〜4重量部であり、前記水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層は、下記試験による伸びが、200%以下であることを特徴としている。
【0007】
試験:水分散型粘着剤組成物を、加熱することにより粘着剤層を調製し、これを断面積4.6mm2、長さ30mmの円柱形状に成形して、試験片を作製する。次いで、試験片を90℃で1時間放置した後、初期の試験片の長さL0を測定する。その後、試験片の一端を固定し、試験片の他端に12gのおもりを取り付けて、試験片を90℃で2時間垂下させて、2時間垂下後の試験片の長さL1(mm)を測定し、下記式により伸びを算出する。
伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
【0008】
また、本発明の水分散型粘着剤組成物では、前記架橋剤が、カルボジイミド基を有する化合物であることが好適である。
また、本発明の水分散型粘着剤組成物では、酢酸エチルに浸漬したときのゲル分率が80〜95重量%であることが好適である。
また、本発明の粘着フィルムは、上記した水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水分散型粘着剤組成物、および、その水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着フィルムは、ガラス基板との接着力が高く、強固な接着を達成することができる。さらに、高い耐熱性および耐湿性を有するので、高温高湿雰囲気下での優れた耐久性を得ることができる。
とりわけ、本発明の水分散型粘着剤組成物、および、その水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着フィルムは、高温および高湿における気泡および歪みの発生を有効に防止することができる。そのため、光学特性の低下を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の水分散型粘着剤組成物は、水分散型共重合体と、架橋剤とを含んでいる。
水分散型共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、リン酸基含有ビニルモノマーおよびアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有する反応成分を反応させることにより得られる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、炭素数が4〜18で直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステル)であって、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、好ましくは、アクリル酸ブチルが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または併用することができる。
【0011】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、60〜99重量部、好ましくは、80〜99重量部、さらに好ましくは、80〜98重量部である。
(メタ)アクリル酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
(メタ)アクリル酸は、単独使用または併用することができる。(メタ)アクリル酸の配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、0.5〜15重量部、好ましくは、0.5〜10重量部、さらに好ましくは、1〜10重量部である。上記した範囲より少ないと、水分散型粘着剤組成物の凝集力が低下する場合があり、上記した範囲より多いと、乳化重合時の安定性および水分散型粘着剤組成物の耐水性が低下する場合がある。
【0012】
リン酸基含有ビニルモノマーは、例えば、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートリン酸エステルであって、
【0013】
【化1】

【0014】
(一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を、R2は、ポリオキシアルキレン基を、Xは、リン酸基またはその塩を示す。)
2で示されるポリオキシアルキレン基としては、下記一般式(2)で表され、
【0015】
【化2】

【0016】
(一般式(2)中、nは1〜4の整数、mは2以上の整数を示す。)
例えば、ポリオキシエチレン基(一般式(2)中、n=2に相当。)、ポリオキシプロピレン基(一般式(2)中、n=3に相当。)およびこれらのランダム、ブロックまたはグラフトユニットなどが挙げられ、これらオキシアルキレン基の重合度、すわわち、一般式(2)中、mは、好ましくは、4以上、通常40以下である。
【0017】
オキシアルキレン基の重合度が高いほど、リン酸基を有する側鎖の運動性が高く、ガラスと迅速に相互作用することから、水分散型粘着剤組成物のガラス基板への接着性が向上する。
また、Xで示されるリン酸基またはその塩は、下記一般式(3)で表され、
【0018】
【化3】

【0019】
(一般式(3)中、M1およびM2は、それぞれ独立に、水素原子またはカチオンを示す。)
カチオンとしては、特に制限されず、例えば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、例えば、4級アミン類などの有機カチオンなどが挙げられる。
【0020】
また、リン酸基含有ビニルモノマーは、一般に市販されているものを用いることができ、例えば、Sipomer PAM−100(ローディア日華(株)製)、Phosmer PE(ユニケミカル(株)製)、Phosmer PEH(ユニケミカル(株)製)、Phosmer PEDM(ユニケミカル(株)製)などのモノ[ポリ(エチレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル、例えば、Sipomer PAM−200(ローディア日華(株)製)、Phosmer PP(ユニケミカル(株)製)、Phosmer PPH(ユニケミカル(株)製)、Phosmer PPDM(ユニケミカル(株)製)などのモノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステルなどが挙げられる。
【0021】
これらリン酸基含有ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。
リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度は、反応成分中、例えば、0.01〜0.45ミリモル/g、好ましくは、0.02〜0.20ミリモル/gである。リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度を、上記した範囲にするには、リン酸基含有ビニルモノマーの分子量にもよるが、リン酸基含有ビニルモノマーの配合割合を、反応成分100重量部に対して、例えば、0.5〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部、さらに好ましくは、1〜5重量部に設定する。
【0022】
リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度および配合割合が上記した範囲より少ないと、ガラス基板への接着力向上の効果が十分得られない場合がある。リン酸基含有ビニルモノマーのリン酸基濃度および配合割合が上記した範囲より多いと、乳化重合時の安定性および水分散型粘着剤組成物の耐水性が低下する場合があり、また、水分散型粘着剤組成物の弾性率が高くなることにより接着性が低下する場合がある。
【0023】
アルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーや、シリコーン系ビニルモノマーなどが挙げられる。
シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0024】
また、シリコーン系ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシランなどのビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシランなどのビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシランなどが挙げられる。
【0025】
これらアルコキシシリル基含有ビニルモノマーのうち、好ましくは、シリコーン系(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、さらに好ましくは、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシランが挙げられる。
これらアルコキシシリル基含有ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。
【0026】
アルコキシシリル基含有ビニルモノマーの配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、0.001〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.1重量部である。上記した範囲より少ないと、アルコキシシリル基による架橋が不足して、水分散型粘着剤組成物の凝集力の低下を招いたり、水分散型接着剤組成物とガラス基板との接着性の向上が得られず、上記した範囲より多いと、乳化重合時の安定性低下や接着性の低下を招く場合がある。
【0027】
また、反応成分は、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含有することもできる。
そのような共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの、炭素数が6以上の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル、例えば、スチレンなどの芳香族系ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどの、炭素数が1〜3で直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有不飽和モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、例えば、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン原子含有不飽和モノマー、その他、例えば、N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのビニル基含有複素環化合物、例えば、フッ素(メタ)アクリレートなどの、フッ素原子などのハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなどが挙げられる。
【0028】
また、共重合性ビニルモノマーとしては、官能基を含有する官能基含有ビニルモノマーが挙げられる。
そのような官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸や、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸などの不飽和ジカルボン酸無水物などのカルボキシル基含有ビニルモノマー((メタ)アクリル酸を除く。)、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカルボン酸アミドなどのアミド基含有不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有不飽和モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有不飽和モノマー、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマーなどが挙げられる。
【0029】
さらに、上記した官能基含有ビニルモノマーとしては、多官能性モノマーが挙げられる。
多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども挙げられる。
【0030】
共重合性ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。
これら共重合性ビニルモノマーのうち、好ましくは、炭素数が6以上の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステルが挙げられ、さらに好ましくは、メタクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーは、反応成分に任意的に配合され、その配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、39重量部以下、好ましくは、19重量部以下、さらに好ましくは、18重量部以下である。
【0031】
これら共重合性ビニルモノマーを反応成分に配合させることにより、水分散型粘着剤組成物の接着性を向上させることができる。
水分散型共重合体を得るには、上記した反応成分を、例えば、乳化重合などの重合方法により、共重合する。
乳化重合では、例えば、上記した反応成分とともに、重合開始剤、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において適宜配合して共重合する。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、モノマー滴下法では、連続滴下または分割滴下が適宜選択される。反応条件などは、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、20〜100℃である。
