説明

水平方向配列ストッカ

本発明のストッカ(400)は、水平方向配列に構成された多数のコンテナ貯蔵箇所(412)を有する。貯蔵箇所(412)の水平方向配列は、製造設備の天井から吊下げられてもよいし、製造設備のフロアによって支持されてもよい。ストッカ(400)は、その中でワークコンテナ(2)を移送し及び/又はマテリアル移送システム(50)にワークコンテナ(2)を移送する1つ以上のストッカロボット(410,450)を有している。ストッカ(400)は、コンテナエレベータ(440,448)及びコンベヤループ(80)の構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年10月27日付米国特許商標庁出願の米国仮特許出願第60/730,688号明細書の米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)項に規定の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、広くは水平方向配列ストッカ(保管庫)に関し、より詳しくは、ストッカロボットが、ウェーハコンテナをストッカ全体にわたって最小の垂直方向移動で移動させることができるように、例えば単一水平方向レーヤ内のツールベイの上方にウェーハコンテナを貯蔵するストッカに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造に使用される従来の自動化されたマテリアルハンドリングシステムは、一般に2つの基本的機能、すなわち(1)加工工程間でのマテリアルの移送、及び(2)貯蔵箇所間及び/又は加工箇所間でのマテリアルの移送を行う。歴史的に、貯蔵機能は、貯蔵箇所の「垂直方向配列」を形成すべく、あたかもフラットで垂直な壁に取付けられるようにして、貯蔵棚の水平方向配列を垂直にスタッキングし、次に、各棚の箇所に移動して、この棚の箇所にウェーハキャリヤを置くか棚の箇所からウェーハキャリヤを取出すことができる多軸ロボットを用意することにより行われてきた。ロボットの使用を増大させるため、棚の第2壁は、しばしば、ロボットに関して第1壁とは反対側に設けられ、これにより、ロボットは両方向の貯蔵箇所にアクセスできる。マテリアル移送システムに干渉しないようにするため、一般に、これらの棚の壁内には幾つかの入口ポート及び出口ポートが設けられる。これらの各々は、一般に、幾つかの棚に代わる2次ロボットからなり、該2次ロボットは、1次ストッカロボットからウェーハキャリヤを受入れて、このウェーハキャリヤを、棚の壁を通して外部位置(この位置には移送システムがアクセスできる)に移動させることができる。
【0004】
図1は、半導体ウェーハ12を貯蔵ビン16のカセット14内に貯蔵する従来のストッカ10の一実施形態を示す。ストッカ10は、貯蔵ビン16の複数の垂直方向列18を有し、各垂直方向列18には、キャリジ24が垂直移動できるように取付けられた回転可能なエレベータ22を備えた移送機構20がアクセスできる。キャリジ24は、カセット14のサイドリップ28の下でカセット14に係合する水平方向移動可能な移送アーム26を支持している。貯蔵ビン16の各垂直方向列18は、それぞれの垂直方向分配システム30を通して供給される加圧無塵空気の供給源を有している。このようなストッカは、Asyst Technologies, Inc.社が所有し且つ「物品の無塵貯蔵」と題する米国特許第5,059,079号明細書(特許文献1)に開示されており、この米国特許の全体を本明細書に援用する。
【0005】
この従来のストッカ構造は幾つかの欠点を有している。第1の欠点は、大きい移動質量及び大きい垂直移動範囲を有するロボットを必要とし、このため、重くて高価な支持構造及び駆動システムを必要とすることである。第2の欠点は、この大きい質量のため、ロボットの移動速度が制限され、従ってロボットがウェーハキャリヤに貯蔵し又はウェーハキャリヤから取出す速度が制限されることである。第3の欠点は、ロボットのベース及び棚構造の大きい質量のため、一般に、これらはクリーンルームのフロア上に取付ける必要があり、従って所与の製造設備生産量に対して必要とされるクリーンルームの全フロアスペースを増大させてしまうことである。クリーンルームのこの追加スペースのコストは、しばしば、ストッカ自体のコストに近いものになる。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,059,079号明細書
【特許文献2】米国特許第6,494,308号明細書
【特許文献3】米国特許第6,308,818号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ストッカロボットの質量を低減させ且つロボット及びキャリヤの質量を移動させるべき所要垂直方向距離を低減させるべく、ウェーハコンテナを水平方向配列に貯蔵すること、ウェーハキャリヤの貯蔵の目的でクリーンルームの付加フロアスペースを設ける必要性をなくすこと、及びストッカに多数の入口ポート及び出口ポートを設けることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、製造設備でのストッカのフットプリント(踏面積)を縮小し及び/又は排除する。本発明の一実施形態では、水平方向配列ストッカがツールベイの上方に設置され且つ製造設備の天井から支持される。かくして、水平方向配列ストッカが製造設備のフロア上にいかなるスペースも占めない。他の実施形態では、ストッカが製造設備のフロアによって支持される。
【0009】
本発明の他の態様は、ストッカ自体とマテリアル移送システムとの間でコンテナを直接移送できるストッカを提供する。一実施形態では、ストッカは、その中でコンテナを移送し且つストッカとインターベイマテリアル移送システムとの間でコンテナを直接移送するロボットを有している。
【0010】