【0032】
重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される重合開始剤が用いられる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤、例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せなどのレドックス系開始剤などが挙げられる。
【0033】
これら重合開始剤は、単独使用または併用することができる。
これら重合開始剤のうち、好ましくは、過硫酸塩系開始剤、さらに好ましくは、過硫酸アンモニウムが用いられる。
重合開始剤の配合割合は、適宜選択されるが、反応成分100重量部に対して、例えば、0.001〜1重量部である。
【0034】
なお、上記した反応成分への重合開始剤の配合の前に、または、配合しながら、あるいは、配合の後に、窒素置換によって、反応成分溶液中の溶存酸素濃度を低減することもできる。
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知の乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
【0035】
また、これらアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤に、プロペニル基やアリルエーテル基などのラジカル重合性官能基(反応性基)が導入されたラジカル重合性(反応性)乳化剤(例えば、HS−10(第一工業製薬(株)製))などが挙げられる。
これら乳化剤は、単独使用または併用することができる。また、乳化剤の配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
【0036】
連鎖移動剤は、必要により、水分散型共重合体の分子量を調節するものであって、乳化重合に通常使用される連鎖移動剤が用いられる。例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどのメルカプタン類などが挙げられる。
これら連鎖移動剤は、単独使用または併用することができる。また、連鎖移動剤の配合割合は、反応成分100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部である。
【0037】
そして、このような乳化重合によって、得られる水分散型共重合体を、エマルション(水分散液)として調製することができる。
なお、水分散型共重合体は、例えば、上記した反応成分を、乳化重合以外の有機溶剤を使用しない方法によって重合した後に、上記した乳化剤により、水に分散させるようにして調製することもできる。
【0038】
また、水分散型共重合体は、エマルションの安定性を向上する目的で、例えば、アンモニア水などにより、例えば、pH7〜9、好ましくは、pH7〜8に調整される。
そして、上記により得られた水分散型共重合体と、架橋剤とを配合することにより、本発明の水分散型粘着剤組成物を得る。
架橋剤としては、カルボキシル基(主に、(メタ)アクリル酸が有するカルボキシル基)との反応性を有する架橋剤であって、例えば、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤としては、好ましくは、カルボジイミド系架橋剤が挙げられる。
【0039】
また、架橋剤は、例えば、油溶性または水溶性の架橋剤などが用いられ、あるいは、水分散型(エマルションタイプ)として調製された架橋剤も用いられる。架橋剤として、好ましくは、水分散型の架橋剤、さらに好ましくは、水分散型のカルボジイミド系架橋剤が用いられる。
水分散型のカルボジイミド架橋剤を、水分散型共重合体のカルボキシル基と反応性を有する架橋剤として用いることによって、架橋剤の配合後の液物性、具体的には、粘度において、変化が起こりにくく、製造工程における水分散型粘着剤組成物の取扱いが容易となる。
【0040】
カルボジイミド系架橋剤は、カルボジイミド基を有する化合物である。カルボジイミド基は、カルボジイミド(HN=C=NH)から水素原子が1つ引き抜かれた官能基(−N=C=NH)、または、水素原子が2つ引き抜かれた官能基(−N=C=N−)である。このカルボジイミド基は、カルボキシル基と反応することができる。
より具体的には、カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、カルボジイミド基を2個以上有する低分子化合物または高分子化合物が挙げられる。
【0041】
カルボジイミド基を有する低分子化合物は、例えば、下記一般式で表される。
1−N=C=N−R2−N=C=N−R3
(式中、R1、R2およびR3は、相異なって、炭化水素基を示す。)
カルボジイミド基を有する高分子化合物は、ポリカルボジイミドであって、好ましくは、水との親和性に優れた部位、例えば、エチレンオキサイド(−CH2−CH2−O−)部位を有する高分子化合物が挙げられる。
【0042】
上記したカルボジイミド基を有する高分子化合物は、例えば、一般に市販されているものを用いることができ、例えば、水溶性のカルボジライトVシリーズ(商品名:カルボジライトV−02、カルボジライトV−02−L2、カルボジライトV−04。以上、日清紡(株)製。)、例えば、エマルションタイプ(水分散型)のカルボジライトEシリーズ(商品名:カルボジライトE−01、カルボジライトE−02、カルボジライトE−04。以上、日清紡(株)製。)などが挙げられる。
【0043】
これらカルボジイミド系架橋剤は、単独使用または併用することができる。
これらカルボジイミド系架橋剤のうち、好ましくは、カルボジイミド基を有する高分子化合物が挙げられる。
架橋剤の配合割合は、水分散型共重合体(すなわち、水分散液の固形分)100重量部に対して、0.07〜4重量部、好ましくは、0.08〜3重量部、さらに好ましくは、0.1〜2重量部である。上記した範囲より少ないと、高温雰囲気下における粘着剤層の発泡を抑制できず、一方、上記した範囲より多いと、水分散型粘着剤組成物の接着性(粘着性)、特に、加熱および加湿時のガラス基板への接着力が低下する。なお、加熱および加湿時の接着力(90°剥離接着力:剥離速度[10mm/min])は、2.0N/25mm以上が望ましい。
【0044】
この水分散型共重合体と架橋剤との配合により、水分散型共重合体が架橋される。より具体的には、架橋剤がカルボジイミド系架橋剤である場合には、水分散型共重合体のカルボキシル基が、カルボジイミド系架橋剤のカルボジイミド基と反応して、水分散型共重合体が架橋される。
なお、水分散型共重合体と架橋剤とを配合した後に、架橋反応を促進させるために、例えば、80〜150℃、好ましくは、80〜120℃、例えば、1〜10分間、加熱することもできる。なお、この加熱は、後述する粘着剤層の形成時の乾燥による加熱を利用することもできる。