本発明の更に別の態様は、ストッカと、プロセスツールのロード(載せ)ポートとの間でコンテナを移送できるストッカを提供する。一実施形態では、ストッカは、このストッカとその下に配置されたプロセスツールのロードポートとの間でコンテナを直接移送するための1つ以上のコンテナエレベータを有している。他の実施形態では、ストッカは更に、ストッカとその下に配置されたマテリアル移送システムとの間でコンテナを直接移送する1つ以上のコンテナエレベータを有している。
【0011】
本発明の他の態様は、従来のストッカロボットの複雑さを緩和する。本発明の一実施形態では、ストッカロボットは、従来のガントリ(橋形又は門形)ロボットを有している。ガントリロボットは、最初に、Z軸に沿う最小の移動で、X方向及びY方向に沿って水平方向に移動する。ストッカロボットが必要とすZ軸方向の移動は、FOUPをストッカ内に貯蔵された他のFOUPの上方に持上げて衝突を回避することを必要とするに過ぎない。
【0012】
本発明の更に別の態様は、従来のストッカより多くのストッカ入口/出口ポイントを備えたストッカを提供する。本発明の一実施形態では、入口/出口ポートは、ツールベイの長さに沿って分散配置されており、より速い配送時間及びより効率的なバッファリングを可能にする。
【0013】
本発明の他の態様は、FOUP、SMIFポッド、単一ウェーハコンテナ、JDECトレー等の種々の形式のキャリヤ/コンテナを貯蔵するのに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
半導体機器及び材料協会(Semiconductor Equipment and Materials Institute:SEMI)は、ワーク(例えば半導体ウェーハ)貯蔵コンテナについての規格を定めている。ワーク貯蔵コンテナの2つの例として、300mmウェーハを貯蔵するフロント開口統一ポッド(Front Opening Unified Pod:FOUP)と、200mmウェーハを貯蔵する標準メカニカルインターフェース(Standard Mechanical Interface:SMIF)ポッドとがある。他の形式のワーク貯蔵コンテナも存在し、SMIFポッド及び/又はFOUPは、任意数のウェーハ及び種々の寸法(例えば、150mmウェーハ、450mmウェーハ等)のウェーハを貯蔵できる寸法を有している。
【0015】
一般に、半導体産業では、水平方向配列ストッカは考えられていなかった。一実施形態では、平らな水平方向格子内にFOUP貯蔵箇所を配置することにより、ストッカの全高を1mよりも小さくできる。このように高さを低くすることにより、水平方向配列ストッカを、最も高いプロセスツール(一般に3m)と製造設備の天井(一般に4m)との間の現在使用されていないスペース内に配置することが可能になる。
【0016】
本発明を説明する目的から、本願では、FOUPについてのみ参照する。例示に過ぎないが、本発明の種々の実施形態は、SMIFポッド、レチクルコンテナ、フラットパネルディスプレイ移送デバイス又は他の任意のコンテナ又はプロセスツールを取扱うシステムに使用でき及び/又は適用できる。コンテナは、半導体基板(但し、これに限定されない)を含む物品を支持する任意の形式の構造体として定義される。例示に過ぎないが、コンテナは、物品にアクセス(例えばFPD移送)できる開放空間を有する構造又は機械的に開くことができるドア(例えば、底が開くSMIF及びFOUP)を備えたコンテナを含む。
【0017】
一実施形態では、FOUPの水平方向配列は、400mm×450mmの空間の連続格子内に収容され且つ貯蔵される。しかしながら、貯蔵箇所の形態は、この実施形態に限定されない。各貯蔵箇所の寸法は、水平方向配列ストッカ内に貯蔵されるコンテナの種類に依存するのがよい。
【0018】
図2は、マテリアルハンドリングシステム50と組合わされて作動する水平方向配列ストッカ100を示す。図2に示すマテリアルハンドリングシステム50は、数ある中で特に、第1インターベイ(interbay)コンベア52及び第2インターベイコンベア54を有している。Asyst Technologies, Inc.が所有し且つ「一体形ローラ移送ポッド及び非同期コンベア」と題する米国特許第6,494,308号明細書(特許文献2)は、コンベアの一例を開示し、この米国特許の全体を本明細書に援用する。
【0019】
ストッカ100は、フレーム102を有し、フレーム102は、この実施形態では、互いに間隔を隔てた12個の支持レール108a〜108lによって連結された1対のガイドレール104、106を有している。ストッカ100はまた、コンテナ移送ロボット110を有している。フレーム102とロボット110との組合せは、ストッカ100内で及びストッカ100とマテリアルハンドリングシステム50との間の両方でFOUP2を貯蔵し且つ移送するためのガントリ(橋形又は門形)構造を構成する。後でより詳細に説明するように、ストッカ100及びマテリアル移送システム50は、製造設備のフロアから同じ高さに配置されることが好ましいが、ストッカ100とマテリアル移送システム50とが異なる高さに配置されていてもよい。
【0020】
図2は、12個の支持レール108の各々が6つの貯蔵箇所112を有していることを示している.各支持レール108が同数の貯蔵箇所をもつ必要はない。また、各支持レール108がガイドレール104、106に対して垂直な真直ぐな構造をなしていることが示されている。ストッカ100の支持レール108の個数及び支持レール108の貯蔵箇所112の個数は任意に定められる。例えば、支持レール108aは、6つの貯蔵箇所112を有し、支持レール108bは、4つの貯蔵箇所112を有し、支持レール108cは、6つの貯蔵箇所を有する等である。ストッカ100は、任意の数の支持レール108を有していてもよい。換言すれば、ストッカ100は、モジュラーコンテナ貯蔵システムを構成する。
【0021】