【0045】
さらに、得られた水分散型粘着剤組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料など)、老化防止剤、界面活性剤など、水分散型粘着剤組成物に通常添加される添加剤を、適宜、添加してもよい。これら添加剤の配合割合は、特に制限されず、適宜、選択することができる。
このように調製された水分散型粘着剤組成物(固形分)のゲル分率は、例えば、80〜95重量%、好ましくは、80〜93重量%である。ゲル分率が上記した値より低いと、この水分散型粘着剤組成物を粘着型光学フィルムに適用して、高温雰囲気下で使用したときに、発泡が生じる場合がある。また、ゲル分率が上記した値より高いと、水分散型粘着剤組成物の接着力が低下する場合がある。
【0046】
なお、ゲル分率は、水分散型粘着剤組成物を、テフロンシート(登録商標)で被覆し、これを酢酸エチルに7日間浸漬したときに、下記式で算出することができる。
ゲル分率(重量%)=(浸漬後のテフロンシート(登録商標)に付着する水分散型粘着剤組成物の重量/浸漬前の水分散型粘着剤組成物の重量)×100
以下、図1を参照して、本発明の粘着フィルムの一実施形態である粘着型光学フィルムの製造方法について、説明する。
【0047】
粘着型光学フィルムを得るには、まず、光学フィルム1を用意する。
光学フィルム1としては、光学特性を有し、液晶ディスプレイなどに貼着されるフィルムであれば特に制限されず、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどが挙げられる。
偏光フィルムとしては、偏光子の片面または両面に、透明保護フィルムが設けられたものが用いられる。
【0048】
偏光子としては、特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質で染色し一軸延伸したものや、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色して一軸延伸した偏光子が挙げられる。
【0049】
透明保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマーフィルム、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマーフィルム、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマーフィルム、ポリカーボネート系ポリマーフィルムなど挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロまたはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマーフィルム、塩化ビニル系ポリマーフィルム、ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマーフィルム、イミド系ポリマーフィルム、スルホン系ポリマーフィルム、ポリエーテルスルホン系ポリマーフィルム、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマーフィルム、ポリフェニレンスルフィド系ポリマーフィルム、ビニルアルコール系ポリマーフィルム、塩化ビニリデン系ポリマーフィルム、ビニルブチラール系ポリマーフィルム、アリレート系ポリマーフィルム、ポリオキシメチレン系ポリマーフィルム、エポキシ系ポリマーフィルム、または上記したポリマーのブレンド物のフィルムなども挙げられる。
【0050】
透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
透明保護フィルムとしては、好ましくは、セルロース系ポリマーが挙げられる。透明保護フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、500μm以下、好ましくは、1〜300μm、さらに好ましくは、5〜200μmである。
【0051】
偏光子と透明保護フィルムとを接着処理するには、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系接着剤、ラテックス系接着剤、水系ポリエステル接着剤などを用いて接着する。
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどが挙げられる。位相差フィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、20〜150μmである。
【0052】
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などが挙げられる。これら高分子素材は、延伸などにより配向物(延伸フィルム)となる。
【0053】
液晶性ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどが挙げられる。主鎖型の液晶性ポリマーとしては、例えば、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造であり、具体的には、ネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどが挙げられる。側鎖型の液晶性ポリマーとしては、例えば、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどが挙げられる。これら液晶性ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコールなどの薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより得られる。
【0054】
また、位相差フィルムは、例えば、各種波長フィルムや液晶層の複屈折による着色や視野角などの拡大を目的としたもの、その他使用目的に応じて、適宜、位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差フィルムを積層して位相差などの光学特性を制御したものなどであってもよい。
輝度向上フィルムとしては、例えば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体など、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものなど、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどが挙げられる。
【0055】