貯蔵箇所112は、多くの異なる構造を有していてもよい。図2は、例えば位置合わせ機能を有する運動プレート(kinematic-like plate)を備えた貯蔵箇所112の一実施形態を示す。FOUP2は、ストッカ100内に貯蔵されている間、運動プレート上に載置される。貯蔵箇所112は、他の構造を有していてもよい。各貯蔵箇所112が支持レール108に一体化されること、又は、各貯蔵箇所112が、支持レール108に取付けられた別の構成要素を有することも本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
ストッカ100は、貯蔵箇所112の6FOUP×12FOUPの水平方向配列を有している。各支持箇所、即ち、支持棚112は、支持レール108に沿って幅Wだけ間隔を隔てている。各支持レール108は、ピッチPだけ間隔を隔てている。貯蔵箇所112同士の間の幅W及び支持レール108同士間のピッチPを変化させてもよい。貯蔵箇所112同士の間の幅Wは、互いに隣接して着座した2つのFOUP2が互いに接触することを防止するのに充分な幅でなくてはならない。同様に、支持レール108同士の間のピッチPは、2つの隣接したFOUP2が互いに接触することを防止するのに充分な大きさでなくてはならない。
【0023】
この実施形態では、ストッカのロボット110は、ガントリロボットを有する。ロボット110は、1対の可動支持部122の間を延びる水平方向支持部120と、把持機構124とを有している。この実施形態では、可動支持部122は、ロボット110をガイドレール104、106に沿って移動できるように支持する車輪126を有している。図2には、各可動支持部122のベースが同じ幅ではないことが示されている。ガイドレール106に沿って移動する可動支持部122のベースは、ガイドレール104に沿って移動する可動支持部122のベースよりも大きい幅を有する。幅広の可動支持部122は、ロボット110に安定性を与え、第2のベース122は、主として案内のためのものである。かくして、より小さい即ち狭い可動支持部122は、材料コストを節約する。把持機構124は、水平方向レール120に沿って移動し、好ましい実施形態では、シータ軸を中心に回転できる。この形式のガントリロボットは当業界において既知であり、これ以上の説明は不要である。ガイドレール104、106と平行な運動を、Y軸方向運動と称し、水平方向レール120と平行な運動をX軸方向運動と称する。
【0024】
ロボット110を作動させることができる駆動システムには多くの異なる形式がある。単なる例示に過ぎないが、ロボット100の駆動システムとして、摩擦駆動アクチュエータ、ラックアンドピニオンアクチュエータ又はベルト駆動アクチュエータがある。他の駆動システムもロボット業界において知られており、それらを本発明に採用してもよい。また、ロボット110は、単一の駆動装置を有していてもよいし、駆動装置を両支持部に有していてもよい。2つの駆動装置を用いる場合、各支持部122のY軸方向運動を調整するコントローラをロボットに設けることが好ましい。
【0025】
X軸に沿う運動とY軸に沿う運動とを組合せることにより、ロボット110は、把持部124を、ストッカ100内の任意の貯蔵箇所112に位置決めできる。この時点で把持部124を下降(Z軸方向運動)させて、貯蔵箇所112に着座しているFOUP2に係合させることができる。FOUP2を、その上部ハンドル、横ハンドル又は当業界で知られているその他の手段を把持することによって固定する。次に、把持部124を上昇させ、FOUP2を貯蔵箇所112から持上げる。把持されたFOUPをX軸方向又はY軸方向に移動させる前に、FOUP2を、その他の着座しているFOUPの頂部の高さよりも高く上昇させなくてはならない。さもなければ、把持されたFOUPが、着座しているFOUPに接触するであろう。かくして、水平方向レール120は、好ましくは、把持部124がFOUP2をこのような高さに上昇させることを可能にする高さに位置決めされる。
【0026】
ロボット110はまた、FOUP2を貯蔵箇所112とマテリアル移送システム50との間で移動させることができる。この実施形態では、ストッカのフレーム102のガイドレール104、106は、2つのコンベア52、54の上に延びており、従って、ストッカのロボット110は、2つのコンベア52、54のいずれかの上を移動して、把持部124を位置決めする。FOUP2を貯蔵箇所112から持上げることと同様、ロボット110は、把持部124を2つのコンベアの一方の上に位置決めし、次に、把持部124を下降させてFOUP2に係合させ且つそれを把持する。次に、把持124部を上昇させて、FOUP2をコンベアから特定高さまで持上げたら、次に、ロボット110をガイドレール104、106に沿って移動させ、FOUP2を貯蔵箇所112上に位置決めする。次に、ロボット110により、把持部124を下降させ、FOUP2を貯蔵箇所112上に着座させる。図2の実施形態では、ストッカのロボット110は、2つのガイドレール104、106の間に配置されたコンベア50又は52(隠れ線で示す)に沿う任意の箇所で、FOUP2を持上げたり且つ下降させたりすることができる。
【0027】
2つのコンベア52、54が貯蔵箇所112と同様の高さに配置されている場合には、ロボット110は、FOUPがストッカ100内に配置されているか、いずれか一方のコンベア52又は54上に配置されているかにかかわりなく、FOUPを同じ垂直方向距離だけ移動させて、FOUPを持上げたり且つ降ろしたりする。もちろん、コンベア52、54を、貯蔵箇所112と同じ高さに配置する必要はない。ロボット110は、ストッカ100内に配置されたFOUPを持上げたり降ろしたりするときに所定の垂直方向距離だけ移動し、且つ、マテリアル移送システム50内に配置されたFOUPを持上げたり降ろしたりするときに第2の所定の垂直方向距離だけ移動するようにプログラムされる。
【0028】
図3には、マテリアルハンドリングシステム30と協働しているストッカ100が示されている。マテリアルハンドリングシステム30は、第1コンベア52と、第2コンベア54と、4つの方向変換器又はディレクタDと、頭上移送(OHT:overhead transport)システム34とを有している。このようなディレクタは、Asyst Technologies, Inc.社が所有し且つ「一体形移送キャリヤ及びディレクタを備えた移送システム」と題する米国特許第6,308,818号明細書(特許文献3)に開示され、この米国特許の全体を本明細書に援用する。OHTシステム34は、OHTシャトル32を備え、FOUP2を持上げて、それを第2コンベア54上に降ろす。図3において、ストッカ100のガイドレール104、106は、第1コンベア52の上にだけ延びている。一実施形態では、ストッカロボット110は、FOUP2を持上げたり、それを隠れ線で示す指示領域内の第1コンベア52の上にだけ降ろしたりする。他の実施形態では、OHTシャトル32は、FOUP2をロボット110に直接移送する能力を有する側面搭載装置を有している。
【0029】
貯蔵箇所112の水平方向配列により幾つかの長所が得られる。水平方向配列ストッカ内でのストッカロボット110の主要な長距離移動は、水平なX方向及びY方向(図2参照)である。FOUP2を配置し又はそれを貯蔵箇所112から持上げた後、ストッカのロボット110をX方向及びY方向に移動させ、FOUP2をストッカ100内で移動させることにより、従来のストッカにおいて必要とされていた、ストッカロボット110及びFOUP2の両者の質量を重力(例えばZ方向)に抗して垂直方向に加速させることを回避する。これにより、FOUP2をストッカ100内で又はストッカ100とマテリアル移送システムとの間で移送するのに、例えば、ストッカ100が従来のガントリロボットを使用することが可能になる。
【0030】
例えばFOUP2を貯蔵箇所112から持上げて、FOUP2の底面が他の貯蔵箇所に着座しているFOUPの上面よりも高い位置に配置するのに、ガントリロボットは、Z方向に沿って極めて小さい垂直方向移動しか必要としない。このため、ロボット110によって移送されるFOUP2が、ストッカ100内に着座している他のFOUP2と衝突しない。一実施形態では、ストッカロボット110は、Asyst社のFastload(登録商標)ロボットに使用されている把持機構と同様な単軸フェールセーフ把持部を有している。しかしながら、FOUPハンドルに係合させるのに必要な運動は、ロボットをX方向又はY方向のいずれかに移動させることによって達成され、別の軸線又は把持部自体によって達成されるのではないので、ストッカのロボットは更に簡単化される。
【0031】
ストッカ100の他の長所は、ストッカ100の周囲に位置する各貯蔵箇所112が入口/出口ポートとして機能することである。これとは異なり、従来のストッカの入口/出口ポートは、典型的には、少数のロード(載せ)ポートに制限される。これらの追加の入口/出口ポートは、水平方向コンベア部分又は垂直方向コンベア部分(例えばエレベータ)とのインターフェースを容易に構成する。
【0032】
水平方向配列ストッカの1つの可能な箇所は、ツールベイの上方である。この箇所における水平方向配列ストッカは、例えば、ツールフロント間(例えば、ツールロードポート及びセンターアイルの両者に亘る間;図7参照)を延びると共に、且つツールベイの長さ方向の一部に沿って延びる。水平方向配列ストッカの長さは、FOUP貯蔵箇所112の個数に依存する。この箇所にストッカを置くことにより、ストッカ100とツールベイコンベア(又は、その他のマテリアル移送システム)との間の移送時間を短縮し、従来の垂直方向配列ストッカよりも有効なバッファ機能が得られる。この形態では、水平方向配列ストッカは、従来の垂直方向配列ストッカよりも多くの、例えば2〜3倍のFOUPを容易に貯蔵することができる。水平方向配列ストッカはまた、製造フロア空間を全く占めない。
【0033】
図4には、マテリアル移送システム50と協働しているストッカ200が示されている。この実施形態では、マテリアル移送システム50は、第1コンベア52と、第2コンベア54と、4つの方向変換器又はディレクタDとを有している。ストッカ200はフレーム202を有し、フレーム202は、第1レール204と、第2レール206と、支持レール208a〜208lとを備えている。ストッカ200はまた、その中でFOUP2を移動させる第1ロボット210及び第2ロボット250を有している。第1ロボット210及び第2ロボット250は両方とも、ロボット110について上述した仕方と同様の仕方で作動する。
【0034】
ストッカ200は、マテリアル移送システム50に連結するコンベアループ80を有している。コンベアループ80は、第1コンベア52からFOUPを受入れる入口コンベア86と、FOUPをストッカ200内から第1コンベア52に移動させる出口コンベア88と、FOUP2を入口コンベア86及び出口コンベア88と2つの方向変換器又はディレクタDとの間で移動させるコンベア90とを有している。FOUP2がマテリアル移送システム50とコンベアループ80との間を途切れることなく移動できるようにするため、第1コンベア52及び第2コンベヤ54は、コンベアループ80と同じ高さに配置されることが好ましい。
【0035】
この実施形態では、入口コンベア86及び出口コンベア88は、ストッカ200の中央部分を通って移動する。コンベアループ80は、ストッカ200内の貯蔵空間の大きさを減少させる。ストッカ200は、入口コンベア86、出口コンベア88及び2つの方向変換器又はディレクタDのための部屋を構成するために、少しの貯蔵箇所212しか有していない。例えば、支持レール208b〜208lは、4つの支持箇所212しか有さず、支持レール208aのみが6つの支持箇所212を有している。かくして、ストッカ200は、一度に46個までのFOUPしか貯蔵できず、図3のストッカ100の構造では、一度に72個までのFOUPを貯蔵できる。
【0036】
各支持レール208b〜208lは、コンベアループ80の下を移動するように示され、このため、入口コンベア86、出口コンベア88又はコンベア90上を移動するFOUP2を妨害する支持レール208b〜208lはない。支持レール208b〜208lがコンベアループ80の下、コンベアループの上、又はコンベアループの支持構造体の中を通るように配置することも、本発明の範囲内に包含される。