視野角拡大フィルムは、液晶ディスプレイの画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムであり、例えば、位相差フィルム、液晶ポリマーなどの配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマーなどの配向層を支持したものなどが挙げられる。視野角拡大フィルムとして用いられる位相差フィルムには、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムや、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。
【0056】
そして、光学フィルム1の片面に、水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層2を設ける。
粘着剤層2を設けるには、例えば、上記した光学フィルム1に、粘着剤層2が形成された離型シート3から、粘着剤層2を転写する。粘着剤層2が形成された離型シート3は、離型シート3にナイフコーティング法などの公知のコーティング方法により、水分散粘着剤組成物を直接コーティングする。その後、これを、例えば、80〜150℃で、1〜10分間加熱して乾燥することにより、粘着剤層2を離型シート3の上に設ける。また、粘着剤層2を転写するには、粘着剤層2が形成された離型シート3を、光学フィルム1に、貼り合わせた後、粘着剤層2から離型シート3を引き剥がす。
【0057】
また、粘着剤層2を設けるには、例えば、光学フィルム1に、水分散型粘着剤組成物をナイフコーティング法などの公知のコーティング方法により、直接コーティングし、その後、これを、例えば、80〜150℃で、1〜10分間加熱して、乾燥するようにすることもできる。
また、図2に示すように、光学フィルム1には、粘着剤層2との接着力(投錨力)を向上させるため、あらかじめ、適宜、下塗り層4を設けるなどの下塗り処理を施すことができる。
【0058】
下塗り層4は、例えば、樹脂を含み、このような樹脂としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、好ましくは、これらの樹脂を反応性官能基で変性した樹脂などが挙げられる。
反応性官能基としては、例えば、オキサゾリン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基が挙げられ、好ましくは、オキサゾリン基が挙げられる。
【0059】
オキサゾリン基としては、例えば、2−オキサゾリン基、3−オキサゾリン基、4−オキサゾリン基などが挙げられ、好ましくは、2−オキサゾリン基が挙げられる。
2−オキサゾリン基としては、一般に、下記一般式(4)で表される。
【0060】
【化4】

【0061】
(一般式(4)中、R11、R12、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示す。)
反応性官能基で変性した樹脂として、より具体的には、例えば、反応性官能基がオキサゾリン基である場合には、アクリル骨格またはスチレン骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているものであって、好ましくは、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
【0062】
このような樹脂は、単独または併用して用いられる。このような樹脂は、通常、その固形分の配合割合が、0.01〜15重量%、好ましくは、0.05〜5重量%となるように、有機溶剤や水などに溶解または分散して調製されている。
下塗り層4を設けるには、例えば、光学フィルム1に、樹脂を含む下塗り液(溶液または分散液)を、コーティング法、ディッピング法、スプレー法などの公知の塗布方法により、直接塗布して乾燥する方法が挙げられる。
【0063】
下塗り層4の厚みは、乾燥前の厚みが、例えば、1〜500μm、好ましくは、10〜100μm、さらに好ましくは、20〜50μmで、乾燥後の厚みが、例えば、1〜1000nm、好ましくは、10〜500nm、さらに好ましくは、20〜400nmとなるように設定する。
離型シート3としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、例えば、ゴムシート、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、またこれら積層シート体などが挙げられる。離型シート3の表面には、粘着剤層2からの剥離性を高めるため、必要に応じて、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの処理(剥離処理)がなされていてもよい。
【0064】
粘着剤層2の厚み(乾燥後厚み)は、例えば、1〜100μm、好ましくは、5〜50μm、さらに好ましくは、10〜30μmの範囲に設定される。
上記した水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層2は、下記試験による90℃における伸びが、200%以下、好ましくは、180%以下、さらに好ましくは、150%以下、とりわけ好ましくは、100%以下、最も好ましくは、50%以下、通常、0%以上である。
【0065】
90℃における伸び試験:水分散型粘着剤組成物を、加熱することにより粘着剤層を調製し、これを断面積4.6mm2、長さ30mmの円柱形状に成形して、試験片を作製する。次いで、試験片を90℃で1時間放置した後、初期の試験片の長さL0を測定する。その後、試験片の一端を固定し、試験片の他端に12gのおもりを取り付けて、試験片を90℃で2時間垂下させて、2時間垂下後の試験片の長さL1(mm)を測定し、下記式により伸びを算出する。
【0066】
伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
90℃における伸びが上記した範囲を超えると、高温雰囲気下における粘着剤層2の耐発泡性が低下し、発泡を抑制することができない。
また、粘着剤層2は、23℃における伸びが、例えば、150%以下、好ましくは、130%以下、さらに好ましくは、100%以下、とりわけ好ましくは、80%以下、最も好ましくは、50%以下、通常、0%以上である。
【0067】
なお、23℃における伸びは、上記した90℃における伸び試験において、90℃を23℃に変更した以外は、上記した90℃における伸び試験と同様にして、伸びを算出することができる。
このように、光学フィルム1の片面に、水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層2を設けることにより、粘着型光学フィルムを得ることができる。
【0068】
このようにして得られる粘着型光学フィルムは、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルムなどの粘着型光学フィルムなどとして、各種産業用途に好適に用いられる。
本発明の水分散型粘着剤組成物は、ガラス基板に接着する場合にも、高い接着性を有するので、ガラス基板へ粘着型光学フィルムを強固に接着することができる。
【0069】
さらに、この粘着型光学フィルムは、高い耐熱性や耐湿性を有しているので、高温高湿雰囲気でも優れた耐久性を得ることができる。