【0037】
図4に示すストッカ200は、2つのロボット210、250を有している。ストッカ200を説明する目的から、ロボット210の作動についてのみ説明する。ストッカのロボット210は、前述したロボット110と同様のガントリロボットを有し、水平方向レール220と、1対の可動支持部222と、把持機構224とを有している。可動支持部222は、ガイドレール204、206に沿って移動する車輪226を有している。把持機構224は、水平方向レール220に沿って移動する。この種類のガントリロボット200は当業界で知られており、これ以上の説明は不要である。ロボット250は、ロボット210と同様に構成されてよいし、そのように構成されなくてもよい。
【0038】
ストッカ200は、ストッカ100に勝る幾つかの長所を有している。1つの長所は、ストッカ200がFOUPをストッカ100よりも効率的に移動させることができることである。ストッカ100は、ロボット100が一度に1つのFOUPを移送できる速さでしか、FOUPをマテリアル移送システム50からストッカ100内に移動させない。ストッカ200は、コンベアループ80の速度と同じ程度で、マテリアル移送システム50内で移動するFOUPを受入れる。例えば、入口コンベア86はFOUP2を第1コンベア52から受入れて、直ぐに、FOUP2をストッカ200の後部に向かって移送する。直ぐにそのようにすることにより、他のFOUP2をマテリアル移送システム50から受入れる余裕を入口コンベア86に形成する。第2のFOUPが入口コンベア86に移動しているとき、第1ロボット210が第1のFOUPを貯蔵箇所212に配置する。ストッカ200は、他のFOUPをストッカ内に持っていくために、ロボット210が利用できるようになるまで連続的に待機する必要はない。
【0039】
ストッカ200の他の長所は、好ましい作動方法において、ストッカロボットがFOUP2を4以上の箇所で水平方向に移動させる必要がないことである。例えば、入口コンベア86上を移動するFOUP2を、好ましくは、入口コンベア86とガイドレール206との間に位置する貯蔵箇所212に着座させる。同様に、出口コンベア88上を移動するFOUP2を、好ましくは、出口コンベア88とガイドレール204との間に位置する貯蔵箇所212に着座させる。このような状況では、ロボット210、250がFOUP2をX軸に沿って4つ以上のスペースに、例えば入口コンベア86からガイドレール206に隣接する貯蔵箇所212まで、移動させる必要はない。FOUPを短い距離で移動させることによって、FOUP移送時間を最小に保つ。
【0040】
第1ロボット210と第2ロボット250との間の衝突を回避するために、ストッカの各ロボットの作動を調整しなければならない。一実施形態では、各ロボット210、250は、FOUP2を配置したりそれを入口コンベア86及び出口コンベヤ88から持上げたりする指定領域(隠れ線で示す)を有している。各ロボット210、250のための指定された持上げ及び降ろし領域により、ストッカ200がその中でFOUP2を迅速に且つ効率的に移動させることを可能にする。ストッカのコントローラは、ロボット210、250の間の移動を調整し、特に、両ロボット210、250が互いに衝突することを防止すると共に、貯蔵箇所212と特定のロボットとの間のFOUPの移動を調整する。
【0041】
図5は、水平方向配列ストッカ300を示す。ストッカ300は、第1コンベア52及び第2コンベア54を備えたマテリアル移送システム50と協働するように示されている。ストッカ300は、2つの外レール304、306を備えたフレーム302を有している。外レール304、306は、8つの支持レール308a〜308hによって連結されている。4つの追加の支持レール308i〜308lが各々、フレーム302の前部と支持レール308hとの間を連結している。好ましい実施形態では、4つの追加の支持レール308i〜308lは、これらの支持レール308i〜308lの各々の上の貯蔵箇所312に着座しているFOUPと、ストッカ300内に貯蔵されている他のFOUPとが(X軸及びY軸に沿って)一直線になるように整列している。
【0042】
ストッカ300は8つのコンテナエレベータ340を有している。各コンテナエレベータ340は、ストッカのロボット310がアクセス可能な、ストッカ300内の任意の位置に配置される。8つのコンテナエレベータ340は、4つのエレベータを2列設けた構成を有し、各列は、外レール304、306に沿ってストッカ300の前部に配置されている。各コンテナエレベータ340は、FOUP2をストッカ300とその下に位置するコンベア(図示せず)との間で移送する。FOUP2をコンテナエレベータ340によってストッカ300内に持って来るとき、FOUP2を、貯蔵箇所312の1つに着座しているFOUP2と同じ高さに配置されることが好ましい。
【0043】
全てのFOUP2をストッカ300内で同じ高さに維持することが好ましい。ロボット310の1つの側面は、ストッカ300内のFOUPを貯蔵箇所312とエレベータ340との間で移送することである。ストッカ300内の全てのFOUPを同じ高さに配置すれば、FOUP2が貯蔵箇所312に着座しているか又はエレベータ上に着座しているかにかかわらず、ロボット310をストッカ300内に貯蔵された任意のFOUPに係合させる均一な垂直方向距離だけ移動させるように、ロボット310をプログラムすればよい。
【0044】
ストッカ300の外レール304、306は、第1コンベア52及び第2コンベア54の上に延びている。従って、ロボット310は、FOUP2をストッカ300内で移動させることに加え、FOUP2をストッカ300とマテリアル移送システム50との間で移送する。外レール304、306は、必ずしも2つのコンベア52、54の上に延ばす必要はなく、例えば、第1コンベア52の上のみに延ばしてもよい。
【0045】