とりわけ、本発明の水分散型粘着剤組成物、およびその水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着型光学フィルムは、高温および高湿における気泡および歪みの発生を有効に防止することができる。そのため、光学特性の低下を有効に防止することができる。
【0070】
なお、上記した説明では、本発明の粘着フィルムを、粘着型光学フィルムを例示して説明したが、光学フィルム以外の被着体に貼着される粘着フィルムとして用いることもできる。また、本発明の粘着フィルムは、例えば、粘着シート、粘着テープなどとしても用いられる。
なお、上記した説明において、粘着剤層2および必要により設けられる下塗り層4を、光学フィルム1の片面に設けたが、光学フィルム1の両面に設けることもできる。
【0071】
なお、通常の水分散型粘着剤組成物では、被着体への密着性を高めるためには、ロジン系樹脂、エラストマーなどの粘着付与樹脂などを添加するが、本発明の水分散型粘着剤組成物は、水分散型でありながら、そのような粘着付与樹脂を添加することなく、密着性を高めることができるので、低コストで密着性が高い水分散型粘着剤組成物、このような水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えている粘着フィルムを得ることができる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
実施例1
(モノマープレエマルションの調製)
容器に、アクリル酸ブチル92部、メタクリル酸6部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)2部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学(株)製)0.03部を加えて混合し、反応成分の混合物を調製した。次いで、調製した反応成分の混合物388gに、反応性乳化剤アクアロンHS−10(第一工業製薬(株))46.6g、イオン交換水346gを加え、ホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用いて、5分間、5000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
(水分散型共重合体のエマルションの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、上記で調製したモノマープレエマルションのうちの156g、イオン交換水219gを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換し、過硫酸アンモニウム0.023g(仕込まれたモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.03部)を添加して、65℃で、2.5時間重合した。次いで、残りのモノマープレエマルションの625gに過硫酸アンモニウム0.217g(残りのモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.07部)を添加し、これを、反応容器に3時間かけて滴下して、その後、窒素置換しながら、70℃で3時間重合し、固形分40%の水分散型共重合体のエマルション(水分散液)を得た。
(水分散型粘着剤組成物の調製)
得られたエマルションを室温まで冷却し、10%アンモニア水を添加して、pHを8に調整し、さらに、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04、水溶性タイプ、日清紡(株)製)を、エマルションの固形分(水分散型共重合体)100部に対して、0.1部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
(粘着型光学フィルムの作製)
調製した水分散型粘着剤組成物を、剥離剤で処理したポリエステルフィルムからなる離型シートにコーティングし、100℃で2分間加熱して乾燥することにより、厚さ23μmの粘着剤層を形成した。
【0073】
また、予め下塗り処理した偏光フィルムを用意した。下塗り処理では、まず、オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー(エポクロスWS−700、(株)日本触媒製)を、水とエタノールとの混合溶媒(容量比で1:1)にて固形分が0.25重量%になるように希釈した下塗り剤溶液を調製した。次いで、この下塗り剤溶液を、ワイヤーバー♯5を用いて偏光フィルムの片面に塗布し、40℃で2分間加熱して乾燥することにより、下塗り層を設けた。
【0074】
なお、上記の偏光フィルムは、ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素水溶液中で延伸し、乾燥後、この偏光子の両側に透明保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを接着することにより作製した。
次いで、この偏光フィルムを位相差フィルム(NAZ−#195−0.3、日東電工(株)製)の上に、下塗り層が設けられていない面と位相差フィルムとが貼り合わされるように、積層した。これにより、下塗り層が設けられた偏光フィルムと位相差フィルムとが積層された光学フィルムを作製した。
【0075】
次いで、粘着剤層を、光学フィルムの下塗り層の上に積層して、粘着型光学フィルムを作製した(図2参照)。
実施例2
実施例1における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.1部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.3部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0076】
実施例3
(モノマープレエマルションの調製)
容器に、アクリル酸ブチル88部、アクリル酸5部、メタクリル酸シクロヘキシル5部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)2部、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(KBM−503、信越化学(株)製)0.03部を加えて混合し、反応成分の混合物を調製した。次いで、調製した反応成分の混合物388gに、反応性乳化剤アクアロンHS−10(第一工業製薬(株))46.6g、イオン交換水346gを加え、ホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用いて、5分間、5000(1/min)で、攪拌し強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
(水分散型共重合体のエマルションの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、上記で調製したモノマープレエマルションのうちの78g、イオン交換水219gを仕込み、次いで、反応容器を窒素置換し、過硫酸アンモニウム0.004g(仕込まれたモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.01部)を添加して、65℃で、2.5時間重合した。次いで、残りのモノマープレエマルションの702.5gに過硫酸アンモニウム0.244g(残りのモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.07部)を添加し、これを、反応容器に3時間かけて滴下して、その後、窒素置換しながら、75℃で3時間重合し、固形分40%の水分散型共重合体のエマルション(水分散液)を得た。
(水分散型粘着剤組成物の調製)
得られたエマルションを室温まで冷却し、10%アンモニア水を添加して、pHを8に調整し、さらに、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)を、エマルションの固形分(水分散型共重合体)100部に対して、0.5部添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
(粘着型光学フィルムの作製)
調製した水分散型粘着剤組成物を、剥離剤で処理したポリエステルフィルムからなる離型シートにコーティングし、100℃で2分間加熱処理して、厚さ23μmの粘着剤層を形成した。
【0077】
次いで、粘着剤層を、実施例1と同様の光学フィルムの下塗り層に積層して、粘着型光学フィルムを作製した(図2参照)。
実施例4
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)1部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0078】
実施例5
実施例3における水分散型共重合体のエマルションの調製において、滴下重合における過硫酸アンモニウム0.244g(残りのモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.07部)に代えて、過硫酸アンモニウム0.175g(残りのモノマープレエマルションの固形分100部に対して、0.05部)を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型共重合体のエマルション(水分散液)を調製し、次いで、水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0079】
実施例6
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)1部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0080】
実施例7
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)2部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0081】
実施例8
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)3部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0082】
実施例9
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトE−04、エマルションタイプ、日清紡(株)製)1部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0083】
実施例10
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトE−04、エマルションタイプ、日清紡(株)製)0.5部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0084】
実施例11
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトE−04、エマルションタイプ、日清紡(株)製)2部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0085】
比較例1
実施例1における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
比較例2
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤を添加しなかった以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0086】
比較例3
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.1部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.0005部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0087】
比較例4
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.001部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0088】
比較例5
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.05部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0089】
比較例6
実施例3における水分散型粘着剤組成物の調製において、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)0.5部に代えて、カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04)5部を添加した以外は、実施例3と同様の方法で水分散型粘着剤組成物を調製し、続いて、粘着型光学フィルムを作製した。
【0090】
(評価)
1) 粘着剤層の伸び
各実施例および各比較例における水分散型粘着剤組成物を、100℃で2分間加熱することにより厚み23μmの粘着剤層をそれぞれ調製した。粘着剤層を冷却した後、へらにより、200mm×30mmの平面視矩形シート形状に成形した。次いで、これを手で巻回することにより、断面積4.6mm2、長さ30mmの円柱形状に成形して、試験片を作製した。次いで、試験片の長手方向両端の10mmの部分をクリップでそれぞれ挟んだ。そして、23℃(室温)および90℃の雰囲気下で、1時間放置して、試験片を養生させた。
【0091】