図6は、ストッカ300の他の構成を示す。図6の実施形態では、ストッカ300は、コンベアループ80と、6つのコンテナエレベータ340とを有している。コンベアループ80は、マテリアル移送システム50に連結され、マテリアル移送システム50は、第1コンベア52、第2コンベア54及び4つの方向変換器又はディレクタD1〜D4を有している。コンベアループ80は、入口コンベア86と、出口コンベア88と、2つの方向変換器又はディレクタDとを有している。ディレクタDは、好ましくは、FOUP2のドアが常に移動方向を向くようにFOUPを回転させる。ストッカ300はフレーム302を有し、フレーム302は、ガイドレール304、306と、ガイドレール304、306を連結する支持レール308a〜308iとを備えている。支持レール308a〜308iは、好ましくは、入口コンベア86及び出口コンベア88の下に配置される。ストッカ300の貯蔵容量を最大にするために、4つの貯蔵箇所312が、それがなければ空きスペースになる箇所に追加されている。支持レール308j〜308mは、単一支持箇所312を支持するための短い支持レールをフレーム302内に有している。例えば、支持レール308mは、1つの支持箇所312を有し且つ支持レール308aと支持レール308bとの間を延びている。
【0046】
ストッカ300は6つのコンテナエレベータ340を有している。2つのコンテナエレベータ340Fは、ストッカ300の前部の近くに配置され、2つのコンテナエレベータ340Mは、ストッカの中間に配置され、2つのコンテナエレベータ340Rは、ストッカ300の後部の近くに配置されている。各コンテナエレベータ240は、外レールに隣接して配置されている。ストッカ300内におけるコンテナエレベータ340の間隔を隔てることにより、幾つかの長所が得られる。1つの長所は、FOUP2をエレベータ340に到達させるために、ロボット310が各FOUP2をストッカ300の前部に移動させる必要がないことであり、このことは、図5のストッカの形態において必要である。FOUP2が支持レール308aに沿って着座している場合、ロボット310は、FOUP2をエレベータ240Rのいずれかに移送する。同様に、ロボット310は、支持レール308dに沿って着座しているFOUP2をエレベータ340Mのいずれかに移送する。従って、図6のストッカ300の形態は、図5のストッカの実施形態よりも効率的である。
【0047】
図6には、ストッカ300が2つのストッカロボット310、350を有していることが示されている。ストッカ300が単一ロボットのみを備えていることも本発明の範囲内に含まれる。ストッカ300の効率を更に高めるために、ストッカ300は2つのセクション(例えば、前セクション及び後セクション)に分割され、ロボット310、350はFOUPを特定のセクション内でのみ移動させる。例えば、ロボット310は、支持レール308a〜308dに沿って配置された貯蔵箇所312及びそれと同じ範囲内にあるエレベータ340及びコンベア86、88の間で、FOUPを移動させることを担当する。また、ロボット350は、残りの貯蔵箇所312、エレベータ340及びコンベア86、88のセクションの間でFOUPを移動させることを担当する。ロボット310、350は両方とも、エレベータ340Mにアクセスすることができてもよい。この場合、コントローラは、作動中にロボットが衝突しないように、ロボット310、350の運動を調整するのが好ましい。
【0048】
図7は、マテリアル移送システム50と協働している水平方向配列ストッカ400を示す。この実施形態では、ストッカ400は、フレーム402と、支持レール408と、貯蔵箇所412と、エレベータ440、448と、第1ロボット410と、第2ロボット450と、コンベアループ80とを有している。ストッカ400は、その中央部に配置された2FOUP×12FOUPの配列の貯蔵箇所412を有している。コンベアループ80は、入口コンベア86及び出口コンベア88を備え、FOUP2が中央の2×12配列の貯蔵箇所412の周りを移動することを可能にする。好ましい実施形態では、入口コンベア86、出口コンベア88及びマテリアル移送システム50のコンベア52、54は、実質的に同じ高さに配置されている。このため、FOUP2を2つの異なる高さに配置されたシステム間でロボットによって移動させる必要なしに、FOUP2は、ストッカ400とマテリアル移送システム50との間を移動する。
【0049】
図7は、水平方向配列ストッカ400が、製造設備の利用できる任意の頭上スペース内のツールベイ内に配置又は設置されてもよいことを示している。例えば、利用できる頭上スペースは、ツールベイの中、プロセスツールの上、廊下、通路等に存在する。高い天井(例えば4mより高い天井)を有する製造設備において、ストッカが単一のワークコンテナ(例えば、レチクルポッド、単一ウェーハポッド、JDECトレー等)を貯蔵するためのものである場合、多数の水平方向ストッカ配列を頭上スペース内に配置することができ、かくして、現在利用されているスペース内に、より多くのFOUPを貯蔵することができる。
【0050】
エレベータ440、448及び追加の貯蔵箇所412は、ストッカ400の周りに沿って配置されている。例えば、ストッカ400の貯蔵容量を増大させるための追加の貯蔵箇所412が、レール404と出口コンベア88との間、及び、レール406と入口コンベア88との間に配置されている。ストッカ400は、貯蔵箇所412の間に散在させた幾つかのコンテナエレベータ440、448を有している。図7の実施形態では、水平方向配列ストッカ400は、幾つかのコンテナエレベータ440が各プロセスツール10のロード(載せ)ポート12の上に配置されるようにツールベイ内に配置されている。水平方向配列ストッカ400は、各プロセスツール10の間及びコンテナエレベータ448の間に配置された貯蔵箇所412を有することによって、ツールベイの上の貯蔵スペースを最大にする。レール404と出口コンベア88との間に配置されたエレベータ440は、例えば、ストッカ400とその下に配置されたフロアベースマテリアル移送システム(図示せず)との間でFOUP2を直接移送することができ、フロアベースマテリアル移送システムは、マテリアル移送技術分野で知られているコンベア、自動移送車両、レール案内形車両、及びその他の任意の移送システムを含む。レール406と入口コンベア86との間に配置されたエレベータ448は、例えば、ストッカ400とその下に配置されたツールロード(載せ)ポート12との間でFOUP2を直接移送する。