その後、試験片におけるクリップで挟まれていない長手方向途中の長さ(初期の長さ)L0(mm)を予め定規により測定した。次いで、試験片の一端のクリップを固定し、試験片の他端のクリップに12gのおもりを取り付けて、23℃(室温)および90℃の雰囲気下で、試験片を2時間垂下させた。2時間垂下後における、試験片におけるクリップで固定されていない長手方向途中の長さL1(mm)を、定規により、それぞれ測定した。なお、初期の長さL0は、約10mmである。
【0092】
そして、下記式から、23℃での2時間における伸び、および、90℃での2時間における伸びを、それぞれ算出した。その結果を表1に示す。
伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
2) ゲル分率
各実施例および各比較例の水分散型粘着剤組成物(約100mg)を、まず、予め重量測定したテフロンシート(登録商標 品番:NTF−1122)およびタコ糸(12cm)により包み、この包みを重量測定した。次いで、50mlガラス瓶に、この包みを入れ、次いで、酢酸エチルを十分に加えガラス瓶を密封して、室温で7日間浸漬した。その後、浸漬した包みを取り出し、テフロンシート(登録商標)に付着した酢酸エチルを拭き取った後、この包みを130℃で2時間、乾燥機で乾燥した。その後、乾燥後の包みを重量測定した。そして、下記の式により、ゲル分率を算出した。
【0093】
ゲル分率(重量%)={(C−A)/(B−A)}×100
なお、式中の記号の詳細については、以下の通りである。
A(g):テフロンシート(登録商標)およびタコ糸の総重量(風袋重量)
B(g):テフロンシート(登録商標)およびタコ糸と、水分散型粘着剤組成物との酢酸エチル浸漬、乾燥前の総重量
C(g):テフロンシート(登録商標)およびタコ糸と、水分散型粘着剤組成物との酢酸エチル浸漬、乾燥後の総重量
その結果を表1に示す。
【0094】
3) ガラス接着性
各実施例および各比較例により得られた粘着型光学フィルムを、幅25mmに切断し、これを、ガラス板(コーニング#1737、コーニング(株)製)に貼着し、2kgのゴムローラーを1往復させて圧着して、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度10mm/min)を測定した(初期接着力)。
【0095】
また、オートクレーブ中で放置した後、さらに、60℃および60℃/90%RHの雰囲気下で、40時間それぞれ放置し、次いで、25℃に冷却して、90°剥離接着力(剥離速度10mm/min)をそれぞれ測定した。その結果を、表1に示す。
なお、ガラス接着性は、剥離接着力の値が高いほど、良好であることを示す。
4) 粘着型光学フィルムの加熱発泡性
各実施例および各比較例の粘着型光学フィルムを、幅235mm×長さ310mmの大きさに切断し、これを、厚み0.7mmのガラス板(コーニング#1737、コーニング(株)製)に貼着した。その後、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置した後、90℃に加熱した雰囲気下で、500時間、放置した。その後、粘着型光学フィルムの発泡の有無を目視により観察した。
【0096】
なお、粘着型光学フィルムにおける発泡の有無を、下記の基準で観察した。
○:発泡が認められなかった
×:発泡が認められた
【0097】
【表1】

【0098】
表1中の略号を以下に示す。
PAM−200:Sipomer PAM−200(モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)、ローディア日華(株)製)
KBM−503:3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(信越化学(株)製)
HS−10:反応性乳化剤アクアロンHS−10(第一工業製薬(株))
V−04:カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトV−04、水溶性タイプ、日清紡(株)製)
E−04:カルボジイミド系架橋剤(カルボジライトE−04、エマルションタイプ、日清紡(株)製)
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の粘着フィルムの一実施形態である粘着型光学フィルムの拡大断面図である。
【図2】本発明の粘着フィルムの他の実施形態である粘着型光学フィルムの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 光学フィルム
2 粘着剤層
3 離型シート
4 下塗り層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数が4〜18で直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、リン酸基含有ビニルモノマーおよびアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを含有する反応成分を反応させることにより得られる水分散型共重合体と、
カルボキシル基との反応性を有する架橋剤とを含む水分散型粘着剤組成物であり、
前記架橋剤の配合割合が、前記水分散型共重合体100重量部に対して、0.07〜4重量部であり、
前記水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層は、下記試験による90℃における伸びが、200%以下であることを特徴とする、水分散型粘着剤組成物。
試験:水分散型粘着剤組成物を、加熱することにより粘着剤層を調製し、これを断面積4.6mm2、長さ30mmの円柱形状に成形して、試験片を作製する。次いで、試験片を90℃で1時間放置した後、初期の試験片の長さL0を測定する。その後、試験片の一端を固定し、試験片の他端に12gのおもりを取り付けて、試験片を90℃で2時間垂下させて、2時間垂下後の試験片の長さL1(mm)を測定し、下記式により伸びを算出する。
伸び(%)=(L1−L0)/L0×100
【請求項2】
前記架橋剤が、カルボジイミド基を有する化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項3】
前記水分散型粘着剤組成物は、酢酸エチルに浸漬したときのゲル分率が80〜95重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水分散型粘着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えていることを特徴とする、粘着フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−297539(P2008−297539A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101755(P2008−101755)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】