【0051】
図7は、水平方向配列ストッカ400が2つのストッカロボット410、450を有していることを示している。ストッカのロボット410、450は、ストッカ400内において、FOUP2を貯蔵箇所412、エレベータ440、448、入口コンベア86、出口コンベア88、及びコンベア90の間で移送する。1つ以上のコントローラが、ロボット410、450、コンベアループ80及びエレベータ440、448の作動を調整する。一実施形態では、2つのロボット間の衝突を回避するために、各ロボットは、FOUPをコンベアから持上げたりコンベヤの上に降ろしたりするための指定領域を有している。前述したように、水平方向配列ストッカ400が単一のストッカロボットだけを有することも本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
図8は、ストッカが別個の貯蔵領域を有する例を示す。例えば、ストッカ100の後方セクションC(例えば、マテリアル移送システム50から最も離れたセクション)は、長期貯蔵用としてFOUP2を貯蔵するのに使用される。ストッカ100の前方セクションA(例えば、マテリアル移送システム50に最も近いセクション)は、加工中のウェーハの貯蔵領域として極めて短い時間だけFOUP2を貯蔵するのに使用される。図8に示すように、ストッカ100が単一のストッカロボット100のみを有している状況では、ストッカ100の後方セクションC内に貯蔵されたFOUPは、ストッカ内から第1コンベア52上の降ろし/持上げポート(隠れ線で示す)まで移送するのに長時間を要する。この実施形態では、ストッカ100の第1列、即ち、セクションAは、FOUPへの迅速且つ容易なアクセスを行うべく、加工されたばかりのロットの取出しを行うために用意されている。図2〜図8に示した任意の特徴をこの水平方向配列ストッカに取入れてもよいことはもちろんである。
【0053】
前述したように(図4及び図6)、水平方向配列ストッカは、多ガントリロボットを用いてストッカ内に貯蔵されたFOUPにアクセスすることによって、異なる領域に細分化されてもよい。多くのストッカロボットと組合される多くの入口/出口ポートを追加することにより、ツールベイの任意の場所において必要とされる加工中のウェーハ(wafers-in-process:WIP)への迅速なアクセスを行う。ストッカロボットが、単一の貯蔵箇所又は入口/出口箇所でFOUPを迅速に交換するための1つ以上の把持部及び/又はZアームを有していてもよいことはもちろんである。
【0054】
前述のように、ストッカ内の各FOUPの貯蔵箇所は、そのロットの優先性により定められる。例えば、ストッカ100は、FOUP2を予期される最短滞留時間でストッカ100内の貯蔵箇所112に置くことができ、且つ予期される最短移送時間で、FOUP2を移送するマテリアル移送システムに連結されている出口ポートに移送する。図8の実施形態では、このようなFOUP2は、セクションA内の貯蔵箇所112内に置かれる。セクションA内に着座しているFOUP2は、ストッカ100から及び/又はマテリアル移送システム50へと迅速に移送される。図7の実施形態では、このようなFOUP2は、ストッカ100内の幾つかの異なる貯蔵箇所412に置かれる。ストッカ400は、幾つかの出口ポート、すなわち、FOUP2を直接プロセスツール10に移送するためのエレベータ440に隣接する貯蔵箇所412と、FOUP2をストッカ100の下に配置されたマテリアル移送システムに移送するためのエレベータ440に隣接した貯蔵箇所412と、ストッカ400の前部近くに配置され且つマテリアル移送システム50に迅速に移送できる貯蔵箇所412とを有している。
【0055】
ロットの優先性により貯蔵箇所を選択する概念が、ストッカ内の貯蔵箇所から近くのプロセスツールへと迅速に移送される構成の水平方向配列ストッカに、FOUPがエレベータ又は他のローカルマテリアル移送システムによって適用される場合、水平方向配列ストッカは、個々のプロセスツール又はツール群の局所的なバッファリングを行うのにも適用される。このような形態において重要なことは、水平方向配列ストッカが、バルク貯蔵機能及び局所的なツールバッファリング機能の両方を同時に遂行することである。この能力は、現在使用されている他のいかなるFOUP貯蔵解決方法によっても首尾よく得ることができない。
【0056】
垂直方向配列ストッカにおいて他の種類のキャリヤを貯蔵するために貯蔵箇所の間隔(従って使用される体積)を変えるには、ストッカ構造の設計を大きく変える必要がある。しかしながら、水平方向配列ストッカは、貯蔵格子及び整列位置を変えるだけで、バックエンド半導体加工に使用されるレチクルポッド又はJDECトレーのような種々の形式のキャリヤに適合できる。
【0057】
ストッカの上記実施形態は単に例示を目的とするに過ぎず、従って本発明はこれにより制限されるものではないことは理解されよう。ストッカの好ましい実施形態を上述したことから、当業者ならばシステムの或る長所を達成できることは明白である。また、本発明の範囲及び精神内で、本発明の種々の変更、適用及び他の実施形態を行い得ることも明白である。例えば、ストッカは半導体製造設備に使用することを説明したが、本発明の上記概念の多くは、半導体製造以外の用途にも使用できることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来技術による在来のストッカを示す斜視図である。
【図2】水平方向配列ストッカの一実施形態を示す概略図である。
【図3】水平方向配列ストッカの他の実施形態を示す概略図である。
【図4】水平方向配列ストッカの更に別の実施形態を示す概略図である。
【図5】水平方向配列ストッカの更に別の実施形態を示す概略図である。
【図6】水平方向配列ストッカの更に別の実施形態を示す概略図である。
【図7】水平方向配列ストッカの更に別の実施形態を示す概略図である。
【図8】ストッカの貯蔵領域を示す、図2の実施形態による水平方向配列ストッカの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア及び天井を備えた製造設備内においてワークコンテナを貯蔵するストッカであって、
複数の貯蔵箇所を有し、各貯蔵箇所は、ワークコンテナを支持し、
複数の貯蔵箇所は、水平方向配列に構成され、それにより、各貯蔵箇所は、製造設備のフロアから実質的に同じ高さに配置される、ストッカ。
【請求項2】
前記水平方向配列は、少なくとも2列×2列の貯蔵箇所を有する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項3】
各貯蔵箇所は、貯蔵棚を有する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項4】
貯蔵棚は、整列機能を有する、請求項3に記載のストッカ。
【請求項5】
更に、複数の貯蔵箇所の任意の1つに着座したワークコンテナにアクセスするためのロボットを有する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項6】
更に、ワークコンテナをストッカの全体にわたって移送するためのコンベアループを有する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項7】
更に、ワークコンテナのエレベータを有する、請求項1に記載のストッカ。
【請求項8】
ワークコンテナのエレベータは、ワークコンテナをストッカとプロセスツールとの間で移送する、請求項7に記載のストッカ。
【請求項9】
ワークコンテナのエレベータは、ワークコンテナをストッカとマテリアル移送システムとの間で移送する、請求項7に記載のストッカ。
【請求項10】
貯蔵箇所の水平方向配列は、フレームによって固定される、請求項1に記載のストッカ。
【請求項11】
前記フレームは、製造設備の天井から吊下げられる、請求項10に記載のストッカ。
【請求項12】
前記フレームは、製造設備のフロアによって支持される、請求項10に記載のストッカ。
【請求項13】
前記ロボットは、ガントリロボットを有する、請求項5に記載のストッカ。
【請求項14】
更に、貯蔵箇所の間のワークコンテナの移送を調整するコントローラを有する、請求項5に記載のストッカ。
【請求項15】
フロアと天井との間に持上げられて配置されたマテリアル移送システムを備えた製造設備においてワークコンテナを貯蔵するストッカであって、
複数の貯蔵箇所を有し、各貯蔵箇所はワークコンテナを支持し、
複数の貯蔵箇所は、少なくとも2列×2列の貯蔵箇所を有する水平方向配列に構成され、
更に、入口コンベア及び出口コンベアを備えたコンベアループを有し、入口コンベアは、マテリアル移送システムからワークコンテナを受入れ、出口コンベアは、ストッカ内からマテリアル移送システムにワークコンテナを移送する、ストッカ。
【請求項16】
コンベアループは、ストッカの中央部を通ってワークコンテナを移送する、請求項15に記載のストッカ。
【請求項17】
貯蔵箇所の水平方向配列は、少なくとも2列×2列の貯蔵箇所を有する、請求項15記載のストッカ。
【請求項18】
前記各貯蔵箇所は、貯蔵棚を有する、請求項15に記載のストッカ。
【請求項19】
前記貯蔵棚は、整列機能を有する、請求項18に記載のストッカ。
【請求項20】
更に、ワークコンテナハンドリングロボットを有し、このワークコンテナハンドリングロボットは、ワークコンテナを複数の貯蔵箇所の任意の1つ、コンベアループ、及びマテリアル移送システムの間で移送する、請求項15に記載のストッカ。
【請求項21】
更に、複数のワークコンテナハンドリングロボットを有し、複数のワークコンテナハンドリングロボットは、ワークコンテナを複数の貯蔵箇所の任意の1つ、コンベアループ、及びマテリアル移送システムの間で移送する、請求項15に記載のストッカ。
【請求項22】
ワークコンテナハンドリングロボットの各々は、ガントリロボットを有する、請求項21に記載のストッカ。
【請求項23】
貯蔵箇所の水平方向配列は、フレームによって固定される、請求項15に記載のストッカ。
【請求項24】
前記フレームは、製造設備の天井から吊下げられる、請求項23に記載のストッカ。
【請求項25】
前記フレームは、製造設備のフロアによって支持される、請求項23に記載のストッカ。
【請求項26】
更に、ワークコンテナエレベータを有する、請求項15に記載のストッカ。
【請求項27】
ワークコンテナエレベータは、ワークコンテナをストッカとプロセスツールとの間で移送する、請求項26に記載のストッカ。
【請求項28】
前記ワークコンテナエレベータは、ワークコンテナをストッカと第2のマテリアル移送システムとの間で移送する、請求項26に記載のストッカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−514235(P2009−514235A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538112(P2008−538112)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/042587
【国際公開番号】WO2007/051070
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(306029419)アシスト テクノロジーズ インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Asyst Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】46897 Bayside Parkway,Fremont,California 94538,U.S.A.
【Fターム(参考)】